JP3776865B2 - 植物栽培用マット、および植物栽培方法 - Google Patents

植物栽培用マット、および植物栽培方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物栽培用マットに関し、詳細には、植物の育苗、生育等の過程で培土内に埋設して使用する植物栽培用マットに関する。
【0002】
【従来の技術】
野菜等の水耕栽培では、ロックウールなどの人造鉱物繊維をマット、ブロックなどの形態に成形したものに肥料成分を含有させ、育苗床や栽培床として利用することが行われている。ロックウールなどを用いたマットは、保水性、通気性に優れ、軽量であり、工業的に大量生産が可能であるため、水耕栽培の育苗床としての利用に適しており、これまでいくつかの技術的改良が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。しかし、これらの人造鉱物繊維を用いたマットは、水耕栽培での利用に限られており、土壌中に埋設するような使用態様は想定されていない。
【0003】
ところで、各種野菜、花卉等の育苗は、ポリエチレン製等の栽培容器(栽培ポット)に培土としての土壌を入れ、苗を1本づつ鉢植えした形態で行われることが多い。栽培ポットに鉢植えされた苗は、その状態で農家まで届けられ、そこで畑等に定植される。従来の育苗方法では、栽培ポットに鉢植えされた苗の生育は、ポット内に投入された土壌の物理的・化学的性質にほとんど依存していた。つまり、育苗に必要な根毛への栄養分や水分の供給、通気性の確保等は、栽培ポット内の土壌を介して行われることになる。必要に応じて土壌に施肥をしたり、土壌改良材を添加したりする場合でも土壌自体の物理的・化学的性質を無視することはできない。
【0004】
【特許文献1】
特公平1−27693号公報
【特許文献2】
特公平6−61191号公報
【特許文献3】
特公平8−56477号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
最近では農作物等の育苗は、それを専門的に扱う育苗施設で行われるようになっている。このような育苗施設では、栽培ポット内の土壌水分量や通気量を適度に調節することにより、また、土壌に含まれる肥料成分の種類や量を適切に管理することにより、発芽と苗の成長を促し、短期間での育苗・出荷と苗価格の安定を図っている。
【0006】
しかし、当該施設では多種多様な農作物を種の段階から発芽させ、栽培ポットで鉢植えにして育苗するため、植物の種類に応じて土壌の物理的・化学的性質を最適化することが困難になりつつある。また、育苗後は土壌を入れた状態で流通させるため、大量になると移送重量が大きくなり、コストを押し上げる原因となる。
【0007】
したがって、育苗施設における栽培ポット等の鉢植え形態での育苗においても、植物の種類に応じて土壌の物理的・化学的性質を適切に管理することが望まれている。また、育苗段階に限らず、鉢植えの形態で流通する花卉、園芸植物についても、良好な生育を促すためには、植物種に応じて適切な管理を行うことが必要である。
【0008】
本発明の課題は、園芸用植物等の育種や生育環境を簡易な手段で良好な状態に維持するための資材を提供すること、および該資材を用いた栽培方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項に記載の植物栽培方法の発明は、人造鉱物繊維を主原料とし、該繊維が略一定方向に配列されており、結合剤によって一体化して繊維集合体として形成され、前記結合剤には熱硬化性フェノール樹脂を用い、培土に埋設した場合に前記繊維の配列方向が重力方向と重なり、該繊維の成形密度が40〜160kg/m となるように成形された植物栽培用マットを、栽培ポットの底部に配置して培土に埋設し、植物を栽培することを特徴とする。
この特徴によれば、植物栽培用マットを用いて栽培を行うことにより、適度な水分供給が可能になるとともに、繊維間の空隙を利用して根の伸長を促すことができる。また、植物栽培用マットに肥料成分を配合した場合においては、植物種に応じた施肥が行えるため栄養状態を最適化することが可能であり、植物栽培用マットに抗菌成分を配合した場合には、栽培植物の病害を防ぐことも可能になる。
請求項2に記載の植物栽培方法の発明は、請求項1おいて、前記植物栽培用マットは培土の深さに対して1/2〜1/5を占めるように使用し、植物を栽培することを特徴とする。
【0010】
この植物栽培用マットは、人造鉱物繊維を主原料として成形され、土壌などの培土に埋設して使用されるものであり、培土の一部として植物体を支持するとともに、根に必要な水分や栄養分等を供給しやすくする。
