JP2008009701A - 分子状汚染物質の解析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】分子状汚染物質の低気中濃度条件下における曝露時間と吸着量との関係式を導き出すことができる、分子状汚染物質の解析方法とする。
【解決手段】所定の気中濃度及び曝露時間における吸着量を実測し、平衡吸着量を分子シミュレーションによって解析する。これらの値を吸着速度式に代入して吸着速度定数を算出する。この算出は所定の気中濃度を変化させて複数回行う。以上から気中濃度と吸着速度定数との相関関係式を求める。一方、計算圧力及び計算温度を分子シミュレーションに代入して平衡吸着量及び吸着エネルギーを解析する。これらの値をクラジウス・クラペイロン式に代入して所定の温度における圧力を算出し濃度に換算する。この算出は、計算温度を変化させて複数回行う。以上から気中濃度と平衡吸着量との概算関係式を求める。これらの式から低気中濃度条件下における吸着速度定数、平衡吸着量を算出し、吸着速度式に代入して曝露時間と吸着量との関係式を導き出す。
【選択図】図9

Description

本発明は、分子状汚染物質の低気中濃度条件下における曝露時間と吸着量との関係式を導き出す、分子状汚染物質の解析方法に関するものである。
現在、半導体デバイスMPU(Micro Proccessing Unit)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の微細化・高集積化が進み、2005年11月時点で量産されているMPU及びLSI(Large Scale Integration)等の最先端デバイスの加工プロセスは、線幅65mmとなっている。このような半導体デバイスの微細化・高集積化にともないクリーンルーム気中における分子状汚染物質AMCs(Airborne Molecular Contaminants)の低減だけではなく、シリコンウェハ表面に吸着する分子状汚染物質の低減が課題となっている。分子状汚染物質は、シリコンウェハ表面に吸着した場合、ゲート酸化膜の耐圧を劣化させ、液晶ディスプレイの表示ムラ等によるデバイス不良を増加させる。
一方、このような問題が生じないようにするために、例えば、半導体デバイス製造環境等となるクリーンルームの設計・管理の指針を作成する場合などにおいては、あらかじめ分子状汚染物質の曝露時間と吸着量との関係を知る必要がある。ところが、従来、分子状汚染物質の吸着に関する研究は多数行われているが(例えば、特許文献1)、分子状汚染物質の曝露時間と吸着量との関係については、十分な研究が行われていなかった。したがって、その度ごとに実験を行って対応することになるが、この実験においては、多数の実験測定点が必要であり、時間とコストがかかる。また、半導体デバイスの微細化・高集積化に伴い分子状汚染物質が低気中濃度であることが前提となるため、平衡吸着量に達するまで多大の時間が必要となる。例えば、分子状汚染物質がDBP(フタル酸ジブチル)である場合においては、気中濃度0.7μg/m3の条件下では、曝露時間148時間でも吸着量が右肩上がりに直線的に増加する。特に、半導体デバイスの微細化・高集積化に伴いクリーンルームにおけるDBPは0.1μg/m3以下であることが前提となるため、実験には、一週間単位の長期間が必要になる。したがって、分子状汚染物質の低気中濃度条件下における曝露時間と吸着量との関係式を導き出す方法を確立することが期待されている。
特開平10−27187号公報
本発明が解決しようとする主たる課題は、分子状汚染物質の低気中濃度条件下における曝露時間と吸着量との関係式を導き出す、分子状汚染物質の解析方法を提供することにある。
この課題を解決した本発明は、次のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
分子状汚染物質の低気中濃度条件下における曝露時間と吸着量との関係式を導き出す、分子状汚染物質の解析方法であって、
次記(1)から(4)によって気中濃度と吸着速度定数との相関関係式を求め、この相関関係式から前記低気中濃度条件下における吸着速度定数を算出するとともに、
次記(5)から(8)によって気中濃度と平衡吸着量との概算関係式を求め、この概算関係式から前記低気中濃度条件下における平衡吸着量を算出し、
前記低気中濃度条件下における吸着速度定数及び平衡吸着量を、吸着速度式に代入して曝露時間と吸着量との関係式を導き出す、ことを特徴とする分子状汚染物質の解析方法。
(1)所定の気中濃度及び曝露時間における吸着量を実測する。また、前記所定の気中濃度における平衡吸着量を前記実測にともなって又は分子シミュレーションによって解析する。
(2)前記(1)の曝露時間、吸着量及び平衡吸着量を吸着速度式に代入して前記所定の気中濃度における吸着速度定数を算出する。
(3)前記(1)及び前記(2)による吸着速度定数の算出は、前記所定の気中濃度を変化させて複数回行う。
