JP3774609B2 - 画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やページプリンタ、ファクシミリ等に用いられる画像形成装置及びプロセスカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レーザービームプリンターや複写機といった電子写真方式による電子写真画像形成装置では、粉体状の現像剤、例えばトナーを使用している。
【0003】
トナーは現像容器内に収容され、トナー搬送手段によりトナー担持体へ搬送され、トナー担持体上に保持される。そしてトナー層厚規制部材、例えばドクターブレードにより所定の電荷を付与され、像を担持する像担持体上の静電潜像形成部へ移動し、感光体上の静電潜像を可視化する。その後この可視像は転写手段により紙等の転写材へ転写され、定着装置により定着される。転写材に転写されずに像担持体上に残ったトナーは、像担持体上に当接されたクリーニング装置により像担持体上から剥ぎ取られクリーニング容器に送られる。以上で一連の画像形成プロセスが終了し、ユーザーは所望の画像を得ることができる。
【0004】
ところで現像法の1つとしては、画像形成装置の現像剤担持体を像担持体と非接触に保持しながら、像担持体上の潜像の現像を行うジャンピング現像法が知られている。ジャンピング現像法を採用した画像形成装置の一例として、図1に示す画像形成装置について説明する。
【0005】
図1の画像形成装置では、現像容器3内に収容されたトナーを現像剤担持体、例えば現像スリーブ10上に保持し、現像スリーブ10が図中矢印b方向に回転することにより、保持されたトナー8が像担持体としての感光体1と対向した現像領域へ向けて搬送される。その搬送途上でトナー8は、現像スリーブ10と当接されたドクターブレード9により規制されて、現像スリーブ10上に薄層状に塗布される。現像領域において現像スリーブ10と感光体1とは、50〜500μmの間隙を隔てて保持されており、バイアス電源12により現像スリーブ10に、直流に交流を重畳した現像バイアスを印加することにより、現像スリーブ10上に薄層状に塗布されたトナー8が感光体1上の静電潜像に飛翔、付着して、潜像がトナー像として可視化される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
高温高湿環境下において、画像流れという問題がある。「画像流れ」とは、感光ドラム上に低抵抗物質が付着して、像担持体上の帯電されている部分の電荷が潜像部に流れ込み、画像が欠落してしまうことである。この画像流れは、感光ドラム表面の結露により発生することもあるが、多くは転写材に含有されるタルク、あるいはOHT(Over Head Thin film)に含まれる界面活性剤が感光ドラム表面に付着することが起因となり発生する。
【0007】
一般の転写材に含まれていることの多いタルクは、帯電装置から発生するオゾンによって生成される酸化物と、高湿による水分とが化合して、像担持体上に低抵抗物質であるオゾン生成物が発生し、画像流れを引き起こす。
【0008】
このように上記問題は転写材に左右されやすく、従来の画像形成装置においては、高解像・高精細な画像、耐久安定性及び画像流れを共に解決することは難しかった。
【0009】
また、感光ドラムの表面を削れ易くして、良好な画像を長期間形成できるような提案もされている(特公平4−78984号公報、および特開平1−206348)。しかし、画像流れの防止の問題は、感光ドラムの材料設計だけでは十分に解決できない。
【0010】
そこで、本発明の目的は、画像流れの弊害を抑え、安定した高品位な画像形成が可能な画像形成装置を提供することである。
【0011】
また、本発明の目的は、画像濃度を良化させつつ、画像流れ、外添剤のすり抜けなどの弊害を抑え、安定して高品位な画像形成が可能な画像形成装置を提供することである。
【0012】
さらに、本発明の目的は、画像流れ、外添剤のすり抜けなどの弊害を抑え、安定して高品位な画像形成が可能で、更にはメンテナンスの必要のないプロセスカートリッジを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、本発明に係る画像形成装置及びプロセスカートリッジにて達成される。
【0014】
即ち、本発明は、少なくとも、導電性基体および該導電性基体上に形成された感光層を有する感光体と、ネガ性トナーを含む現像剤と、該現像剤を担持し現像領城へ搬送するための現像剤担持体と、該現像剤担持体上に当接し現像剤の塗布量を規制するための規制部材と、該感光体に当接するクリーニングブレードとを有し、現像剤担持体に該現像剤を担持させ該現像剤を該現像領域へ搬送させ該現像剤担持体に現像バイアスを印加することによって該感光体上に形成された静電潜像を反転像する画像形成装置であって
