JP3774906B2 - 電子部品装着機及び電子部品装着方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はプリント板の所定位置に電子部品を装着する電子部品装着機に関するものであり、特に、吸着ノズル等による電子部品の吸着位置を適切に補正する電子部品装着機及び電子部品装着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント板の自動組立において、ICデバイス、微小なコンデンサ、抵抗器等の電子部品をプリント板の所定の位置に装着(載置)するために電子部品装着機が用いられている。電子部品装着機は、たとえば、電子部品置場に置かれた電子部品を吸着し、その電子部品を装着すべきプリント板の所定位置まで移動し、その所定位置に電子部品を置くように構成されている。
プリント板の所定位置に電子部品を正確に装着するにはプリント板の正確な位置を識別し、電子部品を方向も含めて正確に所定位置に装着するには電子部品の吸着状態を識別しなければならない。後者については、たとえば、ICデバイスについて例示すると、吸着位置ずれまたは角度ずれがあるとプリント板のランド上に正しく載らない為に半田付不良が発生する為、カメラ等を用いて吸着状態を撮像し、この撮像結果を用いて電子部品の吸着位置または吸着角度の補正を行ってからプリント板に装着するようにしている。
【0003】
すなわち、電子部品の吸着位置などの補正を行わない場合には、デープキャビネット130の移動による電子部品の位置の偏りによって、図12(A)に示すように矢印133の向きからテープキャビネット130を移動させた場合と、図12(B)に示すように矢印134の向きからテープキャビネット130を移動させた場合との双方において、テープキャビネット130の長手方向および移動方向のいずれについても吸着ノズル5の吸着位置135,136が電子部品4aの中心に位置しない場合が生じる。
この場合に、電子部品の吸着位置などの補正を行えば、図12(B)に示すように、テープキャビネット130の長手方向については、吸着ノズル5の吸着位置と137,138を電子部品4aの中心とを一致させることができる。
【0004】
従来の電子部品装着機では、この装着機に部品あるいは部品供給セットが供給されたとき、これらの供給位置毎に電子部品の吸着位置または吸着角度の補正を行っている。
また、従来の電子部品装着機では、電子部品の吸着位置または吸着角度の補正を行う際に、吸着部品のセンター(中心)とノズルセンター(中心)との差分で規定される補正量を、過去の一定期間について平均して決定している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の電子部品装着機では、その動作中に、同一の供給カセットに収納された複数の部品をカセットを移動させながら吸着したときに、図12(B)に示すように、テープキャビネット130の移動方向における部品位置の片寄りを適切に補正することができないという問題がある。
また、上述した従来の電子部品装着機では、前述した平均の対象とする過去の補正量の期間が短いと、過去の各補正量のバラツキが今回算出する補正量に及ぼす影響が大きくなる。そのため、例えば、吸着ミスなどが生じた場合に、かかるミスをリカバリーするために供給カセットを通常と異なる方向に移動させるが、このときの補正位置が不適切になりやすいという問題がある。これに対して、平均の対象とする過去の補正量の期間が長いと、カセット交換を行った場合に、カセット交換に伴う吸着部品センター位置の変化に応じた補正を適切に行うまでに時間を要し、その間、低い吸着率で処理を行わなければならないという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した問題を解決し、吸着ノズルに吸着された電子部品を安定して吸着できる電子部品装着機及び電子部品装着方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1の観点の本発明の電子部品装着機は、その先端で電子部品を吸着する長手方向に伸びた吸着ノズルと、前記電子部品に対して光を照射する光照射手段と、前記電子部品を挟んで前記光照射手段と対向する方向から前記吸着ノズルの先端に吸着された電子部品を撮像する撮像手段と、所定の第1