JP3779456B2 - ハロゲン化銀写真乳剤、その製造方法およびそれを含有するハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀写真乳剤、その製造方法およびそれを含有するハロゲン化銀写真感光材料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はハロゲン化銀写真乳剤、その製造方法および前記乳剤を含有するハロゲン化銀写真感光材料に関する。更に詳細には、本発明は平板状ハロゲン化銀乳剤、その製造方法および前記乳剤を含有するハロゲン化銀写真感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
米国特許第5,250,403号明細書(Antoniades等)は、本発明の前に、多くの点で、カラー写真要素、特にスペクトルのマイナスブルー(赤色及び/もしくは緑色)部における露光を記録するため入手可能な最良の乳剤の代表である平板状粒子乳剤を開示した。Antoniades等は、{111}主面を有する平板状粒子が総粒子投影面積の97%を超える割合を占める平板状粒子乳剤を開示した。これらの平板状粒子は、平均円換算直径(以下、「ECD」ともいう)が少なくとも0.7μmであり、厚さが0.07μm未満である。厚さが0.07μm未満である平板状粒子乳剤を、以下「極薄」平板状粒子乳剤と称する。極薄平板状粒子乳剤は、乳剤層と下層乳剤層の両方において、銀が効率的に利用されること、感度−粒状度関係が魅力的であること、及び像の鮮鋭度が高レベルであることから、カラー写真要素、特にマイナスブルー記録乳剤層に使用するのに適している。
【0003】
Buhr等によって、Research Disclosure、第253巻、アイテム25330、1985年5月に教示されているように、0.18〜0.08μmの範囲の厚さを有する平板状粒子の特徴であると認識されているように、極薄平板状粒子乳剤と他の平板状粒子乳剤とを区別する特徴は、0.18〜0.08μmの範囲の厚さを有する平板状粒子が、可視スペクトル内で最大反射を示さないことである。多層写真要素では、平均平板状粒子厚さが、0.18〜0.08μmの範囲である上層乳剤層は、反射特性が可視スペクトル内で大きく異なるので選択に注意を要する。多層写真要素の構成に極薄平板状粒子乳剤を選択すると、他の乳剤層の上に位置する上記種々の乳剤層において異なる厚さを分光反射率に応じて選択する必要が無くなる。従って極薄平板状粒子乳剤は、単に写真性能を向上できるだけでなく、多層写真要素の構成を簡素化する利点もある。
【0004】
一方、多くの写真要素における沃化物の存在は、感度の改良(更に正確には、感度−粒状性の関係が改良される)という利点が得られることから、普遍的に用いられている。特に、処理中に沃化物イオンを放出すると有用なインターイメージ効果が得られる多色写真要素用途には、4〜12モル%の範囲の平均沃化銀含有量が典型的である。更に欧州特許(以下「EP」ともいう)0362699A2に記載されている様に、極薄平板状粒子乳剤の粒子形態は不安定で、粒子形成後の分散工程及び化学増感工程時に溶解する事が知られている。
【0005】
また、当該技術分野において周知の通り、平板粒子乳剤の単分散性の向上は、様々な写真性の向上に大きく影響を及ぼす。特に極薄平板状粒子乳剤は、従来の平板状粒子乳剤に対し、円換算直径が非常に大きくなることから、その分散性が写真性におよぼす影響は、非常に大きくなることが予想される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特に感度−粒状度等の写真性能に優れるハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀写真乳剤であって、単分散性に優れ、且つ特に多層写真感光材料を構成する要素の乳剤層として有用なハロゲン化銀乳剤(以下「本発明の乳剤」ともいう)を提供することを第一の目的とする。
【0007】
また、本発明は、上記本発明の乳剤、すなわち感度−粒状度の関係を改良し得る沃化物含有量を有し、且つ単分散性に優れた平板状粒子乳剤の製造方法を提供することを第二の目的とする。
【0008】
さらに、本発明は、上記本発明の乳剤を含有するハロゲン化銀写真感光材料を提供することを第三の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1) 全粒子の投影面積の97%以上がアスペクト比5以上の平板状粒子により占められており、且つ平板状粒子全体の投影面積の円換算直径の変動係数をCOVf、平板状粒子核部の円換算直径の変動係数をCOVcとしたとき、COVf/COVcが1以下であるハロゲン化銀写真乳剤であって、ゼラチン中のアミノ基(−NH 2 基)を化学修飾した際に、化学修飾されたアミノ基1個当たり少なくとも2個のカルボキシル基(−COOH基)が導入されたゼラチンを含む分散媒溶液を用いて製造されたハロゲン化銀写真乳剤。
【0010】
(2) 前記COVfが30%未満であることを特徴とする上記(1)に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0011】
(3) 前記アスペクト比5以上の平板状粒子の厚みが0.15μm未満であることを特徴とする上記(1)に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0013】
(4) ハロゲン化銀写真乳剤の製造方法であって、全粒子の投影面積の97%以上がアスペクト比5以上の平板状粒子により占められており、且つ平板状粒子全体の投影面積の円換算直径の変動係数を COVf 、平板状粒子核部の円換算直径の変動係数を COVc としたとき、 COVf COVc が1以下であるハロゲン化銀写真乳剤を、ゼラチン中のアミノ基(−NH2基)を化学修飾した際に、化学修飾されたアミノ基1個当たり少なくとも2個のカルボキシル基(−COOH基)が導入されたゼラチンを含む分散媒溶液中で製造することを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤の製造方法。
【0014】
(5) 支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該乳剤層の少なくとも1層に請求項1ないし3のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真乳剤を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、分散媒体並びにアスペクト比が5以上のハロゲン化銀平板状粒子を含む共沈粒子母集団を含有する平板状粒子ハロゲン化銀乳剤に向けられている。前記、共沈粒子母集団の総投影面積の97%以上がハロゲン化銀平板状粒子により占められている。本発明の特に好ましい態様において、平板状粒子は共沈平板状粒子の総投影面積の99%より多くを占めることがある。
【0016】
本明細書で用いられる「平板状粒子」との用語は主平面に対して垂直方向から見たときの主平面が6角形もしくは3角形である2枚の平行な主平面を有する粒子をいう。かかる平板状粒子の主平面は{111}結晶面内にあり、平板形状は、それらの主平面に対して平行に配向した並列双晶面が少なくとも2面(場合によっては3面以上)存在することに起因することが一般に認められている。
【0017】
本明細書の特に好ましい一態様において、共沈ハロゲン化銀平板状粒子の90%より多くは(全投影面積に対する割合)6角形の主平面を有する。また、6角形の主平面を有する粒子において、隣接する主平面の辺の比が2未満であることが好ましい。
【0018】
本明細書に用いられる用語として、「粒子の投影面積の円換算直径」とは、粒子全体の投影面積に等しい面積を有する円の直径である。本明細書において、この粒子全体の円換算直径を「ECDf」ともいう。
【0019】
「変動係数」または略して「COV」との用語の意味は当該技術分野において認められいるものである。粒子全体の円換算直径の変動係数とは、粒子全体の円換算直径の標準偏差を粒子全体の円換算直径の平均値で割ったものの100倍をいう。本明細書において、粒子全体の円換算直径(ECDf)の変動係数を「COVf」ともいう。
【0020】
また、本明細書で用いられる用語「核部」とは、平板状粒子を低温での透過型電子顕微鏡を用いた直接的な方法(例えばJ.F.Hamilton,Phot.Sci.Eng.,11、57、(1967)やT.Shiozawa,J.Soc.Phot.Sci.Japan,35、213、(1972)に記載)により、平板状粒子中心部に観察することができる核形成工程および熟成または過熟成工程終了時に形成される領域のことである。本発明において、核部の銀量は、全銀量に対し20%以下が好ましく、10%以下が更に好ましい。
【0021】
一般に、核形成工程および熟成または過熟成工程終了時に形成される領域と、その後の工程において形成される領域との境界は、両者のハロゲン組成の相異等により、鮮明に認識することができる。ハロゲン組成が異なる場合、0.4%以上のハロゲン組成差により鮮明にその境界を認識することができる。
【0022】
従って、「核部の円換算直径(以下、「ECDc」ともいう)」とは、平板状粒子の投影面に対し中心に位置し、その中心から外側に初めに観察される境界面により囲まれる内側の投影面積に等しい面積を有する円の直径をいう。核部の円換算直径は、粒子の製造が完了した段階で透過型電子顕微鏡により、その境界面の内側の面積を測定することにより算出することができる。
【0023】
本明細書において、核部の円換算直径(ECDc)の変動係数を「COVc」ともいう。
【0024】
