JP3771967B2 - 軸流タービン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸流タービンに係り、特に拡開流路内に収容されるタービン段落のうち、ノズルの翼効率の向上を図った軸流タービンに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、発電プラントにおける原動機、例えば蒸気タービンは、出力増加のため高圧タービン、中圧タービン、低圧タービンのそれぞれに区分け配置し、蒸気発生器から供給される蒸気の熱エネルキを、各タービンで膨張仕事をさせて回転動力を得ているが、回転動力を得る際、各タービンの段落で如何にして膨張仕事を高めるかは発電効率の改善を図る上で重要な課題になっている。特に、低圧タービンは、高圧タービン、中圧タービンで膨張仕事後の比較的圧力・温度の低い蒸気を多量に扱い、不利な蒸気条件にも拘らず段落当りの出力が高圧タービン、中圧タービンに較べて高い。
【0003】
このように、蒸気タービンの中で、低圧タービンの占める役割は高いだけに、低圧タービンの段落当りの出力向上は、タービン全体の出力向上につながる重要な意義を持っている。
【0004】
従来、低圧タービンは、軸流タイプと称してタービン軸の軸方向に沿って流れる蒸気に膨張仕事をさせる段落を複数列にして備えており、その段落の一部は、図11に示す構成が採用されている。
【0005】
段落1は、ノズル2と動翼3とにより構成され、タービン軸4の軸方向Xaに沿って複数列に設けられている。
【0006】
一つの段落を構成するノズル2と動翼3は、ともにタービン軸4に対し周方向に沿う環状に配列され、環状列間を通過する蒸気の熱エネルギを、ノズル2により膨張仕事をさせて速度エネルギに変え、その速度エネルギにより動翼3を回転させ、その回転力によりタービン軸4から回転動力を得るようになっている。
【0007】
動翼3に速度エネルギを与えて回転させるノズル2は、両端をリング状のノズル内輪5、ノズル外輪6で固設し、そのノズル内周壁7からノズル外周壁8に向ってノズル幅(翼幅)を下流の動翼3側に向って漸次拡げ、後縁線9から噴出する蒸気の速度エネルギが、ノズルルート部(ノズル内周壁側)半径位置Rrからノズルチップ部(ノズル外周壁側)半径位置Rtに至るまで均一分布になるように図られている。
【0008】
また、ノズルチップ部半径位置Rtのノズル外周壁8は、フレア角度を持たせた拡開流路に形成し、前段落の蒸気の膨張仕事の際、蒸気圧力、温度の低下に伴う蒸気比容積の増加に対処してノズル2の膨張仕事をより多く行なわせることができるようにしている。
【0009】
一方、低圧タービンの段落当りの出力向上を図った他の実施例には、図17や図23に示すものがある。
【0010】
図17に示す例は、ノズル2の翼形状を図11に示すそれと同一にする一方、ノズルルート部半径位置Rrからノズルチップ部半径位置Rtに向うノズルの後縁線9を、タービン軸4の中心点Oから放射状に延びるラジアル線Xr(半径方向線)に対し、交差させたものであり、また図23に示す例は、ノズル2の後縁線9を、ノズルルート部半径位置Rrからノズルチップ部半径位置Rtに向って、一定の曲率を備えた円弧で結んだ湾状曲線に形成したものである。
【0011】
前者のノズル2は、ノズルルート部半径位置Rrの周辺で蒸気の流れが低流量域にならないように配慮するため、前縁線10および後縁線9を、ラジアル線Xrに対し、いわゆる前倒し(タービン軸4の反回転方向)または後倒し(タービン軸4の回転方向)にしたものである。
【0012】
また、後者のノズル2は、ノズルルート部半径位置Rrおよびノズルチップ部半径位置Rtの周辺で蒸気の流れが低流量域にならないように配慮するため、後縁線9を、ラジアル線Xrに対し、円弧で結んだ湾状曲線にしたものである。
