JP3771777B2 - レーザレーダ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、目標の距離、速度等の物理情報を測定するためのレーザレーダ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
任意の車両や建築物等の目標(ハードターゲット)の距離、速度等の物理情報を測定することを目的とする装置として光波(レーザ)を用いたレーザレーダ装置がある。目標の距離情報を得るレーザレーダ装置には、パルスレーザ光を送信し目標からの反射散乱光を受信するまでの時間により目標の距離を得るパルス方式と、変調したCW(Continuous Wave)レーザ光を送信する変調CW方式がある。パルス方式には直接検波方式とコヒーレント検波方式があり、コヒーレント検波方式では受信光のドップラーシフトから目標の速度情報を得ることができる。変調CW方式としてはCWレーザ光を周波数変調するFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式がある。
【0003】
パルス方式として、コヒーレント検波方式の従来例を示す。
図5は、Sammy W. Henderson等により米国特許5、237、331号に示されたもので、光源にインジェクションシーディングパルスレーザ装置を用いたコヒーレントレーザレーダ装置の構成図である。
図5において、1は単一周波数で発振するCWレーザ光源、2は第1の光分岐器、3は周波数シフタ、4はインジェクションシーディングパルスレーザ、5はビームスプリッタ、6は1/4波長板、7は送受光学系、8は走査光学系、9は第1の光混合器、10は第1の光検波器、11は第2の光分岐器、12は第3の光分岐器、13は第2の光混合器、14は第2の光検出器、15はAD変換器、16は信号処理装置、17はインジェクションシーディングパルスレーザ4の共振器長の調整機構、18は調整機構17の制御回路、19はレーザ光源1からのレーザ光、20はシード光、21はパルスレーザ光、22は送受信光の光軸、23は送信光、24は受信光、25はローカル光、26は第1の光混合器9による受信光24とローカル光25の混合光である。
【0004】
次に、動作について説明する。
単一波長f0で発振するレーザ1からのレーザ光19は、第1の光分岐器2により2分岐され、一方はローカル光25に用いられ、他方は周波数シフタ3により周波数fIFだけ周波数増加したレーザ光となり、シード光20としてインジェクションシーディングパルスレーザ4に供給される。インジェクションシーディングパルスレーザ4は、シード光20に一番近い周波数を持つ軸モードで単一周波数(単一波長)のパルス発振を行う。インジェクションシーディングパルスレーザ4からのパルスレーザ光21は、直線偏光しており、ビームスプリッタ5により反射される。1/4波長板6により円偏光に変換された後、送受光学系7および走査光学系8を経て、送信光23として目標に向けて照射される。
【0005】
目標からの散乱光は、送信光とは逆の経路を経て受信される。受信光24は1/4波長板6により、パルスレーザ光21の偏光面とは90度ずれた直線偏光になり、ビームスプリッタ5を透過し第1の光混合器9に導かれる。第1の光混合器9において、受信光24とローカル光25は混合される。混合光26は第1の光検出器10においてコヒーレント検波される。第1の光検出器10からの信号はAD変換器15によりサンプリングされ、信号処理装置16により強度信号の時間波形から目標の距離が抽出されると共に、ドップラー信号から目標の速度が抽出される。
【0006】
