JP3773776B2 - 基板処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリカ化合物を含む溶液を塗布した半導体基板や液晶ガラス基板(以下、単に「基板」と称する)の周辺にアミン類のガスと水蒸気とを含む雰囲気を形成することによってシリカ化合物の架橋反応を進行させて基板上にSOG膜を形成する基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、基板に対しては層間絶縁や平坦化を目的としてSOG(Spin-on-Glass)塗布が行われている。一般的なSOG塗布は、シリカ化合物をアルコール系の有機溶剤に溶解した溶液を基板表面に塗布し、そのシリカ化合物の架橋反応を進行させるとともに、有機溶剤を揮発させることによって、基板上に絶縁性の高い低誘電率のSOG膜を形成する処理である。
【0003】
従来のSOG塗布処理手法は、まず、スピンコート法などで上記溶液を基板に塗布する。該溶液は比較的粘度が高いため基板表面にて膜を形成する。そのような溶液を塗布した基板をエージングチャンバに収容し、そのエージングチャンバに触媒ガスとして水蒸気とアミン類のガス(例えば、アンモニアガス)との混合ガスを供給し、基板の周辺に水蒸気およびアミン類のガスの雰囲気を形成することによってシリカ化合物の架橋反応を促進してSOG膜を形成するというものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来においては、エージングチャンバに水蒸気とアミン類のガスのみを供給していたため、エージングチャンバ内のアミン類ガスの分圧が相当に高くなっていた。アミン類ガスの分圧が高い状態において上記架橋反応を進行させると、基板上の溶液表面での反応が急激に進行する反面、溶液底部(基板表面と接している部分)での反応が進みにくくなる。このため成膜後のSOG膜の性質が深さ方向に不均一なものになるという問題が生じていた。
【0005】
処理時のエージングチャンバ内の全圧を下げれば、それに比例してアミン類ガスの分圧も低下することとなるが、この場合基板上の溶液中の溶媒が急速に揮発して、密度の高いSOG膜が形成されることとなる。基板にSOG膜を形成する主たる目的は層間絶縁であるため、SOG膜の絶縁性は高い方が好ましいが、成膜後のSOG膜の密度が高くなるとその物質が有する誘電率となり、絶縁性もあまり高いものとはならない。
【0006】
また、処理時のエージングチャンバ内の全圧を下げると、それに伴ってエージングチャンバ内の水蒸気量も低下する(湿度が低下する)。シリカ化合物の架橋反応を進行させるためには一定量の水蒸気が必要であり、エージングチャンバ内の水蒸気量が低下すると架橋反応が停止またはほとんど進行しない状態となり好ましくない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、深さ方向の性質が均質でしかも誘電率の低いSOG膜を成膜することができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、シリカ化合物を含む溶液を塗布した基板の周辺にアミン類のガスと水蒸気とを含む雰囲気を形成することによって前記シリカ化合物の架橋反応を進行させて前記基板上にSOG膜を形成する基板処理装置であって、前記溶液を塗布した基板を収容する処理室と、不活性ガスの送給量を所定量に調整する不活性ガス送給量調整手段と、アミン類のガスの送給量を所定量に調整するアミン類ガス送給量調整手段と、所定量の純水を送り出すインジェクタと、前記不活性ガス送給量調整手段から送給された不活性ガス、前記アミン類ガス送給量調整手段から送給されたアミン類のガスおよび前記インジェクタから送り込まれた純水を混合し、当該純水を気化して水蒸気とすることにより、アミン類のガスと不活性ガスと水蒸気との混合ガスを生成するベーパライザと、前記ベーパライザによって生成された混合ガスを前記処理室に供給し、前記処理室内における前記混合ガスの全圧を略大気圧としてアミン類のガスの分圧を所定値にする混合ガス供給手段と、を備える。
【0009】
