JP3775063B2 - 個人識別方法および装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セキュリティシステムの一部を構成する個人識別方法および装置に関し、特に、生体の平衡聴覚器の個体差を識別情報として利用する個人識別方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高機密室などの入退出管理やコンピュータのアクセス管理等に利用する個人識別装置としては指紋や虹彩、網膜血管、手形、顔等の人体の特徴を利用する方式や、声紋、署名といった特性を利用する方式が知られている。このような公知の個人識別装置に用いられる個人識別方法の中で、例えば、特開昭53−105090号公報、特開昭57−153635号公報、特開昭59−200628号公報などに開示された網膜の血管パターンを利用する方法は、他の方法に比べ誤認率が極めて低く、且つ偽造が極めて困難で信頼性に優れた方法として知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、網膜血管パターンを利用する個人識別方法では、網膜血管パターンを検出するために光を目に照射する必要があり、利用者の心理的な負担が大きいという問題がある。また、使用の際には照合装置のファインダーを覗いて凝視点を合わせなければならず、一般の人が利用するには不便であるという問題もある。
【0004】
また、上記以外の個人識別方法においても、それぞれ以下に述べるような問題を抱えている。
指紋を利用する方法では、犯罪捜査のイメージ(印象)があるため利用者の心理的な抵抗感が高く、一般に普及させるためにはそのイメージを払拭しなければならないという、技術以前の困難な問題を抱えている。また、指紋や手形を利用する方法では、個人の身体の外観を利用しているため複製される危険が大きい。
【0005】
また、虹彩を利用する方法もカメラで虹彩パターンを読み取るため、同様な方法によって盗み取られる可能性がある。顔の形状を利用する方法では姿勢や照明条件を一定の範囲内に抑える必要があり、安定性に欠け、また外観を利用するため偽造される可能性がある。声紋や署名は盗み取られる可能性が高く、また利用者の心理状態や健康状態の影響を受け易く安定性に欠ける。
また、手や指の血管パターンを利用する方法では、外観的特徴を利用する方法より確実に偽造は困難であり、また、網膜血管パターンを利用する方法より利用者の心理的負担は小さいが、近赤外光などを用い、皮下静脈など、比較的表層に近い情報を利用するため、結局のところ近赤外カメラ等でパターンを盗み取られる可能性が残ってしまう。また、手や指の血管は、手や指の動きによる変形があるため毎回完全に同じパターンを得ることが難しく、照合時の許容範囲を広く採らざるを得ず、誤認証率が高くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、上述の従来の技術の課題に鑑みてなされたものであり、極めて偽造が困難であり、利用者の心理的な抵抗感がなく、また利用時の身体の拘束条件が小さく、かつ心理状態や健康状態の影響を受け難い生体情報を利用した個人識別方法および装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる個人識別方法および装置では、上記の目的を達成させるために平衡聴覚器(耳)の部位の形状の特徴や解剖学的特徴に関する情報(特徴情報)、例えば、鼓膜の形状、鼓膜の血管パターン、外耳道の血管パターンに関する情報を生体情報として利用する。
【0008】
上記目的は、人の平衡聴覚器の所定の部位に光を照射する照射手段と、前記所定の部位からの反射光を受光する受光手段と、前記反射光から前記平衡聴覚器に関する特徴情報を抽出する特徴抽出手段と、予め記憶された特徴情報と前記抽出された特徴情報とを比較判別する判別手段とを有することを特徴とする個人識別装置によって達成される。また、前記所定の部位は鼓膜であることを特徴とする。また、前記特徴抽出手段は、前記鼓膜の血管パターンに関する特徴情報を抽出することを特徴とする。また、さらに、前記鼓膜を照明する照明手段と、前記鼓膜からの反射光による像を受像する受像手段とを有し、前記特徴抽出手段は、さらに、前記像から前記鼓膜上の少なくとも1つの所定の位置を抽出し、前記照射手段は前記所定の位置に基づいた領域に光を照射することを特徴とする。また、前記照射手段は前記所定の位置を中心とする円周上あるいは円内の領域に光を照射することを特徴とする。また、前記所定の位置はツチ骨突起部、鼓膜臍、またはそれら近傍であることを特徴とする。また、前記照射手段はツチ骨突起部またはその近傍、および鼓膜臍またはその近傍とを結ぶ直線上の領域に光を照射することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の個人識別装置において、前記所定の部位は外耳道又は耳甲介腔であることを特徴とする。また、前記特徴抽出手段は、前記外耳道又は前記耳甲介腔の血管パターンに関する特徴情報を抽出することを特徴とする。また、前記特徴抽出手段は、外耳道の中心軸にほぼ垂直な面上の外耳道内周に沿って得られる血管パターン、または外耳道入口のほぼ中心を中心とする円周に沿って得られる耳甲介腔の血管パターンに関する特徴情報を抽出することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の個人識別装置において、人の平衡聴覚器の予め定められた位置に装着可能な筐体に、前記照射手段および前記受光手段が内蔵されていることを特徴とする。また、状態に応じた音を発生させる電気音響変換器を前記筐体内に有することを特徴とする。また、前記筐体を2つ有し、前記2つの筐体を接続して、人の左右の平衡聴覚器のそれぞれから前記特徴情報を抽出できるようにしたことを特徴とする。
