JP3778602B2 - ダイヤフラムバルブ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なダイヤフラムバルブに関する。詳しくは、水を含む塩素ガス等のハロゲンガス、あるいは同ガスが溶存する液体に対して、極めて高い耐性を有するダイヤフラムバルブである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ダイヤフラムバルブは、図2に示すように、流路6の開口7が設けられたフランジ部5を両端に有し、中央に弁座11を有し、該弁座11を介して上記流路6の開口8が設けられた本体と、カバー12とその外部に取り付けられたハンドル10、及び該ハンドルに連結され、該ハンドル操作によって上記カバーの内部で上下する様に構成されたコンプレッサー9よりなるバルブボンネット2と、該コンプレッサー9の先端に取り付けられたダイヤフラム部3とよりなっている。
【0003】
そして、バルブが開の状態からハンドル10を操作することにより、コンプレッサー9が降下し、これによりダイヤフラム3が変形して、弁座11に押し付けられ、流路6が閉鎖される。また、ハンドルを上記と逆に操作すると、コンプレッサーが上昇し、これによりダイヤフラムが変形が解除されて元の状態となり、流路が解放される。
【0004】
上記ダイヤフラムバルブにおいて、ダイヤフラム部は、接触する液に対して耐性を持たせるため、弁座に接するダイヤフラムがポリテトラフルオロエチレンとし、また、該ダイヤフラム部のシール性を確保するため、上記ポリテトラフルオロエチレンよりなるダイヤフラムに、更にゴムよりなるダイヤフラムを積層した多層構造が採用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構造のダイヤフラム部を有するダイヤフラムバルブを水を含む塩素ガス等のハロゲンガス、あるいは同ガスを含有する液と接触する環境で使用した場合、ゴムよりなるダイヤフラムが湿潤したハロゲンガスにより膨潤し、その結果、コンプレッサーの動作をポリテトラフルオロエチレンよりなるダイヤフラムに十分伝達することができなくなり、バルブの機能に支障を来すという問題が生じる。そのため、上記ダイヤフラムバルブは、極めて短期間で取り替えを必要とするばかりでなく、バルブの誤作動による種々の事故を誘発する虞があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ゴムよりなるダイヤフラムの膨潤が、ポリテトラフルオロエチレンよりなるダイヤフラムを透過するハロゲンガスが同時に透過する水と共に除々蓄積することによるものであるという知見を得た。
【0007】
そして、更に検討を重ねた結果、該ゴムよりなるダイヤフラムの面に該ガスが通過可能な孔を設けることにより、ポリテトラフルオロエチレンよりなるダイヤフラムとゴムよりなるダイヤフラムとの間へのハロゲンガスの蓄積が防止され、上記ゴムよりなるダイヤフラムの膨潤を長期間にわたって防止し得ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に従って更に詳細に説明するが、本発明はこれらの図面に限定されるものではない。
【0009】
図1は、本発明のダイヤフラムバルブの代表的な態様を示す部分断面図を示すものである。また、図3は図1に使用するダイヤフラム部の代表的な態様を示す分解図である。
【0010】
即ち、本発明のダイヤフラムバルブは、ダイヤフラム部が少なくとも二層のダイヤフラム3a、3bで構成されたダイヤフラムバルブであって、弁座に接するダイヤフラム3aがパーフルオロカーボン系樹脂よりなり、他層を構成するダイヤフラムの少なくとも一層3bがゴムよりなり、該ゴムよりなるダイヤフラム面において、弁座に接するダイヤフラムの取付具を挿入可能な貫通孔とは別の位置であるダイヤフラム面の外周部付近にガスが通過可能な孔4を設けたことを特徴とする。
【0011】
本発明において、弁座に接するダイヤフラム3aの材質は、パーフルオロカーボン系樹脂よりなるものであれば、特に制限されないが、ポリテトラフルオロエチレンが最も好適に使用される。
【0012】
