JP3776963B2 - 被加熱素材の加熱方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被加熱素材の加熱方法に関する。さらに詳しくは、たとえば方向性電磁鋼スラブなどの誘導加熱素材を誘導加熱炉で加熱する前に燃料燃焼炉で予備的に加熱する加熱方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、燃料燃焼炉および誘導加熱炉を有する連続圧延設備を用いて電磁鋼スラブを加熱する際には、該電磁鋼スラブは、誘導加熱炉を経由しないで燃料燃焼炉から直接圧延工程へ搬送される複数の普通鋼スラブのあいだに割り込ませた状態で燃料燃焼炉で予備的に加熱され、そののちに誘導加熱炉でさらに加熱されている(特開平5−78747号公報)。
【0003】
しかしながら、誘導加熱炉での加熱においては、電磁鋼スラブは、電磁誘導によって発熱し、さらに昇温するため、該電磁鋼スラブの表面温度は、誘導加熱炉の炉内壁面の温度および炉内の雰囲気の温度よりも高くなる。その結果、電磁鋼スラブは、周囲に熱を放射するため、とくに電磁鋼スラブの長手方向および幅方向の端部の温度低下幅は、他の部分と比べて大きくなる。
【0004】
したがって、電磁鋼スラブの長手方向および幅方向の端部の温度がその中央部の温度と同一かまたはそれよりも低い状態で誘導加熱を開始したばあいには、誘導加熱終了時には、該電磁鋼スラブの長手方向および幅方向の端部の温度がその他の部分と比べていちじるしく低くなり、その結果、該電磁鋼スラブの磁気特性が低下し、品質不良や歩留まりの低下をひきおこすことがある。
【0005】
かかる電磁鋼スラブの幅方向の端部における温度低下を防止する方法としては、燃料燃焼炉の中に隣接して配置される電磁鋼スラブ同士のスラブ幅方向の間隔を調整し、幅方向の端部の昇温量を中央部のそれよりも大きくする方法が提案されている(特開平5−43936号公報)。しかしながら、この方法では、幅方向の端部における温度低下をある程度防止することができるが、長手方向の端部における温度低下を依然として防止することができないという欠点がある。
【0006】
電磁鋼スラブの長手方向の端部における温度低下を防止する方法としては、スラブ長手方向に移動可能な熱遮蔽体を誘導加熱装置内に設置する方法が提案されている(特開平5−105942号公報)。しかしながら、この方法では、誘導加熱装置内やその周辺の高磁場領域における駆動装置への影響を防止するために、多大の設備費用を必要とし、しかも熱遮蔽体に対して多大のメンテナンス費用がかかるという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、誘導加熱終了時における誘導加熱素材の温度分布をほぼ均一にさせることにより、磁気特性のバラツキが小さい誘導加熱素材を歩留まりよくうることができる被加熱素材の加熱方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、燃料燃焼炉および誘導加熱炉を有する連続圧延設備を用いた被加熱素材の加熱方法であって、前記燃料燃焼炉内で加熱したのちに前記誘導加熱炉内でさらに誘導加熱する電磁鋼スラブを普通鋼スラブと並列させ、誘導加熱終了後の前記電磁鋼スラブの長手方向の端部の昇温不足量を補償するように前記普通鋼スラブおよび前記電磁鋼スラブを前記燃料燃焼炉内で加熱する際、圧延機に挿入される前記電磁鋼スラブの圧延機挿入側とは反対側の長手方向の端部のみを、前記電磁鋼スラブの直前側および直後側に並列された前記普通鋼スラブの少なくとも一方の長手方向の端部よりも突出させて加熱することを特徴とする被加熱素材の加熱方法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の被加熱素材の加熱方法は、前記したように、燃料燃焼炉内で加熱したのちに誘導加熱炉内でさらに誘導加熱する電磁鋼スラブを前記燃料燃焼炉内で加熱される普通鋼スラブと並列させ、誘導加熱終了後の電磁鋼スラブの長手方向の端部の昇温不足量を補償するように前記普通鋼スラブおよび前記誘電磁鋼スラブを前記燃料燃焼炉内で加熱する際、圧延機に挿入される前記電磁鋼スラブの圧延機挿入側とは反対側の長手方向の端部のみを、前記電磁鋼スラブの直前側および直後側に並列された前記普通鋼スラブの少なくとも一方の長手方向の端部よりも突出させて加熱することを特徴とする。