前述のように、インジェクションシーディングパルスレーザ4は、シード光20に一番近い周波数を持つ軸モードで単一周波数のパルス発振を行うので、正確なドップラー信号を得るためには、パルスレーザ光21とローカル光25の周波数差をモニタする必要がある。このため、第2、第3の光分岐器11、12によりそれぞれパルスレーザ光21とローカル光25の一部を取り出し、第2の光混合器13で両者を混合した後、第2の光検出器14でコヒーレント検波を行う。受信光と同様にAD変換器15によりサンプリングし、信号処理装置16によりパルスレーザ光21とローカル光25の周波数差等を求める。ローカル光25の周波数をf0とすると、シード光、パルスレーザ光、受信光、周波数モニタ信号、受信信号のそれぞれの周波数fs、fT、fR、fM、fsigは次式で表される。
【0007】
【数1】
【0008】
ここで、fIFは中間周波数、δfはパルスレーザ光とシード光の周波数差、fdは目標のドップラー周波数であり、受信信号fsigと周波数モニタ信号fMの差を取ることにより得ることができる。
【0009】
パルス方式における距離分解能は、送信レーザパルスのパルス幅により決まり、受信信号のSN比の強弱や目標のスペックル効果による信号強度の変動を考慮すると、距離精度も距離分解能程度であると考えられる。パルス方式の距離分解能ΔRは次式で表される。
【0010】
【数2】
【0011】
ここで、τはレーザパルスのパルス幅、cは光速度である。
【0012】
数(2)より明かなように、距離分解能ΔRを小さくし精度の高い測定をするには、送信するレーザパルスの幅τを小さくすればよい。距離分解能の値として1mを得るにはパルス幅τを6.6nsとすることが必要である。高出力のパルスレーザ発振器には、通常、共振器のQを制御してレーザパルスを得るQスイッチパルスレーザ発振器が用いられる。Qスイッチパルスレーザ発振器により、狭パルス幅のレーザパルスを得るには高利得が必要である。利得が高くとれる四準位系レーザであるNd系(発振波長1μm)のレーザにおいては数nsのパルス幅も達成されているが、アイセーフ波長(>1.4μm)で発振するEr系、Ho系およびtm系のレーザは利得の低い3準位系のレーザであり、数nsのパルス幅の達成は困難であり、利得を大きくするために励起パワーを大きくしたり、励起効率をあげるための工夫をしたりするなどより複雑な構成を必要とする。さらに、パルス幅を小さくすると、受信信号の周波数帯域が広くなるため、同じSN比を確保するためにピークパワーを高くする必要がある。
【0013】
したがって、パルス方式で高い距離分解能を得るには高利得のQスイッチパルスレーザ発振器が必要であるためレーザが複雑な構成となる。また、ピークパワーが高くなるため、装置に用いる光学部品に焼けが生じる可能性が高くなり、信頼性の低下や耐レーザパワー性の高い高価な部品を用いる必要性が生じる問題がある。
【0014】
また、コヒーレント検波方式においては、パルス幅を小さくして距離分解能を小さくすると速度分解能が大きくなる問題がある。これは、距離分解能ΔRと速度分解能Δvの間には次式の関係があるためである。
【0015】
【数3】
【0016】
ここで、λ:レーザパルスの波長である。
【0017】
次に、変調CW方式であるFMCW方式の従来例を示す。
図6は、Christer J. Karlson等によりApplied Optics 誌(Vol. 38, No. 15, pp33766-3386, 1999)に開示されたFMCW方式のレーザレーダ装置を示す構成図である。
図6において、27は半導体レーザ(以下、LDと称す)、28は電源、29はFM変調回路、30は光カプラ、31は送受信光学系、32は光検出器、33は信号処理装置である。
【0018】
図6に示す構成の動作について説明する。
単一モードで発振するLD27からのCWレーザ光は、光カプラ30を経て、送受光学系31より目標に向けて照射される。目標からの散乱光の一部は、送受光学系31により受光され、光カプラ30を経て、光検出器32に至る。また、送受光学系31において、送信光の一部は、例えば光ファイバの出射端におけるフレネル反射により反射される。反射された反射光は、ローカル光として受信光と同様に光カプラ30を経て光検出器32に至る。光検出器32により、受信光とローカル光はヘテロダイン検波される。光検出器32からの受信信号は、信号処理装置33により周波数解析され、目標の距離および速度情報が抽出される。