また、上記のダイヤフラム3aの構造は、公知の構造が特に制限なく採用される。一般には、図3に示すように、周囲にシール面13を有し、該シール面で囲まれた内側に、これと一体化されたダイヤフラム面を有し、更に、該ダイヤフラム面の中心部にコンプレッサーへの取付具14を一体化して設けた構造が採用される。かかる構造とすることにより、ダイヤフラム全面での液密性を十分に確保することができる。上記取付具14のコンプレッサーへの取り付け態様は特に制限されないが、一般には、ネジ等で固定する方法が採用される。
【0013】
上記パーフルオロカーボン系樹脂よりなるダイヤフラム3aの厚みは、公知の範囲が特に制限なく採用される。上記厚みは、ダイヤフラムの大きさによって多少異なるが、一般に、0.5〜2mm程度が好適である。
【0014】
本発明において、ダイヤフラムバルブないに接する液に対して耐性を持たせる目的で、弁座に接するダイヤフラム3aはパーフルオロカーボン系樹脂よりなる。上記パーフルオロカーボン系樹脂はゴム弾性を持たない。
【0015】
従って、本発明においては、本体1とバルブボンネット2とのシール性及び該ダイヤフラム3aと弁座11とのシール性を確保するため、図3に詳細に示すように、ゴムよりなるダイヤフラム3bを積層して設けられる。
【0016】
かかるゴムよりなるダイヤフラム3bの材質は、特に制限されず、公知のゴム弾性を有する材質が特に制限なく使用される。例えば、EPDM等のエチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム等が挙げられる。なかでも、耐塩素性の点から、エチレンプロピレンゴム、特にEPDMが好適に使用される。
【0017】
また、ゴムよりなるダイヤフラム3bの構造は、図3に示すように、周囲にシール面13を有し、該シール面で囲まれた内側に、これと一体化されたダイヤフラム面を有し、更に、該ダイヤフラム面の中心部に、ダイヤフラム3aの取付具14を挿入可能な貫通穴15を有する。
【0018】
本発明の最大の特徴は、上記ダイヤフラムバルブフラム3bのダイヤフラム面にガスが通過可能な孔4を設けたことにある。かかる孔4を設けることにより、ダイヤフラムバルブの流路6に存在するガスまたは液に含有される塩素等のハロゲンガスが、ポリテトラフルオロエチレンよりなるダイヤフラム3aを透過した場合、該孔よりゴムよりなるダイヤフラム3bのダイヤフラム面の背面に存在する空間部に排除され、その結果、ダイヤフラム間に高濃度のハロゲンガスが蓄積することなく、該ダイヤフラム3bの材質であるゴムの劣化、膨潤を効果的に防止することができる。
【0019】
ゴムよりなるダイヤフラム3bに設ける孔4の大きさは、ガスが通過可能であれば特に制限されない。一般には、直径が0.1〜5mm、好ましくは、0.5〜3mmの大きさが適当である。また、該孔の数は、ダイヤフラム面の強度を著しく低下させない程度であればよい。例えば、ダイヤフラム面の100cm2あたり5〜10個程度が適当である。更に、孔を設ける位置も特に制限されないが、塩素ガス等のハロゲンガスが滞留し易く、しかもゴムの劣化による影響が大きい、ダイヤフラム面の外周部付近に設けることが推奨される。
【0020】
また、ゴムよりなるダイヤフラム3bの厚みは、公知の範囲が特に制限なく採用される。一般に、上記厚みは、2〜5mm程度が好適である。
【0021】
更に、ゴムよりなるダイヤフラム3bは、その寸法安定性を向上させるため、内層に布等の補強層を内在させることが一般的である。
【0022】
上記図3において、各ダイヤフラムには、取り付け用のボルト穴17が設けられ、図1に示すように、バルブボンネット2、ダイヤフラム3a、3b及び本体を貫通してボルト(図示せず)によって締め付けられる。
【0023】
本発明のダイヤフラムバルブのその他の構造、材質は公知の構造、材質が特に制限なく採用される。例えば、バルブボンネット、本体の材質は、塩化ビニル等の樹脂で構成するのが一般的である。また、ダイヤフラムのコンプレッサ9への取付部分14の金具は、耐食性の高い材質、例えば、ハステロイ、チタン−パラジウム合金等で、また、コンプレッサ9の材質は、耐食性を考慮してポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂を使用することが、本発明において好ましい。
【0024】