【0010】
このように、本発明の被加熱素材の加熱方法によれば、燃料燃焼炉内であらかじめ前記誘導加熱素材の長手方向の端部の昇温不足量が補償されるので、誘導加熱終了後には、誘導加熱素材の温度分布がほぼ均一となり、その結果、該誘導加熱素材の磁気特性のバラツキを小さくすることができる。
【0011】
なお、ここで前記誘導加熱素材の長手方向の端部の昇温不足量とは、品質不良や歩留まりの低下を生じさせる誘導加熱終了時における誘導加熱素材の長手方向の中央部とその端部との温度差をいう。
【0012】
本発明の被加熱素材の加熱方法に適用しうる燃料燃焼炉および誘導加熱炉を有する連続圧延設備の一実施態様を図3に示す。
【0013】
図3において、1は燃料燃焼炉、2は燃料燃焼炉1の抽出側に設けられた被加熱素材搬送用のローラーテーブル8に沿って任意の位置に設置された誘導加熱炉、3は誘導加熱炉2の前方に設けられた竪型圧延機、4は誘導加熱炉2の後方に配置された粗圧延機、5は粗圧延機4の後方に設けられたクロップシャー、6は被加熱素材を所望の板厚にまで熱間圧延するための連続仕上圧延機、7は圧延後に鋼板を巻き取るためのコイラーである。
【0014】
燃料燃焼炉1としては、たとえば被加熱素材をその幅方向に間欠的に搬送させながら加熱することができるウォーキングビーム式のガス加熱炉などを用いることができる。該ガス加熱炉においては、被加熱素材が載置されるスキッドに平行な燃料燃焼炉1の内壁面のウォーキングビームの設置面の上下にサイドバーナーが設けられており、また、スキッドと垂直な壁面のウォーキングビームの設置面の上下に軸流バーナーが設けられている。
【0015】
誘導加熱炉2は、その炉壁の外周に加熱コイルが取り付けられており、不活性ガス雰囲気に制御した炉内に被加熱素材を装入し、電磁誘導によって被加熱素材自体を発熱させることにより、加熱するための炉である。
【0016】
燃料燃焼炉1および誘導加熱炉2で加熱される被加熱素材は、とくに限定がないが、一般的には、たとえば厚さ150〜250mm程度、幅800〜1500mm程度、長さ4〜16m程度であればよい。かかる被加熱素材としては、たとえば電磁鋼スラブなどの誘導加熱素材、普通鋼スラブなどの燃料加熱素材などのスラブなどがあげられる。
【0017】
前記燃料燃焼炉1においては、被加熱素材の材質、用途などによって異なるので一概には決定することができないが、該被加熱素材の中央部分における表面温度が通常、1000〜1350℃程度、なかんづく1000〜1250℃程度となるように加熱することが好ましい。なお、前記被加熱素材として誘導加熱素材を用いたばあいには、該誘導加熱素材は、前記したように、燃料燃焼炉1で加熱したのち、さらに誘導加熱炉2で加熱する。このばあい、該誘導加熱素材の誘導加熱炉2内での加熱は、該誘導加熱素材の中央部分における表面温度が通常1300〜1400℃程度となるように行なうことが好ましい。
【0018】
前記被加熱素材の表面温度は、放射温度計などの非接触温度計などによって測定することができる。
【0019】
図4は、燃料燃焼炉1内における被加熱素材15(燃焼加熱素材13および誘導加熱素材14)の載置状態を示す説明図である。
【0020】
一般に、連続圧延設備で処理される前記被加熱素材15の大部分は、燃焼加熱素材13であり、燃料燃焼炉1のみで加熱され、誘導加熱炉2を介さずに直接熱間圧延されて製品化される。これに対して、誘導加熱炉2での熱処理が必要とされる誘導加熱素材14は、本発明においては、複数の燃焼加熱素材13のあいだに適宜割り込ませて加熱される。
