JP3774883B2 - 光ディスク再生装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ディスク再生装置に関し、詳しくは、ピックアップユニットの特性に対応してサーボ制御のループゲインを実質的に0dBに自動的に調整することができる光ディスク再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、CD−ROM装置にあっては、1倍速から32倍速まで、そのデータ読出し速度が急速に高速化され、そのために、1倍速から32倍速までの速度範囲でデータの読出しが要求されている。また、光ディスク記憶装置においても、その記憶密度は、2倍、4倍、6倍、8倍…と急速に増加してきている。
この種の光ディスク再生装置では、非常に高精度なフォーカシングサーボ制御が要求され、そのためにフォーカスサーボループゲイン調整が必要になる。
【0003】
CDの再生装置のフォーカシングサーボ機構は、ピックアップユニットにおいて、4分割フォトディテクタ(ピックアップ)で、CDからの反射光を受けてフォーカス位置エラー生成回路により各受光エリアのトータル受光量についての検出信号であるRF検出信号と、対向する受光エリアの検出信号の和について相互の差を採った検出信号である位置エラー検出信号FEとを発生させる。
そして、RF検出信号のレベル検出によりジャストフォーカス制御範囲に入ったか否かが検出される。RF検出信号がジャストフォーカス制御レベルになると、アナログ制御では、ピックアップユニットと、フォーカス位置エラー生成回路におけるアンプ(あるいはゲイン調整用アンプ)、サーボフィルタ、そしてピックアップユニットのフォーカス位置調整機構(レンズ移動機構)とからなるフォーカスサーボループが形成され、位置エラー検出信号FEがゼロとなるように自動的に制御されて光ディスクの照射面がレーザ光の合焦点位置となるようにピックアップユニットから出力される前記のレーザ光の焦点合わせが行われる。この焦点合わせとしては、例えば、フォーカス位置調整機構においてレーザ光の光路に挿入されたレンズの焦点合わせ位置への移動による。
同様なことがデジタル制御においても行われ、デジタル制御では、前記に対応する各回路の機能に対応する処理がMPUにより所定のプログラムが実行されて実現される。そして、位置エラー検出信号FEがゼロとなるような信号値がエラー修正値として算出され、これがD/A変換回路によりアナログ値に変換され、光ディスクの照射面にレーザ光が合焦点するように変換されたアナログ信号をフォーカス位置調整機構に駆動信号として送出する。
【0004】
図5は、後者のデジタル制御における従来のフォーカスサーボループゲイン調整における制御装置(コントローラ)の内部処理を機能ブロック化した説明図である。なお、このフォーカスサーボループゲイン調整は、通常、光ディスク再生装置の電源がONにされたときに、その都度、自動的にゲイン調整に入り、ゲイン設定がなされる。
図5において、1は、外部部品としてのピックアップユニットであり、ピックアップユニット1のフォトディテクタ1aから得られた検出信号(位置エラー検出信号FE)を入力端子5aを介してA/D変換回路(A/D)2で受けて、A/D変換をして入力信号値Y(デジタル値)を得て、これを演算処理装置3に入力する。
演算処理装置3は、その機能ブロックとして、デジタル値に変換された入力信号値Yを信号合成部31で外乱信号発生部32により生成された信号値X(デジタル値)と合成し、かけ算部33に入力する。かけ算部33は、フォーカスサーボループゲインを決定する回路に相当するものであり、合成信号Nに係数K(ゲイン)をかけた値をサーボフィルタ部34に送出し、位置エラーを修正するためのサーボフィルタ処理をしてその結果得られる位置エラー修正値をD/A変換回路4に送出する。D/A変換回路4の出力は、出力端子5bを介してピックアップユニット1のフォーカス位置調整機構1b(レンズ移動機構)のドライブアンプに駆動信号として加えられる。
