JP3778366B2 - 細胞成長調節因子 - Google Patents

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Description

本発明の分野
本発明は、一般には、ヒト及び家畜の医薬の分野であり、細胞の成長及び増殖をもたらす新規な物質に関する。本発明はまた、疾患の予防又は治療における該物質の使用に関する。本発明は更に、疾患の診断の方法、又は疾患を進行させる傾向があるか、又は疾患を進行させる素因を有する固体に対するスクリーニングの方法に関する。
用語解説
本明細書中の説明を簡略化する目的で、幾つかの造語を使用した。これらの語及び種類(これらは、本書の前後関係で理解されるべきである。)は以下の通りである。
「細胞成長因子(GR)」−細胞の成長又は増殖に関係する物質。成長又は増殖に関するGRの影響は、細胞の成長又は増殖を促進すること、又は細胞の成長又は増殖を阻害することの何れかである。
「内因性GR(EGR)」−体内の細胞によって分泌されるか、又は体内の細胞から発せられる物質であって、小細胞又は体内の他の細胞の成長又は増殖に影響する物質。
「細胞増殖抑制性GR/EGR」−細胞の成長又は増殖を停止する効果又は細胞の成長又は増殖をかなり示す効果を有するGR/EGR。これは、実質的にいずれの細胞の破壊も起こさない。内因性EGRsは、典型的には、一の細胞サイクル段階で細胞サイクルを阻害することによって作用する。
「低分子量−EGR(LMW−EGR)」−約3,000ダルトン以下の分子量を有するEGR。
「筋因子(MF)」−筋細胞によって分泌されるか、又は筋細胞から発せられるLMW−EGR。
「白血球因子(WBF)」−白血球細胞により分泌されるか、又は白血球細胞から発せいられるLMW−EGR。
「起源細胞」−EGRを分泌するか、又は発する細胞。
「標的細胞」−EGRによって影響を受ける細胞。
「調節培地(CM)」−起源細胞の該培地中での成長によって調整された培地。従って、CMは起源細胞によって分泌されたEGRを含有する。
「筋細胞CM及び白血球CM」−それぞれ、筋細胞及び白血球細胞のこれら内での成長によって調整された培地。筋細胞CM及び白血球細胞CMは、それぞれ、MF及びWBFを含有する。
上記用語は以下の説明に関しても解釈され、理解されるべきである。
本発明の背景
「サイトカイン」として知られるEGRsの発見、特徴付け、生物学的試験及び臨床的開発に関する多くの主要な研究がある。今日までに発見されている全てのサイトカインは、数千ダルトンから数万ダルトンの範囲の分子量を有する蛋白質様物質である。サイトカインは、異なった起源及び標的細胞を有し、異なった作用形式を有するが、全てが蛋白質様物質であるという一般的な基準で共通している。
身体での試験で、実験動物内の主要の成長及び増殖を十分に阻害することが報告されている(S.A. Hoffmanら、1962, Cancer Res. 22:597-599; V.E. Baracos, 1989, Chem. J. Physiol. Pharmacol., 67: 864-870)。A. Szent-Gyorgyiら(1963, Science, 140:1391-1392)は、胸腺、大動脈、筋肉及び腱を含む幾つかの組織の抽出物が二種類の物質、即ち1つはマウスの腹水腫瘍の成長を促進するもの(これらを「プロミン(Promine)」と称する。)、他方は、このような成長を阻害するもの(これらを「レチン(Retine)」と称する。)を含むことを報告した。レチンは、室温において一週間以上で分解する比較的不安定な低分子量の物質として上記文献に開示されている。更に単離の方法に基づいて、該基質は親油性であると思われる。筋細胞抽出物による腹水腫瘍細胞の阻害も、T. Nambaら(1968, British J. of Exp. Pathol. 49:294-301)により開示されており、筋細抽出物で見出される阻害活性はシリコン膜を介して透析しうる。熱の影響は透析物では全く見出されていないが、該活性は抽出物の加熱で影響を受ける。
E. Wattaら(米国特許第4,708,948)は、筋組織からも得られる腫瘍の成長を阻害する高分子量のポリペプチドを開示した。M. Djaldettiら(米国特許第5,242,692)は、腫瘍細胞の増殖を阻害する筋細胞から誘導される因子を開示した。筋細胞培養の上清から単離されるこの因子は、電気泳動で決定された25,000〜30,000ダルトンの範囲の見かけの分子量を有することが見出された。
本発明の概要
本発明は、筋細胞又は白血球細胞によって分泌され、発生され、又は産生される新規な物質であって、正常な非腫瘍細胞の増殖に実質的に影響を与えることなく、腫瘍細胞の増殖を阻害するという点において生物学的に活性である物質の発見に基づいている。加えて、これらの物質は、刺激された免疫細胞の増殖を阻害するという点でも効果的であることが見出されている。
従って、本発明は、そのひとつの側面として、実質的に精製された細胞成長調節因子を提供する。該因子は、
(a)以下の特性を有する物質であるLMW−EGR、
i.これが、細胞、特に筋細胞又は白血球細胞から分泌されるか又はこれらによって発生されることによって産生される。
ii.これが約3,000ダルトン以下の分子量を有する。
iii.これが蛋白質性でない。
iv.これが水に可溶である。
v.これが熱に安定である。
vi.これが細胞の増殖を阻害すること、特に腫瘍細胞の増殖又は刺激されたリンパ球の増殖を阻害するという点で生物学的に活性である。
又は、
(b)(a)に従った物質の誘導体であり、細胞の増殖を阻害するという点で生物学的に活性である物質、
の何れかである。
他の側面では、疾患の予防又は治療における前記物質の使用を提供する。この側面に従えば、疾患又は不調の予防のための方法であって、必要なときに、効果的な量の前記GRを対象に投与することを具備した方法を提供する。増殖を阻害するときのGRの活性の様式が与えられる場合、これは典型的には、所定期間にわたって周期的に対象に投与される。更に、本側面に従えば、所定量の前記GRを含有する組成物を提供する。この組成物は、治療に有効な量の前記GRを薬学的に許容しうる担体又は希釈剤と共に含有する薬学的組成物でありうる。該薬学的組成物は、疾患又は障害の予防に有効となるように処方されるか、又は、疾患又は障害の治療に有効となるように処方されうる。該組成物はまた、処方箋なしで購入可能な組成物、例えば汎用性(neutraceutical)組成物、食物添加物、健康食品製剤のようなものでもありうる。最後に、本側面に従えば、このような組成物を調製するための前記GRの使用が提供される。
ガンの治療又は予防のため、又は活動過多の免疫系で起こる種々の症状の治療又は予防、例えば器官拒絶反応に対抗することに向けられた治療、自己免疫疾患の治療等の枠組みの範囲内で、刺激されたリンパ球の(脱離又は減少)活性を阻害するために前記GRを使用することが特に好ましい。
本発明の更なる側面に従えば、個体のガン若しくはガン様状態、又はガンの発達の傾向があるか、若しくはガンの発達の素因を有する個体をスクリーニングするための方法であって、前記個体から得た体液中の前記LMW−EGRのレベルを決定することを具備した方法を提供する。
本発明の更なる側面は、適切な調節培地の活性フラクションの精製に基づく、本発明のGRの調製方法である。
本発明の説明
本発明は、低分子量である新規なEGRsの発見に基ずく。「低分子量」の語は、限外濾過によって決定される分子量が、約3,000ダルトン以下、特に約2,000ダルトン、又は、好ましくは、約500ダルトン以下であるものと理解されるべきである。これらの分子量は近似値であり、実際の数値とみなすことができないことは当業者には明かである。
本発明のLMW−EGRsは、非ペプチド性であること、即ちこれらが蛋白質でもなく、ペプチドでもなく、又はその生物学的活性に役割を演じる蛋白質若しくはペプチド部分を有する何れかの他の基質でもないことが見出された。(本発明の発見は、LMW−EGRが、成長調節因子としてのLMW−EGRの活性に役割を演じないか、又は制限された役割のみを有するペプチド又はペプチド部分に結合するか、又はこれと複合体を形成する形態で存在しうる可能性を除外することはできない。)
本発明に従えば、LMW−EGRsは今日まで、筋細胞のCMから、及び白血球細胞のCMから得られていた。しかし、本発明に従ったLMW−EGRsは他の起源からも得ることができると信じられる。従って、本発明はMF及びWBFに制限されない。対照的に、本発明に従った発見によって得られた知識を授けられ、当業者に利用可能な標準的な技術及び知識を使用することによって、当業者が、本発明の範囲内にある他のLMW−EGRsを見出すことは困難ではないであろう。
MF及びWBFは、腫瘍特異的細胞増殖抑制性のEGRsであることが見出されている。これらは、正常な、非腫瘍形成性細胞に関していずれの顕著な影響も有さずに腫瘍細胞の成長及び増殖を特異的に抑制するという独特の生物学的活性を有する。加えて、MF及びWBFは両方とも、腫瘍に非特異的(即ち、種々の腫瘍細胞の成長及び増殖を阻害するという効果)であり、種非特異的(種々の動物種から得た腫瘍細胞の成長及び増殖を阻害する活性を示す。)であることが見出された。