(4)前記(1)から前記(3)で得た複数の気中濃度及び吸着速度定数から気中濃度と吸着速度定数との相関関係式を求める。
(5)計算圧力及び計算温度を分子シミュレーションに代入して平衡吸着量及び吸着エネルギーを解析する。
(6)前記(5)の計算圧力、計算温度及び吸着エネルギーをクラジウス・クラペイロン式に代入して所定の温度における圧力を算出する。この算出圧力は濃度に換算する。
(7)前記(5)及び前記(6)による平衡吸着量及び濃度の算出は、前記計算温度を変化させて複数回行う。
(8)前記(5)から前記(7)で得た複数の気中濃度及び平衡吸着量から気中濃度と平衡吸着量との概算関係式を求める。
本発明によると、分子状汚染物質の低気中濃度条件下における曝露時間と吸着量との関係式を導き出すことができる。
次に、本発明の実施の形態を説明する。
本形態の方法は、フタル酸エステル類(DBP、DOP)や低分子シロキサン類(D5、D6)などの分子状汚染物質の低気中濃度、例えば、0.1μg/m3以下の条件下における曝露時間と吸着量との関係式を導き出す、分子状汚染物質の解析方法である。
この具体的な方法は、次記(1)から(4)によって気中濃度と吸着速度定数との相関関係式を求め、この相関関係式から低気中濃度条件下における吸着速度定数を算出するとともに、次記(5)から(8)によって気中濃度と平衡吸着量との概算関係式を求め、この概算関係式から低気中濃度条件下における平衡吸着量を算出し、この低気中濃度条件下における吸着速度定数及び平衡吸着量を、吸着速度式に代入して曝露時間と吸着量との関係式を導き出すものである。
(1)所定の気中濃度及び曝露時間における吸着量を実測する。また、前記所定の気中濃度における平衡吸着量を分子シミュレーションによって解析する。
(2)前記(1)の曝露時間、吸着量及び平衡吸着量を吸着速度式に代入して前記所定の気中濃度における吸着速度定数を算出する。
(3)前記(1)及び前記(2)による吸着速度定数の算出は、前記所定の気中濃度を変化させて複数回行う。
(4)前記(1)から前記(3)で得た複数の気中濃度及び吸着速度定数から気中濃度と吸着速度定数との相関関係式を求める。
(5)計算圧力及び計算温度を分子シミュレーションに代入して平衡吸着量及び吸着エネルギーを解析する。
(6)前記(5)の計算圧力、計算温度及び吸着エネルギーをクラジウス・クラペイロン式に代入して所定の温度における圧力を算出する。この算出圧力は濃度に換算する。
(7)前記(5)及び前記(6)による平衡吸着量及び濃度の算出は、前記計算温度を変化させて複数回行う。
(8)前記(5)から前記(7)で得た複数の気中濃度及び平衡吸着量から気中濃度と平衡吸着量との概算関係式を求める。
ここで、(1)の所定の気中濃度は、具体的にいかなる値であるかが、特に限定されない。適宜設定すればよい。もちろん、実測するに都合のよい(時間やコストに好都合)条件を設定すればよく、低気中濃度である必要はない。また、吸着量の実測も複数点とする必要がなく1点で足りる。これらの点から、本方法は、短時間・低コストで、例えば、0.1μg/m3以下の低気中濃度条件下における曝露時間と吸着量との関係式を導き出すことが可能となったものである。
また、(5)の分子シミュレーションは、その具体的な方法が特に限定されない。例えば、Accelrys社製の分子シミュレーションソフトCerius2(モンテカルロ法)や、東北大未来科学共同研究センター(NICHe)宮本明研究室開発ソフトなどを使用することができる。
さらに、本方法で使用することができる吸着速度式も特に限定されない。例えば、定圧状態の場合はLangmuir吸着速度式や鮫島の吸着速度式、Banghamの吸着速度式などを、定容状態の場合は変型Langmuir吸着速度式等を、吸着特性に合わせて使用することができる。
次に、本発明の効果を明らかにするための実施例について、説明する。
現在、分子状汚染物質としてはフタル酸エステル類(DBP、DOP)、低分子シロキサン類(D5、D6)などが指摘されており、これらの物質はトルエン、キシレンの炭化水素類よりも気中濃度が低いにも関わらず、シリコンウェハ表面に優先的に吸着することが知られている。
<気中濃度と吸着速度定数との相関関係式>
〔実験方法〕
本実験での曝露物質であるDBP(フタル酸ジブチル)は、可塑材として、ゴム、塩ビ管、壁材等の多種多様な製品に使用されている。そのため、通常の室内空気中にも含まれており、極低濃度での実験のためにはそれらを除去した環境が必要となる。本実験では分子状汚染物質気中濃度をケミカル対策済みクリーンルーム相当にまで低減させた1200mm×600mmの吹き出し口を持つ「大型実験装置」、平衡吸着量解析のための直径150mmの曝露部分を持つ「小型曝露実験装置A」及び低風量を想定した「小型曝露実験装置B」を用意した。
〔大型曝露実験装置による曝露実験〕