なお、ここでの演算処理装置3の各機能は、MPUがメモリに記憶された各機能に対応する処理プログラムを実行することで実現されるものであり、各信号値は、メモリの作業エリアに算出値として記憶され、処理されていく。
【0005】
ここで、外乱信号発生部32は、アナログ制御の場合の外乱信号発生回路に対応し、ピックアップユニット1の4分割フォトディテクタの4分割されたセンサエリアの感度のアンバランス量を推定してこのアンバランス量に対応するオフセットを発生するための信号を得るために設けられているものである。
外乱信号発生部32とサーボ制御との関係を説明すれば、外乱信号発生部32は、例えば、1kHz程度の三角波を外乱信号値Xとして発生する。この外乱信号値Xは、信号合成部31を経て位置エラー検出信号値Yに加えられ、かけ算部33を経てサーボフィルタ部34に送出され、ドライブアンプによりフォーカス位置調整機構1bが制御されてピックアップユニット1からの発生するレーザ光の焦点位置が微少に上下移動して、そのときのRF検出信号の応答波形によりオフセットが算出される。なお、RF検出信号関係については今回の発明とは直接関係してこないので図では省略してある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、前記のようなフォーカスサーボループにおいては、フォーカスサーボループゲインを実質的に0dBに調整することが必要である。それは、かけ算部33の係数値Kの値(ゲイン値)を決定することで行われるが、従来は、信号値Yと信号値Xの位相差を位相差算出部34に入力して位相差を算出し、その比較結果の平均値を平均値算出部36で採って、算出した平均値に対してループゲインが0dBになるような基準位相範囲にあるか否かを判定・ゲイン設定部37で判定して、この判定の結果において位相が基準範囲にないときに判定・ゲイン設定部37がかけ算部33の係数値K(ゲイン値)を変更する。ことによりサーボループゲイン値を変更して次の判定を行い、基準位相範囲になるような位相差を得ることで最適なゲイン値(係数値K)を設定する処理をするものである。
【0007】
しかし、このような判定は、得られた位相と基準範囲とを比較することによるので、範囲という幅をもってゲイン設定が行われる。そのため正確なゲイン設定ができない問題がある。しかも、基準範囲は、接続されるピックアップユニットの特性に応じて決定されるので、ピックアップユニットの特性が変更されたり、他の種類のピックアップユニットが装着された場合には改めて適正な位相差の基準範囲を測定により求めなければならない欠点がある。
この発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決するものであって、ピックアップユニットの特性に対応してサーボ制御のループゲインを実質的に0dBに自動的に調整することができる光ディスク再生装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するための発明の光ディスク再生装置の特徴は、レーザ光源と受光素子とを有し、光ディスクに対してレーザ光源によるレーザ光を照射して光ディスクからの反射光を受光素子が受けて光ディスクの照射面に対するレーザ光の焦点合わせ位置あるいはトラッキング位置についての位置エラー検出信号を発生するピックアップユニットと、このピックアップユニットから位置エラー検出信号を受けてA/D変換して位置エラー検出信号のデジタル値に対してピックアップユニットを含めてサーボループを構成してこのサーボループに所定のループゲインを設定して位置エラーを修正するサーボ処理を行い、その処理結果をD/A変換して照射面に対するレーザ光の位置エラーを修正する修正信号を発生するコントローラとを有し、修正信号に応じてレーザ光の照射面に対してレーザ光を焦点合わせしあるいはトラッキングする光ディスク再生装置において、
前記サーボ処理がフォーカスサーボループを構成するサーボフィルタ処理であり、
コントローラが、内部で外乱信号を生成し、位置エラー検出信号のデジタル値Dと外乱信号の生成値Xとを合成して合成値Nを生成し、この合成値Nに対してサーボ処理を行うものであり、
