JP3702637B2 - 個人識別装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セキュリティシステムの一部を構成する個人識別装置に係り、特に、生体の個体差を識別情報として利用した個人識別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高機密室などの入退出管理やコンピュータのアクセス管理等に利用する個人識別装置として、指紋や虹彩、眼底血管、手形、顔等の人体の特徴を利用した個人識別装置、あるいは声紋、署名などの特性を利用した個人識別装置が知られている。
【0003】
これら公知の個人識別装置に加えて、最近、偽造が困難である人体の解剖学的な特徴を利用した個人識別装置を実現しようとする試みがある。例えば、特開平4−502717号公報や特開平7−21373号公報、特表平8−508419号公報には手や指の血管パターンを個人識別の特徴として用いる方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記いずれの方法も、それぞれ以下に述べるような問題を有している。まず、指紋を利用した個人識別装置では、犯罪捜査のイメージがあるため利用者の心理的な抵抗感が高く、一般に普及させるためには装置の開発以前に、利用者の抵抗感を払拭できる使用方法を考えなければならないという問題を抱えている。また指紋や手形を利用する個人識別装置では、個人の身体の一部外観を利用することになるため複製される危険が大きい。
【0005】
また、虹彩を利用した個人識別装置にあっては、カメラで虹彩パターンを読み取るため、同様な方法によって盗み取られる可能性がある。眼底血管のパターンを用いる個人識別装置では偽造は極めて困難であるが、検出のため光を目に照射する必要があり、利用者の心理的な負担が大きいという問題がある。顔の形状を利用する個人識別装置では、姿勢や照明条件を一定の範囲内に抑える必要があり、安定性に欠け、また外観を利用するため偽造される可能性がある。また、声紋や署名を利用する個人識別装置では、盗み取られる可能性が高く、また利用者の心理状態や健康状態の影響を受け易く安定性に欠ける。
【0006】
また、手や指の血管パターンを利用した個人識別装置は、外観的特徴を利用した個人識別装置より確実に偽造が困難になり、また、眼底血管パターンを利用した個人識別装置より利用者の心理的負担は小さい。しかしながら、近赤外光などを用い、皮下静脈など、比較的表層に近い人体の情報を利用するため、結局のところ近赤外カメラ等でパターンを盗み取られる可能性が残ってしまう。また、血管は筋肉や脂肪などと同様に柔軟な組識であるため、変形などによって照合が困難になる可能性が高い。これを防ぐためには照合時の許容範囲を広く採らざるを得ず、そのため誤認証率が高くなるという問題がある。
【0007】
本発明は、上述の従来の技術が有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、極めて偽造が困難であり、利用者の心理的な抵抗感がなく、また利用時の身体の拘束条件が小さく、かつ心理状態や健康状態の影響を受け難い生体情報を利用した個人識別装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、人の指先の解剖学的特徴を測定する測定手段と、測定手段からの出力値を予め記憶した記憶値と比較する比較手段と、比較手段での比較結果に応じて個人識別結果を発生する判定手段とを備えていることを特徴とする個人識別装置によって達成される。前記測定手段は、少なくとも指先の爪体の裏側の形状を反映する信号を検出することを特徴とする。また、前記測定手段は、少なくとも指先の骨形状を反映する信号を検出することを特徴とする。さらに、前記測定手段は、少なくとも指先の骨と爪の位置関係を反映する信号を検出することを特徴とする。
【0009】
本発明の個人識別装置において、測定手段は、指先内に超音波ビームを放射する超音波発振手段を有することを特徴とする。あるいはまた、前記測定手段は、指先内に光を照射する照明手段を有することを特徴とする。また、照明手段は、近赤外光を発することを特徴とする。
【0010】