言い換えれば、MF及びWBFはガン細胞の成長及び増殖を阻害する広い活性スペクトルを有している。更に、本発明に従った発見は、一種の動物種、特に哺乳動物から誘導されたMF及びWBFが、他種の動物、特に哺乳動物のガン治療に使用しうることを意味する。
MF及びWBFは腫瘍増殖抑制性であることが見出されているが、、これらが細胞の幾つかの破壊効果を、特に長期間の暴露によって有しうる可能性があることを指摘すべきである。例えば、MF又はWBF、並びにこれらの誘導体に長期間暴露した後、標的細胞は結局死亡、例えばアポトーシスを起こしうる。
腫瘍細胞の成長及び増殖を阻害するこれらの活性に加えて、MF及びWBFはマイトジェンに対するリンパ球の応答の阻害、及び混合リンパ球細胞の反応(MLR)の阻害によって証明されるように、リンパ球の増殖も阻害する活性が見出された。このことは、本発明のGRsが免疫抑制活性を有しうることを意味する。
一度LMW−EGRが1つの種から単離されると、他の種から相同性のLMW−EGRを見出すことができることは明かである。例えば、現在までは、本発明に従って得られるMFは、ラットおよびヒト起源のものであった。他の種、特に哺乳動物種からも相同性のMFsを得ることができることは疑いない。同様に、本発明に従って今日までに得ることができるWBFはヒト起源である。他の種、特に哺乳動物からの相同性WBFsも得ることができる。本発明はこのような相同体も包含する。
本発明のGRは、単一の分子であるか、細胞の成長及び増殖に影響を与える添加剤又は共同的な方法で共に操作される分子のグループであるか、又はこのような活性を有する分子複合体であり得る。
一度単離されれば、例えば化学的な修飾によって誘導体を調製することができる。該LME−EGRの誘導体は、LMW−EGRの生物学的活性と同様の生物学的活性を有するであろう。LMW−EGR又はこのようなLMW−EGRの相同体と同様の生物学的活性を有する誘導体は、例えばLMW−EGRを特徴づけるために使用されるのと同様の生物学的試験を使用して同定することができる。例えば、腫瘍細胞の成長又は増殖を阻害する活性を有するMF及びWBFの場合、誘導体及び相同対は、場合によっては、in vitroで成長された腫瘍債オブの成長又は増殖の阻害活性対して他の種からの合成誘導体又は機能化されたCMを試験することによって、又はMLRを阻害する能力によって見出されうる。当業者は、各場合で、適切な生物学的試験を選択できることは疑いないであろう。
誘導体は、前記LMW−EGRと同様の分子構造を有する分子でありうるが、このうちには、1以上の化学基が他の化学基によって置換されているもの、前記LMW−EGRの還元又は酸化生成物等がある。
本発明のGRは、種々の治療目的であって、これを必要としている対象に、治療に効果のある量で投与するために使用しうる。前記GRが使用される1つの好ましい治療指針は、ガンの治療又は予防である。治療に対しては、ガンの病歴のある個体に、例えばガンの再発を抑制するためにGRが投与されうる。このような治療は、典型的には、化学療法、放射線療法、又は外科手術のような癌の除去又は破壊を意図した初期治療の継続的管理であろう。予防のためには、前記GRはガンを持たない個体、又は何れかの癌性症状の診断の前の個体、特に癌の発達の傾向があるか、又はその素因を有する高リスクの個体に投与されうる。高リスクの個体は、癌を発達させる発生学的な素因を有しうるような、例えば、癌を伴うことが知られている種々の遺伝子の1つを有すると診断された個体、癌の病歴を持つ一族の個体、光照射、カルチノーゲンへの暴露等のような種々の環境因子にさらされて起こる癌を高リスクで発達させる個体等でありうる。
標的細胞の迅速な破壊以外で標的細胞の増殖を阻害するGRの生物学的活性が示されれば、GRは典型的には、所定期間周期的に投与されるであろう。しかし、すでに、先に指摘したように、これらの成長を長期間抑制し続ければ、腫瘍細胞は結局死亡し、その結果、所定期間後には治療を停止することができるであろう。
前記GRの他の好ましい治療指針は、免疫系の成分の活性を阻害することである。この例には、自己免疫疾患の治療、移植治療の枠組みの範囲内での使用、即ち器官又は組織の拒絶を予防することを意図した移植後の治療等である。
本発明のGRsは、腫瘍が引き続きの腫瘍細胞の筋肉内又は腹腔内接種によって誘導される一次腫瘍に対する動物モデル、並びに腫瘍が腫瘍細胞の静脈内接種で誘導される転移に対する動物モデルを含めた種々の動物モデルで試験された。GRは、両種のモデルで腫瘍の発達を阻害するのに効果があることが見出された。GRsは、非経口及び経口投与の両方で腫瘍の発達を阻害することが見出された。公知のように、経口投与は、非経口投与より生理学的にかなり許容できる。従って、癌の治療又は予防、特に長期間にわたって周期的にGRを投与することを含めた治療又は予防管理に対しては、経口投与の経路が好ましい。
GRは、効果的な量の前記GRと共に、前記GRに適合した生理学的に許容しうる担体を含有する薬学的組成物に製剤化される。前記GRは、水に可溶であることが見出されており、従って、非経口投与に対しては、生理学的に許容しうる担体は生理食塩水でありうるか、又は経口投与に対しては食用の水溶液であり得る。加えて、経口投与に対して、GRは、カプセル、錠剤等の種々の投与量形態に製剤化されうる。更に、GRはまた、凍結乾燥され、使用前に担体又は希釈剤と混合されうる。
本明細書中で使用される「効果的な量」の語は、所望の効果を達成するのに十分な量であると理解されるべきである。例えば、癌治療の場合、効果的な量は、与えられた治療管理で腫瘍細胞の成長又は増殖を阻害するのに十分な前記GRの量である。例えば、これは、発生の割合の減少又は腫瘍転移の数の減少又は癌に関連した死亡率の減少によって明かとなる。癌の予防の場合、効果的な量は、与えられた予防的な投与管理で、一次癌性成長の発生を防止するのに効果的な前記GRの量である。
薬学的組成物へのGRの処方に加え、本発明のGRはまた、他のタイプの組成物、例えば食品添加組成物、汎用性組成物(neutraceutical compsition)、処方箋なしで購入可能な「健康」製品等に処方されうる。
本発明に従って行われる実験は、癌患者の白血球細胞が正常な健康な個体の白血球細胞よりも低い量のLMW−EGRを分泌することを示した。従って、体液(例えば血清、尿等)内、又は細胞、例えば個体の筋細胞若くは白血球細胞の培養上清のLMW−EGRのレベルを決定することによって、個体の癌を診断すること、並びに個体の癌の状態の指針を得ることができるであろう。加えて、体液中又は前記上清中のLMW−EGRのレベルの決定は、癌を発達する傾向があるか又はその素因を有する個体に対してのスクリーニングを基にしうる。LMW−EGRのレベルの決定は、体液又は上清の活性、又は腫瘍細胞の増殖を阻害するこれらの適切なフラクションの活性を試験することを含めた生物学的アッセイによって行われうる。このような生物学的アッセイに加えて、LMW−EGRの存在も、それ自体当業者によって一般に知られた多くの分析法によって決定されうる。この方法には、LMW−EGR特異的抗体の使用に基づいた種々の免疫学的アッセイ、適切な化学剤、例えば着色剤の使用に基づくアッセイ、分光学的なアッセイ又は照射の吸収、例えば光吸収に基づくアッセイ、種々のクロマトグラフィー技術等が含まれる。
本発明の他の側面によれば、本発明は生物起源から得た本発明のGRの精製方法を提供する。この側面に従った方法は、
(a)細胞が、これらの回りの媒体へ細胞成長因子を産生し、分泌し、又は発生する条件で細胞を成長すること、
(b)細胞培養の上清を集めること、
(c)約3,000ダルトン以上の分子量の物質を含有する上清のフラクションと、約3,000以下の分子量の物質を含有する上清のフラクションを分離し、後者を選択すること、
を具備する。
ステップ(c)で選択されたフラクションは種々の技術、特にクロマトグラフィー、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で更に精製しうる。
以下に、本発明を添付した図面を随時参照して本発明に従って行われる幾つかの実験によって例示する。これらの実験では、MF及びWBFのin vitro及びin vivoでの活性を示した。また、MFの精製及び特徴付けの手順を開示した。この例示は、添付の請求の範囲で定義される本発明の完全な範囲を例示する以外、本発明の範囲を制限すると解釈すべきでないことは当業者に明かであると確信する。当業者が、上記及び以下の説明に基づいて、その権利主張した全ての範囲で本発明を行いうることは疑いないであろう。
【図面の簡単な説明】
図面において、
