JP3773383B2 - 燃料噴射ポンプにおける噴射開始時期の計測方法 - Google Patents

燃料噴射ポンプにおける噴射開始時期の計測方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼル型式やガソリン型式のエンジンで使用される燃料噴射ポンプ(プランジャがエンジンにより機械的に進退駆動される型式)、並びに燃料噴射ノズルにおいて、燃料噴射ポンプ(燃料噴射ノズル)の噴射開始時期を計測する計測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料噴射ポンプ及び燃料噴射ノズルで、燃料噴射ポンプにおいてプランジャを進退駆動するカム軸が、基準位置から設定角度だけ回転駆動されると、燃料噴射ポンプ(燃料噴射ノズル)から燃料の噴射が開始(燃料噴射ノズルのニードルが閉位置から開位置側に移動し始める状態)されるように、燃料噴射ポンプ及び燃料噴射ノズルが設計され製作されているものがある。これにより、前述の基準位置及び設定角度に基づいて燃料噴射ポンプをエンジンに連結することによって、エンジンで設定されている噴射開始時期と、燃料噴射ポンプ(燃料噴射ノズル)の噴射開始時期とを一致させることができる。
【0003】
しかしながら、燃料噴射ポンプ及び燃料噴射ノズルの組立精度にはある程度のバラ付きがあり、燃料噴射ポンプにおいてカム軸が基準位置から設定角度とは異なる回転角度だけ回転駆動されると、燃料噴射ポンプ(燃料噴射ノズル)から燃料の噴射が開始されるように、燃料噴射ポンプ及び燃料噴射ノズルが組み立てられていることがあるので、燃料噴射ポンプ(燃料噴射ノズル)の噴射開始時期を実際に計測して、計測に基づく補正を加えながら、前述の基準位置及び設定角度に基づいて燃料噴射ポンプをエンジンに連結する必要がある。
【0004】
この場合、閉位置から開位置側への変位を検出する変位センサー(例えばホール素子を使用した型式のもの)を、燃料噴射ノズルのニードルに対して設け、燃料噴射ポンプのカム軸の基準位置に対する回転角度を検出する角度センサーを設けて、変位センサーの検出を観察しながらカム軸を回転駆動することによって、燃料噴射ポンプ(燃料噴射ノズル)の噴射開始時期に対応したカム軸の基準位置に対応する回転角度を検出する。このように、燃料噴射ポンプ(燃料噴射ノズル)の噴射開始時期に対応したカム軸の基準位置に対応する回転角度を検出することによって、前述の基準位置及び設定角度に補正を設定する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
燃料噴射ポンプ(燃料噴射ノズル)の噴射開始時期を計測する変位センサーは一般に耐久性が低いものとなっており(例えば一つの変位センサーで、約100個の燃料噴射ポンプ(燃料噴射ノズル)の噴射開始時期の計測しか行えない)、変位センサーの価格も比較的高いものになっている。又、変位センサーはノイズの影響を受け易く、燃料噴射ノズルのニードルが閉位置から開位置側に変位する際の検出が不安定になる場合がある。
本発明は、燃料噴射ポンプ(燃料噴射ノズル)の噴射開始時期を計測する場合において、燃料噴射ポンプ(燃料噴射ノズル)の噴射開始時期の計測が長期に亘り安定して行えるような燃料噴射ポンプにおける噴射開始時期の計測方法を得ることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の特徴によると、燃料噴射ノズルにおいてニードルの閉位置から開位置側への変位を検出する変位センサーを使用せずに、燃料噴射ポンプのプランジャから燃料噴射ノズルへの燃料の供給系の圧力を検出する圧力センサーを使用している。このような圧力センサーを使用した場合、請求項1の特徴では、圧力センサーの検出値の変化率と燃料噴射ノズルの噴射開始時期との間に相関関係があることを発見しており、この相関関係を求めている。