の期間における前記吸着ノズルと前記電子部品とのずれの平均と、前記第1の期間よりも長い所定の第2の期間における前記吸着ノズルと前記電子部品とのずれの平均とを比較し、前記第1の期間における前記ずれの平均と前記第2の期間における前記ずれの平均との差分が所定のしきい値よりも大きい場合は前記第1の期間における前記ずれの平均に基づいて前記電子部品を前記吸着ノズルに吸着する位置の補正を行い、前記第1の期間における前記ずれの平均と前記第2の期間における前記ずれの平均との差分が所定のしきい値よりも小さい場合は前記第2の期間における前記ずれの平均に基づいて前記電子部品を前記吸着ノズルに吸着する位置の補正を行う補正手段とを有する。
【0008】
また、好ましくは、前記補正手段は、前記第1の期間における前記ずれの平均と前記第2の期間における前記ずれの平均との差分が所定のしきい値よりも大きい場合から小さい場合に遷移する際に、前記第1の期間における前記ずれの平均から前記第2の期間における前記ずれの平均へと自動的に切り替えて使用し、前記補正を行う。
【0009】
また、本発明の電子部品装着機は、好ましくは、前記補正手段は、前記補正を数値制御データのステップ毎に行う。
【0010】
第2の観点の本発明の電子部品装着方法は、前記電子部品の位置を求める第1の工程と、前記吸着ノズルと前記電子部品とのずれを求める第2の工程と、所定の第1の期間における前記吸着ノズルと前記電子部品とのずれの平均及び前記第1の期間よりも長い所定の第2の期間における前記吸着ノズルと前記電子部品とのずれの平均を求める第3の工程と、前記第3の工程において求めた、所定の第1の期間における前記吸着ノズルと前記電子部品とのずれの平均と前記第1の期間よりも長い所定の第2の期間における前記吸着ノズルと前記電子部品とのずれの平均との差分を所定のしきい値と比較する第4の工程と、前記第4の工程における比較の結果、前記第1の期間における前記ずれの平均と前記第2の期間における前記ずれの平均との差分が所定のしきい値よりも大きい場合は前記第1の期間における前記ずれの平均に基づいて前記電子部品の前記吸着ノズルに吸着する位置の補正を行い、前記第1の期間における前記ずれの平均と前記第2の期間における前記ずれの平均との差分が所定のしきい値よりも小さい場合は前記第2の期間における前記ずれの平均に基づいて前記電子部品を前記吸着ノズルに吸着する位置の補正を行う第5の工程とを有する。
【0012】
【作用】
本発明の電子部品装着機によれば電子部品が、吸着ノズルの先端に例えば真空吸着方式で吸着されて把持される。そして、光照射手段から射出された光が電子部品に照射され、前記電子部品を挟んで前記光照射手段と対向する方向から前記吸着ノズルの先端に吸着された電子部品が撮像手段によって撮像される。
このとき、補正手段は、例えば、第1の期間のずれの履歴を用いて吸着ノズルの位置の補正を行っている。
その後、補正手段によって、例えば、第1の期間における前記吸着ノズルと前記電子部品との間のずれの量と、前記第2の期間における前記吸着ノズルと前記電子部品との間のずれの量との相互間の差分が所定値以上になると、電子部品を収納したカセットが交換されたと判断される。
補正手段によってカセットが交換されたと判断されると、補正手段による前記吸着ノズルの位置の補正は、前記第1の期間より短い第2の期間のずれの履歴を用いて行われる。
【0013】
【実施例】
図1に本発明の実施例の電子部品装着機の全体の射視図を示し、図2に図1の部分拡大図を示し、図3に図2の部分拡大図を示す。
図1において、本実施例の電子部品装着機は、X軸移動機構24とY軸移動機構20、22からなる。X軸移動機構24には電子部品装着機構1が装着されており、X軸移動機構24のX軸方向に移動される。X軸移動機構24はY軸移動機構20、22に沿ってY軸方向に移動される。
【0014】
図2において、電子部品装着機構1には、固定ミラー2,可動ミラー3,ハーフミラーブロック8,回転機構7a,昇降機構7b,カメラ14,15および16,可動ミラー3を水平方向Hに移動させる可動ミラー移動機構9が搭載されている。
ハーフミラーブロック8には図5(A)に示すように、ハーフミラー30〜32が配設されている。これらのハーフミラー30〜32はその上部のカメラ14〜16に固定ミラー2からの映像を透過させる。