【0011】
また、上記目的は、人の平衡聴覚器の鼓膜を照明する照明手段と、前記鼓膜からの反射光の像を受像する受像手段と、前記像から前記鼓膜の形状に関する特徴情報を抽出する特徴抽出手段と、予め記憶された形状に関する特徴情報と前記抽出された形状に関する特徴情報とを比較判別する判別手段とを有することを特徴とする個人識別装置によって達成される。
【0012】
また、上記目的は、鼓膜に光を照射し、当該鼓膜からの反射光を受光し、当該反射光から当該鼓膜に関する特徴情報を抽出するステップと、予め記憶されている特徴情報と前記抽出された特徴情報とを比較して同一個体であるか否かを判定するステップとを有することを特徴とする個人識別方法によって達成される。また、前記特徴情報を抽出するステップの前に、鼓膜に光を照射し、当該鼓膜からの反射光を受光し、当該反射光から当該鼓膜に関する特徴情報を抽出するステップと、当該抽出された特徴情報を記憶するステップとを有することを特徴とする。
【0013】
また、上記目的は、鼓膜に可視領域の光で照明し、前記鼓膜からの反射光の像を受像して前記鼓膜の所定の位置を特定するステップと、前記特定した位置に基づく領域に光を照射し、前記領域からの反射光を受光し、前記反射光から前記鼓膜に関する特徴情報を抽出するステップと、予め記憶されている特徴情報と前記抽出された特徴情報とを比較して同一個体であるか否かを判定するステップとを有することを特徴とする個人識別方法によって達成される。
【0014】
また、上記目的は、外耳道または耳甲介腔に光を照射し、前記外耳道または耳甲介腔からの反射光を受光し、前記反射光から前記外耳道または耳甲介腔に関する特徴情報を抽出するステップと、予め記憶されている特徴情報と前記抽出された特徴情報とを比較して同一個体か否かを判定するステップとを有することを特徴とする個人識別方法によって達成される。また、前記特徴情報を抽出するステップの前に、外耳道または耳甲介腔に光を照射し、当該外耳道または前記耳甲介腔からの反射光を受光し、当該反射光から外耳道または耳甲介腔に関する特徴情報を抽出するステップと、当該抽出された特徴情報を記憶するステップとを有することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態による個人識別方法および装置を図1乃至図19を用いて説明する。まず、図1を用いて本実施の形態による個人識別装置の全体の概略構成について説明する。本実施の形態による個人識別装置は、人の平衡聴覚器の鼓膜や外耳道の形状の特徴や血管パターンなどの解剖学的特徴に関する情報(特徴情報)を、個人を識別するために利用するものである。
【0016】
本実施の形態による個人識別装置は、人の平衡聴覚器の特徴情報を計測する際に、測定プローブ4が外耳道に挿入あるいは近接された後において特徴情報の計測を開始させるためのスイッチ2を有している。スイッチ2は、指先で押す機械式スイッチでもよいし、種々の非接触センサにより測定プローブ4と鼓膜や外耳道等の平衡感覚器の部位とが所定の距離まで接近したらオンするようなスイッチでもよい。スイッチ2からのオン/オフの信号は制御回路6に出力され、スイッチ2からオン信号が制御回路6に出力されると、制御回路6は信号処理回路8に計測開始の指令を送出する。指令を受けて信号処理回路8は、例えば近赤外光を照射して反射光を受光する測定プローブ4から得られる平衡感覚器の特徴に応じた計測信号を受け取るようになっている。受け取られた計測信号は、所定の信号処理を経て計測データとして特徴抽出部10に送られ、特徴量(特徴情報)が抽出される。
【0017】
この抽出された特徴量は、個人を認証の対象として登録する際においては、記憶部14に送られる一方、個人が認証の対象であるか否かを識別する際においては、比較手段12に送られる。記憶部14に送られた特徴量は、記憶部14に記憶され、以降において個人を識別する際に用いられる。また、比較部12に送られた特徴量は、比較部12によって記憶部14に既に記憶されている特徴量との比較判定に利用される。比較部12による比較判定によって既に記憶されている特徴量の個体(個人)と同一個体であるか否かの判定結果18が出力される。判定結果18に基づいて、例えば、高機密室などの入退出管理やコンピュータのアクセス管理等が行われる。
【0018】
次に、本実施の形態による個人認識装置で利用される、人の平衡聴覚器に関する特徴と、その特徴を個人の識別に利用することによる優位点とについて図2乃至図8を用いて説明する。
図2は人の右側の平衡聴覚器全体の概略断面を示している。人の平衡聴覚器には、外耳道20、耳甲介腔21、耳小骨22、鼓室24、迷路26、鼓膜28、内耳神経30、および耳管32等の組織がある。