大型実験装置には清浄度ISO CLASS2レベルのクリーンルームで使用されるULPA(Ultra Low Penetration Air)フィルタを備えたFFU(Fan Filter Unit)を組み込み、200mmφウェハを複数枚同時に曝露可能な大きさとした。また、最先端のケミカル対策済みクリーンルームと同レベルの分子状汚染物質気中濃度を実現するため、3種類のケミカルフィルタ、具体的にはアルカリ性用フィルタ(強酸性フィルタ)1段、酸性用フィルタ(弱塩基性フィルタ)1段、有機用フィルタ1段を組み込んだシステムとした。さらに、パーティクル対策として、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタ(対象粒子0.3μm,除去率99.97%、ガラス繊維製)1段、ULPAフィルタ(対象粒子0.1μm、除去率99.9997%、PTFE製)2段の3段仕様とした。これにより、パーティクルを抑制しながらDBP気中濃度0.1μg/m3以下(定量下限値以下)を達成した。
本大型実験装置の他の特徴は、器材の隙間を埋めるシール材を使用しないことよるシロキサン等の分子状汚染物質低減対策、ダクト(寸法:L×W×H=3000mm×1200mm×600mm)のステンレス化、整流チャンバ(寸法:L×W×H=1400mm×1400mm×1400mm)によるFFUへの供給空気均一化、シリコンウェハ曝露域下流のダクト長さ確保による下流側からの巻き込み空気による汚染混入防止、風速0.3m/s(クリーンルーム相当)、装置完成後のIPA(イソプロピルアルコール)及び純水での洗浄による装置全体からの有機物除去、実験部:プラス圧による汚染防止等である。また、本曝露実験装置はシリコンウェハを複数枚同時に曝露させることで、各ウェハに対する同濃度での曝露を可能としており、シリコンウェハ間の誤差を低減させている。
本実験では曝露用Siウェハに8インチの熱酸化ウェハ(熱酸化前処理400℃,6hr)3枚を用いた。実験温度は半導体クリーンルームを想定し22±2℃とした。風速の測定には、最小測定幅0.01m/s、測定精度が±2%以内の3次元超音波式風速計(KAIJO製WA−390)を用い、FFU(Fan Filter Unit)のファンをインバータ制御することで平均風速0.3±0.03m/sに調整した。DBP気中濃度は定量下限値の0.1μg/m3以下であった。ダクト表面に吸着していると考えられる揮発性有機物の脱離を目的として、実験開始の24時間以上前から曝露用ダクトに通気を開始した。総アルミ製搬送ボックスから取り出した曝露用シリコンウェハを、テフロン製の台に設置後、下流側からマジックハンド状(ステンレス製)の棒を用い配置した。ウェハの回収時にも下流側からマジックハンド状の棒で引き寄せ、ケースに保管した。ケースとテフロン架台への移動操作には金属製のウェハ用ピンセットを用いた。曝露時間は24,48,168時間とした。DBP気中濃度分析には吸着剤(TENAX−GR)による固体吸着/加熱脱離法を採用した。Siウェハ分析はウェハ加熱脱離ガスクロマトグラム質量分析計(WTD−GC−MS)を用いて行った。
〔小型曝露実験装置Aによる曝露実験〕
小型曝露実験装置は、上流からエアポンプ、除湿用シリカゲル、気中有機物除去用活性炭、ウェハ片の曝露容器(DBP発生部を含む)、気中濃度測定用吸着管と接続し、曝露容器へ空気を押し込む押し込み型とすることにより、曝露容器への汚染空気混入を防止した。各使用材料は、シリカゲル容器及び活性炭容器にステンレス、曝露容器にホウケイ酸ガラス、曝露容器内のウェハ設置架台にステンレスを用いた。また、本実験装置の配管にはエアポンプ部から活性炭部まで直径1/8inchφのステンレス管を用い、活性炭部よりも下流側には内径4mmφのテフロンチューブ管を用いた。汚染物質DBPは開口部35mmφの容器に入れ、曝露容器底面に設置した。ウェハ片の曝露スペースとして、10片を同時に設置可能な門型のステンレス製網を配置した。ステンレス製網は加工時の油の付着が考えられるため、IPAにて洗浄後、300℃で24時間加熱し付着成分を脱離させた。8インチの酸化シリコンウェハから0.05×0.01m程度に切り出したものの最大10枚を曝露用ウェハ片とした。
実験温度は通常のクリーンルーム雰囲気を考慮し22±1℃とした。DBP曝露濃度は28±2μg/m3(曝露時間0〜48時間),1.5±0.3μg/m3(曝露時間0〜100時間、曝露部風速(計算値)0.003m/s)とした。DBP気中濃度分析には吸着剤(TENAX−GR)による固体吸着/加熱脱着法を採用し、吸着剤(TENAX−GR)による濃度測定時のみ、曝露容器前後のコックを開け、エアポンプで空気を押し込み、吸着剤(TENAX−GR)にて容器内空気を採取した。採取サンプルについてはガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)にて分析を行った。また、ウェハ片の搬送容器として、空の捕集管(TENAX管)を使用し、ウェハ片を捕集管に挿入した状態で気中濃度と同様にGC−MSを用い分析した。