該感光層が、1.5×10以下の粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂(I)の少なくとも一種と、1.5×10より大きい粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂(II)の少なくとも一種とを含有し、該感光層に含有される該ポリカーボネート樹脂(I)の割合が、該感光層に含有される該ポリカーボネート樹脂(I)と該ポリカーボネート樹脂(II)の総量を基準として30重量%〜95重量%である画像形成装置において、
現像剤担持体上における該規制部材により規制後の現像領域での現像剤の塗布量が、1.5mg/cm以下であり、
該ネガ性トナーには、粒径の個数平均値が5×10 −3 μm〜3μmであるチタン酸ストロンチウムの微粉体粒子が0.1重量%〜5.0重量%で外添されている
ことを特徴とする画像形成装置に関する。
【0015】
さらに本発明は、少なくとも、導電性基体および該導電性基体上に形成された感光層を有する感光体と、ネガ性トナーを含む現像剤と、該現像剤を担持し現像領域へ搬送するための現像剤担持体と、該現像剤担持体上に当接し前記現像剤の塗布量を規制するための規制部材と、該感光体に当接するクリーニングブレードと一体化したプロセスカートリッジであって
現像剤担持体に該現像剤を担持させ該現像剤を該現像領域へ搬送させ該現像剤担持体に現像バイアスを印加することによって該感光体上に形成された静電潜像を反転像する画像形成装置本体に対して脱離可能に装着されるプロセスカートリッジであって、
該感光層が、1.5×10以下の粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂(I)の少なくとも一種と、1.5×10より大きい粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂(II)の少なくとも一種とを含有し、該感光層に含有される該ポリカーボネート樹脂(I)の割合が、該感光層に含有される該ポリカーボネート樹脂(I)と該ポリカーボネート樹脂(II)の総量を基準として30重量%〜95重量%であるプロセスカートリッジにおいて、
現像剤担持体上における該規制部材により規制後の現像領域での現像剤の塗布量が、1.5mg/cm以下であり、
該ネガ性トナーには、粒径の個数平均値が5×10 −3 μm〜3μmであるチタン酸ストロンチウムの微粉体粒子が0.1重量%〜5.0重量%で外添されている
ことを特徴とするプロセスカートリッジに関する。
【0016】
上記発明の構成において、画像流れの主原因である転写材に含まれるタルクが感光ドラム表面に付着したとしても、感光ドラム表層の材料のポリカーボネート樹脂の分子量を高いものと低いものとを混合させ、現像スリーブ上のトナー塗布量を少なくすることで、感光ドラム表層の削れを促進させ、タルクを感光ドラム表層ごと削り取ってしまい、画像流れを防止することができる。
【0017】
さらに、上記発明の構成において、トナーにチタン酸ストロンチウムの微粉体粒子を外添すると、外添されているチタン酸ストロンチウムの微粉体粒子が研磨剤として働き、感光ドラム表層の削れを更に促進させ、画像流れ防止に大きな効果をもたらす。また、感光ドラム表面の円周方向にトナーが融着する現象(フィルミング)や、外添剤がクリーニングブレードをすり抜けてクリーニング不良を起こす現象の発生防止にも貢献する。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1に本発明を適用する電子写真プロセスを用いたLBPの一例の概略構成図を示す。図1は従来の説明で用いたが、画像形成のプロセス自体は従来と同様であるため、この図を用いる。
【0019】
1は電子写真感光体、例えば感光ドラムであり、OPC感光体からなっている。感光ドラムの回転スピード、即ち、プロセススピードは100mm/secで、a方向に回転する。感光ドラム1上に帯電ローラ2によって一様帯電を行う。次にレーザースキャナー4によって画像信号に応じて露光する。レーザースキャナー4は、半導体レーザーの点滅をポリゴンスキャナーで走査し、光学系により感光ドラム1上に結像させる。これにより静電潜像がつくられる。つくられた静電潜像は、現像容器3で現像される。現像は、ジャンピング現像等の現像法が用いられ、記録するところを、レーザーを点灯し、潜像の電荷をなくすイメージ露光と、電荷の少ない方にトナーを付着させる、反転現像が組み合わせて用いられる。