【0007】
請求項1の特徴によると、燃料噴射ポンプのプランジャを進退駆動するカム軸を回転駆動することによって、圧力センサーの検出値の変化率と燃料噴射ノズルの噴射開始時期との相関関係を求めることにより、変位センサーを使用せずに圧力センサーによって、燃料噴射ポンプ(燃料噴射ノズル)の噴射開始時期を特定することができる。
【0008】
この場合、一般に耐久性が低く価格も比較的高い変位センサーに対して、圧力センサーは一般に耐久性が高く価格も比較的低いので、請求項1の特徴によると燃料噴射ポンプ(燃料噴射ノズル)の噴射開始時期の計測が、圧力センサーによって長期に亘り低コストで行えるようになる。
又、変位センサーはノイズの影響を受け易く、燃料噴射ノズルのニードルが閉位置から開位置側に変位する際の検出が不安定になる場合があるのに対して、圧力センサーによる検出はノイズの影響を受け難く比較的安定しているので、請求項1の特徴によると燃料噴射ポンプ(燃料噴射ノズル)の噴射開始時期の特定も精度良く行える。
【0009】
請求項1の特徴によると、圧力センサーによる検出と燃料噴射ノズルの噴射開始時期との相関関係のうち、圧力センサーの検出値の変化率と燃料噴射ノズルの噴射開始時期との相関関係を求めている。燃料噴射ポンプのプランジャから燃料噴射ノズルへの燃料の供給系に圧力センサーを備えた場合、請求項1の特徴によると、圧力センサーの検出値の変化率に着目しており、圧力センサーの検出値の変化率の上昇が比較的急で且つ安定した状態があることを発見している。
【0010】
請求項1の特徴によると、圧力センサーの検出値の変化率と燃料噴射ノズルの噴射開始時期との相関関係を求めて、圧力センサーの検出値の変化率の上昇が比較的急で且つ安定した状態があることを利用する場合、圧力センサーの検出値の変化率が設定変化率に達したことを検出するのが、行い易い検出であることを発見している。請求項1の特徴によると、圧力センサーの検出値の変化率が設定変化率に達した時点が、燃料噴射ポンプ(燃料噴射ノズル)の噴射開始時期に対応するものではなく、圧力センサーの検出値の変化率が設定変化率に達した時点から、設定時間だけ外れた時点(設定時間だけ遡った時点又は設定時間だけ経過した時点)が、燃料噴射ポンプ(燃料噴射ノズル)の噴射開始時期に対応することを発見している。
これにより請求項1の特徴によると、圧力センサーの検出値の変化率が設定変化率に達した時点を検出すると言う行い易い検出に基づいて、燃料噴射ポンプ(燃料噴射ノズル)の噴射開始時期の特定が容易に精度良く行えるようになる。
【0011】
【発明の実施の形態】
[1]
図1に燃料噴射ポンプ1の全体が示されており、ケース2に図1の紙面上下向きの4つのプランジャ3、プランジャ3を進退駆動する1つのカム軸4等が備えられ、燃料噴射量を制御するガバナ装置5が燃料噴射ポンプ1の横側面に連結されている。燃料噴射ポンプ1が連結されるエンジン6はディーゼル型式であり、図3に示すように、エンジン6の前部に駆動ギヤケース7が備えられており、エンジン6の横壁から出た駆動ギヤケース7の部分に燃料噴射ポンプ1が連結される。
【0012】
燃料噴射ポンプ1の4つのプランジャ3の各々からのパイプ26が、燃料噴射ノズル8に接続されている。図1に示すように燃焼噴射ノズル8は、噴射孔18aを備えたケース18、ケース18にスライド自在に支持されたニードル19、ニードル19を閉位置側に付勢する第1バネ20、ニードル19が開位置側(図1の紙面上方)に移動した際に接当するタペット21、及びニードル19によりタペット21が押されることによりニードル19を閉位置側に付勢する第2バネ23を備えて構成されている。
【0013】
次に、燃料噴射ポンプ1(燃料噴射ノズル8)の噴射開始時期の計測を行う施設について説明する。
