JP3778557B2 - 分子状汚染物質の分析方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クリーンルーム構成材料から発生する分子状汚染物質の分析方法に関する。より詳しくは、クリーンルーム構成材料から発生し基板などの被処理材に吸着した分子状汚染物質を分析する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体、液晶、フォトマスク製造用などとして使用されるクリーンルームの構成材料(例えば、建材、シール材、塗料、プラスチック材、フィルタ、接着剤、シート、ケーブル、パッキンなど。)から、例えば、酸性ガスや、塩基性ガス、凝縮性有機物質、ドーパントなどの分子状汚染物質が発生すると、シリコンウェハやガラスなどの基板に吸着して製品の歩留りを低下させるおそれがある。例えば、DOP(Di−2−ethylhexyl Phthalate)やDBP(Dibutyl Phthalate)などのフタル酸エステル、環状シロキサン化合物などの凝縮性有機物質が、シリコンウェハの表面に吸着すると、ゲート酸化膜の耐圧が劣化するなどデバイス不良を招くおそれがある。
【0003】
そこで、製品の歩留り低下防止対策として、分子状汚染物質が発生しない、あるいは発生の少ないクリーンルーム構成材料を選定することが必要となる。クリーンルーム構成材料の選定のためには、社団法人日本空気清浄協会から提出されている指針(「クリーンルーム構成材料から発生する分子状汚染物質の測定方法指針」平成11年7月31日発行)に準拠して、分子状汚染物質を測定するのが有用であり、材料メーカーや施工業者などは、この指針に準拠して、現に測定を行っている。
【0004】
ところで、クリーンルーム構成材料からは、さまざまな分子状汚染物質発生する。一般に、トルエンやキシレンなどの低沸点芳香族炭化水素は、高濃度ではあるものの、基板などの被処理材(本明細書において、被処理材とは、分子状汚染物質の吸着の客体となる材料をいう。通常は、クリーンルーム内において製造される製品の構成材料である。)には吸着せず、他方、フタル酸エステルや環状シロキサン化合物などは、低濃度ではあるものの、被処理材に選択的に吸着する。したがって、クリーンルーム構成材料から発生する分子状汚染物質が被処理材に与える影響を評価するにあたっては、気中の分子状汚染物質を分析するよりも、被処理材に吸着した分子状汚染物質を直接分析する方が好ましい。
【0005】
そこで、上記指針は、被処理材に吸着した分子状汚染物質を測定する方法として、基板表面吸着−加熱脱着法(附属書4)を示している。この方法は、試験体(クリーンルーム構成材料)及び被処理材たる基板を同一容器内に存在させ、一定温度(例えば23℃程度)で一定時間(例えば24時間程度)放置した後、試験体から発生し被処理材に吸着した分子状汚染物質を加熱脱着して、ガスクロマトグラフ質量分析法(JIS K 0123)により分析するものである。
【0006】
しかしながら、この方法においては、試験体から発散した分子状汚染物質が被処理材表面まで自然拡散して吸着することになり、また、湿度調節を図ることができないため、実際のクリーンルームの環境(通常、平均風速0.3m/s、導入外気基準の換気回数は5〜10回/h、湿度約45%RH。)とは全く異なる条件(環境)での評価となってしまう。
【0007】
そこで、クリーンルーム環境を考慮した測定方法として前記指針に示されているダイナミックヘッドスペース・エンジニアリングテスト法(以下、単にDHS−E法という。)と組み合わせることが考えられる。ダイナミックヘッドスペース法とは、試験体(クリーンルーム構成材料)を測定容器に設置し、キャリアガスを連続的に流通させ、流出キャリアガスに含まれる分子状汚染物質を吸着剤や吸収液などによって捕集し、分析する方法である。また、エンジニアリング法は、ダイナミックヘッドスペース法による測定を、クリーンルーム環境を考慮して、常温かつ一定湿度の条件下で行う方法である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、DHS−E法は、被処理材表面に吸着した分子状汚染物質を測定することを目的としておらず、気中に存在する分子状汚染物質を測定することを目的としているため、基板表面吸着−加熱脱着法といかに組み合わせるかについて問題が残る。また、DHS−E法においては、測定を一定湿度の条件下で行うものとされるため、測定容器内に流通させる前のキャリアガスを調湿する必要がある。しかしながら、この調湿を好適に行うことができる測定装置、具体的には、「調湿手段自体から分子状汚染物質が発生し、この分子状汚染物質がキャリアガス中に混入してしまうというようなことがないため、測定精度が優れたものとなり、しかもキャリアガスの湿度を自由に設定することができるため、実際のクリーンルーム環境と近似した状態で測定を行うことができる」測定装置は提供されるにいたっていない。
