JP3776113B2 - 液晶表示装置の駆動回路 - Google Patents

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Description

本発明はスーパーツイスティッドネマチック液晶が備えられた液晶表示装置を高速に駆動する動回路に関する。
従来ツイスティッドネマチック(TN)又はスーパーツイスティッドネマチック(STN)液晶表示装置などの単純マトリクス方式液晶表示装置には、電圧平均化法とよばれる駆動方法が用いられてきた。この駆動方法では、走査線数をN、フレーム周期をTとしたとき、選択期間にはT/N、非選択期間には(N−1)T/Nの時間が割り当てられる。即ち、1フレーム内に、N本中1本の選択パルスが存在し、他は、ON電圧選択パルスの1/bの波高値をもつバイアス波で構成される印加波形で成り立っている。図5(a)のAに印加波形を示した。横軸は時間、縦軸は電圧である。
この電圧平均化法においては、液晶がいわゆる実効値応答としての挙動を示すことが前提となっており、これにより所定のコントラスト比を得ることができる。図5(b)のCに実効値応答の様子を示す。横軸は時間、縦軸は液晶層の両側に偏光板を配置した際の透過光強度である。
ところが、端末におけるマウス表示やビデオ表示に対応できるような高速応答性を有する液晶材料を駆動する場合、上述の駆動方法を用いると液晶分子の分子軸方向が電圧に対して追随しやすいため、図5(b)のBのように、光学応答波形がいわゆるピーク値応答的な挙動を示すようになり、実効値応答のCからはずれるようになる。即ち、選択期間に立ち上がった光学応答波形が、非選択期間では保持できず、減衰の割合が大きくなるので、透過率平均レベルが下がり、コントラスト比が低下するという問題点が生じる。
このような問題は、数百以上の高デューティのダイナミック駆動を行なう際にはいわゆる液晶材料の平均応答速度が150msec以下になると発生してくるが、特にダイナミック駆動における平均応答速度100msec以下の液晶材料において顕著である。
ここで、液晶表示装置における液晶材料の平均応答速度とは以下のように本明細書では定義する。即ち、充分時間が経過した時点でのOFF電圧での光透過度をTOFF 、ON電圧での光透過度をTONとし、OFF電圧からON電圧に切り替えた時刻をt1 、その後、光透過度Tが(TON−TOFF )×0.9+TOFF となる時刻をt2 、また、ON電圧からOFF電圧に切り替えた時刻をt3 、その後、光透過度Tが(TON−TOFF )×0.1+TOFF となる時刻をt4 とすると、平均応答速度τは、
τ=((t4 −t3 )+(t2 −t1 ))/2
で表わされる。
ところで、T.N.Ruckmongathan は低電圧での駆動及び表示の均一性を実現するため、いわゆるIHAT法を提案している(1988 International Display Research Conference)。その駆動方法は、
N本の行電極をそれぞれM本の行電極からなるP個(P=N/M)のサブグループに分け、
任意の一つの列電極であって、選択されたサブグループの表示されるべきデータを、
[dkM+1,dkM+2・・・,dkM+M];dkM+j=0or1(ここで0はオフ、1はオンを表わす。また、kは選択されるサブグループに応じて0から(P−1)まで変化する)
なるMビット語で表示し、
行電極の選択パターンを、
[akM+1,akM+2・・・,akM+M];akM+j=0or1
なる2M (=Q)種類のMビット語(w1 ,w2 ,・・・wQ )で表示すると、以下に示すステップで駆動することを特徴とするものである。
(1)1番目の行電極のサブグループを選ぶ。
(2)行電極の選択パターンとして1番目のMビット語w1 を選ぶ。
(3)選択されたサブグループの選択パターンとデータパターンとをビット毎に比較し、これらの排他的論理和の出力の和iを求める。
(4)上記の和iに対して、列電極の電圧をVi と定める。
(5)マトリクスのそれぞれの列について独立にVi を選ぶ。