すなわち、ロックウールなどの人造鉱物繊維は、自然の土壌に近い性質を持つため、土壌改良作用を有し、pHの安定化などに寄与するとともに、繊維の毛管作用による高い吸水性・保水性も併せ持つ。また、この植物栽培用マットは、埋設された状態で繊維の配列方向が重力方向と重なるように構成されているので、土壌だけの場合に比べて根の伸長が促され、根毛が繊維間に入り込み、繊維と絡み合う。その結果、水分や栄養分の吸収が促進されるとともに、植物体をしっかりと支持し定着させる作用を有する。
また、繊維の配列方向に貫通する開口部を備えることにより、植物の種類に応じて植物栽培用マットの保水量や植物の根の伸長度合いを調節することができる。例えば、栽培する植物が多くの水を必要とせず、水分を栽培ポットから比較的短時間で排出させたい場合、あるいは逆に植物の種類により保水時間を長くしたい場合に、貫通開口部の大きさを調節することによって最適な栽培環境が実現できる。なお、本発明において「栽培」の語は、育苗も含む意味である。
【0011】
上記に記載の植物栽培用マットは、人造鉱物繊維の成形密度が40〜160kg/mであることを特徴とする。この特徴によれば、人造鉱物繊維の成形密度を上記範囲とすることにより、植物栽培用マットに吸水性能・保水性能を持たせながら、植物体を支持する機能を十分に発揮させることができる。また、ポリエチレン製の栽培ポットにおける栽培では、通常の土壌のみを入れた状態では300〜400kg/m程度の密度になるが、カサ密度の小さな植物栽培用マットを埋設することにより、栽培ポットの重量を大幅に軽くできるので、苗の移送や持ち運びが容易になる。
【0012】
上記に記載の植物栽培用マットは、人造鉱物繊維が、ロックウールであることを特徴とする。無機繊維であるロックウールは、腐敗せず、軽量で気孔率が高く、通気性に富み、毛管作用に優れているため、植物栽培用マットの主原料として最適なものである。
【0013】
上記に記載の植物栽培用マットは、肥料成分を含有することを特徴とする。人造鉱物繊維自体は肥料効果を持たないため、肥料成分を添加することによって植物の生育に適した栄養分を供給することができる。しかも、植物栽培用マットに肥料を配合することにより、培土としての土壌が同じでも、栽培する植物の種類に応じた施肥が行えるため、鉢植えの状態で多種、大量の苗を育てる育苗施設において非常に有効である。
【0014】
上記に記載の植物栽培用マットは、抗菌成分を含有することを特徴とする。植物栽培用マットに抗菌成分を配合することにより、栽培中の病害菌に対する防除効果が期待できる。特に、植物の種類に応じて容易に抗菌成分の種類を変えることができるため、鉢植えの状態で多種、大量の苗を育てる育苗施設において非常に有効である。
【0016】
上記に記載の植物栽培用マットは、複数のセグメントに分割可能に区画された板状体であることを特徴とする。
この特徴によれば、複数のセグメントに分割可能に区画された板状の植物栽培用マットは、区画に沿って容易に分離・分割することができる。したがって、ユーザーが使用時に栽培ポットの形状や大小に応じて所望の大きさに分割することが容易で、利便性が高い。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の植物栽培用マットは、人造鉱物繊維を主原料とし、繊維が略一定方向に揃うように配列された植物栽培用マットであり、培土に埋設した場合に前記繊維の配列方向が重力方向と重なるように構成されたものである。
【0019】
本発明の植物栽培用マットの主原料となる人造鉱物繊維とは、ガラスまたは鉱物質を溶融して繊維化したものであり、例えばガラス繊維、セラミック繊維、ロックウール等が含まれる。これらの人造鉱物繊維の中でもロックウールを用いることが好ましい。ロックウールは、岩綿とも称され、岩石を溶かして人工的に繊維化した既知の素材であり、SiO、Al、CaO、MgO、Fe等を主要な構成成分とするものである。
【0020】
本発明の植物栽培用マットには、例えば結合剤、肥料成分、抗菌成分、殺虫成分、土壌改良成分、植物生育調節成分(植物ホルモンなど)、有用微生物(硝酸菌、菌根菌等)を添加、配合することができる。
【0021】
結合剤としては、例えばフェノール樹脂系、尿素樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、アクリル酸エステル系のものを使用することができるが、これらの中でも、人造鉱物繊維への濡れ性などの馴染みに優れ、強靭なバインダー力を示す熱硬化性フェノール樹脂系のものが好ましい。
【0022】