鼓膜28は真珠様灰白色の楕円形・漏斗状(円錐状)の膜で、長径は約9mm、短径は約8.5mm、厚さ約0.1mmである。
【0019】
図3は人の右側の鼓膜28の耳鏡像を示している。
鼓膜28およびその周囲では、鼓膜臍34、光錐36、外耳道20、ツチ骨突起40、前ツチ骨ヒダおよびツチ骨隆起42、弛緩部44、深耳介動脈46、後ツチ骨ヒダ48、ツチ骨柄50、および緊張部52等が観察される。光錐36とは、鼓膜28に光を照射したときに強い反射光を発する部分のことをいい、この光錐36の形状は人それぞれ特有なものとなっている。また、鼓膜臍34とは、耳小骨22によって引っ張られている鼓膜の頂点となる部分である。弛緩部44とは、鼓膜28において膜がゆるんだ状態の部分をいい、緊張部52とは鼓膜28において膜が張っている状態の部分いう。緊張部52は鼓膜28の下側に位置して鼓膜28の大部分を占めている一方、弛緩部44は鼓膜28の上側のわずかにあるだけとなっている。
【0020】
図4は成人における外耳道20と鼓膜28との位置関係の概要を示している。
鼓膜28は外耳道20の入口から約3cm奥にある。鼓膜28の中央部(鼓膜臍34)は耳小骨22のツチ骨柄に付着して体内側に引っ張られており、漏斗状の形状となっている。そして、鼓膜28は、ツチ骨柄と、ツチ骨柄と靭帯結合する他の耳小骨22のキヌタ骨およびアブミ骨と共に伝音連鎖を形成している。
鼓膜28の下側は前下壁58と約30度の角度をなし、鼓膜28の上側は後上壁54と約140度の角度をなしており、鼓膜28全体としては外耳道20に対して約40〜50度に傾斜している。
鼓膜28は、外面の皮膚層、内面の粘膜層、およびそれらに挟まれた固有層の3層から成り、固有層は外側の放射状の結合組識繊維と内側の輪状結合組識繊維からできている。このように、固有層が放射状の結合組織繊維であり、且つ鼓膜28は上述のように漏斗状となっているために、上述の光錐36が観察される。
【0021】
鼓膜28の緊張部52の区分について図5および図6を用いて説明する。
鼓膜28の緊張部52は、図5に示すような鼓膜臍34で交差する2本の破線により、前上象限68、前下象限66、後上象限62、後下象限64の4つに区分される。また、鼓膜28の緊張部52は、図6に示すような鼓膜臍34を中心とする2本の破線円により、中心帯74、中間帯72、周辺帯70に区分されることもある。
【0022】
図7は、平衡聴覚器の解剖学的な特徴である鼓膜28の血管パターンを示している。鼓膜28の血管パターンの形状や血管の相互の位置関係などには個体差があるので、血管パターンに関する情報は個人を特定する有力な情報となる。なお、外耳道20皮下の血管パターンも上記の鼓膜の血管パターンと同様に複雑なパターンを示し、個人を特定するのに十分な情報を持っている。
鼓膜28の血管パターンは通常は可視光下では明瞭ではないが、急性中耳炎などの傷病時には充血のため容易に観察することができる。
【0023】
ここで、健康時においても、鼓膜や外耳道等の血管パターンの情報を得ることができる光について図8を用いて説明する。図8は血液の吸光特性を示している。
例えば、波長400nm(紫色)や550nm(緑色)の光を鼓膜や外耳道の皮膚に照射すると、これらの光は皮下組織まで浸透し、一部は反射や散乱によって皮膚表面まで戻ってくる。この時、波長400nm(紫色)や550nm(緑色)の光は、図8に示すように酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンとの強い吸収によって血管部分では殆ど吸収されてしまう。このため、皮膚表面まで戻ってきた光を受光して得られる像は血管パターンを反映することになり、血管パターンに関する情報を得ることができる。
【0024】
また、波長660nm(赤色)の光では、図8に示すように酸化ヘモグロビンには殆ど吸収されないが、還元ヘモグロビンには吸収される。したがって、皮膚表面まで戻ってきた光を受光して得られる像からは、静脈の血管パターンを反映することになり、血管パターンに関する情報を得ることができる。
また、波長930nmの近赤外光は生体の大部分を占める水分はもとより、皮膚色素のメラニンやビリルビン、β-カロチンなどによる吸収が少なく、よりよく生体に浸透する一方、図8に示すように酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンとに吸収される。このため、皮膚表面まで戻ってきた光を受光して得られる像は血管パターンを反映することになり、血管パターンに関する情報を得ることができる。
したがって、健康時においても血管パターンに関する情報を得るためには、波長400nm付近(紫色)、550nm付近(緑色)、あるいは、波長660nm付近(赤色)から波長930nm付近(近赤外)の範囲の光を使うことが有効である。
【0025】
なお、外耳道皮下の情報を得るためには、光学系によって光を皮下の所定の深さ位置に焦点を結ぶようしてもよい。このようにすると、外耳道皮下の所定の深さ位置の領域だけに強い光が照射されるので、生体の他の部位、例えば、計測対象の血管より深い部位、からの散乱光の影響を受けることが無く安定して情報を得ることができる。
【0026】