【0020】
現像された画像は、転写材102に転写される。転写材102は、カセット100に収められており、給紙ローラー(不図示)によって1枚ずつ給送される。ホストからプリント信号が送られると、給紙ローラーにより給紙が行われ、転写ローラー13で転写材上にトナー像が転写される。転写ローラー13は、導電性の弾性体で、感光ドラム1と転写ローラー13で形成されるニップ部で、バイアス電界によって静電的に転写が行われる。
【0021】
画像が転写された転写材102は、定着器101で定着される。一方、転写残りのトナーはクリーニングブレード7によってクリーニングされる。
【0022】
また現像スリーブ上において、現像ブレードにより規制後の現像領域でのトナーの塗布量を1.5mg/cm以下の薄層にすることにより、現像スリーブと現像ブレード間でのトナーの電荷付与を確実に安定して行われ、転写後に残る不安定なトナーを少なくし、クリーニングブレード当接部で潤滑剤としても働くトナー量を少なくして、感光ドラム表層の削れを促進させ、タルクを感光ドラム表層ごと削り取ってしまい、画像流れを防止することができる。
【0023】
図2は本発明に用いる感光ドラム1の部分を詳しく示した図である。
【0024】
感光ドラム1は、基体21、電荷発生層22及び電荷輸送層23からなる。基体21としては、アルミニウム、ステンレスなどの金属、紙、プラスチックなどの円筒状シリンダーまたはフィルムが用いられる。
【0025】
電荷発生層22は、電荷発生顔料を0.5〜4倍量の結着剤樹脂および溶剤と共に、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルなどの方法でよく分散し、塗布・乾燥されて形成される。その厚みは0.1〜1μm程度である。
【0026】
電荷輸送層23は、電荷輸送性物質と前述のポリカーボネート樹脂(I)及び(II)のブレンド組成物を溶剤に溶解して電荷発生層上に塗布される。電荷輸送性物質とポリカーボネート樹脂ブレンド組成物の混合割合は2:1〜1:2程度である。溶剤としてはシクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、THFなどのエーテル類、クロルベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素などの塩素系炭化水素類などが用いられる。
【0027】
一般に樹脂の強度(耐摩耗性、硬度)は分子量の増加と共に高くなるが、更にある分子量以上になると、分子量が増加しても強度はもはや大きくならず一定値を示す。一方、分子量が低くなると強度は徐々に低下し、更にある分子量以下になると急激に低下する。
【0028】
ポリカーボネート樹脂の場合、この強度が急激に低下する分子量が1.5×10〜2.0×10であるため、これより低分子量の樹脂をある程度含有することにより、適度な摩耗性を付与することができるものである。
【0029】
そして、このようなポリカーボネート樹脂を含有する感光層は適度な摩耗性を有するために、感光層表面が微小な摩耗によりオゾン生成物などの低抵抗付着物が除去されやすく、表面が清浄に保たれるので画質劣化を引き起こしずらい。ただし、低分子量成分を含有させていない表面に対しては、摺擦等の機械的外力に対しては弱くなる方向であり、画像形成を重ねると多量に摩耗する部分と少量しか摩耗しない部分が発生し、結果的に少量しか摩耗しない部分では低抵抗付着物が完全に除去されない場合があり、画像流れには若干不利な方向に働く。
【0030】
本発明におけるポリカーボネート樹脂(I)と(II)のブレンド組成物の組成比は、粘度平均分子量1.5×10以下のポリカーボネート(I)が前述のブレンド組成物に対して30重量%〜95重量%の割合が好ましい。
【0031】
ポリカーボネート(I)が30重量%より少ないと適度な摩耗性が付与されず、前述のごとき効果が認められなくなる。他方、95重量%を超えてしまうと摩耗性の過多や粘度低下といった問題がある。またポリカーボネート(I)の分子量は、前述のように強度に急激な変化が生ずる1.5×10以下が望ましい。
【0032】
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量の測定は次のように行う。
【0033】
試料0.5gを精秤して、メチレンクロライド100mlに溶解し、この溶液をウベローデ型粘度計を用いて、25℃における比粘度を測定する。この比粘度から極限粘度を求め、Mark−Houwinkの粘度式により粘度平均分子量を算出する。
【0034】
