JP3774921B2 - 光学的情報再生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、1つのアクチュエータに複数種類の対物レンズを搭載した光ヘッドにより物理特性の異なる光ディスク等の光記録媒体から情報を再生する光学的情報再生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図28は特公平6−90800号公報に記載された従来の光学的情報再生装置(光ヘッド装置)の対物レンズ駆動装置部分を示す斜視図である。図において1a,1bは対物レンズ、2は対物レンズ1a,1bを保持する可動部、3は固定台、4a,4bは一端部が前記固定台3に接続された弾性支持部材、5は前記ホルダ2に巻き付けられた焦点方向制御用コイル、6a,6bは永久磁石、7a,7bはヨーク、8は前記1〜7a,7bの各部品により構成される対物レンズ駆動装置、9aは対物レンズ1aに入射するレーザ光、9bは対物レンズ1bに入射するレーザ光、10a,10bは対物レンズ1a,1bを固定するレンズホルダである。
【0003】
ここで、焦点方向のずれに対しては焦点方向制御用コイル5に所望の電流を流すことで、可動部2を矢印A方向に駆動して焦点方向制御を行う。ラジアル方向送り、またはトラック方向の制御が必要な場合は、図示していないトラック方向制御用コイルに所望の電流を流すことで、対物レンズ駆動装置8を含む光ヘッド装置を矢印A方向と直角方向に駆動して、ラジアル送り、およびトラック方向制御を行う。
【0004】
以上のように、従来例では、光源部から出射された複数の光ビームを情報記録媒体状に相異なる光スポットとして集光させる複数の対物レンズをホルダに一体として保持するように構成しているので、リアルタイムモニタ、またはオーバーライトを行う場合に1ヶの光ヘッド装置で済み、光学式ディスク再生装置の小型化、簡素化が可能となる。また、情報の消去、記録、再生をほとんど実時間で行える。
【0005】
また、上記複数の対物レンズが形成する相異なる光スポットのうち、少なくとも1つの光スポットの焦点位置を他の光スポットの焦点位置とは独立して制御する焦点制御装置を備えているので、部材の取付、組立精度の許容値を大きくでき、組立作業性、生産性を向上させることができる。
【0006】
さらに、上記複数の対物レンズが形成する相異なる光スポットのうち、少なくとも1つの光スポットのトラッキング方向位置を他の光スポットのトラッキング方向位置とは独立して制御するトラッキング制御装置を備えているので、部材の取付、組立精度の許容値を大きくでき、組立作業性、生産性を向上させることができる。
【0007】
以上のように従来の光ヘッド装置においては、1つのアクチュエータ可動部に2つの対物レンズを搭載することでリアルタイムモニタ等の機能を実現していたが、これを高密度な光ディスクと従来の光ディスクの互換性を保つために使用することも当然考えられる。例えば、一方を短波長レーザと高開口率を有するレンズの組み合せとし、もう一方を従来のレーザ波長と従来の開口率を有するレンズとの組み合せで用いる方法である。
【0008】
しかし、このように2つの光学系を持つことは光学系の複雑さを増すだけでなく、それぞれの光学系にフォーカス誤差検知やトラック誤差検知を持たせる必要があるため、大きなコストアップ要因になる。特に、互換性の問題だけであれば、一方の光ディスクを再生している間は他方のレンズを使わないため、片方のシステムはまったく無駄になるという問題があった。
【0009】
そこで、光学系は1つで、1つの軸に対して回動するタイプのアクチュエータを用いて上述のような2つのレンズを搭載する方法が考えられている。しかし、この場合はディスクの種別を判別するとともに、回動型のアクチュエータを大きく回してレンズの切り替えを行なわせる必要が生じる。
【0010】
従来例で示すような、2つの光学系を有する光ヘッドでは、それぞれの光学系で同時に情報を再生することでその再生情報からディスクの種別等を判定できたが、光学系が1つしかないシステムでは、上述のレンズ切り替えとディスク判定作業が、再生開始時における最も重要な作業となっている。ディスクの種別が判定できなければ、結果的にレンズを切り替えることが不可能で、やみくもに再生をトライするため、フォーカス引き込み失敗によるレンズとディスクの衝突の問題や、過電流によるフォーカスコイルの寿命の問題の他、再生開始待ち時間やサーボはずれからの復帰時間が長くなる等の問題が発生した。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の光学的情報再生装置(光ディスク装置)では、異なる物理特性を有する数種類のディスクを共通の光ヘッドで再生を行わせるため、複数の開口率の異なる対物レンズをアクチュエータ可動部に搭載する必要があった。この場合、まず光ディスクを再生する前に現在の光ヘッドの状態がどのレンズの側に位置しているのかが分からなかったため、一旦フォーカスサーチを行い、この時のフォーカスエラー信号の信号振幅や、合焦点付近の反射光量を調査してディスクの識別を行わなければならなかった。さらに、基盤厚みの厚いディスクや薄いディスク、または反射率の低いディスク等の多様なディスクに対し、どのレンズを用いているか分からない状態でディスクの判別を行うことは、判定回路がきわめて繁雑で判定結果が不確かなものとなる問題があった。
【0012】
また、再生開始時や、振動等によりサーボはずれが生じた時は、ディスクとレンズとの組み合せが間違っている場合、レンズを別のものに切り替える動作が必要になるが、あらかじめ固定されたキックパルスとブレーキパルスでは、レンズの切り替え動作が確実に行えず、信号再生の開始がなかなか行えない問題があった。
【0013】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、第一の目的は、ディスクからの信号再生を行わなくても現在の対物レンズがどのレンズの状態(位置)にあるのか判断でき、これによりディスクの判別をスムーズに行うとともに、再生待ち時間やサーボはずれからの復帰を素早く行えるような光学的情報再生装置を得るものである。
【0014】
また、第二の目的は、異なる対物レンズに切り替えを行う際において、キックパルスからブレーキパルスへの切り替えを、アクチュエータの応答に応じて自動的に行うことによって、アクチュエータ可動部における摩擦力の変動や装置振動等があっても安定にレンズ切り替え動作が行える光学的情報再生装置を得るものである。
【0015】
さらに、第三の目的は、レンズ切り替え動作中、またはサーボはずれ等の異常事態において、アクチュエータ可動部がどの方向へ向かって移動中なのかを、ディスクからの信号を再生しなくても認識できるとともに、レンズ切り替え動作の失敗等も瞬時に認識し、再度切り替え動作を行うことが可能な光学的情報再生装置を得るものである。
【0016】
