JP3774610B2 - エネルギフィルタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも1個以上の電子偏向マグネットよりなり、このマグネットにより、入射してきた電子のうち、特定のエネルギを持つ電子を出射させるエネルギフィルタの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子光学系にエネルギフィルタを組み込んだ電子顕微鏡が開発されているが、図6に示すように、この電子顕微鏡1は電子銃2で発生した電子eのビームをコンデンサレンズ3を通して試料5に照射し、更に試料5を透過した透過ビームを、対物レンズ4、中間レンズ6、入力絞り7、スペクトロメータ8、スリット9および投影レンズ10を通して蛍光板11に投影することで、試料の観察像を得るものである。そして、入力絞り7、スペクトロメータ8およびスリット9により、オメガ型エネルギフィルタと呼ばれるエネルギフィルタ12が構成されている。
【0003】
この電子顕微鏡1に組み込まれたエネルギフィルタ12におけるスペクトロメータ8は、少なくとも1個以上の電子偏向マグネットを備えている。この電子偏向マグネットの従来の一例として、図7(a)および(b)に示す電子偏向マグネット13がある。この電子偏向マグネット13は、互いに対向する一対の磁極片基板(以下、ポールピース基板ともいう)100、101から成る。ポールピース基板100の一方の面にコイル溝22、24が互いに隣接して設けられ、コイル溝22、24に囲まれた部分がそれぞれ磁極片(以下、ポールピースともいう)14、16を形成する。また、コイル溝22、24にはコイル18、20がそれぞれ収容される。同様に、もう一方のポールピース基板101にもコイル溝23、25が互いに隣接して設けられ、コイル溝23、25に囲まれた部分がそれぞれポールピース15、17を形成する。コイル溝23、25にはコイル19、21がそれぞれ収容される。
【0004】
ポールピース基板100、101は、ポールピース14、16がポールピース15、17とそれぞれ対向するように配置される。コイル溝22、23、24、25に囲まれたポールピース14、15、16、17の部分はそれ以外の部分より凹んでいて、それらの間にはそれぞれ間隙26、27が形成され、通路28により連通している。これらの間隙26、27および通路28によって電子通路29が形成されている。
【0005】
そして、電流供給源からコイル18、19、20、21に電流を供給することで、ポールピース14、15、16、17の各間隙26、27に磁場が発生するようになっている。その場合、ポールピース14、15、16、17に形成されている間隙26、27における電子の入射面および出射面には、磁界の滲み出しを抑えるシャントと呼ばれる部品(不図示)が配設されており、このシャントにより、ポールピース間隙26、27に発生する磁界分布をきちんと制御し、その磁界の中に電子を通すことで、電子偏向マグネット13は良好な電子光学特性を確保しつつ電子を偏向させることができる。
【0006】
ところで、電子は空気中では空気分子と反応し、急速に失われてしまう。したがって、電子偏向マグネット13内の各コイル溝22、23、24、25および電子通路29は排気ポンプで排気する等により、圧力の低い状態に設定する必要がある。そのため、従来は、電子偏向マグネット13それ自体を真空チャンバ内に収容していた。しかしながら、この電子偏向マグネット13の排気方法では、コイル18、19、20、21等の電子偏向マグネット13の各構成要素の表面積が大きいため、電子偏向マグネット13内が非常に排気し難いという問題があった。そして、残留ガスの多い状態では、エネルギフィルタ12が装着される電子顕微鏡1には、加速電圧の不安定性、電子照射による試料汚染等の問題が生じていた。
【0007】
このような問題を解決するために、従来、次の2つの方法が採用されている。
【0008】
まず、第1の方法は、図8に示すように電子通路29に沿ってチューブ30を配設するとともに、このチューブ30の内部だけを排気する方法である。この第1の方法によれば、排気体積が最も小さいので、最も高い効率で前述の問題を解決することが期待できる。
【0009】
また、第2の方法は、図9に示すように各コイル18、19、20、21をそれぞれ耐真空パック31、32、33、34で覆い、各コイル18、19、20、21からの脱ガスを抑える方法である。この第2の方法によれば、各コイル18、19、20、21からの脱ガスが電子通路29に侵入するのが抑制されるので、前述の問題を効果的に解決することが期待できる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の第1の方法では、チューブ30を高精度で形成する必要があるが、チューブ30がきわめて複雑な形状を有しているため、このチューブ30を高精度で形成することは非常に難しい。しかも、チューブ30の内部を清浄にする必要があるが、このチューブ30の内部を清浄に仕上げることも簡単ではない。
