JP3777096B2 - 回転位置センサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、非接触、且つ、連続的に測定対象物の回転位置を測定する回転位置センサに関し、特に、回転角度により測定対象物の回転位置を測定する回転位置センサ関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ホール素子(ホールIC)から成る磁束密度センサと磁石とを、磁石の着磁軸に沿って相対的に回転移動させ、前記ホール素子により磁石の着磁軸と直角方向の磁束密度成分を測定し、この測定結果より磁石を回転移動せしめる位置検出対象物の移動位置を検出する回転位置センサが広く用いられている。
【0003】
図2は一般的な回転位置センサの平面外観図である。この回転位置センサはリング状のマグネットおよびマグネットからの磁束を収束して磁路を形成するコアから構成される磁気回路、コアの空隙に配置され磁束密度成分を測定するホール素子およびホール素子の出力信号を処理する信号処理回路がケース内に収納されている。このケースの外周にはケースの中心線延長上に、ケース本体を挟んで一対のフランジFが対向してケース本体と一体形成されている。
【0004】
ケースはフランジFを介して不動部である、例えばブレーキペダルブラケット(図示せず)にネジにより固定されている。そして、ケース下方の開口部よりブレーキペダル(図示せず)のボス部(回転軸)がケース内のマグネットの内周面に嵌着される。従って、ブレーキペダルの踏み込み動作に伴って回転軸が回転するとマグネットも同時に回転する。また、ケースの外周にはフランジFの取付方向とは直角方向に、信号入出力用の端子を所定の支持手段で支持したターミナルハウジングTHが同じくケース本体と一体形成されている。
【0005】
図3は図2に示す回転位置センサをA−A線に沿って切断した場合の縦断面図である。図3から明らかなように回転位置センサは、ケースCAbとこのケースCAbに矢印Xで示すように上方から嵌着され、振動溶着または超音波溶着されるカバーCVbより構成される。ケースCVbの内側の円周形状部分にはリング状のマグネットMGが配置され、且つ、マグネットMGの外周には、一部に空隙を設けたリング状のコアCが所定間隙を設けて固定されている。この空隙にはマグネットMGの回転位置に対応した磁束密度分布を、空隙の漏れ磁束より測定するホール素子Hが挿入されている。
【0006】
ホール素子Hのリード端子は、このホール素子Hに対する入出力信号を処理する回路素子CEが実装された回路基板PBに接続されている。回路基板PBからは信号入出力用の端子Tが、ケースCAbを形成する樹脂で固定され、ターミナルハウジングTHに延設されている。尚、回路素子CEは請求項1における信号処理部を構成する。
【0007】
また、図3に示すように、回路基板PBに実装されてホール素子Hと回路素子CEのそれぞれが、コアCの空隙とケースCAb内に収納され、回路基板PBに端子Tが接続されたならば、ホール素子Hと回路素子CEの周囲に例えばエポキシ系からなる接着剤(図示しない)を充填してケースCAb内に固定する。
【0008】
このように回路素子CSおよびホール素子Hが回路基板に実装されケースCAb内に接着剤で固定された後に、ブレーキペダルブラケットにケースCAbを載置し、ケースCAb下部の開口部より回転軸SをマグネットMGの中空に嵌着したならばフランジFによりケースCAbをブレーキペダルブラケットにネジ止めする。
【0009】
次に、カバーCVbを図3に示すように矢印X方向からケースCAb上面に覆い被せる。カバーCVbには回転軸Sの先端部が突出するよう開口部が形成されている。カバーCVbがケースCAbに被せられたならば、図4に示すようにカバーCVbの全周囲および回転軸S回りの溶着部位Wを、例えば、超音波で溶着する。
尚、回転軸SのマグネットMGに対する嵌着順序は上記に限定されず、カバーCVbをケースCAbに溶着した後に行ってもよい。
【0010】
このようにリング状のマグネットが外周に嵌着された回転軸SをコアCの中空部に挿入し、回転軸Sを図示しない駆動部により回転させると、空隙においてホール素子Hを通る磁束密度が回転軸Sの回転角度に応じて変化し、図9に示すように回転軸Sの回転角度に応じた出力電圧vout1が直線性を持って出力される。