肥料成分としては、例えば、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、尿素、過リン酸石灰、硫酸カリウム、塩化カリウムなどが挙げられる。
【0023】
抗菌成分や殺虫成分は、植物病原菌の種類に応じて選択することができるが、天然植物由来の抗菌成分や殺虫成分を用いることが好ましい。本発明の植物栽培用マットに配合可能な抗菌成分、殺虫成分としては、例えば、アルカロイド(硫酸ニコチン、キハダ、クララ等)、フラボノイド(陳皮、黄ごん、葛根等)、テルペノイド(精油等)、アントラキノン(大黄等)、その他、芥子油配糖体、青酸配糖体、含硫黄化合物、酸アミド型化合物等が挙げられる。
【0024】
また、抗菌成分として、例えば緑茶抽出物、孟宗竹抽出物、生薬エキスなどの植物抽出物を使用することもできる。かかる天然植物由来の抗菌成分としては、市販品を利用することも可能であり、例えば、緑茶抽出物であるカテキン類として、カテキン30G、カテキン60W(以上、商品名:白井松新薬株式会社製)、孟宗竹抽出物としてネオバンブス−1000、ネオバンブス−2000(以上、商品名:白井松新薬株式会社製)、生薬エキスとしてツムランド(商品名:ツムラ社製)等を挙げることができる。抗菌成分は、各種の植物病に対して有効であり、例えば、トマトのセンチュウ病、根腐れ病等、キュウリのネコブセンチュウ病、うどんこ病、べと病等、ナスの灰色かび病、青枯病、軟弱葉ものの立枯病等に対する病害防除または予防作用を有する。また、病害を防ぐ結果として、後記実施例に示すように植物の生育を促すことが確認されている。
【0025】
肥料成分、抗菌成分等を植物栽培用マットに担持させる方法としては、人造鉱物繊維の製織時に薬剤を添加する方法や、成形後の植物栽培用マット上に薬剤を適度な濃度に水希釈溶解・分散してコート処理する方法等が挙げられる。植物栽培用マットに添加する肥料成分としての窒素は、マット体積当り50〜600mg/リットルが好ましく、200〜300mg/リットルがより好ましい。また、リン酸はマット体積当り50〜400mg/リットルが好ましく、250〜350mg/リットルがより好ましい。また、カリは、マット体積当り50〜550mg/リットルが好ましく、150〜250mg/リットルがより好ましい。
【0026】
抗菌剤・殺虫剤は、植物栽培用マット全体の0.01〜3重量%となる量で添加することが好ましく、0.1重量%程度がより好ましい。なお、肥料成分や、抗菌成分、殺虫成分等の中には水に溶解した状態で低いpHを呈するものがあり、これらをそのまま植物栽培用マットに配合すると栽培ポット内のpHを低下させるように作用する。このため、植物の種類にもよるが、必要に応じて添加後の植物栽培用マット(溶出液)のpHを5〜7程度に調整することが好ましい。
【0027】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る植物栽培用マット10の概要を示す斜視図である。植物栽培用マット10は、ロックウールを主原料とするものであり、略四角い板状の外形をしている。植物栽培用マット10の長尺部の辺の長さLは、使用する栽培ポットの内径に応じて適宜設定することができるが、本実施形態では65mmに設定している。また、植物栽培用マット10の厚みHは、5〜25mm程度が好ましく、本実施形態では17mmに設定している。
【0028】
図2は、本発明の植物栽培用マット10の使用例を示す模式的断面図である。植物栽培用マット10は、図2(a)〜(c)に例示するように栽培ポット100の培土60中に埋め込まれて使用される。植物栽培用マット10の埋設位置(培土表面からの深さ)は、植物根50が伸長する領域に合う深さであればよく、図2(a)に示すように培土60の中間深度でも、あるいは同図(b)に示すように培土60の下部(栽培ポット100の底付近)でもよい。また、図2(c)に示すように複数の植物栽培用マット10、10を同時に使用することもできる。なお、図2(a)〜(c)において、植物栽培用マット10の周部が栽培ポット100の内周面に接するように配置することもできる。
【0029】
本発明の植物栽培用マット10は、繊維の配列方向が略一定方向に揃うように形成されている。このような繊維の配列は、以下のような方法で形成することができる。
まず、人造鉱物繊維(ガラス繊維、セラミック繊維、ロックウールなど)を形成し得るガラス質または鉱物質を溶融して公知の方法により繊維化する。例えば、ロックウールの場合は、玄武岩等を主体とする原料をキュポラに投入し、およそ1500℃の高温で溶融して湯の状態にする。これを湯口より連続的に一定量流出させ、高速ローター(スピナーなど)の遠心力を利用して繊維化することにより、綿状のロックウールを得ることができる。