また、請求項2の発明は、シリカ化合物を含む溶液を塗布した基板の周辺にアミン類のガスと水蒸気とを含む雰囲気を形成することによって前記シリカ化合物の架橋反応を進行させて前記基板上にSOG膜を形成する基板処理装置であって、前記溶液を塗布した基板を収容する処理室と、不活性ガスの送給量を所定量に調整する第1マスフロコントローラと、アミン類のガスの送給量を所定量に調整する第2マスフロコントローラと、水蒸気の送給量を所定量に調整する第3マスフロコントローラと、前記第1マスフロコントローラから送給された不活性ガス、前記第2マスフロコントローラから送給されたアミン類のガスおよび前記第3マスフロコントローラから送給された水蒸気を混合し、アミン類のガスと不活性ガスと水蒸気との混合ガスを生成する混合器と、前記混合器によって生成された混合ガスを前記処理室に供給し、前記処理室内における前記混合ガスの全圧を略大気圧としてアミン類のガスの分圧を所定値にする混合ガス供給手段と、を備える。
【0010】
また、請求項3の発明は、シリカ化合物を含む溶液を塗布した基板の周辺にアンモニアガスと水蒸気とを含む雰囲気を形成することによって前記シリカ化合物の架橋反応を進行させて前記基板上にSOG膜を形成する基板処理装置であって、前記溶液を塗布した基板を収容する処理室と、不活性ガスの送給量を所定量に調整する不活性ガス送給量調整手段と、アンモニアガスの送給量を所定量に調整するアンモニアガス送給量調整手段と、所定量の純水を送り出すインジェクタと、前記不活性ガス送給量調整手段から送給された不活性ガス、前記アンモニアガス送給量調整手段から送給されたアンモニアガスおよび前記インジェクタから送り込まれた純水を混合し、当該純水を気化して水蒸気とすることにより、アンモニアガスと不活性ガスと水蒸気との混合ガスを生成するベーパライザと、前記ベーパライザによって生成された混合ガスを前記処理室に供給し、前記処理室内における前記混合ガスの全圧を略大気圧としてアンモニアガスの分圧を所定値にする混合ガス供給手段と、を備える。
また、請求項4の発明は、シリカ化合物を含む溶液を塗布した基板の周辺にアンモニアガスと水蒸気とを含む雰囲気を形成することによって前記シリカ化合物の架橋反応を進行させて前記基板上にSOG膜を形成する基板処理装置であって、前記溶液を塗布した基板を収容する処理室と、不活性ガスの送給量を所定量に調整する第1マスフロコントローラと、アンモニアガスの送給量を所定量に調整する第2マスフロコントローラと、水蒸気の送給量を所定量に調整する第3マスフロコントローラと、前記第1マスフロコントローラから送給された不活性ガス、前記第2マスフロコントローラから送給されたアンモニアガスおよび前記第3マスフロコントローラから送給された水蒸気を混合し、アンモニアガスと不活性ガスと水蒸気との混合ガスを生成する混合器と、前記混合器によって生成された混合ガスを前記処理室に供給し、前記処理室内における前記混合ガスの全圧を略大気圧としてアンモニアガスの分圧を所定値にする混合ガス供給手段と、を備える。
また、請求項5の発明は、請求項3または請求項4の発明に係る基板処理装置において、前記混合ガス供給手段に、前記処理室内におけるアンモニアガスの分圧を305hPaとさせている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明に係る基板処理装置の概略構成図である。本発明に係る基板処理装置は、シリカ化合物を含む溶液を塗布した基板Wの周辺に後述の混合ガスを供給することによってシリカ化合物の架橋反応を進行させ、基板W上にSOG膜を成膜する装置であり、エージングチャンバ10とそれに付随するガス給排気機構とで構成されている。
【0013】
エージングチャンバ10は、シリカ化合物を含む溶液が塗布されて該溶液の膜が表面全体に形成された基板Wを収容する処理室である。このエージングチャンバ10において基板W上に塗布された溶液中のシリカ化合物の架橋反応が行われる。エージングチャンバ10には、後述するガス供給およびガス排気のための配管系が接続される。また、エージングチャンバ10は、その内部を密閉空間とすることができる。なお、エージングチャンバ10の形状としては、基板Wを収容して内部を密閉空間とすることができるものであれば任意の形状を採用することができる。
【0014】
エージングチャンバ10には、2系統からのガス供給を行うことができる。1つは架橋反応を行わせるのに必要な処理用混合ガスの供給であり、もう1つは置換用の窒素ガスのみの供給である。
【0015】