カメラ14〜16は倍率が異なり、それぞれ吸着ノズル4に吸着された電子部品の大きさに応じて吸着状態を画像認識するのに適切なような倍率に設定されている。
【0015】
図3において、回転機構7aには、その下部に回転部11が取り付けられていて、回転機構7aによりこの回転部11が回転する。回転機構7aの下部には、光照射手段としての発光ボックス10が固定して設けられ、この回転部11がこの発光ボックス10を貫通している。回転部11には、発光ボックス10の下方に位置する先端に吸着ノズル5が取り付けられている。吸着ノズル5には、透明板6aと半透明板6bとで構成される半透明板6が、透明板6aによって固定して取り付けられている。
【0016】
発光ボックス10は、光源10a,10bが内設された筒型形状の容器である。光源10a,10bとしては、たとえば、発行ダイオードが用いられる。また、発光ボックス10の底面10dは遮光性の部材で構成され、この底面10dに形成された、たとえば、円形状の開口部10cから光源10a,10dからの光が電子部品4aを含む領域にカメラ14と対向する側からカメラ14の光軸に沿って平行に射出される。
【0017】
半透明板6は、透明板6aと半透明薄板6bとを接着して構成されている。透明板6aとしては透明性の部材が用いられ、たとえば、アクリル樹脂等の透明樹脂が用いられる。この透明板6aは吸着ノズル5と接触して固定され、半透明薄板6bより小さな径で形成され、吸着ノズル5と接触する方向に所定の厚さを有している。
【0018】
また、半透明薄板6bとしては半透明性の部材が用いられ、たとえば、デルリン(商品名、アメリカ E.I du Pont de Nemours & Co.Inc )などとして知られているポリアセタール等の乳白色樹脂が用いられる。半透明薄板6bは、可動ミラー3、固定ミラー2、ハーフミラー30を介して大きな電子部品4aの像をカメラ14で撮像したときに電子部品4aの像が半透明板6からの光による背景像の内側に映し出されるように、電子部品4aより大きさの大きい面積の円形状で形成されている。
【0019】
この半透明板6は、電子部品4の像を可動ミラー3、固定ミラー2およびハーフミラー30を介してカメラ14等で撮像する際に、光源10a,10bからの光を、半透明板6を介して電子部品4aを吸着した吸着ノズル5の先端と対向する位置から電子部品4に均一に照射させることで、電子部品4の像の背景の明るさを高め、さらに、カメラ14の撮像に電子部品4aの背景に存する物の像が映し出されるのを防止するために用いられる。
【0020】
図4(A)は電子部品装着機1の概略外観図、図4(B)は電子部品装着機1の装備を説明するための図である。
図4(B)において、100は部品を収納したカセット、101は後側部品供給部、102はカッター部、103は基盤搬送部、104は操作盤、105はツールチェンジ部、106はスティックカセット供給部、107はノズルチェンジ部、108はトレイ供給部(S軸)、109はトレイ供給部(V軸)を示す。
【0021】
以下、図1,2,3,図5(A)〜(C)を参照して、本実施例の電子部品装着機において電子部品の吸着状態を識別して検証する場合の動作を述べる。
図5(A)〜(C)は電子部品4aをプリント基板28に装着する例を示している。
吸着ノズル5が電子部品4aを装着する場合、まず、X軸移動機構24がY軸移動機構20,22によってY軸方向に位置決めされ、次いで、電子部品装着機構1がX軸移動機構24によってX方向に位置決めされる。これにより、電子部品装着機構1に搭載された吸着ノズル5が装着すべき電子部品が置かれている電子部品置場26のX,Y方向に位置決めされる。
X,Y方向に位置決めがされると、図5(A)に示すように、昇降機構7bによって回転機構7aおよび回転部11が下降し、回転部11の先端に取り付けられた吸着ノズル5が電子部品置場26の部品位置まで下降され、電子部品4aを真空吸着する。吸着ノズル5が電子部品4aを吸着すると、吸着ノズル5が電子部品装着機構1のX方向の移動、X軸移動機構24のY方向の移動によってプリント基板28の装着位置まで移動される。
【0022】
電子部品4aが吸着ノズル5に真空吸着されると、上記電子部品搬送の過程において、図5(B)に示すように、昇降機構7bによって吸着ノズル5が高さH1だけ上昇されつつ、可動ミラー移動機構9によって可動ミラー3が図示右方向に移動される。可動ミラー3の移動は吸着された電子部品4aに衝突しないように行われる。