【0021】
図4においては、被加熱素材15(燃焼加熱素材13および誘導加熱素材14)のうち、誘導加熱素材14には斜線が付されており、斜線が付されていない燃焼加熱素材13と区別して示されている。
【0022】
図4に示されるように、被加熱素材15は、燃料燃焼炉1の装入口10の前面に設けられたローラーテーブル11から装入口10を通って燃料燃焼炉1の内部のスキッド9上に装入され、ウォーキングビーム(図示せず)によってスキッド9上を抽出口12まで搬送される。炉内における被加熱素材15の搬送速度は、通常0.2〜0.5m/分程度であればよい。搬送中に輻射熱を受け、所定の表面温度に加熱された被加熱素材15は、燃料燃焼炉1の抽出口12を通って抽出口12の前面に設けられたローラーテーブル8に載置され、つぎの工程に搬送される。
【0023】
被加熱素材15を燃料燃焼炉1に装入する際には、通常、被加熱素材15は、被加熱素材15の長手方向のセンター位置から端部までをできるだけ対称的に均一に加熱するために、被加熱素材15の長手方向のセンター位置が燃料燃焼炉1のセンター位置と一致するように装入することが好ましい。また、被加熱素材15は、そのすわりの点から幅が広い方の面が上下面となるようにスキッド9上に載置することが好ましい。
【0024】
図4に示されるように、誘導加熱素材14の直前側および直後側には、該誘導加熱素材14とほぼ平行となるように、燃焼加熱素材13が並列されている。燃焼加熱素材13と誘導加熱素材14との幅方向の間隔がある程度確保されているばあいには、前記したように、誘導加熱素材14の幅方向の端部における温度の低下をある程度防止することができるが、その間隔が大きくなればなるほど、単位時間あたりに処理しうる被加熱素材15の数が相対的に減少するので、燃料燃焼炉1における生産効率が低下する。したがって、燃料燃焼炉1における生産性を考慮すれば、被加熱素材15同士の幅方向の間隔は、通常、50〜300mm程度であることが好ましい。
【0025】
本発明においては、燃焼加熱素材13および誘導加熱素材14を誘導加熱終了時の誘導加熱素材14の長手方向の端部の昇温不足量が補償されるように燃料燃焼炉1内で加熱する点に、1つの大きな特徴がある。
【0026】
このように、誘導加熱素材14の長手方向の端部における温度がその他の部分よりも所定の温度だけ高くなるように、燃料燃焼炉内1であらかじめ温度補償しておいたばあいには、該誘導加熱素材14を誘導加熱炉2内で誘導加熱したときに該誘導加熱素材14の表面温度の分布をほぼ均一にさせることができる。したがって、誘導加熱終了後の誘導加熱素材14は、磁気特性のバラツキが小さくなり、すぐれた品質を有するようになる。
【0027】
誘導加熱終了時の誘導加熱素材14の長手方向の端部の昇温不足量は、たとえば、誘導加熱素材14の昇温不足量の補償を必要とする長手方向の端部が、誘導加熱素材14の直前側および直後側に並列された燃焼加熱素材13の少なくとも一方によって燃料燃焼炉1からの輻射熱の供給が遮蔽されないように燃焼加熱素材13および誘導加熱素材14を燃料燃焼炉1内に配置して加熱することによって補償することができる。
【0028】
かかる昇温不足量の補償は、図1(a)〜(c)に示されるように誘導加熱素材14の端部がその直前側および直後側に並列される燃焼加熱素材13の少なくとも一方の端部よりも外側に突出するように燃料燃焼炉1内に配置するか、または図2(a)〜(b)に示されるように誘導加熱素材14の端部がその直前側または直後側に並列される燃焼加熱素材13の端部よりも外側に突出するように燃料燃焼炉1内に配置して加熱することによって行なうことができる。このように、燃焼加熱素材13および誘導加熱素材14を配置したばあいには、誘導加熱素材14の長手方向の外側に突出した端部は、燃料燃焼炉1の炉壁からの輻射熱をその他の部分よりも多量に受け、その他の部分と比べて高温となるので、温度補償が行なわれる。