ポリカーボネート樹脂(I)の粘度平均分子量は、1×10以下がより好適であり、4×10〜1×10の範囲が特に好適である。ポリカーボネート樹脂(II)の粘度平均分子量は、8×10以下が特に好適である。
【0035】
本発明に用いられる好ましいポリカーボネート樹脂は、下記一般式(A)で示される繰り返し単位の1種又は2種以上を成分とする線状ポリマーを含有するものである。
【0036】
【外1】
Figure 0003774609
(式中、R及びRは、それぞれ水素原子、アルキル基又は芳香族基である。またRとRとで、結合している炭素原子と共に環状構造を形成してもよい。X、X、X及びXはそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基を表す。)
電荷輸送性物質としては、トリアリールアミン系化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン系化合物、オキサゾール系化合物、トリアリルメタン系化合物、チアゾール系化合物などが挙げられる。
【0037】
次に現像スリーブの現像位置でのトナーのコート量が1.5mg/cm以下となるための現像装置の一例の断面図を図3に表す。
【0038】
現像スリーブ10に対して、現像剤規制部材である弾性体の現像ブレード9を当接させる。現像スリーブ10は、φ16mmの非磁性のアルミスリーブで、表面を導電性粒子を含有する樹脂層でコートした表面粗さRa=1.0μmのスリーブである。
【0039】
現像ブレード9は、ゴム硬度JISAで40°のシリコーンゴムを現像スリーブ10に対して当接力P(スリーブ長手方向についての1cm当たりの当接荷重gf/cm)を35gf/cmで当接するように、現像容器に設置している。また、現像スリーブ10と現像ブレード9の当接巾(ニップ)は1.0mm、当接最上流位置(現像スリーブ10回転方向の上流)から現像ブレード9自由端までの距離を1.7mmとしている。
【0040】
現像スリーブ10内にはマグネットロール11を固定配置する。現像容器3内には一成分磁性トナー8があり、撹拌で現像スリーブ10付近に送られた後、マグネットロール11の形成する磁界作用で現像スリーブ10に供給されて、現像スリーブ10の回転とともに搬送される。その後、現像ブレード9との当接部でトリボ付与と層厚規制を受けて現像領域へ搬送される。
【0041】
現像スリーブ10には、直流に交流を重畳した交互電圧を電源12で印加して感光ドラム1との間に現像電界を形成し、その電界に従って静電潜像の現像を行う。現像スリーブ10には、直流電圧:Vdc=−500Vに、AC:矩形波Vpp=1600V,f=1800Hzを重畳した現像バイアスを印加する。現像スリーブ10と感光ドラム1は最近接位置で300μmのギャップを保って対向している。感光ドラム1は帯電電位Vd=−700Vに均一帯電され、画像信号に従いレーザーで露光されてその部分がV1=−150Vになる。V1部を負帯電性トナーで反転現像する。
【0042】
また、感光ドラムの表面の削れを促進させ、画像流れ防止を一層効果的に解決する上で、現像剤として、トナーに、研磨剤として作用する微粉体粒子を外添することが有効である。
【0043】
外添剤である微粉体粒子の中でも金属酸化物粒子は、トナー8より非常に硬度の高いものであるため、クリーニング装置のクリーニングブレード7と感光ドラム1の当接部において、金属酸化物粒子が研磨剤として働き、感光ドラム1表層の削れを促進させる。また、金属酸化物粒子として、チタン酸ストロンチウムは、反転現像の画像形成装置においては白地部に現像されやすい。特に、現像スリーブ10上のトナー8のコート量が1.5mg/cm以下と薄層にすることは、現像スリーブ10と現像ブレード9の当接部でのトナー8への帯電付与が確実に行われるため、チタン酸ストロンチウムは高いプラスの電荷量を持つことになり、白地部への現像力が増大する。
【0044】
白地部には少量の反転性トナーが付着しているだけであるため、印字部よりタルクが直接感光ドラム1表面に付着する量が多く、画像流れを引き起こしやすい。そのため、チタン酸ストロンチウムを用いることで、白地部に現像し、感光ドラム1表面に付着したタルクを削り取ることができ、画像流れを防止することができる。また、通常プリントされる画像は文字が多いため、1枚の転写材102の中では白地部の面積が圧倒的に多い。チタン酸ストロンチウムであれば、その白地部に現像され感光ドラム1表層の削れを促進させることから、感光ドラム1表面を均一に削り取ることができ画像ムラも発生しない。
【0045】