【0013】
このように、従来の低圧タービンは、ノズル2自身が持つ利点を延ばしつつ、欠点を補完し、翼効率を向上させて段落辺りの出力の向上を図っていた。
【0014】
しかし、最近の軸流タービンにおいては、燃料エネルギの消費を少なくして発電効率を従来以上に高めることが求められており、この一環として段落当りの出力向上、特にノズルの翼効率の向上が模索されている。ノズルの翼効率を従来以上に向上させるには、ノズルの後縁線から噴出する蒸気の流量分布がノズルルート部半径位置からノズルチップ部半径位置に至るまでの全域で均一になることが必要である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
図11および図12で示す従来のノズル2では、前縁線10、後縁線9ともに、タービン軸4の中心点から放射状に延びるラジアル線Xrに対し、略平行位置の、いわゆるストレート翼(ノズル)であるため、中心点Oから延長したノズルルート部半径位置Rrの周辺が境界層剥離の発生し易い低流量域になっており、翼効率を高める上で隘路の一つになっていた。
【0016】
ノズルルート部半径位置Rrの周辺が蒸気の低流量域となるのは、以下の原因によるものと考えられている。
【0017】
一般に、ストレート翼形状のノズル2は、図13に示すように、後縁線9から噴出する蒸気流出角αを、ノズルルート部半径位置Rrの周辺でその角度αrと小さくし、ノズルチップ部半径位置Rtの周辺でその角度αtと大きくしている。つまり、ノズル2の翼形状は、ノズルルート部半径位置Rrからノズルチップ半径位置Rtに亘って蒸気流出角を変えていた。
【0018】
ノズルルート部半径位置Rrよりもノズルチップ部半径位置Rtの方が蒸気流出角αを大きく採ったのは、以下の理論に基づくものである。
【0019】
通常、円筒が軸方向に沿って拡がりのない流路を形成する場合、蒸気の周速度成分Vtは、円筒を半径Rとし、定数C1 とするとき、渦無し理論(フリーボルテックス)により次式で与えられる。
【0020】
【数2】
R×Vt=C1 ……(1)
式(1)から、円筒の半径Rが小さいほど蒸気の周方向成分Vtは大きくなる。
【0021】
ところが、ノズル2の後縁線9から噴出する蒸気の流量分布は、翼効率を高くする上で、ノズルルート部半径位置Rrからノズルチップ部半径位置Rtの全域に亘って均一にすることが望ましい。具体的には、蒸気の軸流速度成分Va(半径方向の速度成分)は、一定であることが望ましい。この軸流速度成分Vaは、図14の速度三角形で示すように、タービン軸4の周方向速度成分Vtとし、ノズル2から噴出する蒸気の流出速度V、その流出角αとした場合、ベクトル線図から幾何学的に次式で示される。
【0022】
【数3】
Va=Vttanα ……(2)
上式(1),(2)から、円筒の半径Rと蒸気の流出角αとの関係式は次式が成立する。
【0023】
【数4】
α=tan-1(Va/C1 ×R) ……(3)
(3)式において、(Va/C1 )は、ノズルルート部半径位置Rrからノズルチップ部半径位置Rtに亘って一定であるから、蒸気の流出角αは円筒の半径Rの増加に比例して大きくなる。なお、図14中、Xa座標はタービン軸4の軸方向を、また座標Xcはタービン軸4の周方向をそれぞれ示している。
【0024】
このように、ストレート翼形状のノズル2は、図13に示すように、蒸気の流出角αをノズルルート部半径位置値Rrからノズルチップ部半径位置Rtに向って増加させることにより蒸気の流出分布量の均一化を図っていた。
【0025】