次の2つの関係式
N=X+D
Y=N+D
を成立させる関係にある生成値Xと信号値Yの位相差を検出し、この位相差が実質的に90゜、すなわち、デジタル値のビット分解能で決定されることになる90゜になるゲイン値をループゲインとしてデジタル値によりゲイン設定するゲイン設定手段を有し、
ゲイン設定手段は、ゲイン値を上位nビット(nは3以上の整数)と残りの下位ビットとに分けて最初に設定したゲイン値の上位nビットについて複数回前記位相差を検出して検出された位相差の平均値が90゜に対して+側か−側かの判定結果に応じてインクリメントあるいはディクリメントして上位nビットの値のゲイン値を決定し、その後に前記判定結果に応じて下位のビット値をインクリメントあるいはディクリメントすることで下位のビットの分解能のデジタル値で決定されることになる前記平均値が90゜になるゲイン値を決定してループゲインを設定するものであって、上位nビットは、ゲイン変動によるサーボループのサーボ外れの発生を抑制するものとして選択されているものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
このように、N=X+DとY=N+D(ただし、D=N・Gであり、Gは、合成値Nが位置エラー検出信号として検出されるまでの経路における伝達関数)に従って得られる生成値Xと信号値Yの位相差を検出し、この位相差が実質的に90゜になるゲイン値をループゲインとして設定すれば、後述する(3)式、(4)式により理解できるように、サーボ処理のループゲインを実質的に0dBに設定できる。したがって、ループゲインを実質的に0dBにしたい周波数の信号値Xの外乱信号を生成し、位相差が実質的に90゜になるゲイン値を求めるだけで、そのときどきのピックアップユニットの特性に対応したサーボ処理におけるループゲインの設定が可能になる。
その結果、ピックアップユニットの特性に合わせて基準範囲を設定することがが不要になり、ピックアップユニットの特性に影響されることなく、レーザ光の位置をサーボ処理で修正してレーザ光を照射面に焦点合わせをすることも、あるいはトラッキングさせることも容易にできる。
また、生成値Xと信号値Yの位相差が実質的に90゜になるゲイン値をサーボ制御のループゲインとして選択する場合においては、ループゲインを決定するかけ算手段に最初に設定したゲイン値に対してその上位nビット(nは3以上の整数)に対して位相差の判定結果(+側か−側か)に応じてインクリメントあるいはディクリメントをして実質的に90゜になるゲイン値を検出するようにすれば、従来のような範囲判定の結果に応じてゲインを変化させるのではなく、上位の1/nビットの分解能でゲインを順次変化させるので、設定するゲイン値の変動幅を小さくでき、サーボループ外れを抑制することができる。
【0010】
【実施例】
図1は、この発明の光ディスク再生装置を適用した光ディスク再生装置のフォーカスサーボループゲイン調整におけるコントローラの内部の機能ブロック図、図2は、図1のフォーカスサーボループゲイン調整におけるコントローラの説明図、図3は、ゲイン設定処理のフローチャート、図4は、ゲイン設定処理におけるゲイン値選択の説明図である。なお、図5と同一の構成要素は、同一の符号で示し、その説明を割愛する。
図1においては、図5の機能ブロックにおいてさらに信号合成部38が追加され、これにより位相差を比較する信号値Yが次の(2)式の関係において生成される。また、図1では、図5の判定・ゲイン設定部37に換えて判定・ゲイン設定部39が設けられている。これらの点で、図5のものとこの実施例とが相違する。なお、信号合成部38は、図5の信号合成部31の入力信号である、位置エラー検出信号のデジタル値D(=N・G)とその出力信号である合成信号値Nとの加算値を位相差比較の信号値Yとして得る。
【0011】
ここで、ピックアップユニット1を含めたフォーカスサーボループのゲインをG(Gは、合成値Nが位置エラー検出信号として検出されるまでの経路における伝達関数)としたときに、信号合成部31による合成信号値Nと外乱信号発生部32から出力される信号値Xと前記の信号合成部38により得られる信号値Yとの間に次の関係式を成立させるものである。