また、微粉体粒子の粒径が小さすぎると、転写後の感光ドラム1表面に付着した微粉体粒子はクリーニングブレード7で掻き取られずにすり抜けてしまい、白地の画像上で薄い縦スジが発生するクリーニング不良を起こしやすい。このクリーニング不良の発生を防止し、上記画像流れも防止するためには、粒径を5×10−3μm〜3μmにすることが望ましい。
【0046】
微粉体粒子の粒径は、電子顕微鏡で撮影された写真から、ランダムに100乃至200個を抽出し、ノギス等の測定機器を用いてそれぞれの長径を測定し、平均化した個数平均値である。
【0047】
更には、この微粉体粒子の含有量が多いと、感光ドラム1円周方向上にトナーが融着する現象(以下、フィルミングと記す。)が発生することがわかった。含有量が多いと、この微粉体粒子が凝集して感光ドラム表面を傷つけてしまい、そこにトナーが付着してしまうためである。検討の結果、これらフィルミングを防止し、画像流れ発生の防止を満足するには、微粉体粒子の含有量が0.1重量%〜5.0重量%であれば良いことがわかった。
【0048】
好ましい微粉体粒子としては、シリカ、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、および酸化亜鉛などが用いられる。
【0049】
トナー8としては、MI3〜30、重量平均粒径3.5〜7.0μmの範囲のものが好ましい。
【0050】
MIはメルトインデックスで日本工業規格の熱可塑性プラスチックの流れ試験方法JIS K7210記載の装置を用いて、下記測定条件下、手動切り取り法で測定を行う。この時、測定値は10分値に換算する。
測定温度 :125℃
荷重 :10kg
試料充填量:5〜10g
参考例1
(感光ドラム)
図2に示される感光ドラムが用いられた。
【0051】
基体21は、直径30mmのアルミニウムシリンダーである。電荷発生層22は、次のように形成した。電荷発生顔料としてオキシチタニウムフタロシアニン4部(重量)、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM2,積水化学製)2部およびシクロヘキサノン60部からなる分散液を、浸漬法によりアルミシリンダー表面に塗布し、乾燥して0.3μm厚の電荷発生層を形成した。
【0052】
電荷輸送層23は次のようにして形成した。電荷輸送物質として、下記構造式で示されるアミン化合物9部、ポリカーボネート樹脂9.5部、ポリテトラフルオロエチレン(商品名:ルブロンL−2,ダイキン社製,粒径0.5μm)2部、モノクロロベンゼン50部およびジクロロメタン50部からなる塗料を、浸漬法により電荷発生層上に塗布乾燥して、20μm厚の電荷輸送層を形成した。
【0053】
【外2】
Figure 0003774609
ポリカーボネート樹脂としては、次の2種のものを用いた。
【0054】
ポリカーボネート樹脂(I):一般式(A)で示される樹脂で、X=CH,X=H,X=CH,X=H,R=CHおよびR=CHであり、粘度平均分子量が5×10、ポリカーボネート樹脂(II):一般式(A)で示される樹脂で、X=CH,X=H,X=CH,X=H,R=CHおよびR=CHであり、粘度平均分子量が2×10、ポリカーボネート樹脂(I)の含有量は、ポリカーボネート樹脂の総量を100重量部としたとき40重量部、即ち40重量%である。
【0055】
(現像剤)
トナー8としては負帯電性磁性一成分トナーを用いる。結着樹脂としてスチレン・n−ブチルアクリレート共重合体100重量部に、磁性体粒子80重量部、モノアゾ系鉄錯体の負荷電制御剤2重量部、ワックスとして低分子量ポリプロピレン3重量部を、140℃に加熱された二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミルで微粉砕し、得られた微粉砕物を風力分級して、重量平均粒径5.0μmの分級粉を得た。平均粒径5.0μmの分級品に疎水性シリカ微粉体1.0重量部を高速撹拌羽を有する混合機であるヘンシェルミキサー;三井三池化工機社製“Henschell Mixer”(Trademark),manufactured by Mitsuimiikekakouki Kabushiki Kaishaで混合し、現像剤を得た。定着性の指標MI(メルトインデックス)は20である。
【0056】
現像ブレード9は、予め加熱した型内に、シリコーン用プライマーを塗った厚さ60μmのステンレススチールを配置し、これにLTVシリコーンゴム(LSR SE6744;東レ・ダウコーニング社製)をLIM射出成型機により射出し、150℃で5分間後に型より取り出し、200℃で4時間熱処理して一体成型してゴム硬度40°のシリコーンゴムブレードを得た。
【0057】
上に述べた、感光ドラム、現像剤および現像ブレードを用いて、図1および図3に示す装置により、高温高湿(30℃,80%RH)環境における画像流れの評価を行った。