しかし、ストレート翼形状のノズル2では、上述のように、蒸気の流出角αをノズルルート部半径位置Rrからノズルチップ部半径位置Rtに向って増加させて蒸気の流出分布量の均一化を図っていても、実際には図15に示すように、蒸気の流線Sがノズルチップ部半径位置Rt側のノズル外周壁8に比較的多く偏り、ノズルルート部半径位置Rr側のノズル内周壁7周辺は低流量域になっていた。ノズル内周壁7周辺が低流量域になる原因は、蒸気の流線Sが動翼3を通過する際、遠心力によりノズル外輪6側に押し寄せられ、この押圧作用力が単に動翼3のみに止まらず、ノズル2を通過する流線Sにも影響を与えているものと考えられている。また、ノズルチップ部半径位置Rt側のノズル外周壁8は、上述前段落の膨張仕事により増加する蒸気の比容積に対処し、ノズルルート部半径位置Rrからノズルチップ部半径位置Rtの全域に亘って等分の膨張仕事をさせるようにフレア角を持たせた拡開流路に形成してあるが、蒸気の比容積が大きいため重力の影響を受けて拡開流路に沿うことができず、蒸気の流線Sに若干の乱れが出、ノズル内周壁7側ほどではないにしても蒸気の流れが若干悪くなっていた。
【0026】
ノズル2を通過する蒸気の流線Sに基づく流量分布を図16に示すと、ノズルルート部半径位置Rrのノズル内周壁7側の蒸気流量が極端に低く、またノズルチップ部半径位置Rtのノズル外周壁8側も蒸気流量が若干下がっている。なお、図16中、座標Rはノズル2の半径距離(ラジアル線Xr方向距離)を、座標Qはノズル2を通過する蒸気流量をそれぞれ示している。
【0027】
このように、ストレート翼形状のノズル2では、ノズルルート部半径位置Rrからノズルチップ部半径位置Rtまでの全域に亘って通過する蒸気流量が均一でないため、低流量域から境界層剥離が発生し易くなり、翼効率を高くできない原因になっていた。
【0028】
また、図17および図19に示すノズル2は、ノズル内周壁7からストレート状に形成した後縁線9のノズルルート部半径位置Rr、任意半径位置R0 、ノズルチップ部半径位置Rtの各位置における傾斜角βr,β0 ,βtlのそれぞれを、基準線(以下、ラジアル線Xrと記す)に対し全てプラス角に採った、いわゆる後倒し翼(ノズル)であるが、ノズルチップ部半径位置Rtのノズル外周壁8側の周辺が境界層剥離の発生し易い低流量域になっており、翼効率を高める上で欠点になっていた。なお、傾斜角βr,β0 ,βtlは、タービン軸4の回転方向をプラスに、その反回転方向をマイナスに採った。
【0029】
ノズルチップ部半径位置Rtのノズル内周壁7側の周辺が蒸気の低流量域となるのは、以下の原因によるものと考えられている。
【0030】
ノズル2の後縁線9を、ラジアル線Xrに交差させてプラス側(タービン軸4の回転方向側)に傾斜させた場合、後縁線9から噴出する蒸気の流出角αは、図18に示すように、ノズルルート部半径位置Rrの周辺でその角度αrと小さく、ノズルチップ部半径位置Rtの周辺でその角度αtと大きくなっており、図13で示す蒸気の流出角分布線図と同一になっている。蒸気の流出角分布線図が同一となるのは、ノズル2の後縁線9を、ラジアル線Xrに対し交差させても、翼素形状そのものは同一であり、翼素の慣性主軸(翼素の断面中心)は変化していないからである。
【0031】
一方、ラジアル線Xrに対するノズル2の後縁線9の傾斜角βは、図19に示すように、ノズルルート部半径位置Rr、任意半径位置R0 、ノズルチップ部半径位置Rtの各点位置毎に注目して見た場合、
【数5】
βr>β0 >βtl>0 ……(4)
の関係式になっている。この関係式は、幾何学的計算からも必然的に求めることができるものであって、上式の関係をプロットすると、図20で示す後縁線9の傾斜角分布線図になる。
【0032】
