JP3777927B2 - 多層プリント配線板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パソコン、移動体通信用電話機、ビデオカメラ等の各種電子機器に用いられる多層プリント配線板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の高機能化、高密度化に伴い、電子部品はますます小型化、高集積化、高速化の傾向にある。
【0003】
このために、プリント配線板の形態もますます低誘電率、薄型、軽量化の傾向が進み、絶縁基材として用いられる材料は従来のガラス織布基材に加え低誘電率、軽量という特徴を持った芳香族ポリアミド基材が普及してきている。また、配線密度も高密度化し、この配線パターンを被覆するソルダレジストに対しても高密度化と同時に配線パターンとの合致精度の向上が要求されてきている。
【0004】
以下に従来の多層プリント配線板の製造方法について説明する。
【0005】
基材の表裏の金属層に対してエッチングなどの手段を用いて導体パターンを形成する。次に、この導体パターンを形成したプリント配線板に紫外線硬化型のソルダレジストインキを塗布する。ここでの塗布方法としては、まず搬送治具などを介してプリント配線板全面に正または負の電荷を帯電させる。また一方でソルダレジストインキをスプレーノズルなどを介してプリント配線板の電荷と反対の電荷を帯電させる。そしてソルダレジストインキをプリント配線板表面に対してスプレーノズルの先端から吐出することによりプリント配線板全面に塗布する。
【0006】
この時、ソルダレジストインキはスプレーの吐出力に加え、ソルダレジストインキに帯電させた電荷とプリント配線板に帯電させたその反対の電荷との間に発生する電気力線に沿って生じる静電引力によりプリント配線板に塗布することができる。その後、同様にプリント配線板の反対面にもソルダレジストインキを塗布する。こうしてプリント配線板の両面に塗布されたソルダレジストインキは、次に例えば80℃、20分程度の乾燥により仮硬化される。そして、ネガパターンの露光用フィルムを介して紫外線照射による露光工程で必要な部分を選択的に光重合させて露光させる。
【0007】
この時、未露光部は次の炭酸ナトリウム水溶液などによる現像工程で溶解され、露光部は溶解されずに基材表面に残る。最後に例えば150℃、1時間程度の熱処理によりソルダレジストは熱硬化されソルダレジスト形成が完成される。その後、必要に応じ部品図印刷、金めっき、外形加工などを施しプリント配線板が完成する。
【0008】
上記説明の中で露光工程について以下に図面を参照しながら更に詳しく説明する。
【0009】
図2は従来の多層プリント配線板の製造方法を示す断面図である。図2において11は内層用絶縁基板、12は絶縁層、13はソルダレジスト、14は認識マーク、15は認識領域である。
【0010】
以上のように構成された多層プリント配線板の製造方法について説明する。
【0011】
表面にソルダレジスト13を塗布、乾燥させたプリント配線板の認識マーク14を画像認識することによりプリント配線板の位置を読み取る。このとき、認識を行う認識領域15は外層パターン形成時に同時に形成された認識マーク14を完全に含みなおかつ表面には他の導体パターンが含まれることのないようにカメラ位置、倍率を予め調整しておくものとする。位置を読み取ったプリント配線板は次に露光テーブルと露光フィルムとの間に位置合わせを行った後セッティングされる。露光フィルムは予めアクリル板に貼り合わせておくものとする。
【0012】
次にプリント配線板を挟持しているアクリル板と露光テーブルとの間を真空引きすることによりプリント配線板と露光フィルムとの密着性を高める。その後、プリント配線板表面のソルダレジスト13に対し垂直にアクリル板の側から紫外線を照射する。反対面に対しても同様に以上の手順で露光が行われる。
【0013】
ここで露光フィルムはソルダレジスト13を最終的に残したい絵柄のパターン形状に応じて遮光部と非遮光部によって構成されている。この露光フィルムを介して紫外線が照射された部分のソルダレジスト13は光重合されて次の現像工程でも溶解されず、また逆に、紫外線が照射されない未露光の部分のソルダレジストは次の現像工程で完全に溶解除去され所定のパターンが得られる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の従来のプリント配線板の製造方法では、芳香族ポリアミドからなる基材を用いたプリント配線板に対しては、銅の導体パターンで形成された認識マークの色調と認識マークの周辺に露出した基材の色調とが酷似しているために両者の反射光の輝度分布が非常に似通っており、そのため認識マークと基材とを二値化画像処理によって識別し認識マークの位置を読み取ろうとした場合しばしば認識不能となってエラーが発生したり間違った位置を認識してしまってプリント配線板と露光フィルムとの合致精度を劣化させるという問題を有していた。