また、本発明において、ダイヤフラム3は、前記ポリテトラフルオロエチレンよりなるダイヤフラム3aとゴムよりなるダイヤフラム3bより基本的になるものであればよいが、ダイヤフラム3aの信頼性を確保するため、ダイヤフラム3aとダイヤフラム3bとの間にフッ素系の樹脂よりなり、ダイヤフラム3bの孔14を設けない以外は同一の構造を有するダイヤフラムを介在させることが好ましい。この場合、該ダイヤフラムの厚みは、0.1〜0.5mm程度が適当である。
【0025】
図4は、本発明のダイヤフラムバルブの他の態様を示す部分断面図である。即ち、図4に示す構造は、バルブボンネットの側面にガス抜き孔16を設けた態様を示す。かかるガス抜き孔を設けることにより、ゴムよりなるダイヤフラム3bの孔4よりその背面の空間に排除されたハロゲンガスが該孔より揮散し、該空間に蓄積するのを防止でき、本発明の効果を更に向上させることができる。
【0026】
上記ガス抜き孔孔16の大きさは、特に制限されないが、一般に、直径1〜10mm、好ましくは、2〜5mmが好適である。また、該貫通孔は、バルブボンネットの対向する面に設けることが前記空間のガスを効率よく置換できるため好ましい。
【0027】
【発明の効果】
以上の説明より理解されるように、本発明のダイヤフラムバルブは、水を含有する塩素ガス等のハロゲンガス、あるいは同ガスを含有する、硫酸水溶液、食塩水溶液等の液に接触する環境で使用した場合でも、該ハロゲンガスによりバルブの機能に支障を来すという問題を効果的に防止することができる。そのため、本発明のダイヤフラムバルブは、取替周期を著しく延長することが可能であり、また、バルブの誤作動による種々の事故を長期間にわたって防止することが可能である。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を更に具体的に説明するため実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0029】
実施例1
図1に示す構造のダイヤフラムバルブを構成した。ダイヤフラム3aとして、ダイヤフラム面の直径60mm、厚み1mmのポリテトラフルオロエチレン製のものを使用した。また、ダイヤフラム3bとして、ダイヤフラム面の直径60mm、厚み4mmであり、EPDMよりなるのものを使用した。また、該ダイヤフラム3bには、図3にも示すように、ダイヤフラム面の周辺付近に、直径1mmの孔4を等間隔で4個設けた。
【0030】
上記ダイヤフラムバルブを配管に接続し、バルブを開にした状態で、80℃の飽和の水蒸気を含む塩素ガスを1ヶ月間流した。
【0031】
その後、ゴムよりなるダイヤフラム3bのゴム中の塩素濃度を測定した結果、10ppmであり、ゴムは全く劣化していなかった。
【0032】
実施例2
実施例1で使用したダイヤフラムバルブのバルブボンネットの側壁に、図4に示すように、対向させて直径5mmのガス抜き孔16を形成した以外は、同様にして試験行った。
【0033】
その後、ゴムよりなるダイヤフラム3bのゴム中の塩素濃度を測定した結果、5ppmであり、ゴムは全く劣化していなかった。
【0034】
比較例
実施例1において、ゴムよりなるダイヤフラム3bに孔4を設けなかった以外は、全て同様にして試験を行った。
【0035】
その後、ゴムよりなるダイヤフラム3bのゴム中の塩素濃度を測定した結果、1000ppmであり、ゴムの劣化が始まっていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のダイヤフラムバルブの代表的な態様を示す部分断面図
【図2】 従来のダイヤフラムバルブを示す部分断面図
【図3】 本発明のダイヤフラム部の構造を示す分解図
【図4】 本発明のダイヤフラムバルブの代表的な態様を示す部分断面図
【符号の説明】
1 本体
2 バルブボンネット
3 ダイヤフラム
4 孔
5 フランジ
6 流路
7 開口
8 開口
9 コンプレッサ
10 ハンドル
11 弁座
12 カバー
13 シール面
14 取付具
15 貫通穴