【0029】
誘導加熱素材14の昇温不足量を補償する際には、長手方向の両端の昇温不足量が補償されるようにすることが歩留まりを向上させるうえで好ましいが、誘導加熱素材14の用途などに応じて一方の端部のみの昇温不足量が補償されるようにしてもよい。また、誘導加熱素材14の長手方向の両端のうち、圧延機挿入側の端部(いわゆるフロント)は、その反対側の端部(いわゆるテイル)よりも時間的に先に圧延されるので、温度の低下幅が小さくなる傾向がある。こうしたばあいには、誘導加熱後に温度分布が均一な誘導加熱素材14をうるためには、圧延機挿入側と反対側の端部を重点的に突出させて加熱し、昇温不足量を補償することが好ましい。
【0030】
誘導加熱素材14の両端の昇温不足量を補償するばあいには、図1(a)に示されるように、その直前側および直後側に並列された燃焼加熱素材14の端部に対して外側に突出させて配置すればよく、また一方の端部のみの昇温不足量を補償するばあいには、図1(b)および図1(c)に示されるように、その一方の端部を外側に突出させて配置すればよい。
【0031】
なお、誘導加熱素材14の幅が狭い方の面を水平に保持させて誘導加熱炉2で加熱するときには、その下面が支持台に接するなどしてその他の部分よりも温度が大きく低下し、品質不良をひきおこす温度偏差を生じることがある。このような幅方向の温度偏差を解消させるばあいには、燃料燃焼炉1で加熱するときに、誘導加熱素材14の下面となる側の幅が狭い方の面に燃焼加熱素材13によって輻射熱の照射が阻害されないようにし、また、上面となる側の幅が狭い方の面に輻射熱が照射されるようにして、加熱することにより、前記温度が低下する幅方向の端部の昇温不足量の補償を行なうことができる。このばあい、燃焼加熱素材13および誘導加熱素材14を誘導加熱終了時の誘導加熱素材14の長手方向の端部の昇温不足量が補償されるように燃料燃焼炉1内で加熱することが前記と同様の理由で好ましい。
【0032】
誘導加熱終了時の誘導加熱素材14の長手方向の端部の昇温不足量は、たとえば誘導加熱素材14の昇温不足量の補償を必要とする長手方向の端部が、誘導加熱素材14の前記上端部側に相当する直前側または直後側に並列された燃焼加熱素材13によって燃料燃焼炉1からの輻射熱の供給が遮蔽されないように燃焼加熱素材13および誘導加熱素材14を燃料燃焼炉1内に配置して加熱することによって補償することができる。
【0033】
誘導加熱素材14の燃焼加熱時における突出量は、たとえばつぎのような手法によって決定することができる。
【0034】
すなわち、誘導加熱素材14と同一のサンプルをあらかじめ所定の加熱温度、加熱時間などの誘導加熱条件のもとで誘導加熱炉2内で加熱し、誘導加熱終了時における該誘導加熱素材14の中央部と端部との温度差、すなわち昇温不足量T1を測定する。
【0035】
つぎに、燃料燃焼炉1内で誘導加熱素材のサンプルの突出量を変化させて加熱し、燃焼加熱終了時における誘導加熱素材14の中央部と端部との温度差を測定し、所定の品質基準を満足するときの温度差を温度補償量T2とする。温度補償量T2は、誘導加熱素材14に要求される品質基準によって異なるが、前記昇温不足量T1と同一となるように調整することが良品質を有する製品をうるうえで好ましい。
【0036】
【実施例】
つぎに、本発明の被加熱素材の加熱方法を実施例にもとづいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0037】
実験例
まず、炉内の雰囲気温度が1250〜1300℃である燃料燃焼炉内で、平均温度(電磁鋼スラブの幅が広い方の面の長手方向中心線上における、長手方向中央部の表面温度と、長手方向端部の端面から50mm内側の位置の表面温度との平均の温度をいう)が1200℃となるように均一に加熱された電磁鋼スラブ(板厚200mm、板幅1000mm、長さ10m)のサンプルを誘導加熱炉内で平均温度が1350℃となるように加熱した。