(6)行電極と列電極とに同時に、列電極にはVi を、行電極には行電極選択パターンの第1番目のw1 を(選択されない行電極は接地され、選択された行電極は、0に対しては−Vr 、1に対しては+Vr とする。)、時間Tの間、電圧印加する。
(7)新しい行電極の選択パターンw2 が選ばれ、それに対応する列電極の電圧が(3)〜(5)の手順と同様に選ばれ、(6)と同様に列と行を同時に時間Tの間、電圧印加する。
(8)全ての2M の行電極の選択パターンが選択されて、1サイクルが完成する。
(9)次の行電極のサブグループが選ばれ、上記(2)〜(8)のサイクルを連続する。
特に、
i =V0 (2i−M)/M
r =V01/2 /M
と選ぶと、電圧実効値のON/OFF比を最大にできる。
このときのONとOFFの実効電圧の比は、
ON/VOFF =((N1/2 +1)/(N1/2 −1))1/2
となり、従来より用いられている電圧平均化法におけるVON/VOFF と等しくなる。したがって、コントラストも同等となる。また、マトリクスにおける各点灯部の電圧実効値が均一になるので、表示パターンによらず均一な表示が得られる。
IHAT法は、高速応答を示す液晶材料に適用した場合、必ずしも利点を生ずるわけではなく、また、そのような概念も示されていなく、液晶表示装置を高速に駆動する方法とは直接なんら関係のないものである。しかし、本発明者は、この方法に新規な改良を加えることにより、液晶表示装置の高速駆動に極めて適した駆動方法が得られることを新規に見出し、本発明に至ったものである。
本発明は前述の課題を解決すべくなされたものであり、
発明の態様は、高速応答性を示す液晶材料と、N本の行電極と、L本の列電極とが備えられた液晶パネルを駆動する駆動回路であって、前記N本の行電極が、M本(2≦M<N)の行電極からなる複数のサブグループに分割され、サブグループ内の行電極に選択パターンが印加され、前記サブグループ内の複数の行電極が同時に選択され、パルス発生器と、M個のRAMと、パルス発生器が出力するパルス列を用いてRAMのアドレスを指定する信号を生成してM個のRAMに対して並列に出力する列アドレスカウンタと、全てのサブグループが一回選択されたことを示す信号を生成するサブグループカウンタと、選択されるサブグループ内のM本の行電極に印加される選択パターンのデータを出力する行ステージカウンタと、M個のRAMから読み出された表示データと行ステージカウンタのMビットの出力との排他的論理和演算を行うとともに演算結果の加算処理を行う排他的論理和形成及び加算器と、列ドライバと、行ステージカウンタの出力とフレーム信号にもとづいて行電極に電圧を印加する行ドライバとが設けられ、表示データがαビットのパラレルデータとして、M・k+1行用,M・k+2行用,・・・・,M・k+M行用(k=0,・・・,N/M−1)のM個のRAMに分けて、それぞれαビットのデータとして順次書き込まれ、RAMから読み出された表示データは排他的論理和及び加算器に入力され、N本の行電極が、M本(2≦M<N)の行電極からなる複数のサブグループに分割され、サブグループ内の行電極に選択パターンが印加され、前記サブグループ内の複数の行電極が同時に選択され、行電極と列電極のマトリクスの点灯部の電圧実効値が、表示パターンによらずに均一になる期間を1フレームとした場合に、該選択パターンがサブグループ毎に順次印加される際に、1フレームのなかで選択パルスが分散して印加され、ある行電極について、一つの選択パルスから次の選択パルスが印加されるまでの非選択期間が、行電極を1本ずつ順次選択する電圧平均化法の場合よりも短く、どの行においても選択パターンの周波数成分が変化せず、前記液晶パネルを行電極を1本ずつ順次駆動する電圧平均化法で駆動した場合に生ずるフレーム応答を抑制するように設定されてなる液晶表示装置の駆動回路を提供する。
本発明の態様は、態様において、表示データは、M個のRAM11,11,・・・11から同時に読み出される液晶表示装置の駆動回路を提供する。
本発明の態様は、態様又は態様において、M=3である液晶表示装置の駆動回路を提供する。
本発明の態様4は、態様1又は態様2において、M=4である液晶表示装置の駆動回路を提供する。
本発明の態様5は、態様3において、N≧240である液晶表示装置の駆動回路を提供する。
