JP3771141B2 - 保温タンク - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、保温タンク、例えば、高温のエンジン冷却水をエンジンに供給することで即効的にエンジンを暖機する暖機装置に使用する保温タンクに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の保温タンクとしては、例えば特開平10−71840号公報により開示されたものがある。
特開平10−71840号公報の保温タンク(従来例という)は、エンジン冷却水を貯留する断熱構造のタンク本体内が、ほぼフランジ状をなす仕切部材によって2つの貯留室に仕切られている。
タンク本体は、ステンレス製で窄んだ口部を有している。また、仕切部材は、テフロン樹脂製で所定の剛性を有し、タンク本体内においてその口部の口径より大きい外径をなしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来例においては、タンク本体の口部の口径よりも仕切部材の外径が大きく、また、仕切部材が剛性を有しているため、タンク本体の口部から仕切部材をそのタンク本体内へ組付けることができない。
したがって、このような場合には、タンク本体を二分割して、その分割した部材の開口部の中に仕切部材を配置し、その二分割した部材の開口部を相互に溶接等によって結合する手法がとられる。
しかし、タンク本体を分割、結合に手間がかかり、タンク本体内への仕切部材の組付け作業性が悪いという問題あった。
【0004】
また、タンク本体の保温性を考慮すると、口部が小さい方が望ましい。したがって、タンク本体の口部を仕切部材の通過可能に大きく形成し、その口部から仕切部材をタンク本体内へ組付けることが可能であるが、タンク本体の保温性が損なわれるため好ましくない。
【0005】
本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、タンク本体の保温性を損なうことなく、タンク本体内への仕切部材の組付け作業性を向上することのできる保温タンクを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、特許請求の範囲の欄に記載された構成を要旨とする保温タンクにより解決することができる。
すなわち、請求項1に記載された保温タンクによると、エンジン冷却水を貯留可能でかつ窄んだ口部を有する断熱構造のタンク本体内にそのタンク本体内を仕切る仕切部材を組付けられる。
このとき、仕切部材は、縮小状態に変形されてタンク本体の口部を通過した後、前記タンク本体内で所定の展開状態に復元する。このため、タンク本体の口部が小さくても、そのタンク本体を分割することなく、仕切部材をタンク本体内に組付けることができる。
したがって、タンク本体の保温性を損なうことなく、タンク本体内への仕切部材の組付け作業性を向上することができる。
【0007】
また、請求項2に記載された保温タンクによると、仕切部材に放射状に延びるスリットが形成されているので、仕切部材を容易に縮小状態に変形させることができる。
【0008】
また、請求項3に記載された保温タンクによると、タンク本体内にほぼ鉛直方向に上下動可能に配置される仕切部材に錘体を備えたことにより、仕切部材の重量を容易に調整することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施の形態に係る保温タンクを車両用水冷エンジン(エンジンと略す)の暖機装置として利用した場合について述べる。説明の都合上、エンジンの暖機装置の概略を述べた後で、保温タンクを述べる。
【0010】
図5にエンジンのエンジン冷却水の回路図が示されている。図5に示すように、エンジン1を含むエンジン冷却回路2には、エンジン冷却水を図5において右回り方向(図5中、矢印Y1参照)に循環させるベルト駆動式のウォータポンプ4、及び、エンジン冷却水を冷却するラジエータ5が組込まれている。
なお、ベルト駆動式のウォータポンプ4は、エンジン1の図示しないクランクシャフトによりベルト伝動機構を介して駆動される。なお、ラジエータ5は、電動のクーリングファン6によって冷却される。
【0011】
上記エンジン冷却回路2において、エンジン1の熱を奪ったエンジン冷却水は、ベルト駆動式のウォータポンプ4の駆動によってエンジン冷却回路2を循環する(図5中、矢印Y1参照)。その途中において、エンジン冷却水は、ラジエータ5の冷却作用により冷却される。