本実施形態においては、エージングチャンバ10にアンモニアガス(NH3)と窒素ガス(N2)と所定量の水蒸気(H2O)との混合ガスを供給することができる。この混合ガスによって基板W上に塗布された溶液中のシリカ化合物の架橋反応が緩やかに進行するのであるが、これについてはさらに後述することとし、ここではエージングチャンバ10への混合ガスの供給手順について説明する。混合ガスの供給手順の概要は、インジェクタ20からベーパライザ30に純水、アンモニアガス、窒素ガスを順次送り込み、ベーパライザ30においてそれらを混合・気化させて混合ガスを生成し、その混合ガスをバルブ31、ニードルバルブ32、バルブ33を経由してエージングチャンバ10に供給するというものである。
【0016】
インジェクタ20への純水の送給は純水供給源27からバルブ28を介して行われる。同様に、インジェクタ20へのアンモニアガスの送給はアンモニアガス供給源24からバルブ25を介して行われ、窒素ガスの送給は窒素ガス供給源21からバルブ22を介して行われる。すなわち、バルブ28を開放することによって純水供給源27からインジェクタ20に純水が送給され、バルブ25を開放することによってアンモニアガス供給源24からインジェクタ20にアンモニアガスが送給され、バルブ22を開放することによって窒素ガス供給源21からインジェクタ20に窒素ガスが送給される。
【0017】
インジェクタ20の内部には、一定容量のループ状配管が設けられており、ベーパライザ30への純水送給を行わないときには、その配管の一方端がバルブ28を介して純水供給源27に接続されるとともに、他方端が排水ライン29に接続されている。従って、ベーパライザ30への純水送給を行わないときには、純水供給源27からインジェクタ20に送給された純水が当該配管を経由してそのまま排水ライン29に流れ出ることとなる。
【0018】
一方、ベーパライザ30への純水送給を行うときには、上記ループ状配管の接続が切り換えられて、その一方端がバルブ25を介してアンモニアガス供給源24に接続されるとともに、他方端がベーパライザ30に接続される。このときに、ループ状配管内には上記一定容量に等しい量の純水が残留している。そして、バルブ25を開放することによって、配管内に残留していた純水がアンモニアガス供給源24からインジェクタ20に送給されたアンモニアガスによって押し出され、その押し出したアンモニアガスとともにベーパライザ30に吹き込まれることとなる。すなわち、一定量の純水とアンモニアガスとが連続してベーパライザ30に送り込まれることとなるのである。
【0019】
このときに、バルブ25の開放時間を調整することによって、またはバルブ25を開放する程度を調整することによって、ベーパライザ30に送給するアンモニアガスのガス量を調整する。より具体的には、ベーパライザ30に設けられた圧力計35による測定を行いつつ、ベーパライザ30内の気圧が所定の値となるまでバルブ25を開放することによって、ベーパライザ30に送給するアンモニアガスのガス量を調整する。
【0020】
純水とアンモニアガスとが連続してベーパライザ30に送り込まれた後、バルブ25を閉鎖するとともに、バルブ22を開放することによって、窒素ガス供給源21からインジェクタ20に窒素ガスが送給される。このときの上記ループ状配管の接続状態はベーパライザ30への純水送給を行うときと同じである。よって、インジェクタ20に送給された窒素ガスは、当該ループ状配管を通過してそのままベーパライザ30に吹き込まれることとなる。
【0021】
このときも上記のアンモニアガスと同様に、バルブ22の開放時間を調整することによって、またはバルブ22を開放する程度を調整することによって、ベーパライザ30に送給する窒素ガスのガス量を調整することができる。より具体的には、ベーパライザ30に設けられた圧力計35による測定を行いつつ、ベーパライザ30内の気圧が所定の値となるまでバルブ22を開放することによって、ベーパライザ30に送給する窒素ガスのガス量を調整する。
【0022】
このようにしてインジェクタ20からベーパライザ30に純水、アンモニアガス、窒素ガスが順次送り込まれる。そして、ベーパライザ30には任意の比率にてそれぞれ所定量のアンモニアガスと窒素ガスとが送り込まれることとなる。なお、ベーパライザ30に送り込まれる純水の量は常に一定量、すなわちループ状配管の容量と等しい量である。
【0023】