【0030】
上記のようにして形成された人造鉱物繊維が製織装置直下の繊維捕集面に達する前に結合剤を噴霧して付着させ、繊維捕集面をベルトコンベアのように一方向に連続的に移動させながら繊維を捕集することによって、繊維捕集面移動方向に大部分の繊維が配向した繊維集合体30を形成することができる。以上の過程で、最終製品となる植物栽培用マット10の成形密度が40〜160kg/mとなるようにする。植物栽培用マット10の成形密度は、植物の種類や培土としての土壌に応じて調整することが可能であるが、前記範囲であれば、繊維間に適度な気孔を有し、根の伸長を妨げることなく毛管作用を発揮するので好ましい。また、植物栽培用マット10の成形密度は、使用目的に応じて調整することができる。例えば、栽培する植物が通気性の良好な地中環境を好む場合には、成形密度を40〜60kg/m程度に設定して植物栽培用マットの気孔率を高くすることが可能であり、逆に栽培する植物が密な地中環境を好む場合には、成形密度を120〜160kg/m程度に設定して植物栽培用マットの気孔率を低くすることができる。
【0031】
本発明の植物栽培用マットは、植物の種類にもよるが、培土の深さに対して1/2〜1/5を占めるように使用することが好ましく、1/4程度を占めるように使用することがより好ましい。使用状態の一例を挙げると、栽培ポット100の口径(最大径)が90mm、高さが90mmの場合は、栽培ポット100の底へマット厚さ17mm程度の植物栽培用マット10を配置し、その上に培土を50mmの深さで盛って使用することができる。
【0032】
また、本発明の植物栽培用マット10は、培土に埋設した場合に繊維の配列方向が重力方向と重なるように配置する。このため、上記のようにして得られた繊維集合体30を、図3に示すように、繊維の配列方向(図中、両端矢印で示す)と直交する方向に裁断することにより、平板状の植物栽培用マットを製造できる。裁断に先立ち、繊維集合体30を接着剤を用いて積層し、あるいは集合化する(束にする)ことによって、所望の面積と形状で植物栽培用マット10を形成できる。つまり、本発明の植物栽培用マット10は、投入する栽培ポットの断面積や断面形状に合わせて適切な大きさに整えることができる。
【0033】
本発明植物栽培用マットの形態例を図4〜図6に示す。
【0034】
図4(a)に例示するように繊維集合体30を平板状に成形した後、積層して接着剤により貼り合わせ、繊維の配列方向(両端矢印で示す)と直交する方向に裁断を行うことにより、四角い板状の植物栽培用マット11を得ることができる[同図(b)]。
【0035】
また、例えば図5(a)に例示するように、多角柱(ここでは6角柱)に成形した繊維集合体30を複数束ねて相互に接着した後、繊維の配列方向(両端矢印で示す)と直交する方向に裁断することによって、同図(b)に示すような任意の形状(ここでは6角形の集合)の植物栽培用マット12を得ることができる。
【0036】
また、板状の植物栽培用マットをトムソン刃などの打ち抜き型を使用して不完全な状態で打ち抜き、区画としての溝形成を行うことにより、後述するように6角形等の任意の形状に容易に分割可能な植物栽培用マットの集合を成形することもできる。
【0037】
図6は、別の実施形態に係る植物栽培用マット13の外観を示す斜視図である。この植物栽培用マット13は、円板状であり、ほぼ中央に貫通開口部111を備えている。この貫通開口部111は、培土60の種類・性質と、植物栽培用マット13の性能との兼ね合いで、保水量や根の伸長度合いを調節する際に有利に作用する。例えば、肥料成分の徐放効果を高くする目的で植物栽培用マット13の密度を高めに設定する場合、ロックウール等の繊維間に植物の根が入り込み難くなるため、根の伸長度合いは小さくなるが、貫通開口部111を設けてこの部分での根の伸長を促すことによって、バランスを取ることができる。また、栽培する植物種が多くの水を必要とせず、水分を栽培ポット100から比較的短時間で排出させたい場合、あるいは逆に植物種により保水時間を長くしたい場合にも、貫通開口部111の大きさを調節することによって最適な栽培環境が実現できる。なお、貫通開口部111は1つに限らず、複数形成することができる。
【0038】
図7は、さらに別の実施形態に係る植物栽培用マット14の平面図である。この植物栽培用マット14は、平板状の外形をしており、表面に分割を容易にするための区画としての溝21が亀甲状に刻設されている。なお、図7において人造鉱物繊維の配列方向は、紙面と直交する方向である。