この吸着ノズル5の上昇は、図5(A)に示すように吸着された電子部品4aをハーフミラー30、カメラ14を介して電子部品4aを認識することにより判断する。すなわち、電子部品4aを吸着した吸着ノズル5の上昇はカメラ14で認識されない状態から、認識される状態まで昇降機構7bによって行われる。この上昇位置において、電子部品4aの横方向の吸着状態の識別、すなわち、水平方向から見た電子部品4aの吸着状態をカメラ14からの画像データを基に図示しない画像処理部によって識別が行われる。
【0023】
さらに電子部品4aの水平方向からの吸着状態が充分認識可能な位置まで上昇されると、その上昇が停止される。
吸着ノズル5が上昇が停止すると、ハーフミラー30、カメラ14によって電子部品4aの正確な吸着状態がカメラ14によって識別される。この場合の部品吸着状態の識別は、可動ミラー3、固定ミラー2、ハーフミラー30、カメラ14の光学系によって行われる。
【0024】
光学系による識別は、図3および図5(B)に示すように、発光ボックス10に内設された光源10a,10bからの光が発光ボックス10の開口部10cから半透明板6に照射される。光源10a,10bから半透明板6に照射された光のうち、透明板6aに照射された光は透明板6aおよび半透明薄板6bを、また、半透明薄板6bに照射された光は半透明薄板6bのみをそれぞれ透過し背景光として電子部品4に照射される。上記したように透明板6aは、透明性の部材を用いて形成されているため、透明板6aに照射された光は、その明るさをほとんど低下させることなく透明板6aの下部の半透明薄板6bを透過し背景光として電子部品4にほぼ均一に照射される。そのため、図6(A)に示す撮像領域53内に映し出された透明板6aおよび半透明薄板6bを透過した光による背景像51と、半透明薄板6bのみを透過した光による背景像50とはほとんど同一の明るさを有する。図6(A)の背景像51の内側には、吸着ノズル5による像52が映し出されている。
【0025】
図6(A)に示す画像を2値化すると図6(B)のように、背景像50,51は、影として識別されず、吸着ノズル5による像52のみが影52aとして識別され、画像に映し出される。
図7(A)にカメラ14が撮像した電子部品4の像の画像を示し、図7(B)に図7(A)に示す画像を2値化したときの画像を示す。
図7(A)に示すように、吸着ノズル5に電子部品4aが吸着された状態でのカメラの撮像領域53には、電子部品4aの像54、上記した背景像50,51が映し出されている。上述したように、カメラ14の画像を2値化する際に、透明板6aを透過した光による背景像51は影として識別されないため、図7(A)に示したカメラ14の画像を2値化すると図7(B)のように電子部品4の影54aのみが影として識別され、電子部品4の影54aの全体形状が正確に映し出される。
そして、この電子部品4の影54aを基に吸着ノズル5による電子部品4の吸着状態を識別し検証する。
部品吸着状態の検証が終了すると、可動ミラー3は可動ミラー移動機構9によって再び破線で示す元の位置まで後退させられる。
【0026】
このように、吸着ノズル5の上昇、可動ミラー3の移動、電子部品4aの吸着状態の識別は、電子部品4aを吸着した吸着ノズル5が電子部品装着機構1のX方向の移動、X軸移動機構24のY方向の移動によってプリント基板28の装着位置まで移動される間に行われる。
電子部品4aを吸着した吸着ノズル5がプリント基板28の装着位置の上部まで下降させられると、図5(C)に示すように、電子部品4aがプリント基板28の装着位置に載置される。すなわち、吸着ノズル5が昇降機構7bによって、電子部品4aがプリント基板28の装着位置に当接するまで下降させられ、電子部品4aの吸着を解く。これにより、電子部品4aがプリント基板28の所定位置に装着される。
電子部品4aがプリント基板28に装着されると、吸着ノズル5が昇降機構7bによって上昇させられ、再び、電子部品装着機構1、X軸移動機構24を駆動して吸着ノズル5を電子部品置場26まで移動させる。
【0027】