16 ガス抜き孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なダイヤフラムバルブに関する。詳しくは、水を含む塩素ガス等のハロゲンガス、あるいは同ガスが溶存する液体に対して、極めて高い耐性を有するダイヤフラムバルブである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ダイヤフラムバルブは、図2に示すように、流路6の開口7が設けられたフランジ部5を両端に有し、中央に弁座11を有し、該弁座11を介して上記流路6の開口8が設けられた本体と、カバー12とその外部に取り付けられたハンドル10、及び該ハンドルに連結され、該ハンドル操作によって上記カバーの内部で上下する様に構成されたコンプレッサー9よりなるバルブボンネット2と、該コンプレッサー9の先端に取り付けられたダイヤフラム部3とよりなっている。
【0003】
そして、バルブが開の状態からハンドル10を操作することにより、コンプレッサー9が降下し、これによりダイヤフラム3が変形して、弁座11に押し付けられ、流路6が閉鎖される。また、ハンドルを上記と逆に操作すると、コンプレッサーが上昇し、これによりダイヤフラムが変形が解除されて元の状態となり、流路が解放される。
【0004】
上記ダイヤフラムバルブにおいて、ダイヤフラム部は、接触する液に対して耐性を持たせるため、弁座に接するダイヤフラムがポリテトラフルオロエチレンとし、また、該ダイヤフラム部のシール性を確保するため、上記ポリテトラフルオロエチレンよりなるダイヤフラムに、更にゴムよりなるダイヤフラムを積層した多層構造が採用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構造のダイヤフラム部を有するダイヤフラムバルブを水を含む塩素ガス等のハロゲンガス、あるいは同ガスを含有する液と接触する環境で使用した場合、ゴムよりなるダイヤフラムが湿潤したハロゲンガスにより膨潤し、その結果、コンプレッサーの動作をポリテトラフルオロエチレンよりなるダイヤフラムに十分伝達することができなくなり、バルブの機能に支障を来すという問題が生じる。そのため、上記ダイヤフラムバルブは、極めて短期間で取り替えを必要とするばかりでなく、バルブの誤作動による種々の事故を誘発する虞があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ゴムよりなるダイヤフラムの膨潤が、ポリテトラフルオロエチレンよりなるダイヤフラムを透過するハロゲンガスが同時に透過する水と共に除々蓄積することによるものであるという知見を得た。
【0007】
そして、更に検討を重ねた結果、該ゴムよりなるダイヤフラムの面に該ガスが通過可能な孔を設けることにより、ポリテトラフルオロエチレンよりなるダイヤフラムとゴムよりなるダイヤフラムとの間へのハロゲンガスの蓄積が防止され、上記ゴムよりなるダイヤフラムの膨潤を長期間にわたって防止し得ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に従って更に詳細に説明するが、本発明はこれらの図面に限定されるものではない。
【0009】
図1は、本発明のダイヤフラムバルブの代表的な態様を示す部分断面図を示すものである。また、図3は図1に使用するダイヤフラム部の代表的な態様を示す分解図である。
【0010】
即ち、本発明のダイヤフラムバルブは、ダイヤフラム部が少なくとも二層のダイヤフラム3a、3bで構成されたダイヤフラムバルブであって、弁座に接するダイヤフラム3aがパーフルオロカーボン系樹脂よりなり、他層を構成するダイヤフラムの少なくとも一層3bがゴムよりなり、該ゴムよりなるダイヤフラム面において、弁座に接するダイヤフラムの取付具を挿入可能な貫通孔とは別の位置であるダイヤフラム面の外周部付近にガスが通過可能な孔4を設けたことを特徴とする。
【0011】
本発明において、弁座に接するダイヤフラム3aの材質は、パーフルオロカーボン系樹脂よりなるものであれば、特に制限されないが、ポリテトラフルオロエチレンが最も好適に使用される。
【0012】
また、上記のダイヤフラム3aの構造は、公知の構造が特に制限なく採用される。一般には、図3に示すように、周囲にシール面13を有し、該シール面で囲まれた内側に、これと一体化されたダイヤフラム面を有し、更に、該ダイヤフラム面の中心部にコンプレッサーへの取付具14を一体化して設けた構造が採用される。かかる構造とすることにより、ダイヤフラム全面での液密性を十分に確保することができる。上記取付具14のコンプレッサーへの取り付け態様は特に制限されないが、一般には、ネジ等で固定する方法が採用される。