ウェハ片の前処理として、ヘリウムガス流通下で250℃、12時間の空焼きを実施した。DBP濃度測定用のTENAX−GRについては250℃、6時間の空焼き実施後に使用した。濃度測定時の給気量は28μg/m3における曝露時に曝露容器容積(約3Lit)の半分程度、1.5μg/m3における曝露時に6Litとした。シリコンウェハ曝露部はガラス製でありDBPの吸着が考えられため、曝露実験前に一定時間DBPを流通させた。また、紫外線等の光によって、吸着したDBPが分解することを防ぐため実験装置全体を遮光した。
〔小型曝露実験装置Bによる曝露実験〕
本実験における装置は小型曝露実験装置Aを低風量用に改造したものである。本曝露実験装置は押し込み型とし、システムヘの室内空気混入を防止した。室内空気は、エアポンプで加圧され、除湿用シリカゲル及び気中有機物質除去用活性炭を通過し、室温22±1℃で蒸発した汚染物質DBPと混合され、曝露部に到達する。曝露部には、予め清浄化し、表面を熱酸化処理によって酸化膜としたシリコンウェハ片を複数枚設置した。実験誤差を最小とするため複数枚を同時に曝露した。ウェハ片の搬送容器として空のTENAX管を使用し、TENAX管に挿入した状態でガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)にて分析した。
曝露に用いたウェハ片は0.05m×0.01m程度のもの最大10枚である。このウェハ片をヘリウムガス流通下にて250℃で10時間空焼きを実施した。DBP気中濃度は0.7±0.3,1.6±0.3,1.8±0.3,2.6±0.5μg/m3とした。曝露時間は0〜48h,0〜144hとした。気中DBP濃度測定用のTENAX−GRは250℃、6時間空焼き実施後に使用した。曝露実験における風速は、曝露部の垂直方向に対し平均0.0006m/sと計算された。DBP蒸発温度は室内制御温度の22±1℃とした。シリコンウェハ曝露容器への吸着が考えられるため、曝露実験前に一定時間DBPを流通させ、紫外線等の影響を避けるため遮光して実験を行った。DBP気中濃度及びシリコンウェハ表面吸着量の分析にはガスクロマトグラム質量分析計(GC−MS)を用いた。
〔曝露実験結果:吸着量〕
本実験は、「(1)所定の気中濃度及び曝露時間における吸着量の実測、所定の気中濃度における平衡吸着量の解析」に該当するものである。以下実験では、吸着量の実測に関して、多数点の実測を行っているが、1点の実測のみとすることも可能である。
ケミカル汚染対策済みクリーンルーム相当のDBP気中濃度における大型曝露装置による曝露実験の結果を、図1に示す。DBP気中濃度0.1μg/m3以下、風速0.3m/sにおけるシリコンウェハ表面へのDBP吸着量は、曝露24時間で0.049ng/cm2、48時間で0.070ng/cm2、168時間では0.42ng/cm2となった。本実験の気中濃度及び吸着量の範囲にて、シリコンウェハ表面へのDBP吸着量は、時間に比例して直線的に増加する傾向がみられた。
次に、DBPの小型曝露実験装置Aによる曝露実験の結果を、図2〜5に示す。本曝露実験では、供給風量を少なく(空気供給量と曝露部断面積から算出した風速は0.0006m/s)、気中濃度は0.7〜2.6μg/m3程度に設定した。図2及び図3では、ともに曝露時間の増加に伴い、DBP吸着量が直線的に増加する傾向がみられる。48時間後の吸着量は平均気中濃度2.6μg/m3(図2)のときに、17.6ng/cm2であり、平均気中濃度1.8μg/m3(図3)のときに10.5ng/cm2であった。図4及び図5の場合も図2及び図3と同様に、曝露時間の増加に伴い、DBP吸着量が直線的に増加する傾向がみられた。48時間後の吸着量は、平均気中濃度1.6μg/m3(図4)のときに10.9ng/cm2であり、平均気中濃度0.7μg/m3(図5)のときに3.4ng/cm2であった。平均気中濃度0.7μg/cm2の曝露144時間での吸着量は9.2ng/cm2であった。
図2〜図5に共通することは、吸着速度が非常に遅いことである。本実験から、DBPのシリコン表面への単分子層吸着量40〜50ng/cm2よりも十分に少ない吸着量の範囲において、気中濃度が低い場合、もしくは風速が非常に小さい場合に、吸着速度が一定になる可能性が知見される。
また、それぞれの気中濃度における平衡吸着量の分子シミュレーションによる解析結果(低湿度下における実験のため、ウェハ酸化表面状態における水分の無い状態と想定)は、気中濃度0.1μg/m3のときにve=3ng/cm2、気中濃度2.6μg/m3のときにve=21ng/cm2、気中濃度1.8μg/m3のときにve=17ng/cm2、気中濃度1.6μg/m3のときにve=16ng/cm2、気中濃度0.7μg/m3のときにve=11ng/cm2である。
〔曝露実験結果:吸着量及び平衡吸着量〕
本実験は、「(1)所定の気中濃度及び曝露時間における吸着量の実測、所定の気中濃度における平衡吸着量の実測」に該当するものである。以下実験では、吸着量の実測に関して、多数点の実測を行っているが、1点の実測のみとすることも可能である。