【0019】
ここで、LD27からのCWレーザ光は、FM変調回路29により周波数変調される。
図7に、周波数変調の一例を示す。
CWレーザ光は、周期tmの2等辺三角形状の三角波に周波数変調される。このときの送信光、ローカル光および受信光の周波数変化は図7に示す通りである。
【0020】
図8に、受信信号から目標の距離、速度を求める方法を説明するために、受信光、ローカル光および受信信号の1周期分の周波数の時間変化を示す。
受信光の周波数変調は、ローカル光に比べ、目標までのラウンドトリップ時間tr分遅れる。このため、ローカル光と受信光の周波数変調関数が同一の傾きである時間において、受信光とローカル光とのビート信号である受信信号は一定の周波数frを持つ。(固定(静止)目標の時)一定の周波数frが得られる時間は、周波数変調の1周期時間をtmとすると、変調関数が正の傾きにおいてtr〜tm/2、負の傾きにおいてtm/2+tr〜tmである。目標が移動目標(装置に対して相対的な速度を持つ)である場合、ドップラー周波数fdが受信光の周波数に加わるため、得られるビート周波数は、変調関数が正の傾きにおいてfr-fd、負の傾きにおいてfr+fdとなる。正負両者の傾きの時のビート周波数より、frおよびfdを求めることができる。これにより、目標の距離と速度情報を得ることができる。
【0021】
最大測定距離Rmaxは、理論的にはローカル光と受信光の変調関数が同一の傾きを持つ時間が存在する条件tr=tm/2で決まる距離となるが、計測時間が限り無く0に近くなり現実的ではない。ここで、計測時間が50%dutyとなる条件を設けると、最大測定距離Rmaxと周波数frおよび距離分解能ΔR、周波数分解能dfrは以下のように求まる。
【0022】
【数4】
【0023】
ここで、Δfは変調周波数幅、fm:変調周波数、df:変調関数の傾きである。
【0024】
距離分解能ΔRは変調周波数幅Δfにより、変調周波数fmによらない。一方、周波数分解能dfrは次式で表されるから、最大測定距離Rmaxが大きくなると、周波数分解能dfrは小さくなる。
【0025】
【数5】
【0026】
このことは、単に計測時間が長くなるだけではなく、光源の線幅および周波数変調の精度も周波数分解能以下が必要であるため、影響は大きい。ΔR=1mとすると、測定距離範囲、即ち最大測定距離が1kmにおいて、光源の線幅および周波数変調の精度は300kHz、最大測定距離が10kmとすると30kHzが必要となる。通常入手可能なLDの線幅は1MHz程度であるので、上記の条件では使用することができない。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、従来のパルス方式を用いたレーザレーダ装置では、高い距離分解能を得るには短パルス幅のパルスが必要である。このため、高利得のQスイッチパルスレーザ発振器が必要となり、レーザが複雑な構成となる。また、ピークパワーが高くなるため、装置に用いる光学部品に焼けが生じる可能性が高くなり、信頼性の低下や耐レーザパワー性の高い高価な部品を用いる必要性が生じる問題があった。さらに、コヒーレント検波を用いたパルス方式においては、距離分解能ΔRと速度分解能Δvの間は逆比例の関係にあるため、パルス幅を小さくして距離分解能を小さくすると速度分解能が大きくなる問題があった。
【0028】
一方、従来のFMCW方式では、距離分解能を小さくすることと測定距離範囲を大きくすることを両立するには、光源の線幅および周波数変調の精度に高い条件が必要となり、LDのような安価で変調の容易な光源が使えなくなるという問題があった。
【0029】