【0011】
また、このチューブ30を電子通路29内に収容するために、ポールピース14、15、16、17の各間隙26、27を大きくせざるを得ないが、これらの間隙26、27を大きくすると、所定の大きさの磁界を発生させるために大きな電源が必要となるばかりでなく、偏向磁場の収差が大きくなってしまうという問題がある。したがって、間隙26、27を大きくすることにも限度がある。
【0012】
一方、前述の第2の方法では、各コイル18、19、20、21を1つずつ耐真空パック31、32、33、34で覆うために、各コイル18、19、20、21がのコイル溝22、23、24、25は大きな空間が必要となる。このため、電子偏向マグネット13が大きくかつ複雑になってしまうばかりでなく、コイル18、19、20、21の収容スペースを確保するためにシャントとポールピース14、15、16、17との間隔が大きくなるという問題がある。
【0013】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、電子通路をより確実に排気可能にしながら、しかも、ポールピースの間隙およびコイル収容スペースをともに大きくしないで、コンパクトに形成できるエネルギフィルタを提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、請求項1の発明は、電子顕微鏡の真空内に配設され、少なくとも一個ないし複数のマグネットにより構成されたエネルギフィルタに入射してきた電子のうち、特定のエネルギを持つ電子を出射させる前記エネルギフィルタにおいて、
前記マグネットは、一面側にコイル溝がそれぞれ設けられ、これらのコイル溝に囲まれた部分が前記マグネットのポールピースを形成し、これらのポールピースが互いに対向するようにして配設された一対のポールピース基板と、これらのポールピース基板の外形と同じ形状であり、これらの一対のポールピース基板の間に分設された平板からなる一対のスペーサと、前記コイル溝にそれぞれ収容されたコイルと、前記一対のポールピース基板の各側面間に固定されたヨークとを備え、
前記一対のスペーサの互いに対向する側に少なくとも一つの電子通路が形成され、更に、前記ポールピース基板とそれに対向するスペーサ間に、前記コイル溝を内側に囲むようにシール部材がそれぞれ配置されており、これらシール部材によって前記コイル溝に収容された前記コイルをポールピース基板とスペーサとの間に封じ込め、前記コイルを前記真空外に位置するようにされていることを特徴としている。
【0015】
また、請求項2の発明は、前記一対のポールピースに、それらのコイル溝より外側に張り出すようにして張り出し部が形成されており、この張り出し部で磁界の滲み出しを防止するシャントが構成されていることを特徴とする請求項1記載のエネルギフィルタ。
【0016】
更に、請求項3の発明は、前記マグネットが複数個定盤に固定されていることを特徴としている。
【0017】
更に、請求項4の発明は、前記ポールピース基板の前記一面側には複数のコイル溝が設けられ、それらのコイル溝にはそれぞれコイルが収容されており、それら複数のコイル溝を内側に囲むように、前記ポールピース基板とそれに対向するスペーサ間に1つのシール部材が配置されていることを特徴としている。
【0018】
また、スペーサの間に1つの電子通路が形成されることから、前述の従来のチューブに比べて、加工がはるかに容易になるとともに洗浄がはるかに簡単になる。
【0019】
更に、電子通路内にチューブが収容されないことから、一対のポールピースの間の間隔を大きくする必要がなくなり、マグネットがコンパクトに形成されるとともに、小さい電源で済むようになる。
【0020】
更に、磁界の滲み出しを防止するシャントが、ポールピースの張り出し部でこれらのポールピースと一体に形成されることから、これらの組立精度が考慮しなくて済むようになり、マグネットが簡単に組み立てられるようになる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
図1(a)および(b)は、本発明にかかるエネルギフィルタの実施の形態の一例に用いられるスペクトロメータの電子偏向マグネットを示す図である。なお、前述の従来例と同じ構成要素には同じ符号を付すことにより、その詳細な説明は省略する。
【0023】