【0009】
さらに、クリーンルーム構成材料は、汚染物質の発生量が少なく、特に、アウトガス対策品といわれる構成材料については、一般建材に比較して数オーダー少ない値の発生量となるため、クリーンルーム環境と同じ風速(0.3m/s)となるようにキャリアガスの流量を調節して測定を行うと、被処理材に吸着する分子状汚染物質の量が少なくなってしまい、加熱脱着後に使用される、例えば、ガスクロマトグラフ質量分析法の定量下限値を下回る値となってしまう。したがって、DHS−E法においては、極めて遅い風速(例えば、3×10-5〜7×10-4m/s程度。)で測定を行い、相対比較を行っている。しかるに、分子状汚染物質発生過程の物質移動律速は、構成材料表面における蒸散過程にある場合と構成材料内部における拡散過程にある場合とがあるところ、蒸散過程に律速がある場合は、構成材料への風速が分子状汚染物質の発生に大きな影響を及ぼすことになると考えられるため、相対比較によっては、正確な測定結果を得ることができない。
【0010】
そこで、本発明の主たる課題は、クリーンルーム構成材料から発生し被処理材に吸着した分子状汚染物質を分析する方法について、実際のクリーンルーム環境に近似させ、もって分析精度を向上させることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明は、次のとおりである。
<請求項1記載の発明>
クリーンルーム構成材料及び被処理材を同一容器内に存在させ、前記クリーンルーム構成材料から発生し前記被処理材に吸着した分子状汚染物質を分析する方法であって、
前記容器内に前記構成材料表面における風速が3×10-5〜7×10-4m/sとなることが予定される流量のキャリアガスを流通させるとともに、前記容器内を攪拌して前記構成材料表面におけるキャリアガスの風速を予定値から所定値に速める、ことを特徴とする分子状汚染物質の分析方法。
【0012】
<請求項2記載の発明>
クリーンルーム構成材料及び被処理材を同一容器内に存在させ、前記クリーンルーム構成材料から発生し前記被処理材に吸着した分子状汚染物質を分析する方法であって、
前記容器は、底面と離間して設けられた多孔性部材と、前記底面と前記多孔性部材との間の底部空間内に設けられた攪拌手段と、前記多孔性部材上に前記容器の内壁面と離間した側部空間をもって設けられた上下開口の筒体とを有する密閉容器であり、
前記筒体内の前記多孔性部材上に、前記クリーンルーム構成材料及び被処理材を存在させ、
前記キャリアガスを前記容器内に導入し、導入したキャリアガスを前記底部空間、前記側部空間及び前記筒体内の内部空間の順で循環流通させることを特徴とする分子状汚染物質の分析方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1に、本実施の形態に係る分析方法を実現するための処理フロー図を示した。
本分析方法においては、キャリアガスGの調湿手段10と、クリーンルーム構成材料S及び被処理材Pが設置される(存在させられる)容器2と、この容器2内にキャリアガスGを流通させる流通手段3と、被処理材Pに吸着した分子状汚染物質の加熱脱着手段6と、脱着された分子状汚染物質を定量するガスクロマトグラフ7と、が主に備えられる。また、本実施の形態においては、必ず必要なわけではないが、容器2内を通り抜けたキャリアガスG中の分子状汚染物質を分析(例えば、定性分析、定量分析など。)する分析手段20も備えられている。
【0014】
本分析方法においては、キャリアガスGとして清浄空気を使用する。この清浄空気は、例えば、図示しない酸、アルカリ、有機ケミカルフィルタや、ULPAフィルタなどを通して外気A中に含まれる酸性成分、アルカリ性成分、有機性成分などの化学成分と塵埃成分とを除去した後、活性炭の充填された吸着塔4を通して得ることができる。