本発明の個人識別装置によれば、測定手段によって指先の解剖学的な特徴、例えば爪体の裏面形状や指の骨の形状、それらの位置関係を反映する個人の特徴となる信号が検出される。これらのデータは予め登録された一人または複数の個人の対応するデータと比較手段によって比較され、判定手段によりある値を基準に判定作業が行われ、受入れもしくは拒絶の判断が下される。この結果は個人識別結果として報告される。
【0011】
また、本発明の個人識別装置によれば、超音波ビームによって指先の解剖学的特徴を反映した信号を、超音波の透過もしくは反射した時間遅れもしくは強度として捕らえることができる。この信号によって個人の指先の解剖学的特徴が識別可能となる。
【0012】
また、本発明の個人識別装置によれば、光、中でも人体によりよく浸透する近赤外光によって指先の解剖学的特徴を反映した信号を、光の透過もしくは反射した強度変化、輝度分布などとして捕らえることができる。この信号によって個人の指先の解剖学的特徴が識別可能となる。これらいずれによっても、予め登録された個人の指先の解剖学的特徴と、新たに観測した個人の指先の解剖学的特徴を比較することで個人を識別することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態による個人識別装置を図1乃至図11を用いて説明する。まず、図1を用いて本実施の形態による個人識別装置の概略の全体構成について説明する。
【0014】
本実施の形態による個人識別装置は、人の指先の解剖学的特徴量を計測をする際に、測定プローブ4上に指先が置かれたことを検出して計測を開始させるためのスイッチ2を有している。このスイッチ2は、指先で押す機械的スイッチでもよいし、種々の非接触センサにより指先が測定プローブ4に接近したらオンするようなスイッチでもよい。スイッチ2からのオン/オフの信号は制御回路6に出力され、スイッチ2からオン信号が制御回路6に出力されると、制御回路6は測定手段信号処理回路8に計測開始の指令を送出する。指令を受けて測定手段信号処理回路8は、超音波ビームあるいは近赤外光による計測を行う測定プローブ4から得られる指先の解剖学的特徴量に基づいた計測信号を受け取るようになっている。
【0015】
受け取られた計測信号は、所定の信号処理を経て計測データとして特徴抽出部10に送られ、特徴量が抽出される。抽出された特徴量は比較手段12と記憶手段14に送られる。記憶手段14で記憶された特徴量は、次回の計測において個人識別の際に用いられる。また、比較手段12に送られた抽出量は、記憶手段14に既に記憶されている所定の特徴量と比較され、比較結果が判定結果信号出力手段16に入力されて個人識別の判定が行われ、判定結果18が出力されるようになっている。
【0016】
次に、本実施の形態による個人識別装置で計測する指先の解剖学的な特徴と、その特徴を利用することによる優位点について図2乃至図7を用いて説明する。
図2は、人の指先を側面からみたときの指先の組織の概略を示している。人体のうち指先には、ヘモグロビンによる赤外光吸収やその流動によって光や超音波による他の組織からの分離が可能な血管(図示せず)や、音響インピーダンスの違いや光の吸収波長や散乱の違いなどによって分離が容易な末節骨26や爪30といった組織がある。これら組識の形状や相互の位置関係には個体差があり識別の有力な情報となる。
【0017】
指先の解剖学的特徴としては、図示を省略した皮下の血管(動、静脈)、神経、筋膜、筋、汗腺、毛根、骨、軟骨、あるいは爪体30の裏面、下爪皮20、爪床22、爪根24、爪母基34など、外部から通常の環境下では観察できない組織の特徴を言う。このような解剖学的特徴は、表皮(例えば、表皮の角化層36や角化層より深層の表皮部分38)に比べ傷病や汚染による変化が少なく、また発汗状態にデータ採取が左右される指紋を用いる方法や発話を利用する方法などに比べ、環境や心理状態の影響を受け難い。また爪体30表面の上爪体32のようにマニキュアや除光液、ネイルポリッシュなどによって個人的な特徴を失うこともない。
【0018】
指先は通常衣類などに覆われることはなく常に露出している。また、カメラなどで無意識のうちに撮影されるのとは違い、自ら能動的に判定操作を受けることができ、安心感がある。指先は人体のなかでも際立ってこのように意志を反映している感じが強く、かつ他の組織とは音響インピーダンスや光学特性の大きく異なる組織である骨と爪の両方を近接して備えている。さらに指先は人体の中では小さな部位であり、そのため計測装置を小型化しやすい。