図1〜9は、3,000ダルトンで分子をカットオフする膜を通して濾過された筋細胞CM又は白血球細胞CMの濾液に含まれるMF又はWBFの効果を示す(このような濾過物は、本明細書中において、「3,000ダルトンのMF限外濾過液」及び「3,000ダルトンのWBF限外濾過液」とそれぞれ称する。)。これらの図において、細胞を96ミクロウェルプレートで成長させ、幾つかの希釈(「1」−未希釈、「2」−二倍希釈等)で3,000ダルトンのMF濾過物を用いてインキュベートした。全ての実験で、非調節培地を対照に用いた。図1〜4、6、8及び9、特に図7において、細胞のパーフォレーションを3H−チミジンの取り込みによって測定した。縦軸は放射能のカウントを示す。図5及び特に図7において、パーフォレーションを細胞カウントによって測定した。縦軸は細胞数を示す。
図1は、2種類の腫瘍細胞系、B16(これはネズミメラノーマ細胞系(図1A)である。)、HTB−38(これはヒトアデノカルチノーマ細胞系(図1B)である。)の増殖に関する、新生児ラットの横紋筋細胞の一次培養物から得た2,000ダルトンのMF限外濾過液の影響を示す。この図において、3,000ダルトンのMF限外濾過液の活性を粗製の調節培地(「粗製CM」)の活性と比較した。
図2は、2種類の正常な非腫瘍細胞、ラット繊維芽細胞(図2A)、ネズミ骨髄細胞(図2B)に関する、新生児ラットの横紋筋細胞の一次培養物から誘導された3,000ダルトンのMFの影響を示す。
図3は、2種類の腫瘍細胞系、B16(図3A)、MCA−105(ネズミ肺のメチルコラントレンで誘導された肉腫系(図3B)の増殖に関する、ラット横紋筋細胞系、L−8から誘導された3,000ダルトンのMF限外濾過液の影響を示す。
図4は、2種類の正常なタイプの細胞、ネズミ骨髄細胞及びラット繊維芽細胞の一次培養物に関する、L−8細胞から誘導された3,000ダルトンのMF限外濾過液の影響を示す。
図5は、細胞のカウントに基づく細胞成長アッセイでのNb2−11Cラットリンパ腫系細胞の成長に関する、新生児ラットの横紋筋細胞の一次培養物から誘導される3,000ダルトンのMF限外濾過液の影響を示す。このアッセイにおいて、細胞は、G0/G1フェーズにシンクロナイズされ、3,000ダルトンのMF限外濾過液の粗製CMは対照培地が添加され、次で成長がhGHの添加によって刺激された。
図6は、幾つかの腫瘍細胞系の増殖に関するL−8細胞から誘導される3,000ダルトンのMF限外濾過液の影響を示す。各場合の結果は、それぞれの実験における対照に対しての百分率である。
図7は、ヒト筋芽細胞から誘導される3,000ダルトンのMF限外濾過液の影響を示す。B−16及びK562細胞の成長は、3H−チミジンの取り込みによって決定した。NBT細胞の増殖は細胞のカウントによって決定した。
図8は、ネズミ及びヒト腫瘍細胞の増殖に関する、ヒトリンパ球から誘導された3,000ダルトンのWBF限外濾過液の影響を示す。増殖を対照に対する百分率として示した。
図9は、PHAに対するリンパ球応答及び混合リンパ球反応(MLR)におけるL−8細胞から誘導される3,000ダルトンのMF限外濾過液の影響を示す。
図10は、被爆された2匹のそれぞれのマウスの腹膜を示す画像である。ここで、腫瘍は2×105のMCA−105細胞の腹腔内注射によって誘導された。注射の後、右側のマウスを、分取用逆相(RP)C18高速液体クロマトグラフィーカラムから溶出されたフラクション(このフラクションを以下の本文で「MF−SP」と称する(7.6.2参照)。)を含む0.5mlのMFを腹腔内注射することによって一日に二回処理した。左側のマウスには対照のRPMI培地を注射した。
図11は、被爆された2匹のそれぞれのマウスの腹膜を示す画像である。腫瘍は5×105個のB−16メラノーマ細胞の腹腔内注射によって誘導された。右側の図は、L−8細胞から誘導された3,000ダルトンのMF限外濾過液(PBS中)の1mlをi.p.注射で一日に一回処理したマウスである。左側の図は、対照のPBS培地をi.p.注射で一日に一回処理したマウスである。
図12は、2.5×105個の細胞でi.p.注射されたそれぞれのマウスの被爆された腹膜を示す画像である。図12Aに示されるマウスは、一日に1オンスあたり、L−8細胞から誘導される3,000ダルトンのMF限外濾過液の1ml(p.o.)で処理されたマウスのグループからのものである。図12Bに示されたマウスは、対照のRPMI培地でp.o.処理された対照マウスのグループからのものである。
図13は、5×105個のB−16メラノーマ細胞でi.v.注射されたマウスの単離された肺を示す画像である。上側の列の肺は、一日に1mlの対照のPBS溶液を用いて、p.o.投与した動物のグループから得たものである。下側の列の肺は、一日にL−8細胞から得られた3,000ダルトンのMF濾過物の1mlをp.o.投与で処理した動物より成る実験グループから得たものである。
図14は、癌患者の血液及び健康な個体の血液から得た白血球の上清からの3,000ダルトンの限外濾過液の、3種類の腫瘍細胞系(B−16、SK及びK−562)の増殖の阻害に関する影響を示す。
図14aは、3,000ダルトンの限外濾過液にさらされた後の、対照に対する3種類の細胞系の増殖を示す。
図14bは、阻害率として与えられる飛散結果を示す(阻害は、増殖の逆数である。100%の増殖は0%の阻害である、等である(100%以上の増殖の結果も「0%」のスコアーで示した。)。)。
図15は、RP−HPLCカラムを介して再クロマトグラフィーにかけたMFを含有する溶液の220nmでの溶出プロフィールを示す(再クロマトグラフィーは、最初のクロマトグラフィーと同じカラムを用い、同じ方法で行った。)。
図16〜21は、細胞カウントで決定された、Nb2細胞の成長の阻害において、種々のHPLCカラムから溶出された種々のフラクションの活性を示す。これらの図の各々の横軸はチューブの番号を示す(流速及び各チューブの容積に関しては以下の本文を参照。)。縦軸は、ブランクと比較した細胞の相対数を示す(Nb2細胞の成長培地には何れの溶液も添加せずに細胞を成長させ、これを100%とした。)。
図16及び17は、NB2細胞の増殖の阻害における、2種類の異なった操作で、分取用RP−HPLC(C−18)カラムから溶出された種々のフラクションの活性を示す。カラムに供給された溶液は、L−8細胞から誘導された3,000ダルトンのMF限外濾過液(PBS中)又は対照のPBS溶液である。図16において、MFを含有する溶液は白丸(○)で、対照のPBS溶液は黒丸(●)で示した。図17において、MFを含有する溶液は黒三角(▼)で、対照のPBS溶液は黒丸(●)で示した。
図18は、NB2細胞の増殖の阻害における、分析用RP−HPLC(C−18)カラムから溶出された種々のフラクションの活性を示す。このカラムに供給された溶液は、図16から得たフラクション5及び6の貯蔵物から成る。MFを含む溶液−黒丸(●)、対照−白丸(○)。
図19は、Nb2細胞の増殖の阻害における、スーパーデックス(superdex)カラムから溶出された種々のフラクションの活性を示す。カラムに供給された溶液は、250mlのチューブ9〜10、520mlのチューブ10〜11及び600mlのフラクション11〜12より成る図17の溶出物から得た貯蔵溶液である。
図20は、Nb2細胞の増殖の阻害における、分析用RP−HPLCカラムから溶出された種々のフラクションの活性を示す。カラムに供給された溶液は、図17のチューブ6〜12の貯蔵物である。MF溶液−黒四角(■)、対照、PBS溶液−白丸(○)。
図21は、Nb2細胞の増殖の阻害における、サイズ排除(SE)カラムから溶出された種々のフラクションの活性を示す。カラムに供給された溶液は、図17で示された分取用RP−HPLCカラムから溶出された別のフラクションである。フラクション「A」、チューブ6〜8 − 白丸(○);フラクション「B」、チューブ8〜10 − 黒丸(●);フラクション「C」、チューブ10〜12 − 白三角(▽);及びフラクション「D」、チューブ12〜14 − 黒三角(▼)。
図22は、Nb2細胞の増殖の阻害における、スーパーデックスカラムから溶出された種々のフラクションの活性を示す。カラムに供給された溶液は、以下のような図21の溶出物から得た種々のフラクションより成る。
図22Aは、以下の供給溶液、即ちフラクションCのチューブ28〜30 − 白丸(○);フラクションCのチューブ22〜23 − 黒丸(●);フラクションBのチューブ29〜33 − 白三角(▽)の結果を示す。更に
図22Bは、以下の供給溶液、即ちフラクションCのチューブ31〜32 − 黒丸(●);フラクションCのチューブ23〜26 − 白丸(○);フラクションBのチューブ29〜33 − 白三角(▽)の結果を示す。
図23は、Nb2細胞の増殖の阻害における、分析用RP−HPLCから溶出された種々のフラクションの活性プロフィールを示す。カラムに供給された溶液は、分取用RP−HPLCカラムから得た活性フラクション(18%〜28%アセトニトリルで溶出)より成る。
図24は、Nb2細胞の増殖の阻害における、細部排除カラムから溶出されたフラクションの活性プロフィールを示す。カラムに供給された溶液は、図23に示されたアリコートから得たフラクション13〜17である。