【0015】
キャリアガスGは、容器2内を流通させるに先立って、まず、調湿手段10によって、実際のクリーンルーム環境と同じとなるように、例えば、湿度45%RHとなるように調湿する。この調湿手段10は、純水Wが貯留された貯留タンク11と、流量制御弁12及び13と、ミキシングタンク14と、から主になる。
【0016】
吸着塔4を通されたキャリアガスGは、その一部が、流通管15を通して貯留タンク11内の純水W中に吹き込まれる。純水W中に吹き込まれることにより加湿されたキャリアガスGは、貯留タンク11内から途中に流量制御弁12の備わる流通管16を通してミキシングタンク14内に送られる。他方、このミキシングタンク14内には、吸着塔4を通されたキャリアガスGの残部が、加湿されることなくそのままの状態で途中に流量制御弁13の備わる流通管17を通して送り込まれる。したがって、ミキシングタンク14内において、加湿されたキャリアガスGと加湿されていないキャリアガスGとが混合されることになる。この混合割合は、流量制御弁12及び13を調節することにより行うことができる。混合割合の調節を行えば、それにあわせてキャリアガスGの湿度が調節される。つまり、単にキャリアガスGをバブリングするのみであると、湿度を正確に調節することは困難であるが、本形態の調湿手段10によれば、湿度を正確に調節することができる。しかも、加湿の方法がバブリングであるので、キャリアガスG中に分子状汚染物質が混入してしまう虞もない。
【0017】
このようにして調湿されたキャリアガスGは、流通管18を通して容器2に送られ、その内部を流通させられる。
容器2は、内部の温度が、例えば、23℃に設定された恒温槽5内に設置されて、加温されている。また、容器2は、図2に模式的に示すように、容器2内のキャリアガスGを撹拌する撹拌手段が、本実施の形態では撹拌翼31のみが容器2内(底部)に位置するように構成されたマグネチックスターラー30が、備えられている。このマグネチックスターラー30によって測定容器2内のキャリアガスGを撹拌することにより、クリーンルーム構成材料S表面におけるキャリアガスGの風速が予定値(予定値の意味は後述する。)から所定値に速められる構成となっている。所定値(速められた風速)は、実際のクリーンルーム環境における風速と近似した値にするのが好ましい。例えば、通常の場合(0.3m/s)であれば、平均0.1〜0.5m/sとなるように、好ましくは0.2〜0.4m/sとなるようにするとよい。所定値(速められた風速)を、実際のクリーンルーム環境における風速と近似した値にすることにより、分子状汚染物質の発生律速も実際の値と近いものとなり、したがって正確な分析結果を得ることができるようになる。風速の調節は、撹拌翼の大きさや、回転速度などを変更することによって、行うことができる。
【0018】
本実施の形態においては、容器2内に、クリーンルーム構成材料S及び被処理材Pの設置台2Cが備えられている。この設置台2Cは、上下面が開口する円筒状の筒体2CAと、この筒体2CAの下端縁に接続された底蓋2CBと、から主になる。底蓋2CBは、その周縁が容器2の内壁に固定されている。底蓋2CBは、例えば、エキスパンドメタルや、パンチングメタル、金網などの多孔性部材からなっており、キャリアガスGが流通するようになっている。
【0019】
本設置台2Cの使用は、キャリアガスGの風速を予定値から所定値に速めるについて好適であるが、それでも、図3に示すように、場所によって若干風速が異なることになる(図中符号以外の数値が風速であり、単位は、m/sである。)。したがって、攪拌力や構成材料Sの設置方法を考慮することによって、所定値(速められた風速)の精度を向上させるのが好ましい。本実施の形態においては、構成材料Sの設置方法を考慮し、底蓋2CBの中央部に垂直に設置するようにした。ただし、これに限定する趣旨ではなく、例えば、構成材料Sを2つ、3つ又はそれ以上の複数とすることも、底蓋2CB上に寝かせることもできる。
【0020】
本実施の形態においては、被処理材P,Pを、構成材料Sの両側方に垂直に設置した。ただし、これに限定する趣旨ではなく、適宜の位置に、適宜の数の被処理材Pを設置することができる。
【0021】