或いは、ホール素子の出力特性を図13の(a)に示すように所定特性曲線に変更し、回転角度0°から180°方向に連続的に回転させると、各回転角度に対して特性曲線に沿った出力電圧Vout1が得られる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来の回転位置センサは以上のように、予め設計段階で設定した出力特性に沿って回転角度に対応した出力電圧を出力する。しかし、回転軸また回転軸を駆動する駆動部に機械的なガタがあると、回転角度に対して出力特性に沿った出力電圧が得られず、検出ユニットにおいて出力電圧より回転角度を検出した場合に誤検出の可能性がある。また、回転位置センサより検出ユニットに出力される出力電圧に電磁ノイズ等が混入すると出力電圧レベルが変動するため、この出力電圧より回転角度を検出すると誤検出の可能性がある。
【0012】
更に、従来の回転位置センサは、実際は図13の(a)に示すように、回転角度90°を中心に±30°の狭い回転角度範囲で回転角度と一定電圧範囲の出力電圧との直線性の関係を保証するようにしているが、上記一定電圧範囲の出力電圧より広角度検出が行えないという不具合があった。
【0014】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、回転系の機械的なガタや電気的な外部ノイズに関わりなく検出角度に対して安定した角度検出信号を得ることができる共に、広角度検出が可能な回転位置センサを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る回転位置センサは、図1の基本構成図に示すように磁石と、この磁石の磁束密度成分を測定する磁束密度センサと、この磁束密度センサと前記磁石とを移動手段により前記磁石の着磁軸に沿って相対的に回転移動させた時の相対的な回転角度に対応する実出力電圧を、前記磁束密度センサによる測定信号に基づいて演算する信号処理部とを備え、この信号処理部は、前記実出力電圧のレベルを予め設定したレベルに補正演算して出力するレベル補正手段を備えたものである。
【0016】
この発明によれば、回転角度に対する実出力電圧のレベルをレベル補正手段にて予め設定したレベルに補正して出力することで、実出力電圧のレベルが外的な擾乱で変動しても擾乱分を補正レベルに吸収できる。
【0017】
この発明に係る回転位置センサにおけるベル補正手段は、回転角度に対する実出力電圧を求める実出力電圧演算手段と、この実出力電圧演算手段より求めた実出力電圧より回転角度を求め、この各回転角度に対する信号補正レベルを予め記憶したテーブルより求める補正レベル演算手段とを備え、前記実出力電圧を前記信号補正レベルで補正するものである。
【0018】
この発明によれば、各回転角度に対する信号補正レベルをテーブルより求め、この信号補正レベルにより実出力電圧のレベルを補正することで、回転角度に対する出力電圧のレベルを補正演算処理により容易に補正できる。
【0019】
この発明に係る回転位置センサにおける補正レベル演算手段は、回転角度に対する出力電圧の関係を、実出力電圧に対応する回転角度を挟んだ前後所定の回転角度幅の範囲において一様にした各回転角度に対する信号補正レベルを予め記憶したテーブルを備えたものである。
【0020】
この発明によれば、実出力電圧に対応する回転角度を挟んだ前後所定の回転角度幅の範囲においては、一様の信号補正レベルをテーブルより読み出し、実出力電圧に対応する回転角度を挟んだ前後所定の回転角度幅の範囲に対する出力電圧をこの信号補正レベルに平準化する。
【0029】
【発明の実施の形態】
実施例
以下、この発明に係る回転位置センサを各添付図面に従って説明する。図5は本発明に係る回転位置センサに適用したホールIC1の構成図である。このホールIC1は定電流源CRより供給されるホール入力電流IHとこのホール入力電流IHに対して直角方向に磁束密度に比例したホール電圧VHを発生させるホール素子HEと、発生したホール電圧VHを入力しデジタル変換して出力するA/D変換器ADC1、図示しない回転位置検出器におけるマグネット周囲の温度を検出する温度センサTS、この温度センサTSの温度検出信号をデジタル変換するA/D変換器ADC2、A/D変換器ADC1より出力された出力電圧(ホール電圧を)を信号処理し、回転角度に対する出力電圧の特性を補正、或いはA/D変換器ADC2より入力された温度検出信号に基づいて出力電圧の温度補正を行うマイクロコンピュータ2、補正後の出力電圧を、I/Oインタフェースを通して入力しアナログ変換して検出ユニット(図示しない)に出力するD/A変換器DACより構成される。
【0030】
マイクロコンピュータ2は信号処理を行うCPU2a、出力電圧を補正処理するための各種処理情報を記憶したROM2b、A/D変換器ADC1,ADC2より入力された各出力電圧および演算結果を記憶するRAM2cを有する。
【0031】
実施の形態1.
