JP3779397B2 - 複合型ポーラスブロックの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複合型ポーラスブロックの製造方法に関する。複合型ポーラスブロックとは、法面に擁壁を形成する擁壁コンクリートブロック、河川の護床、根固めブロックのような護岸、水辺保護用コンクリートブロックなどの土木工事用コンクリートブロックであって、ポーラスコンクリートと組み合わせたものを言う。
【0002】
【従来の技術】
ポーラスコンクリートは、連続空隙を有する多孔質のコンクリートで、水や空気を自由に通過させ、生物環境を早期に創造するとともに、多孔質内部及び外部表面に付着・棲息するバクテリアなどの微生物によって、水質を自然浄化する機能を有しており、多自然型の河川構造物や擁壁などを造る上で好適な材料と言われている。上記のような特性を十分に得るためにはポーラスコンクリートの空隙率をできるだけ大きくすることが好ましいが、一方、ポーラスコンクリートは空隙率を大きくした場合には強度が低下するという性質がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのようなポーラスコンクリートの利点を生かすと共に、土木構造用コンクリートブロックとして強度その他の性能を有する複合型ポーラスブロックの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0004】
ポーラスコンクリートと普通コンクリートとを複合するために、単にポーラスコンクリート上に、普通コンクリートを打設する方法では、普通コンクリート中のモルタル分やペーストがポーラスコンクリートの空隙中に多量に侵入し、ポーラスコンクリートの空隙がモルタルで充填され、普通コンクリートと大差のない空隙状態になるため、所望の空隙率で所望の厚さを有するポーラスコンクリート部が得られない。
【0005】
また、普通コンクリートを打設した後、その上にポーラスコンクリートを打設する方法ではポーラスコンクリートが普通コンクリートの中に侵入し沈み込んでしまい、その結果、所望の空隙率で所望の厚さを有するポーラスコンクリート部が得られない。そこで、普通コンクリートがある程度硬化し、流動性がなくなってから、ポーラスコンクリートを打設することも考えられるが、その場合、次の(a)〜(c)の問題がある。
【0006】
(a)普通コンクリートの硬化が進んでからポーラスコンクリートを打設すると、ポーラスコンクリートと普通コンクリートとの付着力が低く、両者の一体性がなくなり、剥離してしまう。
【0007】
(b)ポーラスコンクリートの打設の際に、振動あるいは転圧などによりポーラスコンクリートを締め固める必要があるが、そのことによって、硬化中の普通コンクリートに振動を与えてしまい、ひび割れ発生などの悪影響がある。
【0008】
(c)ポーラスコンクリートを打設した後、時間をおいて普通コンクリートを打設しなければならないため、製造作業を連続的に行うことができず、製造工場の製造作業工程に支障を来し、製造能率が低下する。
【0009】
本発明は以上の実情に鑑み開発されたもので、ポーラスコンクリートの特性とコンクリートブロックの特性を合わせ持つ、法面、護岸又は水辺保護用の土木用コンクリートブロックを製造する方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明が、対象とする複合型ポーラスブロックは、密実コンクリートからなる基体の表層部にポーラスコンクリート部を備え、該ポーラスコンクリートと前記密実コンクリートとを一体結合したブロックである。このブロックは、基体が密実コンクリートブロックとしての形状、強度、機能を備え、その表層側がポーラスコンクリートで、水や空気が流通し、微生物による自然浄化機能などの好適な特性を有し、かつポーラスコンクリートと密実コンクリートとが強固に一体化しているブロックである。
【0011】