従って、本発明において規定するCOVf/COVcとは、(成長後最終粒子の円換算直径の変動係数)/(核部の円換算直径の変動係数)となる。
COVf/COVcは、最終粒子の単分散性はもとより、写真性能に大きく影響を及ぼす。
本発明によると、COVf/COVcが1以下になると、最終粒子の単分散性の向上は元より、大きく高感化、硬調化する。
【0025】
本発明において、COVf/COVcは好ましくは1以下0.2以上である。
【0026】
また、COVfは、30%未満が好ましく、25%未満がより好ましく、20%未満が更に好ましい。
【0027】
また、COVcは20%以上が好ましく、25%以上がより好ましい。
【0028】
少なくとも5のアスペクト比(ECDf/t)を与えることが可能な厚み(t)との任意の組み合わせにより写真上の利点が一般に得られる。本発明においては、アスペクト比が8以上から100又はそれ以下の範囲が好ましく、更にアスペクト比が10〜80の範囲がより好ましい。
【0029】
また、本発明における粒子全体の円換算直径(ECDf)は、10μm未満が好ましく、6μm未満がより好ましく、0.5〜6μm未満の範囲が更に好ましい。
【0030】
本発明乳剤の平板状粒子の厚みは、前記のECDf及びアスペクト比範囲を満足する値ならばいずれの値をとってもよい。本発明の好ましい平板状粒子乳剤は、ハロゲン化銀平板状粒子の厚みが、0.15μm未満である乳剤に向けられている。本発明のより好ましい平板状粒子乳剤は、ハロゲン化銀平板状粒子の厚みが、0.1μm未満のものである。本発明の特に好ましい平板状粒子乳剤は、平板状粒子乳剤、即ちハロゲン化銀平板状粒子の厚みが、0.07μm未満のものである。
【0031】
本発明の平板状粒子乳剤によれば、処理が迅速化され、銀被覆量の関数としての粒状性が低下し、マイナス青色(500〜700nm露光)スピードが高まり、並びに青色及びマイナス青色の分解スピードが増加する等をはじめとする広範囲の写真上の利点が得られる。
【0032】
本発明の乳剤が含有する粒子のハロゲン化銀は、沃臭塩化銀または沃臭化銀であることが好ましく、沃臭化銀であることが更に好ましい。沃臭塩化銀または沃臭化銀において、沃化物は全銀量に対して少なくとも0.1モル%含まれ、好ましくは4モル%以上15モル%以下含まれる。
【0033】
また本発明の乳剤が含有する平板状ハロゲン化銀粒子は、好ましくは、その沃化銀含有量が互いに異なるコアと当該コアを取り囲むシェルとから構成されるいわゆるコア/シェル構造を有する。シェルの数は1つであっても2つ以上であってもよい。シェルの数が2つ以上の場合、コアの外側の周囲にあるシェルを第1シェルといい、第1シェルの周囲にあるシェルを第2シェルといい、以下、順次、外側にあるシェルを第3シェル、第4シェルという。本願明細書において、「最外層」との用語は、最も外側(表面)にあるシェルをいう。最外層は、粒子一個当たりの銀量に基づいて、10%以上50%未満、好ましくは20%以上50%未満、より好ましくは25%以上50%未満の銀量を有する。また、その最外層における沃化物含量は、当該最外層中の銀量に基づいて好ましくは6モル%以上である。より好ましくは、最外層における沃化物含量は当該最外層中の銀量に基づいて20モル%未満であり、さらに好ましくは、8モル%以上15モル%未満である。最外層には、塩化銀が含有され得る。塩化銀は、総銀量に対して塩化物0.4〜20モル%になるよう含有することができる。コアのハロゲン組成は、純臭化銀が好ましいが、銀量に基づいて4モル%以下の沃化物を含有することができる。本発明の乳剤が含有する粒子が、後述するエピタキシャル接合を有する場合には、当該エピタキシャル接合部も最外層に含まれる。
【0034】
本発明の重要な特徴は、単分散平板状粒子乳剤の新規な製造法の開発である。
一般に、ハロゲン化銀乳剤は、
核形成→熟成→成長
という工程で製造することができる。該一般的なハロゲン化銀乳剤製造工程に対し、本発明の新規な製造法は、過熟成工程の導入にある。
【0035】
以下に、核形成、熟成、過熟成、および成長の各工程について説明する。
【0036】
1.核形成
単分散平板状粒子の核形成工程は、それ自体は既知の平板状粒子の核形成工程を用いることができる。すなわち、一般にはゼラチンの水溶液を保持する反応容器に、銀塩水溶液とハロゲン化アルカリ水溶液を添加して行われるダブルジェット法、あるいはハロゲン化アルカリを含むゼラチン溶液に銀塩水溶液を添加するシングルジェット法が用いられる。また、必要に応じて銀塩を含むゼラチン溶液にハロゲン化アルカリ水溶液を添加する方法も用いることができる。さらに、必要に応じて特開昭2-44335号に開示されている混合器にゼラチン溶液と銀塩溶液とハロゲン化アルカリ水溶液を添加し、ただちにそれを反応容器に移すことによって平板状粒子の核形成を行うこともできる。また、米国特許第5,104,786号に開示されているように、ハロゲン化アルカリと保護コロイド溶液を含む水溶液をパイプに通しそこに銀塩水溶液を添加することにより核形成を行うこともできる。
【0037】
核形成は、ゼラチンを分散媒とし、pBrが1〜4の条件で分散媒形成することが好ましい。分散媒の濃度は、10重量%以下が好ましく、さらに1重量%以下がより好ましい。核形成時の温度は、5〜60℃が好ましいが、平均粒径が0.5μm以下の微粒子平板状粒子を作る場合は5〜48℃がより好ましい。
【0038】
添加するハロゲン化アルカリ溶液の組成としては、Br-に対するI-含量は生成するAgBrIの固溶限界以下、好ましくは10モル%以下である。
【0039】
2.熟成
上記1における核形成では、平板状粒子以外の微粒子(特に、レギュラーおよび一重双晶粒子)が形成される。次に述べる成長工程に入る前に平板状粒子以外の粒子を消滅せしめ、平板状粒子となるべき形状で且つ単分散性の良い核を得る必要がある。これを可能とするために、核形成に引き続いてオストワルド熟成を行うことがよく知られている。
【0040】
核形成後直ちにpBrを調節した後、温度を上昇させ六角平板状粒子比率が最高となるまで熟成を行う。熟成の温度は、40〜80℃、好ましくは50〜80℃であり、pBrは1.2〜3.0である。また、この時平板状粒子以外の粒子を速やかに消失せしめるために、ハロゲン化銀溶剤を添加しても良い。この場合のハロゲン化銀溶剤の濃度としては、0.3mol/リットル(以下「L」と表記する)以下が好ましく、0.2mol/L以下がより好ましい。ハロゲン化銀溶剤としては、通常用いられているものを用いることができるが、直接反転用乳剤として用いる場合は、ハロゲン化銀溶剤として、アルカリ性側で用いられるNH3より、中性、酸性側で用いられるチオエーテル化合物等のハロゲン化銀溶剤の方が好ましい。
【0041】
このように熟成して、ほぼ〜100%平板状粒子のみとする。
【0042】
本発明の乳剤の製造方法において、熟成工程の終了とは、主平面が6角形または3角形の平板状粒子であって、双晶面を少なくとも2面有するもの以外の粒子(特に、レギュラーおよび一重双晶粒子)が消失した時点をいう。主平面が6角形または3角形の平板状粒子であって、双晶面を少なくとも2面有するもの以外の粒子の消失は、粒子のレプリカのTEM像を観察することにより確認することができる。
【0043】
3.過熟成
本発明の単分散平板状粒子乳剤の新規な製造法は、上記2における熟成が終わった後、即成長を開始するといった一般的なハロゲン化銀乳剤製造法と異なり、「過熟成工程」を導入している。一般的なハロゲン化銀乳剤製造法(核形成−熟成−成長)により、平板状粒子乳剤を作成した場合には、必ず粒子全体の円換算直径(ECDf)の平均値から大きく小サイズ化した平板状粒子が多数存在し、その結果分散性を大きく悪化させる。
【0044】
これは熟成工程により得られた平板状粒子の異方成長スピードは、そもそも個々の平板状粒子で異なっていることを示唆している。
【0045】
本願明細書において、「過熟成工程」とは、六角平板粒子(主平面が6角形の平板状である粒子)比率が最高となるまで熟成(熟成工程)した後、更に平板状粒子自身をオストワルド熟成させることで、異方成長スピードの遅い平板状粒子を消去する工程である。本発明の平板状粒子乳剤においては、熟成工程で得られた平板状粒子数を100とした場合、該過熟成工程により、平板状粒子数を90以下にまで減少させることが好ましく、更に60以上、80以下まで減少させることがより好ましい。上記過熟成工程終了時に得られる平板状粒子の円換算直径の変動係数は、熟成工程終了時に得られる平板状粒子の円換算直径の変動係数に対し増大するが、成長工程を経た後には、小サイズ化した平板状粒子の無い、単分散な平板状粒子乳剤が得られることが分かった。
【0046】
本発明の乳剤の製造方法において、過熟成工程におけるpBr、温度等の条件は、熟成工程と同じに設定することができる。また、過熟成工程においては、ハロゲン化銀溶剤についても熟成工程と同様に添加することができ、その種類、濃度なども熟成工程のものと同じに設定することができる。
【0047】
4.成長
過熟成工程に続く結晶成長期のpBrは1.4〜3.5に保つことが好ましい。成長工程に入る前の分散媒溶液中のゼラチン濃度が低い場合(1重量%以下)に、ゼラチンを追添加する場合がある。その際、分散媒溶液中のゼラチン濃度は、1〜10重量%にすることが好ましい。
【0048】
結晶成長期におけるAg+、およびハロゲンイオンの添加速度は、結晶臨界成長速度の50%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下の結晶成長速度になるようにする事が好ましい。この場合、結晶成長とともに銀イオンおよびハロゲンイオンの添加速度を増加させていくが、その場合、特公昭48-36890号、同52-16364号記載のように、銀塩およびハロゲン塩水溶液の添加速度を上昇させても良く、これらの水溶液の濃度を増加させても良い。