【0015】
本発明は上記従来の問題点を解決するものであり、ソルダレジスト形成の露光工程において認識マークの認識エラーを発生させず、露光位置合わせ精度を向上させた多層プリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明の多層プリント配線板の製造方法は、エポキシ樹脂を含浸した芳香族ポリアミドからなる基材の表層に銅のパターンで形成された認識マークを画像認識することにより位置合わせを行うソルダレジスト形成において、認識領域内の内層部分に銅のパターンを形成することを特徴とする多層プリント配線板の製造方法である構成を有している。
【0017】
この発明によれば、ソルダレジスト形成の露光工程において認識マークの認識エラーを発生させず、露光位置合わせ精度を向上させた多層プリント配線板の製造方法が得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、基材の表面に銅の導体パターンと認識マークを形成する工程と、紫外線硬化型ソルダレジストインキを塗布し仮硬化する工程と、認識マークからの反射光と基材部からの反射光との間の輝度の差によって二値化画像処理を行うことで認識マークの形状を認識して位置を算出する画像認識工程と、導体パターンと露光フィルムを位置合わせする工程と、露光フィルムを介してソルダレジストを露光する工程とを備え、基材はエポキシ樹脂を含浸した芳香族ポリアミドからなり、認識領域内の内層部分には表面が粗化された銅のパターンが形成された構成を有し、画像認識時に基材部からの反射光は内層部分に形成された銅のパターンに光を吸収させることでその輝度を減少させることを特徴とする多層プリント配線板の製造方法としたものであり、この構成によって、銅の導体パターンで形成された認識マークの色調と認識マークの周辺に露出した基材そのものの色調とは酷似していても、反射光で認識する場合、基材部ではその下層に形成された銅のパターン部に光が吸収されるために反射光の輝度を減少させる効果があり結果として銅の認識マークからの反射光の輝度とその周辺の基材部からの反射光の輝度との間に明確な有意差が得られ二値化画像処理による認識マークの位置読み取り時に認識不能となってエラーが発生することもなく高い精度で位置を認識することができるという作用を有する。
【0022】
以下本発明の実施の形態について、図1を用いて説明する。
【0023】
図1は本発明の実施の形態における多層プリント配線板の製造方法を示す断面図である。図1においてソルダレジストインキが塗布、乾燥されたプリント配線板の認識領域の表面には所定形状の銅のパターンの認識マークが形成されており、認識領域の内層部分にも同じく銅のパターンがその全域に形成されている。反射光により認識マークを認識する時、基材部ではその下層に形成された銅のパターン部に光が吸収されるために反射光の輝度を減少させる効果があり結果として銅の認識マークからの反射光の輝度とその周辺の基材部からの反射光の輝度との間に明確な有意差が得られ二値化画像処理による認識マークの位置読み取り時に認識不能となってエラーが発生することもなく高い精度で位置を認識することができるという作用を有する。
【0024】
次に、本発明の一実施の形態を図1を用いて説明する。
【0025】
図1において、1は内層用絶縁基板、2は絶縁層、3はソルダレジスト、4は認識マーク、5は認識領域、6は内層パターンである。
【0026】
以上のように構成された多層プリント配線板の製造方法について、以下その動作を説明する。
【0027】
基材の表裏の金属層に対してエッチングなどの手段を用いて導体パターンを形成したプリント配線板に紫外線硬化型のソルダレジストインキを塗布する。ここでの塗布方法としては静電スプレーコーター方式を例に挙げて説明する。
【0028】
まず搬送治具などを介してプリント配線板全面に正または負の電荷を帯電させる。また一方でソルダレジストインキをスプレーノズルなどを介してプリント配線板の電荷と反対の電荷を帯電させる。そしてソルダレジストインキをプリント配線板表面に対してスプレーノズルの先端から吐出することによりプリント配線板全面に塗布する。