DBPの気中濃度28±2μg/m3における曝露実験結果を図6に、気中濃度1.5±0.3μg/m3における曝露実験結果を図7に示す(小型曝露実験装置Bを使用)。図6の実験は、エアポンプを停止し内部拡散だけに頼った実験である。DBP吸着量は曝露開始後1時間にて、平衡吸着量の約半分の吸着量36ng/cm2程度まで直線的に増加し、曝露開始後4〜5時間で最終的な平衡吸着量の70%程度に達した。その後はゆっくりと吸着量が増加する傾向が観察された。曝露開始19時間後の吸着量は約74ng/cm2、39時間後に約71ng/cm2、48時間後に約73ng/cm2となり、平均気中濃度28±2μg/m3における平衡吸着量は約73ng/cm2と考えられる。
図7の実験におけるウェハ近傍の風速は、エアポンプによる送風量と曝露部の水平方向断面積から計算上約0.003m/sであり、風向は鉛直上向きである。曝露開始後30分にて吸着量は平衡吸着量の70%程度に達し、2時間経過後には平衡吸着量の85%を超える量が吸着した。曝露20時間後の吸着量は11.5ng/cm2、45時間前後で11.2ng/cm2であり、100時間後に12.0ng/cm2に達した。図7の形状から判断し、平均気中濃度1.5±0.3μg/m3における平衡吸着量は約12ng/cm2と考えられる。
〔吸着速度定数の算出〕
本算出は、「(2)前記(1)の曝露時間、吸着量及び平衡吸着量を吸着速度式に代入した所定の気中濃度における吸着速度定数の算出」に該当するものである。
以上の実験結果の吸着傾向が単分子層吸着と仮定するとLangmuirの吸着速度式が成立する。Langmuirの吸着速度式は、吸着量v、飽和吸着量vs、平衡吸着量ve、吸着速度定数k1、脱着速度定数k2、時間tとおくと数1の式になる。
Figure 2008009701
数1の式は平衡時に吸着速度0となり、吸着量がveであるから数2の式になる。
Figure 2008009701
この数2の式を数1の式に代入すると数3の式になる。
Figure 2008009701
この数3の式を積分すると数4の式(Langmuir吸着速度式)になる。
Figure 2008009701
ただし、k=k1+k2である。
本発明者らの分子シミュレーションを用いた研究によれば、気中濃度0.1μg/m3におけるDBPのシリコンウェハへの平衡吸着量は、水分の影響によって変化するが3〜20ng/cm2程度である。また、DBPの単分子層吸着量は40〜50ng/cm2程度と考えられる。したがって、この濃度域における平衡吸着量は単分子吸着と考えられ、Langmuirの吸着速度式(数4の式)が成立する。
そして、例えば気中濃度0.1μg/m3のときの平衡吸着量は3ng/cm2であり、ケミカル汚染対策済みクリーンルーム相当のDBP気中濃度における大型曝露装置による曝露実験結果(図1、曝露時間604800秒、吸着量v=0.42ng/cm2)から数5の式のように吸着速度式を求められる。vは吸着量(ng/cm2)、tは曝露時間(sec)である。
Figure 2008009701
数5の式と本実験結果の相関係数は0.97であり、気中濃度0.1μg/m3以下における吸着速度式の概算を算出したと考えられる。本式はDBPのシリコンウェハ表面における吸着量を推測する場合に効果を発揮すると考えられる。また、曝露途中でのk値(吸着速度定数)は24時間曝露時点でk=1.91×10-7、48時間時点でk=1.37×10-7であり、数5の式の168時間時点のk=2.49×10-7とほぼ同レベルであった。
次に、低風速下における曝露実験結果(図2〜図5)についても算出する。なお、各気中濃度における平衡吸着量veは、前述したとおり、それぞれ気中濃度2.6μg/m3のときにve=21ng/cm2、気中濃度1.8μg/m3のときにve=17ng/cm2、気中濃度1.6μg/m3のときにve=16ng/cm2、気中濃度0.7μg/m3のときにve=11ng/cm2である。
図2の実験から気中濃度2.6μg/cm2、風速0.0006m/s時に、48時間(t=172800秒)後に吸着量vが17.6ng/cm2となることから、数6の式となる。
Figure 2008009701
図3の実験から気中濃度1.8μg/cm2、風速0.0006m/s時に、48時間(t=172800秒)後に吸着量vが10.5ng/cm2となることから、数7の式となる。
Figure 2008009701
図4の実験から気中濃度1.6μg/cm2、風速0.0006m/s時に、48時間(t=172800秒)後に吸着量vが10.9ng/cm2となることから、数8の式となる。
Figure 2008009701
図5の実験から気中濃度0.7μg/cm2、風速0.0006m/s時に、144時間(t=518400秒)後に吸着量vが9.2ng/cm2となることから、数9の式となる。
Figure 2008009701