【0049】
成長期に、その核の上に堆積させる沃化物の添加手段は、ハロゲンイオンとして直接供給する方法の他、Ag+、およびハロゲンイオン供給時にAgI微粒子を添加する方法、AgBrI微粒子として供給する方法、及びそれらを併用する方法いずれも可能である。これらの微粒子は、好ましくは0.1〜0.005μm、より好ましくは0.05〜0.005μmの球換算直径を有する。
【0050】
本発明の重要な特徴である新規な単分散平板状粒子乳剤の製造方法の開発に貢献したもう一つの手段は、ゼラチン中のアミノ基を化学修飾した際に新たにカルボキシル基が少なくとも2個以上導入されたゼラチンを粒子形成時に用いていることである。
【0051】
当該技術分野においてアスペクト比を大きくするために、平板状粒子の厚みを小さくする試みが種々行われている。特公平5-12696号にはゼラチン中のメチオニン基を過酸化水素等で無効化したゼラチンを分散媒として用いて厚みの小さい平板状粒子を調製する方法が開示されている。特開平8-82883号にはアミノ基およびメチオニン基を無効化したゼラチンを分散媒として用いて薄い平板状粒子を調製する方法が開示されている。また、米国特許第5380642号、特開平8-292508号には、合成ポリマーを分散媒として用いて薄い平板状粒子を調製する方法が開示されている。
【0052】
しかし、従来の平板状粒子乳剤にとって必須であると考えれられたこれら技術は、いずれも沃化銀含有量の上昇と共に分散度が悪化する結果となっている。
【0053】
これに対し、該アミノ基修飾ゼラチンを粒子形成時に用いることで、厚みが薄く、且つ沃化銀含有量に関係なく単分散な平板状粒子乳剤が得られた。
【0054】
更に該アミノ基修飾ゼラチンは、過熟成工程の際に、一部の異方成長性スピードの早い平板状粒子の巨大化を大きく抑制することから、少なくとも成長工程から、好ましくは過熟成工程開始前に、より好ましくは核形成直後に該アミノ基修飾ゼラチンを添加しておくことで、成長後の粒子に極端に大サイズ化、或いは小サイズ化した平板状粒子が存在しない、より単分散な平板状粒子乳剤が得られた。
【0055】
本発明で主として用いるアミノ基修飾ゼラチンについて述べる。
【0056】
本発明においては、平板状粒子の形成に従来用いられるアミノ基修飾ゼラチンを用いることができ、例えば、特開平8-82883号に記載されているものを用いることができる。アミノ基修飾ゼラチンは、1級アミノ基(−NH2)を2級アミノ基(−NH−)、3級アミノ基、または脱アミノ化することで厚みの小さい平板状粒子が得られている。また、アミノ基修飾ゼラチン中で酸無水物、例えば、無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸を反応させるとアミノ基が修飾されて−NH2基1つの代わりに−COOH基1つが導入される。この導入−COOH基に着目し、導入−COOH基の数を増やしたところ、粒子サイズ分布の悪化を伴うことなく平板状粒子厚みが更に減少するという効果が見られた。
【0057】
−COOH基の導入に関する具体的な手段としては、ゼラチンに反応試薬を添加してアミノ基(−NH2)を修飾する方法が取れる。試薬としては以下に具体例として挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
(i)少なくとも2つのカルボン酸(−COOH)を持つ化合物で、その構造で少なくとも1つの酸無水物を形成するような化合物。例えば、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水メリット酸等が挙げられる。
(ii)少なくとも、2つのカルボン酸を持つ化合物で、その構造中にシアネートを少なくとも1つ持つような化合物。例えば、フェニルイソシアネート等が挙げられる。
(iii)少なくとも、2つのカルボン酸を持つ化合物で、その構造中にアルデヒド又はケトンを少なくとも1つ持つような化合物。
(iv)少なくとも、2つのカルボン酸を持つ化合物で、その構造中にイミドエステルを少なくとも1つ持つような化合物。
【0059】
アミノ基(−NH2基)の置換率は、ゼラチン分子中のリジン残基の−NH2基(ε−NH2基)に対しては60%以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上であり、ゼラチン分子中の全−NH2基(α−NH2基、ε−NH2基、グアニジル基)に対しては30%以上、好ましくは50%以上である。
【0060】
以下に、アミノ基を化学修飾し、新たにカルボキシル基を導入した修飾ゼラチンの製法例を述べるが、これに限定されるものではない。
【0061】
(トリメリット化ゼラチンの製法)
アミノ基の修飾に関しては、古くから多様な手法が開発されている。例えば、米国特許第2,525,753号、同3,118,766号、同2,614,928号、同2,6149,29号、特公昭40-15585号、、特開平8-82883号、および、日本写真学会誌58巻25頁(1995年)などの記載を参考に出来る。
【0062】
トリメリット化ゼラチンの製法としては、日本写真学会誌58巻25頁(1995年)記載の以下に示した方法を参考にできる。
【0063】
60℃に保った15%ゼラチン水溶液のpHを9.0に調整した後、無水トリメリット酸水溶液を添加した。反応中pHを8.75から9.25に保ち、1時間反応させる。反応終了後、限外濾過で脱イオン処理を行った。pHを6.0に調整後乾燥させてゼラチン粉末を得る。
【0064】
平板状粒子乳剤製造工程における、該アミノ基修飾ゼラチンは、少なくとも成長前から、好ましくは過熟成工程開始前から、さらに好ましくは核形成直後から存在することが好ましい。またその際の分散媒中のpHは、4以上10以下が好ましい。
【0065】
その際の分散媒溶液に対するゼラチンの濃度は、10重量%以下であることが好ましい。
【0066】
また本発明の平板状粒子乳剤に小量の塩化物イオンを含ませることが可能である。米国特許第5,372,927号明細書(Delton)に開示されているように、総銀量に対して塩化物0.4〜20モル%及び沃化物10モル%以下を含有し、ハロゲン化物の残部が臭化物である平板状粒子乳剤は、米国特許第5,061,609号明細書及び第5,061,616号明細書(Piggin等)の曲線A及びBに相当するDeltonにより示された曲線AのpAg−温度(℃)境界内(好ましくは曲線Bの境界内)の総銀量の5〜90%を占める粒子成長を行うことにより調製できる。これらの沈殿条件下では、塩化物イオンの存在は、実際に平板状粒子の厚みの減少に役立つ。本発明の乳剤の平板状粒子のハロゲン組成は、最も好ましくは沃臭化銀であることは前述したとおりである。しかしながら、上述したように塩化物イオンの導入は粒子の薄板化のためにバルク中に存在させておくことができ、この結果、塩化物イオンが平板状粒子の基盤中に取り込まれることとなる。
【0067】
本発明において、平板状粒子は転位線、あるいはエピタキシャル接合を有するハロゲン化銀突起部、もしくはその両方を含むことが好ましい。
【0068】
平板状粒子の転位線は、例えばJ.F.Hamilton,Phot.Sci.Eng.,11、57、(1967)やT.Shiozawa,J.Soc.Phot.Sci.Japan,35、213、(1972)に記載の、低温での透過型電子顕微鏡を用いた直接的な方法により観察することができる。すなわち、乳剤から粒子に転位線が発生するほどの圧力をかけないよう注意して取り出したハロゲン化銀粒子を電子顕微鏡観察用のメッシュにのせ、電子線による損傷(プリントアウト等)を防ぐように試料を冷却した状態で透過法により観察を行う。この時、粒子の厚みが厚い程、電子線が透過しにくくなるので高圧型(0.25μmの厚みの粒子に対して200kV以上)の電子顕微鏡を用いた方がより鮮明に観察することができる。
【0069】
このような方法により得られた粒子の写真より、主平面に対して垂直方向から見た場合の各粒子についての転位線の位置および数を求めることができる。
【0070】
転位線の数は、好ましくは1粒子当り平均10本以上である。より好ましくは1粒子当り平均20本以上である。転位線が密集して存在する場合、または転位線が互いに交わって観察される場合には、1粒子当りの転位線の数は明確には数えることができない場合がある。しかしながら、これらの場合においても、おおよそ10本、20本、30本という程度には数えることが可能であり、明らかに、数本しか存在しない場合とは区別できる。転位線の数の1粒子当りの平均数については100粒子以上について転位線の数を数えて、数平均として求める。
【0071】
転位線は、例えば平板状粒子の外周近傍に導入することができる。この場合転位は外周にほぼ垂直であり、平板状粒子の中心から辺(外周)までの距離の長さのx%の位置から始まり外周に至るように転位線が発生している。このxの値は好ましくは10以上100未満であり、より好ましくは30以上99未満であり、最も好ましくは50以上98未満である。この時、この転位線の開始する位置を結んでつくられる形状は粒子形と相似に近いが、完全な相似形ではなく、ゆがむことがある。この型の転位線は粒子の中心領域には見られない。転位線の方向は結晶学的におおよそ(211)方向であるがしばしば蛇行しており、また互いに交わっていることもある。
【0072】
また平板状粒子の外周上の全域に渡ってほぼ均一に転位線を有していても、外周上の局所的な位置に転位線を有していてもよい。すなわち、六角形平板(主平面の形状が6角形の平板状粒子)ハロゲン化銀粒子を例にとると、6つの頂点の近傍のみに転位線が限定されていてもよいし、そのうちの1つの頂点近傍のみに転位線が限定されていてもよい。逆に6つの頂点近傍を除く辺のみに転位線が限定されていることも可能である。