【0039】
溝21によって区画される6角形のセグメント23は、分割された場合にそれぞれ独立して植物栽培用マット14’を構成するほか、二つ以上が集合した状態でも植物栽培用マット14を形成する。つまり、本実施形態の植物栽培用マット14において、溝21は力学的弱点となるため、この部分で分離、分割が容易に行える。したがって、栽培ポット100の大きさに応じ、ユーザーが溝21に沿って所望の大きさに分割することができるので利便性が大きい。
【0040】
区画としての溝21の形状は、図7の態様に限るものではなく、例えば、図8(a)に示すように同心円状に形成された複数の溝21により、それぞれ植物栽培用マットとなり得るセグメント25a、25b、25cを区画してもよい。このセグメント25a、25b、25cは、それぞれ分離した状態で独立して植物栽培用マット15となり得るほか、例えば、セグメント25aと25bとが結合した状態で、あるいは、セグメント25bと25cとが結合した状態で、さらには、セグメント25a、25bおよび25cが結合した状態で、植物栽培用マット15を構成することもできる。なお、図8(a)において、セグメント25cの境界部分についても、そのまま、あるいは必要に応じて所望の形状に加工して植物栽培用マット15として利用できる。
【0041】
また、図8(b)に示すように溝21により三角形のセグメント27、27、・・・は、それぞれ植物栽培用マット16となり得るほか、それらを二つ組み合わせて形成される四角形のセグメント28、28、・・・としても、あるいは、さらに四つのセグメント28を組み合わせた大四角形のセグメント29、29、・・・としても植物栽培用マット16を構成することができる。なお、図8において人造鉱物繊維の配列方向は、紙面と直交する方向である。
【0042】
図7、図8において、区画としての溝21に替えて切り込みを設けることも可能である。切り込みは、前記したように、打ち抜き型を使用して不完全な状態で打ち抜きを行うことにより容易に形成できる。
【0043】
【実施例】
次に、実施例、試験例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに制約されるものではない。
【0044】
実施例1〜5、比較例1〜5
トマト育苗試験:
厚さ10mm、対向する2辺間の直径が65mmである6角形状の植物栽培用マット(図7参照:ロックウール製、無施肥)を最大内径70mmのポリエチレン製栽培ポットの底部に配置し、以下に示す組成の培土により埋設した。覆土量は200cc/1ポットとした。
<培土組成>
ピートモス(荒目) 40重量%
ピートモス(細目) 10重量%
鹿沼土 15重量%
軽石 10重量%
ココヤシピート 10重量%
堆肥 5重量%
パーライト 10重量%
合計 100重量%
この栽培ポットにトマト[品種:桃太郎(商標)]を植え付け、20℃〜35℃の温度条件で育苗した。水分は植物栽培用マットを含む培土全体として60重量%に管理した。また、比較例として、植物栽培用マットを使用せずに培土のみを用いて同様の条件で栽培を行った。植え付け後、55日後の生育状態を、草丈、葉数、および茎の太さ(直径)により観察した。その結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
Figure 0003776865
【0046】
表1より、植物栽培用マットを使用した試験区分(実施例1〜5)では、使用しない区分(比較例1〜5)と比較して草丈は低いが葉数が多く、茎径が太いことが判明した。これは、植物栽培用マットにより、根の伸長が促されるとともに、水分および栄養分の吸収が良好な状態で行われたためであると考えられる。
【0047】
また、実施例と比較例のトマト(55日間栽培)について、根の発育状態を比較した。根の発育状態は、根毛各30本について、光学顕微鏡により長さ方向の中心部位における太さ(表面積)を測定し、比較例の根30本の平均を1として評価した。その結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
Figure 0003776865
【0049】
実施例6〜8
キュウリ栽培試験:
厚さ10mm、対向する2辺間の直径が65mmである6角形状の植物栽培用マット(図7参照:ロックウール製、無施肥)を最大内径70mmのポリエチレン製栽培ポットの底部に配置し、実施例1〜5と同じ組成の培土により埋設した。覆土量は200cc/1ポットとした。この試験では、植物栽培用マットに、カテキン30G(商品名:白井松新薬株式会社製)を0.1重量%添加した場合(実施例6)、ネオバンブス−1000(商品名:白井松新薬株式会社製)を0.02重量%添加した場合(実施例7)、および抗菌成分を添加しない場合(実施例8)について、それぞれ以下の条件で育苗を行い、生育状態を比較した。