図25は、Nb2細胞の増殖の阻害における、親水性相互作用カラム(CHO)から溶出された種々のフラクションの活性プロフィールを示す。カラムに供給された溶液は、図24に示されたアリコートからの貯蔵されたフラクション27〜30である。
図26は、サイズ排除カラムから得た活性フラクション(27〜32分の間で溶出されたフラクション)のNMRスキャンを示す。
本発明の詳細な説明
以下において、筋細胞CM及び白血球細胞CMから得た活性フラクションの活性を議論する場合、しばしば「MF」又は「WBF」の表記を用いる。これら2種類のCMsが以下に開示される活性を有する1以上のファクターを含有する可能性のあることが理解されるべきである。実際に、本発明に従って得られたHPLCフラクションの結果(その幾つかを以下に示した。)はこの様式で説明されうる(しかし、他の説明も可能である。)。従って、例えば筋細胞CMは腫瘍成長抑制効果を有する1以上のファクターを含有しうる。従って、例えば「the MF」等としばしば表される表記は、筋細胞CMが「MF」と称される全ての物質の一以上を実際に含有しうるので、単一のLMW−EGRのみを含有する筋細胞CMを意味すると解するべきではない。
1. 調節培地
1.1 MF
MFを、以下の3つのタイプの筋細胞調製物の調節培地(CM)から得た。
1.1.1 新生児ラットの一次培養物
24〜48時間齢の新生児ラットの後肢から筋を分離し、小片に切り刻んだ。0.25%トリプシンバルサン(tripsinvarsan)溶液でトリプシン化した後、細胞を組織培養皿に予めプレート化し。繊維芽細胞及び単球を除去した。細胞をカウントし、富化されたダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM)に播いた。5日後、培養物は収縮した筋細胞を含んでいた。次に、培地をデカンテーションし、RPMI又はPBS培地を添加した。細胞をRPMI培地中で24時間、並びにPBS中で8時間若しくは24時間インキュベートした。次に、上清を集め、遠心し、更に加工するまで−20℃の冷凍庫に保存した。
1.1.2 ラット筋細胞系(L−8)
L−8系(アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)−ATCC、名称CRL1769から入手可能)は、新生児ラットの骨格筋芽細胞系(これは、成長因子を添加することなく増殖する未分化筋芽細胞を含有する。)である。L−8細胞を培養皿に播き、4%グルコースを含有するRPMI培地(この培地は、これ以後「RPMI」と称する。)中で成長させた。3日後、分離した培養上清を捨て、RPMI又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で置き換え、次いで更に24時間インキュベートした。次に、上清を集め、すぐには更に加工しない場合には、−20℃の冷凍庫で保存した。
1.1.3 ヒト筋芽細胞
ヒト生検から得たヒト筋芽細胞を循環式培養フラスコ中で集塊するまで培養した(米国特許5,130,441参照)。培養培地を除去し、DMEM又はPBS溶液で置き換え、細胞を更に24時間該溶液中でインキュベートした。次に、上清を集め、細胞を遠心によってこれから分離した。
1.2 WBF
WBFを単核細胞の調節培地からえた。単核細胞を以下のようにして静脈血から単離した。20mlの静脈血をヘパリン化したシリンジを用いてヒト供与体から採取した。ヘパリン化された血液をPBSで1:1に希釈し、15mlのフィコール−ハイパックTM(Ficoll-HypaqueTM)(ファルマシア、スウェーデン)又はヒストパックTM(HistopaqueTM)(シグマ、セントルイス、U.S.A.)上に層状に重ね、400×gで30分間遠心した。単核細胞を含有する中間面を集め、PBSで三回洗浄した。
2×106/mlの単核細胞をPBSに懸濁し、5%CO2、95%空気の湿らせた雰囲気中、37℃で48時間インキュベートした。次に、細胞懸濁物を遠心し、上清を集めた。
2. 限外濾過
500、2,000、2,000及び10,000ダルトンの分子カットオフを有するフィルター(セントリコンTM(CentriconTM)、アミコン(Amicon)、U.S.A.)を用いて、上記起源から得られたCMを限外濾過にかけた。
MFは、10,000、3,000、2,000ダルトンの分子カットオフを有する膜を通した限外濾過液、並びに500ダルトンの分子カットオフを有する膜の限外濾過液に存在することが見出された。これを更に以下に示す。WBFを3,000ダルトンの分子カットオフを有する膜を通して限外濾過した。限外濾過液にはWBFが含まれることが見出された。
500、2,000等の分子カットオフのフィルターを通した筋細胞CM限外濾過液は、本明細書中では「500ダルトンのMF限外濾過液」「2,000ダルトンのMF限外濾過液」等と称する。3,000ダルトンの分子カットオフを有するフィルターを通したリンパ球CMの限外濾過液は、本明細書中では「3,000ダルトンのWBF限外濾過液」と称する。
3. MF及びWBFによるin vitroでの腫瘍細胞増殖の阻害
3.1 方法
3.1.1 細胞系
このin vitroアッセイでのMF及びWBFの効果を、幾つかの腫瘍細胞系及び幾つかの非腫瘍細胞系で試験した。試験された細胞は以下の通りである。
(a)腫瘍細胞系
ヒト結腸から誘導されたアデノカルチノーマ細胞(ATCC、名称HTB−38)であるHT−29、
ネズミ肺のメチル−コラントレンで誘導された肉腫細胞系であるMCA−105、
ネズミメラノーマ細胞系であるB16−F1、
ヒトメラノーマ細胞系であるSK−28、
ヒト白血病細胞系であるK−562、
胸部カルチノーマ細胞系であるDA3細胞、
胸部カルチノーマ細胞系であるMCF−7、
ホルモン依存性のラットリンパ腫細胞系であるNb2−11C(即ち、これらの細胞の成長には成長ホルモンが必要である。)(Gertlerら、1985 Endocrinol., 116:1636-1644)、及び
乳腺刺激性ホルモン依存性のラットリンパ腫細胞系であるNb2−SP
(b)非腫瘍細胞
ネズミ骨髄細胞系、
第一期ラット繊維芽細胞、及び
ヒトリンパ球細胞系であるIM−19。
3.1.2. 3 H−チミジン取り込みアッセイ
試験細胞(3H−チミジンの取り込みをアッセイする細胞)を1×104細胞/マイクロウェルの初期細胞密度で、96マイクロウェルプレートに播いた。各マイクロウェルにはRPMI及び、調節培地(RPMI又はPBSの何れか中の筋細胞CM又は白血球細胞CM)、細分されたCM、対照のRPMI又はPBS(即ち調節されていないもの)、又は細分された対照RPMI又はPBSの何れかである試験溶液の混合物が含まれる。各試験溶液の結果を対応する対照と比較した(例えば、PBS中に細分された試験溶液を細分されたPBSと比較する等。)。37℃で42時間インキュベートした後、各マイクロウェルに10μCの3H−チミジンを加え、次いでAにこの放射性マーカーを用いて6時間更にインキュベートした。次に、取り込まれた3H−チミジンの量を液体シンチレーションカウンターで測定した。
3.1.3 細胞カウントアッセイ
NB2−11Cラットリンパ腫細胞系の細胞をシンクロナイズし、細胞を5%胎児牛血清を添加したRMPI中で培養する以外、これまでに開示された(Gertlerら、1985, Endocrinol., 116:1636-1644)ように培養した。G0/G1フェーズでのNb2−11C細胞のシンクロナイズ及び自己増殖のモニターを先に開示(Gertlerら、上記文献)されたように行った。手短に説明すれば、馬血清を添加した培地に細胞を移し、一夜インキュベートした。次いで、該細胞を約3×105細胞/mlに希釈し、24ミクロウェルプレートに0.5ml/ウェルで、複数のウェルに分配した。次に、0.5mlまでの量の試験溶液を加え、自己増殖を2mg/mlの最終濃度でhGHを添加することによって開始した。細胞を5%のCO2を含有する雰囲気中、37℃でインキュベートし、72時間インキュベートした後、これらをコールター−カウンターでカウントした。各実験を二回繰り返して行った。
Nb2−SP及びIM−9細胞系の細胞を同様の方法で試験した。
3.2 結果
3.2.1 MF
新生児ラット横紋筋細胞の一次培養物から誘導された3,000ダルトンのMF限外濾過液を用いた結果を図1及び図2に示し、L−8細胞から誘導された3,000ダルトンのMF限外濾過液を用いた結果を図3及び4に示した。これらの各々の図において、横軸の数字は、希釈の逆数(「1」−未希釈、「2」−二倍希釈等)を表し、縦軸は、放射能(1分あたりのカウント数−CPM)を示す。対照「各々の場合で、左側の縦棒)にはCMと同じ方法で加工された未調節の培地を用いた。