本発明の態様6は、態様4において、N≧240である液晶表示装置の駆動回路を提供する。
具体的には、N本の行電極とL本の列電極とからなるマトリクス液晶表示パネルのN本の行電極をそれぞれ、P個(P≠1)のサブグループに分けて一つのサブグループの行電極を一括して選択して行ない、
(a)行電極が選択状態では特定の2種類のいずれかの電位をとるとした場合に行電極のサブグループの取り得る電位状態全てを含むようにつくられたサブグループの電位状態の集合をあらかじめ想定するとともに、該集合を複数個のサブ集合に分け、
(b)のサブグループに属する行電極に同時に、該サブグループがつのサブ集合に属する全ての電位状態になるように順次電圧を印加し、
(c)bの工程を全てのサブグループについて行ない、
(d)次いでb及びcの工程を全てのサブ集合について行なう、
ことにより行電極の選択を行なうことができる。
即ち、IHAT法のように行電極のつのサブグループを選択する際、行電極の全ての選択パターンをまとめて連続に印加するのではなく、行選択波形のいくつかの選択パターンを印加する毎に、選択する行電極のサブグループを更新し、全てのサブグループを選択した後に、行選択波形の次の選択パターンに移る方法をとるものである。
本発明は、選択パルス1フレーム内で複数分散させることによって、従来の単純マトリクス方式における電圧平均化法が1フレーム内に1本の選択パルスしか存在しないのと比べて、光学的状態の変化を少なく抑制することが可能となった。これにより、ダイナミック駆動時の平均応答速度が100msec以下、特に50msec以下の液晶材料を備えた液晶表示装置を駆動する場合に有効である。
また、本発明は基本的にIHAT法の特徴が生かされているので、M≧4とすれば供給電圧を従来の電圧平均化法に比べて低減することができるという効果も有している
この場合Mを増加させればさせるほど供給電圧がさらに低減されていくが、Mの数が大きいと、列電極印加波形のレベル数(M+1)も増えるのでハードウエア上複雑になるので、今のところM=3〜4付近が好ましい。
さらに、行選択パターンを自然2進数として、IHAT法と本発明の駆動波形の周波数成分について比較してみると、IHAT法の場合、同一サブグループ内の1行目とM行目で選択パルスの周波数成分が大きく異なっているのに対し、本発明の場合、どの行おいても選択パルスの周波数成分が変化せず、閾値電圧の周波数依存性の大きい液晶表示素子でも、均一な表示を得ることができる。
また、同様に駆動による表示均一性に関して、従来の電圧平均化法と比べてもその効果は大である。
従来法は、表示パターンによって駆動波形の周波数成分が大きく異なり、表示のムラの要因になっていたが、本発明においては、表示パターンによる周波数成分の変動が少ないので、表示ムラが出にくいと考えられる。
本発明を図2のような実施例に従って詳細に説明する。
簡単のために行電極本数Nを400とし、これをM=4本ずつのサブグループに分けることを考える。したがって、このときサブグループ数Pは全体でP=N/M=100となる。
ここで、MNの約数であれば、サブグループ内の行電極本数が全てそろって駆動回路構成上好ましいが、必ずしもそうではなくても、行電極の本数の少ないサブグループについては選択パターンの数が減るだけであり、特に支障はない。
IHAT法で提唱されているように、行電極につき、複数本からなるサブグループ単位の選択を行なうためには、選択電圧を一定にするのではなく、時間で変化させる必要がある。基本的なIHAT法では、選択電圧を+Vr と−Vr との2値とし、同時に選択すべき行電極の本数をM本とすると、とり得るサブグループについての電位状態(全部で2M 種類ある)それぞれの全てを順次、当該行電極のサブグループについて印加する。この例のように、2種類の選択電圧は絶対値を等しくして、符号を反対としたものを用い、かつ非選択電圧は0(接地)とすることが、実際の駆動回路を簡単にし、かつ信号が交流化されるため好ましい。
本発明では、このような電位状態全てを含む(要素の数2M 以上の)電位状態の集合をまず考える。例えば、本実施例のようにつのサブグループが4本の行電極からなる場合は、全体としてとり得る電位状態は24 =16通り存在する。この場合の行電極の電位状態の集合は、要素の数が16以上となる。