図1(a)および(b)に示すように、この例の電子偏向マグネット13は、一対のポールピース基板100、101を備えている。図2(a)および(b)に示すように、一方のポールピース基板100の、他方のポールピース基板101と対向する側には、コイル18が収容される閉ループの一定幅のコイル溝22が形成され、コイル溝22に囲まれた部分はポールピース14を形成している。このポールピース基板100の、ポールピース基板101と対向する側には、コイル溝22以外の部分は面一の平面にされている。
【0024】
他方のポールピース基板101はその外形が一方のポールピース基板100の外形と同じ形状を有している。同様にして、この他方のポールピース基板101の、一方のポールピース基板100と対向する側には、コイル19が収容される閉ループでコイル溝22と同じ幅のコイル溝23(図1(a)および(b)に図示)が形成されて、他方のポールピース基板101の互いに対向する面のコイル溝23以外の部分は面一の平面にされている。その場合、一対のポールピース基板101、101が互いに重ね合わされたとき、一対のコイル溝22、23は互いに対向するようにして形成されており、したがって、一対のポールピース14と15は互いに対向するように配設されている。
【0025】
一対のポールピース基板100、101の間には、平板からなる一対のスペーサ36、37が分設されている。図3(a)および(b)に示すように、一方のスペーサ36はその外形が一方のポールピース基板100の外形と同じ形状を有するとともに、前述の図7ないし9に示す従来の電子偏向マグネット13の間隙26の長さ(一対のポールピース14、15の対向する方向の長さ)の半分程度の厚さに設定されている。
【0026】
また、一方のスペーサ36の、一方のポールピース14と対向する側には、Oリング38(図1(a)に図示)が収容される閉ループのOリング溝39(図1(a)および(b)に図示)が形成されている。その場合、Oリング溝39は、コイル溝22を内側に囲むようにして形成されている。また、この一方のスペーサ36の、他方のスペーサ37と対向する側には、電子通路29の一部を構成する電子通路溝40が形成されている。
【0027】
一方、他方のスペーサ37もその外形が一方のスペーサ36の外形と同じ形状を有しているとともに、一方のスペーサ36の厚さと同じ厚さに設定されている。また、他方のスペーサ37の、他方のポールピース15と対向する側には、Oリング41(図1(a)に図示)が収容される閉ループのOリング溝42(図1(a)に図示)が形成されている。その場合、Oリング溝42は、コイル溝23を内側に囲むようにして形成されている。また、この他方のスペーサ37の、一方のスペーサ36と対向する側には、電子通路29の残部を構成する電子通路溝43(図1(a)および(b)に図示)が形成されている。そして、一対のスペーサ36、37が図1(a)および(b)に示すように重ね合わされたとき、一対の電子通路溝40、43が対向して、1つの電子通路29が形成されるようになっている。
【0028】
更に、電子通路29は、図10(a)に示すように、一対のスペーサ36、37のうちのいずれか一方(例えば37)にのみ、図1(a)の場合の電子通路溝40、43の深さ寸法を合わせた深さの電子通路溝43を設けて、形成してもよい。その場合、スペーサ36は電子通路溝のないものとなる。
【0029】
また更に、電子通路29は、図10(b)および(c)に示すように、スペーサ36、37には電子通路溝を設けず、図1(a)の場合の電子通路溝40、43の深さ寸法を合わせた厚さの第3のスペーサ50をスペーサ36、37の間に挿入して、形成してもよい。
【0030】
そして、各Oリング38、41をそれぞれOリング溝39、42に嵌合させた状態で、一対のポールピース基板100、101の間に一対のスペーサ36、37を介在させかつ外形がすべて一致するようにして重ね合わせる。この状態で、Oリング溝39、42より外側において、所定数のビス44を一方のポールピース基板100および一対のスペーサ36、37を貫通させ.て他方のポールピース基板101にねじ込むことで、一対のポールピース基板100、101と一対のスペーサ36、37とを一体に固定する。
【0031】
このように各ポールピース基板100、101および各スペーサ36、37が一体に固定された状態では、コイル18、19は、それぞれ閉ループのOリング38、41内に位置して、これらのOリング38、41によってポールピース基板100、101とスペーサ36、37との間に封じ込められるようになる。また、一対のポールピース基板100、101はそれぞれコイル溝22、23より外側に張り出す張り出し部45、46を有するようになり、これらの張り出し部45、46は磁界の滲み出しを抑えるシャントの役割も果たすようになる。
【0032】
更に、一対のポールピース基板100、101の側面には、ヨーク47が固定されている。このヨーク47により1つの磁気回路が完成され、電子偏向マグネット13が構成されるようになる。