このように、ノズル2の後縁線9を、各半径位置Rr,R0 ,Rtに対し、上式の関係を満す傾斜角βr,β0 ,βtlとした場合、図21に示すように、段落1を通過する流線Sのうち、ノズル2のノズルルート部半径位置Rrのノズル内周壁7側の流線Sは均一化されているものの、ノズルチップ部半径位置Rtのノズル外周壁8側の流線Sは存在しない、いわゆる低流量域になっている。また、この流線Sに基づく蒸気の流量分布をグラフ化した場合、図22に示すように、ノズルルート部半径位置Rrのノズル内周壁7側は蒸気流量が高いのに較べ、ノズルチップ部半径位置Rtのノズル外周壁8側は極端に少なくなっている。
【0033】
この原因を子細に考慮すると、ノズル2の後縁線9は、図19に示すように、各半径位置Rr,R0 ,Rtにおけるラジアル線Xr,Xr,……に対しプラス側(タービン軸4の回転方向)に傾斜させているため、後縁線9から噴出する蒸気は、ノズルルート部半径位置Rrのノズル内周壁7側に向う押圧作用力(ベクトル)が発生しており、この押圧作用力が動翼3の遠心力に抗しているものと考えられる。
【0034】
このように、ノズル2の後縁線9を、ラジアル線Xrに対しプラス側に傾斜させた、いわゆる後倒し翼では、ノズルルート部半径位置Rrのノズル内周壁7側の低流量域問題が解決されていても、ノズルチップ部半径位置Rtのノズル外周壁8側の低流量域問題が残っており、翼効率を向上できない原因になっていた。
【0035】
さらに、図23および図24に示す湾状曲線のノズル2の後縁線9は、ノズルルート部半径位置Rrを基点に、一定の曲率の下、任意半径位置R0 に向って曲線C1 に、また任意半径位置R0 から一定の曲率の下、ノズルチップ部半径位置Rtに向って曲線C2 にそれぞれ画し、ラジアル線Xr,Xrに対し、傾斜角βrをプラス(タービン軸4の回転方向)に、傾斜角βtlをマイナス(タービン軸4の反回転方向)の両方を持たせたものである。つまり、任意半径位置R0 におけるラジアル線Xrに対する傾斜角β0 をゼロにした場合、ノズルルート部半径位置Rrにおけるラジアル線Xrに対する傾斜角はβr>0にし、またノズルチップ部半径位置Rtにおけるラジアル線Xrに対する傾斜角はβtc<0にしたものである。
【0036】
これら傾斜角βr,βtcを備えた湾状曲線のノズル2と、図19に示す傾斜角βr,βtlを備えた倒し翼とを比較してみると、図25からも理解されるように、各半径位置Rr,R0 ,Rtにおける傾斜角βr,Rtl,βtcの絶対値は、湾状曲線のノズルの方が小さくなっている。なお、図25中、座標Rはタービン軸4の中心点Oから放射状に延びたラジアル線Xrの半径方向・距離を、また座標βはラジアル線Xrに対する傾斜角度値をそれぞれ示す。
【0037】
湾状曲線のノズル2の傾斜角βr,βtcとも、倒し翼の傾斜角βr,βtlよりも絶対値が小さいのは、ノズル2の後縁線9から噴出する蒸気のノズルルート部半径位置Rrのノズル内周壁7側に向う押圧作用力が弱く、また蒸気のノズルチップ部半径位置Rtのノズル外周壁8側に向う押圧作用力が相対的に高いと考えられる。
【0038】
このような考察の下に、段落1を通過する蒸気の流線Sをプロットしてみると、図26に示すように、ノズルルート部半径位置Rr側で少なく、またノズルチップ部半径位置Rt側で密になっている。また、図26の流線Sに基づいて、蒸気の流量分布をグラフ化してみると、図27に示すように、ノズルルート部半径位置Rr側で低流量Qになっており、ノズルチップ部半径位置Rt側で高流量Qになっている。高流量Qになっているのは、押圧作用力のほかに動翼3の遠心力による影響が加算されていると考えられる。
【0039】
このように、後縁線9を湾状曲線に形成したノズル2であっても、ノズルルート部半径位置Rr側とノズルチップ部半径位置Rt側とでは蒸気の流れが悪いことに伴って流量バランスに偏差がでており、翼効率を向上できない原因になっている。
【0040】