要素の数は2M 個にする(即ち、全ての電位状態が1回ずつ現われる)のが、簡単で好ましいが、駆動タイミングの関係では同じ状態を重ねて要素としたり、上記の選択電圧を2値としてとり得る状態以外の状態を付加することも可能である。いずれにしても、1つのサブグループの選択が完了するためには選択電圧を2値としてとり得る電位状態の全てが、その行電極のサブグループに印加されなくてはならない。以下は簡単のため、M=4で電位状態の集合の要素数が24 =16の場合について主に考える。
この集合を+Vr →1,−Vr →0として、かつ4本の行電極をa1 ,a2 ,a3 ,a4 として表1に示した。
Figure 0003776113
本発明では、
(1)このような行電極のサブグループの電位状態の集合を複数個のサブ集合に分け、
(2)のサブグループに属する行電極に該サブグループがつのサブ集合に属する全ての電位状態になるように同時に一括して電圧を印加し、
(3)第2の工程を全ての行電極のサブグループについて行ない、
(4)次いで第3及び第4の工程を全てのサブ集合について行なう、
ことにより行電極の選択を行なって選択パルスの印加を1フレーム内で分散させ、選択パルスで励起された光学状態の非選択期間における減衰を小さくすることができる。
行電極のサブグループの電位状態の集合を複数個のサブ集合に分ける方法については、サブ集合の要素の数を必ずしもそろえることを要しないが、電位状態の集合の要素が、2M 個ある場合は2M-j 個(0≦j≦M−1)の等しく2j 個の要素を有するサブ集合を作ることが、駆動回路を形成するうえで、好ましい。ただし、一画面を一回選択する期間中に、サブ集合の個数だけ、選択パルスが分散されることになるため、サブ集合の個数は多い方がよく、最も好ましいのはj=0,即ちサブ集合の要素の数を1とした場合である。
以下はj=0とした場合について説明する。
電位状態の集合の中の個々の電位状態の印加順序については、任意である。例えば表1に示した番号順に印加するなら自然2進法の順となる。また、ランダムコードやグレイコードを採用することもできる。
また、行電極のサブグループ内の全ての行電極について選択波形の周波数が等しくなる周波数均一化コードを用いることもできる。M=4の場合の一例を表2に示した。
Figure 0003776113
この1,0で表わした電位状態それぞれを、以下、選択パターンと称すると、選択パターンはMビット語で表現できる。自然2進法の順で選ぶ場合図2の例では、選択パターンは4ビット語で表現でき、(a1 ,a2 ,a3 ,a4 )=(0,0,0,0)→(1,0,0,0)→(0,1,0,0)→−−−→(1,1,1,1)と変化していくことになる。そして、各選択パターン毎に、全てサブグループについて電圧が印加され、その後次の選択パターンに移る。このようにした場合の図2中の最上段の行電極のサブグループ内の4本の行電極1 〜R4 についての電位の時系列変化を示したのが図1である。
このようにすることにより、従来は図5のようにN本に1本の割合で配列されていた選択パルスが、N/M本に1本の割合で、分散されるようになるため、次の選択パルスが立つまでの非選択期間が、従来の電圧平均化法に比べて短くなり、光学的変化の度合いが少なくなるので、輝度及びコントラスト低下の防止に寄与する。
以下にこの場合、列電極に印加するべき電圧について説明する。
図2のような表示パターンを表示するとすると、これに対応するデータのパターンは、オンを1、オフを0とすると、図中の表のようになり、1本の列電極では各サブグループに対して、Mビット(図2では4ビット)毎のデータパターンに分割される。例えば列電極C9 では(d1 ,d2 ,d3 ,d4 )=(1,0,1,0)である。行電極のつのサブグループが表1の電位状態にあるときに、それぞれの列電極に印加すべき電圧を決定するために、行電極の選択パターンの4ビット語と、列電極のデータパターンの4ビット語とで、排他的論理和をとる。