【0033】
このように構成されたこの例の電子偏向マグネット13は、電子顕微鏡の真空容器内に軸合わせされて固定される。このとき、前述のようにコイル18、19が、それぞれ閉ループのOリング38、41によってポールピース基板100、101とスペーサ36、37との間に封じ込められているので、これらのOリング38、41で囲まれたコイル付近は大気のままで電子通路29を排気することができるようになる。
【0034】
この例のエネルギフィルタ12によれば、スペクトロメータ8の電子偏向マグネット13の一対のコイル18、19を閉ループのOリング38、41により真空内に持ち込まないようにしているので、電子顕微鏡1内の真空の劣化が防止でき、電子顕微鏡1の性能が損なわれることはない。
【0035】
また、コイル18、19をそれぞれポールピース基板100、101のコイル溝22、23に直接組み込むようにしているので、これらのコイル溝22、23を小さくでき、磁界のシールドを効率よくできる。
【0036】
更に、一対のスペーサ36、37にそれぞれ形成された一対の電子通路溝40、43により1つの電子通路29を形成しているので、前述の従来の第1の方法における複雑な形状を有するチューブ30のような加工の困難性および洗浄の困難性がない。しかも、スペーサ36、37を2分割構成にしているので、スペーサの加工がより一層容易となる。
【0037】
更に、電子通路29内にチューブ30を収容しないので、ポールピース14、15の間の間隔を大きくする必要がなくなる。したがって、電子偏向マグネット13をコンパクトに形成できるとともに、電源を大きくしなくても済むようになる。
【0038】
更に、磁界の滲み出しを防止するシャントを、ポールピース基板100、101の張り出し部45、46でこれらのポールピース基板100、101と一体に形成しているので、これらの組立精度を考慮しなくて済むようになり、電子偏向マグネット13の組立性が向上する。
【0039】
なお、前述の例のスペクトロメータ8を1つの電子偏向マグネット13で構成しているが、スペクトロメータ8を複数の電子偏向マグネット13で構成することもできる。例えば、同じ2つの電子偏向マグネット13、13’でエネルギフィルタ8を構成する場合には、図4に示すように、定盤48の上に、これら2つの電子偏向マグネット13、13’を固定するようにする。その場合、2つの電子偏向マグネット13、13’のヨーク47、47’が固定されない側面どうしを対向するようにして2つの電子偏向マグネット13を定盤48に固定する。なお、電子偏向マグネット13’の各構成要素の符号は、電子偏向マグネット13の対応する構成要素の符号に「’」を付したものを用いることで、それらの詳細な説明は省略する。
【0040】
また、図4に示す例のスペクトロメータ8では、互いに個別形成された2つの電子偏向マグネット13、13’を用いているが、図5に示すように、2つの電子偏向マグネット13、13’の各構成要素のうち、ポールピース14とポールピース14’およびポールピース15とポールピース15’をそれぞれポールピース基板100と101に一体に形成するとともに、スペーサ36とスペーサ36’、スペーサ37とスペーサ37’、電子通路溝40と電子通路溝40’、電子通路溝43と電子通路溝43’を、Oリング溝39とOリング溝39’、Oリング溝42とOリング溝42’、Oリング38とOリング38’、およびOリング41とOリング41’を、それぞれ、1つの大きなスペーサ36、37、1つの大きな電子通路溝40、43、1つの大きなOリング溝39、42、および1つの大きなOリング38、41で構成することもできる。この場合、図5に示す定盤48は用いなくともよい。
【0041】
更に、電子通路29は、図11(a)に示すように、一対のスペーサ36、37のうちのいずれか一方(例えば37)にのみ、図5の場合の電子通路溝40、43の深さ寸法を合わせた深さの電子通路溝43を設けて、形成してもよい。その場合、スペーサ36は電子通路溝のないものとなる。
【0042】
また更に、電子通路29は、図11(b)に示すように、スペーサ36、37には電子通路溝を設けず、図5の場合の電子通路溝40、43の深さ寸法を合わせた厚さの第3のスペーサ50をスペーサ36、37の間に挿入して、形成してもよい。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のエネルギフィルタによれば、マグネットのコイルをシール部材により真空外に位置させているので、電子顕微鏡内の真空の劣化を防止でき、電子顕微鏡の性能が損なわれるのを阻止できる。
【0044】