なお、筒体2CAの下端縁を潜り抜け、筒体2CAの外周面に沿って上方に向かい、更に筒体2CA上部の開口から筒体2CA内に入り込むように長点線で示したのは、キャリアガスGが測定容器2内を循環する状態を示したものである。この循環により、クリーンルーム構成材料S表面における風速が予定値から所定値に速められることになる。
【0022】
ところで、クリーンルーム構成材料S表面における風速を速くするためにキャリアガスGの流量を多くすると、前述したように、被処理材Pに吸着する分子状汚染物質の量が低下し、分析を行うことができなくなる。しかしながら、本発明においては、キャリアガスGの流量を「従来の方法による場合と同様の」量にとどめつつ、つまり「構成材料S表面における風速が3×10-5〜7×10-4m/sとなることが予定される」量にとどめつつ、撹拌手段による撹拌により実際の構成材料表面における風速は所定値に速まる構成としたので、容器2内において、分子状汚染物質の濃度が高められ、したがって被処理材Pに確実に(実際のクリーンルーム環境におけると同様に)吸着し、分析を行うことができる。
【0023】
本明細書においては、キャリアガスの流量を特定するのに、クリーンルーム構成材料表面において発生する風速(3×10-5〜7×10-4m/s)を用いたが、実際の風速は、撹拌手段による撹拌により速められ、かかる風速(3×10-5〜7×10-4m/s)は、予定された値に過ぎないものとなるため、予定値ということにした。
【0024】
本実施の形態において、キャリアガスGの流通及び流量調整は、容器2の下流に備えられた吸引ポンプなどの流通手段3と、前述した流量制御弁12及び13と、によって行われる。流通手段3は、例えば、容器2の上流に備えられる加圧ポンプなどとすることもできる。しかし、流通手段自体から発生する分子状汚染物質がキャリアガス中Gに混入すること防止するという観点からは、容器2の下流に備えるのが好ましい。
【0025】
ところで、吸引方式によりキャリアガスGが容器2内を流通するように構成する場合、容器2の密閉性が完全でないと、容器2内に分子状汚染物質などが入り込み正確な分析結果が得られなくなるおそれがある。そこで、本実施の形態では、図2に模式的に示すように、クリーンルーム構成材料Sを、容器2内に設置する際に利用する蓋2A及び本体2Bにフランジ部F,Fを設け、蓋2Aと本体2Bとの締め付け圧を高めることにより、密閉性がより完全となるようにした。また、蓋2Aと本体2Bとの密着部分は、テフロン(登録商標)製のパッキンPで構成し、密着性をより完全なものとしつつ、分子状汚染物質が発生しないようにした。
【0026】
以上のようにして、クリーンルーム構成材料Sに曝されたキャリアガスGは、容器2から流出させ、流通管19を通して、分析手段20に送ることもできる。
分析手段20は、キャリアガスG中の分子状汚染物質を捕集する捕集手段21と、捕集手段21によって捕集された分子状汚染物質を定量するガスクロマトグラフ質量分析装置などの図示しない分析装置とから、主になる。
【0027】
捕集手段21は、その形態が特に限定されるものではなく、溶液吸収によるもの、固体吸着によるものなどとすることができる。本実施の形態においては、捕集手段21として、流通管19の途中に、流通管19と同軸的に備えられた捕集管と、この捕集管の内部に充填された分子状汚染物質を吸着する固体吸着剤と、から主になるものを使用した。固体吸着剤としては、例えば、多孔質高分子吸着剤(TENAX−GRなど)、活性炭などを使用することができる。固体吸着剤によって吸着された分子状汚染物質を図示しない分析装置によって分析することにより、分子状汚染物質の定量がなされる。
【0028】
他方、容器2内にキャリアガスGを所定時間流通させたら、被処理材Pを加熱脱着装置6に移動し、被処理材Pに吸着する分子状汚染物質を脱着する。脱着した分子状汚染物質は、ガスクロマトグラフ質量分析装置7に送り、定性分析、定量分析する。
【0029】
【実施例】
〔試験例1〕
クリーンルーム構成材料表面の風速の違いが分析結果に影響することを確認するために、前述した本実施の形態の分析方法によって試験を行った。
【0030】
<実施例1>
クリーンルーム構成材料(試験体)として、半導体や液晶製造用クリーンルーム内の部材目地シーリングや、ダクト廻り、配管ジョイント廻り、貫通パイプ廻りなどのシーリングに使用されるシリコーンシール材(1成分形オキシムタイプ)を用いた。シリコーンシール材は、テフロン(登録商標)シート上に20mm×20mm×2mmとなるように塗布して用いることとした。