この発明は上述した点に鑑みてなされたもので、従来のパルス方式に比べ、同じ距離分解能を得るのに構成のより簡単な光源が利用でき、信頼性の高いレーザレーダ装置を得ることを目的とする。また、従来のFMCW方式に比べ線幅および周波数変調の精度に対する条件を緩和し、より簡便な光源が利用できるレーザレーダ装置を得ることを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るレーザレーダ装置は、レーザパルスを発生するレーザパルス発生手段と、ローカル光を発生するローカル光発生手段と、上記レーザパルス発生手段からのレーザパルスを目標に向けて送信し、目標からの散乱光の一部を受信する光送受信手段と、上記ローカル光発生手段からのローカル光と上記送受信光学手段で受信された受信光を混合する光混合手段と、上記光混合手段により混合された混合光を光ヘテロダイン検波する光検波手段と、上記光検波手段からの信号から目標の情報を抽出する信号処理手段とを有するコヒーレントレーザレーダ装置において、上記レーザパルス発生手段は、レーザパルスを周波数変調する第1の周波数変調手段を有し、上記ローカル光発生手段は、上記レーザパルス発生手段からのレーザパルスと同様の周波数変調を1周期とする繰返し周波数変調をローカル光に与える第2の周波数変調手段を有することを特徴とするものである。
【0031】
また、上記第1の周波数変調手段は、レーザパルス毎に複数の傾きの異なる直線周波数変調で交互に変調することを特徴とするものである。
【0032】
また、上記レーザパルス発生手段と上記ローカル光発生手段は、単一モードで発振するCWレーザと、上記CWレーザからのCWレーザ光を周波数変調する変調手段と、上記CWレーザ光を2つに分ける光分岐手段と、上記光分岐手段で分岐された一方のCWレーザ光をパルス光として取出す光スイッチ手段とで構成されることを特徴とするものである。
【0033】
また、上記光分岐手段と上記光送受信手段との間に、光増幅器を設けたことを特徴とするものである。
【0034】
さらに、上記光増幅器は、光ファイバ増幅器であることを特徴とするものである。
【0035】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るレーザレーダ装置を示す構成図である。図1において、34は単一モードで発振するパルスレーザ、35は第1の周波数変調手段、36は送受信光分離手段、37は送受光学系、38は光混合手段、39は光検出器、40は単一モードで発振するCWレーザ、41は第2の周波数変調手段、42は信号処理装置、43は周波数変調制御回路である。
【0036】
次に、図に基づき動作を説明する。
パルスレーザ34は、単一モードの送信レーザパルスを発振する。第1の周波数変調手段35は、上記レーザパルスを周波数変調制御回路43からの制御信号により、パルス内で上記レーザパルスの光周波数を周波数変調する。変調する手段としては、パルスレーザ34の共振器長を変調する、または励起パワーを変調する、またはレーザパルスを直接変調する手段等が考えられる。送信レーザパルスは、送受信光分離手段36を経て、送受光学系37から目標に向けて照射される。目標からの散乱光の一部を送受光学系37により受光し、送受信光分離手段36により送信レーザパルスと分離して光混合器38に受信光を送る。
【0037】
一方、単一モードで発振するCWレーザ40は、上記レーザパルスに対し光周波数Δfsを持つCWレーザ光を発振する。第2の周波数変調手段41は、第1の周波数変調手段35のレーザパルスに対する周波数変調と同一の周波数変調を1周期とする繰返し周波数変調を上記CWレーザ光の光周波数に対して与える。第2の周波数変調手段41がCWレーザ光を変調する手段としては、CWレーザ40の共振器長を変調する、または励起パワーを変調する、またはCWレーザ光を直接変調する手段等が考えられる。変調されたCWレーザ光は、ローカル光として光混合器38に供給される。
【0038】
周波数変調制御回路43は、パルスレーザ34から繰り返し送信される送信レーザパルス光を2種類以上の異なった傾きを持つ変調関数で交互に切り替えて周波数変調を行う制御信号を第1の周波数変調手段35に送る。また、第1の周波数変調手段35と同期を取ってCWレーザ光を周波数変調するよう第2の周波数変調手段41に制御信号を送る。