上述の血管パターンなどの皮下組織の特徴を識別に利用する方法では、表皮に比べて傷病や汚染による変化が少なく、また、発汗状態にデータ採取が左右される指紋を用いる方法や発話を用いる方法に比べて、環境や心理状態の影響を受け難い。また、鼓膜や外耳道は化粧やピアス等によって特徴採取が困難になったり、血管パターンなどの皮下組織の特徴そのものが変化することも無い。
耳を利用する方法は、網膜を利用する方法に比べて不安感が無い。また、物理的に個人識別装置の筐体を外耳、あるいは外耳道に接触させて位置決めができるため、網膜血管パターンのようにデータ採取時に視線を固定するといった拘束感も無い。
【0027】
次に、本実施の形態による個人識別方法および装置を詳細に説明する。
本実施の形態の個人識別装置は上述のように人の平衡聴覚器の主に血管パターンなどの解剖学的特徴に関する特徴情報、特に鼓膜あるいは外耳道からの特徴情報を利用している。血管パターンなどの解剖学的特徴に関する特徴情報を得るためにはいくつかの方法があるが、ここで利用できるのは当然非侵襲的であり、且つ安全な方法に限られる。また、利用者に抵抗感や不快感を与えない方法が望まれる。光を利用する方法はこの点で優れている。上述のように、注意深く波長を選べば鼓膜のような膜や、外耳道皮膚直下の血管パターンに基づく特徴情報を安全且つ短時間に得ることができる。
なお、本発明の装置は医療の目的として使用するものではないので、正確な血管の形状を得ることは重要ではない。したがって、本装置においては、正確な血管パターンのみに関する情報だけを得なければならないわけでなく、血管パターン以外の情報、すなわち、ヘモグロビン以外の吸収による情報が混在していても構わない。要は、得られた情報が個人を識別できる情報を持っていればよい。
【0028】
まず、測定プローブ4を収容する筐体について図9および図10を用いて説明する。図9は鼓膜28の血管パターンに関する特徴情報計測用の測定プローブ4を収容した筐体76を示しており、図10は外耳道20の血管パターンに関する特徴情報計測用の測定プローブ4を収容した筐体82を示している。
【0029】
図9および図10に示すように、いずれの筐体76、82も一部の形状が外耳道20の入口とほぼ同じ形状をしており、筐体76、82の一部を外耳道20に挿入することにより、平衡聴覚器に対してほぼ一定の位置に筐体76、82が維持できるようになっている。鼓膜28の血管パターンに関する特徴情報計測用の測定プローブ4には、後述する鼓膜28に光78を照射する照射手段と鼓膜28からの反射光を受光する受光手段が内蔵されており、また、外耳道20の血管パターンに関する特徴情報計測用の測定プローブ4には、後述する外耳道20に光84を照射する照射手段と外耳道20からの反射光を受光する受光手段が内蔵されている。なお、筐体76、82内部に、制御回路6、測定手段信号処理手段8、特徴抽出部10、比較部12、記憶部14等のいずれか少なくともひとつを内蔵するようにしてもよいし、これら全てを外部に置くようにしてもよい。
【0030】
測定用プローブ4を収容する筐体88は、図9、10に示した形状に限らず、例えば、図11(a)、(b)に示すような形状であってもよい。
すなわち、図11(a)に示すように、筐体88の一部を丁度インサート(耳栓型)イヤホンや耳式体温計のように耳に挿入するような形状にしてもよい。この筐体88のような形状は、平衡聴覚器に対して位置決めし易く特徴情報を安定して得るには都合がよい。
【0031】
筐体の一部を外耳道に挿入させる場合には、筐体の一部を外耳道と適度に接触させるために、外耳道に挿入する筐体の挿入部に、外耳道の直径より僅かに大きい部分を設けることが望ましい。また、挿入部を個人の外耳道形状に合わせて成形してもよい。外耳道の入口付近は軟骨によって成形されているために柔らかく、通常、挿入部は外耳道と多くの部分で密に接触することができる。また挿入部には、汚れなどからの筐体内部の保護や、細菌感染を防ぐために、交換可能な保護カバーを取り付けてもよい。
また、図11(b)に示すように、外耳道へ筐体の一部を挿入しなくとも、筐体の一部が耳甲介腔に収まる形状であれば、安定して鼓膜や外耳道からの特徴情報を得ることができる。勿論、積頭型イヤホン(ヘッドホン)のような形態であっても構わない。
【0032】
次に、鼓膜28の血管パターンに関する特徴情報計測用の測定プローブ4に内蔵されている、鼓膜に光を照射する照射手段および鼓膜からの反射光を受光する受光手段の一例を図12を用いて説明する。
光源92としては、波長400nm(紫色)、550nm(緑色)、あるいは波長660nm(赤色)〜波長930nmの近赤外光を含むレーザーや、LED、ハロゲンランプ、タングステンランプなどの連続光源や、パルスレーザーやマルチストロボなどの断続光源を用いることができる。ここでは、一例として660nm(赤色)〜波長930nmの近赤外光を含むレーザーを用いた場合について説明する。このような光源としては、例えばタングステンランプがある。光源92から照射されたレーザーは、フィルター94によって例えば波長930nmのみの光として取り出される。フィルター94を透過した光はレンズ96およびレンズ98によって集光され、ハーフミラー100、回転ミラー102によって反射されて、鼓膜28の毛細血管を含む部分に照射される。