また、小型曝露実験装置Bを使用した場合の実測結果についても、Langmuir吸着速度式(数4の式)をあてはめる。図6から、気中濃度28μg/m3の場合に平衡吸着量veが73ng/cm2程度であるとし、吸着速度定数kを最小2乗法によって求めると数10の式となる。
Figure 2008009701
さらに、図7から気中濃度1.5μg/m3の場合に平衡吸着量が12ng/cm2程度であるとし、吸着速度定数kを最小2乗法によって求めると数11の式となる。
Figure 2008009701
なお、数5〜11の式と各曝露実験の結果から、曝露時間(h)と吸着量(ng/cm2)の関係に直線性がみられるのは、吸着速度定数kが10-5オーダー以下の場合であり、kが10-4よりも大きくなると比較的短時間で平衡状態に達することがわかる。
以上は、「(3)吸着速度定数の算出を所定の気中濃度を変化させて複数回行った」場合に該当する。そこで、更に「(4)以上で得た複数の気中濃度及び吸着速度定数から気中濃度と吸着速度定数との相関関係式を求める」。
まず、吸着初期の状態について気中濃度(μg/m3)と吸着速度定数kとの関係は、吸着濃度0.1μg/m3以下:k=2.49×10-7、吸着濃度2.6μg/m3:k=1.05×10-5、吸着濃度1.8μg/m3:k=5.56×10-6、吸着濃度1.6μg/m3:k=6.62×10-6、吸着濃度0.7μg/m3:k=3.49×10-6、吸着濃度28μg/m3:k=1.89×10-4、吸着濃度1.5μg/m3:k=2.73×10-4である。この結果は、図8のように示すことができる。
図8に示すように、気中濃度(μg/m3)と吸着速度定数k(1/sec)の間には相関関係があり、気中濃度から吸着速度定数が概算できる。なお、気中濃度1.5μg/m3時の1点が近似曲線からずれているのは、曝露部への空気の吐出圧によって短時間DBP初期濃度が高くなった可能性が考えられる。
<気中濃度と平衡吸着量との概算関係式>
〔概要〕
本方法の目的は、分子シミュレーション(モンテカルロ法)で計算可能な最低濃度よりも低い気中濃度域(例えば、0.1μg/m3以下)に対し、クラジウス・クラペイロン式(Clausius‐Clapeyron式)による外挿法を用い、低気中濃度条件下における気中濃度とシリコンウェハ表面への平衡吸着量との関係を定量的に示すことにある。
〔計算手法〕
以下は、「(5)計算圧力及び計算温度を分子シミュレーションに代入して行う平衡吸着量及び吸着エネルギーを解析」に該当する。
まず、本実施例においては、平衡吸着量の計算にAccelrys社製の分子シミュレーションソフトCerius2のモンテカルロ法を用いた。Cerius2では吸着物質の圧力の最小値として1Paまで計算可能である。計算条件として吸着物質の気中圧力P1、吸着温度T1、計算ステップ数を指定し、結果として、単位セルあたりの吸着量Lと吸着エネルギーΔH[kJ/mol]が算出される。これらの各要素は、クラジウス・クラペイロン式(数12の式)から数13の式のように表すことができる。
Figure 2008009701
Figure 2008009701
なお、P:圧力[Pa]、T:絶対温度[K]、R:気体定数[8.314J/(K・mo1)]、T1:シミュレーション計算温度条件[K]、P1:シミュレーション計算圧力条件[Pa]、T2:平衡吸着量算出温度[295K]、P2:算出される気中圧力[Pa]である。
数13の式は、(T1、P1)、(T2、P2)の間で同一吸着量となるときに成立する。数13の式を用いれば、初期条件P1(Pa)、T1(K)と計算によって得られた吸着エネルギーΔHから目的温度T2(K)において吸着量Lとなる気中圧力P2(Pa)が算出できる。クリーンルームで問題になる汚染物質の気中濃度はng/m3レベルに制御することが必要と言われている。そこで、P1をCerius2で計算可能な最低圧力1Paとし、数13の式による変換後の気中濃度を低くするため吸着温度T1を高温(370K〜600K)に設定して吸着計算を行い、吸着エネルギーΔHと吸着量Lを求め、平衡吸着量算出温度T2(=295K)におけるP2を算出した。本計算には、水素終端モデルのトップブリッジサイトであるSi−Si結合間に酸素原子を挿入した初期酸化表面モデルOxy−H−Si(100)−2×1を用いた(力場:Universal Force Field 1.02)。計算ステップ数を50万回〜100万回(周期境界条件:あり)とし、吸着エネルギーが定常状態となり、吸着量の変化が無くなるまで実施した。本検討では、空気分子N2、O2等は分子量が小さく、揮発性が高く、極性も小さいことから無視した。
以上は、「(6)(5)の計算圧力、計算温度及び吸着エネルギーをクラジウス・クラペイロン式に代入して所定の温度(本実施では295K)における圧力(本実施ではP2)を算出」に該当する。
以上の算出圧力P2は濃度に換算する。圧力算出から濃度への換算に関する一例を以下に示す。