N=X+N・G …………(1)
Y=N+N・G …………(2)
その結果として、ここでは、0dBのサーボ制御のループフィルタのゲイン調整として位相差が実質的に90゜になる点を検出すれば済む。
【0012】
その理由は、次の通りである。なお、次の式において
伝達関数G=g・e-j θ …………(3)
とする。
Figure 0003774883
ただし、
A=(1−g・cosθ+j・g・sinθ)・(1−g・cosθ−j・g・sinθ)
これにより信号値Xと信号値Yの位相関係は、
φ=−tan-1{(2g・sinθ)/(1-g2)} …………(4)
【0013】
そこで、(3)式においてg=1になるようにサーボ制御のループフィルタゲインを設定する調整をするには、(4)式において、g=1と置くと、信号値Xと信号値Y差の位相φは、−tan-1{(2g・sinθ)/(1-g2)}が−∞なり、φ=90゜となる。
その結果、ここでは、ゲインを変化させてg=1になる点は、ゲインを変化させて信号値Xと信号値Yとの位相差φが90゜になる点を求めればよいことになる。
したがって、判定・ゲイン設定部39は、位相差の平均値が実質的に90゜でないときにはゲイン値を変更して、位相差の平均値が実質的に90゜になる点を検出して、実質的に90゜になる点における係数値Kをジャストフォーカスサーボのためのループゲイン値として設定される値として記憶すればよい。
このときに、実質的に90゜になる係数値Kを検出する処理の仕方が従来と相違し、かけ算処理の係数値Kを設定するときに上位nビット(nは3以上の整数)を最初の判定基準として設定して次のゲイン値を選択していく。これにより設定するゲインの変動幅を小さくすることができる。このことによりサーボループの制御はずれを抑制する効果がある。
【0014】
図2は、図5の演算処理装置3に対応する演算処理装置10であって、前記の各機能ブロックの要素を実現する内部構成の説明図である。
演算処理装置10は、MPU11とメモリ12、インタフェース13とが相互にバス14により接続されていて、メモリ12には、フォーカスサーボプログラム15と、外乱発生プログラム16、位相差測定プログラム17、平均値算出プログラム18、そして判定・ゲイン設定プログラム19等を有していて、フォーカスサーボパラメータ記憶領域20が設けられている。
特に、この実施例の特徴は、位相差測定プログラム17における位相差算出処理が従来の図5のものと異なり、判定・ゲイン設定プログラム19におけるゲイン値設定の処理が従来の図5のものと異なる。以下これらの点を中心として詳細に説明する。
【0015】
ここで、フォーカスサーボプログラム15は、電源がONになってこのプログラムがMPU11に実行されたときには、MPU11は、フォーカスサーボループのゲイン設定処理に入る。このゲイン設定処理としては、外乱発生プログラム16をコールして実行し、A/D2、インタフェース13を介して取込んだ位置エラー検出信号FEのデジタル値をメモリ12に記憶する。そして外乱生成値Xを得て、これと記憶されているデジタル値Y(位置エラー検出信号FE)とを合成して設定されているゲイン値に対応した係数値Kをかけてかけ算処理をし、その結果に対して位置エラーを修正する方向にサーボフィルタ処理をしてインタフェース13を介してD/A4に出力する。その結果、D/A4を介してピックアップユニット1のフォーカス位置調整機構1b(レンズ移動機構)のドライブアンプに加える。
なお、このフォーカスサーボプログラム15では、MPU11の処理により図1の信号合成部31と、かけ算部33、そしてサーボフィルタ部34と実現する。
【0016】