【0019】
指先の皮下の組織は指紋と同じように個人を識別できる多くの特徴を有している。例えば末節骨26では、長さ、断面形状、断面積、体積、体表面(表皮表面や爪)からの距離等には個体差があり、識別情報として利用可能である。また爪は先述のようにマニキュア等で人工的な変化を加えられない全体的な曲率や、爪床22をなす表皮部分の形状を反映する爪体30裏面の縦走する多数の線条のパターンはほとんど変化することがない。
【0020】
図3は、この指先の組識間距離の実測例を示している。この実測例では、爪体30の厚さが約0.29mm、角質層40の厚さが約0.42mmであり、末節骨26先端部と角質層40との間の距離が、図中、水平、垂直方向、およびそれらの45°方向の計測位置で、それぞれ約3.2mm、6.3mm、4.2mmである。また、図中、爪体30と角質層40の距離であって、末節骨26先端外部近傍を通過する垂直方向の直線間の距離は約9.2mmである。このような図3に示した指先において、爪体30と角質層40の指先外観形状のデータと骨や血管、爪体30などの形状や位置関係のデータとを用いることは有効であるが、爪体30以外の皮膚は柔らかいため形状変形分の誤差を見込む必要がある。このような誤差を抑えるために、指先の接触する場所に圧力センサなどを設け、計測開始タイミングを常に一定の変形量時に保つようにする方法を採ってもよい。
【0021】
次に、計測対象について詳述する。図4に爪及び末節骨26を含む面の指先断面を示す。爪は伸びるが伸びる方向と直交する断面の形状は成人ではほとんど変化しない。先述のように爪背側面はマニキュアなどで人工的に形状や表面状態が変化するが、裏面の爪床22は手を加えられることはない。この断面での爪全体の曲率や爪体30表裏に縦走する爪床小稜42の多数の細かい線条の形状は、健康であれば安定である。近赤外光や超音波を用いれば爪体30裏面から、即ち指先腹側からこれらの形状情報を得ることができる。爪先端部は裏面も異物で汚染されていることが多いため、超音波ビームや近赤外光はこの先端部を避けて図5に示すように、指腹側(図中、矢印B)もしくは指先先端部(図中、矢印A)から入射させる。
【0022】
特に有効なパラメータは図6に示すように、爪体30全体の曲率R、爪体30裏面の線条数、爪体30裏面の線条のピッチである。爪体30裏面の線条形状は爪床小稜42の形状を反映する。従って爪体30裏面形状ではなく、爪床22表面の形状を計測しても同等の情報が得られる。これら爪体30裏面もしくは爪床22からの幾何学的情報は圧力などによる変動がほとんどない。特に爪体30裏面の線条形状もしくは爪床小稜42の本数、ピッチは非常に安定しており、傷病の影響や汚染をほとんど受けないため個人識別のパラメータとして適している。
【0023】
爪と同様に、指先の末節骨26は多くの形状特徴を有している。図2および図3に示したように、末節骨26は骨組識の端点であり、その先端を皮下組織と接している。また角質層40表面からの距離は先端部ではわずか3mm程度であり、指腹側からでも5〜6mm程度である。そのため、その特徴的な先端形状から多くの情報を得ることができる。末節骨26先端の長手方向断面形状は、指先先端方向から見ると、通常、図4に示すように長楕円形である。図7に示すように、末節骨26の横方向の幅a、縦方向の幅b、および曲率Rが有効なパラメータとして用いることができるようになる。なお、爪、骨、及び爪と骨の位置関係の測定例は後述する。
【0024】
皮下の組織を観察する手段としては、X線を利用する方法や磁気共鳴現象を利用するMRI(Magnetic Resonance Imaging)などが知られているが、安全性や装置サイズの点で個人識別装置技術に用いることは難しい。この点、超音波や光を利用する方法は優れている。また、指先という限られた領域で、個体差を分離することを目的とする場合には形態異状や病巣の発見などを目的とする画像診断機器とは異なり、可視像化処理をする必要はない。例えば組識境界面からの反射信号の遅れ時間の個体差さえ検知できればよい。
【0025】