【0033】
回転ミラー102はモータ104のシャフト106に対して垂直から約2〜3度傾いて装着されている。したがって、モータ104の駆動によって回転ミラー102を回転させて、鼓膜28に照射される光を楕円形に振ることができるようになっている。これによって、波長930nmの光を鼓膜28上で走査して照射できる。ここで、上述の光源92、フィルター94、レンズ96および98、ハーフミラー100、および回転ミラー102が照射手段を構成している。
【0034】
鼓膜28に照射された光は、鼓膜28によって反射、散乱、あるいは吸収され、その一部の反射光が再び元の経路を戻り、回転ミラー102によって反射され、ハーフミラー100を透過してレンズ108を通過して光検出器110に入射する。ここで、上述の回転ミラー102、レンズ108、および光検出器110が受光手段の主要な構成要素である。光検出器110としては、CCD、フォトダイオード、フォトトランジスターなどが利用できるが、ここでは、近赤外に感度を持つフォトトランジスタを用いている。
【0035】
上述の鼓膜28に照射した光は主に血管中のヘモグロビンによる吸収による影響を受けるため、鼓膜28からの反射光は、光が照射された部分の血管パターンに応じた個体特有の強度分布を示す。
図13は、鼓膜28に照射された光の走査経路の一例を示し、図14は、この光の走査経路における反射光量の得られなかった位置を模式的に示している。図14の白丸116が反射光量の得られなかった位置を示している。図13に示す走査経路112に沿って光を走査すると、図14に示すように、血管114が存在する部分においては、主に血管114によって照射された光が吸収されるために反射光量が得られない。
【0036】
反射光量の変動は、モータ102のシャフト106に取り付けられた、図示しないロータリーエンコーダーからの出力、すなわち、光の照射された位置データと共に出力される。
図13に示すように光を走査した場合の光検出器110からの出力結果の一例を図15に示す。図15に示す白丸は図14に示す白丸に対応している。
血管に光が照射された部分では、波長930nmの光は殆ど吸収されるため反射光量は非常に小さい。一方、血管が存在しない部分では光の一部が反射して光検出器110に入射するために、光検出器110では反射光の強弱に応じた電流を取り出すことができる。この出力結果に基づいて、特徴情報抽出部10は、例えば、所定の基準量より多くの吸収をもたらした角度の情報を個人識別のための特徴情報として抽出する。なお、例えば、角度1度毎に平均光量を求めて平均光量を大、中、小の3値に量子化して、角度および平均光量の量子化データを個人を識別する特徴情報としてもよい。
【0037】
次に、外耳道20の血管パターンに関する特徴情報計測用の測定プローブ4に内蔵されている、外耳道20に光を照射する照射手段および外耳道20からの反射光を受光する受光手段の一例を図16を用いて説明する。なお、上記の図12と同様な機能部分には同一の番号を付し、重複する説明を省略する。
光源92から射出された光はフィルター94、レンズ96、98、ハーフミラー126、および回転ミラー128を介して外耳道に照射される。回転ミラー128は、ハーフミラー126を透過する光の光軸に対して例えば45度の角度をもって円筒130に取り付けられている。円筒130には、外耳道20に照射される光の進路に窓を有している。
【0038】
円筒130はモータ104によって回転するようになっている。したがって、モータ104によって円筒130が回転すると、これに伴って回転ミラー128が回転して、外耳道20に照射される光が外耳道20内部をその内周に沿って走査することになる。なお、外耳道20の中心軸にほぼ垂直な面上の外耳道20内周に沿って光を走査することが好ましい。外耳道20に照射された光は、反射、散乱、吸収されて、その一部の反射光が再び元の経路を戻り、回転ミラー128によって反射され、更にハーフミラー126によって反射され、レンズ134を通過して光検出器110に入射する。
【0039】
ここで、光を一度走査した後に、アクチュエータ(図示しない)によって光源92を例えば図中矢印Aで示すように僅かに(例えば1.0mmほど)移動させる。このようにすると、外耳道20内の光の走査面を最初の走査面より僅かに奥に移動させることができ、このような僅かに異なる位置を複数回走査させるようにすることで、より多くの情報を得ることができる。この走査経路の移動は回転ミラー128の円筒130への取り付け角度を僅かに変化させるなどの方法を採ってもよい。勿論光源を複数して、一回の走査で複数の異なる場所からの情報を得ることができるようにしてもよい。
【0040】
図17は、2つの走査経路において反射光量の得られなかった位置140の情報と、外耳道20の血管138とを併せて表示した例を示す。
外耳道20の皮下の血管138では照射された光が吸収されるので、図17に示すように、測定によって反射光量が得られない位置は血管138の位置を反映している。ここで、図17中のハッチング部分142は、外耳道が完全な円柱形状ではないために走査光の焦点が皮下血管部138から外れて発生したデータが得られなかったデータ欠損部分である。このようなデータ欠損部分142が生じても、通常の照合に十分な量のデータが得られる。更に、通常同一人物であれば、このデータ欠損部分142は常にほぼ同一個所となるため識別処理の妨げになることはない。