【0073】
また平板状粒子の平行な2つの主平面の中心を含む領域に渡って転位線が形成されていてもよい。主平面の全域に渡って転位線が形成されている場合には転位線の方向は主平面に垂直な方向から見ると結晶学的におおよそ(211)方向の場合もあるが(110)方向またはランダムに形成されている場合もあり、さらに各転位線の長さもランダムであり、主平面上に短い線として観察される場合と、長い線として辺(外周)まで到達して観察される場合がある。転位線は直線のこともあれば蛇行していることも多い。また、多くの場合互いに交わっている。転位線の位置は以上のように外周上または主平面上または局所的な位置に限定されていても良いし、これらが組み合わされて、形成されていても良い。すなわち、外周上と主平面上に同時に存在していても良い。
【0074】
エピタキシャル接合を有するハロゲン化銀突起部は、特開昭58−108526(マスカスキー)、特開平8−101472〜101476(ドーベンディーク等)により開示された方法により形成することができる。
【0075】
ハロゲン化銀乳剤は、通常、物理熟成、化学熟成および分光増感を行ったものを使用する。このような工程で使用される添加剤はリサーチ・ディスクロージャーNo.17643、同No.18716および同No.307105に記載されており、その該当箇所を下記の表に示す。
【0076】
Figure 0003779456
本発明のハロゲン化銀乳剤は、必要により他の乳剤と共に支持体上に一層もしくはそれ以上設けることができる。また、支持体の片側に限らず両面に設けることができる。また、異なる感色性の乳剤として重層することもできる。
【0077】
本発明のハロゲン化銀乳剤は、黒白ハロゲン化銀写真感光材料(例えば、Xレイ感材、リス型感材、黒白撮影用ネガフィルムなど)やカラー写真感光材料(例えば、カラーネガフィルム、カラー反転フィルム、カラーペーパー等)に用いることができる。さらに、拡散転写用感光材料(例えば、カラー拡散転写要素、銀塩拡散転写要素)、熱現像感光材料(黒白、カラー)等にも用いることができる。
【0078】
本発明の乳剤は、多層からなるカラー感光材料において用いることにより、その写真性能をより発揮することができるので好ましい。本発明の乳剤は、いずれもの感光性層において用いることができるが、特に赤感光性層または緑感光性層で用いることが好ましく、赤感光性層で用いることがさらに好ましい。
【0079】
本発明のハロゲン化銀写真乳剤、およびそれを用いたハロゲン化銀写真感光材料(以下「本発明の感光材料」ともいう)に用いることのできる種々の技術や無機・有機の素材については一般的にはリサーチ・ディスクロージャーNo. 308119(1989年)に記載されたものを用いることができる。
【0080】
これに加えて、より具体的には、例えば、本発明のハロゲン化銀写真乳剤が適用できるカラー写真感光材料に用いることができる技術および無機・有機素材については、欧州特許第436,938A2号の下記の箇所及び下記に引用の特許に記載されている。
【0081】
Figure 0003779456
Figure 0003779456
【0082】
また、本発明の感光材料では磁気記録層を設けることも可能である。
【0083】
本発明の感光材料に用いられる磁気記録層とは、磁性体粒子をバインダー中に分散した水性もしくは有機溶媒系塗布液を支持体上に塗設したものである。
【0084】
本発明の感光材料に用いられる磁性体粒子は、γFe23などの強磁性酸化鉄、Co被着γFe23、Co被着マグネタイト、Co含有マグネタイト、強磁性二酸化クロム、強磁性金属、強磁性合金、六方晶系のBaフェライト、Srフェライト、Pbフェライト、Caフェライトなどを使用できる。Co被着γFe23などのCo被着強磁性酸化鉄が好ましい。形状としては針状、米粒状、球状、立方体状、板状等いずれでもよい。非表面積ではSBETで20m2/g以上が好ましく、30m2/g以上が特に好ましい。強磁性体の飽和磁化(σs)は、好ましくは3.0×104〜3.0×105A/mであり、特に好ましくは4.0×104〜2.5×105A/mである。強磁性体粒子を、シリカおよび/またはアルミナや有機素材による表面処理を施してもよい。さらに、磁性体粒子は特開平6−161032に記載された如くその表面がシランカップリング剤又はチタンカップリング剤で処理されてもよい。又特開平4−259911、同5−81652号に記載の表面に無機、有機物を被覆した磁性体粒子も使用できる。
【0085】
磁性体粒子に用いられるバインダーは、特開平4−219569に記載の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂、反応型樹脂、酸、アルカリ又は生分解性ポリマー、天然物重合体(セルロース誘導体、糖誘導体など)およびそれらの混合物を使用することができる。上記の樹脂のTgは−40℃〜300℃、重量平均分子量は0.2万〜100万である。例えばビニル系共重合体、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルローストリプロピオネートなどのセルロース誘導体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂を挙げることができ、ゼラチンも好ましい。特にセルロースジ(トリ)アセテートが好ましい。バインダーは、エポキシ系、アジリジン系、イソシアネート系の架橋剤を添加して硬化処理することができる。イソシアネート系の架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、などのイソシアネート類、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの反応生成物(例えば、トリレンジイソシアネート3molとトリメチロールプロパン1molの反応生成物)、及びこれらのイソシアネート類の縮合により生成したポリイソシアネートなどがあげられ、例えば特開平6−59357に記載されている。
【0086】
前述の磁性体を上記バインダー中に分散する方法は、特開平6−35092に記載されている方法のように、ニーダー、ピン型ミル、アニュラー型ミルなどが好ましく併用も好ましい。特開平5−088283に記載の分散剤や、その他の公知の分散剤が使用できる。磁気記録層の厚みは0.1μm〜10μm、好ましくは0.2μm〜5μm、より好ましくは0.3μm〜3μmである。磁性体粒子とバインダーの重量比は好ましくは0.5:100〜60:100からなり、より好ましくは1:100〜30:100である。磁性体粒子の塗布量は0.005〜3g/m2、好ましくは0.01〜2g/m2、さらに好ましくは0.02〜0.5g/m2である。磁気記録層の透過イエロー濃度は、0.01〜0.50が好ましく、0.03〜0.20がより好ましく、0.04〜0.15が特に好ましい。磁気記録層は、写真用支持体の裏面に塗布又は印刷によって全面またはストライプ状に設けることができる。磁気記録層を塗布する方法としてはエアードクター、ブレード、エアナイフ、スクイズ、含浸、リバースロール、トランスファーロール、グラビヤ、キス、キャスト、スプレイ、ディップ、バー、エクストリュージョン等が利用でき、特開平5−341436等に記載の塗布液が好ましい。
【0087】
磁気記録層に、潤滑性向上、カール調節、帯電防止、接着防止、ヘッド研磨などの機能を合せ持たせてもよいし、別の機能性層を設けて、これらの機能を付与させてもよく、粒子の少なくとも1種以上がモース硬度が5以上の非球形無機粒子の研磨剤が好ましい。非球形無機粒子の組成としては、酸化アルミニウム、酸化クロム、二酸化珪素、二酸化チタン、シリコンカーバイト等の酸化物、炭化珪素、炭化チタン等の炭化物、ダイアモンド等の微粉末が好ましい。これらの研磨剤は、その表面をシランカップリング剤又はチタンカップリング剤で処理されてもよい。これらの粒子は磁気記録層に添加してもよく、また磁気記録層上にオーバーコート(例えば保護層、潤滑剤層など)しても良い。この時使用するバインダーは前述のものが使用でき、好ましくは磁気記録層のバインダーと同じものがよい。磁気記録層を有する感光材料については、米国特許5,336,589、同5,250,404、同5,229,259、同5,215,874、EP466,130に記載されている。
【0088】
次に磁気記録層を有する本発明の感光材料に好ましく用いられるポリエステル支持体について記すが、上記以外の感光材料、処理、カートリッジ及び実施例なども含め詳細については、公開技報、公技番号94−6023(発明協会;1994.3.15.)に記載されている。本発明に用いられるポリエステルはジオールと芳香族ジカルボン酸を必須成分として形成され、芳香族ジカルボン酸として2,6−、1,5−、1,4−、及び2,7−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジオールとしてジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノール等が挙げられる。この重合ポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート等のホモポリマーを挙げることができる。特に好ましいのは2,6−ナフタレンジカルボン酸を50モル%〜100モル%含むポリエステルである。中でも特に好ましいのはポリエチレン−2,6−ナフタレートである。平均分子量の範囲は約5,000ないし200,000である。本発明のポリエステルのTgは50℃以上であり、さらに90℃以上が好ましい。
【0089】