指先の解剖学的な個体差を見出すためには、言うまでもなく検出手段の分解能は高い方が望ましい。少なくともmm単位以下の分解能が求められる。超音波の組識による吸収は周波数が高いほど大きくなり、指向性は周波数が高いほど良好になる。即ち分解能を上げようと高周波を用いれば減衰が激しく深部組識を検知することが困難になる。利用できる超音波の強さにも可逆的な熱作用範囲以下である0.1W/cm2以下という制限がある。1〜5W/cm2では加熱作用を起こし、10W/cm2を超えるとキャビテーションによって細胞が破壊される。
【0026】
これらの理由から通常、生体に利用できる周波数は1〜15MHzの範囲である。ここでは、指先の限られた領域での組識分離に用いるため、浸透深さは数ミリ〜10mm程度あればよく、一方、超音波ビームに沿った分解能(縦分解能)は1mm以下であることが要求される。このため用いる周波数は3.5〜15MHzであることが望ましい。超音波を発振する発振子と指先を挟んで対抗する受信探触子から成る透過法と、発振子と受信探触子を指先の同一側に置いて組識境界からの反射信号を検知する反射法のどちらを用いても良い。反射法であればパルス状に発振させ、組識境界からの反射信号遅れから個体差を知ることができる。
【0027】
骨や爪裏面からの情報を利用する場合、これらの音響インピーダンスは他の組識とは大きく異なり、音波の大部分は反射されてしまう。超音波診断ではこのような強反射体があると音響陰影や多重反射の原因となり読映を困難にする。しかし、ここでは信号の差異が捕らえられれば十分であり、画像化処理は不要であるから骨や爪からの情報も積極的に利用することができる。
【0028】
図8に超音波を反射させる反射法を用いた場合の個人識別装置の構成例を示す。図8において、図1に示した個人識別装置と同一の機能、作用を有する構成要素には同一の符号を付して説明は省略する。測定プローブ4からの超音波ビームは指先腹側(爪の反対側)から射出される。この際、体表面と測定プローブ4の超音波発振子の間の空気層による超音波の反射を防ぐため、通常水やゼリー状の液体を用いる。このため、加水装置50が設けられている。しかし手表面の発汗作用により発振子との密着が保てる場合、液体は不要である。動作を安定にするためと利用時の利便性から、指先を水で湿らす方法が有効である。
また、超音波ビームを指先の爪の伸びる方向に走査させるための機械走査系52が設けられ、制御回路6により制御されるようになっている。
【0029】
医用超音波診断装置では通常骨以外の各組識間の僅かな音響特性の違いも検出するため、比較的大きなエコー信号から極めて微弱な信号まで捕らえなければならない。そのため、この大きなレベル差を圧縮する対数増幅器などが用いられている。また、画像診断のためのテレビ映像信号を作成するためにデジタルスキャンコンバータなどが組み込まれている。これに対し、ここでは超音波を利用して爪や骨からの情報のみが正確に得られればよい。先述のようにこれらの音響インピーダンスは周囲組識と比べて非常に大きいため(1〜10MHzの平均では骨の場合、約5.3×106kg/m2/sec.、これに対し筋肉は、1.73×106kg/m2/sec.、脂肪は、1.43×106kg/m2/sec.、血液は、1.63×106kg/m2/sec.である)、他の組識間に比べ音圧反射率は非常に大きくなる。
【0030】
そのためここでは、基本的には測定プローブ4から射出される超音波ビームを爪の伸びる方向に直交する方向に走査させ、またそのフォーカス合せを行う信号を送信する送信回路56と、測定プローブ4からの測定信号を検波する検波回路58だけというシンプルな回路構成で済む。この場合音響インピーダンスの近い組識間からの微弱な信号は無視される。また深部からのエコー信号の減衰を補正するための増幅回路54、例えば受信開始後の増幅度を時間的に増加させる回路を測定プローブ4と検波回路58との間に付加してもよい。検波回路58からの出力信号はA/D変換器60を介して、アナログ信号からデジタル信号に変換されて特徴抽出部10に入力される。
【0031】
図9にパルスエコー法の基本構成例を示す。この図中に、爪や骨等からのエコー信号A、Bを示す。測定プローブ4から増幅回路54に出力される出力信号の信号波形Aは、測定プローブ4から指先に出射されたパルス列に対する応答として振幅が変化するパルス列として得られる。また、検波回路58から出力される信号波形Bは、パルスの振幅の減衰やパルス列のピーク間隔の長さ等を識別できる信号となって特徴抽出部10に送られる。この信号のピーク間距離が例えば先述の爪体30裏面と末節骨26表面からの距離を反映する。超音波ビームの走査方式はリニア走査、セクタ走査、オフセットセクタ走査などが用いられる。走査機構としては機械式でも電子式でもよい。