【0041】
耳毛は髪の毛などと比べて一般にメラニン色素が少なく、光学的影響は大きくない。しかし、計測対象が鼓膜28の場合には、人によっては外耳道20の耳毛による光の散乱のために鼓膜28まで光りが届かず計測不可能になる恐れがある。これに対して、計測対象が外耳道20の場合には、図10で示したように筐体82を外耳道20に挿入して、ほぼ外耳道20表皮に接触させるため、筐体82と外耳道20表皮に挟まれた耳毛の影響しか受けない。このため耳毛が多い人であっても識別可能な特徴情報を得ることができる。この点においては、計測対象が外耳道20の場合の方が優れているといえる。
【0042】
なお、耳甲介腔21の血管パターンに関する特徴情報を利用した装置および方法は、上述の外耳道20の血管パターンに関する特徴情報を利用した装置および方法と同様にして実現することができる。この際には、外耳道20入口のほぼ中心を中心とする円周に沿って得られる耳甲介腔21の血管パターンに関する特徴情報を利用することが好ましい。
【0043】
上記した光検出器110として2次元CCDを用いて、得られた画像を画像処理によって近赤外光パターンから、指紋における特徴点抽出(マニューシャ抽出)のように、血管の分岐点や端点などを特徴情報として抽出するようにしてもよい。この場合には、上記した鼓膜28あるいは外耳道20を光走査するのではなく、その全体を均一に照明するようにすればよい。
【0044】
ここで、測定プローブ4による計測位置の整合を取るためのいくつかの方法について説明する。最も簡単な方法は、個人識別装置と平衡聴覚器の位置関係を固定するために、装置の一部の形状を外耳道や耳介形状に合わせて機械的に整合を取る方法である。この例については既に図9、10、11で説明した。外耳道を対象にして情報を測定する個人識別装置では、インサート(耳栓型)イヤホン型であれば、耳に挿入しただけで比較的精度良く位置決めできる。耳に挿入するインサート部に、挿入された深さを規制する突起部や挿入圧によって電源オン/オフするスイッチなどを設ければより安定して位置を決めることができる。
【0045】
しかし、より高精度に安定して特徴情報を採取するためには、特に鼓膜から特徴情報を採取する場合には、このような機械的な位置合わせに加えて光学的に特徴情報の採取位置を特定することが望ましい。鼓膜から識別データ採取位置を決定する場合には先述の光錐36、あるいはツチ骨隆起部40や鼓膜臍34を利用する方法が光学的に他からの分離が容易なために便利である。
まず、光錐36を血管パターン等の解剖学的特徴に関する特徴情報の採取位置決めに利用する場合について説明し、さらにツチ骨突起部40や鼓膜臍34を位置決めに利用する場合について説明する。
【0046】
光錐36を血管パターン等の解剖学的特徴に関する特徴情報の採取位置決めに利用する個人識別装置においては、上述の図12に示す測定プローブ4内部に、さらに、光錐を捕らえるために例えば可視光を鼓膜に照明する照明手段と、鼓膜からの反射光を受像するCCD等の受像手段とを設ける必要がある。無論これらの照明手段と受像手段は、広範囲な波長を利用できるものであれば、図10に示す照射手段と受光手段と共用することも可能である。
【0047】
まず、可視光で鼓膜28を照明し、鼓膜28表面からの反射光を可視領域に感度を持つCCDで捕らえ、次いで、例えば最も鼓膜臍34に近い光点、つまり光錐36の左上の光点を近赤外光による走査の基準点と定める。この基準点は鼓膜臍34と必ずしも一致しないが問題はない。そして、基準点を中心に例えば半径1.5mmの円縁上の領域を近赤外光で走査する。この際における近赤外光の走査経路の位置合わせは、図12に示すモータ104の角度を、図示しない駆動装置で調整することによってできるようになっている。
【0048】
特徴情報の採取位置として光錐36によって決めた基準点を中心とした円周上について光走査する方法を示したが、例えば、基準点に基づいた楕円縁上を光走査するようにしてもよい。また、鼓膜28上の特定可能な2点間を結ぶ直線状の領域を光走査するようにしてもよい。
特定可能な2点は、例えば以下のようにして検出することができる。
上述のように鼓膜28に可視光を照射した場合、光錐36が最も高い輝度を示す。通常、光錐36の最も左上の点は鼓膜臍34上あるいは鼓膜臍34の周辺であり、この点(以下、P1という)の位置を検出する。次いで、光錐36を除く鼓膜28の領域中で最大の輝度を示す点(以下、P2という)を検出する。通常光錐36以外で高い輝度を示す部分はツチ骨突起部40である。このツチ骨突起部40は通常前上象限68、周辺帯70に存在する。光錐36は通常前下象限66に存在するため、点P1より上部、頭頂側部分における最大輝度点を検出すれば、点P2を検出することができる。
【0049】
この後、これら点P1、P2を結ぶ直線上の領域を近赤外光で走査して特徴情報を得る。鼓膜臍34は楕円形・漏斗状(円錐状)の鼓膜28の頂点に当り、一方ツチ骨突起部40は文字どおり鼓膜28の中で最も突出した部分である。従ってこのように反射光の輝度からその位置を求めることもできるが、例えば、レーザー光で外耳道20入口からの距離を計測することによってもその位置を特定できる。鼓膜臍34とツチ骨突起部40を結ぶ直線上はツチ骨柄部50に当り、ここには図3に示すように深耳介動脈46が走っている。したがって、この部分を光走査すると、他の部分に比べ容易に血管パターンを得ることができる。