図1及び3に示されるように、ラット横紋筋細胞(図1)の一次培養物又はL−8横紋筋細胞(図3)から得たMFは腫瘍細胞の増殖を阻害したが、正常細胞にはこのような阻害効果は全く有していなかった(それぞれ図2及び図4)。また、粗製CMに存在する抗増殖活性が限外濾過液で維持されるという事実によって明らかなように、MFは3,000ダルトンの分子カットオフを有する膜を通して濾過されることがわかるであろう。更に、図1及び3から明らかなように、MFの影響は希釈の程度を上げるに従って減少し、これは更に、この効果が限外濾過液で特異的なファクターによって媒介されることを示している。
図5は、種々の希釈率において、L−8系から誘導された粗製CM、並びにその3,000ダルトンでのMF限外濾過液の活性を示した。明らかなように、粗製CMは、限外濾過液で維持される抗増殖活性を示した。更に、この効果は、希釈の程度を上げるに従って減少し、これはまた、これが特異的なファクターで媒介される活性であることを示している。
L−8細胞系から誘導される3,000ダルトンのMF限外濾過液(未希釈)の効果は、図6に示されている(結果は対照に対する百分率として示されている。各実験の対照を100%とみなした。)。明らかなように、MFは試験された全ての腫瘍細胞系の増殖を阻害する活性を有していた。
図7は、3種類の細胞系の増殖の阻害における、ヒト筋芽細胞から誘導される3,000ダルトンのMF限外濾過液の活性を示す(結果は対照に対する百分率で示されている。)。B−16及びK562細胞系の増殖は、3H−チミジンの取り込みを決定することで試験した。Nb2細胞系の増殖は細胞数をカウントすることによって試験した。ヒトから誘導されたMFは試験された全ての細胞系の増殖の阻害において活性であることがわかる。
他の実験で、腫瘍細胞の増殖を阻害する活性が見出された分取用RP−HPLCから得られたフラクション(図15からのフラクション5及び6)を一緒に貯蔵し、45℃でエバポレートし、次いで5mlの水に溶解し、チューブに移し、再度真空下で乾燥し、最後に2mlの水に溶解し、無菌化した。これらのフラクションの所定量を試験し。3種類の異なった細胞系、Nb2−11C、nb2−SP及びIM−9の増殖を阻害するこれらの能力を決定した。
結果を以下の表Iに示した(増殖は細胞のカウントで決定した。)。
Figure 0003778366
明らかなように、MFは、ホルモン依存性Nb2−11C腫瘍細胞系、並びにホルモン非依存性Nb2−SP腫瘍細胞系の増殖を阻害した。これとは対照的に、MFは、非腫瘍性のヒトリンパ球細胞系IM−9には基本的に効果がなかった。
図8は、ネズミ及びヒト細胞系の増殖における、3,000ダルトンのWBF限外濾過液の効果を示す。ここでも明らかなように、WBFは、試験されたネズミ及びヒト起源の全ての細胞系の増殖を阻害した。
4. MF及びWBFによるPHAに対するリンパ球応答及びMLRのin vitroでの阻害
2個体から得たリンパ球を一緒に培養すると、各個体に対するHLAはリンパ球増殖を起こすであろう細胞反応を起こす(増殖は、2個体のHLA抗原間の差に直接に関連する。)。この反応のWBF又はMFの効果を調査するために、2個体から得た1×106細胞/mlの単核細胞(この細胞は上記1.2で説明したように調製した。)を10%FCSを含有するPBS中でインキュベートし、異なった希釈の3,000ダルトンのMF及びWBF限外濾過液をこの細胞に加えた。培養物を、5%CO2、95%空気の湿らせた雰囲気中、37℃で5日間インキュベートした。インキュベーションの債簿の6時間の間に、各ウェルに1μCiの3H−チミジンを添加した。細胞を回収し、3H−チミジンの取り込みをLKB液体シンチレーションカウンター(LKB、ピスカタウェイ、NJ、U.S.A.)で決定した。
PHA(フィトヘマアグルチニン)はリンパ球の細胞表面糖に結合し、引き続きの細胞増殖を伴う芽細胞形成へのリンパ球トランスフォーメーションを誘導する。PHAで誘導される反応に関するMF又はWBFの効果を調査するために、単核細胞を、106細胞/mlの濃度で、10%胎児牛血清(イスラエルインダストリーズ、ベト−ハ−エメク(Bet-ha-Emek)、イスラエル)及び1μg/mlのPHA(ウェルカムラボラトリーズ、U.K.)を添加した各々0.2mlのRPMIを含有する96ウェルのマイクロウェルプレートに播いた。幾つかのウェルでは、0.2mlのRPMIは、半分が本来のRPMIより成り、半分がRPMI中の、L−8細胞から得た3,000ダルトンのMF限外濾過液より成る。培養物をCO2インキュベータ中で4日間インキュベートし、インキュベーションの期間の最後に1μCiの3[H]−チミジンを加え、更に24時間インキュベートし、ダイアテック(Dyatech)細胞回収機で回収し、放射能をLKBシンチレーターでカウントした。
図9は、PHAに対するリンパ球反応及びMLRの阻害におけるMFの効果を示す(結果は1:1希釈に対して示されており、対照に対する百分率として与えられている。)。定性的には、同様な結果がWBFで得られた。更に、MF及びWBFの両方の効果は希釈に比例した(希釈の程度を上げると効果は減少する。)(結果は示していない。)。
5. in vivoでの研究
5.1 MFでのi.p.接種、i.p.治療による腫瘍(MCA)の誘導
30匹のC57BL6/Jマウスに2.5×105のMCA−105細胞を腹腔内注射した。このマウスを、「MF−SP」と以下(6.5.2節)で命名したRP−HPLCフラクションの5mlでi.p.注射することによって一日に二回処理した。このマウスを33日目に殺し、腫瘍病巣を評価した。
代表的な結果を、腹腔を開いた2匹の動物を表した図10に示した。ここで、図10Aに示された動物はMF−SPフラクションで処理したものであり、図10Bに示された動物は対照のRPMI培地で処理されたものである。明らかなように、非常に大きな腫瘍の成長が対照動物で観測された(図10Bの矢印)が、非常に小さな、目立たない腫瘍病巣(図10Aの矢印によって示されるもの)が、MF−SPで処理された動物で観測された。
5.2 MFでのi.p.接種、i.p.治療による腫瘍(B−16メラノーマ)の誘導
40匹のC57BL6/Jマウスに5×105個のB−16メラノーマ細胞をi.p.注射した。20匹のマウスを対照として供与し、PBSを毎日i.p.注射した。20匹のマウスをL−8から誘導された3,000ダルトンのMF限外濾過液の1mlで毎日処理した。これらのマウスを15日目に殺し、動物の腹腔での腫瘍の成長の程度を試験した。核実験グループの代表的な2匹のマウスの開腹した腹腔を表す図11から、非常に大きな多数の腫瘍病巣が対照動物で見出すことができたが、処理動物では僅かな非常に小さい腫瘍病巣のみが存在していることがわかる。
5.3 i.p.接種による腫瘍(MCA−105)の誘導。i.p.及びp.o.の両投与によるMFでの治療
30匹のC57BL6/Jマウスに2.5×105個のMCA−105細胞をi.p.注射した。10匹のマウスを経口(p.o.)投与によりL−8マウス細胞から誘導された3,000ダルトンMF限外濾過液の1mlで毎日処理した。10匹のマウスを同じ溶液のi.p.注射により毎日処理した。10匹のマウスを対照グループとして供し、RPMI培地を用いてp.o.で毎日処理した。
これらのマウスを30日目に殺し、これらの腹腔を露出し、これらの腫瘍成長の程度を試験した。各グループの代表的な2匹のマウスを図12にし示した。(図12A−MFで処理したマウス。図12B−対照)。図12Aから解るように、MF処理された動物の腹腔で腫瘍増殖の形跡は全くなかったが、対照グループの動物の腹腔では大きな腫瘍病巣が現われた。この実験で、90%の対照グループのマウスに腫瘍病巣が発達したが、MFを用いてi.p.又はp.o.の何れかで処理したマウスの40%のみで病巣が発達した。
5.4 i.m.接種による腫瘍の誘導(DA3胸部カルチノーマ)。i.p.及びp.o.投与によるMFでの治療
1×106個のDA3細胞を、30匹のBALB/Cマウスの足に筋肉内(i.m.)注射した。10匹のマウスを対照として供与し、PBSのi.p.注射により毎日処理した。10匹のマウスに、L−8筋細胞から誘導される3,000ダルトンのMF限外濾過液(PBS中で調製した。)の1mlのi.p.注射によって毎日処理した。10匹のマウスを、同様のMFを含有する溶液でp.o.投与(1ml)により処理した。マウスは、足に大きな腫瘍を発育させた。3週間後、マウスを殺し、転移による肺病巣が検出され、肺のこの病巣をカウントした。対照グループで23.4±6の転移病巣をカウントしたが、これに対して、i.p.処理グループでは6.2±1.3の病巣をカウントし、p.o.処理グループでは2.2±0.6の病巣をカウントした。
5.5 i.v.接種による腫瘍の誘導(B−16メラノーマ)。p.o.投与によるMFでの治療
30匹のC57BL/6Jマウスに5×105個のB−16メラノーマ細胞を静脈内注射した。20匹のマウスに、L−8細胞から誘導された3,000ダルトンのMF限外濾過液の1mlで、腫瘍の接種の日から開始して毎日p.o.投与により処置した。10匹を対照として供与し、PBSのみをp.o.投与した。18日目にマウスを殺した。黒色腫瘍病巣の発達がこれらの肺に観測された。2つのグループの代表的な肺を図13に示した(上列−対照。下列−MF処理。)。明らかなように、対照グループの肺に多くの黒色転移病巣が存在したが、実験グループではわずかな小さな病巣が見出されたのみであった。