【0013】
上記パーフルオロカーボン系樹脂よりなるダイヤフラム3aの厚みは、公知の範囲が特に制限なく採用される。上記厚みは、ダイヤフラムの大きさによって多少異なるが、一般に、0.5〜2mm程度が好適である。
【0014】
本発明において、ダイヤフラムバルブないに接する液に対して耐性を持たせる目的で、弁座に接するダイヤフラム3aはパーフルオロカーボン系樹脂よりなる。上記パーフルオロカーボン系樹脂はゴム弾性を持たない。
【0015】
従って、本発明においては、本体1とバルブボンネット2とのシール性及び該ダイヤフラム3aと弁座11とのシール性を確保するため、図3に詳細に示すように、ゴムよりなるダイヤフラム3bを積層して設けられる。
【0016】
かかるゴムよりなるダイヤフラム3bの材質は、特に制限されず、公知のゴム弾性を有する材質が特に制限なく使用される。例えば、EPDM等のエチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム等が挙げられる。なかでも、耐塩素性の点から、エチレンプロピレンゴム、特にEPDMが好適に使用される。
【0017】
また、ゴムよりなるダイヤフラム3bの構造は、図3に示すように、周囲にシール面13を有し、該シール面で囲まれた内側に、これと一体化されたダイヤフラム面を有し、更に、該ダイヤフラム面の中心部に、ダイヤフラム3aの取付具14を挿入可能な貫通穴15を有する。
【0018】
本発明の最大の特徴は、上記ダイヤフラムバルブフラム3bのダイヤフラム面にガスが通過可能な孔4を設けたことにある。かかる孔4を設けることにより、ダイヤフラムバルブの流路6に存在するガスまたは液に含有される塩素等のハロゲンガスが、ポリテトラフルオロエチレンよりなるダイヤフラム3aを透過した場合、該孔よりゴムよりなるダイヤフラム3bのダイヤフラム面の背面に存在する空間部に排除され、その結果、ダイヤフラム間に高濃度のハロゲンガスが蓄積することなく、該ダイヤフラム3bの材質であるゴムの劣化、膨潤を効果的に防止することができる。
【0019】
ゴムよりなるダイヤフラム3bに設ける孔4の大きさは、ガスが通過可能であれば特に制限されない。一般には、直径が0.1〜5mm、好ましくは、0.5〜3mmの大きさが適当である。また、該孔の数は、ダイヤフラム面の強度を著しく低下させない程度であればよい。例えば、ダイヤフラム面の100cm2あたり5〜10個程度が適当である。更に、孔を設ける位置も特に制限されないが、塩素ガス等のハロゲンガスが滞留し易く、しかもゴムの劣化による影響が大きい、ダイヤフラム面の外周部付近に設けることが推奨される。
【0020】
また、ゴムよりなるダイヤフラム3bの厚みは、公知の範囲が特に制限なく採用される。一般に、上記厚みは、2〜5mm程度が好適である。
【0021】
更に、ゴムよりなるダイヤフラム3bは、その寸法安定性を向上させるため、内層に布等の補強層を内在させることが一般的である。
【0022】
上記図3において、各ダイヤフラムには、取り付け用のボルト穴17が設けられ、図1に示すように、バルブボンネット2、ダイヤフラム3a、3b及び本体を貫通してボルト(図示せず)によって締め付けられる。
【0023】
本発明のダイヤフラムバルブのその他の構造、材質は公知の構造、材質が特に制限なく採用される。例えば、バルブボンネット、本体の材質は、塩化ビニル等の樹脂で構成するのが一般的である。また、ダイヤフラムのコンプレッサ9への取付部分14の金具は、耐食性の高い材質、例えば、ハステロイ、チタン−パラジウム合金等で、また、コンプレッサ9の材質は、耐食性を考慮してポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂を使用することが、本発明において好ましい。
【0024】
また、本発明において、ダイヤフラム3は、前記ポリテトラフルオロエチレンよりなるダイヤフラム3aとゴムよりなるダイヤフラム3bより基本的になるものであればよいが、ダイヤフラム3aの信頼性を確保するため、ダイヤフラム3aとダイヤフラム3bとの間にフッ素系の樹脂よりなり、ダイヤフラム3bの孔14を設けない以外は同一の構造を有するダイヤフラムを介在させることが好ましい。この場合、該ダイヤフラムの厚みは、0.1〜0.5mm程度が適当である。