前記動作を制御し部品吸着状態の識別を行う画像処理部は、たとえば、マイクロコンピュータで実現される。すなわち、X軸移動機構24の位置制御、Y軸移動機構20,22の位置制御、昇降機構7bの昇降制御、回転機構7aの回転制御、吸着ノズル5の吸着制御、可動ミラー移動機構9の移動制御、部品上昇位置検出、電子部品吸着状態の識別、そして、必要に応じて行われる電子部品の回転位置調整はマイクロコンピュータによって行われる。
【0028】
このように本実施例の電子部品装着機では、半透明板6の透明板6aに透明性の部材を用いることで、電子部品4の背景光の明るさを均一にすることができる。そのため、カメラ14,15,16は、電子部品4の全体の像を正確に撮像することができ、電子部品4の吸着状態の検出を正確に行うことができる。
【0029】
次に、本実施例の電子部品装着機1において電子部品の吸着位置の補正を行う場合の動作について述べる。
図8は電子部品の吸着位置の補正を行う場合の動作のフローチャートである。図8に示す吸着位置の補正の処理は、例えば、X軸移動機構24およびY軸移動機構22,20からの位置情報および画像処理部からの画像情報などに基づいて、マクロコンピュータなどを用いて行われる。
【0030】
ステップS1:図3および図5に示す電子部品4aの中心のX−Y座標(Xn,Yn)が検出される。
【0031】
ステップS2:吸着ノズル5の中心のX−Y座標(XN,YN)が検出され、ステップS1において検出された座標(Xn,Yn)と座標(XN,YN)との差分△Xn,△Ynが算出される。
このとき、差分△Xn,△Ynはそれぞれ下記式(1),(2)で規定される。
【0032】
【数1】
Figure 0003774906
【0033】
【数2】
Figure 0003774906
【0034】
ステップS3:長期平均として、過去a回の差分△Xn,△Ynの平均XL ̄,YL ̄を算出する。
このとき、XL ̄,YL ̄はそれぞれ下記式(3),(4)で規定される。
【0035】
【数3】
Figure 0003774906
【0036】
【数4】
Figure 0003774906
【0037】
また、短期平均として、過去b回の差分△Xn,△Ynの平均XS ̄,YS ̄を算出する。
このとき、XS ̄,YS ̄はそれぞれ下記式(5),(6)で規定される。
【0038】
【数5】
Figure 0003774906
【0039】
【数6】
Figure 0003774906
【0040】
aとbとの間には下記式(7)が満たされる。
【数7】
Figure 0003774906
【0041】
ステップS3において、差分△Xn,△Ynの長期平均および短期平均を算出する場合に、平均を算出するデータは、カセット単位ではなく、NCデータのステップ毎とする。
【0042】
ステップS4:ステップS3において算出した差分△Xn,△Ynの平均XL ̄,YL ̄,XS ̄,YS ̄について下記式(8)あるいは(9)の関係が成り立つ場合にはステップS5の処理が行われ、そうでない場合にはステップS6の処理が行われる。
【0043】
【数8】
Figure 0003774906
【0044】
【数9】
Figure 0003774906
【0045】
ここで、Cは予め定められた一定値である。
【0046】
ステップS5:電子部品4aの吸着位置を座標(XS ̄,YS ̄)だけ補正する。 すなわち、差分△Xn,△Ynの長期平均と短期平均との差分が一定値Cよりも大きい場合には、電子部品4aを収納するカセットの交換が行われたと判断し、短期平均XS ̄,YS ̄を用いて、電子部品4aの吸着位置の補正を行う。
図10(A)は差分△Xn,△Ynの短期平均および長期平均を説明するための図である。
図10(A)に示すように、カセット交換が行われると、その後、しばらくの間は、電子部品4aの位置122と長期平均を用いて補正を行った場合の吸着ノズル5の位置121との差分は、電子部品4aの位置122と短期平均を用いて補正を行った場合の吸着ノズル5の位置120との差分に比べて大きい。
そのため、図10(B)に示す補正位置123のように、カセット交換が行われた後、しばらくの間、吸着ノズル5の位置を短期平均を用いて補正することで、当該補正を適正化することができる。
その後、長期平均と短期平均との差分が一定値C以下になったときには、ステップS4の処理後、ステップS6の処理が行われる。
【0047】