この発明に係る光学的情報再生装置においては、レーザ光を発射する光源と、上記レーザ光を複数の光記録媒体に照射し、当該複数の光記録媒体に対応して切り替えられる複数の対物レンズと、上記複数の対物レンズを搭載し、かつ反射部を有する可動部と、上記反射部からの反射光を検知する検知器と、前記複数の対物レンズが切り替わらない範囲で前記可動部を左右に可動させる左右振れ信号を出力する信号発生手段と、上記左右振れ信号により前記可動部が左右に動いている際における上記反射部からの上記反射光に応じて上記検知器から出力された信号の位相と、上記信号発生手段から出力された上記左右振れ信号の位相とを比較して、上記複数の対物レンズうち、いずれの対物レンズが選択されているかを判定するレンズ判定手段とを備えるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態である光学的情報再生装置においては、現在のレンズから異なる開口率を有する別のレンズに移動する際、レンズからレンズへの切り替わり部分において、タイミング信号を発生する。
【0018】
また、トラッキングアクチュエータにキックパルスとブレーキパルスを印可することでレンズの切り替えを行なう際、レンズ切り替えのタイミング信号に基づいてキックパルスの幅やブレーキパルスの印可タイミングを設定することで、摩擦等の負荷変動に対応した駆動量を発生する。
【0019】
さらに、複数のレンズの間で、可動部の光学系が配置されている側に反射部を設けることにより、通常の情報再生に用いるレーザ光と光検知器を用いて、レンズ切り替え時における切り替えタイミング信号を得る。
【0020】
また、反射部にレンズシフト方向に明暗が生じるようなパターンや、反射部分をトラッキング方向に非対称に構成することによって、レンズ切り替えの際に反射部分から得られる反射光量変動を基に、パターンマッチング回路やレベル変動検出回路によりレンズ切り替え時の移動方向を検知し、移動先のレンズの特定を行う。
【0021】
さらに、可動部において複数のレンズ間に貫通穴を設けることによって、光ヘッド内の情報再生用の平行レーザ光をレンズ切り替え時に貫通させ、光ディスクまたは、ローディング機構部における反射面にて反射させることで、情報再生用の光検知器にてレンズ切り替え時のタイミング信号を得る。
【0022】
また、複数のレンズ間における貫通穴の広さや個数をレンズシフト方向に変化させ、レンズ切り替え時における反射光量変動を基にパターンマットング回路により切り替え方向を検出し、レンズの特定を行う。
【0023】
さらに、トラッキングアクチュエータコイルに生じる逆起電力を、電流検出抵抗から得られる駆動電流情報と駆動電圧情報を比較することによって検出し、レンズ切り替え時に、それぞれのレンズに対応したアクチュエータコイルがトラッキング駆動用マグネットを通過する際に発生する逆起電力の変化を取り出すことにより、レンズ切り替え時のタイミングを得る。
【0024】
また、アクチュエータ駆動電流に可動部の動作に影響しないような周波数に選定された交流信号を重畳するとともに、アクチュエータ可動部の周囲に設けられた交流磁界検出器によって上記コイルからの交流磁界を検出し、レンズ切り替え時におけるタイミング信号を得る。
【0025】
さらに、再生レーザ光とは別の光源を用いて、レンズ切り替え時における中間点にて可動部に取り付けられた反射部を介して光検知器に入射するよう構成することにより、レンズ切り替え時に、切り替え中央部分にて切り替えタイミング信号が得られる。
【0026】
また、複数のレンズに対応した識別信号検出手段を設けたことにより、ディスク再生以前の状態においても、現在がどのレンズの位置にあるかを判別することができる。
【0027】
さらに、可動部における複数のレンズの両サイド側で、光学系が構成されている面に反射部を設け、この反射部の有無や反射率をそれぞれのレンズに対応して異なるように配置するとともに、可動部を揺動させた時の反射部からの反射光量を検出することにより、現在がどのレンズの位置にあるかを判別することができる。
【0028】
また、可動部に貫通穴を設け、可動部を揺動させた時の反射光量を検出することにより、現在がどのレンズの位置にあるか判別することができる。
【0029】
さらに、再生レーザ光とは別の光源を用いて、それぞれのレンズに対応した位置にて反射光が検知できるように固定部分に光検知器を配置し、可動部に取り付けられた反射部を介して光検知器に入射するよう構成したことにより、現在がどのレンズ位置の位置にあるかどうか判別することができる。
【0030】
また、レンズ切り替え動作を行なった後、識別信号検出器の出力に基づきレンズ判定を行ない、レンズ切り替えがうまく行なわれていない場合には、レンズ切り替え動作におけるキックパルスのパルス幅または駆動電圧振幅値を変化させて再度レンズ切り替え動作を行なうように動作する。
【0031】
さらに、可動部に設けられた貫通穴を通して光ディスクからの反射光を情報再生用の光検知器で受光し、得られた反射信号の信号振幅によりディスクの種別を認識するように動作する。
【0032】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1である光学的情報再生装置のブロック図を示す図で、11は光ヘッドにおけるCD用対物レンズ12およびDVD用対物レンズ13を固定し、フォーカス方向およびトラック方向に動かすための可動部、14は可動部11をフォーカス方向へ動かすためのフォーカスコイル、15a,15bは可動部11をトラック方向へ動かすためのトラッキングコイル、16はレーザ光を折り曲げるためのミラー、17は出射光と反射光を分離するためのハーフミラー、18は光源となるレーザ、19は情報の再生やサーボ情報を得るための光検知器、20はフォーカスおよびトラッキング検出を行なうための光学系、21は光検知器19における検出光電流を電圧に変換するための電流電圧変換回路、22は情報を再生するための再生信号検出回路、23はトラック誤差を得るためのトラッキングエラー検出回路、24はフォーカス誤差を得るためのフォーカシングエラー検出回路、25は複数種類のディスク種別を判定するためのディスク判定回路、26はトラッキングエラー検出回路23からの情報に基づきトラッキングコイル15を駆動するためのトラッキング制御回路、27はディスクの種別に応じてレンズ切り替えを行なうレンズ切り替え回路、28はフォーカシングエラー検出回路24からの情報に基づいてフォーカスコイル14を駆動するためのフォーカシング制御回路、29は駆動電流を供給するためのドライブアンプである。
【0033】
図2は可動部11に設けられた反射部を用いてレンズ切り替えを行なうためのレンズ切り替え回路27の構成を示すブロック図で、図において、30はミラー16からの平行レーザ光の反射部を構成している反射板、31はトラッキング制御信号とレンズ切り替え信号を切り替えるための切り替え回路、32はレンズ切り替え方向に駆動力を与えるためのキックパルス発生回路、33はレンズ切り替え時におけるブレーキ力を与えるためのブレーキパルス発生回路、34はキックパルスとブレーキパルスを切り替えるための極性切り替え回路、35は光検知器19からの信号を増幅するための加算増幅器、36は加算増幅器からの信号ピークを検出するためのピーク検出回路である。
【0034】
図3は図2中の反射板に移動方向の情報を持たせた場合のレンズ切り替え回路27の構成を示すブロック図で、図において、37は直流信号をカットするためのコンデンサ、38は信号のゼロクロスを検出するためのゼロクロスコンパレータ、39はディジタル化された信号の情報を判定するパターンマッチング回路、40はキックパルスとブレーキパルスの切り替えタイミングを検出するための切り替え部判定回路、41は明暗のパターンをつけた反射板で、41aは無反射部、41bは反射部である。