例えば、図2の行電極の1番目のサブグループが表1の第1番目の電位状態にあるときに、図2の列電極C9 に印加すべき電圧を決定するとする。このときの、上記の排他的論理和iは数1で表わされる。なお、数1中で上付きのバーは否定」を表す。
Figure 0003776113
排他的論理和がiになったときの列電極に印加する電圧Vi は例えば以下のように定めればよい。得られる排他的論理和は(M+1)種類(上記のM=4の場合は5種類)あり、それをVM ,VM-1 ,・・・・,Vi ・・・,Vo とすると、V0 <V1 <V2 ・・・<Vi <・・・VM-1 <VM 又はV0 >V1 >・・・>Vi >・・・>VM-1 >VM となるように定めればよい。以下の説明では、便宜上、V 0 <V 1 <V 2 ・・・<V i <・・・V M-1 <V M となる場合について説明する。
例えば、表1のような選択パターンの順序としたときで、図2の表示パターンを表示する場合列電極C1 ,C2 ,C3 ,C9 に印加する電圧は図3のようになる。図で、例えばR1 〜R4 とあるのはR1 〜R4 の行電極のサブグループが選択されている期間についての電圧変化を示している。ここでR 1 〜R 4 、R 〜R 、R 〜R 12 はそれぞれ独立して描かれている。また、見やすさのため横軸の時間軸は、他のサブグループ選択期間を省略して描いている。したがって、本発明にしたがって、選択パルスを分散して印加する場合(例えばサブ集合の要素の数を1とするj=0の場合)には、グラフに示した電圧印加が連続して行われるのではなく、グラフ上のひとつの電圧印加が行われた後に、他のサブグループへの電圧印加が行われ、他のサブグループへの電圧印加の時間が経過した後に、グラフ上の次の電圧印加が行われることになる。
実際にはVi の選び方は、列電極電圧の最大値をV c とすると、V i =V c (2i−M)/M付近になるように選ぶことが駆動回路の簡略化上好ましい。上記条件のもとで、V i の最大値はV c であり、V i とV i-1 との間隔はiにかかわらず2V c /Mで一定となるものである。
このような条件でかつ選択電圧Vr 1/2 /M付近に選べば、電圧実効値のVON/VOFF を最大にし、かつ電圧平均化法におけるVON/VOFF と等しくなるのは、IHAT法の場合と同じである。ただし、素子特性によってはピーク値応答と実効値応答との中間的状態になることもあるので、必ずしも上記Vr を正確に 1/2 Mに選ぶのではなく、この付近で調整する方が好ましい場合もある。
図2のようなM=4のときは、V4 =+ ,V3 =+ /2,V2 =0,V1 =− /2,V0 =− などと選ぶ。また、Vr =5 となる。この場合の図2のR1 −C9 (ON状態)及びR2 −C9 (OFF状態)の電圧変化を示したのが図4である。ただし、これも見やすさのため横軸の時間軸は図1の非選択状態にある99ラインを省略して描いている。
従来の電圧平均化法では、図5のように選択パルスがN本に1本の割合で配列されている。
したがって、高速応答性の液晶材料に適用した場合、非選択期間が、液晶の応答時間(減衰時間)に比べ長いので、1本の選択パルスで励起された光学状態が、非選択期間中に減衰し、高速性が増加すればするほど、減衰の程度も増大する。このため、ON時の輝度が低下し、コントラストも低下する。
これに対し、本発明においては、選択パルスN/M本に1本の割合で分散さているために、次の選択パルスが立つまでの非選択期間が、上記電圧平均化法の場合に比べて短くなり、光学状態の変化の度合いが少なくなるので、輝度及びコントラスト低下の防止に寄与すると考えられる。
本発明の駆動方法を実現するために採用した回路の一例が図6である。液晶表示パネルにはN本の行電極とL本の列電極がマトリクス配置されており、前述のようにN本の行電極をM本の行電極からなるサブグループに分け、サブグループ毎に一括して選択することとする。また、表示データはαビットのパラレルデータを転送して表示する。