図1に示すように、燃料噴射ポンプ1が固定される支持台9、及び支持台9の燃料噴射ポンプ1のカム軸4に連結される主軸10が備えられており、主軸10にベルト伝動機構11を介して接続される高速モータ12、主軸10にベルト伝動機構13及びクラッチ14を介して接続される低速モータ15、主軸10の回転数を検出する高回転用のロータリエンコーダ16、及び主軸10の角度を精密に検出する低回転用のロータリエンコーダ17が備えられている。一つのパイプ26において燃料噴射ノズル8に近い部分に、パイプ26の内部の圧力を検出する圧力センサー24(例えばピエゾ型式)が設けられており、圧力センサー24の検出値が制御装置22に入力されるように構成されている。
【0014】
[2]
次に、燃料噴射ポンプ1(燃料噴射ノズル8)の噴射開始時期の計測について図1,5,6に基づいて説明する。
図3に示すように、燃料噴射ポンプ1のカム軸4を駆動するエンジン6のクランク軸25において、所定のシリンダのピストン(図示せず)が上死点となる位置を基準位置A2として設定しており、クランク軸25が基準位置A2からどれだけの角度だけ回転すると、燃料噴射ポンプ1から燃料が噴射されるべきかの設定角度Bが、設計値として設定されている。
【0015】
燃料噴射ポンプ1のカム軸4においても、図2(イ)に示すようにケース2に基準位置A1(プランジャ3と同じ方向に向く位置)が設定され、基準位置A1からカム軸4(キー溝4a)が前述の設定角度Bだけ回転すると、前述の所定のシリンダ(ピストン)に対応する燃料噴射ノズル8から燃料の噴射が開始されるように(燃料噴射ノズル8のニードル19が閉位置から開位置側に変位し始めるように)、燃料噴射ポンプ1が組み立てられる。しかしながら、燃料噴射ポンプ1の組立精度のバラ付きにより、カム軸4(キー溝4a)が前述の設定角度Bとは異なる角度に達すると燃料噴射ノズル8から燃料の噴射が開始されるように、燃料噴射ポンプ1が組み立てられていることがある。
【0016】
図1に示すように、組み立てられた燃料噴射ポンプ1を垂直姿勢で支持台9に固定し、主軸10を燃料噴射ポンプ1のカム軸4にキー(図示せず)により連結する(ステップS1)。この場合、図1に示すように低速モータ15で主軸10をゆっくりと回転させて、図2(イ)に示すようにカム軸4のキー溝4aが垂直方向の上に向くように設定すると(ケース2の基準位置A1にキー溝4aが位置する状態)、カム軸4(キー溝4a)の位置がロータリエンコーダ17によって検出され、ケース2の基準位置A1として制御装置22に記憶される(ステップS2)。
【0017】
次に、高速モータ12により主軸10がエンジン6の定格回転数(例えば、1500rpm)で回転駆動されるのであり(ステップS3)、圧力センサー24によりパイプ26の内部の圧力が検出され、圧力センサー24の検出値が制御装置22に入力される。これにより、圧力センサー24の検出値の変化率が設定変化率PRに達すると(図5の時点T4)、この時点T4から設定時間T03だけ遡った時点T2が、燃料噴射ポンプ1(燃料噴射ノズル8)の噴射開始時期(燃料噴射ノズル8のニードル19が閉位置から開位置側に変位し始めた時点T2)として特定される。
【0018】
前述のように燃料噴射ポンプ1(燃料噴射ノズル8)の噴射開始時期が特定されると、時点T4でのロータリエンコーダ16の検出値に基づき、時点T2でのロータリエンコーダ16の検出値が演算され、時点T2でのロータリエンコーダ16の検出値が、燃料噴射ポンプ1(燃料噴射ノズル8)の噴射開始時期に対応したカム軸4(キー溝4a)の基準位置A1に対する回転角度B1として特定される(ステップS4)。設定角度Bと回転角度B1との角度差Cが検出され、角度差Cが制御装置22に記憶される(ステップS5)。
【0019】
[3]