本発明は、上述の事情を考慮してなされたもので、段落を通過する蒸気がノズルルート部半径位置からノズルチップ部半径位置の全域に亘って均一に流れる流量バランスの適正化を図って翼効率を向上させた軸流タービンを提供することを目的とする。
【0041】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る軸流タービンは、上記目的を達成するため、請求項1に記載したように、軸方向に沿って軸流列に段落を備え、段落をノズルと動翼とにより構成し、上記ノズルの両端をノズル内輪およびノズル外輪で固設し、ノズル外輪を軸方向に延長させて拡開流路に形成した軸流タービンにおいて、上記ノズルの後縁線を、上記ノズル内輪からノズル高さ中間位置までをタービン軸の回転中心を通る基準線に対し直線状に傾斜させるとともに、この直線状の傾斜をタービン軸の回転方向側に位置させる一方、上記ノズル高さ中間位置から上記ノズル外輪までを、湾状曲線に形成し、この湾状曲線を上記タービン軸の反回転方向側に位置させるとともに、湾状曲線の曲率をRとし、上記タービン軸の回転中心から上記ノズル内輪の内周壁までの距離をRrとし、上記タービン軸の回転中心から上記ノズル外輪の外周壁までの距離をRtとするとき、極率Rを、
【数6】
(Rt−Rr)/2<R<10(Rt−Rr)
の範囲内に設定したものである。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る軸流タービンの一実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0047】
図1は、本発明に係る軸流タービンのうち、段落の一部を示した概略断面図である。
【0048】
段落11は、ノズル12と動翼13とにより構成され、タービン軸14の軸方向Xaに沿って複数が軸流列に設けられている。
【0049】
ノズル12は、両端をリング状のノズル内輪15およびノズル外輪16で固設し、そのノズル外輪16をケーシング(図示せず)に係合保持させている。また、ノズル2は、ノズル内輪15のノズル内周壁17からノズル外輪16のノズル外周壁18の外径方向(ノズル長手方向外側)に向ってノズル幅(翼幅)を次第に拡げ、後縁線19から噴出する蒸気の速度エネルギが、ノズルルート部(ノズル内周壁側)半径位置Rrからノズルチップ部(ノズル外周壁側)半径位置Rtに至るまで半径方向に均一分布になるよう図られている。
【0050】
また、ノズルチップ部半径位置Rtのノズル外周壁18は、軸方向Xaに沿って延長させる一方、フレア角度を持たせた拡開流路に形成し、前段落の蒸気の膨張仕事の際、蒸気圧力・温度の低下に伴う蒸気比容積の増加に対処してノズル12の膨張仕事をより多く行なわせることができるようにしている。
【0051】
一方、動翼13はタービン軸14に植設し、ノズル12から噴出する蒸気の速度エネルギにより回転し、その回転力から発電機(図示せず)を駆動する回転動力(トルク)を得ている。
【0052】
図2は、図1のA−A線から見たノズル12の概略斜視図である。
【0053】
ノズル12は、リング状のノズル内周壁17およびノズル外周壁18に沿って環状に配列し、蒸気通路20を形成しており、前縁線21から流入する蒸気の熱エネルギを蒸気通路20で膨張する際、速度エネルギに変換し、その速度エネルギを後縁線19から動翼13に与えるようになっている。
【0054】
ノズル12の後縁線19は、図3に示すように、タービン軸14の回転中心Oを通る基準線(以下、ラジアル線と記す)Xr,Xr,……に対し、ノズル内周壁17のノズルルート部半径位置Rrから放射状に延び、かつタービン軸14の回転方向(ノズル内周壁17の周方向)に傾斜する直線SLと、途中からノズル外周壁18のノズルチップ部半径位置Rtまでタービン軸14の反回転方向に形成する湾状曲線CLとに区分けされている。