次にポリエステル支持体は、巻き癖をつきにくくするために熱処理温度は40℃以上Tg未満、より好ましくはTg−20℃以上Tg未満で熱処理を行う。熱処理はこの温度範囲内の一定温度で実施してもよく、冷却しながら熱処理してもよい。この熱処理時間は、0.1時間以上1500時間以下、さらに好ましくは0.5時間以上200時間以下である。支持体の熱処理は、ロール状で実施してもよく、またウェブ状で搬送しながら実施してもよい。表面に凹凸を付与し(例えばSnO2やSb25等の導電性無機微粒子を塗布する)、面状改良を図ってもよい。又端部にローレットを付与し端部のみ少し高くすることで巻芯部の切り口写りを防止するなどの工夫を行うことが望ましい。これらの熱処理は支持体製膜後、表面処理後、バック層塗布後(帯電防止剤、滑り剤等)、下塗り塗布後のどこの段階で実施してもよい。好ましいのは帯電防止剤塗布後である。
【0090】
このポリエステルには紫外線吸収剤を練り込んでも良い。又ライトパイピング防止のため、三菱化成製のDiaresin、日本化薬製のKayaset等ポリエステル用として市販されている染料または顔料を練り込むことにより目的を達成することが可能である。
【0091】
次に、本発明の感光材料では支持体と感光材料構成層を接着させるために、表面処理することが好ましい。薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理、などの表面活性化処理が挙げられる。表面処理の中でも好ましいのは、紫外線照射処理、火焔処理、コロナ処理、グロー処理である。
【0092】
本発明の感光材料には滑り性がある事が好ましい。滑り剤含有層は感光層面、バック面ともに用いることが好ましい。好ましい滑り性としては動摩擦係数で0.25以下0.01以上である。この時の測定は直径5mmのステンレス球に対し、60cm/分で搬送した時の値を表す(25℃、60%RH)。この評価において相手材として感光層面に置き換えてもほぼ同レベルの値となる。
【0093】
本発明に使用可能な滑り剤としては、ポリオルガノシロキサン、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸と高級アルコールのエステル等であり、ポリオルガノシロキサンとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリスチリルメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン等を用いることができる。添加層としては乳剤層の最外層やバック層が好ましい。特にポリジメチルシロキサンや長鎖アルキル基を有するエステルが好ましい。
【0094】
本発明の感光材料にはマット剤が有る事が好ましい。マット剤としては乳剤面、バック面とどちらでもよいが、乳剤側の最外層に添加するのが特に好ましい。マット剤は処理液可溶性でも処理液不溶性でもよく、好ましくは両者を併用することである。例えばポリメチルメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート/メタクリル酸=9/1又は5/5(モル比)、ポリスチレン粒子などが好ましい。粒径としては0.8〜10μmが好ましく、その粒径分布も狭いほうが好ましく、平均粒径の0.9〜1.1倍の間に全粒子数の90%以上が含有されることが好ましい。又マット性を高めるために0.8μm以下の微粒子を同時に添加することも好ましく例えばポリメチルメタクリレート(0.2μm)、ポリ(メチルメタクリレート/メタクリル酸=9/1(モル比)、0.3μm)、ポリスチレン粒子(0.25μm)、コロイダルシリカ(0.03μm)が挙げられる。
次に本発明の感光材料のために用いられるフィルムパトローネについて記す。本発明で使用されるパトローネの主材料は金属でも合成プラスチックでもよい。
好ましいプラスチック材料はポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニルエーテルなどである。更に本発明のパトローネは、各種の帯電防止剤を含有してもよくカーボンブラック、金属酸化物粒子、ノニオン、アニオン、カチオン及びペタイン系界面活性剤又はポリマー等を好ましく用いることが出来る。これらの帯電防止されたパトローネは特開平1−312537、同1−312538に記載されている。特に25℃、25%RHでの抵抗が1012Ω以下が好ましい。通常プラスチックパトローネは、遮光性を付与するためにカーボンブラックや顔料などを練り込んだプラスチックを使って製作される。パトローネのサイズは現在135サイズのままでもよいし、カメラの小型化には、現在の135サイズの25mmのカートリッジの径を22mm以下とすることも有効である。パトローネのケースの容積は、30cm3以下好ましくは25cm3以下とすることが好ましい。パトローネおよびパトローネケースに使用されるプラスチックの重量は5g〜15gが好ましい。
【0095】
更に本発明で用いられる、スプールを回転してフイルムを送り出すパトローネでもよい。またフイルム先端がパトローネ本体内に収納され、スプール軸をフイルム送り出し方向に回転させることによってフイルム先端をパトローネのポート部から外部に送り出す構造でもよい。これらは米国特許4,834,306、同5,226,613に開示されている。又、現像前のいわゆる生フイルムと現像済みの写真フイルムが同じ新パトローネに収納されていてもよいし、異なるパトローネでもよい。
【0096】
本発明のカラー写真感光材料は、アドバンスト・フォト・システム(以下、APSという)用カラーネガフイルムとしても好適であり、富士写真フイルム(株)(以下、富士フイルムという)製NEXIA A、NEXIA F、NEXIA H(順にISO 200/100/400)のようにフイルムをAPSフォーマットに加工し、専用カートリッジに収納したものを挙げることができる。これらのAPS用カートリッジフイルムは、富士フイルム製エピオン300Zに代表されるエピオンシリーズ等のAPS用カメラに装填して用いられる。また、本発明のカラー写真感光材料は、富士フイルム製フジカラー写ルンですスーパースリムのようなレンズ付きフイルムにも好適である。
【0097】
これらにより撮影されたフイルムは、ミニラボシステムでは次のような行程を経てプリントされる。
(1)受付(露光済みカートリッジフイルムをお客様からお預かり)
(2)デタッチ行程(カートリッジから、フイルムを現像工程用の中間カートリッジに移す)
(3)フイルム現像
(4)リアタッチ工程(現像済みのネガフイルムを、もとのカートリッジに戻す)
(5)プリント(C、H、P 3タイプのプリントとインデックスプリントをカラーペパー[好ましくは富士フイルム製SUPER FA8]に連続プリント)
(6)照合・出荷(カートリッジとインデックスプリントをIDナンバーで照合し、プリントとともに出荷)。
【0098】
これらのシステムとしては、富士フイルムのミニラボチャンピオンスーパーFA−298/FA−278/FA−258/FA−238が好ましい。フイルムプロセサーとしてはFP922AL/FP562B/FP562BL/FP362B/FP3622BLが挙げられ、推奨処理薬品はフジカラージャストイットCN−16Lである。プリンタープロセサーとしては、PP3008AR/PP3008A/PP1828AR/PP1828A/PP1258AR/PP1258A/PP728AR/PP728Aが挙げられ、推奨処理薬品はフジカラージャストイットCP−47Lである。デタッチ行程で用いるデタッチャー、リアタッチ工程で用いるリアタッチャーは、それぞれ富士フイルムのDT200/DT100及びAT200/AT100が好ましい。
【0099】
APSシステムは、富士フイルムのデジタルイメージワークステーションAladdin 1000を中心とするフォトジョイシステムにより楽しむこともできる。例えば、Aladdin 1000に現像済みAPSカートリッジフイルムを直接装填したり、ネガフイルム、ポジフイルム、プリントの画像情報を、35mmフイルムスキャナーFE−550やフラットヘッドスキャナーPE−550を用いて入力し、得られたデジタル画像データを容易に加工・編集することができる。そのデータは、光定着型感熱カラープリント方式によるデジタルカラープリンターNC−550ALやレーザー露光熱現像転写方式のピクトログラフィー3000によって、又はフイルムレコーダーを通して既存のラボ機器によりプリントとして出力することができる。また、Aladdin 1000は、デジタル情報を直接フロッピーディスクやZipディスクに、もしくはCDライターを介してCD−Rに出力することもできる。
【0100】
一方、家庭では、現像済みAPSカートリッジフイルムを富士フイルム製フォトプレイヤーAP−1に装填するだけでTVで写真を楽しむことができるし、富士フイルム製フォトスキャナーAS−1に装填すれば、パソコンに画像情報を高速で連続的に取り込むこともできる。また、フイルム、プリント又は立体物をパソコンに入力するには、富士フイルム製フォトビジョンFV−10/FV−5が利用できる。さらに、フロッピーディスク、Zipディスク、CD−Rもしくはハードディスクに記録された画像情報は、富士フイルムのアプリケーションソフト フォトファクトリーを用いてパソコン上で様々に加工して楽しむことができる。パソコンから高画質なプリントを出力するには、光定着型感熱カラープリント方式の富士フイルム製デジタルカラープリンターNC−2/NC−2Dが好適である。
【0101】
現像済みのAPSカートリッジフイルムを収納するには、フジカラーポケットアルバムAP−5ポップL、AP−1ポップL、AP−1ポップKG又はカートリッジファイル16が好ましい。
【0102】
【実施例】