以下、本実施の形態に係る回転位置センサの出力電圧補正方法について説明する。ホール素子は磁束密度の変化に応じて出力電圧がリニアに変化するため、マグネットを装着した回転軸の回転角度の変化に伴ってホール素子を通る磁束密度が変化すると出力電圧Vout1は、図9に示すように変化する。
【0032】
しかし、回転系の機械的なガタやセンサ素子の出力電圧に電磁ノイズが乗ると出力電圧のレベルが変動するため、検出ユニットが出力電圧Vout1に基づいて回転角度を検出すると誤検出を招くおそれがある。
【0033】
従って、本実施の形態では、回転位置センサの出力電圧に基づいて検出を要する回転角度、例えば、回転角度30°を挟む±10°の回転角度範囲では出力電圧Vout2をA、回転角度60°を挟む±10°の回転角度範囲では出力電圧Vout2をB、回転角度90°を挟む±10°の回転角度範囲では出力電圧Vout2をC、回転角度120°を挟む±10°の回転角度範囲では出力電圧Vout2をD、回転角度150°を挟む±10°の回転角度範囲では出力電圧Vout2をE、回転角度180°を挟む±10°の回転角度範囲では出力電圧Vout2をFとするように、各回転角度範囲に対するセンサ出力電圧Vout2のセンサ出力特性を図10に示すように階段状に設定する。
【0034】
この階段状に設定したセンサ出力特性に沿って出力電圧Vout2を出す場合に、ホールIC側では、図9に示す実センサ出力特性に沿って検出した出力電圧Vout1より回転角度を検出し、この回転角度を階段状に設定したセンサ出力特性における回転角度に置き換え、この回転角度に対する出力電圧Vout2を判定して出力する。
【0035】
尚、例えば、回転角度30°付近の実センサ出力電圧を検出した際に、機械的なガタにより出力電圧が変動しても、変動レベルが回転角度35°に対応する電圧レベルであれば、この電圧レベルは回転角度30°を挟む±10°の回転角度範囲における出力電圧Vout2(=A)であるため、変動レベルは電圧レベルAに吸収され、変動レベル分は出力電圧として検出ユニットに出力されることはない。
【0036】
以下、上記状況を踏まえて本実施の形態の動作について図6〜図12を参照して説明する。各図面中、図6は回転角度に対応する出力電圧の関係を示す回転角度/出力電圧テーブル(1)(図11を参照)、回転角度に対応する補正出力電圧の関係を示す回転角度/出力電圧テーブル(2)(図12を参照)の作成ルーチンを示すフローチャートである。図7は回転角度xより補正後の出力電圧Vout2を求めるルーチンを示すフローチャートである。図8は出力電圧Vout2の演算ルーチンを示すフローチャートである。
【0037】
図9は回転角度に対する実出力電圧Vout1の関係を示すセンサ出力特性図であり、この特性図を基準として図11に示す回転角度/出力電圧テーブル(1)を作成する。図10は回転角度に対する補正後の出力電圧Vout2に関係を示すセンサ出力特性図であり、この特性図を基準として図12に示す回転角度/出力電圧テーブル(2)を作成する。
【0038】
先ず、動作として、CPU2は図示しないデータ入力手段により図9に示すセンサ出力特性図に沿って測定した回転角度に対応した実の出力電圧Vout1をホール素子HEより入力する(ステップS1)。これら回転角度と実出力電圧Vout1は図11に示すようにテーブル(1)に編集されて、CPU制御の基に図示しないROMライタによりROM2bに記憶される(ステップS3)。