【0031】
測定の前に、容器2や流通管15などの各パーツを、有機溶剤と純水とで洗浄し、260℃で12時間から焼きした。キャリアガスGは、湿度40%RHに調節し、2L/minの流量(試験体表面における風速5×10-4m/s)で測定容器2内に流通させた。容器2としては、二重円筒構造とされたSUS製の容量20Lのものを使用した。
【0032】
撹拌翼31を回転させた場合は、容器2内で上下循環風が生じ、クリーンルーム構成材料S表面における風速が0.3m/sとなった。この風速は、熱線風速計により確認した。捕集手段21によって捕集された分子状汚染物質の分析は、ガスクロマトグラフ質量分析計によって行った。
【0033】
図4にオキシムの濃度変化を、図5に低分子量環状シロキサン4量体(D4)の濃度変化を、図6に低分子量環状シロキサン5量体(D5)の濃度変化を示した。それぞれについて、撹拌翼31を回転させて循環風を発生させた場合と、撹拌翼31を止めた循環風を発生させていない場合とを示してある。
【0034】
オキシムについては、循環風の有無によって大きな差異がなかったが、半導体用クリーンルームで重要管理物質とされているD4及びD5については、大きな差が生じた。したがって、クリーンルーム構成材料表面における風速が、実際の環境における場合と異なっていると、正確な分析結果が得られないことがわかる。
【0035】
<実施例2>
クリーンルーム構成材料(試験体)として、半導体や液晶製造用クリーンルーム内のダクトフランジ用ガスケットとして使用される耐油性ブチルゴムガスケットを用いた。耐油性ブチルゴムガスケットは、148mm×148mm×3mmに形成し、テフロン(登録商標)シート上に接着して、測定することとした。その他の実施条件は、実施例1と同様とした。
【0036】
図7に総有機成分(TVOC)の濃度変化を示した。循環風の有無によって、2倍以上の差が生じており、クリーンルーム構成材料表面における風速を近似させない限り、正確な分析結果が得られないことがわかる。
【0037】
〔試験例2〕
気中の分子状汚染物質を測定するよりも、被処理材に吸着した分子状汚染物質を直接測定する方が好ましいことを明らかにするために、前述した本実施の形態の分析方法で試験を行った。
【0038】
<実施例3>
内径(φ)300mm、高さ300mm、容量20L、SUS製の容器2内に、内径(φ)230mm、高さ200mm、SUS製で、開ロ率40%のパンチングメタル製の底蓋2CBが接続された筒体2CAを、容器2底部から50mm離れた位置に設けた。容器2の底部には、直径(φ)120mmの6枚羽根パドル型の攪拌翼31を設置した。分析の前に、容器2や流通管15などの各パーツを、有機溶剤と純水とで洗浄し、260℃で12時間空焼きし、表面の汚損及び吸着物質を除去した。空焼き後、容器2をマグネチックスターラー30の上に置き、恒温槽5の中に設置し、温度23℃DBに制御した。キャリアガスGは、外気Aを酸・アルカリ・有機の各ケミカルフィルタとULPAフィルタを用いて、化学成分と塵挨成分を除去した後、湿度調節手段10において湿度を45%RHに調湿したうえで、容器2の底部から流入し、天板部から流出させた。キャリアガスGの流量は、2L/分として、導入量基準の換気回数を6回/時間とした。サンプル(クリーンルーム構成材料S)としては、クリーンルーム用ビニル床シートを用い、表面以外からのガスの放散の影響をなくすように裏面及び端面をシールし、表面部分の露出面積は147mm×147mmとした。また、直径19.2cmの酸化膜付片面ミラーシリコンウェハ(被処理材P)を、シリコンウェハ用アウトガス捕集装置(日本分析工業(株)製SW−8400)にて、270℃で2時間、窒素流通下で空焼きした後、底蓋2CB上に4枚置いた。サンプル及びシリコンウェハは、底蓋2CBに対して垂直に設置した。キャリアガスGの流通は、上記本実施の形態のとおり、吸引方式とした。撹拝翼31の回転数は、800rpmとした。この回転数は、事前に本容器2と同一形状の風速測定用容器にて風速分布測定を行い、サンプル表面から1cm離れた個所における風速が平均で0.3mm/secとなる回転数として得られた値である。
【0039】