次に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の実施態様はこれに限定されるものではない。
【0103】
実施例1 熟成時間と平板状粒子の円換算直径の変動係数の関係
反応容器にゼラチン水溶液1000ミリリットル(以下「mL」と表記する)
(低分子ゼラチン(分子量15000脱イオン化アルカリ処理骨ゼラチン)0.5g及び、KBr0.31gを含む)を入れ、温度を40℃に保ちながら、Ag−1液(100mL中にAgNO35gを含む)とX−1液(100mL中にKBr3.5gを含む)を30.0mL/分で20.0mLずつ同時混合添加した。1分間攪拌した後、KBr液(100mL中にKBr10gを含む)を22mL添加後、トリメリット化ゼラチン溶液(250mL中にトリメリット化ゼラチン35gを含む)を添加し、すぐさまHNO3でpHを5.8に合わせ温度を75℃に昇温した。昇温後10分おきに随時乳剤をサンプリングした。
【0104】
該粒子のレプリカのTEM像を観察し、熟成時間と平板状粒子の円換算直径の変動係数の関係を調べた結果を以下に示す。なお、昇温後〜10分までは、レギュラー及び一重双晶粒子の混入が確認されたため、核形成−熟成、及び核形成−熟成−過熟成工程を経た核部の円換算直径の変動係数(COVc)は、10分以降から測定した。
【0105】
昇温後 円換算直径の変動係数(COVc)
10分 23 %
20分 25 %
30分 32 %
40分 40 %
50分 44 %
以上の結果から、熟成工程の終了は、昇温後10分で、以降は、過熟成工程の段階である。
【0106】
乳剤1a)比較例
実施例1において、熟成工程終了後(昇温後10分)、すぐさまAg−2液(100mL中にAgNO320.4gを含む)とX−2液(100mL中にKBr16.7gを含む)をC.D.J.(controlled double jet)で−20mVに保ったまま、初期流速4.4mL/分から0.6mL/分添加速度を一定の割合で増加させ添加し、同時にAgI微粒子を用い、成長時の沃化銀組成(成長工程終了後の粒子中の全銀量に対する沃化銀含有量)が2.0mol%になるよう乳剤添加を行い、球相当径が0.71μmとなるまで成長を継続した(銀量比70%)。
【0107】
次に、引き続きAg−3液(100mL中にAgNO314.2gを含む)とX−3液(100mL中にKI31.2gを含む)をダブルジェット法で4分間にわたって添加した(銀量比4.10%)。
最後に、再びAg−2液とX−2液をダブルジェット法によりpAgを9.7に保ち10分間にわたって添加した(銀量比25.9%)。
上記乳剤を35℃にて公知のフロキュレーション法により水洗し、ゼラチンを加え40℃とした。
【0108】
該粒子のレプリカのTEM像を観察した。得られた乳剤は、粒子内の全銀量を基準としてAgIを5.5モル%含んだ、球相当径0.8μm、厚み0.12μmの平板状粒子が得られた。また、該平板状粒子はアスペクト比8以上の平板状粒子の投影面積の和が全投影面積の97%を占めた。
【0109】
乳剤1b)本発明
乳剤1aに対し、過熟成工程後(昇温後20分)、すぐさま成長を開始した以外は、全て同様にして作成した。
【0110】
乳剤1c)本発明
乳剤1aに対し、過熟成工程後(昇温後30分)、すぐさま成長を開始した以外は、全て同様にして作成した。
【0111】
乳剤1d)本発明
乳剤1aに対し、過熟成工程後(昇温後40分)、すぐさま成長を開始した以外は、全て同様にして作成した。
【0112】
乳剤1e)本発明
乳剤1aに対し、過熟成工程後(昇温後50分)、すぐさま成長を開始した以外は、全て同様にして作成した。
【0113】
乳剤2a)比較例
乳剤1aに対し、C.D.J電位を−40mVに変更した以外は、全て同様にして作成した。
該粒子のレプリカのTEM像を観察した。得られた乳剤は、粒子内の全銀量を基準としてAgIを5.5モル%含んだ、球相当径0.8μm、厚み0.09μmの平板状粒子が得られた。また、該平板状粒子はアスペクト比10以上の平板状粒子の投影面積の和が全投影面積の97%を占めた。
【0114】
乳剤2b)本発明
乳剤2aに対し、過熟成工程後(昇温後20分)、すぐさま成長を開始した以外は、全て同様にして作成した。
【0115】
乳剤2c)本発明
乳剤2aに対し、過熟成工程後(昇温後30分)、すぐさま成長を開始した以外は、全て同様にして作成した。
【0116】
乳剤2d)本発明
乳剤2aに対し、過熟成工程後(昇温後40分)、すぐさま成長を開始した以外は、全て同様にして作成した。
【0117】
乳剤2e)本発明
乳剤2aに対し、過熟成工程後(昇温後50分)、すぐさま成長を開始した以外は、全て同様にして作成した。
【0118】
乳剤3a)比較例
乳剤1aに対し、Ag−2液とX−2液及びAgI微粒子を添加する変わりに、同銀量のAgBrI微粒子(沃化物含量2mol%)を成長時に添加する以外は、全て同様にして作成した。
【0119】
該粒子のレプリカのTEM像を観察した。得られた乳剤は、粒子内の全銀量を基準としてAgIを5.5モル%含んだ、球相当径0.8μm、厚み0.06μmの平板状粒子が得られた。また、該平板状粒子はアスペクト比20以上の平板状粒子の投影面積の和が全投影面積の97%を占めた。
【0120】
乳剤3b)本発明
乳剤3aに対し、過熟成工程後(昇温後20分)、すぐさま成長を開始した以外は、全て同様にして作成した。
【0121】
乳剤3c)本発明
乳剤2aに対し、過熟成工程後(昇温後30分)、すぐさま成長を開始した以外は、全て同様にして作成した。
【0122】
乳剤3d)本発明
乳剤2aに対し、過熟成工程後(昇温後40分)、すぐさま成長を開始した以外は、全て同様にして作成した。
【0123】
乳剤3e)本発明
乳剤2aに対し、過熟成工程後(昇温後50分)、すぐさま成長を開始した以外は、全て同様にして作成した。
【0124】
表1に、上記乳剤1a〜3eにおける成長後のハロゲン化銀平板状粒子における円換算直径の変動係数(COVf)、及びCOVf/COVcを示す。
【0125】
なお、該粒子を透過電子顕微鏡で観察したところ、乳剤1a〜3e全ての粒子において、粒子の中心から辺(外周)までの距離の長さを100%としたとき、中心からの距離が70%以上98%未満(すなわち、前述のxの値が70以上98未満)の領域に転位線が密に導入されていた。
【0126】
【表1】
Figure 0003779456
この結果から、COVf/COVcが1より大きい比較例は、粒子全体の変動係数(COVf)が30%以上となっていることが分かる。また該変動係数は、粒子厚みの減少と共に悪化することも分かる。
【0127】
一方、COVf/COVcが1以下の本発明は、何れも粒子全体の変動係数(COVf)が24%以下となっていることが分かる。また該変動係数は、粒子厚みが減少しても悪化しないことが分かる。
【0128】
また、この結果は同時に、核形成−熟成−成長工程に対し、核形成−熟成−過熟成−成長工程により得られた最終粒子のほうが単分散性に優れることを示している。
【0129】
実施例2
<分光増感および化学熟成>
乳剤1a〜3eをそれぞれ62℃に昇温し後掲の増感色素Exs−1を5.5×10-4モル/モルAg、ExS−2を1.6×10-5モル/モルAg、ExS−3を5.5×10-4モルAg添加し10分間おいた後、チオ硫酸ナトリウム2.6×10-5モル/モルAg、N,Nジメチルセレノウレア1.1×10-5モル/モルAg、チオシアン酸カリウム3.0×10-3モル/モルAg、塩化金酸8.6×10-6モル/モルAg添加し、1/100秒露光したときの感度が最も高くなるように熟成を行った。このようにして得られた乳剤を1−A〜3−Eとする。
【0130】
<塗布試料の作製及びその評価>
下塗り層を設けてある三酢酸セルロースフィルム支持体上に次の第A表に示すような塗布量で、各乳剤1−A〜3−E及び保護層を塗布し、塗布試料101ないし115を作成した。
【0131】
Figure 0003779456
【0132】
【化1】
Figure 0003779456
Figure 0003779456
これらの試料を40℃、相対湿度70%の条件下に14時間放置した後、連続ウエッジを通して1/100秒間露光し、次の第B表に示すカラー現像を行った。
【0133】
処理済の試料を緑色のフィルターで濃度測定した。
【0134】
Figure 0003779456
【0135】
次に、処理液の組成を記す。
【0136】
Figure 0003779456
【0137】
Figure 0003779456
【0138】
【化2】
Figure 0003779456
Figure 0003779456
【0139】
(水洗液)
水道水をH型強酸性カチオン交換樹脂(ロームアンドハース社製アンバーライトIR−120B)と、OH型アニオン交換樹脂(同アンバーライトIR−400)を充填した混床式カラムに通水してカルシウムおよびマグネシウムイオン濃度を3mg/L以下に処理し、続いて二塩化イソシアヌール酸ナトリウム20mg/Lと硫酸ナトリウム1.5g/Lを添加した。
【0140】
この液のpHは6.5〜7.5の範囲にある。
【0141】
Figure 0003779456
【0142】
【表2】
Figure 0003779456
表2において、試料101〜115の感度および階調は試料101の感度および階調を100としてそれぞれ相対値で表わした。
【0143】
比較試料101、106、111は、最終粒子厚みの減少とともに、若干の高感化がみられるが、同時に階調の軟調化が生じていることが分かる。
【0144】
一方、本発明試料102〜105、107〜110、112〜115は、比較試料に対し、最終粒子厚みの減少とともに高感化し、かつ階調が大きく硬調であることがわかる。
【0145】