【0058】
通紙した転写材はタルクを含有している紙を使用し、通紙時の画像サンプルは4%の印字率である横線パターンを用いた。
【0059】
評価は、本実施例の感光ドラム1に、従来の現像装置である現像スリーブ10上のトナー8のコート量が2.5mg/cmの場合と、本実施例である本発明の現像装置から得る1.0mg/cmの場合について、4%印字のアルファベットと漢字の各パターンで文字部にスジが入る度合いで評価した。表1に10000枚通紙したときの評価結果を示す。
【0060】
【表1】
Figure 0003774609
【0061】
表1に示すように、現像スリーブ10上のトナー8のコート量が多いと、3000枚より画像流れが発生した。この理由は次の通りである。現像スリーブ10上のトナーコート量が多いことにより、感光ドラム1へ現像されるトナー量が多くなる。そのトナー8の中には適正な電荷を持っていないトナー8も多く含まれているため、転写時に転写材102側に飛ばず、感光ドラム1側に残ってしまうトナー8も多くなる。この多くの転写残トナーが、クリーニング装置内のクリーニングブレード7で掻き分けられることになる。そうなると、クリーニングブレード7と感光ドラム1の当接部には、多くのトナーが介在して、この一部がクリーニングブレード7の潤滑剤として働くため、感光ドラム1を削る作用が小さくなり、感光ドラム1表面にタルクが付着して画像流れが発生したことによる。現像スリーブ10上のコート量が2.5mg/cmの場合、感光ドラム1表層の削れ量は、1000枚当たり0.8μmであった。
【0062】
これに対し現像スリーブ10上のコート量が1.0mg/cmの場合は、6000枚より画像流れが発生するものの実用上問題ないレベルであり、10000枚まではそれ以上悪化することはなかった。この時の感光ドラム1表層の削れ量は、1000枚当たり1.1μmであり、クリーニングブレード7と感光ドラム1の当接部に介在するトナーが少なくなり、画像流れを防止する作用に相当する感光ドラム1の削れ量を得ることができることを確認した。
【0063】
更に、上記評価において、10000枚での現像スリーブ10上のトナー8のコート量に対する画像流れの発生レベルを評価したところ、表2のようになった。
【0064】
【表2】
Figure 0003774609
【0065】
表2からわかるように、画像流れを抑制し、実用上問題のない程度まで効果が得られるのは、現像スリーブ10上のトナー8のコート量が1.5mg/cm以下であることを確認した。
【0066】
また、本発明の構成において、常温常湿(25℃,60%RH)、低温低湿(15℃,10%RH)、高温高湿(30℃,80%RH)環境下での耐久試験を行った結果、本発明の構成に伴う弊害はなく、いずれの環境下でも高画質な画像を安定して得ることを確認した。
【0067】
以上のように、ポリカーボネート樹脂の平均分子量の高いものと低いものを含有した感光ドラムを用い、かつ現像スリーブ上において、現像ブレードにより規制後の現像領域でのトナーの塗布量が、1.5mg/cm以下の薄層にすることにより、感光ドラム表層の削れを促進させ、感光ドラム表面に付着したタルクを感光ドラム表層ごと削り取ってしまい、画像流れを防止し、安定した画像を得ることができる。
【0068】
実施例
本実施例では、参考例1のトナーの分級品に微粉体粒子を外添したもので、現像スリーブ上のトナーのコート量が1.5mg/cm以下である。
【0069】
具体的に説明すると、参考例1に使用したトナー8の分級品に、金属酸化物粒子として一次粒径が1.8μm、2.0重量%のチタン酸ストロンチウムを加えて、ヘンシェルミキサーで混合・外添した。
【0070】
以上のようなトナー8を用いて、現像スリーブ10上のトナー8のコート量を1.0mg/cmとして、微粉体粒子であるチタン酸ストロンチウムの有無についての画像流れの評価を行った。他の画像形成条件は参考例1と同じである。
【0071】
表3にその評価結果を示す。
【0072】
【表3】
Figure 0003774609
【0073】
参考例1でも述べたように、現像スリーブ10上のトナー8のコート量を少なくすることで、感光ドラム1表層の削れ量を促進させ、10000枚まで実用上問題ないレベルまでに達することができたが、更に微粉体粒子であるチタン酸ストロンチウムをトナーに外添させることで、より多く感光ドラム表層を均一に削ることができ、表3のように10000枚通しても全く画像流れは発生しなかった。この時の感光ドラム表層の削れ量は1000枚当たり1.5μmであり、微粉体粒子が無い場合が1.1μmであったため、より多く削られていることを確認した。
【0074】