本発明は、ポーラスコンクリートを型枠底板上に打設し、このポーラスコンクリートの上に、ペーストの浸透を防止する硬さと厚さを有するノースランプのモルタルを層状に敷き均し、このモルタル上に普通コンクリートを打設した後、養生を行うことを特徴とする複合型ポーラスブロックの製造方法である。ここで、ペーストの浸透を防止する硬さと厚さを有するノースランプのモルタルとは、細骨材とセメントに最小限の水を加えて硬練りし、可塑性を付与したモルタルであって、流動性を全く有しないものを、厚さ数mm以上となるように鏝または平面バイブレータなどで層状に均一に転圧したもので、この層を貫通してセメントペーストが浸透するのを許容しないものである。このようなノースランプのモルタルは、細骨材の種類、形状、粒度分布、セメント量等によって水分量が変動するが、試し練り等によって適切な特性のモルタルを得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1〜4に、本発明の対象とする複合型ポーラスブロックの例を示した。図1は表層側に凸部を有するポーラスコンクリート2を備え、基体3が密実コンクリートで、これらが一体化した複合型ブロック1である。図2、図3は、表層側に平坦なポーラスコンクリート2の層を形成し、密実コンクリートの基体3と一体化した複合ブロック1である。このようなブロックのポーラスコンクリート2と基体3との結合部付近の部分断面図を図4に示した。ポーラスコンクリート2は、粗骨材とセメントとからなり、連続した空隙を有する「おこし」状の構造を有する。一方、基体3は密実なコンクリートからなり、ポーラスコンクリート2との境界は緊密に接合されている。そして、ポーラスコンクリート2には、基体3側からペースト等の浸入がない。
【0013】
このような複合型ブロック1は、例えば、河川の護床、根固めブロック、擁壁用ブロックとして好適である。
【0014】
河川の護床・根固めブロックとしては、ブロックの基体を普通コンクリート、表層部をポーラスコンクリートとし、基体の普通コンクリートの機能としては護床・根固めブロックとして必要な強度を確保する。ポーラスコンクリートの機能は、水生植物などの根が空隙部に活着・侵入しやすいため、ブロック表面が水生植物の生育に適した環境になり、水生植物で緑化される。従って、周囲の環境と調和した護床工・根固め工を提供することができる。また、ポーラスコンクリートの空隙部にバクテリアなどの微生物が付着・棲息することにより、これらの微生物が水中の有機物などの有害物質を分解するため、水質が浄化されるという特徴がある。
【0015】
法面の擁壁用ブロックとしては、基体がブロック面板と控から構成され、面板の表層部をポーラスコンクリートとする。基体の普通コンクリート部の機能としては擁壁用ブロックとして必要な強度を確保し、法面の安定に寄与する。ポーラスコンクリートは、雑草やツタなどの植物の根がブロック表面の空隙部に活着・侵入できるため、これらの植物によって擁壁の表面全体を覆うことができる。また水辺では藻が付着・成長するので、擁壁面の全体の緑化が可能となる。ポーラスコンクリートの表面には、玉石等の擬石模様の凹凸を付すと一層自然環境にマッチしたものとなる。
【0016】
以上のような複合型ポーラスブロックの製造方法は、ポーラスコンクリートを型枠内に打設し、その上に、コンクリートからのペーストがポーラスコンクリート中に浸入するのを防止すると共に両者を接合させるために、ノースランプのモルタルを層状に敷き均し、その上に普通コンクリートを打設する。図4の接合部4はこのモルタルの硬化した層である。
【0017】
基体の普通コンクリートは、土木用ブロックの場合、空隙をほとんど含まず、まだ固まらないフレッシュ時の状態においては通常5〜10cmのスランプの流動性を有する。このようなコンクリートをポーラスコンクリートの特性を害することなくポーラスコンクリートと一体に複合させるには、上記特性のモルタルの使用により達成することができた。
【0018】
【実施例】
次の工程により複合型ポーラスブロックとして図3に例示した法面保護用擁壁ブロックを製造した。
【0019】
(1)図5に模式的に示すように、テーブルバイブレータ10を備えた定盤11の上に型枠12を載せ、ミキサで練り混ぜたポーラスコンクリート21を型枠12内に打設した。表面を平らに均した後、振動を与えて締め固めた。
【0020】