6. 健康な個体及び癌患者から得た白血球細胞から分泌されたWBFの度合い
単核細胞を23の健康な個体の静脈血(血液銀行から得たサンプル)、及び33の入院している癌患者から単離した。手順は1.2で開示したとおりである。上清を2×106/mlの単核細胞の培養物から集め、上清を集め、次に、2で開示したように、3,000ダルトンの分子カットオフを有するフィルターを通して限外濾過した。
限外濾過液を、3種類の癌細胞系、B−16ネズミメラノーマ、SKヒトメラノーマ、及びK−562ヒト白血病細胞系から得た癌細胞の増殖を阻害するその能力に対して試験した。
結果を図14に示した。図14Aからわかるように、健康な個体の単核細胞から得た限外濾過液は、試験された細胞系の50%以下の顕著な増殖の阻害を示したが、癌患者からの限外濾過液では、非常にわずかな、決して十分ではない増殖の阻害のみであった。図14Bから更に明らかなように、2つのグループ間の重なりは全くなかった。
これらの結果は、健康な個体から得たリンパ球によって分泌されたWBFに比べて癌患者から得た単核細胞によって分泌されたWBFのレベルがかなり低い程度であることを示している。従って、これらの結果は、本発明のLMW−EGRのレベルを試験する診断の意義を示している。加えて、WBFの能力レベルも重要な治療の有為性を有する。
7. MFの特徴づけ
7.1 バイオアッセイ
筋細胞CMを、以下で更に説明するように分別し、種々のフラクションを上記の細胞系を用いてアッセイした。細胞の成長に関する各フラクションの効果を3Hチミジンの取り込み、又は上記の細胞カウントアッセイによって決定した。
7.2 MFの推定タンパク質特性の試験
MFがタンパク質用物質であるか否かを決定するために、筋細胞CM(ラット筋細胞一次培養物から誘導されたもの。)を、タンパク質分解酵素に対する感度、凍結乾燥の間の安定性、及び種々の温度でのインキュベーションの効果を含む一連の処理にかけた。このような処理の後、CMを最初の培地出希釈することによって最初の塩及びタンパク質濃度に戻すか、又は希釈されている場合にはタンパク質濃度の希釈因子を、結果を評価するために考慮に入れた。使用したアッセイは3Hチミジンの取り込みアッセイであった。
7.2.1 蛋白質分解酵素の効果
トリプシン及びプロナーゼ(この2つは、蛋白質分解酵素製剤である。)を試験した。トリプシンの効果を決定するために2種類の手順を使用した。
(i)MFを含有する溶液を37℃で4時間トリプシン(0.5〜2μg/ml)でインキュベートし、次いでトリプシン活性を約2倍モルの大豆トリプシン阻害剤(STI)を添加することによって停止した。非調節培地(MFを含まない)を対照として使用した。
(ii)MFを含有する溶液を37℃で1〜4時間、又は室温で一夜トリプシン(0.5〜2μg/ml)でインキュベートし、インキュベートに続いて、酵素をP−アミノベンズアミジンアガロースのカラムで除去した。MFを含まない培地を対照として供した。更に対照をトリプシンのみで試験し、これによりカラムの実行条件下−重炭酸塩バッファーでこのカラムからトリプシン活性体が溶出されなかったことが示された。
プロナーゼの効果を試験するために、セファロースゲルに固定化されたプロナーゼと筋細胞CMを接触させて、筋細胞CMを試験した。ここでもまた、MFを含まない培地を対照として使用した。結果を以下の表IIに示した(数字は非調節対照培地と比較した阻害%を表す。)。
Figure 0003778366
上記は、両手順によるトリプシン、並びにプロナーゼでの処置がMFの腫瘍成長阻害活性に有為な影響がないことを示している。
7.2.2 凍結乾燥
筋細胞CMを前透析せずに凍結乾燥し、次に凍結乾燥物をその元の容積まで水で再溶解した。この処理によって、MFの腫瘍成長阻害活性にはっきりと感知できる損失はなかった。従って、MFが凍結乾燥に安定であることが示された。
7.2.3 熱処理
筋細胞CM(先のラット筋細胞培養物から誘導されたもの。)を4〜100℃の範囲の温度で、種々の時間に渡って処理した。これらの処理の後、サンプルをMCA及びHTBの両細胞で処理した。結果を以下の表IIIに示した(数字は温度処理後のMFの阻害能力の変化(%として)を示す。
Figure 0003778366
他の一連の実験で、調節培地の3,000ダルトンの限外濾過液を沸点まで加熱して試験した。腫瘍細胞の増殖を阻害する、この低分子量フラクションの活性の何れの損失もなかった。
上記の結果は、100℃での煮沸を含めた試験温度の全てで阻害能力の減少がないことを示す。
7.2.4 まとめ
腫瘍細胞の成長を阻害するMFの能力の減少は試験された条件下では全く観測されなかった。これは、明らかに、MFがタンパク質でないことを示している。これに対して、幾つかの処理の後に阻害活性が増加する結果が示された。これは、MFを含有する培地が、MFに対して逆の効果を発揮し、処理中に破壊されるタンパク質因子を含有するという事実によって説明しうる。
7.3 MFのサイズ
MFを含有するCMを、10、2及び0.5kDの分子カットオフを有するアミコン膜の限外濾過によって分別した(滞留物は少なくとも1回の追加のPBSの所定容積を用いて各場合で二回濾過した。)。10及び2kDの膜の場合、基本的に全ての阻害活性体(90%以上)が最初の2回の濾液中に見出された。0.5kDの膜では、約80%の活性体が濾液中に見出され、若干の活性体(20%)が二回目の滞留物中に残留した。阻害活性体をHTB38及びMCA両細胞により各場合で試験した。
MFを含有するCMの、12及び3kDの分子カットオフを有する膜を通しての透析で、活性成分が両方の膜を通り抜けることが示された。
上記の結果は、MFが約500ダルトン以下のオーダー、又はそれ以下の分子量を有することを示している。
7.4 MF(ラット筋細胞の一次培養物から誘導されたもの)のRP−HPLCでの特徴付け
10kD膜の濾液をC−18逆相(RP)カラム(4×250mm)でクロマトグラフにかけた。濾液を、カラムに塗布する前に0.1%トリフルオロ酢酸溶液に希釈し、初期濃度にした。これを5〜35%グラジェントのアセトニトリルで展開した(これらの両成分は、予めこれらがMFの阻害活性を有さないことを決定するために試験しされた。)。HTB−38細胞で試験された活性体は0.1%TFA中15%アセトニトリルで溶出された。次に活性フラクションをアセトニトリルグラジェントで同じカラムで再度クロマトグラフィーにかけ、部分的に精製されたMFが以前と同様の位置(保持時間約21分)で溶出された。最初の2回と同様の条件下でこの最後のフラクションについて三回目のRPクロマトグラフィーを行った。単一の阻害ピークが見出され、これは、図15に示される溶出プロフィールの220nmの吸光度のピークの位置と一致した。
7.5 MF(ラット筋細胞の一次培養物から誘導されたもの)の大量精製
7.5.1 実験プロトコール
ラット筋細胞CMをアミコンの10kD膜で限外濾過した。10kDの濾液を、分取用HPLCカラムに取り付けられたC−18逆相(RP)カラム(47×300mm)でクロマトグラフィーにかけた。フラクションをHTB−38細胞を用いた細胞増殖で試験し、活性フラクションを二回目のC18RPカラム(分析用:4×250mm)で再度クロマトグラフィーにかけ、活性フラクションを上記のように同定した。
7.5.2 精製されたMFフラクションの活性
セクション7.5.1の最後のステップで得られた物質を「MF−P」と命名した。一方、最初のRPカラムの後に得られた物質を「MF−SP」と命名した(このフラクションは、セクション5.1でも試験された。)。粗製調節培地(CM)、MF−P及びMF−SPフラクション、並びに限外濾過の滞留物(R)の活性を以下の表IVに示した(活性はu/mlで表した。1uは増殖アッセイで50%の阻害を起こす物質の量として定義される。)。
Figure 0003778366
明らかなように、試験された全てのフラクションは試験された細胞系の増殖を阻害する活性を有していた。これにはRフラクションも含まれ、活性因子は、米国特許5,242,692で開示された腫瘍増殖阻害剤の可能性がある。
7.6 L−8細胞系から誘導されるMFのHPLCによる特徴付け
セクション7.6.1〜7.6.5で、幾つかの代表的なHPLCの結果を示した。セクション7.6.1ではMFの例示的な精製法を示す。
7.6.1 逆相(RP)HPLC
PBS中、160mlの3,000ダルトンのMF限外濾過液(PBSで筋細胞を8時間インキュベーションした後に得られたもの。)をRP−HPLCカラム(C−18)を通してクロマトグラフィーにかけた。溶出溶液は、B−ピュアーTM(B-pureTM)装置(Barnstead, Dubuque, Iowa)で調製されたHPLCグレードの水、及びHPLCグレードのアセトニトリル(G.T. Baker, U.S.A.)であった。溶出液の勾配は、30分間で、0%アセトニトリルから60%アセトニトリルまでの間であった。流速は100ml/分であった。2分間づつフラクション(各200mlよりなる。)を集めた。