【0055】
ノズル12の後縁線19の形状を具体的に説明すると、図4に示すように、直線SLは、タービン軸14の回転中心Oを通るラジアル線Xrに対し、傾斜角βrを持って、ノズルP.C.D.(ピッチサークルオブダイヤの略称で、蒸気がノズル12を通過する領域の中間位置を指称する)の半径位置RPCD まで放射状に延長されている。
【0056】
一方、湾状曲線CLは、曲率Rを持って、ノズルP.C.D半径位置RPCD で直線SLに接続し、タービン軸14の回転中心Oを通る半径位置R0 でラジアル線Xrに対し、傾斜角をゼロにし、ノズルチップ部半径位置Rtまで延長されている。なお、ノズルP.C.D.半径位置RPCD における湾状曲線CLの傾斜角は、タービン軸14の回転中心Oを通るラジアル線Xrに対し、βPCD であり、またノズルチップ部半径位置Rtにおける湾状曲線CLの傾斜角は、ラジアル線Xrに対し、βtである。
【0057】
湾状曲線CLの曲率Rは、ノズルルート部半径位置Rr、ノズルチップ部半径位置Rtにおいて、次式の関係範囲を満すことにより設定される。
【0058】
【数7】
Figure 0003771967
【0059】
この関係式の範囲は、湾状曲線CLから噴出する蒸気の押圧作用力を、動翼13の遠心力の影響を加味して若干セーブさせ、ノズルチップ部半径位置Rt側が高流量になることを回避するために、試行錯誤を繰り返して算出した実験結果である。
【0060】
上述の関係式は、蒸気の押圧作用力により、ノズルチップ部半径位置Rt側が高流量になることを回避させる最も好ましい適用範囲である。
【0061】
図5は、座標βにタービン軸14の回転中心Oを通るラジアル線Xrに対し、ノズル12の後縁線19のうち、直線SLの傾斜角度値および湾状曲線CLの傾斜角度値を、また座標Rにタービン軸14の回転中心Oを通り放射状に延びる半径方向距離値をそれぞれ示したものである。また、図6は、図5に示す直線SLおよび湾状曲線CLの傾斜角度変化値に対応させた蒸気の流出角を示すものである。座標αは、図5の直線SLおよび湾状曲線CLの傾斜角変化値に対応する蒸気の流出角変化値を示す。
【0062】
これら図5および図6において、直線SLの傾斜角βは、ノズルルート部半径位置RrからノズルP.C.D.半径位置RPCD に向って低下し、また蒸気流出角αはノズルルート部半径位置RrからノズルP.C.D.半径位置RPCD に向って増加しており、これらのデータから後縁線19の直線SLで噴出する蒸気の押圧作用力は、ノズルルート部半径位置Rr側からノズルP.C.D.半径位置RPCD 側に進むに連れ、その方向性を変えている。したがって、後縁線19の直線SLから噴出する蒸気の押圧作用力は、ノズルルート部半径位置Rr側においても作用しているので、ノズルルート部半径位置Rrに蒸気が流れ、その周辺での低流量域を回避することができる。
【0063】
一方、湾状曲線CLは、図5および図6に示すように、ノズルP.C.D.半径位置RPCD からノズルチップ部半径位置Rtにかけて傾斜角βを急激に低下させる一方、ノズルチップ部半径位置Rtの傾斜角βtの絶対値がノズルルート部半径位置Rrの傾斜角βrよりも小さくなっており、また傾斜角βの変化値に対応させた蒸気の流出角αの変化値もノズルP.C.D.半径位置RPCD からノズルチップ部半径位置Rtの範囲内のノズル半径位置R0 におけるラジアル線Xrに対する傾斜角ゼロ値でピーク値を採り、以後、ノズルチップ部半径位置Rtで流出角αtは下っている。
【0064】
上述のデータから理解できるように、湾状曲線CLから噴出する蒸気の押圧作用力は、ノズル半径位置Rで最大になっている。ノズル半径位置R 押圧作用力を最大にしたのは、動翼13の遠心力の影響によりノズルチップ部半径位置Rt側が高流量域になることを回避するためである。