【0035】
図4は図3のブロック図におけるレンズ切り替えの様子を可動部の光学系が構成されている側から示したもので、42は反射板からの反射光を光検知器で受光した際の再生信号パターン、43は光スポット、44は再生信号パターンを2値化した2値化信号パターンである。
【0036】
ディスクの記録密度が向上している次世代の光ディスク装置においては、特にディスクの基板厚さを薄くすることにより、高密度化が図られている。例えば、次世代ディジタルビデオディスクと呼ばれている方式においては、ディスク厚み0.6mmを2枚張り合わせた形態となっており、従来のCDやLDに比べると約半分の厚さとなっている。しかしこのような薄い基盤厚の光ディスクと、従来の光ディスクとでは、焦点距離や光スポット径の関係から同じ対物レンズで再生することが不可能なため、1台の装置で従来の光ディスクと次世代の高密度ディスクを再生しようとすると、2つの光ヘッドを用意しなければならなかった。例えば、従来の光ディスクは対物レンズの開口率(NA)で0.4〜0.5を用いており、次世代型では0.55〜0.6を用いている。
【0037】
しかしこのような問題に対し、図1に示したような1つの可動部11に2つの対物レンズ12,13を搭載する方法が提案されている。ちなみに従来例では2つのレンズに対し2つの光学系を有していたが、光学系は1つであっても軸摺動型のアクチュエータを用いれば、トラッキング方向に可動部11を大きく回動させることでレンズのみを切り替えることが可能となる。このような構成にすることで、光ヘッドを2つ搭載したり、光ヘッド内に2つの光学系を搭載することなく、レンズの切り替えだけで基板厚みの薄い次世代の高密度光ディスクと、基板厚みの厚い従来の光ディスクとの両方を再生することが可能となった。
【0038】
ここで、図1に示すような構成の光学的情報再生装置においては、まず再生動作を行なわせる前に、ディスクの種別を判別したり、ディスクの種別に応じてレンズを切り替える動作が必要となる。ディスクの種別を判定するためには、例えば再生信号からの情報により判断する方法があるが、レンズの選択等が違っていたりするとサーボがかからないため、何回もサーボ引き込み動作やレンズ切り替え動作を繰り返す必要があった。そのため、規格外のディスクが装着された場合等においては、レンズの選択ミスなのか規格外なのかの判断がつきにくく、判別に混乱が生じる場合があった。
【0039】
そこで、フォーカスエラー信号の振幅、合焦点時の再生信号振幅、トラッキングエラー信号振幅等により、ディスク反射率の違いを検出するとともに、フォーカスエラー信号の発生の状態を認識し、判定する方法が取られる。このようにすれば、例えばDVDのレンズを用いてフォーカスサーチを行なうと、CDディスクをサーチした場合フォーカスエラー信号に合焦点が現れず、DVDの1層ディスクにおいては振幅の大きなエラー信号が1つ発生(表面で振幅の極めて小さいエラー信号も発生するがこれは無視できる)し、2層ディスクにおいては振幅の小さい2個のエラー信号が観測できる。
【0040】
上述のディスク判別は、信号振幅のホールド回路やマイコン等の判断回路を搭載した図1のディスク判別回路25によって行なわれるが、この場合、当然現在の光学系がどちら側のレンズを使っているかの認識が必要である他、異なるレンズを用いている場合においては、レンズ切り替え回路27によってレンズ切り替え動作を行なわなければならない。
【0041】
また、このようなレンズ切り替え動作は、軸摺動型アクチュエータをトラッキング方向に大きく回動することによって行なわれ、さらにフォーカス動作が行なわれる前のアクチュエータ可動部がヘッド固定部に自重で落ちている状態において動作しなければならないため、摩擦の影響を受けやすく、ヘッドの姿勢や温度の変化等によっても、レンズ切り替えのためにトラッキングアクチュエータに印加する駆動力を修正する必要があった。
【0042】
また、アクチュエータ可動部から引き出された駆動コイル14の配線による反力等によっても、上記配線の引出し方により反力が変動するため、予め決められたパルス幅や電圧レベルを持つキックパルスのみでは、レンズ切り替えが行なわれなかったり、逆に移動速度が速すぎて反動により基のレンズ側に戻ってしまう等の問題があった。
【0043】
そのためには、現在位置にてキックパルスを発生させるとともに、現在位置と目的位置との中間にてブレーキパルスに切り替え、安定に目的位置に到達させる方法が考えられる。このような方法は、トラックジャンプ等において広く用いられている方式で、キックパルスとブレーキパルスの切り替えを中点にて行なうため、摩擦や反力等があっても常に安定に動作する利点があった。しかし、上述した2レンズを搭載したアクチュエータにおけるレンズ切り替え動作においては、中点が検出できないため、安定にレンズ切り替えが行えない問題があった。
【0044】
そこで、図2に示したような方式によって、光学的に中点を検出した。この方式は、アクチュエータの可動部11の光学系が構成されている側において2つのレンズ12,13間に反射板30を取り付け、情報を再生するのに用いるレーザ光によってこの反射板30による反射光を検出するもので、検出光学系に通常の信号再生用のレーザと検知器を用いるため、光学系が複雑にならずに済む利点がある。この方式では、レンズ切り替えの際に通常再生に用いるレーザ光が上記反射板30を通過すると、光検知器19から反射光が得られるため、光検知器19からの出力を加算アンプ35で増幅し、ピーク検出回路36で信号のピークを取り出すことにより、2つのレンズ12,13の中間位置の通過タイミングを得ることができる。さらに、このタイミングでキックパルスとブレーキパルスを極性切り替え回路34で切り替えることにより、安定なレンズ切り替え動作が実現する。
【0045】
このように構成すれば、一定幅のパルスを加える方法に比べて、キックパルスの幅をレンズ切り替え動作の中間地点まで確実に発生できるため、摩擦や反力に対しても切り替えミスが少なくなる。例えば、摩擦等が大きい場合は、中間地点までの到達時間が長くなるため、結果的にキックパルス幅は大きくなり、大きな駆動力を自動的にかけることが可能となる。ここにおいて、上述した反射板30は、アクチュエータの可動部11にアルミニウムを蒸着させたものでもよく、また反射テープまたは反射ミラーを張りつけてよい。また、この方式では、光学系内の平行レーザ光を用いているため、アクチュエータの可動部11がどの高さにあっても同じ検出特性が得られる利点がある。
【0046】
上述した方式により、レンズ切り替え時の中点を検出することが可能となったが、どちら側のレンズからどちらの方向へ移動中なのかが検出できれば、装置振動等の外力によりレンズ切り替えがうまく行えず、途中で戻ってしまう場合や、通常再生中におけるサーボはずれによって、別のレンズへ切り替わってしまう場合においても、これらの状態が判別できる。以上のような移動方向の検出は、図3に示すような、反射板41に明暗のパターンを配置することで実現できる。この場合、可動部11が別のレンズに切り替わる際、反射部41の通過に伴って反射部41aと無反射部41bとを、平行レーザ光が走査するため、この際に得られる加算アンプ35の出力をゼロクロスコンパレータ38で2値化した値をパターンマッチングすることにより方向を判別する。パターンマッチング回路39では、図4に示すような再生信号パターン42を2値化した信号パターン44にて判定を行なうことになるが、例えば図中最初に得られるハイレベルのパターン間隔Dと、次のハイレベルのパターン間隔C、または最後のハイレベルパターン間隔Aを比較することで判定できる。図4のパターンの場合、最初のハイレベル幅>次のハイレベル幅であればDVD用対物レンズ13からCD用対物レンズ12へ、最初のハイレベル幅<次のハイレベル幅であればCD用対物レンズ12からDVD用対物レンズ13へ移動していることになる。