以上のように、本発明の構成に、微粉体粒子をトナー8に外添したものを使用することにより、外添されている微粉体粒子が研磨剤として働き、感光ドラム1表層の削れを促進させ、画像流れ防止に大きな効果をもたらす。また、微粉体粒子の外添により、感光ドラム1表面の円周方向にトナーが融着するフィルミングや、外添剤がクリーニングブレード7をすり抜けてクリーニング不良を起こす現象の発生防止を両立することもできる。
【0075】
実施例
本実施例は、感光ドラムと現像装置が具備されているプロセスカートリッジについてである。
【0076】
図4は本実施例のプロセスカートリッジの断面図である。
【0077】
参考例1で用いた感光ドラム1と、その感光ドラム1表面を帯電させる帯電装置2、感光ドラム1表面の潜像を可視化させるための現像装置3、転写後に転写されずに感光ドラム1上に残ったトナー8をクリーニングするクリーニング装置14が一体化して、画像形成装置本体に脱着可能になっている。画像形成プロセス条件は参考例1と同様にしてある。
【0078】
一般的に感光ドラム1は、帯電装置2の帯電による放電により、感光ドラム1表面が劣化し削れやすくなっていく。そのため、新品の感光ドラム1は、使用初期においては削れにくい。例えば、参考例1において、ポリカーボネート樹脂としてX=CH,X=H,X=CH,X=H,R=CHおよびR=CHのポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量4×10)を用いた感光ドラム1の1000枚おきの削れ量の推移を図5に破線に示した。初期より1000枚までの削れ量は少なめで、それ以降は安定している。よって、感光ドラム1表層の削れ量が少ない使用初期において、画像流れが発生しやすい。
【0079】
そこで、実施例で述べたような現像スリーブ10上のトナー8のコート量を1.5mg/cm以下とし、トナー8にチタン酸ストロンチウムの微粉体粒子を外添することで、感光ドラム1表層の削れ量を安定させることができる。
【0080】
これは、研磨剤として使用するこの外添剤が、現像スリーブ10上のトナー8のコート量を1.5mg/cm以下の薄層とすることで、高い電荷量を付与されて現像力が増大し、使用初期に多量に現像される傾向にあるため、感光ドラム1表面はその研磨剤が多く付着した分だけ多く削るからである。
【0081】
例えば、実施例で使用したチタン酸ストロンチウムを外添したトナーにおいて、4%の印字率で通紙した場合の1000枚おきのチタン酸ストロンチウムの感光ドラムへの現像量を図6に示した。チタン酸ストロンチウムは、白地部に飛びやすいことから初期は多量に現像されやすく、その後はトナー中に含まれているチタン酸ストロンチウム量が減っていくため、現像量も減っていく。
【0082】
以上のように、感光ドラム1が削れにくい初期の場合には研磨剤を多めに使い、感光ドラム1が削れやすくなった場合は研磨剤の量を抑えることで、感光ドラム1の削れ量を安定させることができるということである。
【0083】
本実施例では、チタン酸ストロンチウムを1.5重量%で外添したトナー8を用いて、感光ドラム1の削れ量を確認した。その結果が図5の実線である。おおよそ、感光ドラム1の削れ量が使用寿命まで安定していた。また、画像流れ評価を行ったが、10000枚まで発生が無かったことを確認している。
【0084】
よって上記効果を得るためには、新品の感光ドラムに対し、新品の現像装置の組み合わせが必要となる。そこで、本実施例のように少なくとも感光ドラムと現像装置を一体化したプロセスカートリッジにすることで、感光ドラム表面の削れ量が最適化された形態でユーザーに提供することができる。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、画像流れの主原因である転写材に含まれるタルクが感光ドラム表面に付着したとしても、感光ドラム表層の材料のポリカーボネート樹脂の分子量を高いものと低いものを混合させ、現像スリーブ上のトナー塗布量を少なくすることで、感光ドラム表層の削れを促進させ、タルクを感光ドラム表層ごと削り取ってしまい、画像流れを防止することができる。
【0086】
また、本発明で用いるトナーに微粉体粒子を外添させれば、画像流れ防止に大きな効果をもたらす。
【0087】
さらに、本発明のプロセスカートリッジにおいて感光ドラムと現像装置を一体化にすることで、感光ドラム表面の削れ量が最適化された状態でユーザーに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る画像形成装置の側断面図である。
【図2】 本発明に係る感光ドラムの断面図である。