【0065】
図7は、図5および図6に示す直線SLおよび湾状曲線CLの傾斜角βの変化値、蒸気の流出角αの変化値に基づいて段落11を通過する蒸気の流線Sをプロットしたものであり、また、図8は、図7の流線Sに基づいてノズルルート部半径位置Rrからノズルチップ部半径位置Rtまでの蒸気流量Qの分布を作成したものである。
【0066】
図7および図8から理解できるように、蒸気は、ノズル12の後縁線19を噴出するとき、ノズルルート部半径位置Rrからノズルチップ部半径位置Rtに対する全域で均一化されている。
【0067】
このように、本発明に係る軸流タービンでは、ノズル12の後縁線19を傾斜状の直線と湾状曲線とに区分けし、ノズルルート部半径位置Rrに押圧作用力を与えているので、ノズルルート部半径位置Rr側の低流量域を回避することができる。また、ノズルチップ部半径位置Rtに与えられる押圧作用力をセーブさせているので、ノズルチップ部半径位置Rt側の高流量域を回避することができる。
【0068】
図9および図10は、ともに本発明に係る軸流タービンの第1実施例を示す概略図である。なお、図2および図3の構成部品と同一構成部分には同一符号を付す。
【0069】
本実施例は、図9に示すように、ノズル12の後縁線19を、直線SLと湾状曲線CLとに区分けした点で、図2および図3に示す実施形態と基本的に軌を一にしているが、湾状曲線CLの形状を異ならしめている。
【0070】
湾状曲線CLは、図10に示すように、タービン軸14の回転中心Oを通るラジアル線Xrに対し、傾斜角βrを持たせ、ノズルルート部半径位置RrからノズルP.C.D.半径位置RPCD に向って放射状に延びる直線SLに接続されるが、その曲率は変形長円形の曲率が利用されている。変形長円形の曲率は、ノズル半径位置R0 でラジアル線Xrに対し傾斜角をゼロにし、ノズルチップ部半径位置Rtで高流量域を回避できる範囲に設定されている。
【0071】
このように、本実施例は、ノズル12の後縁線19を、ノズルルート部半径位置Rr側が低流量域になることを回避し、またノズルチップ部半径位置Rt側が高流量域になることを回避するための直線SLと湾状曲線CLとに区分けしているので、図2および図3に示す実施形態と同様に、ノズル12の後縁線19から噴出する蒸気の流量分布を均一化させることができる。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る軸流タービンは、ノズルの後縁線を、ノズルルート部半径位置からノズルP.C.D半径位置に亘って傾斜状の直線に形成し、ノズルP.C.D.半径位置からノズルチップ部半径位置に亘って湾状曲線にしたので、ノズルルート部半径位置側、ノズルチップ部半径位置側ともに、蒸気を適正な流量として流すことができる。
【0073】
また、本発明に係る軸流タービンは、湾状曲線の曲率を、(Rt−Rr)/2<R<10(Rt−Rr)の範囲に設定してあるので、ノズルP.C.D.半径位置側からノズルチップ部半径位置側までを均一な蒸気流量として流すことができる。
【0074】
また、本発明に係る軸流タービンは、湾状曲線から噴出する蒸気の押圧作用力のピーク値を、ノズルP.C.D.半径位置からノズルチップ部半径位置の範囲内に設定したので、動翼の遠心力の影響を受けても適正流量としてノズルチップ部半径位置側に蒸気を流すことができる。
【0075】
したがって、本発明に係る軸流タービンでは、ノズルの後縁線から噴出する蒸気の流量分布を、ノズルルート部半径位置からノズルチップ部半径位置の全域に亘って均一化でき、翼効率の高いノズルを実現でき、軸流タービンの翼効率の向上により、発電効率を飛躍的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る軸流タービンの段落の一部を示す概略断面図。