【0047】
実施の形態2.
なお、上述のタイミング信号発生手段は、可動部11に反射部30または41を設けたものであったが、可動部11に設けられた貫通穴を用いても同様の効果を得ることができる。図5は、貫通穴を通して光ディスク50からの反射光からレンズ切り替え時のタイミング信号を得る方式を示すブロック図で、図において、50は光ディスク、51は可動部11の2つのレンズ12,13の中間に設けられた貫通穴である。
【0048】
また、図6は、貫通穴を介してローディング機構の反射部からレンズ切り替え時のタイミング信号を得る方式を示すブロック図で、図において、52はローディング機構、53はローディング機構52に設けられた反射板である。
【0049】
さらに図7は貫通穴を介した光を、ローディング機構の受光部によって受光することでレンズ切り替え時のタイミング信号を得る方式を示すブロック図で、図において、55はローディング機構52に取り付けられた光検知器、56は光検知器55からの検出情報を増幅するための増幅器である。
【0050】
また、図8は情報の再生に用いるレーザ光とは別の発光部により、上記貫通穴を用いてレンズ切り替え時のタイミング信号を得る方式を示すブロック図で、図において、57は発光部である。
【0051】
さらに、図9は貫通穴51を複数設けるとともに、貫通穴51a,51bの広さの違いにより移動方向が検知可能な、レンズ切り替え時のタイミング信号を得る方式を示すブロック図である。
【0052】
実施の形態1においては、反射板をを取り付けることによりレンズ切り替え時の中点を検出したが、さらに反射板の取り付けを省く方法としては、図5に示すような貫通穴51を設ける方法が考えられる。この方法は、光ディスク50を反射板の代わりにすることによって貫通穴51を通しタイミング信号を得る方法である。この場合、アクチュエータの可動部11が回転するにつれて反射光量が変化する。特に可動部11の部材に平行レーザ光があたっている場合はほとんど反射は起こらない。また、対物レンズ12,13を通過している場合も、フォーカスサーボが動作していないデフォーカスの場合には、レンズ通過光が光ディスク50に反射して戻ってくる割合は、けられによりかなり微小になる。
【0053】
一方、貫通穴51を通して光ディスク50に反射する場合は、平行レーザ光がそのまま反射されるため、光検知器55上では集光した形でかなりの光量が帰還する。光ディスク50は変形等によって歪んでいる場合があるため、光ディスク50を回転させておけば変形による影響を緩和することが可能となる。また、この場合でも実施の形態1と同様に、光学系内の平行レーザ光を用いているため、アクチュエータのフォーカス方向高さにかかわらず、タイミング信号を得ることができる。この方式においても検出信号の処理は、実施の形態1と同様にピーク検出回路36により中点を検出し、レンズ切り替え回路34にてキックパルスとブレーキパルスの極性を切り替えて行なわれる。
【0054】
また、上述したように、反射対象として光ディスク50を用いるとディスクローディングがされていない初期状態においては、反射が起こらない問題点があった。そこで、図6に示すように、ローディング機構52におけるアクチュエータの可動部11の上部に、反射板53を取り付けることによって、ディスクが挿入されていない状態においてもタイミング信号の検出が可能になる。また、上記反射板53の反射率と光ディスク50の反射率を異なるように設定しておけば、ディスク挿入の有無も確認可能である。これにより、従来専用的に取り付けていたディスク検知センサも不要になる。また、光ヘッドを送り方向に駆動しながら上記反射光量を検出すれば、ディスクの有無だけでなく、ディスク径の違いも判定可能になる。
【0055】
また、図6における反射板53と、光ディスク50との反射率の違いが明確化できない場合は、図6に示すようにローディング機構52に反射板53ではなく、直接平行光を受光する光検知器55を設ける方法が考えられる。この場合は、光ディスク50が装着されていない状態において平行レーザ光の貫通穴51による通過状態を検出でき、これにより図6と同様なタイミング信号を得ることができる。この場合における光検知器55は、光ヘッドが送り方向に移動しても検出可能なように、送り方向に長く構成しなければならない。ただし、レンズ切り替えを行なう位置を、例えばディスク内周とかに決めておけば、図7に示すような送り方向に長い光検知器55は不要になる。
【0056】
また、図5から図7までに示したように、光ヘッド内の情報再生に用いる平行レーザ光を用いずとも、専用の発光部57からの光を図7に示した光検知器55で受光することでタイミング信号を得ることができる。この場合でも光検知器55は、光ヘッドが送り方向に移動しても検出可能なように、送り方向に長く構成しなければならない。ただし、レンズ切り替えを行なう位置を、例えばディスク内周とかに決めておけば、図8に示すような送り方向に長い光検知器55は不要になる。また、発光部57は一般的には光ヘッド内の固定部分に設けられるのが妥当であるが、光ヘッドを固定するためのデッキメカニズムに発光部57を取り付け、光ヘッド固定部に設けられた穴および可動部11の貫通穴51を通して受光させるようにしてもよい。この場合もレンズ切り替えを行なうための光ヘッドの位置はあらかじめ決められなければならないが、光ディスクの有無のみならず光ヘッドの送り方向初期位置も同時に検出できる利点がある。
【0057】
上述した貫通穴による方法は、あくまでもレンズ切り替え時におけるタイミング信号を得るためのものであるが、このような貫通穴を用いた方法でも、実施の形態1における図3に示すように、レンズ切り替え時における移動方向の確定を行なうことができる。例えば、図9に示すように貫通穴51を複数個形成し、それぞれの貫通穴51a,52bの幅を異なるように配置するか、または貫通穴の配置がレンズ切り替え方向に均等にならないようにすることによって、等価的に図4の明暗パターンのような構成を作ることができる。この場合は、光検知器19から受光された光を方向判定回路58に入力させるとともに、ピーク検出回路36でキックパルスとブレーキパルスの切り替えタイミングを検出し、極性切り替え回路34にて極性切り替えを行なう。例えば図中の貫通穴51aと51bの幅は、51a>51bとなるように構成されているため、光検知器19で受光した最初の受光信号のパルス幅と次のパルス幅が、最初のパルス幅>次のパルス幅であればCD用対物レンズ12からDVD用対物レンズ13側へ、その逆であればDVD用対物レンズ13からCD用対物レンズ12側へ移動していることが認識できる。
【0058】
実施の形態3.