【図3】 本発明に係る現像装置の側断面図である。
【図4】 本発明に係るプロセスカートリッジの側断面図である。
【図5】 感光ドラムの削れ量推移を示すグラフである。
【図6】 消費した外添剤の重量比推移を示すグラフである。
【符号の説明】
1 感光ドラム(像担持体)
2 帯電ローラ
3 現像容器
7 クリーニングブレード
8 トナー(現像剤)
9 現像ブレード(規制部材)
10 現像スリーブ(現像剤担持体)
11 マグネットロール
12 電源
13 転写ローラ
100 転写材カセット
101 定着器
102 転写材

Claims (6)

  1. 導電性基体および該導電性基体上に形成された感光層を有する感光体と、ネガ性トナーを含む現像剤と、該現像剤を担持し現像領城へ搬送するための現像剤担持体と、該現像剤担持体上に当接し現像剤の塗布量を規制するための規制部材と、該感光体に当接するクリーニングブレードとを有し、現像剤担持体に該現像剤を担持させ該現像剤を該現像領域へ搬送させ該現像剤担持体に現像バイアスを印加することによって該感光体上に形成された静電潜像を反転像する画像形成装置であって
    該感光層が、1.5×10以下の粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂(I)の少なくとも一種と、1.5×10より大きい粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂(II)の少なくとも一種とを含有し、該感光層に含有される該ポリカーボネート樹脂(I)の割合が、該感光層に含有される該ポリカーボネート樹脂(I)と該ポリカーボネート樹脂(II)の総量を基準として30重量%〜95重量%である画像形成装置において、
    現像剤担持体上における該規制部材により規制後の現像領域での現像剤の塗布量が、1.5mg/cm以下であり、
    該ネガ性トナーには、粒径の個数平均値が5×10 −3 μm〜3μmであるチタン酸ストロンチウムの微粉体粒子が0.1重量%〜5.0重量%で外添されている
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記ポリカーボネート樹脂(I)の粘度平均分子量が1×10以下である請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記ポリカーボネート樹脂(I)の粘度平均分子量が4×10〜1×10であり、前記ポリカーボネート樹脂(II)の粘度平均分子量が8×10以下である請求項1に記載の画像形成装置。
  4. 導電性基体および該導電性基体上に形成された感光層を有する感光体と、ネガ性トナーを含む現像剤と、該現像剤を担持し現像領域へ搬送するための現像剤担持体と、該現像剤担持体上に当接し前記現像剤の塗布量を規制するための規制部材と、該感光体に当接するクリーニングブレードと一体化したプロセスカートリッジであって
    現像剤担持体に該現像剤を担持させ該現像剤を該現像領域へ搬送させ該現像剤担持体に現像バイアスを印加することによって該感光体上に形成された静電潜像を反転像する画像形成装置本体に対して脱離可能に装着されるプロセスカートリッジであって、
    該感光層が、1.5×10以下の粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂(I)の少なくとも一種と、1.5×10より大きい粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂(II)の少なくとも一種とを含有し、該感光層に含有される該ポリカーボネート樹脂(I)の割合が、該感光層に含有される該ポリカーボネート樹脂(I)と該ポリカーボネート樹脂(II)の総量を基準として30重量%〜95重量%であるプロセスカートリッジにおいて、
    現像剤担持体上における該規制部材により規制後の現像領域での現像剤の塗布量が、1.5mg/cm以下であり、
    該ネガ性トナーには、粒径の個数平均値が5×10 −3 μm〜3μmであるチタン酸ストロンチウムの微粉体粒子が0.1重量%〜5.0重量%で外添されている
    ことを特徴とするプロセスカートリッジ。
  5. 前記ポリカーボネート樹脂(I)の粘度平均分子量が1×10 以下である請求項4に記載のプロセスカートリッジ。
  6. 前記ポリカーボネート樹脂(I)の粘度平均分子量が4×10 〜1×10 であり、前記ポリカーボネート樹脂(II)の粘度平均分子量が8×10 以下である請求項4に記載のプロセスカートリッジ。
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