例えば、P1=1Pa, T1=600K,ΔH=−31.1715kcal/mol(−130kJ/mol),吸着量=11ng/cm2(変換計算には無関係),気体定数R=8.314J/K・mo1(1.987cal/K・mol(1cal=4.186J)とすると、数13の式は数14となる。
Figure 2008009701
一方、DBPの分圧1Paの場合に、295Kの空気1m3に含まれるDBP気中濃度X(g/m3)は、DBP分子量=278.3g/mol,0℃=273.15K,理想気体(0℃条件)=22.4Lit/mol,通常気圧1atm=101300Paから、数15となる。
Figure 2008009701
これに温度補正を行うと数16となる。
Figure 2008009701
したがって、数14及び数16から数17となる。
Figure 2008009701
そして、小数点以下第2位を四捨五入し、単位をμgにして気中濃度Cは2.1×10-7μg/m3となる。
(DBPの場合)
以上の一例のようにして、DBPについて、平衡吸着量L(ng/cm2)、吸着エネルギーΔH(kJ/mo1)、気中濃度C(μg/m3)を求めると、L=11,ΔH=−130,C=2.1×10-7、L=37,ΔH=−132,C=3.1×10-5、L=41,ΔH=−123,C=3.5×10-3及びL=64,ΔH=−120,C=1.9となる。この算出は、「(7)前記(5)及び前記(6)による平衡吸着量及び濃度の算出は、前記計算温度(本実施例ではT1)を変化させて複数回行う」に該当する。
(DOPの場合)
同様に、DOP(フタル酸ジオクチル)についても、平衡吸着量L(ng/cm2)、吸着エネルギーΔH(kJ/mo1)、気中濃度C(μg/m3)を求めると、L=27,ΔH=−140,C=3.7×10-8、L=47,ΔH=−141,C=8.8×10-5、L=63,ΔH=−133,C=1.2×10-3、及びL=72,ΔH=−124,C=0.1となる。この算出も、「(7)前記(5)及び前記(6)による平衡吸着量及び濃度の算出は、前記計算温度(本実施例ではT1)を変化させて複数回行う」に該当する。
(D5の場合)
同様に、D5(低分子シロキサン)についても、平衡吸着量L(ng/cm2)、吸着エネルギーΔH(kJ/mo1)、気中濃度C(μg/m3)を求めると、L=58,ΔH=−121,C=2.6×10-4、L=65,ΔH=−124,C=0.25、及びL=76,ΔH=−115,C=1.6となる。この算出も、「(7)前記(5)及び前記(6)による平衡吸着量及び濃度の算出は、前記計算温度(本実施例ではT1)を変化させて複数回行う」に該当する。
(D6の場合)
同様に、D6(ドデカメチルシクロヘキサシロキサン)についても、平衡吸着量L(ng/cm2)、吸着エネルギーΔH(kJ/mo1)、気中濃度C(μg/m3)を求めると、L=32,ΔH=−131,C=2.7×10-7、L=60,ΔH=−137,C=1.1×10-6、及びL=71,ΔH=−133,C=1.4×10-3となる。この算出も、「(7)前記(5)及び前記(6)による平衡吸着量及び濃度の算出は、前記計算温度(本実施例ではT1)を変化させて複数回行う」に該当する。
(TEPの場合)
同様に、難燃材として用いられるTEP(リン酸トリエチル)についても、平衡吸着量L(ng/cm2)、吸着エネルギーΔH(kJ/mo1)、気中濃度C(μg/m3)を求めると、L=22,ΔH=−92,C=7.7×10-1、L=26,ΔH=−95,C=1.4、及びL=41,ΔH=−96,C=1.6×102となる。この算出も、「(7)前記(5)及び前記(6)による平衡吸着量及び濃度の算出は、前記計算温度(本実施例ではT1)を変化させて複数回行う」に該当する。
(ε‐caprolactamの場合)
同様に、ナイロンの原料であるε‐caprolactamについても、平衡吸着量L(ng/cm2)、吸着エネルギーΔH(kJ/mo1)、気中濃度C(μg/m3)を求めると、L=12,ΔH=−76,C=58、L=14,ΔH=−78,C=75、及びL=40,ΔH=−79,C=4.6×104となる。この算出も、「(7)前記(5)及び前記(6)による平衡吸着量及び濃度の算出は、前記計算温度(本実施例ではT1)を変化させて複数回行う」に該当する。
(IPAの場合)
同様に、IPA(マランゴニ乾燥とよばれるウェハ洗浄工程等にて大量に使用される物質)についても、平衡吸着量L(ng/cm2)、吸着エネルギーΔH(kJ/mo1)、気中濃度C(μg/m3)を求めると、L=1.1,ΔH=−49,C=7.4×101、L=6.7,ΔH=−50,C=2.5×102、及びL=23,ΔH=−51,C=2.5×103となる。この算出も、「(7)前記(5)及び前記(6)による平衡吸着量及び濃度の算出は、前記計算温度(本実施例ではT1)を変化させて複数回行う」に該当する。
(ヘキサデカンの場合)