ステップS6:電子部品4aの吸着位置を座標(XL ̄,YL ̄)だけ補正する。すなわち、差分△Xn,△Ynの長期平均と短期平均との差分が一定値Cよりも小さい場合には、個々の差分データのばらつきの影響を軽減するために、長期平均XL ̄,YL ̄を用いて、電子部品4aの吸着位置の補正を行う。
すなわち、図10(A)に示すように、前回のカセット交換が行われてから、一定の時間が経過すると、電子部品4aの位置122と長期平均を用いて補正を行った場合の吸着ノズル5の位置121との差分は、電子部品4aの位置122と短期平均を用いて補正を行った場合の吸着ノズル5の位置120との差分に比べて小さくなる。
そのため、図10(B)に示す補正位置123のように、前回のカセット交換が行われ一定期間経過後は、吸着ノズル5の位置を長期平均を用いて補正することで、当該補正を適正化することができる。
【0048】
上述したように図8に示すステップS1〜6に基づいて電子部品の吸着位置の補正を行うことで、カセットが移動した場合にテープキャビティ内で微小な電子部品4aの位置の偏りを適切に補正できる。そのため、吸着ノズル5による電子部品4aの吸着を安定して行うことができる。例えば、図11(A)に示すように矢印133の向きからテープキャビネット130を移動させた場合と、図11(B)に示すように矢印134の向きからテープキャビネット130を移動させた場合とのいずれについても、吸着ノズル5の吸着位置131,142を電子部品4aの中心にすることができる。
【0049】
また、上述したように図8に示すステップS1〜6に基づいて電子部品の吸着位置の補正を行うことで、カセット交換による急激な部品供給位置の変化にも迅速に対応することができ、吸着ノズル5による吸着ミスによって廃棄になる電子部品の数を削減できる。
【0050】
本発明は上述の実施例に限定されない。たとえば、上述した実施例では、電子部品4が真空吸着される場合について例示したが、磁気吸着または機械的に把持するような場合についても同様である。したがって、本発明においては、吸着は真空吸着および磁気吸着はもとより、把持等も含む。
また、半透明板6の半透明薄板6bの形状は、電子部品の像が半透明板6からの光による背景像の内側に映し出されるような大きさであれば、上記した円形状に限定されない。
【0051】
また、上述した実施例では、X−Y軸に沿って移動する機構を備えた電子部品装着機1について例示したが、本発明は、例えば、所定の回転軸を中心として回転するロータリーユニットタイプの高速型電子部品装着機について適用できる。
【0052】
また、本発明の電子部品装着機は、電子部品の吸着位置の補正を行う場合に、例えば、前述した図8に示すステップS4の処理として、一定値Cを用いるのではなく、差分△Xn,△Ynの履歴の標準偏差を算出し、その標準偏差の何倍かの値を用いてもよい。
【0053】
さらに、本発明の電子部品装着機は、電子部品の吸着位置の補正において、電子部品の中心の座標と吸着ノズルの中心の座標との差分△Xn,△Ynの平均を求める時に過去のデータを取っておいてその都度平均を取るのでは時間がかかるので移動平均を用いてもよい。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の電子部品装着機によれば、カセットが移動した場合にテープキャビティ内で微小な電子部品の位置の偏りを適切に補正できる。そのため、吸着ノズルによる電子部品の吸着を安定して行うことができる。
また、本発明の電子部品装着機によれば、カセット交換による急激な部品供給位置の変化にも迅速に対応することができ、吸着ノズルによる吸着ミスによって廃棄になる電子部品の数を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子部品装着機の実施例の全体構成射視図である。
【図2】図1の電子部品装着機構の拡大射視図である。
【図3】図2の電子部品装着機構の部分拡大断面図である。
【図4】(A)は電子部品装着機の外観図、(B)は電子部品装着機の装備を説明するための図である。
【図5】(A)〜(C)は本発明の実施例の電子部品装着機の動作形態を示す図である。
【図6】(A)はカメラが撮像した電子部品を吸着していないときの画像であり、(B)は(A)に示した画像を2値化した画像である。
【図7】(A)はカメラが撮像した電子部品を吸着しているときの画像であり、(B)は、(A)に示した画像を2値化した画像である。