光混合器38は、受信光とローカル光を混合して、光検出器39に送る。光検出器39では、光ヘテロダイン検波を行い、その受信信号を信号処理装置42に送る。信号処理装置42では、受信信号の時間および周波数解析を行い、目標の距離および速度情報を求める。
【0039】
この発明による方式は、送信レーザ光を1周期分のパルス光としたFMCW方式であるFMパルス方式である。
図2に、FMCW方式とFMパルス方式の送信光とローカル光の強度と周波数の時間概念図を示す。
FMCW方式は、送信光およびローカル光が強度一定で周波数が三角波の変調がかけられたCW光であるのに対し、FMパルス方式は、送信光がFMCW方式における三角波の周波数変調の1周期分を斜辺毎に分割した2つのパルスとなっていることが特徴である。ローカル光は、各々の送信光パルスに対し、同期しかつ送信光と同一の周波数波形の繰り返しである鋸歯状の周波数変調光である。通常のパルス方式における距離分解能はパルス幅程度であるが、FMCW方式の手法を用いることにより距離分解能を向上させることができる。
【0040】
第1パルスと第2パルスの対応するタイムゲート(レンジビン)の信号の周波数からレンジビン内の目標の距離に対応した周波数frまたはfr'が求まる。さらに、ドップラー周波数dfも同時に求まるので、目標の速度情報も得ることができる。
図3に、第1パルスの受信信号とタイムゲートの関係を示す。dtの値により信号の周波数の値、時間形状が異なるが、少なくともτ/2の間は周波数一定の区間が存在することが分かる。τ/2毎にタイムゲートを切り、信号処理を行うことにより、上記周波数を求めることができる。この周波数と第2パルスの同一のタイムゲートから求まる周波数からレンジビン内の目標の距離に対応した周波数frまたはfr’およびドップラー周波数dfを求めることができる。
【0041】
frおよびfr'とレンジビン内の目標の距離R’の関係は次式で表される。
【数6】
【0042】
ここで、fmは変調周波数、cは光速度である。
【0043】
周波数分解能dfrと距離分解能ΔRの関係は次式で表される。
【0044】
【数7】
【0045】
また、周波数分解能dfrと装置の受信機帯域Bは等しくとることから、次式となる。
【0046】
【数8】
【0047】
よって、次式が得られる。
【数9】
【0048】
この発明であるFMパルス方式を用いれば、例えば、最大測定距離10km、距離分解能ΔR=1mとしたとき、送信レーザパルス幅τ=1μs、周波数分解能dfr=2MHzで装置を構築することが可能である。これは、パルス方式がパルス幅τ=6.7nsが必要であることに比べて、レーザパルスのピークパワーおよびパルス幅の条件を緩和し、パルスレーザにより簡単な構成のパルスレーザを用いることができる。また、必要な周波数分解能はパルス幅と距離分解能により決まる。このため、最大測定距離に係わらず上記の条件では周波数分解能dfr=2MHzと変わらない。よって、FMCW方式と比較した場合、光源の線幅および周波数変調の精度の条件が緩くなり、より簡便な光源が利用できる。即ち、LDのような安価で変調の容易な光源が使える可能性がある。
【0049】
この発明によるFMパルス方式においては、送信レーザパルスを周波数変調し、ローカル光を送信レーザパルスに与えた周波数変調を1周期とする繰返し周波数変調を行うようにしたので、従来のパルス方式に比べ、同じ距離分解能を得るのにピークパワーを小さいかつパルス幅の広い光源が利用できるので、より簡単な構成のパルスレーザが利用でき、装置の信頼性も向上できる効果がある。
また、従来のFMCW方式に比べた場合、最大測定距離が大きくなっても光源に要求される線幅および周波数変調の精度は厳しくならないため、より簡便な光源が利用できる効果があり、LDのような安価で変調の容易な光源が使える可能性がある。
さらに、送信レーザパルス光を2種類以上の異なった傾きを持つ変調関数で交互に切り替えて周波数変調を行うようにしたので、目標の距離だけでなく、速度情報も得られる効果がある。
【0050】
実施の形態2.