ベーパライザ30からバルブ33に至るまでの経路はヒータ40によって加熱状態とされている(例えば、70℃程度に維持されている)。これにより、インジェクタ20から送り込まれた一定量の純水はベーパライザ30において蒸発し、気化して水蒸気となる。生成した水蒸気はベーパライザ30においてアンモニアガスおよび窒素ガスと混合する。すなわち、ベーパライザ30は、インジェクタ20から送り込まれた純水を気化させて水蒸気にするとともに、その水蒸気をアンモニアガスおよび窒素ガスと混合して混合ガスを生成するのである。
【0024】
ベーパライザ30にて生成されたアンモニアガスと窒素ガスと水蒸気との混合ガスをエージングチャンバ10に供給するときには、バルブ31およびバルブ33を開放する(バルブ15、バルブ47およびバルブ45は閉鎖)。これによって、ベーパライザ30にて生成された混合ガスはバルブ31、ニードルバルブ32、バルブ33を経由してエージングチャンバ10に供給されることとなる。なお、混合ガス供給時の配管等への水蒸気の結露を防止するため、ベーパライザ30からバルブ33に至るまでの配管を含む経路全体がヒータ40によって加熱状態とされている。
【0025】
本実施形態の基板処理装置には、上述の混合ガス供給以外にも、窒素ガス供給や排気を行うための経路が設けられている。すなわち、バルブ15を開放(バルブ33は閉鎖)することによって窒素ガス供給源21からエージングチャンバ10に直接窒素ガスのみを供給することができる。この窒素ガス供給は、混合ガスを供給して成膜処理を行う前後にエージングチャンバ10を窒素ガス雰囲気に置換するために主として行われるものである。
【0026】
また、バルブ47を開放することによってエージングチャンバ10を排気部49に接続し、エージングチャンバ10内を排気することができる。排気部49には、例えば真空ポンプ等を用いれば良い。この排気は、エージングチャンバ10内のガスを外部に放出することなく、適切に装置外に排出するために行われる。
【0027】
さらに、バルブ45を開放することによって、ベーパライザ30からバルブ33に至るまでの混合ガス供給ラインを排気部49によって排気することができる。この排気は、新たな混合ガス供給を行う前に、ベーパライザ30からバルブ33に至るまでの混合ガス供給ラインから古い混合ガスを排出するために行われる。
【0028】
なお、本実施形態においては、エージングチャンバ10が処理室に相当し、バルブ22が窒素ガス送給量調整手段に相当し、バルブ25がアミン類ガス送給量調整手段に相当する。
【0029】
次に、以上のような構成を有する基板処理装置における基板処理内容(成膜処理内容)について説明する。本実施形態の基板処理装置においては、シリカ化合物を含む溶液を塗布した基板Wをエージングチャンバ10に収容し、そのエージングチャンバ10にベーパライザ30からアンモニアガスと窒素ガスと水蒸気との混合ガスを供給し、基板Wの周辺に当該混合ガスからなる雰囲気を形成することによってシリカ化合物の架橋反応を進行させ、基板W上にSOG膜を成膜する。なお、シリカ化合物を含む溶液の基板Wへの塗布はエージングチャンバ10内において行っても良いし、装置外にて塗布された基板Wをエージングチャンバ10に搬入するようにしても良い。
【0030】
エージングチャンバ10への混合ガスの供給手順については上述した通りである。その混合ガス中におけるアンモニアガスと窒素ガスとの混合比を任意の値とできることについても上述の通りである。そして、アンモニアガスと窒素ガスと水蒸気とが所定の混合比にて混合された混合ガスが基板Wの周辺に供給される。なお、エージングチャンバ10内における混合ガスの全圧は略大気圧(約1気圧)であり、リークを防止する観点から大気圧よりも若干低い程度の気圧にしておくのが望ましい。
【0031】
図2は、基板Wに塗布された溶液に含まれるシリカ化合物の一例の構造式を示す図である。なお、同図にはシリカ化合物の一例としてケージ状の構造式を示している。図2に示すように、本発明におけるシリカ化合物は、シリコン酸化物中のシリコン(Si)に基(R)または水素(H)が結合した化合物である。このようなシリカ化合物を含む溶液の周辺に上記混合ガスからなる雰囲気が形成されると、シリコンに結合した水素が混合ガスに含まれる水蒸気および触媒であるアンモニアガスによって水酸基(OH)に置換され、2分子間の水酸基(OH)から水(H2O)が離脱(脱水)することによって、基板W上においてシリカ化合物間の架橋反応が進行し、成膜処理が達成されるのである。
【0032】