さらに、MPU11は、フォーカスサーボプログラム15を実行して、位相差測定プログラム17をコールしてこれをMPU11が実行して、A/D2、インタフェース13を介して取込んだ位置エラー検出信号FEについて、後述する式に従って得られるデジタル値Yと外乱生成値Xについての位相差を算出する。ここで、この位相差の測定値が所定数M(Mは2以上の整数値、測定回数に対応)に達すると、フォーカスサーボプログラム15は、次に平均値算出プログラム18をコールしてMPU11に実行させ、M回測定の位相差の平均値を算出させる。次にフォーカスサーボプログラム15は、判定・ゲイン設定プログラム19をコールしてMPU11に実行させ、M回測定の平均値として算出された位相差が実質的に90゜であるか否かを判定させ、位相差90゜でないときに、次の係数値をかけ算部33の係数値K(ゲイン値)として設定させて、再びフォーカスサーボループのゲイン設定処理に入り、判定・ゲイン設定プログラム19による位相差の判定を繰り返す。
この繰り返し判定において、MPU11は、位相差が実質的に90゜になったと判定結果を得たときには、そのときの係数値Kをゲイン値としてフォーカスサーボパラメータ記憶領域20に記憶する。
【0017】
このような処理が終了した後に、MPU11は、例えば、プレイボタンが押されたときなど、光ディスクからデータを読出すとき、あるいはデータを書込むときになどにフォーカスサーボプログラム15を実行して、前記判定の結果求められた、フォーカスサーボパラメータ記憶領域20に記憶された位相差が実質的に90゜になったときの係数値Kをゲイン値として読出してかけ算部33のゲイン値として設定してフォーカスサーボ処理を行う。これによりピックアップユニット1を最下点あるいは最上点から合焦位置へと移動させて位置エラー検出信号FEがゼロとなるように自動的に制御して光ディスクの照射面が合焦点位置になるようにピックアップユニット1のレーザ光の焦点を設定する処理をする。
【0018】
外乱発生プログラム16は、このプログラムがMPU11に実行されたときに、所定の周波数に対応する波形信号をデジタル値の形で生成して、メモリ12の作業領域の所定位置に時間の関数としての波形値を順次記憶する。これのMPU11による実行により外乱信号発生部32の機能が実現する。
位相差測定プログラム17は、このプログラムがMPU11に実行されたときに、外乱信号値Xと、合成信号値Nから信号値Yを算出し、さらに信号値Yと信号値Xとの位相差を算出してメモリ12に記憶する。これは、信号合成部38と位相差算出部34との機能を実現する。
【0019】
平均値算出プログラム18は、このプログラムがMPU11に実行されたときに、算出された位相差の算出結果がM回分になるか否かを判定して、M回分になった時点で位相差の算出結果の平均値を算出する。これは、平均値算出部36の機能を実現する。
判定・ゲイン設定プログラム19は、このプログラムがMPU11に実行されたときに、位相差の算出結果の平均値が実質的に90゜が否かを判定して、実質的に90゜のときにはフォーカスサーボパラメータ記憶領域20にそのときの係数値Kをゲイン値として記憶する。そうでないときに、図5に示すように、かけ算処理の係数値K(ゲイン値)を順次設定していく。この設定のときに上位nビット(nは3以上の整数)を最初の判定基準の開始点として上位nビットに対して順次インクリメントあるいはディクリメントして位相差の判定結果に対応する次のゲイン値を選択して設定していく処理を行う。これは、判定・ゲイン設定部39の機能を実現する。
【0020】
図3は、フォーカスサーボプログラムのゲイン設定処理のフローチャートである。電源がONにされると、まず、ゲイン自動調整初期化処理を行う(ステップ101)。この初期化処理としては、ゲイン自動調整中フラグをリセットし、ゲイン調整ビットカウンタをクリアし、カウンタに初期の係数値(あらからじ決められたゲイン値)をセットする。なお、カウンタとしてはメモリ12内に設けられたソフトカウンタが使用される。カウンタの係数値Kは、かけ算部33に与えられ、合成値Nにかけ合わされてサーボループ処理が行われる。
次に、位相測定初期化処理を行う(ステップ102)。これは、位相差測定回数カウンタ(ソフトカウンタ)の値mをクリアし(m=0)、その他、測定に必要な各種のカウンタ、レジスタ領域をクリアする。