図4は、この発明の実施の形態2に係るレーザレーダ装置を示す構成図である。図4において、図1に示す実施の形態1と同一部分は同一符号を付してその説明は省略する。新たな符号として、44は、周波数変調手段を有し、単一モードの周波数変調CWレーザ光を出力する基準光源、45は、光分岐器である光カプラ、46は、光スイッチ、47は、光ファイバ増幅器である。
【0051】
次に、図に基づき動作について説明する。
基本的な動作は、実施の形態1に等しい。基準光源44、光カプラ45および光スイッチ46により、実施の形態1におけるパルスレーザ34、CWレーザ40および第1、2の周波数変調手段35,41の機能を実現している。基準光源44は、周波数変調制御回路43により、図2に示したローカル光のような周波数変調されたCWレーザ光を出力する。即ち、2つ以上の異なった傾きを持つ周期τの鋸歯状の周波数変調の組み合わせで繰返し変調されたCWレーザ光である。基準光源44からのCWレーザ光は、光カプラ45により2つに分けられる。分岐された一方のCWレーザ光は、ローカル光として光混合器38に送られる。光スイッチ46は、周波数変調制御回路43による制御信号により、他方の分岐されたCWレーザ光から鋸歯状の周波数変調の1周期分をレーザパルスとして切り出す。切り出されたレーザパルスは、送信レーザ光として、光ファイバ増幅器47により増幅され、送受信光分離手段36を経て、送受光学系37から目標に向けて照射される。
【0052】
上記のように、パルスレーザ、CWレーザおよび第1、2の周波数変調手段の機能を、基準光源44、光カプラ45および光スイッチ46により構成したので、レーザ光源および周波数変調手段を一つにすることができ、実施の形態1で記述した効果をより単純な構成で実現できる効果がある。
さらに、光増幅器を用いて送信レーザ光を増幅しているので、基準光源に必要とされる出力を低減でき、低出力な光源を利用できる効果がある。これにより、基準光源には、安価で周波数変調が注入電流で容易にできるLDを利用できる効果がある。
次いで、光増幅器を光ファイバ増幅器で構成したことにより、上記の効果を用意に達成できるばかりでなく、装置内の光の取り回しを光ファイバで構成することができ、装置の組み立てや部品配置を容易に行え、振動等の環境条件にも強い装置を構成できる効果がある。
【0053】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、FMパルス方式においては、送信レーザパルスを周波数変調し、ローカル光に送信レーザパルスに与えた周波数変調を1周期とする繰返し周波数変調を行うようにしたので、従来のパルス方式に比べ、同じ距離分解能を得るのにピークパワーが小さく、かつパルス幅の広い光源が利用できるので、より簡単な構成のパルスレーザが利用でき、装置の信頼性も向上できる効果がある。また、従来のFMCW方式に比べた場合、最大測定距離が大きくなっても光源に要求される線幅および周波数変調の精度は厳しくならないため、より簡便な光源が利用できる効果があり、LDのような安価で変調の容易な光源が使える可能性がある。
【0054】
また、送信レーザパルス光を複数の異なった傾きの直線周波数変調で交互に切り替えて周波数変調を行うようにしたので、目標の距離だけでなく、速度情報も得られる効果がある。
【0055】
また、パルスレーザ、CWレーザおよび第1、2の周波数変調手段の機能を、CWレーザ、変調手段および光スイッチ手段により構成したので、レーザ光源および周波数変調手段を一つにすることができ、より単純な構成で実現できる効果がある。
【0056】
また、光増幅器を用いて送信レーザ光を増幅しているので、CWレーザに必要とされる出力を低減でき、低出力な光源を利用できる効果がある。これにより、CWレーザには、安価で周波数変調が注入電流で容易にできるLDを利用できる効果がある。
【0057】
さらに、光増幅器を光ファイバ増幅器で構成したことにより、上記の効果を用意に達成できるばかりでなく、装置内の光の取り回しを光ファイバで構成することができ、装置の組み立てや部品配置を容易に行え、振動等の環境条件にも強い装置を構成できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係るレーザレーダ装置を示す構成図である。