【0039】
上記回転角度範囲で、図10に示すように補正後のセンサ出力特性に沿って各回転角度範囲毎に補正後の出力電圧Vout2をCPU2に入力し、これら回転角度と補正後の出力電圧Vout2は図12に示すようにテーブル(2)に編集されて、CPU制御の基に図示しないROMライタによりROM2bに記憶される(ステップS3)。
【0040】
回転角度/出力電圧テーブル(2)において、図10のセンサ出力特性図に示すように、回転角度に関わりなく常に一定の補正後の出力電圧Vout2を出す回転角度範囲以外、例えば回転角度範囲70°〜80°の範囲においては、y=ax+ωにて回転角度xに対する出力電圧(Vout2)yを求める。ここで、aは直線の傾きを決める比例定数、ωは本回転角度範囲に入る直前の回転角度範囲50°〜70°における出力電圧Vout2である。
【0041】
次に回転角度0°における立ち上がり電圧を0.5Vに設定すると共に、比例定数aを初期設定する(ステップS7)。次に図9に示される実出力電圧Vout1を入力し(ステップS9)、この実出力電圧Vout1を回転角度/出力電圧テーブル(1)と照合し、回転角度xを認識する(ステップS11)。
【0042】
回転角度xを認識したならば、本回転角度xは何れの回転角度範囲にあるか判定する。この回転角度xが0≦x≦20の範囲にあると判定したならば(ステップS13)、A0を0.5とし、y=ax+A0の演算して当該回転角度xに対する補正後の出力電圧Vout2(=y)を演算する(ステップS15,17)。
【0043】
この演算された補正後の出力電圧Vout2は、I/Oインタフェースを通してD/A変換器DACに送られアナログ信号に変換されて検出ユニットに送られ、出力電圧Vout2より回転角度を検出する。次に、ステップS9に戻り実センサ出力電圧Vout1を入力し(ステップS9)、この実出力電圧Vout1を回転角度/出力電圧テーブル(1)と照合し、回転角度xを認識する(ステップS11)。
【0044】
回転角度xを認識したならば、本回転角度xは何れの回転角度範囲にあるか判定する。この回転角度xが20≦x≦40の範囲にあると判定したならば(ステップS19)、回転角度/出力電圧テーブル(2)に示すように、当該回転角度範囲に対する出力電圧Vout2をAと判定する。次に、ステップS9,11の処理を通して回転角度xが、依然として20≦x≦40の範囲にあると判定したならば(ステップS19)、出力電圧Vout2をAと判定する。
【0045】
更に、ステップS9,11の処理を通して回転角度xが、40≦x≦50の範囲にあると判定したならば(ステップS19)、出力電圧Vout2の演算処理を行う(ステップS25)。この演算処理は、図8に示すように、前回回転角度範囲における出力電圧Vout2(n−1)(=A)をRAM2cより読み出してωに移行し(ステップS41,43)、y=ax+ωを演算する(ステップS45)。演算結果yは補正出力Vout2に移行され、ステップS9に戻る。
【0046】
以上の動作を回転動作が継続され実センサ出力電圧Vout1が入力される限り継続される。この結果、予め設定された回転角度範囲において回転むらが生じ出力電圧が変動しても変動レベルは、前記回転角度範囲に対応した一定電圧レベルに吸収されるため、回転むらによる回転角度の誤検出を阻止することができる。
【0047】
実施の形態2.