【0025】
図4は、本発明のダイヤフラムバルブの他の態様を示す部分断面図である。即ち、図4に示す構造は、バルブボンネットの側面にガス抜き孔16を設けた態様を示す。かかるガス抜き孔を設けることにより、ゴムよりなるダイヤフラム3bの孔4よりその背面の空間に排除されたハロゲンガスが該孔より揮散し、該空間に蓄積するのを防止でき、本発明の効果を更に向上させることができる。
【0026】
上記ガス抜き孔孔16の大きさは、特に制限されないが、一般に、直径1〜10mm、好ましくは、2〜5mmが好適である。また、該貫通孔は、バルブボンネットの対向する面に設けることが前記空間のガスを効率よく置換できるため好ましい。
【0027】
【発明の効果】
以上の説明より理解されるように、本発明のダイヤフラムバルブは、水を含有する塩素ガス等のハロゲンガス、あるいは同ガスを含有する、硫酸水溶液、食塩水溶液等の液に接触する環境で使用した場合でも、該ハロゲンガスによりバルブの機能に支障を来すという問題を効果的に防止することができる。そのため、本発明のダイヤフラムバルブは、取替周期を著しく延長することが可能であり、また、バルブの誤作動による種々の事故を長期間にわたって防止することが可能である。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を更に具体的に説明するため実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0029】
実施例1
図1に示す構造のダイヤフラムバルブを構成した。ダイヤフラム3aとして、ダイヤフラム面の直径60mm、厚み1mmのポリテトラフルオロエチレン製のものを使用した。また、ダイヤフラム3bとして、ダイヤフラム面の直径60mm、厚み4mmであり、EPDMよりなるのものを使用した。また、該ダイヤフラム3bには、図3にも示すように、ダイヤフラム面の周辺付近に、直径1mmの孔4を等間隔で4個設けた。
【0030】
上記ダイヤフラムバルブを配管に接続し、バルブを開にした状態で、80℃の飽和の水蒸気を含む塩素ガスを1ヶ月間流した。
【0031】
その後、ゴムよりなるダイヤフラム3bのゴム中の塩素濃度を測定した結果、10ppmであり、ゴムは全く劣化していなかった。
【0032】
実施例2
実施例1で使用したダイヤフラムバルブのバルブボンネットの側壁に、図4に示すように、対向させて直径5mmのガス抜き孔16を形成した以外は、同様にして試験行った。
【0033】
その後、ゴムよりなるダイヤフラム3bのゴム中の塩素濃度を測定した結果、5ppmであり、ゴムは全く劣化していなかった。
【0034】
比較例
実施例1において、ゴムよりなるダイヤフラム3bに孔4を設けなかった以外は、全て同様にして試験を行った。
【0035】
その後、ゴムよりなるダイヤフラム3bのゴム中の塩素濃度を測定した結果、1000ppmであり、ゴムの劣化が始まっていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のダイヤフラムバルブの代表的な態様を示す部分断面図
【図2】 従来のダイヤフラムバルブを示す部分断面図
【図3】 本発明のダイヤフラム部の構造を示す分解図
【図4】 本発明のダイヤフラムバルブの代表的な態様を示す部分断面図
【符号の説明】
1 本体
2 バルブボンネット
3 ダイヤフラム
4 孔
5 フランジ
6 流路
7 開口
8 開口
9 コンプレッサ
10 ハンドル
11 弁座
12 カバー
13 シール面
14 取付具
15 貫通穴
16 ガス抜き孔
Claims (1)
- ダイヤフラム部が少なくとも二層のダイヤフラムで構成されたダイヤフラムバルブであって、弁座に接するダイヤフラムがパーフルオロカーボン系樹脂よりなり、他層を構成するダイヤフラムの少なくとも一層がゴムよりなり、該ゴムよりなるダイヤフラム面において、弁座に接するダイヤフラムの取付具を挿入可能な貫通孔とは別の位置であるダイヤフラム面の外周部付近にガスが通過可能な孔を設けたことを特徴とするダイヤフラムバルブ。
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