なお、本発明におけるシリカ化合物としては、シリコン酸化物中のシリコン(Si)に基(R)または水素(H)が結合した化合物であれば良く、ケージ状の他に直線状、網目状等を用いることができる。
【0033】
また、シリカ化合物を溶解する溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤の他、キシレン、MIBK(メチルイソブチルケトン)、シクロヘキサノン、ピルビン酸エチル等の有機溶剤を用いることができる。
【0034】
ここで、本実施形態においては、エージングチャンバ10内における混合ガスの全圧を略大気圧(約1気圧)にするとともに、混合ガスに含まれるアンモニアガスと窒素ガスとの混合比を任意の値に調整することができるため、エージングチャンバ10内におけるアンモニアガスの分圧を可変に調整することができる。なお、既述したように混合ガス中の水蒸気の量は一定であるため、エージングチャンバ10内における水蒸気の分圧は常に一定であり、略大気圧と水蒸気の分圧との差圧にアンモニアガスと窒素ガスとの混合比を乗ずることによって得られた値がアンモニアガスおよび窒素ガスのぞれぞれの分圧である。
【0035】
図3は、混合ガスによる成膜処理時間とSOG膜の膜厚との相関を示す図である。また、図4は、混合ガスによる成膜処理時間とSOG膜の密度との相関を示す図である。いずれの図においても、エージングチャンバ10内における異なる3種類のアンモニアガスの分圧について測定したものである。なお、SOG膜は絶縁性を向上させる観点から多孔質膜である必要があり、その膜厚および密度は多孔質化の程度を示す一つの指標となる。すなわち、膜厚が厚く、密度が低いほど多孔質化がなされて絶縁性の高い良好なSOG膜が一応成膜されたと推定することができる。
【0036】
図3および図4に示すように、アンモニアガスの分圧が高いとき(pNH3=610hPa)は、成膜処理開始直後から膜厚が厚く、かつ密度も低くなっており、一見短時間にて良好なSOG膜が形成されているようにも思われる。しかしながら、アンモニアガスの分圧が高いときは、既述したように、基板W上の溶液表面での反応が急激に進行することによって溶媒の揮発やガス成分(水およびアンモニア)の拡散が妨げられ、溶液底部(基板W表面と接している部分)での反応が進みにくくなる。このため成膜後のSOG膜の性質が深さ方向に不均一なものになるのである。例えば、SOG膜表面近傍においては、著しい多孔質化が行われている反面、膜底部近傍においてはほとんど多孔質化がなされていない状態となる。
【0037】
一方、アンモニアガスの分圧が低いとき(pNH3=153hPa)は、成膜処理時間が経過してもほとんど膜厚が厚くならず、また密度も高いままである。このことは、アンモニアガス分圧が低いためにシリカ化合物間の架橋反応が進行しておらず、SOG膜の成膜が行われていないことを示している。
【0038】
これらに対して、アンモニアガスの分圧が上記の中間のとき(pNH3=305hPa)は、成膜処理時間の経過とともに徐々に膜厚が厚くなって密度が低下し、成膜処理開始後200秒経過時点においては、アンモニアガスの分圧が高いときとほぼ同じ膜厚および密度のSOG膜を得ることができる。このことは、アンモニアガスの分圧が高いときのように溶液表面での反応が急激に進行するのではなく、溶液表面から底部に向けて徐々に架橋反応が進行し、最終的には全体にわたって多孔質化がなされた絶縁性の高い良好なSOG膜が形成されていることを示している。そして、このように溶液表面から底部に向けて徐々に架橋反応を進行させると、成膜後のSOG膜の性質が深さ方向に均一なものとなる。
【0039】
すなわち、アンモニアガスの分圧が高いときは深さ方向に均質なSOG膜が得られず、アンモニアガスの分圧が低いときはSOG膜の成膜処理自体が進行しないのであるが、アンモニアガスの分圧をそれらの中間とすることにより、溶液中のシリカ化合物間の架橋反応が緩やかに進行し、深さ方向の性質が均質でしかも多孔質化がなされた誘電率の低い(絶縁性の高い)SOG膜を成膜することができるのである。
【0040】
従って、混合ガス生成時にベーパライザ30に送給するアンモニアガスおよび窒素ガスのガス量を調整して混合ガス中におけるアンモニアガスを希釈し、エージングチャンバ10内におけるアンモニアガスの分圧を適切な値(上記の例ではpNH3=305hPa)とすることにより、溶液中のシリカ化合物間の架橋反応を緩やかに進行させることができ、その結果深さ方向の性質が均質でしかも誘電率の低いSOG膜を成膜することができる。