【0032】
図10はセクタ走査による測定例を示す。セクタ走査に加えてここでは矢印の方向、指長軸方向に機械的に走査する。指先端では図3に示すように爪体30からの情報しか得られないが、3mmほど進んだところで末節骨26からのエコー信号を得ることができる。末節骨26からの信号を得てからさらに6mmほど矢印方向に機械走査すると爪郭を過ぎて爪30からの信号は無くなる。この末節骨26と爪体30からの両信号を検出している間は、両者間の位置関係は安定しているために常に安定して距離情報を得ることができる。ここから末節骨26の幅、末節骨26と爪体30裏面間距離、爪体30裏面全体のカーブ情報を得る。ただしここでは骨や爪からのエコーがもどってくるまでの時間やエコー間の時間差が重要で、そこから解剖学的に正しい位置関係などの情報を得ることは重要ではない。セクタ走査(指断面の走査)と指長軸方向走査のタイミングとそれぞれのエコー信号の受信時間が特徴量となる。
【0033】
爪からの情報を採取する際、先述の図5のように指先腹側や指先先端部から超音波や近赤外線ビームを入射するが、この際、例えば図10の矢印で示すように指長手方向にビームをスキャンすれば、末節骨26、及び末節骨26と爪30との位置関係情報をも得ることができる。典型的な位置関係情報として、末節骨26−爪体30裏面間距離(図中の距離d,h,j,f)や、末節骨幅(a,b)を得るための方法を図11に示す。図11において、測定プローブ4からの超音波ビームを走査させることにより、それぞれ距離c、c+d、g、g+h、e、e+f、i、i+jを測定することができるので、それらから所望の距離を計算することができる。また、指長手方向のビームスキャンから末節骨26先端部形状、指先端部から末節骨26頂点までの距離などの情報を得ることができる。
【0034】
また、生体内の組識を安全に計測する他の方法として光を用いる技術が知られている。波長700〜2000nm、特に波長780〜1400nmの近赤外線はヘモグロビンや水分の光吸収が小さく組織内をよく透過することができる。この領域の光を用いた断層撮影装置としては、例えば共焦点走査型顕微鏡(CLSM)やOCM(Optical Coherence Microscopy)がある。これらの原理やその改良型OCM方式断層撮影装置については、例えば特開平8−252256号公報に詳しい。
【0035】
近赤外光を用いる場合にも基本的な手順は超音波と同様である。さらに、近赤外の場合には超音波より距離分解能を高くすることができ、またビームを絞ることができる。そのため爪体30裏面の線条パターン情報といったより微細な構造を利用することができる。先の図10と同様な走査をした場合、先述の爪体30と末節骨26からの情報に加え、爪体30裏面からの情報しか得られない指先先端部(このような走査の場合には、先端から3mmほどの間)の走査時であっても、図6に示す爪体30裏面もしくは爪床小稜42の線条パターン情報が得られる。共焦点走査型では線条パターンの凸部を輝度パターンとして読み出すことができる。先述の特徴量に加え、輝度ピークの数とピーク間距離も特徴量として用いることができる。
【0036】
登録時点でこれらの特徴量情報をID番号等とともディスク装置やICカード、磁気カードなどの記憶媒体に記録しておく。照合時にはこの保存データをID番号などで呼び出し、照合時入力データと比較する。比較の際は多少のデータ入力時の揺れを見込んで所定の許容範囲を設けてもよい。また照合時になんらかの操作ミスや位置ずれなどの事故が発生する場合があるため、比較結果が本人であると判定しない場合にも所定の回数の再試行を認める設定にしてもよい。なお、登録データ数が少ない場合にはID番号を用いずに、登録データ全数と比較する識別処理にしてもよい。