【0038】
その結果、電磁鋼スラブの中央部の温度は1350℃、端部の温度は1310℃であり、両者の温度差40℃を前記電磁鋼スラブの昇温不足量T1とした。
【0039】
つぎに、炉内の雰囲気温度が1250〜1300℃である燃料燃焼炉で、平均温度1200℃の普通鋼スラブ(板厚200mm、板幅1000mm、長さ10m)と、平均温度1200℃の前記サンプルとを幅方向の間隔100mmで並列させ、直前側および直後側に配置した普通鋼スラブの端部よりも電磁鋼スラブの長手方向の一方の端部を150mm突出させ、搬送速度0.25m/分で搬送しながら加熱したのち、誘導加熱炉内で加熱した。その結果、電磁鋼スラブの中央部の温度が1350℃、端部の温度が1350℃であり、両者の温度差である温度補償量T2(40℃)が前記昇温不足量T1と等しくなることを確認した。
【0040】
実施例1
前記実験例と同一の条件で、電磁鋼スラブを燃焼加熱炉で加熱し、さらに燃焼加熱された該電磁鋼スラブを実験例と同一の条件で誘導加熱した。
【0041】
電磁鋼スラブの物性として、誘導加熱前および誘導加熱後における電磁鋼スラブの温度偏差、ならびに前記加熱処理を受けた電磁鋼スラブを仕上げ圧延してえられた電磁鋼板の鉄損および磁束密度を測定し、その結果を表1に示す。
【0042】
なお、前記温度偏差とは、電磁鋼スラブの幅が広い方の面についての長手方向中心線上における、長手方向中央部の表面温度と長手方向端部の端面から50mm内側の位置の表面温度の差とを示すものであり、これらの表面温度は放射温度計を用いて測定した。
【0043】
前記鉄損および磁束密度は、電磁鋼板の品質を評価する指標として一般的に用いられるものであって、表1中に示す鉄損のW17/50 は周波数50Hz、最大磁束密度1.7Tのときの鉄損を示し、同じく磁束密度のB8 は磁化力800A/mにおける磁束密度を示す。
【0044】
比較例1
実施例1において、電磁鋼スラブの長手方向の端部の突出量を0mmとしたほかは、実施例1と同様にして電磁鋼スラブの誘導加熱を行なった。誘導加熱前および誘導加熱後におけるそれぞれの温度偏差ならびに該電磁鋼スラブを仕上圧延してえられた電磁鋼板の鉄損および磁束密度を実施例1と同様に測定した。その結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
表1に示された結果から、実施例1の方法によれば、誘導加熱後の温度偏差が比較例1と比較して大幅に低減しており、電磁鋼スラブ全体の温度分布を均一にさせることができることがわかる。
【0047】
また、実施例1の方法を採用したばあいには、従来の比較例1の方法と対比して、実施例1でえられた製品の鉄損の平均が0.840W/kgから0.811W/kgに改善され、また磁束密度が1.930Wb/m2から1.945Wb/m2に改善され、しかもそれぞれの標準偏差の値も実施例1のほうが小さいことがわかる。
【0048】
このことから、実施例1の方法によれば、品質の安定性にすぐれた電磁鋼板をうることができることがわかる。
【0049】
実施例2
実施例1において、電磁鋼スラブの直前側にのみ普通鋼スラブを並列させたほかは、実施例1と同様にして電磁鋼スラブを燃焼加熱炉で加熱し、さらに燃焼加熱された電磁鋼スラブを実施例1と同一の条件で誘導加熱した。
【0050】
実施例1で測定した物性に加えて、誘導加熱前および誘導加熱後における電磁鋼スラブの幅方向の温度偏差を測定した。その結果を表2に示す。
【0051】
比較例2
実施例2において、電磁鋼スラブの長手方向の端部の突出量を0mmとしたほかは、実施例2と同様にして電磁鋼スラブの誘導加熱を行ない、実施例2と同様に物性を測定した。その結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