得られた各HPLCフラクションの20mlを濃縮遠心機で乾燥するまで蒸発させ、次いで乾燥したフラクションを100μlの水に懸濁し、次いで乾燥するまで再度蒸発させ、次いで2mlのPBSに溶解し、次いで試験細胞を含有するミクロウェルに各フラクションから0.2mlを塗布することによってフラクションを細胞カウントアッセイでこれらの増殖阻害活性に対して試験した。
図16及ぶ17は2つの異なった実験での種々のフラクションの活性を示す。両結果は特異的な阻害の存在を示した。これらは、図16のフラクション5及び6、及び図17のフラクション8〜12で溶出された。
図16のフラクション5及び6を貯蔵し、45℃で蒸発させ、5mlの水に溶解し、チューブに移し、真空下に再度乾燥し、2mlの水に溶解し、無菌化した。これらの濃縮されたフラクションの1mlを、100%の水から60%アセトニトリルの間の操作溶液の20分以内のグラジェント、及び流速1ml/分で分析用RP−HPLC(C−18)カラムでクロマトグラフィーにかけた。フラクションを1分つづ(各1ml)集め、次いで乾燥し、5%HSを含有する0.4mlのRPMIに溶解し、無菌化した。0.15mlを細胞を含む各ウェルに加えた(活性は細胞カウントアッセイで決定した。)。対照として、PBS溶液をHPLCで分別し、同様の方法で活性を試験した。
種々の溶出されたフラクションの活性を図18に示した。これらの結果はフラクション15に特異的な阻害の存在を示す。
7.6.2 スーパーデックスカラムでのHPLC
図17の活性フラクションを2つの貯蔵されたフラクションに分割した。「FR1」と命名された第一のフラクションは、チューブ6〜8からの1200ml、チューブ8〜9からの550ml、チューブ9〜10からの300ml及びチューブ10〜11からの30mlを合わせて得られた。「FR2」と命名されたフラクションは、チューブ9〜10の250ml、チューブ9〜11の520ml及びチューブ11〜12の600mlから得られた。FR1及びFR2の各々を乾燥し、10mlの蒸留水に溶解した。不溶性の沈殿が遠心後に形成されるので、これらのフラクションを更に10ml(FR1の場合)及び5ml(FR2の場合)のPBSで抽出した。二回の抽出の後でもかなりの沈殿が残った。
この結果は、ほとんどの活性体がFR1に存在すること、FR2はFR1の活性体の約15〜20%のみを有することを示している。不溶な調製物のPBS抽出物はFR1と比較して約4%の活性体のみを与えた。
2mlのFR2を乾燥し、0.4mlの水に溶解した。この0.2mlをPBSで平衡にしたスーパーデックスカラムにかけた。カラムを1ml/分で、操作溶液としてPBSを用いて展開し、1mlのフラクションを集めた。採集を分離の開始後0.3分から開始した。溶出されたフラクションを無菌化し、この0.2mlを各ウェルに加えた。
スーパーデックスカラムから溶出された種々のフラクションの阻害は、図19に示されている。特異的な阻害はフラクション18〜22に見出されうる。フラクション18〜22を集め、同じ条件下、同じカラムで再度クロマトグラフィーにかけた。再クロマトグラフィーの結果は、これらのフラクションに2以上の活性物質(「MFs」)の混合物が存在する可能性を示している。
同様の溶出プロフィールもFR1で得られているが、結果は、FR1が、FR2と比較して、そのMF内容物について約10倍以上濃縮されたことを示しているようである。
7.6.3 スーパーデックスHPLC後の分析RP−HPLC
フラクションFR1及びFR2を貯蔵し、1mlのアリコートを分析用RP−HPLC(C−18)カラムにかけた。1mlづつのフラクションを集め、乾燥し、5%HSを含有する0.4mlのRPMIに溶解し、この溶液の0.5mlを各細胞を含有するウェルに塗布した。結果を図20に示した。明らかなように、チューブ16に1つのシャープな活性のピークがあった。加えて、チューブ4にも低い阻害活性があった。これらの結果は、筋細胞CMに1以上の腫瘍増殖阻害物質があることを示している。
7.6.4 サイズ排除(SE)HPLC
分取用RP−HPLCから得たフラクション6〜8(「A」)、8〜10(「B」)、10〜12(「C」)及び12〜14(「D」)を、ポリヒドロキシエチルアスパルタミド(ポリヒドロキシエチル−ATM(PolyHYDROXYETHYL-ATM)ポリLCにより製造)でコーティングされたシリカゲル粒子を含むカラムで、別々にクロマトグラフィーにかけた。操作溶液は、50μMの蟻酸水溶液のイソクラチック溶液(即ち、グラジェントを設けず。)であった。
0.5mlのフラクションを集め、乾燥し、0.8mlのPBSに溶解した。次に、0.15mlの各フラクションを各細胞を含有するウェルに塗布した。クロマトグラフィーの結果を図21に示した。この結果は、恐らく、チューブ32で弱い活性があること以外、フラクション6〜82活性が全くないことを示している。フラクションBでは、非常に明確で幅広の活性ピークがチューブ29〜37に見出された。フラクションCでは、2つの明らかな活性のピークがあり、1つはチューブ21〜23に、他方はチューブ28〜31にあった。最後に、フラクションDでは、チューブ21〜22に単一の活性のピークが見られた。
7.6.5 SE−HPLC後のスーパーデックスHPLC
SEカラムから溶出された活性フラクションを貯蔵し、高真空(Hetovac VR−1、Heto, Denmark)下、濃縮遠心で乾燥し、0.4mlに溶解し、次いで0.2mlのサンプルをPBSで平衡化したスーパーデックスカラムで分離した。1mlのフラクションを集め、次いで0.2mlを各細胞を含有するウェルに塗布した。
図22Aからわかるように、フラクションBのSE−HPLCのチューブ29〜33は、スーパーデックスカラムから溶出されたチューブ21〜24で阻害活性を示した。この活性プロフィールは、1以上の活性物質があること、又は活性物質が幾つかの形態で出現することの可能性を示している。
図22Bは17〜21分で溶出される特異的な阻害ピークを示す。
7.6.6 親水性相互作用HPLC
以下の図25で示されるサイズ排除HPLCのアリコートから得たフラクション37〜32を一緒に貯蔵し、乾燥し、0.2mlの水に溶解した。2つの各0.085mlの量を親水性相互作用(CHO)HPLCカラム(PolyGLYCOPLEXTM、ポリ−LCにより製造)に注入した。次にこのカラムを、70%アセトニトリル水溶液よりなる溶液を用いて、1ml/分の操作速度で展開した。1mlづつのフラクションを集め、乾燥し、0.6mlのPBSに溶解し、0.1mlのフラクションを96ミクロウェルプレートの各ウェルに塗布し、生理食塩水カウントアッセイ(セクション3.1.3)で試験した。
このカラムから溶出された溶液の活性プロフィールは図23から明かである。CHOアリコートのもっとも高い特異的阻害がフラクション2〜82見出されたが、第二の阻害ピークもフラクション10で見出されたことがわかる。若干の弱い活性もフラクション21〜30で広いピークとして観測された。
8. MFの精製
8.1 手順
以下のステップよりなるMFの精製の方法を開発した。
(a)調節培地の調製
調節培地を1.1.2で説明したように、PBS中でL−8細胞から調製した。
(b)限外濾過
調節培地を、2で説明したように、3,000ダルトンの分子カットオフを有する膜を通して限外濾過にかけた。
(c)分取RP−HPLC
次に、限外濾過液を分取RP−HPLC、C−18カラムでクロマトグラフィーにかけた。典型的には、まず、カラムをHPLCグレードの水で20分洗浄し、次いで200mlの3,000ダルトン限外濾過液をこのカラムに導入し、更に10分間水での洗浄を続けた。次にこのカラムをアセトニトリル:水の、30分間で0%アセトニトリルから60%アセトニトリルのグラジェントで展開した。展開溶液の速度は約100ml/分であった。活性フラクションは約8〜14分の間にカラムから溶出した。
次に活性フラクションを一緒に貯蔵し、次いでこの貯蔵したフラクションをロータリーエバポレーター
Figure 0003778366
で濃縮し、次いで濃縮遠心した。
(d)分析RP−HPLC
次に貯蔵し、濃縮し、乾燥したフラクションを5mlの水に溶解し、再度真空下で乾燥し、次いで2mlの水に溶解した。次に、この濃縮したフラクションの1mlを、分析用RP−HPLC、C−18カラムでクロマトグラフィーにかけた。操作溶液はアセトニトリル:水の、20分間で0%アセトニトリルから60%アセトニトリルグラジェント、1ml/分の流速であった。このカラムを導入し、次いで5分間水で洗浄した。この洗浄の後、カラムをアセトニトリルのグラジェントで展開した。
活性フラクションは12〜19分の間に得られたフラクションに溶出した。
次に活性フラクションを濃縮し、濃縮させた遠心機中で乾燥した。
(e)サイズ排除クロマトグラフィー