選択信号形成は以下のように行なった。まず、基準となるパルス列をパルス発生器1で発生し、列アドレスカウンタ2のクロックに入力する。このパルス列を列アドレスカウンタ2で1/αに分周したものをクロック信号4として、L/α段シフトレジスタ15のクロックに入力する。また、列アドレスカウンタ2でα/Lに分周したものをロード信号5として、サブグループカウンタ6のクロック、フリップフロップ7のクロック、L/αビットラッチ16のロード、M個のN/M段シフトレジスタ18のクロック、及び1個のN/M段シフトレジスタ19のクロックに入力する。ここでL/α段シフトレジスタ15及びL/αビットラッチ16は、gを2g-1 <M+1≦2g を満足する自然数とするとg×α個が必要となる。
さらに、サブグループカウンタでロード信号5をM/Nに分周してフリップフロップ7のデータに入力し、フリップフロップ7の出力をフレーム信号8として行ステージカウンタ9のクロック及び1個のN/M段シフトレジスタ19のデータに入力する。また、行ステージカウンタ9のMビット出力を直接に、又はグレイコードなどに変換してそれぞれM個のN/M段シフトレジスタ18のデータに入力する。
M個のN/M段シフトレジスタ18の出力及び個のN/M段シフトレジスタ19の出力をNビットの3レベルドライバ20に入力し、3レベルドライバ20のN本の出力を液晶パネル21の行電極に入力する。
また、表示データに対応するON・OFF信号形成は以下のように行なった。表示データ10は、Mk+1行用,Mk+2行用,・・・・,行用(k=0,・・・N/M−1)のM個のRAM11,11,・・・,11に分けてそれぞれαビットのデータとして順次書き込みを行ない、列アドレスカウンタ2の出力をRAMアドレス3としてこれらM個のRAM11,11,・・・,11に並列に入力してアドレス指定を行なう。
αビットの表示データは、M個のRAM11,11,・・・11から同時に読み出し、それぞれ行ステージカウンタ9の対応する行とα個の排他的論理和形成及び加算器14で排他的論理和をとりかつ加算してgビットの結果とする。その結果をL/α段シフトレジスタ15のデータに入力し、クロック信号4により順次シフトを行ないL/α段のデータが全てそろったところで並列出力をL/αビットラッチ16に送り、ロード信号5でメモリーする。L/αビットラッチ16の出力はL個のM+1レベルドライバ17に入力され、M+1レベルドライバ17のL本の出力をそれぞれ液晶パネル21の列電極に入力する。
(実施例1)
上述の回路構成を用いて平均応答速度が80msec(25℃)のSTN液晶表示材料を備えた液晶表示装置をN=240、M=4、フレーム周波数(一画面を走査する周波数をいう。実施例、IHAT法において以下同じ)90Hzとして本発明の駆動方法で駆動をしたところ、最大コントラスト比が80:1となった。
この際、j=0(即ち、サブ集合中の要素の数を1)とし、電位状態の集合から個々の電位状態を選ぶ順序については表2に示したような周波数均一化コードを用いた。さらに、 i =V c (2i−M)/M、V r =V c 1/2 /Mと選び、電圧の絶対値は最大のコントラスト比が得られるように調整した。
(比較例1)
従来の電圧平均化法で1/240デューティ、1/15バイアス、フレーム周波数90Hzで同様の液晶表示装置を駆動したところ、最大コントラスト比は47:1であった。
(比較例2)
IHAT法でN=240、M=4、フレーム周波数90Hzで駆動をしたところ、最大コントラスト比が30:1となった
(実施例2)
本発明の駆動方法で、実施例1と同じ液晶表示装置をフレーム周波数を90Hzと規定するかわりに、パルス幅12μsecとする以外は同様にして駆動をしたところ、最大コントラスト比が75:1であった。
(比較例3)
従来の駆動方法で1/240デューティ、1/15バイアス、パルス幅12μsecで実施例2の液晶表示装置を駆動したところ、最大コントラスト比は55:1であった。
(実施例3)
上述の回路構成を用いて平均応答速度が45msec(25℃)のSTN液晶表示材料を備えた液晶表示装置をN=240、M=3、フレーム周波数90Hzとして本発明の駆動方法で駆動をしたところ、最大コントラスト比が30:1となった。
この際、j=0(即ち、サブ集合中の要素の数を1)とし、電位状態の集合から個々の電位状態を選ぶ順序については表1に記載した順序の自然2進法コードを用いた。さらに、実施例1及び2と同様に i =V c (2i−M)/M、V r =V c 1/2 /Mと選び、電圧の絶対値は最大のコントラスト比が得られるように調整した。