実施の形態1および実施の形態2では、情報の再生に用いるレーザ光を用いてタイミング信号の検出を行ったが、まったく別の手段によっても検出が可能である。例えば図10は、トラッキングアクチュエータコイル15a,15bに発生する逆起電力を検出し、この逆起電力から切り替えタイミングを検出する方式を示すブロック図で、図において、59はアクチュエータコイル15a,15bに流れる電流を検出するための電流検出抵抗、60は電流検出抵抗59に流れる電流を電圧として取り出すための電流検出用アンプ、61はアクチュエータに印可される電圧から推定される駆動電流量と実際の駆動電流量を比較するための逆起電力検出用アンプ、62は駆動電圧を推定電流量に変換するためのゲイン調整アンプ、63は切り替えタイミングのゼロクロスを検出するために直流成分をカットするためのコンデンサ、である。
【0059】
また、図11はトラッキングアクチュエータコイル15に駆動用のキックパルスやブレーキパルスと同時に交流電流を重畳させ、外部のコイルで検出する方式を示すブロック図で、図において、64は光ヘッド固定部に固定されたトラッキング用マグネット、65はトラッキングアクチュエータコイル15からの交流磁界を検出するための検出コイル、66は検出コイル65での検出交流磁界を増幅するためのアンプ、67は再生交流磁界の信号エンベロープの振幅を検出するための検波回路、68はトラッキングアクチュエータコイル15に交流信号を供給するための発振器、69は交流電流の振幅を決めるための増幅器、70は駆動信号に上記交流信号を加算するための加算器である。
【0060】
また、図12は可動部11に搭載した折り曲げミラーによって情報を再生するためのレーザ光とは別の光からの反射により、タイミング信号の検出を行う方法を示すブロック図で、図において、71は折り曲げミラー、72はDVD用光検知器、73はレンズ切り替え用光検知器、74はCD用光検知器である。
【0061】
また、図13は可動部11における対物レンズが搭載されている側とは反対側に受光部を有する方式を示した図で、図において、75はDVD用光検知器、76はレンズ切り替え用光検知器、77はCD用光検知器である。
【0062】
また、図14はトラッキング用マグネットが図に示す64a,64bのような構成になっている場合の、キックパルスとブレーキパルスの印可方法を示した図である。
【0063】
実施の形態1や実施の形態2では、情報再生に用いる光学系や検知器を用いて反射板や貫通穴によりタイミング信号を検出したが、タイミング検出のためにアクチュエータに改造を加えなくても検出できる方法がある。例えば図10に示すように、トラッキングアクチュエータコイル15a,15bに加わっている逆起電力を検出する方法であって、電流検出抵抗59と、逆起電力検出回路を設けるだけで実現可能である。従って、アクチュエータ機構部には、特に細工する必要はない。図10において、逆起電力は電流検出抵抗59に流れる電流を電流検出用アンプ60で取り出した値と、駆動電圧をゲイン調整アンプ62で取り出した値を、逆起電力検出用アンプ61で比較することにより得られる。これは検出駆動電流において、トラッキングアクチュエータコイル15a,15bが磁気回路を通過する際に発生する逆起電力の影響で、駆動電圧とコイル抵抗で定まる電流値からずれるためである。
【0064】
また、図中のアクチュエータがDVD用とCD用の2つの磁気回路を構成しているため、コンデンサ63で直流成分をカットした信号が図のようになり、その信号のゼロクロスを検知することで2つのレンズ位置の中間である切り替えタイミングを抽出できるからである。ただしこの方法では、アクチュエータに改造がいらない反面、温度変化等によりコイル抵抗が変動したり、磁気回路の磁場の強さが変動するため、実施の形態1や実施の形態2で示したような精度の高い検出が難しいという問題点がある。
【0065】
また、上述の磁場の変化を使った方法としては、キックパルスやブレーキパルス印可時にさらに交流磁界を発生させ、外部の検出コイルで検出する方法が考えられる。この方法は、図11に示すように、アクチュエータのドライブ信号に、発振器68の交流信号を重畳させる。この時の周波数は、アクチュエータの機械的な応答が起こらないような高い周波数で、かつ、アクチュエータコイル15のインダクタンスにより減衰する周波数よりも低く設定する必要がある。また、増幅器69により所定の振幅にした後、加算器70で重畳を行う。
【0066】
一方、検出は、アクチュエータコイル15で発生する交流磁界を、CD用対物レンズ12とDVD用対物レンズ13の中間地点に設けられた検出用コイル65にて受信し、これを増幅器66で増幅するとともに、検波回路67にて受信信号の振幅を検出する。このようにして検出された受信信号振幅は、図2に示す方法と同様な方法でタイミング信号検出と、キックパルスおよびブレーキパルスの切り替えが行われる。ただし、この方法では、図10の逆起電力を用いる方法に比べて専用の交流磁界を用いているため、検出精度が高くなる反面、検出用コイル65の取り付け精度を確保しなければならない等の問題点がある。
【0067】
また、図12に示すように、折り曲げミラー71と専用の発光部57により検出する方法もある。この場合は、複数の検知器72〜74を配置することにより、レンズ切り替えのタイミング以外にも、CD用対物レンズ12の位置やDVD用対物レンズ13の位置をも検出することが可能になる。ただし、折り曲げミラー71を可動部に搭載するため、可動部重量が若干増加する他、光ヘッド固定部に検知器72〜74を取り付ける際、アクチュエータのフォーカス位置によらずにタイミング信号が得られるように、検知器72〜74の形状を、フォーカス方向に長くする等の工夫が必要となる。ただし、CD用対物レンズ12やDVD用対物レンズ13のレンズ位置も検出できるため、後述のレンズ判定や、アクチュエータ可動部位置情報を微分して制御動作時のダンピングを行ったり、レンズシフト量を検出することによりトラッキングセンサーオフセットの検出も可能となる。
【0068】
さらに、折り曲げミラー71を用いなくても、図13に示すように、可動部11の対物レンズ12,13が搭載されている位置の反対方向に検知器75〜77を取り付けることによって、図12と同様の効果を得ることも可能である。ただしこの場合は、可動部11に検知器75〜77が搭載されるため、可動部11からの配線本数が増加するといった問題点が発生し、配線による反力等の考慮が必要となる。