【0021】
次に、外乱信号発生し、係数値Kをゲイン値としてサーボフィルタ処理をして(ステップ103)、位相差測定開始タイミングか否かを判定する、位相差測定開始待ちループに入る(ステップ104)。この位相差測定スタートタイミングは、例えば、フォーカスサーボループにおいて外乱信号の出力が開始された状態としてサーボフィルタ処理の結果値のデータにおけるMSBの値が“H”になるタイミングである。
【0022】
次にピックアップユニット1からの採取データを位置エラー検出信号値N・Gとしてメモリへ記憶し(ステップ105)、そのときの外乱信号値Xのデータをメモリへ記憶し(ステップ106)、前記の(1)式、(2)式に従い、検出された位置エラー検出信号値N・Gと外乱信号値Xとから合成値Nを算出して、検出された信号値N・Gにより合成処理をして信号値Yを算出してメモリへ記憶し(ステップ107)、信号値X,Yから位相差算出処理をして位相差φiをメモリへ記憶する(ステップ108)。そして位相差測定終了タイミングか否かを判定する、位相差測定終了待ちループに入る(ステップ109)。この位相差測定終了タイミングは、例えば、フォーカスサーボループにおいて外乱信号値のデータにおけるMSBの値が“H”になるタイミングである。
そして測定回数m=m+1として更新して(ステップ110)、測定回数m>Mかの判定を行う(ステップ111)。Mは測定回数の設定値である。この判定でNOとなるとステップ103へと戻る。
【0023】
ステップ111の判定においてYESとなると、M個の位相差φiから位相差の平均値φを算出し(ステップ112)、平均値φがφ=90゜か?、の判定をする(ステップ113)。ここで、NOとなると、現在のかけ算の係数値K(ゲイン値)の上位3ビットを取得し(ステップ114)、90゜に対して平均値φは+側か?、の判定をして(ステップ115)て、YESとなり、+側のときには、係数値Kの上位3ビットに−1を加えて係数値K(ゲイン)を算出して(ステップ116)、ステップ101に戻り、ここで算出された係数値K(ゲイン)を初期値に換えて設定して、次のステップ102で位相差測定回数カウンタの値mをクリアする。そしてステップ103からの前記の処理を繰り返す。
【0024】
また、ステップ115の判定でNOとなり、+側でないときには、−側となるので、係数値Kの上位3ビットに+1を加えて係数値K(ゲイン)を算出して(ステップ116a)、ステップ101へと戻り、ここで算出された係数値K(ゲイン)を設定して、次のステップ102で位相差測定回数カウンタの値mをクリアする。そしてステップ103からの前記の処理を繰り返す。
このようにして、ステップ113の判定でYESとなると、そのときの係数値K(ゲイン値)がフォーカスサーボパラメータ記憶領域20に記憶されて(ステップ117)、ここでの処理が終了する。
この後は、MPU11は、フォーカスサーボプログラム15を実行してピックアップユニット1に対してフォーカスサーボパラメータ記憶領域20に記憶された係数値Kを用いて合成された信号値Nに対してかけ算部33においてかけ算処理をして従来と同様なフォーカス制御をする。
【0025】
ここで、この実施例におけるステップ114からステップ116、116aに至る係数値K(ループゲイン)の設定と、その変化について図4を用いて説明する。なお、係数値Kは、6ビット程度のデータ値を使用するとよいが、ここでの説明では、説明を簡単にするために係数値K(ゲイン値)のビット数を4ビットとして説明する。
まず、ステップ101で設定された係数値Kの初期値が“1000”であるとする。これが図4のツリーの出発点となる。そして、ステップ115の判定でYESとなり、+側のときには、図4に示すように、ステップ116で上位3ビットの“100”に−1が加えられディクリメントされ、結果として係数値Kの値は、ツリーの右側の枝を辿り、“0110”となる。これがステップ101において次の係数値K(ゲイン値)としてかけ算部33に与えられる。
【0026】