表2に示された結果から、実施例2の方法によれば、誘導加熱後の温度偏差が比較例2よりも大幅に低減しており、電磁鋼スラブ全体を均一な温度分布にさせることができることがわかる。
【0054】
また、実施例2の方法を採用したばあいには、従来の比較例2の方法と対比して、実施例2でえられた製品の鉄損の平均が0.838W/kgから0.810Wb/kgに改善され、また磁束密度が1.933Wb/m2から1.946Wb/m2に改善され、しかもそれぞれの標準偏差の値も実施例2のほうが小さいことがわかる。
【0055】
このことから、実施例2の方法によれば、品質の安定性にすぐれた電磁鋼板をうることができることがわかる。
【0056】
【発明の効果】
本発明の被加熱素材の加熱方法によれば、電磁鋼スラブの長手方向の端部、特に圧延機挿入側と反対側の端部の昇温不足量が補償されるので、誘導加熱終了後には、電磁鋼スラブの温度分布がほぼ均一となり、その結果、磁気特性のバラツキの小さい電磁鋼スラブを歩留りよく製造することができるという効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)および(c)は、それぞれ本発明の被加熱素材の加熱方法において誘導加熱素材の直前側および直後側に燃焼加熱素材を並列させたばあいの説明図である。
【図2】本発明の被加熱素材の加熱方法において、(a)は誘導加熱素材の直前側に、(b)は誘導加熱素材の直後側にそれぞれ燃焼加熱素材を並列させたばあいの説明図である。
【図3】本発明の被加熱素材の加熱方法に用いられる燃料燃焼炉および誘導加熱炉を有する連続圧延設備の一実施態様を示す説明図である。
【図4】本発明の被加熱素材の加熱方法に用いられる燃料燃焼炉内における被加熱素材の載置状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 燃料燃焼炉
2 誘導加熱炉
13 燃焼加熱素材
14 誘導加熱素材
15 被加熱素材
Claims (1)
- 燃料燃焼炉および誘導加熱炉を有する連続圧延設備を用いた被加熱素材の加熱方法であって、
前記燃料燃焼炉内で加熱したのちに前記誘導加熱炉内でさらに誘導加熱する電磁鋼スラブを普通鋼スラブと並列させ、誘導加熱終了後の前記電磁鋼スラブの長手方向の端部の昇温不足量を補償するように前記普通鋼スラブおよび前記電磁鋼スラブを前記燃料燃焼炉内で加熱する際、圧延機に挿入される前記電磁鋼スラブの圧延機挿入側とは反対側の長手方向の端部のみを、前記電磁鋼スラブの直前側および直後側に並列された前記普通鋼スラブの少なくとも一方の長手方向の端部よりも突出させて加熱することを特徴とする被加熱素材の加熱方法。
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JP33075295A JP3776963B2 (ja) | 1995-12-19 | 1995-12-19 | 被加熱素材の加熱方法 |
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JPH09170023A JPH09170023A (ja) | 1997-06-30 |
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JP (1) | JP3776963B2 (ja) |
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- 1995-12-19 JP JP33075295A patent/JP3776963B2/ja not_active Expired - Lifetime
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