【0029】
この時、ソルダレジストインキはスプレーの吐出力に加え、ソルダレジストインキに帯電させた電荷とプリント配線板に帯電させたその反対の電荷との間に発生する電気力線に沿って生じる静電引力によりプリント配線板に塗布することができる。その後、同様にプリント配線板の反対面にもソルダレジストインキを塗布する。
【0030】
こうしてプリント配線板の両面に塗布されたソルダレジストインキは、次に例えば80℃、20分程度の乾燥により仮硬化される。そして、次の露光工程でネガパターンの露光フィルムをプリント配線板に対して位置合わせを行った後にこの露光フィルムを介して紫外線照射によって必要な部分を選択的に光重合させて露光される。
【0031】
この時、図1において、露光フィルムとプリント配線板と位置合わせはプリント配線板の表層の導体パターン形成時に同時に認識領域5に形成された認識マーク4に対して光を照射してその反射光を撮像し画像処理をすることで位置を読み取って行われる。ここでの画像処理は認識マーク4からの反射光と絶縁層2からの反射光との間の輝度の差によって認識マーク4の形状を認識して位置を算出するものである。
【0032】
認識マーク4は光沢のある銅のパターンからなるのでその反射光の輝度は高いものであり、反対に絶縁層2からの反射光は本発明の内容のとおり下層の内層用絶縁基板1に設けられた内層パターン6によって吸収されるので輝度は低いものとなる。その結果、認識マーク4からの反射光と絶縁層2からの反射光との間の輝度の差は従来方法と比較して明確な有意差を持つものとなって高い輝度で認識マーク4の位置を認識できる。その後、次の現像工程で未露光部は炭酸ナトリウム水溶液などによる現像工程で溶解され、露光部は溶解されずに基材表面に残る。
【0033】
最後に例えば150℃、1時間程度の熱処理によりソルダレジストは熱硬化されソルダレジスト形成が完成される。さらに、必要に応じ部品図印刷、金めっき、外形加工などを施し多層プリント配線板が完成する。
【0034】
以上のように本実施の形態によれば、反射光により認識マークを認識する時、基材部ではその下層に形成された銅のパターン部に光が吸収されるために反射光の輝度を減少させる効果があり、結果として銅の認識マークからの反射光の輝度とその周辺の基材部からの反射光の輝度との間に明確な有意差が得られ二値化画像処理による認識マークの位置読み取り時に認識不能となってエラーが発生することもなく高い精度で位置を認識することができ合致精度を向上させた多層プリント配線板の製造方法を提供することができる。
【0035】
【発明の効果】
以上のように本発明は、ソルダレジスト形成の露光時に使用する認識領域内の認識マークの下層にべたの形状のパターンを形成することで、認識マークからの反射光の輝度と認識マーク周辺の基材部からの反射光の輝度との間に明確な有意差が得られ二値化画像処理による認識マークの位置読み取り時に認識不能となってエラーが発生することもなく高い精度で位置を認識することができソルダレジストの合致精度を向上させた多層プリント配線板の製造方法を実現できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における多層プリント配線板の製造方法を示す断面図
【図2】従来の多層プリント配線板の製造方法を示す断面図
【符号の説明】
1 内層用絶縁基板
2 絶縁層
3 ソルダレジスト
4 認識マーク
5 認識領域
6 内層パターン
Claims (1)
- 基材の表面に銅の導体パターンと認識マークを形成する工程と、紫外線硬化型ソルダレジストインキを塗布し仮硬化する工程と、認識マークからの反射光と基材部からの反射光との間の輝度の差によって二値化画像処理を行うことで認識マークの形状を認識して位置を算出する画像認識工程と、導体パターンと露光フィルムを位置合わせする工程と、露光フィルムを介してソルダレジストを露光する工程を備え、基材はエポキシ樹脂を含浸した芳香族ポリアミドからなり、認識領域内の内層部分には表面が粗化された銅のパターンが形成された構成を有し、画像認識時に基材部からの反射光は内層部分に形成された銅のパターンに光を吸収させることでその輝度を減少させることを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
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1999
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