逆に、ステップ115の判定でNOとなり、−側のときには、図4に示すように、ステップ116aで上位3ビットの“100”に+1が加えられ、結果として係数値Kの値は、ツリーの左側の枝を辿り、“1010”となって、これがステップ101において次の係数値K(ゲイン値)としてかけ算部33に与えられる。
以降、図4に示すように、ステップ115の判定の都度、ここでNOとなったときには位相90゜に対して−側であるので、そのときには1つ前の係数値Kに対して右側の枝を辿り、係数値Kの値が変化していき、YESのときには+側であるので1つ前の係数値Kに対して左側の枝を辿り、係数値Kの値が変化していく。この場合も前記の上位3ビットに対して判定結果に応じたインクリメントあるいはデクリメントを繰り返して、この上位3ビットの値を決定した後にこれ以下の下位のビットについて順次判定結果に応じてインクリメントあるいはデクリメントして平均値φがφ=90゜(実質的に位相差が90゜となるφ)に対応する係数値Kの値を決定するものである。
【0027】
このように係数値Kを算出する基準ビットを上位のnビット(ただしnは3以上の整数)に着目してその値を基準として位相差の判定結果(+側か−側か)に応じてインクリメントあるいはデクリメントすることにより、上位nビット分についてこの上位の1/nビットの分解能で決定していき、その後にこれより下位のビット値を選択する。このことにより、上位nビット分についてこの上位の1/nビットの分解能として、従来のような範囲判定の結果に応じてゲインを変化させるのではなく、上位の1/nビットの分解能でゲインを順次変化させるので、ゲイン調整の変動幅を小さくすることができる。これにより、ゲイン変動によるサーボループの外れ発生を抑制することが可能になる。
【0028】
以上説明してきたが、実施例では、電源ON時にゲイン設定処理を行っているが、ここでのゲイン設定処理は、外部信号に応じてあるいは定期的に行うようにしてもよいことはもちろんである。
また、実施例では、フォーカスサーボループを中心にして説明しているが、このサーボフィルタ処理を行うサーボループとしてトラッキングサーボ機構のサーボループも全く同様に使用されるので、この発明は、フォーカスサーボル機構の場合のサーボループに限定されるものではない。
【0029】
【発明の効果】
この発明にあっては、N=X+DとY=N+Dとの2式(ただし、Dは、位置エラー検出信号の値)に従って得られる外乱信号の生成値Xと、前記の信号値Yの位相差を検出し、この位相差が実質的に90゜になるゲイン値をループゲインとして設定すれば、サーボ処理のループゲインを実質的に0dBに設定できるので、ループゲインを実質的に0dBにしたい周波数の信号値Xの外乱信号を生成し、位相差が実質的に90゜になるゲイン値を求めるだけで、そのときどきのピックアップユニットの特性に対応したサーボ処理におけるループゲインの設定が可能になる。
その結果、ピックアップユニットの特性に合わせて基準範囲を設定することがが不要になり、ピックアップユニットの特性に影響されることなく、レーザ光の位置をサーボ処理で修正してレーザ光を照射面に焦点合わせをすることも、あるいはトラッキングさせることも容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の光ディスク再生装置を適用した光ディスク再生装置のフォーカスサーボループゲイン調整におけるコントローラの内部の機能ブロック図である。
【図2】図2は、図1のフォーカスサーボループゲイン調整を行うコントローラの説明図である。
【図3】図3は、ゲイン設定処理のフローチャートである。
【図4】図4は、ゲイン設定処理におけるゲイン値選択の説明図である。
【図5】図5は、従来のフォーカスサーボループゲイン調整におけるコントローラの内部処理を機能ブロック化した説明図である。
【符号の説明】
1…ピックアップユニット、1a…フォトディテクタ、
1b…ピックアップユニットのフォーカス位置調整機構、
2…A/D変換回路(A/D)、
3,10…演算処理装置、4…D/A変換回路、
31…信号合成部、32…外乱信号発生部32、