ポーラスコンクリート21を打設した部分は、ブロックの表面から8cm(締固め後において)の厚さの部分とした。
【0021】
ポーラスコンクリートの配合は、次の通りとした。
【0022】
水セメント比 27%
単位セメント量 300kg/m3
単位水量 81kg/m3
単位粗骨材量 1521kg/m3
(2)水セメント比23%、セメント:細骨材=1:2の配合でノースランプの硬練りのモルタル22を練り混ぜ、型枠12内に先に打設したポーラスコンクリート21の表面に厚さ2cm敷き均し、モルタル上面をコテでタンピングし、転圧した。
【0023】
(3)ミキサで普通コンクリート23を練り混ぜ、図6に示すように、モルタル22の層の上に、普通コンクリート23を型枠13の上端まで流し込み、法面ブロックの控部コンクリート24を形成し、テーブルバイブレータ10により振動を与えて締め固めた後、打込み面をコテで仕上げた。
【0024】
普通コンクリート23の配合は次の通りとした。
【0025】
水セメント比 50%
細骨材率 42%
スランプ 10cm
空気量 4.0%
単位セメント量 320kg/m3
単位水量 160kg/m3
単位細骨材量 763kg/m3
単位粗骨材量 1091kg/m3
AE減水剤 0.80kg/m3
(4)蒸気養生を行った後、翌日脱型した。
【0026】
実施例ではポーラスコンクリート中にモルタル又はペーストの侵入は全く認められず、所定の空隙率で所定の厚さのバラツキのないポーラスコンクリートを得ることができた。
【0027】
普通コンクリートとポーラスコンクリートとの結合の一体性について建研式付着試験器により普通コンクリートとポーラスコンクリートとの付着強度試験を行った。試験の結果、付着強度は2.3N/mm2と十分に大きな値であり、また付着破壊状態はポーラスコンクリートと普通コンクリートとの接合部4の破断ではなく、ポーラスコンクリートの部分で破断していた。従って、ポーラスコンクリートと普通コンクリートは完全に一体化しており、十分な付着強度が得られることが確認された。
【0028】
次に比較例として上記実施例のうち第2工程を省略した工程でその他の条件を同一にして実施例と同じ法面保護ブロックを製造した。製品断面を観察したところ、ポーラスコンクリート中へモルタルが侵入し、空隙がほとんどないコンクリートになってしまい、良好な製品を得ることができなかった。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、ポーラスコンクリート部へのモルタルやセメントペースト分の侵入のない、所望の空隙率と所望の厚さを有する、自然環境に適した優れた複合型ポーラスブロックを容易に製造することができるようになった。この方法では、コンクリート打設、モルタル敷均し及び普通コンクリート打設と言う一連の製造工程を連続的に行うことができ、ポーラスコンクリートおよび普通コンクリートが硬化を始める前に、すべての作業を終えることができるので、両者が完全に一体化する。また、製造工程を連続的に行うことができるので、製造能率が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 複合型ポーラスブロックの斜視図である。
【図2】 複合型ポーラスブロックの斜視図である。
【図3】 複合型ポーラスブロックの斜視図である。
【図4】 複合型ポーラスブロックの部分断面図である。
【図5】 実施例の製造工程の説明図である。
【図6】 実施例の製造工程の説明図である。
【符号の説明】
1 複合型ポーラスブロック
2 ポーラスコンクリート
3 基体
4 接合部
10 テーブルバイブレータ
11 定盤
12 型枠
13 底板
21 ポーラスコンクリート
22 モルタル
23 普通コンクリート
24 控え部コンクリート
Claims (1)
- ポーラスコンクリートを型枠底板上に打設し、該ポーラスコンクリートの上に、ペーストの浸透を防止する硬さと厚さを有するノースランプのモルタルを層状に敷き均し、該モルタル上に普通コンクリートを打設した後、養生を行うことを特徴とする複合型ポーラスブロックの製造方法。
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