ホール素子を用いた回転位置センサは、回転角度に対する出力電圧を直線性良く得られる回転角度範囲で使用するのが通常である。しかし、特に良好な直線性を要求しない場合は、検出角度範囲が狭くなるという不具合がある。本実施の形態は、広角度検出を実現するためのセンサ出力電圧の補正方法を実施するものである。尚、方法を具現化するためのセンサの構成は実施の形態1と同様である。
【0048】
本実施の形態2では、ROM2bに予め図13の(a)に示すセンサ出力特性に沿って各回転角度に対する出力電圧Voutを同図の(c)に示すように編集してテーブル1として記憶させる。
図13の(a)に示すセンサ出力特性であると、実出力電圧Vout1範囲0V〜5Vは回転角度範囲90°±30°の狭い角度検出結果にしか適用していない。本実施の形態は、同図の(b)に示すように、出力電圧Vout2範囲0V〜5Vを回転角度範囲90°±90°の広い角度検出結果に適用して検出範囲を広角度にするものである。
【0049】
従って、従来、検出ユニットは実出力電圧Vout1範囲0V〜5Vにおいて回転角度範囲90°±30°しか検出できなかったが、本実施に形態では回転角度範囲90°±90°の広い角度を検出できる。なお、出力電圧Vout2範囲0V〜5Vで検出できる回転角度範囲は90°±90°に限定するものではない。
【0050】
この補正方法を実施するために、0°〜180°の回転角度範囲における実出力電圧Vout1の補正値をテーブル1に記録させ、例えば180°において8Vの実出力電圧Vout1が出されたならば、この8Vを5Vに減少させる補正値(−3V)を、0°において−3Vの実出力電圧Vout1が出されたならば、この−3Vを0Vに増加させる補正値(+3V)を格納する。
【0051】
以下、同様に60°に対する0Vの実出力電圧Vout1を1Vにする補正値(+1V)を、75°に対する1Vの実出力電圧Vout1を2Vにする補正値(+1V)を、110°に対する4Vの実出力電圧Vout1を3Vにする補正値(−1V)を、120°に対する5Vの実出力電圧Vout1を4Vにする補正値(―1V)を格納する。90°では補正値を0とする。そして同図の(c)に示すテーブル2をROM2bに作成する。
【0052】
以下、実出力電圧Vout1より60°の回転角度がテーブル1の参照結果から認められたならば、テーブル2より60°に対する0Vの実出力電圧Vout1を1Vにする補正値(+1V)を検索し、実出力電圧Vout1(=0)に1Vを加算する。
【0053】
このように各回転角度毎の実出力電圧Vout1に、テーブル2に示す各回転角度毎の補正値で加減算して0V〜5Vの範囲で出力電圧Vout2を求め、検出ユニットへ出力することで、検出ユニット側では出力電圧0V〜5Vの範囲を回転角度0°〜180°として認識する。
この結果、検出ユニットに出力する電圧範囲0V〜5Vを変更せず検出角度範囲を拡大することができる。
【0054】
参考例
ホール素子に磁束を与えるマグネットは大きな温度依存性を持っており、磁界が消滅する温度をキューリ点として公知である。従って、マグネットの周辺温度が上昇し磁束密度が減ると出力電圧も当然低下する。
【0055】
そこで各設定温度毎に、各回転角度対応で温度補正量(V)を電圧レベルで図14のテーブルで示すように設定し、当該設定温度T2℃が温度センサTS(図5参照)により検出されたならば、各回転角度対応の出力電圧に温度補正量(V)を加算し、通常温度T1℃における出力電圧Voutに補正して検出ユニットに出力する。この場合、温度補正量はマグネットの温度特性、磁束密度、、出力電圧の傾きに応じて決める。
【0056】
補正処理の方法としては、温度センサTSの出力よりマグネット周囲の温度が検出され、当該周囲温度T2℃におけるホール素子の出力電圧から、図11に示すテーブルより回転角度が検出されたならば、当該回転角度に対応する温度補正量(V)をテーブルより検索し、この温度補正量(V)を現在の出力電圧に加算して通常温度T1℃における出力電圧Voutに補正する。この結果、検出ユニットに出力される電圧Voutは通常温度T1℃における出力電圧Voutに補正された値となる。
【0057】
回転位置センサはマグネットの温度依存性による磁束密度の変化の影響は低減したセンサ出力を検出ユニットに送ることができるため、検出ユニットは温度変化に拘わらずセンサ出力電圧より正確な回転角度を検出することができる。
【0058】
【発明の効果】