該写真性能の向上は、COVf/COVcの減少により達成されており、本発明の効果が顕著であることが分かる。
【0146】
実施例3
1)支持体
本実施例で用いた支持体は、下記の方法により作成した。
【0147】
市販のポリエチレン−2,6−ナフタレートポリマー100重量部と紫外線吸収剤としてTinuvin P.326(ガイギー社製)を2重量部と常法により乾燥した後、300℃にて溶融後、T型ダイから押し出し140℃で3.0倍の縦延伸を行い、続いて130℃で3.0倍の横延伸を行い、さらに250℃で6秒間熱固定して厚み90μのPENフィルムを得た。
【0148】
さらに、その一部を直径20cmのステンレス巻き芯に巻付けて、110℃、48時間の熱履歴を与えた。
【0149】
2)下塗層の塗設
上記支持体は、その両面にコロナ放電処理、UV放電処理、さらにグロー放電処理、および火焔処理をした後、それぞれの面に下記組成の下塗液を塗布して下塗層を延伸時高温面側に設けた。コロナ放電処理はピラー社製ソリッドステートコロナ処理機6KVAモデルを用い、30cm幅支持体を20m/分で処理する。このとき、電流・電圧の読み取り値より被処理物は、0.375KV・A・分/m2の処理がなされた。処理時の放電周波数は、9.6KHz、電極と誘導体ロールのギャップクリアランスは、1.6mmであった。又UV放電処理は、75℃で加熱しながら放電処理した。さらにグロー放電処理は円柱電極で3000Wの30秒間照射した。
【0150】
ゼラチン 3g
蒸留水 25cc
ソジウムα−スルホジ−2−エチルヘキシルサクシネート 0.05g
ホルムアルデヒド 0.02g
サリチル酸 0.1g
ジアセチルセルロース 0.5g
P−クロロフェノール 0.5g
レゾルシン 0.5g
クレゾール 0.5g
(CH2 =CHSO2 CH2 CH2 NHCO)2 CH2 0.2g
トリメチロールプロパントリアジン 0.2g
トリメチロールプロパントリストルエンジイソシアネート 0.2g
メタノール 15cc
アセトン 85cc
ホルムアルデヒド 0.01g
酢酸 0.01g
濃塩酸 0.01g。
【0151】
3)バック層の塗設
下塗後の上記支持体の片方の面にバック層として下記組成の帯電防止層、磁気記録層さらに滑り層を付与した。
【0152】
3−1)帯電防止層の塗設
3−1−1)導電性微粒子分散液(酸化スズ−酸化アンチモン複合物分散液)の調製
塩化第二スズ水和物230重量部と三塩化アンチモン23重量部をエタノール3000重量部に溶解し均一溶液を得た。この溶液に1Nの水酸化ナトリウム水溶液を前記溶液のpHが3になるまで滴下し、コロイド状酸化第二スズと酸化アンチモンの共沈澱を得た。得られた共沈澱を50℃に24時間放置し、赤褐色のコロイド状沈澱を得た。
【0153】
赤褐色コロイド状沈澱を遠心分離により分離した。過剰なイオンを除くため沈澱に水を加え遠心分離によって水洗した。この操作を3回繰り返し過剰イオンを除去した。
【0154】
過剰イオンを除去したコロイド状沈澱200重量部を水1500重量部に再分散し、650℃に加熱した焼成炉に噴霧し、青味がかった平均粒径0.005μmの酸化スズ−酸化アンチモン複合物の微粒子粉末を得た。この微粒子粉末の比抵抗は5Ω・cmであった。
【0155】
上記微粒子粉末40重量部と水60重量部の混合液をpH7.0に調製し、攪拌機で粗分散の後、横型サンドミル(商品名ダイノミル;WILLYA.BACHOFENAG製)で滞留時間が30分になるまで分散して調製した。この時の二次凝集体の平均粒径は約0.04μmであった。
【0156】
3−1−2)導電性層の塗設
下記処方を乾燥膜厚が0.2μmになるように塗設し、115℃で60秒間乾燥した。
【0157】
3−1−1)で作製の導電性微粒子分散液 20重量部
ゼラチン 2重量部
水 27重量部
メタノール 60重量部
P−クロロフェノール 0.5重量部
レゾルシン 2重量部
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 0.01重量部。
【0158】
得られた導電性膜の抵抗は、108.0(100V)であり、優れた帯電防止性能を有するものであった。
【0159】
3−2)磁気記録層の塗設
磁性体Co−被着γ−Fe23(長軸0.14μm、単軸0.03μmの針状、比表面積41m2/g、飽和磁化89emu/g、表面は酸化アルミと酸化珪素でそれぞれFe23の2重量%で表面処理されている。保磁力930Oe、Fe+2/Fe+3比は6/94)1100gを水220g及びポリ(重合度16)オキシエチレンプロピル、トリメトキシシランのシランカップリング剤を150g添加して、オープンニーダー3時間良く混練した。この粗分散した粘性のある液を70℃で1昼夜乾燥し水を除去した後、110℃、1時間加熱して処理をし、表面処理をした磁気粒子を作製した。
【0160】
さらに以下の処方で、再びオープンニーダーにて混練した。
【0161】
上記表面処理済み磁気粒子 1000g
ジアセチルセルロース 17g
メチルエチルケトン 100g
シクロヘキサノン 100g
さらに、以下の処方でサンドミル(1/4G)で200rpm、4時間微細分散した。
【0162】
上記混練品 100g
ジアセチルセルロース 60g
メチルエチルケトン 300g
シクロヘキサノン 300g。
【0163】
さらにジアセチルセルロースと、硬化剤として C2H5C(CH2OCONH-C8H3(CH3)NCO)3をバインダーに対して20wt%添加した。得られた液の粘度は約80cPとなるように等量のメチルエチルケトンとシクロヘキサノンで希釈した。又、塗布は上記の導電性層の上にバーコーターで実施し、膜厚は1.2μであった。磁性体の量0.6g/m2となるように塗布した。またマット剤としてシリカ粒子(0.3μm)と研磨剤の酸化アルミ(0.5μm)をそれぞれ10mg/m2となるように添加した。乾燥は115℃、6分実施した(乾燥ゾーンのローラーや搬送装置はすべて115℃となっている)。
【0164】
X−ライトのステータスMでブルーフィルターを用いた時の、磁気記録層のD8 の色濃度の増加分は、約0.1であった。また、磁気記録層の飽和磁化モーメントは4.2emu/m2、保磁力923Oe、角形比は65%であった。
【0165】
3−3)滑り層の調製
下記処方液を化合物の固形分塗布量が下記のようになるように塗布し、110℃で5分乾燥させて滑り層を得た。
【0166】
ジアセチルセルロース 25mg/m2
C6H13CH(OH)C10H20COOC40H81 化合物a 6mg/m2
C50H101O(CH2CH2O)16H 化合物b 9mg/m2
【0167】
なお、化合物a/化合物b(6:9)は、キシレンとプロピレングリコールモノメチルエーテル(容量比1:1)を同量液中で105℃に加熱、溶解し、この液を10倍量のプロピレングリコールモノメチルエーテル(25℃)に注加して微細分散液とした。さらに5倍量のアセトン中で希釈し、高圧ホモジナオザー(200気圧)で再分散を実施し、分散物(平均粒径0.01μ)にしてから添加して用いた。
【0168】
得られた滑り層の性能は、動摩擦係数0.06(5mmφのステンレス硬球、荷重100g、スピード6cm/minute)、静摩擦係数0.07(クリップ法)であり優れた特性を有する。また後述する乳剤面との滑り特性も動摩擦係数0.12であった。
【0169】
4)感光材料層の塗設
次に、前記で得られたバック層の反対側に下記の組成の各層を重層塗布し、カラーネガ写真フィルムを作成した。
【0170】
第5層(高感度赤感乳剤層)に実施例2記載の乳剤1−A〜3−Eを含んでおり、各々試料201〜215とした。
【0171】
(感光層組成)
各層に使用する素材の主なものは下記のように分類されているが、各素材の用途はこれらの分類されるものに限られるものではない;
ExC:シアンカプラー UV :紫外線吸収剤
ExM:マゼンタカプラー HBS:高沸点有機溶剤
ExY:イエローカプラー H :ゼラチン硬化剤
ExS:増感色素
各成分に対応する数字は、g/m2単位で表した塗布量を示し、ハロゲン化銀については、銀換算の塗布量を示す。ただし増感色素については、同一層のハロゲン化銀1モルに対する塗布量をモル単位で示す。
【0172】
(試料201)
第1層(ハレーション防止層)
黒色コロイド銀 銀 0.09
ゼラチン 1.60
ExM−1 0.12
ExF−1 2.0×10-3
固体分散染料ExF−2 0.030
固体分散染料ExF−3 0.040
HBS−1 0.15
HBS−2 0.02。
【0173】
第2層(中間層)
沃臭化銀乳剤M 銀 0.065
ExC−2 0.04
ポリエチルアクリレートラテックス 0.20
ゼラチン 1.04。
【0174】
第3層(低感度赤感乳剤層)
沃臭化銀乳剤D 銀 0.50
ExC−1 0.17
ExC−3 0.030
ExC−4 0.10
ExC−5 0.020
ExC−6 0.010
Cpd−2 0.025
HBS−1 0.10
ゼラチン 0.87。
【0175】
第4層(中感度赤感乳剤層)
沃臭化銀乳剤C 銀 0.70
ExS−1 3.5×10-4
ExS−2 1.6×10-5
ExS−3 5.1×10-4
ExC−1 0.13
ExC−2 0.060
ExC−3 0.0070
ExC−4 0.090
ExC−5 0.015
ExC−6 0.0070
Cpd−2 0.023
HBS−1 0.10
ゼラチン 0.75。
【0176】
第5層(高感度赤感乳剤層)
実施例2に記載の乳剤 銀 1.40
ExS−1 2.4×10-4
ExS−2 1.0×10-4
ExS−3 3.4×10-4
ExC−1 0.10
ExC−3 0.045
ExC−6 0.020
ExC−7 0.010
Cpd−2 0.050
HBS−1 0.22
HBS−2 0.050
ゼラチン 1.10。