【0037】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、指先を用いた個人識別を行うので、カメラなどで遠隔的に顔画像を記録される方法等と異なり、能動的な操作感があり監視されている感じがなく、また遠隔地からパターンを盗み取られる危険がない。とりわけ本発明のように、指先の外観ではなく、解剖学的特徴すなわち皮下組織の特徴を用いるようにすれば通常の器材では計測することができず、かつどこの特徴を捉えているかすら知ることが困難なため、偽造することはほぼ不可能である。また、指紋のような犯罪捜査のイメージや監視のイメージといったマイナスイメージもない。さらに指先の計測であるため、目とは異なり恐怖感といった心理的な抵抗感もない。解剖学的特徴、特にここで注目する爪や骨は利用者の心理状態に応じて変化することはなく、また変形などもないため、常に安定に計測することができる。超音波や光、特に近赤外光は人体に対して悪影響をあたえずに解剖学的な特徴を反映する信号を検出することができる。
【0038】
本発明による個人識別装置は、以上のように偽造することはほぼ不可能であり、利用者に心理的な負担や抵抗感を与えることもなく、また利用時の身体の拘束条件が極小さく、さらに、利用者の心理状態や健康状態の影響を受け難く常に安定に識別することができる。
【0039】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による個人識別装置の概略の全体構成を示す図である。
【図2】人の指先の組識の概略図である。
【図3】人の指先の組識間距離の例を示す図である。
【図4】指先断面(爪と末節骨を含む面)の例を示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態による個人識別装置における超音波や光などの計測ビームを指先に入射させる方向を示す図である。
【図6】爪形状の計測対象の例を示す図である。
【図7】末節骨の形状測定の例を示す図である。
【図8】本発明の一実施の形態による超音波反射法を用いた個人識別装置の概略の全体構成を示す図である。
【図9】本発明の一実施の形態による超音波反射法を用いた個人識別装置のそれぞれの回路での信号波形の例を示す図である。
【図10】本発明の一実施の形態による超音波反射法を用いた個人識別装置におけるセクタ走査による指先走査例を示す図である。
【図11】本発明の一実施の形態による超音波反射法を用いた個人識別装置における末節骨と爪の位置関係情報の測定例を示す図である。
【符号の説明】
2 スイッチ
4 測定プローブ
6 制御回路
8 測定手段信号処理回路
10 特徴抽出部
12 比較手段
14 記憶手段
16 判定結果信号出力手段
18 判定結果
20 下爪皮
22 爪床
24 爪根
26 末節骨
30 爪体
32 上爪体
34 爪母基
36 表皮の角化層
38 角化層よりも深層の表皮部分
40 角質層
42 爪床小稜
50 加水装置
52 機械走査系
54 受波回路増幅回路
56 送信回路フォーカス回路
58 検波回路
60 A/D変換器

Claims (6)

  1. 人の指先の骨と爪の位置関係を反映する信号を検出して前記指先の解剖学的特徴(外部から通常の環境下では観察できない組織の特徴)を測定する測定手段と、
    前記測定手段からの出力値を予め記憶した記憶値と比較する比較手段と、
    前記比較手段での比較結果に応じて個人識別結果を発生する判定手段と
    を備えていることを特徴とする個人識別装置。
  2. 請求項1記載の個人識別装置において、
    前記測定手段は、少なくとも前記指先の爪体の裏側の形状を反映する信号を検出することを特徴とする個人識別装置。
  3. 請求項1または2に記載の個人識別装置において、
    前記測定手段は、少なくとも前記指先の骨形状を反映する信号を検出することを特徴とする個人識別装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の個人識別装置において、
    前記測定手段は、前記指先内に超音波ビームを放射する超音波発振手段を有することを特徴とする個人識別装置。
  5. 請求項1乃至3のいずれかに記載の個人識別装置において、
    前記測定手段は、前記指先内に光を照射する照明手段を有することを特徴とする個人識別装置。
  6. 請求項5記載の個人識別装置において、
    前記照明手段は、近赤外光を発することを特徴とする個人識別装置。
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