(比較例4)
従来の電圧平均化法で1/240デューティ、1/15バイアス、フレーム周波数90Hzで実施例3の液晶表示装置を駆動したところ、最大コントラスト比は18:1となった。
行電極のサブグループR1 〜R4 についての電位の時系列変化を示すグラフ。 液晶表示装置の表示パターンを示す概念図。 図2の表示パターンで列電極C1 ,C2 ,C3 ,C9 に印加する電圧を示すグラフ。 図2の表示パターンでR1 −C9 及びR2 −C9 の電圧を示すグラフ。 実効値応答及びピーク値応答を示すグラフ。 本発明の駆動方法を実現する回路の一例を示すブロック図。
符号の説明
1:パルス発生器
2:列アドレスカウンタ
3:RAMアドレス
4:クロック信号
5:ロード信号
6:サブグループカウンタ
7:フリップフロップ
8:フレーム信号
9:行ステージカウンタ
10:表示データ
11:RAM
14:排他的論理和形成及び加算器
15:L/α段シフトレジスタ
16:L/α段ビットラッチ
17:M+1レベルドライバ
18:N/M段シフトレジスタ
19:N/M段シフトレジスタ
20:3レベルドライバ
21:液晶パネル

Claims (6)

  1. 高速応答性を示す液晶材料と、N本の行電極と、L本の列電極とが備えられた液晶パネルを駆動する駆動回路であって、
    前記N本の行電極が、M本(2≦M<N)の行電極からなる複数のサブグループに分割され、
    サブグループ内の行電極に選択パターンが印加され、前記サブグループ内の複数の行電極が同時に選択され、
    パルス発生器と、M個のRAMと、パルス発生器が出力するパルス列を用いてRAMのアドレスを指定する信号を生成してM個のRAMに対して並列に出力する列アドレスカウンタと、全てのサブグループが一回選択されたことを示す信号を生成するサブグループカウンタと、選択されるサブグループ内のM本の行電極に印加される選択パターンのデータを出力する行ステージカウンタと、M個のRAMから読み出された表示データと行ステージカウンタのMビットの出力との排他的論理和演算を行うとともに演算結果の加算処理を行う排他的論理和形成及び加算器と、列ドライバと、行ステージカウンタの出力とフレーム信号にもとづいて行電極に電圧を印加する行ドライバとが設けられ、表示データがαビットのパラレルデータとして、M・k+1行用,M・k+2行用,・・・・,M・k+M行用(k=0,・・・,N/M−1)のM個のRAMに分けて、それぞれαビットのデータとして順次書き込まれ、RAMから読み出された表示データは排他的論理和及び加算器に入力され、N本の行電極が、M本(2≦M<N)の行電極からなる複数のサブグループに分割され、サブグループ内の行電極に選択パターンが印加され、前記サブグループ内の複数の行電極が同時に選択され、
    行電極と列電極のマトリクスの点灯部の電圧実効値が、表示パターンによらずに均一になる期間を1フレームとした場合に、該選択パターンがサブグループ毎に順次印加される際に、1フレームのなかで選択パルスが分散して印加され、ある行電極について、一つの選択パルスから次の選択パルスが印加されるまでの非選択期間が、行電極を1本ずつ順次選択する電圧平均化法の場合よりも短く、どの行においても選択パターンの周波数成分が変化せず、前記液晶パネルを行電極を1本ずつ順次駆動する電圧平均化法で駆動した場合に生ずるフレーム応答を抑制するように設定されてなる液晶表示装置の駆動回路。
  2. 表示データは、M個のRAM11,11,・・・11から同時に読み出される請求項に記載の液晶表示装置の駆動回路。
  3. M=3である請求項又はに記載の液晶表示装置の駆動回路。
  4. M=4である請求項1又は2に記載の液晶表示装置の駆動回路。
  5. N≧240である請求項3に記載の液晶表示装置の駆動回路。
  6. N≧240である請求項4に記載の液晶表示装置の駆動回路。
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