JP3776540B2 - 鋲 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願発明は、ゴルフシューズなど、スポーツシューズの底に設ける滑り防止のための鋲に関する。
【0002】
【従来の技術】
滑り防止のための鋲は、歩行時およびその他の動作を行ったときに、靴底の体重が多く加わる区域を中心に複数個設けられるが、従来知られている鋲は、地面に刺さるピンと靴底に固定される部分とが金属あるいは樹脂などの硬い物質で不可分に一体に構成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような鋲において地面に刺さるピンの部分と靴底に固定される部分とでは、各々担う機能が異なるため、同一材料にて不可分に一体に形成する必要はなく、また鋲を装着して使用するスポーツシューズにおいても、本来要求される性能を越えたファッション性が不可欠となりつつあり、鋲についてもその一助となる要素を付加する必要性が生じてきた。
この出願発明はこれらの問題点を解決するためになされたものであり、種々の機能に対応できる構造の鋲を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この出願発明の鋲は、柱状部と径方向に拡大した後端部とが逆T字状に連なるピンと、このピンの後端部を収納した収納部と、収納部の開口位置において側方へ延びる笠状体を含み、上記ピンの柱状部を鍔状またはリング状のピンおさえを、笠状体の中心部に設けたピンおさえ収容孔へ嵌込むことによってピンと笠状体とが一体化されていることを特徴とする鋲である。
【0005】
上記ピンおさえ収容孔内の鍔状ピンおさえは、笠状体のピンおさえ収容孔に接近した縁部をかしめることによってピンおさえの軸方向の動きを封じることが好ましい。
【0006】
ピンの後端部が収納される収納部は、所宜の深さで深底にすることによって空所を形成し、この空所内におけるピンの後端部端と収納部の底の間にゴム状弾性体を配置することができ、この弾性体は40〜90゜のJIS A硬度を有する柱状体であることが好ましい。
【0007】
収納部内に弾性体を配置した場合、ピンの後端部とピンおさえの間にパッキンを介在させることが好ましい。
【0008】
【作用】
この出願発明の鋲は、地面に刺さるピンの部分と、靴底へ固定されるための側方へ笠状部分が延びた収納部とが別体であり、両者をピンおさえを介して一体化されている。そのため、ピンの部分を、例えば耐摩耗が良く、高強度の材料とする一方、収納部の部分は加工性に優れた材料を用いて製作し、両者を鍔状のピンおさえによって一体化することにより、要求特性にマッチした鋲を提供することができる。
【0009】
そしてこの場合、ピンおさえはピン及び笠状体・収納部とは別体であるため、ピンおさえ単独で彩色を施すことなど自由にでき、鋲にファッション性を付与することが可能である。
ピンおさえのピンおさえ収容孔への嵌込みによる一体化は、笠状体の上記収容孔に近接した縁部をかしめることにより、容易に、且つ確実に行うことができる。
【0010】
ピンの後端部が収納される収納部は、所宜の深さで深底にすることによって空所を形成し、この空所内におけるピンの後端部と収納部の底の間にゴム状弾性体を配置した場合、舗装道路のような硬い路面上を歩行するときのように、ピンの先端部に過剰な圧力が作用したとき、ピンの後端部を支持するゴム状の弾性体が圧縮変形し、また圧力が解除されると同時に復元することによる弾性機能が付加される。その結果路面に対するピンの衝突音を抑制し、足への衝撃が有利に緩和される。
またこの場合、ピンの後端部とピンかさえの間にリング状のパッキンを配置することにより、弾性体を収納した空所内への異物の浸入を防止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
この出願発明におけるピンの柱状部は、円錐台状、円錐形状、多角柱状、砲弾状などの種々の形状とすることができるが、円錐台状の形状が最も好ましい。
【0012】
ピンの後端部は後述するパッキン及び鍔状ピンおさえよりピンが収納部から抜け落ちないだけ径方向外側に拡大して、柱状部と逆T字状に連なる。
したがって、柱状部の直径(最大値)より約1mm大きい直径を有することがとくに好ましい。また、後端部端の形状はとくに限定されないが、平坦であることがとくに好ましい。
【0013】
ピンは、金属、セラミック、プラスチック等の硬い材料が使用されるが、金属、セラミックが好ましく、スチールがとくに好ましい。
【0014】
ピンの後端部を収納する収納部は、軸方向における一端が開口し、他端が行き止まりの底を形成する。
収納部は深底にし、その結果ピンの後端部を収納した状態でピン後端部端と深底の間に形成される空所にゴム状弾性体を配置することができる。
ゴム状弾性体を用いず、従って余分の空所を設けないときは、ピンの後端部を収納できれば足り、その場合は、浅底であり、且つ厚底となる。
【0015】
収納部は、ピンと同一または類似材料で形成することができる。しかし、加工性に優れた金属材料が好適である。
【0016】
収納部の後方部分は、靴底に固定される部分である。この場合、収納部の後方部分のを靴底に直接埋設するか、後方部分の周囲にネジ部を設け、靴底に予め埋設された基部(図示せず)に対しねじ込み固定することができる。
【0017】
収納部は、側方へ延びる笠状体を一体に備える。より詳細には、収納部の開口部分の壁部が側方へ延びる笠状体を形成する。
そして、その中心部にピンおさえ収容孔を形成している。直径は6mm前後がとくに好ましい。
【0018】
ピンおさえは、笠状体、または収容部と類似の材料よりなり、ピンの柱状部をスムーズに通す中央孔を有する鍔状体、またはリング状体である。外径は6mm前後がとくに好ましく、厚みは0.8mm前後がとくに好ましい。
【0019】