【図2】 FMCW方式とFMパルス方式の送信光とローカル光の強度と周波数の時間概念図である。
【図3】 受信信号とタイム(レンジ)ゲートの関係を示す説明図である。
【図4】 この発明の実施の形態2に係るレーザレーダ装置を示す構成図である。
【図5】 Sammy W. Henderson等により米国特許5、237、331号に示されたもので、光源にインジェクションシーディングパルスレーザ装置を用いたコヒーレントレーザレーダ装置の構成図である。
【図6】 Christer J. Karlson等によりApplied Optics 誌(Vol. 38, No.15, pp33766-3386, 1999)に開示されたFMCW方式のレーザレーダ装置を示す構成図である。
【図7】 周波数変調の一例を示す説明図である。
【図8】 受信信号から目標の距離、速度を求める方法を説明するために、受信光、ローカル光および受信信号の1周期分の周波数の時間変化を示す説明図である。
【符号の説明】
1 CWレーザ光源、2 第1の光分岐器、3 周波数シフタ、4 インジェクションシーディングパルスレーザ、5 ビームスプリッタ、6 1/4波長板、7 送受光学系、8 走査光学系、9 第1の光混合器、10 第1の光検波器、11 第2の光分岐器、12 第3の光分岐器、13 第2の光混合器、14 第2の光検出器、15 AD変換器、16 信号処理装置、17 インジェクションシーディングパルスレーザ4の共振器長の調整機構、18 調整機構17の制御回路、19 レーザ光源1からのレーザ光、20 シード光、21 パルスレーザ光、22 送受信光の光軸、23 送信光、24 受信光、25 ローカル光、26 第1の光混合器9による受信光24とローカル光25の混合光、27 半導体レーザ(LD)、28 電源、29 FM変調回路、30 光カプラ、31 送受信光学系、32 光検出器、33 信号処理装置、34 パルスレーザ、35 第1の周波数変調手段、36 送受信光分離手段、37 送受信系、38 光混合手段、39 光検出器、40 単一モードで発信するCWレーザ、41 第2の周波数変調手段、42 信号処理装置、43 周波数変調回路、44 基準光源、45 光カプラ、46 光スイッチ、47 光ファイバ増幅器。
Claims (5)
- レーザパルスを発生するレーザパルス発生手段と、
ローカル光を発生するローカル光発生手段と、
上記レーザパルス発生手段からのレーザパルスを目標に向けて送信し、目標からの散乱光の一部を受信する光送受信手段と、
上記ローカル光発生手段からのローカル光と上記送受信光学手段で受信された受信光を混合する光混合手段と、
上記光混合手段により混合された混合光を光ヘテロダイン検波する光検波手段と、
上記光検波手段からの信号から目標の情報を抽出する信号処理手段と
を有するコヒーレントレーザレーダ装置において、
上記レーザパルス発生手段は、レーザパルスを周波数変調する第1の周波数変調手段を有し、
上記ローカル光発生手段は、上記レーザパルス発生手段からのレーザパルスと同様の周波数変調を1周期とする繰返し周波数変調をローカル光に与える第2の周波数変調手段を有する
ことを特徴とするレーザレーダ装置。 - 請求項1に記載のレーザレーダ装置において、
上記第1の周波数変調手段は、レーザパルス毎に複数の傾きの異なる直線周波数変調で交互に変調制御することを特徴とするレーザレーダ装置。 - 請求項1または2に記載のレーザレーダ装置において、
上記レーザパルス発生手段と上記ローカル光発生手段は、
単一モードで発振するCWレーザと、
上記CWレーザからのCWレーザ光を周波数変調する変調手段と、
上記CWレーザ光を2つに分ける光分岐手段と、
上記光分岐手段で分岐された一方のCWレーザ光をパルス光として取出す光スイッチ手段と
で構成されることを特徴とするレーザレーダ装置。 - 請求項3に記載のレーザレーダ装置において、
上記光分岐手段と上記光送受信手段との間に、光増幅器を設けた
ことを特徴とするレーザレーダ装置。 - 請求項4に記載のレーザレーダ装置において、
上記光増幅器は、光ファイバ増幅器である
ことを特徴とするレーザレーダ装置。
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