圧力センサー24の検出値の変化率が設定変化率PRに達したことに基づき、燃料噴射ポンプ1(燃料噴射ノズル8)の噴射開始時期が特定されることについて説明する。
シミュレーション及び実験によって、パイプ26の内部の圧力(圧力センサー24の検出値)、燃料噴射ノズル8のニードル19の変位、及び燃料噴射ノズル8からの実際の燃料の噴射の3者には、互いに強い相関関係があることが求められており、この相関関係を図5に示す。
【0020】
図5に示すように、燃料噴射ノズル8のニードル19が閉位置から開位置側に変位し始めるのに必要な計算値である設定圧力P1が事前に算出されているが、圧力センサー24の検出値が上昇し設定圧力P1に達した時点T1から設定時間T01の経過後に、燃料噴射ノズル8のニードル19が閉位置から開位置側に変位し始めるのであり(時点T2)、時点T2から設定時間T02の経過後に、燃料噴射ノズル8から燃料の噴射が開始される(時点T3)。
【0021】
その後、図5に示すように圧力センサー24の検出値が急激に上昇していくのであり、圧力センサー24の検出値の上昇が安定し(圧力センサー24の検出値の変化率が一定値)、且つ圧力センサー24の検出値の変化率が充分に大きい状態を、設定変化率PR(しきい値)としている。図5に示すように圧力センサー24の検出値の変化率が設定変化率PRに達した時点T4から、設定時間T03だけ遡ると、燃料噴射ノズル8のニードル19が閉位置から開位置側に変位し始めた時点T2が特定される。
【0022】
図5に示すような相関関係は、燃料噴射ポンプ1の型式や燃料噴射ノズル8の型式等の各々によって異なるものとなるので、燃料噴射ポンプ1の型式や燃料噴射ノズル8の型式等が変更される毎に、新たな相関関係を求める必要がある。この場合、燃料噴射ポンプ1の型式や燃料噴射ノズル8の型式等によっては、圧力センサー24の検出値の変化率が設定変化率PRに達した時点T4の後に、燃料噴射ノズル8のニードル19が閉位置から開位置側に変位し始める場合も考えられる。
【0023】
[4]
次に、燃料噴射ポンプ1のエンジン6への連結について、図2(イ)(ロ)(ハ),3,4,6に基づいて説明する。
前項[2][3]に記載のように、燃料噴射ポンプ1(燃料噴射ノズル8)の噴射開始時期に対応したカム軸4(キー溝4a)の基準位置A1に対する回転角度B1、設定角度Bと回転角度B1との角度差Cが検出されると(ステップS4,S5)、図1に示す低速モータ15及びロータリエンコーダ17により、図2(ロ)に示すようにカム軸4(キー溝4a)が、ケース2の基準位置A1から角度差Cだけ回転操作され、角度B2でカム軸4が停止操作される(ステップS6)。
【0024】
図2(ロ)に示すように、回転角度B1が設定角度Bの上手側(紙面反時計方向側)であると、カム軸4(キー溝4a)がケース2の基準位置A1から前述と同じ上手側(紙面反時計方向側)に回転操作されるのであり、逆に回転角度B1が設定角度Bの下手側(紙面時計方向側)であると、カム軸4(キー溝4a)がケース2の基準位置A1から前述と同じ下手側(紙面時計方向側)に回転操作される。
【0025】
このようにカム軸4が角度Bで停止操作されると、図2(ロ)及び図4に示すように、セットボルト28により、カム軸4(キー溝4a)を角度B2で固定して(ステップS7)、この後にカム軸4を主軸10から外して、燃料噴射ポンプ1を支持台9から取り外す(ステップS8)。この場合、図4に示すようにカム軸4の外周にローレット加工が施されて滑り止め部4bが形成されており、セットボルト28の先端をカム軸4の滑り止め部4bに当て付けることによって、セットボルト28による固定後にカム軸4が滑って角度B2から回転するようなことがない。
【0026】
図4に示すようにカム軸4の端部にベアリング29が外嵌され、支持板30及びビス37により、ベアリング29が燃料噴射ポンプ1のケース2に取り付けられている。これにより、カム軸4をセットボルト28で固定した後、図4及び図2(ハ)に示すように、カム軸4の端部にキー38によって第3駆動ギヤ39を固定する(ステップS9)。