【0041】
なお、エージングチャンバ10内における混合ガスの全圧を略大気圧としているため溶媒の急速な揮発が生じることはなく、また一定量の水蒸気を供給しているためシリカ化合物の架橋反応が停止することもない。
【0042】
また、基板Wに塗布された溶液の種類や得たいSOG膜の性質に応じてベーパライザ30に送給するアンモニアガスおよび窒素ガスのガス量を調整することにより、エージングチャンバ10内におけるアンモニアガスの分圧を適宜変更できるのは勿論である。
【0043】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記の例に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、バルブ22、バルブ25およびインジェクタ20によって所定量の純水、アンモニアガスおよび窒素ガスをベーパライザ30に送給して所定の混合比の混合ガスを生成していたが、これに限定されず、混合ガス中の水蒸気、アンモニアガスおよび窒素ガスの濃度を任意の値とすることができるような機構を用いることが可能であり、例えばそれぞれのガスの流量をマスフロコントローラよって調整し、それらを混合器にて単純に混合して所定の混合比の混合ガスを生成するようにしても良い。
【0044】
また、アンモニアガスに代えて、シリカ化合物の架橋反応の触媒となる他のアミン類のガス、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン等のガスを用いるようにしても良い。他のアミン類のガスを用いた場合であっても、混合ガス中におけるアミン類のガスを希釈し、エージングチャンバ10内におけるアミン類のガスの分圧を適切な値とすることにより、溶液中のシリカ化合物間の架橋反応を緩やかに進行させることができ、その結果深さ方向の性質が均質でしかも誘電率の低いSOG膜を成膜することができる。
【0045】
さらに、窒素ガスに代えて、アンモニアガスを希釈することができて架橋反応には影響を与えないる他の不活性ガス、例えばアルゴンガス等を用いるようにしても良い。
【0046】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1および請求項2の発明によれば、溶液を塗布した基板を収容する処理室に、所定量のアミン類のガスと不活性ガスと所定量の水蒸気との混合ガスを供給し、処理室内における混合ガスの全圧を略大気圧としてアミン類のガスの分圧を所定値にしているため、溶液中のシリカ化合物間の架橋反応を緩やかに進行させることができ、その結果深さ方向の性質が均質でしかも誘電率の低いSOG膜を成膜することができる。
【0047】
また、請求項3および請求項4の発明によれば、溶液を塗布した基板を収容する処理室に、所定量のアンモニアガスと不活性ガスと所定量の水蒸気との混合ガスを供給し、処理室内における混合ガスの全圧を略大気圧としてアンモニアガスの分圧を所定値にしているため、溶液中のシリカ化合物間の架橋反応を緩やかに進行させることができ、その結果深さ方向の性質が均質でしかも誘電率の低いSOG膜を成膜することができる。
【0048】
また、請求項5の発明によれば、処理室内におけるアンモニアガスの分圧を305hPaとしているため、深さ方向の性質が均質でしかも誘電率の低いSOG膜を成膜することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る基板処理装置の概略構成図である。
【図2】基板に塗布された溶液に含まれるシリカ化合物の一例の構造式を示す図である。
【図3】混合ガスによる成膜処理時間とSOG膜の膜厚との相関を示す図である。
【図4】混合ガスによる成膜処理時間とSOG膜の密度との相関を示す図である。
【符号の説明】
10 エージングチャンバ
20 インジェクタ
21 窒素ガス供給源
24 アンモニアガス供給源
22,25 バルブ
27 純水供給源
30 ベーパライザ
W 基板
Claims (5)
- シリカ化合物を含む溶液を塗布した基板の周辺にアミン類のガスと水蒸気とを含む雰囲気を形成することによって前記シリカ化合物の架橋反応を進行させて前記基板上にSOG膜を形成する基板処理装置であって、
前記溶液を塗布した基板を収容する処理室と、
不活性ガスの送給量を所定量に調整する不活性ガス送給量調整手段と、