この発明によれば磁石と、この磁石の磁束密度成分を測定する磁束密度センサHと、この磁束密度センサと前記磁石とを移動手段により前記磁石の着磁軸に沿って相対的に回転移動させた時の相対的な回転角度に対応する実出力電圧を、前記磁束密度センサによる測定信号に基づいて演算する信号処理部CEとを備え、この信号処理部CEは、前記実出力電圧のレベルを予め設定したレベルに補正演算して出力するレベル補正手段を備え、回転角度に対する実出力電圧のレベルをレベル補正手段にて予め設定したレベルに補正して出力することで、実出力電圧のレベルが外的な擾乱で変動しても擾乱分を補正レベルに吸収できるため、擾乱による影響を受けない回転位置検出信号を得ることができるという効果がある。
【0059】
この発明によれば、レベル補正手段は、回転角度に対する実出力電圧を求める実出力電圧演算手段と、この実出力電圧演算手段より求めた実出力電圧より回転角度を求め、この各回転角度に対する信号補正レベルを予め記憶したテーブルより求める補正レベル演算手段とを備え、各回転角度に対する信号補正レベルをテーブルより求め、この信号補正レベルにより実出力電圧のレベルを補正することで、回転角度に対する出力電圧のレベル補正を容易に行うことができるという効果がある。
【0060】
この発明によれば、補正レベル演算手段は、回転角度に対する出力電圧の関係を、実出力電圧に対応する回転角度を挟んだ前後所定の回転角度幅の範囲において一様にした各回転角度に対する信号補正レベルを予め記憶したテーブルを備え、実出力電圧に対応する回転角度を挟んだ前後所定の回転角度幅の範囲においては、一様の信号補正レベルをテーブルより読み出し、実出力電圧に対応する回転角度を挟んだ前後所定の回転角度幅の範囲に対する出力電圧をこの信号補正レベルに平準化することで、回転むら、あるいは磁束密度センサの出力に混入したノイズよる実出力電圧の変動分を平準化した信号補正レベルに吸収することができるため、外乱の影響を排除した回転位置検出信号を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明の回転位置センサの基本構成図である。
【図2】図2は回転位置センサの平面図である。
【図3】図3は回転位置センサのカバー部とケース部とを分離した場合の回転位置センサの縦断面図である。
【図4】図4は回転位置センサのカバー部とケース部とを合体した場合の回転位置センサの縦断面図である。
【図5】図5は回転位置センサを構成するホールICの電気的構成図である。
【図6】図6は本実施の形態の動作を説明するフローチャートである。
【図7】図7は回転位置センサにおけるホール素子の出力電圧の補正動作を説明するフローチャートである。
【図8】図8は回転位置センサにおけるホール素子の出力電圧を関数演算により補正する動作を説明するフローチャートである。
【図9】図9は回転角度とホール素子の出力電圧との関係を示すセンサ出力特性図である。
【図10】図10は補正後のホール素子の出力電圧と回転角度との関係を示すセンサ出力特性図である。
【図11】図11は回転角度と出力電圧との関係を示すテーブルである。
【図12】図12は回転角度と補正後の出力電圧との関係を示すテーブルである。
【図13】図13は回転角度と出力電圧との関係を示すセンサ出力特性図と回転角度と出力電圧との関係を示すテーブルである。
【図14】図14は回転角度と温度補正後の出力電圧との関係を示すセンサ出力特性図と回転角度と温度補正後の出力電圧との関係を示すテーブルである。
【符号の説明】
HE 磁束密度センサ
MG 磁石
C コア
S 回転軸
2a 信号処理部
2a−0 レベル補正手段
2a−1 実出力電圧演算手段
2a−2 補正レベル演算手段
TB0〜TB3 テーブル

Claims (1)

  1. 磁石と、この磁石の磁束密度成分を測定する磁束密度センサと、この磁束密度センサと前記磁石とを移動手段により前記磁石の着磁軸に沿って相対的に回転移動させた時の相対的な回転角度に対応する実出力電圧を、前記磁束密度センサによる測定信号に基づいて演算する信号処理部とを備え、この信号処理部は、前記実出力電圧のレベルを予め設定したレベルに補正演算して出力するレベル補正手段を備え、
    前記レベル補正手段は、回転角度に対する実出力電圧を求める実出力電圧演算手段と、この実出力電圧演算手段より求めた実出力電圧から回転角度を求め、この各回転角度に対する信号補正レベルを予め記憶したテーブルより求める補正レベル演算手段とを備え、前記実出力電圧を前記信号補正レベルで補正し、
    前記補正レベル演算手段は、回転角度に対する出力電圧の関係を、実出力電圧に対応する回転角度を挟んだ前後所定の回転角度幅の範囲において一様にした各回転角度に対する信号補正レベルを予め記憶したテーブルを備える、
    ことを特徴とする回転位置センサ。
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