【0027】
図3及び図4に示すように駆動ギヤケース7の蓋部7aを開放した状態で、エンジン6のクランク軸25(第1駆動ギヤ41が固定されている)を、基準位置A2に仮固定し(ステップS10)、駆動ギヤケース7に第2駆動ギヤ40を支持させる(ステップS11)。この場合、第2駆動ギヤ40には、180°位相が異なる一対の合いマーク40aが刻印されており、第1駆動ギヤ41の合いマーク41aに第2駆動ギヤ40の一方の合いマーク40aが一致するように、第2駆動ギヤ40を第1駆動ギヤ41に咬合させる。
【0028】
次に図3及び図4に示すように、駆動ギヤケース7の開口部7bに燃料噴射ポンプ1の支持板30及び第3駆動ギヤ39を挿入しながら、第3駆動ギヤ39の合いマーク39aが第2駆動ギヤ40の他方の合いマーク40aに一致するように、燃料噴射ポンプ1のケース2をカム軸4周りに正逆に傾斜させながら(図3に示す構成では紙面時計方向)、第3駆動ギヤ39を第2駆動ギヤ40に咬合させて、燃料噴射ポンプ1のケース2を駆動ギヤケース7に当て付ける(ステップS12)。
【0029】
図4に示すように、駆動ギヤケース7の開口部7bの周囲に3つのボルト孔7cが形成され、図2(イ)に示すように燃料噴射ポンプ1のケース2において、駆動ギヤケース7のボルト孔7cに対向する位置に3つの長孔2aが形成されている。
これにより、図3に示すように第3駆動ギヤ39の合いマーク39aが第2駆動ギヤ40の他方の合いマーク40aに一致するように、燃料噴射ポンプ1のケース2を、カム軸4周りに正逆に傾斜させながら駆動ギヤケース7に当て付けた状態において、図3及び図4に示すようにボルト42をケース2の長孔2aから駆動ギヤケース7のボルト孔7cに挿入し、ボルト42により燃料噴射ポンプ1を駆動ギヤケース7に連結固定する(ステップS13)。
【0030】
図2(イ)に示すように、燃料噴射ポンプ1のケース2の所定位置に合いマーク2bが事前に刻印されており、図3に示すようにボルト42で燃料噴射ポンプ1を駆動ギヤケース7に連結固定すると(ステップS13)、ケース2の合いマーク2bに対応する駆動ギヤケース7の部分に、位置決めマーク7dを刻印する(ステップS14)。
【0031】
以上の操作が終了すると、駆動ギヤケース7の蓋部7aを閉じ(ステップS15)、燃料噴射ポンプ1のセットボルト28を外して、エンジン6のクランク軸25の仮固定を外すのであり(ステップS16)、これによって1つの燃料噴射ポンプ1のエンジン6への連結が完了する。従って図3に示すように、エンジン6のクランク軸25の基準位置A2に、燃料噴射ポンプ1の角度B2(カム軸4(キー溝4a)がケース2の基準位置A1から角度差Cだけ回転操作された角度)を、一致させることができるのであり、燃料噴射ポンプ1の設定角度Bに、燃料噴射ポンプ1(燃料噴射ノズル8)の噴射開始時期に対応したカム軸4(キー溝4a)の基準位置A1に対する回転角度B1を、一致させることができる。
【0032】
[発明の実施の別形態]
図5に示す相関関係では、燃料噴射ノズル8のニードル19が閉位置から開位置側に変位し始めた時点T2を、燃料噴射ポンプ1(燃料噴射ノズル8)の噴射開始時期としているが、時点T2から設定時間T02の経過後の燃料噴射ノズル8から燃料の噴射が開始される時点T3を、燃料噴射ポンプ1(燃料噴射ノズル8)の噴射開始時期としてもよい。
【0033】
図3及び図4に示す構造では、燃料噴射ポンプ1のカム軸4とエンジン6のクランク軸25とを第1〜第3駆動ギヤ41,40,39を介して連動連結するように構成しているが、燃料噴射ポンプ1のカム軸4の端部と、エンジン6側の駆動軸の端部とを、突き合わせて1つのキー(図示せず)により連結するように構成してもよい。