次に、乾燥されたフラクションを蟻酸と混合し、次いでこの溶液の200mlサンプルを7.6.4で説明したサイズ排除カラムに導入した。展開溶液及び操作条件は7.6.4で説明したとおりである。活性フラクションは主に27〜32分後に溶出した。
上記の仕様と同様の仕様を有する場合でさえも、異なったカラム及び溶出条件のわずかな変更で異なった溶出プロフィールが得られ、従って、活性フラクションは上で報告したものと異なった保持時間の後に溶出されうる。しかし、上記のような阻害活性に対する各フラクションの試験によって、当業者は何れの過度の困難さもなく、本発明のGRを含有する精製されたフラクションの位置を見出し、単離することが可能であろう。
8.2 精製の結果
図24は分析RP−HPLCから溶出されたフラクションの阻害活性プロフィール、及びサイズ排除HPLC(図25)から溶出されたフラクションの活性を示す。精製手順はセクション8.1で先に説明したとおりである。
9. NMR−MFの可能なオリゴ糖特性
図25に示されたようなサイズ排除カラムから溶出された活性フラクションを乾燥し、次いでメタノールに溶解した(乾燥及び続きのメタノールへの溶解を連続して三回のサイクルで行った。)。次に、メタノール抽出物を乾燥するまで蒸発させ、調製物を0.5mlの重水素化メタノールに再溶解した。メタノールでの抽出後の残りを0.5mlの重水に溶解した。
NMRスペクトルを図26に示した。明らかなように、水フラクションのNMRは1つの僅かなピークを示したが、メタノール抽出物のNMRは3〜4ppmの部分に幾つかのピークを示した。これらのピークはオリゴ糖に典型的なC−OH基のプロトンに特徴的なものである。
これらの結果は、MFがオリゴ糖である可能性を示唆する。
10. 白血球細胞CMの3,000ダルトンの限外濾過液及びこれらの分別物の活性
白血球細胞CMから得られた3,000ダルトンの限外濾過液を活性試験にかけ、L−8CMから得られた3,000ダルトンの限外濾過液のそれと比較した。結果を以下の表Vに示した。
Figure 0003778366
白血球細胞CMから得た200mlの3,000ダルトンの限外濾過液を上記(セクション7.6.6参照)のような分取RP−HPLCで分離した。200mlのフラクションを集めた。10(200の中から)mlのアリコートを乾燥し、0.6mlに溶解した。この後、0.1mlを各ウェルに塗布した。
比較として、L−8CMから得た3,000ダルトンの限外濾過液を同様の方法で分別した。
結果を以下の表VIに示した。
Figure 0003778366
明らかに、両アリコートはフラクション4〜62阻害ピークを示した。

Claims (21)

  1. 低分子量−内在性細胞成長調節因子(LMW−EGR)であって、以下の特性を有する物質:
    i.これは筋細胞もしくは白血球により産生されるか、これらから分泌されるか、又はこれらによって放出される、
    ii.これは約3000ダルトン以下の分子量を有する、
    iii.これは非タンパク質性である、
    iv.これは水に可溶である、
    v.これは4℃〜100℃の範囲において熱に安定である、
    vi.これは腫瘍細胞の増殖を阻害することにおいて生物学的に活性であり;フィトヘマグルチニン(phytohemagglutinin:PHA)に対するリンパ球応答を阻害すること、および混合リンパ球反応(mixed lymphocyte reactioin:MLR)を阻害することにおいて生物学的に活性である;および
    vii.これは、
    (a) 筋細胞または白血球を、RPMI培地、PBS(Phosphate Buffered Saline)培地、またはDMEM(Dulbecco Modified Eagle Medium)で成長させ、これによりこれら細胞に、周囲の培地に細胞成長調節因子を産生、分泌または放出を起こさせること;
    (b) 細胞培養物の上清を集めること;
    (c) 約3000ダルトンより大きい分子量の物質を含む上清のフラクションと、約3000ダルトン以下の分子量の物質を含む上清のフラクションとを分離し、後者のフラクションを選択すること
    を含む方法により得られる。
  2. 請求の範囲第1項に記載のLMW−EGRであって、前記LMW−EGRが、筋細胞もしくは白血球より産生されるか、これらから分泌されるか、又はこれらによって放出されるもの。
  3. 請求の範囲第1項に記載のLMW−EGRであって、腫瘍細胞の増殖、又は刺激されたリンパ球の増殖を阻害することにおいて生物学的に活性であるもの。
  4. 請求の範囲第1項に記載のLMW−EGRであって、非腫瘍細胞の増殖に実質的に影響を与えることなく、腫瘍細胞の増殖を阻害することにおいて生物学的に活性であるもの。
  5. 請求の範囲第4項に記載のLMW−EGRであって、骨髄細胞の増殖に実質的に影響を与えることなく、腫瘍細胞の増殖を阻害することにおいて生物学的に活性であるもの。
  6. 請求の範囲第4項に記載のLMW−EGRであって、非腫瘍性リンパ球の増殖に実質的に影響を与えることなく、リンパ腫細胞の増殖を阻害することにおいて生物学的に活性であるもの。
  7. 請求の範囲第1項に記載のLMW−EGRであって、前記LMW−EGRが、筋細胞もしくは白血球の何れかの、培地中での成長によって調節された培地から得られるもの。
  8. 請求の範囲第1項に記載のLMW−EGRであって、前記LMW−EGRが、ラット筋細胞系によって分泌又は放出されるもの。
  9. 疾患又は障害の治療又は予防のための医薬を調製するための、請求の範囲第1〜第8項の何れか1項に記載のLMW−EGRの使用。
  10. 前記疾患又は障害が癌である、請求の範囲第9項に記載の使用。
  11. 前記障害が免疫系を鋭敏にさせる症状である、請求の範囲第9項に記載の使用。
  12. 前記医薬が患者に経口的に投与可能である、請求の範囲第9項に記載の使用。
  13. 治療的に効果のある量の請求の範囲第1〜第8項の何れか1項に記載のLMW−EGRを有効成分として、薬学的に許容しうる担体もしくは希釈剤とともに含有する、疾患または障害の治療または予防に使用するための薬学的組成物。
  14. 経口投与のための、請求の範囲第13項に記載の薬学的組成物。
  15. 癌の状態にある個体もしくは癌を発達させるリスクのある個体に由来する体液もしくは細胞をインビトロで分析する方法であって、該個体からの体液もしくは該個体から採取した細胞の培養物からの上清の何れかにおいて、請求の範囲第1項に記載のLMW−EGRのレベルを測定することを具備する方法。
  16. 癌を発達させる個体のリスクをインビトロで決定する方法であって、
    (a)該個体から得られる体液もしくは該個体から採取した細胞の培養物からの上清の何れかである試験流体において、請求の範囲第1項に記載のLMW−EGRのレベルを測定すること;
    (b)前記レベルを、健康な個体群の前記LMW−EGRの平均レベルと比較し、前記平均レベルより低いレベルが、前記個体が癌であること又は癌を発達させる高いリスクを有することの指標であること
    を具備する方法。
  17. 請求の範囲第1項に記載の実質的に精製された細胞成長調節因子を調製する方法であって、
    (a)細胞がその周囲の培地に細胞成長調節因子を産生、分泌、又は放出する条件下で、細胞を成長させること;
    (b)細胞培養物の上清を集めること;
    (c)約3000ダルトンより大きい分子量の物質を含有する上清のフラクションと、約3000ダルトン以下の分子量の物質を含有する上清のフラクションとを分離し、後者を選択すること
    を具備する方法。
  18. 請求の範囲第17項に記載の方法であって、
    (d)選択されたフラクションを更にクロマトグラフィーによる精製手段にかけること
    を具備する方法。
  19. 細胞成長調節因子を精製する方法であって、
    (a)筋細胞もしくは白血球を培養すること;
    (b)細胞培養物から上清を集めること;
    (c)該上清を、約3000ダルトンの分子カットオフを有する膜を通して濾過すること;
    (d)(c)で得られた濾液を、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)カラムを通してクロマトグラフィーにかけ、腫瘍細胞に対して成長阻害活性を示すフラクションを選択すること
    を具備する方法。
  20. 請求の範囲第18項に記載の方法であって、
    (e)ステップ(d)で得られた選択されたフラクションを、RP−HPLCカラムを通して再クロマトグラフィーにかけ、腫瘍細胞に対して成長阻害活性を示すフラクションを選択すること
    を具備する方法。
  21. 請求の範囲第18項に記載の方法であって、
    (e)ステップ(d)で得られた選択されたフラクションを、サイズ排除クロマトグラフィーでクロマトグラフィーにかけ、腫瘍細胞に対して成長阻害活性を示すフラクションを選択すること
    を具備する方法。
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