【図8】電子部品の吸着位置の補正を行う場合の動作のフローチャートである。
【図9】吸着ノズルの中心の座標と電子部品の中心の座標との差分△Xn,△Ynを説明するための図である。
【図10】(A)は差分△Xn,△Ynの短期平均および長期平均を説明するための図、(B)は本実施例の電子部品装着機における電子部品の吸着位置の補正に用いる基準量を説明するための図である。
【図11】(A),(B)は本発明の実施例に係わる電子部品装着機によって行われる電子部品の吸着位置の補正を説明するための図である。
【図12】(A)は電子部品装着機において電子部品の吸着位置の補正が行われた場合、(B)は電子部品装着機において電子部品の吸着位置の補正が行われない場合を説明するための図である。
【符号の説明】
1・・電子部品装着機構
2・・固定ミラー
3・・可動ミラー
4a・・電子部品
5・・吸着ノズル
6・・半透明板
6a・・透明板
6b・・半透明薄板
7a・・回転機構
7b・・昇降機構
8・・ハーフミラーブロック
9・・可動ミラー移動機構
10・・発光ボックス
10a,10b・・光源
11・・回転部
14,15,16・・カメラ
20,22・・Y軸移動機構
24・・X軸移動機構
26・・電子部品置場
28・・プリント基板
30,31,32・・ミラー

Claims (4)

  1. 電子部品を吸着して所定の位置に載置する電子部品装着機において、
    その先端で電子部品を吸着する長手方向に伸びた吸着ノズルと、
    前記電子部品に対して光を照射する光照射手段と、
    前記電子部品を挟んで前記光照射手段と対向する方向から前記吸着ノズルの先端に吸着された電子部品を撮像する撮像手段と、
    所定の第1の期間における前記吸着ノズルと前記電子部品とのずれの平均と、前記第1の期間よりも長い所定の第2の期間における前記吸着ノズルと前記電子部品とのずれの平均とを比較し、前記第1の期間における前記ずれの平均と前記第2の期間における前記ずれの平均との差分が所定のしきい値よりも大きい場合は前記第1の期間における前記ずれの平均に基づいて前記電子部品を前記吸着ノズルに吸着する位置の補正を行い、前記第1の期間における前記ずれの平均と前記第2の期間における前記ずれの平均との差分が所定のしきい値よりも小さい場合は前記第2の期間における前記ずれの平均に基づいて前記電子部品を前記吸着ノズルに吸着する位置の補正を行う補正手段と
    を有する電子部品装着機。
  2. 前記補正手段は、前記第1の期間における前記ずれの平均と前記第2の期間における前記ずれの平均との差分が前記しきい値よりも大きい場合から小さい場合に遷移する際に、前記第1の期間における前記ずれの平均から前記第2の期間における前記ずれの平均へと自動的に切り替えて使用し、前記補正を行う
    請求項1に記載の電子部品装着機。
  3. 前記補正手段は、前記補正を数値データのステップ毎に行う請求項2に記載の電子部品装着機。
  4. 電子部品を吸着して所定の位置に載置する電子部品装着方法であって、
    前記電子部品の位置を求める第1の工程と、
    前記吸着ノズルと前記電子部品とのずれを求める第2の工程と、
    所定の第1の期間における前記吸着ノズルと前記電子部品とのずれの平均及び前記第1の期間よりも長い所定の第2の期間における前記吸着ノズルと前記電子部品とのずれの平均を求める第3の工程と、
    前記第3の工程において求めた、所定の第1の期間における前記吸着ノズルと前記電子部品とのずれの平均と前記第1の期間よりも長い所定の第2の期間における前記吸着ノズルと前記電子部品とのずれの平均との差分を所定のしきい値と比較する第4の工程と、
    前記第4の工程における比較の結果、前記第1の期間における前記ずれの平均と前記第2の期間における前記ずれの平均との差分が所定のしきい値よりも大きい場合は前記第1の期間における前記ずれの平均に基づいて前記電子部品の前記吸着ノズルに吸着する位置の補正を行い、前記第1の期間における前記ずれの平均と前記第2の期間における前記ずれの平均との差分が所定のしきい値よりも小さい場合は前記第2の期間における前記ずれの平均に基づいて前記電子部品を前記吸着ノズルに吸着する位置の補正を行う第5の工程と
    を有する電子部品装着方法。
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