【0034】
【発明の効果】
請求項1の特徴によると、燃料噴射ポンプ(燃料噴射ノズル)の噴射開始時期を計測する場合において、燃料噴射ノズルにおけるニードルの閉位置から開位置側への変位を検出する変位センサーを使用せずに、燃料噴射ポンプのプランジャから燃料噴射ノズルへの燃料の供給系の圧力を検出する圧力センサーを使用し、圧力センサーの検出値の変化率と燃料噴射ノズルの噴射開始時期との相関関係を求めることによって、燃料噴射ポンプ(燃料噴射ノズル)の噴射開始時期の計測が、圧力センサーによって長期に亘り低コストで精度良く行えるようになった。
これにより、請求項1の特徴によると、燃料噴射ポンプをエンジンに連結する際に、エンジンで設定されている噴射開始時期と、燃料噴射ポンプ(燃料噴射ノズル)の噴射開始時期とを精度よく一致させることができるようになって、エンジンの出力を安定させることができ、エンジンの排出するNOXのばら付き及び濃度を抑えることができるようになった。
【0035】
請求項1の特徴によると、圧力センサーの検出値の変化率と燃料噴射ノズルの噴射開始時期との相関関係を求めて、圧力センサーの検出値の変化率の上昇が比較的急で且つ安定した状態があることを利用する場合、圧力センサーの検出値の変化率が設定変化率に達した時点から、設定時間だけ外れた時点(設定時間だけ遡った時点又は設定時間だけ経過した時点)を、燃料噴射ポンプ(燃料噴射ノズル)の噴射開始時期とすることにより、燃料噴射ポンプ(燃料噴射ノズル)の噴射開始時期をさらに精度良く特定することができるようになった。これにより、請求項1の特徴によると、エンジンの出力をさらに安定させることができ、エンジンの排出するNOXのばら付き及び濃度をさらに抑えることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 燃料噴射ポンプ(燃料噴射ノズル)の噴射開始時期の計測を行う施設の全体を示す図
【図2】 燃料噴射ポンプにおいて、燃料噴射ポンプ(燃料噴射ノズル)の噴射開始時期に対応するカム軸(キー溝)の基準位置に対する回転角度の検出から、カム軸の固定及び第3駆動ギヤの取り付けまでの流れを示す図
【図3】 図2の状態後に燃料噴射ポンプをエンジンに連結した状態を示す図
【図4】 燃料噴射ポンプにおけるカム軸の端部及び第3駆動ギヤ付近の断面図
【図5】 パイプの内部の圧力(圧力センサーの検出値)、燃料噴射ノズルのニードルの変位、及び燃料噴射ノズルからの実際の燃料の噴射の3者の相関関係を示す図
【図6】 燃料噴射ポンプのエンジンへの連結の流れを示す図
【符号の説明】
1 燃料噴射ポンプ
3 プランジャ
4 カム軸
6 エンジン
8 燃料噴射ノズル
16 角度センサー
24 圧力センサー
26 供給系
A1 基準位置
B1 回転角度
PR 設定変化率
T2,T4 時点
T03 設定時間

Claims (1)

  1. 組み立てられた燃料噴射ポンプ(1)をエンジンに取り付ける前の状態において、燃料噴射ポンプのプランジャ(3)から燃料噴射ノズル(8)への燃料の供給系に圧力センサー(24)を備え、前記プランジャを進退駆動するカム軸(4)の基準位置(A1)に対する回転角度(B1)を検出する角度センサー(16)を備えて、
    前記圧力センサーの検出値の変化率と前記燃料噴射ノズルの噴射開始時期との相関関係を求め、
    前記カム軸(4)を回転駆動することにより、前記相関関係に基づいて前記圧力センサーの検出値の変化率が設定変化率に達した時点から設定時間だけ外れた時点での前記角度センサーの検出値を、噴射開始時期に対応したカム軸の基準位置(A1)に対する回転角度(B1)とする燃料噴射ポンプにおける噴射開始時期の計測方法。
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