【0069】
以上のようなタイミング信号検出における実際のキックパルスやブレーキパルスの印可は、アクチュエータの磁気回路が図14のトラッキング用マグネット64a,64bのように配置されている場合、図14中のパルス79〜82のように表わされる。これは、トラッキングアクチュエータコイル15の移動に伴い、磁気回路の極性が反転するためで、例えばトラッキング用マグネット64aの磁束が図中のコイル15側においてNからSに向かって発生する一方、トラッキング用マグネット64aのコイル15に対して裏側の部分に向かって回り込む磁界の向きが逆になるためである。この場合、極性の反転手前と後では逆向きのパルスを印可する必要があり、キックパルスは図中の79,80のように、ブレーキパルスは図中の81,82のように印可しなければならない。これは、実施の形態1や実施の形態2においても同様である。
【0070】
実施の形態4.
実施の形態1から実施の形態3までは、レンズ切り替え時における切り替えタイミング信号を発生するための方法について述べたが、以下では、レンズの現在位置を確認する機能を含めた方策について説明する。複数種類の物理特性を有する光ディスクを再生するためには、再生前にディスクの種別を判定する必要があることは言うまでもない。ディスクの種別が判定できなければ、ディスクに対応したレンズへの切り替えもできなくなるし、それによってフォーカスやトラッキング動作も不良になるからである。このようなディスク種別の判定は、特定のレンズを用いて、これをフォーカスサーチした場合におけるエラー信号や和信号の発生状況を確認することで得られるため、信号を再生せずに現在の対物レンズがどれであるか確認する方法はきわめて重要である。
【0071】
図15は対物レンズの両サイドに設けられた3つの反射部83〜85を用いたレンズ位置確定機能を有する本実施の形態4のレンズ切り替え方法を示すブロック図で、図において、83はCD用対物レンズ12の外側に設けられた反射部、84はDVD用対物レンズ13の外側に設けられた反射部、85はCD用対物レンズ12とDVD用対物レンズ13の間に設けられた反射部、86は検出した反射光量におけるレベルを判定するためのレベル判定回路、87は切り替えタイミングを検出するための切り替え判定回路である。また、図16は図15の可動部11における平行レーザ光のスポットの動きを示した図である。
【0072】
また、図17は対物レンズ間に1つの反射部を有する場合において、レンズ位置確定機能を持たせるための方式を示すブロック図で、図において、88は検出反射光量を2値化するためのコンパレータ、89はレンズの現在位置を確定するためのレンズ位置判定回路、90は可動部11を左右に振るための左右方向振れ信号発生回路、91はCD用対物レンズ側にて可動部11を左右に振った場合のコンパレータ88の出力、92はDVD用対物レンズ側にて可動部11を左右に振った場合のコンパレータ88の出力、93は可動部11を左右に振るための左右振れ信号波形、94は左右振れ信号を所定の振幅で駆動させるための加算比設定アンプである。
【0073】
また、図18は対物レンズ12,13間の反射ミラーにてレンズ切り替え方向に光量変化が得られるように構成したもので、図において、95はレンズ間に配置された反射部、96はDVD用対物レンズ13の外側に配置された反射率の低い反射部、97は反射板95による切り替えタイミング判定を行うための切り替え判定部、98は反射板からの受光レベルによってレンズ移動方向を確定するためのレベル増減判定回路である。
【0074】
また、図19はレンズ中央の反射板が移動方向に徐々に増減するような図18と異なるパターンで形成したもので、図において99は反射板100からの反射受光量に基づきレンズ移動方向を確定するためのレベル増減判定回路である。
【0075】
さらに、図20は可動部11における貫通穴51を用いてレンズ位置確定を行うと同時に、ディスクの反射率からディスクの種別を判定するためのブロック図である。
【0076】
また、図21はレンズ位置の確定からCDディスクの信号再生を行うまでの光学的情報再生装置の動作を示すフローチャート、図22はレンズの確定からDVDディスクの信号再生を行うまでの光ディスク装置の動作を示すフローチャートである。
【0077】
また、図23は貫通穴を用いてディスクの種別を判定する場合の光ディスク装置の動作を示すフローチャート、図24はレンズ確定作業とレンズ切り替え動作を示すフローチャート、図25はレンズ切り替え動作を繰り返し行う際において、パルス幅を学習するためのフローチャート、図26はCD側のレンズからDVD側のレンズへのレンズ切り替え動作を示したフローチャート、図27はDVDレンズ側からCDレンズ側へのレンズ切り替え動作を示したフローチャートである。
【0078】
次に、各実施の形態の動作を説明する。実施の形態1から実施の形態3において説明したような複数の対物レンズを搭載したシステムにおいては、再生動作を行う前段階や、サーボはずれからの復帰時等において、現在がどのレンズ側にいるのか認識することが非常に重要となっている。例えばCDディスクをかけた時の再生動作を行わせる場合においては、図21のフローチャートに示すように、まずレンズ位置判定を行い、CD用かDVD用かの対物レンズ確定を行った後、フォーカスサーチによりディスクの種別を判定するとともに、その後レンズ切り替え動作等を行うこととなる。
【0079】
DVDディスクの再生の場合も同様で、図22に示すフローチャートのように、対物レンズ位置判定から始まり、ディスク判別、レンズ切り替えの順に動作することとなる。これは、対物レンズが確定していないと、フォーカスサーチ時のエラー信号や再生信号振幅等を観測しても、どのディスクを用いているかの判断ができないためである。対物レンズの種別が確定していれば、エラー信号の振幅の違いから、CDディスクかDVDディスクかDVDにおける低反射率のディスクかが判断できるからである。
【0080】
そこで、実施の形態1に示した反射板を用いた方法として、図15に示すように対物レンズの外側にも反射板を追加するとともに、これらの反射率を変えることで、現在のレンズ位置を判定させる方法がある。この方法では、図23のフローチャートに示すように、まず可動部11をトラッキング方向のどちらかに動かす。とくに最初はどちら側にいるか分からないため、可動部11を右回りに動かすか左回りに動かすかは確定できない。しかし、図15のように、例えばCD用対物レンズ12を用いた場合は、反射率の高い反射部83,85aが両側にあるため、どちら側に動いても光検知器19からは大きな反射光量に対応した信号が得られる。