【0177】
第6層(中間層)
Cpd−1 0.090
固体分散染料ExF−4 0.030
HBS−1 0.050
ポリエチルアクリレートラテックス 0.15
ゼラチン 1.10。
【0178】
第7層(低感度緑感乳剤層)
沃臭化銀乳剤E 銀 0.15
沃臭化銀乳剤F 銀 0.10
沃臭化銀乳剤G 銀 0.10
ExS−4 3.0×10-5
ExS−5 2.1×10-4
ExS−6 8.0×10-4
ExM−2 0.33
ExM−3 0.086
ExY−1 0.015
HBS−1 0.30
HBS−3 0.010
ゼラチン 0.73。
【0179】
第8層(中感度緑感乳剤層)
沃臭化銀乳剤H 銀 0.80
ExS−4 3.2×10-5
ExS−5 2.2×10-4
ExS−6 8.4×10-4
ExC−8 0.010
ExM−2 0.10
ExM−3 0.025
ExY−1 0.018
ExY−4 0.010
ExY−5 0.040
HBS−1 0.13
HBS−3 4.0×10-3
ゼラチン 0.80。
【0180】
第9層(高感度緑感乳剤層)
沃臭化銀乳剤I 銀 1.25
ExS−4 3.7×10-5
ExS−5 8.1×10-5
ExS−6 3.2×10-4
ExC−1 0.010
ExM−1 0.020
ExM−4 0.025
ExM−5 0.040
Cpd−3 0.040
HBS−1 0.25
ポリエチルアクリレートラテックス 0.15
ゼラチン 1.33。
【0181】
第10層(イエローフィルター層)
黄色コロイド銀 銀 0.015
Cpd−1 0.16
固体分散染料ExF−5 0.060
固体分散染料ExF−6 0.060
油溶性染料ExF−7 0.010
HBS−1 0.60
ゼラチン 0.60。
【0182】
第11層(低感度青感乳剤層)
沃臭化銀乳剤J 銀 0.09
沃臭化銀乳剤K 銀 0.09
ExS−7 8.6×10-4
ExC−8 7.0×10-3
ExY−1 0.050
ExY−2 0.22
ExY−3 0.50
ExY−4 0.020
Cpd−2 0.10
Cpd−3 4.0×10-3
HBS−1 0.28
ゼラチン 1.20。
【0183】
第12層(高感度青感乳剤層)
沃臭化銀乳剤L 銀 1.00
ExS−7 4.0×10-4
ExY−2 0.10
ExY−3 0.10
ExY−4 0.010
Cpd−2 0.10
Cpd−3 1.0×10-3
HBS−1 0.070
ゼラチン 0.70。
【0184】
第13層(第1保護層)
UV−1 0.19
UV−2 0.075
UV−3 0.065
HBS−1 5.0×10-2
HBS−4 5.0×10-2
ゼラチン 1.8 。
【0185】
第14層(第2保護層)
沃臭化銀乳剤M 銀 0.10
H−1 0.40
B−1(直径 1.7 μm) 5.0×10-2
B−2(直径 1.7 μm) 0.15
B−3 0.05
S−1 0.20
ゼラチン 0.70。
【0186】
更に、各層に適宜、保存性、処理性、圧力耐性、防黴・防菌性、帯電防止性及び塗布性をよくするために W−1ないしW−3、B−4ないしB−6、F−1ないしF−17及び、鉄塩、鉛塩、金塩、白金塩、パラジウム塩、イリジウム塩、ロジウム塩が含有されている。
【0187】
【表3】
Figure 0003779456
表3において、
(1)乳剤J〜Lは特開平2-191938号の実施例に従い、二酸化チオ尿素とチオスルフォン酸を用いて粒子調製時に還元増感されている。
(2)乳剤C〜Iは特開平3-237450号の実施例に従い、各感光層に記載の分光増感色素とチオシアン酸ナトリウムの存在下に金増感、硫黄増感とセレン増感が施されている。
(3)平板状粒子の調製には特開平1-158426号の実施例に従い、低分子量ゼラチンを使用している。
(4)平板状粒子には特開平3-237450号に記載されているような転位線が高圧電子顕微鏡を用いて観察されている。
(5)乳剤Lは特開昭60-143331号に記載されている内部高ヨードコアーを含有する二重構造粒子である。
【0188】
有機固体分散染料の分散物の調製
下記、ExF−2を次の方法で分散した。即ち、水21.7mL及び5%水溶液のp−オクチルフェノキシエトキシエトキシエタンスルホン酸ソーダ3mL並びに5%水溶液のp−オクチルフェノキシポリオキシエチレンエ−テル(重合度10)0.5gとを700mLのポットミルに入れ、染料ExF−2を5.0gと酸化ジルコニウムビ−ズ(直径1mm)500mLを添加して内容物を2時間分散した。この分散には中央工機製のBO型振動ボールミルを用いた。分散後、内容物を取り出し、12.5%ゼラチン水溶液8gに添加し、ビーズを濾過して除き、染料のゼラチン分散物を得た。染料微粒子の平均粒径は0.44μmであった。
【0189】
同様にして、ExF−3、ExF−4及びExF−6の固体分散物を得た。染料微粒子の平均粒径はそれぞれ、0.24μm、0.45μm、0.52μmであった。ExF−5は欧州特許出願公開(EP)第549,489A号明細書の実施例1に記載の微小析出(Microprecipitation)分散方法により分散した。平均粒径は0.06μmであった。
【0190】
【化3】
Figure 0003779456
【0191】
【化4】
Figure 0003779456
【0192】
【化5】
Figure 0003779456
【0193】
【化6】
Figure 0003779456
【0194】
【化7】
Figure 0003779456
【0195】
【化8】
Figure 0003779456
【0196】
【化9】
Figure 0003779456
【0197】
【化10】
Figure 0003779456
【0198】
【化11】
Figure 0003779456
【0199】
【化12】
Figure 0003779456
【0200】
【化13】
Figure 0003779456
【0201】
【化14】
Figure 0003779456
【0202】
【化15】
Figure 0003779456
【0203】
【化16】
Figure 0003779456
【0204】
【化17】
Figure 0003779456
【0205】
【化18】
Figure 0003779456
これらの試料を40℃、相対湿度70%の条件に14時間放置した後、白色光により1/100秒間の露光を与え、実施例2と同様のカラー現像処理を行った。ただし、発色現像時間を3分15秒で行った。
【0206】
赤色フィルターを通して濃度測定を行い、濃度1.8および2.5を与える露光量の逆数により相対感度を求めた。また、濃度1.8を与える一様な露光を行い、粒状度の測定も行った。
【0207】
粒状度は、前述の現像処理を行なった後、マクミラン社刊、“ザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス”619ページに記述される方法で測定した。
【0208】
結果を表4に示す。ただし試料201の感度、粒状度を100とし、それぞれ相対値で表した。
【0209】
【表4】
Figure 0003779456
表4より、本発明の乳剤を用いた試料は比較試料に対して、粒状度を改良しつつ、高感度を達成しており、本発明の効果が顕著である。
【0210】
【発明の効果】
ハロゲン化銀粒子における投影面の円換算直径の変動係数/核部の円換算直径の変動係数<1である新規な単分散平板状沃臭化銀乳剤は、粒子の単分散性の向上は基より、粒状度を改良しつつ高感化、硬調化を達成する。

Claims (5)

  1. 全粒子の投影面積の97%以上がアスペクト比5以上の平板状粒子により占められており、且つ平板状粒子全体の投影面積の円換算直径の変動係数をCOVf、平板状粒子核部の円換算直径の変動係数をCOVcとしたとき、COVf/COVcが1以下であるハロゲン化銀写真乳剤であって、ゼラチン中のアミノ基(−NH 2 基)を化学修飾した際に、化学修飾されたアミノ基1個当たり少なくとも2個のカルボキシル基(−COOH基)が導入されたゼラチンを含む分散媒溶液を用いて製造されたハロゲン化銀写真乳剤。
  2. 前記COVfが30%未満であることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  3. 前記アスペクト比5以上の平板状粒子の厚みが0.15μm未満であることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  4. ハロゲン化銀写真乳剤の製造方法であって、全粒子の投影面積の97%以上がアスペクト比5以上の平板状粒子により占められており、且つ平板状粒子全体の投影面積の円換算直径の変動係数を COVf 、平板状粒子核部の円換算直径の変動係数を COVc としたとき、 COVf COVc が1以下であるハロゲン化銀写真乳剤を、ゼラチン中のアミノ基(−NH2基)を化学修飾した際に、化学修飾されたアミノ基1個当たり少なくとも2個のカルボキシル基(−COOH基)が導入されたゼラチンを含む分散媒溶液中で製造することを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤の製造方法。
  5. 支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該乳剤層の少なくとも1層に請求項1ないし3のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真乳剤を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
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