【0050】
<育苗条件>
キュウリの種子(品種;シャープ1)を培土表面から4mmの深さで播種し、気温18〜30℃、潅水pH6.0、水分は植物栽培用マットを含む培土全体として60重量%に管理して育苗した。
【0051】
【表3】
Figure 0003776865
【0052】
表3より、植物栽培用マットに抗菌成分を添加することによって、抗菌成分を添加しない場合と比較して草丈は低いが葉数が多く、茎径が太い苗が得られることが判明した。また、葉の色合いも良かった。これは、抗菌成分の作用によって植物病原菌による病害が予防・抑制され、間接的に生育が促進されたためであると考えられる。
【0053】
以上、本発明を種々の実施形態に関して述べたが、本発明は上記実施形態に制約されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、他の実施形態についても適用可能である。
例えば、上記実施例では最終的に畑等の定植される一時的な育苗段階での使用例を取り上げたが、これに限らず、鉢、プランター等により永続的に栽培する盆栽、観賞用花卉等においても、培土内に植物栽培用マットを埋設して使用することができる。
【0054】
【発明の効果】
本発明の植物栽培用マットは、人造鉱物繊維を主原料として成形され、土壌などの培土に埋設して使用されるものであり、培土の一部として植物体を支持するとともに、根に必要な水分や栄養分等を供給しやすくする。すなわち、ロックウールなどの人造鉱物繊維は、自然の土壌に近い性質を持つため、土壌改良作用を有し、pHの安定化などに寄与するとともに、繊維の毛管作用による高い吸水性・保水性も併せ持つ。また、この植物栽培用マットは、埋設された状態で繊維の配列方向が重力方向と重なるように構成されているので、土壌だけの場合に比べて根の伸長が促され、根毛が繊維間に入り込み、繊維と絡み合う。その結果、水分や栄養分の吸収が促進されるとともに、植物体をしっかりと支持し定着させる作用を有する。
【0055】
また、本発明の植物栽培方法によれば、植物栽培用マットを用いて栽培を行うことにより、適度な水分供給が可能になるとともに、繊維間の空隙を利用して根の伸長を促すことができる。また、植物栽培用マットに肥料成分を配合した場合においては、植物種に応じた施肥が行えるため栄養状態を最適化することが可能であり、植物栽培用マットに抗菌成分を配合した場合には、栽培植物の病害を防ぐことも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる植物栽培用マットの外観を示す斜視図である。
【図2】植物栽培用マットの使用状態を示す模式図であり、(a)は培土の中間深度、(b)は底部、(c)は二つの植物栽培用マットを、それぞれ埋設した状態を示す。
【図3】植物栽培用マットの成形工程の説明に供する模式図である。
【図4】植物栽培用マットの別の例の成形工程の説明に供する模式図であり、(a)は切断前の積層状態、(b)は切断後の状態を示す。
【図5】植物栽培用マットのさらに別の例の成形工程の説明に供する模式図であり、(a)は切断前の束ねた状態、(b)は切断後の状態を示す。
【図6】本発明のさらに別の実施形態にかかる植物栽培用マットの外観を示す斜視図である。
【図7】本発明のさらに別の実施形態にかかる植物栽培用マットの外観を示す平面図である。
【図8】本発明のさらに別の実施形態にかかる植物栽培用マットの外観を示す平面図であり、(a)は円形の溝、(b)は三角形の溝が形成された例である。
【符号の説明】
10〜16 植物栽培用マット
21 溝
30 繊維集合体
50 植物根
60 培土
100 栽培ポット
111 貫通開口部

Claims (2)

  1. 人造鉱物繊維を主原料とし、該繊維が略一定方向に配列されており、結合剤によって一体化して繊維集合体として形成され、前記結合剤には熱硬化性フェノール樹脂を用い、培土に埋設した場合に前記繊維の配列方向が重力方向と重なり、該繊維の成形密度が40〜160kg/mとなるように成形された植物栽培用マットを、栽培ポットの底部に配置して培土に埋設し、植物を栽培することを特徴とする、植物栽培方法。
  2. 請求項において、前記植物栽培用マットは培土の深さに対して1/2〜1/5を占めるように使用し、植物を栽培することを特徴とする、植物栽培方法。
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