アミン類のガスの送給量を所定量に調整するアミン類ガス送給量調整手段と、
所定量の純水を送り出すインジェクタと、
前記不活性ガス送給量調整手段から送給された不活性ガス、前記アミン類ガス送給量調整手段から送給されたアミン類のガスおよび前記インジェクタから送り込まれた純水を混合し、当該純水を気化して水蒸気とすることにより、アミン類のガスと不活性ガスと水蒸気との混合ガスを生成するベーパライザと、
前記ベーパライザによって生成された混合ガスを前記処理室に供給し、前記処理室内における前記混合ガスの全圧を略大気圧としてアミン類のガスの分圧を所定値にする混合ガス供給手段と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。 - シリカ化合物を含む溶液を塗布した基板の周辺にアミン類のガスと水蒸気とを含む雰囲気を形成することによって前記シリカ化合物の架橋反応を進行させて前記基板上にSOG膜を形成する基板処理装置であって、
前記溶液を塗布した基板を収容する処理室と、
不活性ガスの送給量を所定量に調整する第1マスフロコントローラと、
アミン類のガスの送給量を所定量に調整する第2マスフロコントローラと、
水蒸気の送給量を所定量に調整する第3マスフロコントローラと、
前記第1マスフロコントローラから送給された不活性ガス、前記第2マスフロコントローラから送給されたアミン類のガスおよび前記第3マスフロコントローラから送給された水蒸気を混合し、アミン類のガスと不活性ガスと水蒸気との混合ガスを生成する混合器と、
前記混合器によって生成された混合ガスを前記処理室に供給し、前記処理室内における前記混合ガスの全圧を略大気圧としてアミン類のガスの分圧を所定値にする混合ガス供給手段と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。 - シリカ化合物を含む溶液を塗布した基板の周辺にアンモニアガスと水蒸気とを含む雰囲気を形成することによって前記シリカ化合物の架橋反応を進行させて前記基板上にSOG膜を形成する基板処理装置であって、
前記溶液を塗布した基板を収容する処理室と、
不活性ガスの送給量を所定量に調整する不活性ガス送給量調整手段と、
アンモニアガスの送給量を所定量に調整するアンモニアガス送給量調整手段と、
所定量の純水を送り出すインジェクタと、
前記不活性ガス送給量調整手段から送給された不活性ガス、前記アンモニアガス送給量調整手段から送給されたアンモニアガスおよび前記インジェクタから送り込まれた純水を混合し、当該純水を気化して水蒸気とすることにより、アンモニアガスと不活性ガスと水蒸気との混合ガスを生成するベーパライザと、
前記ベーパライザによって生成された混合ガスを前記処理室に供給し、前記処理室内における前記混合ガスの全圧を略大気圧としてアンモニアガスの分圧を所定値にする混合ガス供給手段と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。 - シリカ化合物を含む溶液を塗布した基板の周辺にアンモニアガスと水蒸気とを含む雰囲気を形成することによって前記シリカ化合物の架橋反応を進行させて前記基板上にSOG膜を形成する基板処理装置であって、
前記溶液を塗布した基板を収容する処理室と、
不活性ガスの送給量を所定量に調整する第1マスフロコントローラと、
アンモニアガスの送給量を所定量に調整する第2マスフロコントローラと、
水蒸気の送給量を所定量に調整する第3マスフロコントローラと、
前記第1マスフロコントローラから送給された不活性ガス、前記第2マスフロコントローラから送給されたアンモニアガスおよび前記第3マスフロコントローラから送給された水蒸気を混合し、アンモニアガスと不活性ガスと水蒸気との混合ガスを生成する混合器と、
前記混合器によって生成された混合ガスを前記処理室に供給し、前記処理室内における前記混合ガスの全圧を略大気圧としてアンモニアガスの分圧を所定値にする混合ガス供給手段と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。 - 請求項3または請求項4に記載の基板処理装置において、
前記混合ガス供給手段は、前記処理室内におけるアンモニアガスの分圧を305hPaとすることを特徴とする基板処理装置。
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