【0012】
しかして、前記エンジン冷却回路2には、前記ラジエータ5をバイパスするバイパス回路9が接続されている。
バイパス回路9には、エンジン冷却水をエンジン冷却回路2とは逆方向すなわち図5において右回り方向(図5中、矢印Y2参照)に循環させる電動式のウォータポンプ11、及び、エンジン冷却水を保温する保温タンク20が組込まれている。
なお、電動式のウォータポンプ11は、エンジン制御コンピュータ(ECUという)12によって制御される。ECU12は、車両のドア(図示しない)の開動作を検出するドアスイッチ14のオン(ON)に基づいて、電動式のウォータポンプ11を所定の時間だけ駆動させた後に停止する他、エンジン1の運転状況に基づいて電動式のウォータポンプ11の駆動を制御する。
また、バイパス回路9において、保温タンク20にエンジン冷却水が流れ込む配管を流入管路9aといい、保温タンク20からエンジン冷却水が流れ出す配管を流出管路9bという。
【0013】
次に、保温タンク20について詳述する。図1に保温タンク20の正断面図、図2に図1のII−II線断面図、図3に図1のIII−III線断面図、図4に図1のIV−IV線断面図が示されている。
図1に示すように、保温タンク20の主体をなすタンク本体21は、ほぼ縦形のカプセル形状に形成されている。タンク本体21は、例えばステンレス製の内側のタンク材22及び外側のタンク材23とからなる内外二重構造を有している。
両タンク材22,23の下端部の口部(符号省略)は、溶接等によってシール状態に接合され、タンク本体21の窄んだ口部24を形成している。
両タンク材22,23の相互間には密閉状の隙間25が形成されている。その隙間25は、ほぼ真空状態になっている。これにより、断熱構造のタンク本体21が形成されている。
また、前記タンク本体21内、詳しくは内側のタンク材22内の内部空間がエンジン冷却水を貯留する貯留室(符号省略)になっている。
【0014】
前記タンク本体21の口部24には、樹脂製あるいは金属製の弁体ボデー30が取付けられている。
前記弁体ボデー30は、ベース部31と内側のパイプ部32と外側のパイプ部33と入口パイプ部34と出口パイプ部35とを有する一体成形品で形成されている。
【0015】
前記ベース部31は、ほぼ円板状に形成されている。ベース部31には、図3に示すように、外方へ放射状に突出する適数個(例えば4個)の取付片31aが形成されている。なお、例えば、取付片31aを車両のエンジンルーム内の固定部材(図示しない)にねじ付けることによって、保温タンク20が車両のエンジンルーム内に設置される。
【0016】
図3に示すように、前記内側のパイプ部32は、ベース部31の中心部上にほぼ同心状に突出されている。図1に示すように、前記内側のパイプ部32は、前記パイプ本体内(図1において上方)に向かってほぼ円柱管状に延びている。
内側のパイプ部32内には、図1において上下方向に貫通する管状通路30aが形成されている。
前記内側のパイプ部32の先端部(図1において上端部)には、ほぼ円環板状の止め金36(図2参照)が外嵌状に取付けられている。止め金36は、内側のパイプ部32に仕切部材28(後述する)を嵌合した後に嵌着され、その仕切部材28の抜け外れを防止する。
【0017】
図1に示すように、前記内側のパイプ部32の基端部(図1において下端部)内には、ほぼ円環状のバルブシート37がほぼ同心状に固定されている。
内側のパイプ部32の基端部内には、バルブシート37を開閉する球状弁38、その球状弁38をバルブシート37に押付けるコイルばね等のばね体39が配置されている。
内側のパイプ部32における開口端部内には、ばね体39を支持する蓋板40がほぼ同心状に固定されている。
なお、バルブシート37、ばね体39を主体として、いわゆる逆止弁が構成されている。
【0018】
図4に示すように、前記外側のパイプ部33は、前記ベース部31の中心部上に前記内側のパイプ部32より大きい内径をもってほぼ同心状に突出されている。図1に示すように、外側のパイプ部33は、前記タンク本体21の口部24より内部に所定量突出する高さのほぼ有底円筒状に形成されている。
外側のパイプ部33と内側のパイプ部32との間に環状通路30bが形成されている(図3及び図4参照)。
【0019】
図1に示すように、外側のパイプ部33の先端面(図1において上端面)は、仕切部材28(後述する)を支持する座面33aになっている。