【0081】
一方DVD側にいる場合においては、図16に示すようにDVD用対物レンズ13の両側に低反射率の反射部84,85bを設けてあるため、この場合でも可動部11をどちらかに動かせば、低反射率の反射板からの受光を検知することで、上記の振幅の違いからレベル判定回路86にて、どちらのレンズを用いているか判定できる。また、2つの対物レンズ12,13の中央にある反射板85が途中で反射率が変化するように構成されているため、レンズ切り替え時のタイミング信号も、切り替え判定部87にて検知可能である。この場合、低反射率の反射部は、図16に示すように、反射面に光スポットサイズよりも充分に小さい無反射部(例えば黒い印刷パターン)を構成することにより、疑似的に実現可能である。
【0082】
以上のレンズ位置判定動作は、例えばDVD用対物レンズ13側へのレンズ切り替えを伴う場合は、図26に示すフローチャートのように行われる。この場合、可動部11を左右に振ることでまずレンズ位置判定を行い、次に2つのレンズ間にある反射部85の反射率変化をとらえることでレンズ切り替え動作を行い、切り替え後、再度レンズ位置判定動作を行う。また、CD用対物レンズ12側へのレンズ切り替えを伴う場合も、図27に示すフローチャートのように、図26の場合と同様な方式で切り替え動作が行われる。
【0083】
また、図16に示すように対物レンズ12,13の両側に反射部を設けなくても、対物レンズ12,13の間の反射部だけからレンズ位置を判定することも可能である。この方法では、まず図17に示すように可動部11を左右方向振れ信号発生器90により左右に動かす。この時反射部30から得られる受光量を、コンパレータ88で2値化した信号は、CD用対物レンズ12の側にいる場合は91のような信号が得られ、DVD用対物レンズ13の側にいる場合は92のような信号が得られる。このような信号91,92は、可動部11を動かしている左右振れ信号93と比較すると、左右振れ信号93の位相に対してDVD用対物レンズ13側とCD用対物レンズ12側で異なった位相に現れていることがわかる。これは、反射部30が、図中のCD用対物レンズ12からみて右側に、DVD用対物レンズ13からみて左側にあるため、駆動信号に対して異なる位相になるためである。この位相の違いを、レンズ判定回路89にて検出することで、レンズ位置の判定結果が得られる。
【0084】
このようなレンズ判定方式は、図24に示すようなフローチャートに従って、レンズ切り替え動作と組み合わせて動作させる。図24では、例えばDVDディスクの再生方法を示したもので、まず対物レンズを動かしてから、反射部30からの受光量(図中の和信号)と駆動信号を比較することでレンズ位置判定を行った後、CD側の場合はレンズ切り替え動作を行い、再度判定を行った後再生を開始する。このような方法では上述の位相比較回路が必要となる反面、反射部は中央の1カ所でよい利点がある。
【0085】
さらに、図18に示すように、中央部の反射部95の反射パターンを、光スポット走査方向に対して非対象に構成することにより、図16と同様の効果を得ることが可能である。この場合は、反射部95を図示のような非対象の構成にするとともに、これを通過する際の反射光量の変化が減少方向にあるのか増加方向にあるのかを、レベル増減判定回路98にて判定することにより得られる。また、反射部95が中央部で同じパターンを2度繰り返す構成となっているため、受光した信号の直流成分をコンデンサ37でカットした後、ゼロクロスコンパレータ38で信号のゼロクロスを検出することでレンズ切り替えタイミングも得られる。
【0086】
また、2つの対物レンズ12,13の中央部に設けた反射部100の反射パターンを図19に示すように構成することも可能である。この場合は1つの移動方向に対し、反射部100からの受光量が減少か増加かの2通りしかないため、図18と同様なレベル増減判定回路99にて判定することで移動方向を認識することが可能である。しかし、図19の場合は、反射部100の中央において切り替えタイミングのための反射光量変化部分が存在しないため、反射部100の中央部における信号振幅をあらかじめ設定し、これをコンパレータ88でスライスすることによって切り替えタイミングを得る必要がある。なお、図18および図19のシステムにおいても、対物レンズ12,13の外側に反射率の異なる反射部83,96,94を用意しているため、当然レンズ位置の判定が可能である。
【0087】
また、以上のような反射部を用いなくても、貫通穴を用いてレンズ位置の判定を行うことも可能である。この場合は図20に示すように可動部11に貫通穴51を用意し、可動部11を左右方向振れ信号発生器90にて振ることにより、図17と同様な原理で判定することが可能である。図20では、ローディング機構52に光検知器55を搭載することで発光部57からの信号を得ているが、対物レンズ12,13の間に貫通穴を構成し、情報再生に用いる平行レーザ光を用いても同様の効果が得られる。
【0088】
また、図6のようにディスクからの反射光を情報再生用の光検知器で受光してもよいことは明かである。このような貫通穴を用いた方式では、ディスクからの反射光を受光することも可能なため、ディスクの反射率を検知し、反射率の異なるディスクの種別を判定することが可能である。図22は、このディスク種別判定方法を示すフローチャートを表わしたもので、貫通穴からのディスク反射光量が所定量以上かどうかによって、例えば反射率の低い2層ディスクか否かの判定を行うことが可能である。
【0089】
以上のようなレンズ位置判定動作だけを用いて、レンズ切り替えタイミングを用いない方法も考えられる。この方法は、図25のフローチャートに示すように、まずレンズ位置判定を行い、次に所定のレンズでなかった場合は、あらかじめ決められた幅と振幅を有するキックパルスを印可し、レンズ切り替え後再度レンズ位置判定を行う。この時、レンズ切り替えがうまくいってない場合は、キックパルス幅または高さを大きくし、再度レンズ切り替え動作を行わせる。これを繰り返してもうまくレンズ切り替えが行えない場合は、キックパルスの幅や高さを最初よりも少なくして動作させる。このように、何度かのレンズ切り替え動作を繰り返しながら、キックパルスの幅や高さを学習し、最適なキックパルスを探索させる方法もある。ただしこのような方法では、レンズ切り替え回路が不要になる反面、探索が完了するまでに時間がかかる問題点がある。