キャリアガスGの流通開始後、0、24、48及び72時間後に、シリコンウェハを1枚ずつ容器2から取り出し、直ちにウェハ加熱脱離(Wafer Thermal Desorption:WTD)−GC−MS装置にて、表面に吸着した成分の定性、定量分析を行った。また、この分析とともに、0、24、48及び72時間後の容器2出ロにおける流通ガスGのサンプリングを行い、汚染物質の定性、定量分析を行った。GC−MS装置で検出されたDBPとDOPの吸着量と、総有機成分量(TVOC)の分析結果を表1に示した。
【0040】
【表1】
Figure 0003778557
【0041】
<比較例1>
実施例3におけると同様の試験を、空気清浄協会指針の「基板表面吸着−加熱脱着法」に準拠して、温度23℃DBで分析した。なお、チャンバーとしては、実施例3の容器2と同様のものを使用した。分析結果は表1に示した。
【0042】
この基板表面吸着−加熱脱着法は、湿度管理を行うことができず、また気流速度は0m/sec、外気導入量基準の換気回数0回/hrで、実際のクリーンルーム環境とは全く異なるものであり、分析結果は、実施例3と検出成分も検出量も大きく異なるものとなった。特に半導体製造工程で歩留り低下原因物質として着目されているDOPについては、本方法では著し<過少評価される。
【0043】
<比較例2>
実施例3におけると同様の試験を、空気清浄協会指針の「DHS−E法」に準拠して、温度23℃DB、湿度45%RHで分析した。なお、チャンバーとしては、実施例3の容器2と同様のものを使用した。分析結果は表1に示した。
【0044】
このときのサンプル表面近傍の気流速度は、風速計の計測限界以下であった。この方法では、出口濃度の値は、ほぼ実施例3と傾向を同じくするものであったが、サンプルから放散される分子状汚染物質の分析のみしか行うことができず、気中濃度の値と吸着量との間に相関関係がない以上、被処理材への吸着量を推定することはできない。
【0045】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、クリーンルーム構成材料から発生し被処理物に吸着した分子状汚染物質を分析する方法について、実際のクリーンルーム環境に近似させることができ、したがって測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態に係る処理フロー図である。
【図2】 容器の模式図である。
【図3】 容器内の各場所における風速を示した図である。
【図4】 シール材のオキシム濃度変化を示した図である。
【図5】 シール材のD4濃度変化を示した図である。
【図6】 シール材のD5濃度変化を示した図である。
【図7】 ブチルゴムのTVOC濃度変化を示した図である。
【符号の説明】
2…容器、3…流通手段、6…加熱脱着装置、7…ガスクロマトグラフ質量分析装置、10…調湿手段、21…捕集手段、A…外気、G…キャリアガス、P…被処理物、S…クリーンルーム構成材料、W…純水。

Claims (2)

  1. クリーンルーム構成材料及び被処理材を同一容器内に存在させ、前記クリーンルーム構成材料から発生し前記被処理材に吸着した分子状汚染物質を分析する方法であって、
    前記容器内に前記構成材料表面における風速が3×10-5〜7×10-4m/sとなることが予定される流量のキャリアガスを流通させるとともに、前記容器内を攪拌して前記構成材料表面におけるキャリアガスの風速を予定値から所定値に速める、ことを特徴とする分子状汚染物質の分析方法。
  2. クリーンルーム構成材料及び被処理材を同一容器内に存在させ、前記クリーンルーム構成材料から発生し前記被処理材に吸着した分子状汚染物質を分析する方法であって、
    前記容器は、底面と離間して設けられた多孔性部材と、前記底面と前記多孔性部材との間の底部空間内に設けられた攪拌手段と、前記多孔性部材上に前記容器の内壁面と離間した側部空間をもって設けられた上下開口の筒体とを有する密閉容器であり、
    前記筒体内の前記多孔性部材上に、前記クリーンルーム構成材料及び被処理材を存在させ、
    前記キャリアガスを前記容器内に導入し、導入したキャリアガスを前記底部空間、前記側部空間及び前記筒体内の内部空間の順で循環流通させることを特徴とする分子状汚染物質の分析方法。
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