ピンおさえの固定は、収納孔内にピンおさえを収容した状態で、笠状体のピンおさえ収容孔に近接した縁部をかしめることが好ましい。より詳細には上記縁部を、たとえば肉厚約0.5mm、高さ約0.5mmで軸方向に筒状に立てておき、ピンおさえを収容孔内に収容後、上記立てた縁部を径方向内側にくぼむのである。
【0020】
収納部を深底にし、ゴム状弾性体を使用するときは、弾性体の形状として円柱状体が好ましく、その他多角柱状体、円錐台状体、多角錐台状体、球体等も適用できる。
ゴム状弾性体の材料としては、SBR、IR、PUR(ポリウレタンゴム)及び、これ等類似した性質を有する材料であれば使用することができる。
ゴム状弾性体のJIS A硬度は40〜90゜、直径または差渡し(平均値)は、2〜8mm、高さは4〜5mmが夫々好ましい。
またゴム状弾性体自体、ソリッド系(無垢)及び発泡系を問わず好適に適用できる。
【0021】
ゴム状弾性体を収納部内に使用するときは、ピン後端部とピンおさえの間に、ピンおさえと実質上同形状、即ち鍔状またはリング状のパッキンを介在させることが好ましい。
パッキンを使用するときは、当然のことながら、パッキンの中心孔の内周面をピン柱状部の外周面に密着させる必要がある。
パッキンの厚みは0.5〜1.0mm、材料は上に述べたゴム状弾性体と類似のゴムまたはゴム様物質、そしてJIS A硬度50〜80゜が好ましい。
【0022】
以下、この出願発明を図面により具体的に説明する。
【実施例】
実施例1
図1はこの出願発明における鋲の実施例1を示す断面図で、スチール製のピン2は円柱状の柱状部16と、径方向に拡大した後端部4(直径4.5mm)が逆T字状に連なり、後端部4を収納したスチール製の収納部6と、収納部内のピン2の後端部端5と収納部6の底(深底)12との間に空所19を形成し、この空所19内に直径eが3mm、高さhが5mmの円柱状の硬度が60゜のゴムの弾性体7を配置した。
この実施例において、収納部6の外側には笠状体9以下の区域にネジ10を形成し、靴底に埋設した基部(図示せず)に対しねじ込み固定するようになっている。
鋲1はスチール製の笠状体9が収納部6と不可分に一体になっており、上端部は径方向外側に向かって円形状に拡大しており、この笠状体9の上に、ハンドル(図示せず)を使用して螺合するための穴11が設けられている。
笠状体9の中心位置には、収納部6にピン2が下から上方に向かって通され収まっている。この状態で予め弾性体7をセットし、ついでピン2をセットしピンおさえ収容孔13内に、パッキン15を装填し、更にピンおさえ14によってピン2とゴムの弾性体7を収納部6に固定して鋲とする。符号20は、ピンおさえ14の外縁部に対する笠状体の収容孔に近接した縁部のかしめ状態を示す。
パッキンは、JIS A硬度が70゜リング状(鍔状)ゴムであって、厚みtは0.8mmが使用される。なお、ピンおさえの厚みも0.8mmである。また、直径fは、両者とも6mmである。
パッキンの中心孔内周面18は、ピンの柱状部16の外周面17に対し密着している。なお、符号3は、柱状部16とピンおさえ中心孔との間の隙間である。ついで、弾性鋲1を、笠状体9に設けた穴11を利用し、ハンドルを使用して靴底に螺着する。
【0023】
実施例2
図2は、この出願発明の鋲の実施例2を示す断面図である。
この実施例の特徴は、ピン2の後端部4を収納する収納部6を浅底(厚底)とし、ピン2の後端部端5が収納部の底12に接するようにした点にある。
このようにピンの後端部4を収納部の底で直接支持しているため、実施例1において使用したパッキンを省略している。
符号20で示す笠状体9のピンおさえ収容孔に近接した縁部によるピンおさえ14に対するかしめ構造については、実施例1と同じである。
【0024】
【発明の効果】
この出願発明の鋲は、地面に刺さるピンの部分と、靴底へ固定されるための笠状部分が側方へ延びた収納部分が別体であり、両者はピンおさえを介して一体化されている。
そのため、それぞれの部分の要求特性に応じた材料を用いて製作することができ、また、ピンおさえは、独特の彩色を施すことによってファッション性を付与することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この出願発明の実施例1の鋲の断面図
【図2】 この出願発明の実施例2の鋲の断面図
【符号の説明】
1 弾性鋲
2 ピン
3 隙間
4 後端部
5 後端部端
6 収納部
7 弾性体
8 先端
9 笠状体
10 ネジ
11 穴
12 底
13 収容孔
14 ピンおさえ
15 パッキン
16 柱状部
17 外周面
18 内周面
19 空所
20 かしめ部
d 収納部の直径
e 弾性体の直径
f 収容孔の直径
h 弾性体の高さ
t パッキンの厚み

Claims (5)

  1. 柱状部と径方向に拡大した後端部とが逆T字に連なるピンと、このピンの後端部を収納した収納部と、収納部の開口位置において側方へ延びる笠状体を含み、ピンの柱状部を通した鍔状のピンおさえを、笠状体の中心部に設けたピンおさえ収容孔へ嵌込むことによってピンと笠状体とが一体化されていることを特徴とする鋲。
  2. ピンおさえに対し、笠状体のピンおさえ収容孔に近接した縁部がかしめられていることを特徴とする請求項1に記載の鋲。
  3. 収納部が、その底とピン後端部端との間に空所を形成し、この空所内にゴム状弾性体を有することを特徴とする請求項1または2に記載の鋲。
  4. ピンの後端部とピンおさえの間にリング状のパッキンが配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鋲。
  5. ゴム状弾性体が40〜90゜のJIS A硬度を有するゴムの柱状体より成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の鋲。
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