外側のパイプ部33は、前記タンク本体21の口部24内にシール材42を介して密閉状に嵌合されている。
【0020】
図3に示すように、前記入口パイプ部34は、前記ベース部31より径方向(図3において右方)へ突出されている。入口パイプ部34は、前記環状通路30bと外部とを連通する入口通路30cを形成している。
【0021】
図3に示すように、前記出口パイプ部35は、前記ベース部31より径方向(図3において上方)へ突出されている。出口パイプ部35は、前記管状通路30aと外部とを連通する出口通路30dを形成している。
【0022】
図1に示すように、前記タンク本体21と前記弁体ボデー30との間には、タンク本体21の口部24を取り囲む保温材44が介在されている。
【0023】
しかして、図1及び図2に示すように、前記弁体ボデー30の内側のパイプ部32には、ほぼ円板状をなす仕切部材28が、ほぼ同心状にかつ軸方向に移動可能すなわち上下動可能に嵌合されている(図1中、二点鎖線28参照)。
仕切部材28は、前記タンク本体21内を上下2つの貯留室26a,26bに仕切っている。仕切部材28は、上下の両貯留室26a,26bを所定量だけ連通可能な状態に仕切っている。
なお、仕切部材28の外径は、前記タンク本体21の両貯留室26a,26bの内径より所定量小さい寸法で形成されている。これにより、上下の両貯留室26a,26bが相互に連通される。
【0024】
前記仕切部材28は、例えば、弾性変形可能なゴムあるいはこれに類する弾性材によって形成されている。
そして、仕切部材28は、その自由状態においては、図1に実線28で示されるほぼ水平状態を維持可能な剛性を有している。
また、仕切部材28は、図6の説明図において二点鎖線28で示すように、縮小状態に弾性変形可能に形成されている。
【0025】
前記仕切部材28には、図2に示すように、その軸心よりの位置から外端部に向かって放射状に延びる適数本(例えば8本)のスリット28aが形成されている。これにより、仕切部材28の軸心部を除く部分は、複数枚(例えば8枚)の羽根状部28bに分割されている。なお、スリット28aによっても上下の両貯留室26a,26bが相互に連通されている。
【0026】
さらに、図1及び図2に示すように、前記弁体ボデー30の内側のパイプ部32には、ほぼ円環板状をなす金属製の錘体29が、ほぼ同心状にかつ軸方向に移動可能すなわち上下動可能に嵌合されている。錘体29は、水に比べ大きい比重を有している。
錘体29の外径は、前記弁体ボデー30の外側のパイプ部33の外径より所定量少し大きい寸法で形成されている。
錘体29は、前記仕切部材28上に配置されている。さらに、錘体29の内周部と前記仕切部材28の内周部とは、接着、ねじ止め等の適宜の固定手段によって固定されている。
【0027】
前記錘体29を備えた前記仕切部材28は、図1に示される下降位置においては、前記弁体ボデー30の外側のパイプ部33の座面33aにて支持され、環状通路30bを閉止している。
なお、図1に示すように、前記弁体ボデー30の内側のパイプ部32の外周面には、前記外側のパイプ部33の座面33aと同一平面をなす段差面32aが形成されている。このため、環状通路30bを閉止する仕切部材28は、前記弁体ボデー30の外側のパイプ部33の座面33aと内側のパイプ部32の段差面32aとによって支持される。
【0028】
上記した保温タンク20において、前記弁体ボデー30の入口通路30c(図3参照)には、前記バイパス回路9の流入管路9a(図5参照)が接続される。また、前記弁体ボデー30の出口通路30d(図3参照)には、前記バイパス回路9の流出管路9b(図5参照)が接続される。
【0029】
次に、上記保温タンク20を備えたエンジン1の暖機装置の作動について、図1及び図5を参照して述べる。
エンジン1(図5参照)の始動時について考える。
なお、エンジン1の始動前においては、エンジン1は冷えているが、保温タンク20の上側の貯留室26aに貯留されたエンジン冷却水は温まった状態で保温されている。また、電動式のウォータポンプ11は停止している。
また、図1に示すように、仕切部材28は、保温タンク20の弁体ボデー30における外側のパイプ部33の座面33a及び内側のパイプ部32の段差面32a上に位置しており、環状通路30bを閉止している(図1中、実線28参照)。また、球状弁38は、ばね体39の弾性によって閉じている。