33…かけ算部、34…サーボフィルタ部、
11…MPU、12…メモリ、
13…インタフェース、14…バス、
15…フォーカスサーボプログラム、
16…外乱発生プログラム、17…位相差測定プログラム、
18…平均値算出プログラム、19…判定・ゲイン設定プログラム、
20…フォーカスサーボパラメータ記憶領域。

Claims (3)

  1. レーザ光源と受光素子とを有し、光ディスクに対して前記レーザ光源によるレーザ光を照射して前記光ディスクからの反射光を前記受光素子が受けて前記光ディスクの照射面に対する前記レーザ光の焦点合わせ位置あるいはトラッキング位置についての位置エラー検出信号を発生するピックアップユニットと、このピックアップユニットから前記位置エラー検出信号を受けてA/D変換して前記位置エラー検出信号のデジタル値に対して前記ピックアップユニットを含めてサーボループを構成してこのサーボループに所定のループゲインを設定して位置エラーを修正するサーボ処理を行い、その処理結果をD/A変換して前記照射面に対する前記レーザ光の位置エラーを修正する修正信号を発生する制御装置とを有し、前記修正信号に応じて前記レーザ光の前記照射面に対して前記レーザ光を焦点合わせしあるいはトラッキングする光ディスク再生装置において、
    前記サーボ処理は、フォーカスサーボループを構成するサーボフィルタ処理であり、
    前記制御装置は、内部で外乱信号を生成し、前記位置エラー検出信号のデジタル値Dと前記外乱信号の生成値Xとを合成して合成値Nを生成し、この合成値Nに対して前記サーボ処理を行うものであり、
    次の2つの関係式
    N=X+D
    Y=N+D
    を成立させる関係にある前記生成値Xと前記信号値Yの位相差を検出し、この位相差がデジタル値のビット分解能で決定されることになる90゜になるゲイン値を前記ループゲインとしてデジタル値によりゲイン設定するゲイン設定手段を有し、
    前記ゲイン設定手段は、前記ゲイン値を上位nビット(nは3以上の整数)と残りの下位ビットとに分けて最初に設定した前記ゲイン値の前記上位nビットについて複数回前記位相差を検出して前記検出された位相差の平均値が90゜に対して+側か−側かの判定結果に応じてインクリメントあるいはディクリメントして前記上位nビットの値のゲイン値を決定し、その後に前記判定結果に応じて前記下位のビット値をインクリメントあるいはディクリメントすることで前記下位のビットの分解能のデジタル値で決定されることになる前記平均値が90゜になるゲイン値を決定して前記ループゲインを設定するものであって、前記上位nビットは、ゲイン変動による前記サーボループのサーボ外れの発生を抑制するものとして選択されていることを特徴とする光ディスク再生装置。
  2. さらに、前記制御装置は、前記位置エラー検出信号のデジタル値Dと前記合成値Nとを合成して前記信号値Yを生成する合成手段と、前記生成値Xと前記信号値Yとの位相を比較して位相差を算出する位相差算出手段と、この位相差算出手段から得られる位相差算出結果を複数回得て、この複数回の前記位相差算出結果の平均値を前記平均値として算出する平均値算出手段と、前記平均値が90゜の位相差か否か判定する判定手段と、この判定手段の判定の結果、前記平均値が90゜でないときに前記ループゲインのゲイン値を増減設定するゲイン設定手段とを備え、前記修正信号は、前記ピックアップユニットから出力されるレーザ光を焦点合わせする焦点合わせ機構に加えられるものであり、前記ゲイン設定手段は、前記判定手段の判定により前記平均値が前記下位のビットの分解能のデジタル値で決定されることになる90゜になるゲイン値を検出する請求項1記載の光ディスク再生装置。
  3. さらに、前記サーボループにおいて前記合成値Nに係数をかけることでゲイン値を設定するかけ算手段を有し、前記ゲイン設定手段は、前記かけ算手段に前記ゲイン値を設定するものである請求項2記載の光ディスク再生装置。
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