【0090】
【発明の効果】
この発明に係る光学的情報再生装置においては、正確な検出信号が得られるとともに、情報再生用のレーザ光と検知器を用いることによって、きわめて簡単な構成で、正確なタイミング信号が得られるようになった。
また、ディスクの信号再生を行わなくても現在のレンズがどの対物レンズかを認識でき、レンズ切り替え動作が素早く行えるようになるため、結果的にディスクの再生待時間の短縮、およびサーボはずれ状態からの復帰が素早く行えるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1の光学的情報再生装置における制御システムを示すブロック図である。
【図2】 実施の形態1の反射部を用いたレンズ切り替え方式を示すブロック図である。
【図3】 実施の形態1の反射部に明暗を設けたレンズ切り替え方式を示すブロック図である。
【図4】 図3における光スポットの反射光の変化を示す図である。
【図5】 この発明の実施の形態2の光学的情報再生装置における貫通穴を用いたレンズ切り替え方式を示すブロック図である。
【図6】 実施の形態2の貫通穴とローディング機構に設けた反射部を用いたレンズ切り替え方式を示すブロック図である。
【図7】 実施の形態2の貫通穴とローディング機構に設けた検知器を用いたレンズ切り替え方式を示すブロック図である。
【図8】 実施の形態2の専用の発光部と貫通穴およびローディング機構に設けた検知器を用いたレンズ切り替え方式を示すブロック図である。
【図9】 実施の形態2の複数の貫通穴を用いたレンズ切り替え方式を示すブロック図である。
【図10】 この発明の実施の形態3の光学的情報再生装置における逆起電力を用いたレンズ切り替え方式を示すブロック図である。
【図11】 実施の形態3の交流磁界を用いたレンズ切り替え方式を示すブロック図である。
【図12】 実施の形態3の専用の光学的位置検出器を用いたレンズ切り替え方式を示すブロック図である。
【図13】 実施の形態3の可動部に取り付けられた専用の光学的位置検出器を用いたレンズ切り替え方式を示すブロック図である。
【図14】 図3におけるキックパルスとブレーキパルスの印可波形を示す図である。
【図15】 この発明の実施の形態4の光学的情報再生装置におけるレンズ外側の反射部を用いたレンズ位置判定方式を示すブロック図である。
【図16】 実施の形態4の図15における光スポットの動きを示した図である。
【図17】 実施の形態4の対物レンズ間に設けた反射部を用いたレンズ位置判定方式を示すブロック図である。
【図18】 実施の形態4の対物レンズの外側の反射部と対物レンズの間に設けた中間で反射率が切り替わる非対象明暗部を有する反射部とを用いたレンズ位置判定方式を示すブロック図である。
【図19】 実施の形態4の対物レンズの外側の反射部と対物レンズ間の非対象明暗部を有する反射部とを用いたレンズ位置判定方式を示すブロック図である。
【図20】 実施の形態4の貫通穴を用いたレンズ位置判定方式を示すブロック図である。
【図21】 実施の形態4のCDディスク再生時のフローチャートである。
【図22】 実施の形態4のDVDディスク再生時のフローチャートである。
【図23】 実施の形態4のディスク判定時のフローチャートである。
【図24】 実施の形態4の対物レンズ判定時のフローチャートである。
【図25】 実施の形態4の対物レンズ切り替え時におけるキックパルス学習のフローチャートである。
【図26】 実施の形態4のDVD側へのレンズキック時のフローチャートである。
【図27】 実施の形態4のCD側へのレンズキック時のフローチャートである。
【図28】 従来の光学的情報再生装置の複数のレンズを搭載した光ヘッドを示す斜視図である。
【符号の説明】
11 可動部、12 CD用対物レンズ、13 DVD用対物レンズ、14フォーカスアクチュエータコイル、15 トラッキングアクチュエータコイル、16 ミラー、17 ハーフミラー、18 レーザ、19,72,73,74,75,76,77 光検知器、20 光学系、21 電流−電圧変換回路、22再生信号検出回路、23 トラッキングエラー検出回路、24 フォーカシングエラー検出回路、25 ディスク判別回路、26 トラッキング制御回路、27 レンズ切り替え回路、28 フォーカシング制御回路、29 ドライブアンプ、30,41,53,83,65,84,85,95,96,100 反射部、31 切り替え回路、32 キックパルス発生回路、33ブレーキパルス発生回路、34 極性切り替え回路、35,56,60,61,66 アンプ、36 ピーク検出回路、38,88 コンパレータ、39 パターンマッチング回路、40 切り替え判定回路、52 ローディング機構、58 方向判定回路、64 トラッキングマグネット、67 検波回路、68 発振器、86 レベル判定回路、87 切り替えブレーキパルス判定回路、89 レンズ位置判定回路、90 左右方向振れ信号発生器、97 切り替え部判定回路、98 レベル増減判定回路。
Claims (2)
- レーザ光を発射する光源と、
上記レーザ光を複数の光記録媒体に照射し、当該複数の光記録媒体に対応して切り替えられる複数の対物レンズと、
上記複数の対物レンズを搭載し、かつ反射部を有する可動部と、
上記反射部からの反射光を検知する検知器と、
前記複数の対物レンズが切り替わらない範囲で前記可動部を左右に可動させる左右振れ信号を出力する信号発生手段と、
上記左右振れ信号により前記可動部が左右に動いている際における上記反射部からの上記反射光に応じて上記検知器から出力された信号の位相と、上記信号発生手段から出力された上記左右振れ信号の位相とを比較して、上記複数の対物レンズうち、いずれの対物レンズが選択されているかを判定するレンズ判定手段とを備える光学的情報再生装置。 - 上記反射部は、上記可動部に搭載された上記複数の対物レンズ間に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の光学的情報再生装置。
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