同様に、ヘキサデカン(Hexadecane)についても、平衡吸着量L(ng/cm2)、吸着エネルギーΔH(kJ/mo1)、気中濃度C(μg/m3)を求めると、L=20,ΔH=−127,C=3.3×10-6、L=33,ΔH=−138,C=3.4×10-4、及びL=70,ΔH=−108,C=3.2×101となる。この算出も、「(7)前記(5)及び前記(6)による平衡吸着量及び濃度の算出は、前記計算温度(本実施例ではT1)を変化させて複数回行う」に該当する。
以上において、DBP,DOP,D5,D6,TEP,ε‐caprolactam,IPA,ヘキサデカンそれぞれについて得た複数の気中濃度及び平衡吸着量から気中濃度と平衡吸着量との概算関係式を求める。これは、「(8)前記(5)から前記(7)で得た複数の気中濃度及び平衡吸着量から気中濃度と平衡吸着量との概算関係式を求める」に該当する。この結果は、図9に示した。
なお、フタル酸エステル類のDBP、DOP及び低分子シロキサン類のD5、D6が高い吸着量を示しており、その中でもより高分子量成分であるDOP、D6の吸着量が多くなる傾向にある。また、ヘキサデカンはパラフィン炭化水素であり極性は極小さいが、パラフィン類でも炭素原子が16個程度の高分子量になると吸着量が多くなることがわかる。IPAは極めて吸着力が弱く、フタル酸エステルや低分子シロキサンと比較すると、同一吸着量(ng/cm2)となる気中濃度(μg/m3)には1012オーダーの差がある。
<曝露時間と吸着量との関係式>
以上によって、「気中濃度と吸着速度定数との相関関係式」及び「気中濃度と平衡吸着量との概算関係式」がそれぞれ求められた。したがって、それぞれの式から、低気中濃度条件下における吸着速度定数、低気中濃度条件下における平衡吸着量を算出することができる。この吸着速度定数及び平衡吸着量は、例えば、Langmuir吸着速度式(数4の式)などに代入し、これにより低気中濃度条件下における曝露時間と吸着量との関係式を導き出される。
本発明は、分子状汚染物質の低気中濃度条件下における曝露時間と吸着量との関係式を導き出す、分子状汚染物質の解析方法として、適用可能である。この結果、クリーンルーム等における分子状汚染物質の気中濃度管理指針を策定することなどが可能になる。
クリーンルーム相当曝露実験における曝露時間とDBP吸着量との関係を示す図である。 低風量下の気中濃度2.6μg/m3における曝露時間とDBP吸着量との関係を示す図である。 低風量下の気中濃度1.8μg/m3における曝露時間とDBP吸着量との関係を示す図である。 低風量下の気中濃度1.6μg/m3における曝露時間とDBP吸着量との関係を示す図である。 低風量下の気中濃度0.7μg/m3における曝露時間とDBP吸着量との関係を示す図である。 気中濃度28μg/m3における曝露時間とDBP吸着量との関係を示す図である。 気中濃度1.5μg/m3における曝露時間とDBP吸着量との関係を示す図である。 DBP気中濃度と吸着速度定数との関係を示す図である。 気中濃度とウェハ初期酸化表面への平衡吸着量との関係を示す図である。

Claims (1)

  1. 分子状汚染物質の低気中濃度条件下における曝露時間と吸着量との関係式を導き出す、分子状汚染物質の解析方法であって、
    次記(1)から(4)によって気中濃度と吸着速度定数との相関関係式を求め、この相関関係式から前記低気中濃度条件下における吸着速度定数を算出するとともに、
    次記(5)から(8)によって気中濃度と平衡吸着量との概算関係式を求め、この概算関係式から前記低気中濃度条件下における平衡吸着量を算出し、
    前記低気中濃度条件下における吸着速度定数及び平衡吸着量を、吸着速度式に代入して曝露時間と吸着量との関係式を導き出す、ことを特徴とする分子状汚染物質の解析方法。
    (1)所定の気中濃度及び曝露時間における吸着量を実測する。また、前記所定の気中濃度における平衡吸着量を前記実測にともなって又は分子シミュレーションによって解析する。
    (2)前記(1)の曝露時間、吸着量及び平衡吸着量を吸着速度式に代入して前記所定の気中濃度における吸着速度定数を算出する。
    (3)前記(1)及び前記(2)による吸着速度定数の算出は、前記所定の気中濃度を変化させて複数回行う。
    (4)前記(1)から前記(3)で得た複数の気中濃度及び吸着速度定数から気中濃度と吸着速度定数との相関関係式を求める。
    (5)計算圧力及び計算温度を分子シミュレーションに代入して平衡吸着量及び吸着エネルギーを解析する。
    (6)前記(5)の計算圧力、計算温度及び吸着エネルギーをクラジウス・クラペイロン式に代入して所定の温度における圧力を算出する。この算出圧力は濃度に換算する。
    (7)前記(5)及び前記(6)による平衡吸着量及び濃度の算出は、前記計算温度を変化させて複数回行う。
    (8)前記(5)から前記(7)で得た複数の気中濃度及び平衡吸着量から気中濃度と平衡吸着量との概算関係式を求める。
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