【0050】
ところで、光錐36を利用して特徴情報の採取位置を決定する例を上述したが、光錐36の形状は個人を識別するための特徴情報として利用することができる。
ここで、光錐36の形状を利用して個人を識別する個人識別装置について説明する。この個人識別装置は、上述の図12に示す測定プローブ4内部に、照射手段に代えて光錐36を捕らえるために例えば可視光を鼓膜28に照明する照明手段を備え、受光手段に代えて鼓膜28からの反射光を受像するCCD等の受像手段を備えている。
【0051】
可視光を鼓膜28に照明して得られた像を図18に示す。図18(a)は、鼓膜28の全体像を示し、図18(b)は、光錐36の拡大像を示している。
図18に示すように、通常鼓膜臍34を頂点とする三角形状の光錐36が観察される。光錐36形状は略三角というだけで、個人個人で形状に大きなばらつきがある。可視光の照明の軸は、外耳道20に筐体の一部を挿入した状態ではあまり振れることがないので、光の反射像である光錐36の形状は常に安定して得ることができる。
【0052】
CCD等の受像手段で捕らえた光錐36の像を以下のように処理することで個人を識別する特徴情報として抽出することができる。受像手段で捕らえた光錐36を含む鼓膜28の像を、図19(a)に示すように、例えば最も鼓膜臍34に近い光点、つまり左上の光点を起点として鼓膜28の縁までを水平方向、垂直方向ともに12に分割する。つまり光錐36を含む鼓膜28の像を12×12=144個のブロックに分割する。次いで、光錐36を含む鼓膜28の像を図19(b)に示すように、それぞれのブロックの濃度パターンで近似する。このようにして144次元のパターン空間を得る。そして、個人の登録時には、このパターン空間のパターンベクトルを記憶しておく。そして、照合時には、既に記憶されているパターンベクトルと、新たに得られたパターン空間のパターンベクトルとが一致するか否かをベクトル間距離やベクトルの成す角度から比較判定する。このように光錐36の形状から個人を識別することも可能である。なお、光錐36形状の特徴と血管パターン等の解剖学的特徴の両方の特徴情報を用いて個人を識別するようにしてもよい。
【0053】
以上のようにして、鼓膜28あるいは外耳道20などの平衡聴覚器から個人を特定する特徴情報を得ることができる。登録時点には、これらの特徴情報をID番号等とともディスク装置やICカード、磁気カードなどの記憶媒体に記録しておく。そして、照合時にはこの保存データをID番号などで呼び出し、照合時入力データと比較する。比較の際は多少のデータ入力時の揺れを見込んで所定の許容範囲を設けてもよい。また、照合時になんらかの操作ミスや位置ずれなどの事故が発生する場合があるため、比較結果が本人であると判定しない場合にも所定の回数の再試行を認める設定にしてもよい。なお、登録されている特徴情報のデータ数が少ない場合にはID番号を用いずに、データ全数と比較する識別処理にしてもよい。
【0054】
外耳に装着する筐体には電気音響変換器(スピーカー)を内蔵してもよい。電気音響変換器には動電形、電磁形、静電形、電歪形、速度形、および圧電形等があるがそのいずれでもよい。電気音響変換器は、登録時や照合時に使用者に音声によって適切な指示や照合結果などを知らせるためのものである。例えば照合の結果、本人と確認されれば「御本人であることを確認させて頂きました。有り難う御座いました。スイッチを切って測定器を元の位置に戻して下さい。」などのメッセージを流す。また計測時に、「もう少し測定器を耳の穴の奥に入れて下さい。」といった指示や、「ピッ!」といった音で計測の開始や終了を知らせる。これによって利用者は正しく、また安心して本個人識別装置を使うことができる。これら音声データは独立した記憶装置に格納しておく。発音のタイミングは、スイッチ2からのオン/オフ信号や測定手段処理回路8からの計測開始指示信号、あるいは比較部12からの判定結果18の信号等から得ることができる。
【0055】
本個人識別装置は、同様な構成の筐体を2つの備え、これら2つの筐体を鏡対称構造に構成するようにしてもよい。このようにすると、左右の平衡聴覚器から情報を得ることができ、識別のミスが発生する可能性を減らすことができる。また、2つの筐体を積頭型イヤホン(ヘッドホン)のようにバンドで繋げても良く、このようにすると、外耳道や耳介だけでなく、頭部によっても筐体を支えることができるため、より安定して筐体の位置決めをすることができる。
【0056】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、鼓膜や外耳道のような平衡聴覚器を用いた個人識別を行うので、カメラなどで遠隔的に顔画像を記録される方法と異なり、自ら意識して計測する能動的な操作感があるため監視されている感じがなく、また遠隔地からパターンを盗み取られる危険がない。とりわけ、本発明のように耳介の様な外観ではなく、耳の穴の中の特徴や、更には解剖学的特徴、即ち皮下組織の特徴を用いる方法では通常の器材では計測することができず、且つどこの特徴を捉えているかすら知ることが困難なため、偽造することはほぼ不可能である。また、指紋のような犯罪捜査のイメージや監視のイメージといったマイナスイメージもない。