また、一対のスペーサにそれぞれ形成した一対の電子通路溝により1つの電子通路を形成しているので、従来のチューブに比べて、加工を容易にできるとともに洗浄を簡単にできる。
【0045】
更に、電子通路内にチューブが収容されないことから、一対のポールピースの間の間隔を大きくする必要がなくなるので、マグネットをコンパクトに形成できるとともに、小さい電源で済ませることができる。
【0046】
更に、磁界の惨み出しを防止するシャントを、ポールピースの張り出し部でこれらのポールピースと一体に形成しているので、これらの組立精度を考慮しなくて済むようになり、マグネットの組立性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるエネルギフィルタの実施の形態の一例に用いられるスペクトロメータの電子偏向マグネットを示す図である。(a)は断面図、(b)は組立図である。
【図2】図1に示す例の電子偏向マグネットのポールピース基板を示し、(a)はコイル溝が形成された面を示す図、(b)は(a)におけるIIB−IIB線に沿う断面図である。
【図3】図1に示す例の電子偏向マグネットのスペーサを示し、(a)は電子通路溝が形成された面を示す図、(b)はOリング溝が形成された面を示す図である。
【図4】互いに個別に構成された複数個の電子偏向マグネットから構成されたエネルギフィルタを示す図である。
【図5】複数個の電子偏向マグネットの構成要素のうち、いくつかを一体に形成し、また他のいくつかを1つの大きな共通の部材で形成したエネルギフィルタを示す図である。
【図6】電子光学系にエネルギフィルタを組み込んだ従来の電子顕微鏡の一例を模式的に示す図である。
【図7】従来のスペクトロメータに用いられている電子偏向マグネットの一例を示す図である。(a)は断面図、(b)は組立図である。
【図8】図7示す従来例の電子偏向マグネットの有する問題を解決する第1の方法を示す図である。
【図9】図7示す従来例の電子偏向マグネットの有する問題を解決する第2の方法を示す図である。
【図10】本発明にかかる図1のスペーサのその他の例を示す図である。(a)はその第1の例、(b)は第2の例、(c)は第2の例の組み立て図。
【図11】本発明にかかる図5のスペーサのその他の例を示す図である。(a)はその第1の例、(b)は第2の例。
【符号の説明】
8…スペクトロメータ、12…オメガ型エネルギフィルタ、13…電子偏向マグネット、14、15、16、17…ポールピース、18、19、20、21…コイル、22、23、24、25…コイル溝、26、27…間隙、28…通路、29…電子通路、36、37…スペーサ、38、41…Oリング、39、42…Oリング溝、40、43…電子通路溝、45、46…張り出し部、47…ヨーク、48…定盤、50…第3のスペーサ、100、101…ポールピース基板
Claims (4)
- 電子顕微鏡の真空内に配設され、少なくとも一個ないし複数のマグネットにより構成されたエネルギフィルタに入射してきた電子のうち、特定のエネルギを持つ電子を出射させる前記エネルギフィルタにおいて、
前記マグネットは、一面側にコイル溝がそれぞれ設けられ、これらのコイル溝に囲まれた部分が前記マグネットのポールピースを形成し、これらのポールピースが互いに対向するようにして配設された一対のポールピース基板と、これらのポールピース基板の外形と同じ形状であり、これらの一対のポールピース基板の間に分設された平板からなる一対のスペーサと、前記コイル溝にそれぞれ収容されたコイルと、前記一対のポールピース基板の各側面間に固定されたヨークとを備え、
前記一対のスペーサの互いに対向する側に少なくとも一つの電子通路が形成され、更に、前記ポールピース基板とそれに対向するスペーサ間に、前記コイル溝を内側に囲むようにシール部材がそれぞれ配置されており、これらシール部材によって前記コイル溝に収容された前記コイルをポールピース基板とスペーサとの間に封じ込め、前記コイルを前記真空外に位置するようにされていることを特徴とするエネルギフィルタ。 - 前記一対のポールピース基板に、それらのコイル溝より外側に張り出すようにして張り出し部が形成されており、この張り出し部で磁界の滲み出しを防止するシャントが構成されていることを特徴とする請求項1記載のエネルギフィルタ。
- 前記マグネットが複数個定盤に固定されていることを特徴とする請求項1または2記載のエネルギフィルタ。
- 前記ポールピース基板の前記一面側には複数のコイル溝が設けられ、それらのコイル溝にはそれぞれコイルが収容されており、それら複数のコイル溝を内側に囲むように、前記ポールピース基板とそれに対向するスペーサ間に1つのシール部材が配置されていることを特徴とする請求項1または2記載のエネルギフィルタ。
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