【図2】図1のA−A矢視方向から見たノズルの概略斜視図。
【図3】本発明に係る軸流タービンのノズルの後縁線側から見た概略断面図。
【図4】本発明に係るノズルの形状を示す模式図。
【図5】タービン軸の回転中心を通る基準線(ラジアル線)に対するノズルの後縁線の傾斜角を示す分布線図。
【図6】ノズルの後縁線から噴出する蒸気の流出角を示す分布線図。
【図7】段落を通過する蒸気の流線を示す図。
【図8】ノズルの後縁線から噴出する蒸気の流量を示す分布線図。
【図9】本発明に係る軸流タービンの第1実施例を示し、ノズルの後縁線側から見た概略断面図。
【図10】本発明に係る第1実施例におけるノズルの形状を示す模式図。
【図11】従来の軸流タービンの段落の一部を示す概略断面図。
【図12】図11のB−B矢視方向から見たノズルの概略断面図。
【図13】図12におけるタービン軸の回転中心を通る基準線(ラジアル線)に対するノズルの後縁線の傾斜角を示す分布線図。
【図14】ノズルから噴出する蒸気の速度三角形を示す図。
【図15】図13および図14に基づく段落を通過する蒸気の流線を示す図。
【図16】図15に基づく蒸気の流量を示す分布線図。
【図17】従来の他の実施例を示す軸流タービンのノズルの後縁線側から見た概略断面図。
【図18】図17におけるノズルから噴出する蒸気の流出角を示す分布線図。
【図19】図17におけるノズルの形状を示す模式図。
【図20】図19におけるタービン軸の回転中心を通る基準線(ラジアル線)に対するノズルの後縁線の傾斜角を示す分布線図。
【図21】図18および図20に基づく段落を通過する蒸気の流線を示す図。
【図22】図21に基づく蒸気の流量を示す分布線図。
【図23】従来のさらに別の実施例を示す軸流タービンのノズルの後縁線側から見た概略断面図。
【図24】図23におけるノズルの形状を示す模式図。
【図25】倒し翼の傾斜角と、湾状曲線を備えたノズルの傾斜角とを比較した傾斜角分布線図。
【図26】図25に基づく段落を通過する蒸気の流量を示す図。
【図27】図26に基づく蒸気の流量を示す分布線図。
【符号の説明】
1 段落
2 ノズル
3 動翼
4 タービン軸
5 ノズル内輪
6 ノズル外輪
7 ノズル内周壁
8 ノズル外周壁
9 後縁線
10 前縁線
11 段落
12 ノズル
13 動翼
14 タービン軸
15 ノズル内輪
16 ノズル外輪
17 ノズル内周壁
18 ノズル外周壁
19 後縁線
20 蒸気通路
21 前縁線
SL 直線
CL 湾状曲線

Claims (1)

  1. 軸方向に沿って軸流列に段落を備え、段落をノズルと動翼とにより構成し、上記ノズルの両端をノズル内輪およびノズル外輪で固設し、ノズル外輪を軸方向に延長させて拡開流路に形成した軸流タービンにおいて、上記ノズルの後縁線を、上記ノズル内輪からノズル高さ中間位置までをタービン軸の回転中心を通る基準線に対し直線状に傾斜させるとともに、この直線状の傾斜をタービン軸の回転方向側に位置させる一方、上記ノズル高さ中間位置から上記ノズル外輪までを、湾状曲線に形成し、この湾状曲線を上記タービン軸の反回転方向側に位置させるとともに、湾状曲線の曲率をRとし、上記タービン軸の回転中心から上記ノズル内輪の内周壁までの距離をRrとし、上記タービン軸の回転中心から上記ノズル外輪の外周壁までの距離をRtとするとき、極率Rを、
    Figure 0003771967
    の範囲内に設定したことを特徴とする軸流タービン。
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