【0057】
さらに耳の計測であるため、目とは異なり恐怖感や不快感といった心理的な抵抗感も小さい。鼓膜や外耳道の形状やその血管パターン等の解剖学的特徴は、利用者の心理状態に応じて変化することはなく、また変形などもないため、常に安定に計測することができる。ここで用いる波長の光は、人体に対して悪影響をあたえずに形状や解剖学的な特徴を反映する信号を検出することができる。
本発明による個人識別装置は、以上のように偽造することはほぼ不可能であり、利用者に心理的な負担や抵抗感を与えることもなく、また利用時の身体の拘束条件が極小さく、さらに、利用者の心理状態や健康状態の影響を受け難く常に安定に識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による個人識別装置の概略の全体構成を示す図である。
【図2】人の平衡聴覚器の組識の概略図である。
【図3】人の右側の鼓膜の耳鏡像を示す図である。
【図4】人の鼓膜と外耳道との概略の位置関係を示す模式図である。
【図5】人の右側の鼓膜の区分を説明する図である。
【図6】人の右側の鼓膜の区分を説明する他の図である。
【図7】人の右側の鼓膜の血管パターンの一例を示す図である。
【図8】酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光特性を示す図である。
【図9】本発明の一実施の形態による鼓膜を計測対象とした個人識別装置の測定プローブを収容する筐体を示す図である。
【図10】本発明の一実施の形態による外耳道を計測対象とした個人識別装置の測定プローブを収容する筐体を示す図である。
【図11】本発明の一実施の形態による個人識別装置における測定プローブを収容する筐体の他の例を示す図である。
【図12】本発明の一実施の形態による鼓膜の血管パターンに関する特徴情報計測用の測定プローブの光学系構成の例を示す図である。
【図13】本発明の一実施の形態による個人識別装置における鼓膜の血管パターンに関する特徴情報を計測する場合の光の走査経路の一例を示す図である。
【図14】本発明の一実施の形態による個人識別装置における鼓膜計測時に反射光量が得られなかった部分と、鼓膜の血管パターンとの位置関係を示す図である。
【図15】本発明の一実施の形態による個人識別装置の鼓膜計測時に得られた光検出器の出力を示す図である。
【図16】本発明の一実施の形態による外耳道の血管パターンに関する特徴情報計測用の測定プローブの光学系構成の例を示す図である。
【図17】本発明の一実施の形態による個人識別装置における外耳道計測時に反射光量の得られなかった部分と外耳道の血管パターンとの位置関係を示す図である。
【図18】人の右側の鼓膜の光錐の像の一例を示す図である。
【図19】本発明の一実施の形態による光錐の像からパターン空間を得る処理を説明する図である。
【符号の説明】
2 スイッチ
4 測定プローブ
6 制御回路
8 測定手段信号処理回路
10 特徴抽出部
12 比較部
14 記憶部
18 判定結果
20 外耳道
22 耳小骨
24 鼓室
26 迷路
28 鼓膜
30 内耳神経
32 耳管
34 鼓膜臍
36 光錐
40 ツチ骨突起
42 前ツチ骨ヒダ/ツチ骨隆起
44 弛緩部
46 深耳介動脈
48 後ツチ骨ヒダ
50 ツチ骨柄
52 緊張部
54 後上壁
58 前下壁
62 後上象限
64 後下象限
66 前下象限
68 前上象限
70 周辺帯
72 中間帯
74 中心帯
76、82、88、90 筐体
78 光の経路
84 光の経路
92 光源
94 フィルター
96、98、108 レンズ
100 ハーフミラー
102 回転ミラー
104 モーター
106 シャフト
110 光検出器
112 光走査経路
114 血管
116、140 低反射光量位置
126 ハーフミラー
128 回転ミラー
130 円筒
138 血管
142 データ欠損部分

Claims (3)

  1. 鼓膜に光を照射する照射手段と、
    前記鼓膜からの反射光を受光する受光手段と、
    前記鼓膜の血管パターンから得られる前記反射光の角度の情報を特徴情報として抽出する特徴抽出手段と、
    予め記憶された特徴情報と前記抽出された特徴情報とを比較判別する判別手段と
    を有することを特徴とする個人識別装置。
  2. 鼓膜に光を照射する照射手段と、
    前記鼓膜からの反射光を受光する受光手段と、
    前記鼓膜の血管パターンから得られる前記反射光の平均光量の情報を特徴情報として抽出する特徴抽出手段と、
    予め記憶された特徴情報と前記抽出された特徴情報とを比較判別する判別手段と
    を有することを特徴とする個人識別装置。
  3. 請求項1又は2に記載の個人識別装置において、
    前記照射手段は前記鼓膜上の少なくとも1点を中心とする円周上あるいは円内の領域に光を照射することを特徴とする個人識別装置。
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