【0030】
エンジン1(図5参照)を始動する前に、車両のドア(図示しない)が開けられることにより、ドアスイッチ14がオン(ON)すると、ECU12(図5参照)を介して電動式のウォータポンプ11が作動される。
これにより、エンジン1を含むバイパス回路9(図5参照)中の冷えたエンジン冷却水(冷水という)が、そのバイパス回路9を循環する(図5中、矢印Y2参照)。
【0031】
これにともない、冷水は、バイパス回路9の流入管路9aから保温タンク20の入口通路30cに送られる。その冷水は、保温タンク20の環状通路30bを通り、仕切部材28をその水圧で押し上げて開きながら、下側の貯留室26b内に流入する。
下側の貯留室26b内への冷水の流入にしたがい、仕切部材28は上方へ押上げられていく。この際、上側の貯留室26a内に貯留されて温まっているエンジン冷却水(温水という)は、仕切部材28があるため、前記冷水と混合することは少ない。
【0032】
前記下側の貯留室26b内への冷水の流入による仕切部材28の上動にしたがい、上側の貯留室26aの温水は、管状通路30aをその上端から下方に向かって流下する。そして、その温水の水圧で球状弁38をばね体39の弾性を利用して押し下げて開く。
このため、管状通路30aを通ってきた温水は、出口通路30d(図3参照)へ流出される。その温水は、バイパス回路9の流出管路9bを通ってエンジン1に戻される(図5参照)。
これによって、そのエンジン1が即効的に暖機される。このため、エンジン1の始動が容易となり、エミッションの排出量が低下される。
【0033】
また、所定時間が経過すると、電動式のウォータポンプ11(図5参照)が停止する。
すると、仕切部材28は、重力によって沈下し、保温タンク20の弁体ボデー30における外側のパイプ部33の弁面及び内側のパイプ部32の段差面32a上におさまり、環状通路30bを閉じる(図1中、実線28参照)。また、球状弁38は、ばね体39の弾性によって閉じられる。
【0034】
その後、エンジン1(図5参照)が始動されると、ベルト駆動式のウォータポンプ4が作動される。これにより、エンジン冷却回路2中のエンジン冷却水がそのエンジン冷却回路2を循環する(図5中、矢印Y2参照)。このとき、保温タンク20(図1参照)における球状弁38が閉じているため、エンジン冷却水が保温タンク20内へ逆流することがない。
【0035】
また、エンジン1(図5参照)の運転による発熱によって所定温度以上に加熱されているエンジン冷却水(高温水という)が、前記の冷水の場合と同様に、保温タンク20の入口通路30cに送られる。その高温水は、下側の貯留室26b内に流入する。
【0036】
前記下側の貯留室26b内への高温水の流入による仕切部材28の上動にしたがい、上側の貯留室26aの冷水は、管状通路30aを流下して、その水圧で球状弁38を開き、出口通路30d(図3参照)へ流出する。その冷水は、バイパス回路9の流出管路9b(図5参照)を通ってエンジン1に戻される。
【0037】
そして、所定時間が経過すると、電動式のウォータポンプ11が停止する。すると、前記と同様に、仕切部材28は、重力によって沈下して環状通路30bを閉じる(図1中、実線28参照)。また、球状弁38は、ばね体39の弾性によって閉じられる。
上記のようにして、保温タンク20の上側の貯留室26aに高温水が貯留されて保温される。
【0038】
次に、上記保温タンク20(図1参照)を作製する場合について、図6の説明図を参照して説明する。まず、弁体ボデー30には、球状弁38、ばね体39等が組付けられている。また、弁体ボデー30の内側のパイプ部32には、錘体29を備える仕切部材28及び止め金36が組付けられている。
そして、タンク本体21に対しその口部24より弁体ボデー30の内側のパイプ部32の先端部(図6において上端部)を差し入れる。この状態が図6に示されている。
【0039】
次に、仕切部材28を弁体ボデー30の内側のパイプ部32の先端方向に移動させた状態とする(図6参照)。
そして、仕切部材28を、図6に二点鎖線28で示すように、縮小状態に弾性変形させる。このとき、仕切部材28に適数本のスリット28aが設けられ、適数枚の羽根状部28bに分割されている。このため、仕切部材28(詳しくは、羽根状部28b)を、錘体29に対する固定部分を支点として、容易に弾性変形させることができる。
【0040】
次に、前記縮小状態の仕切部材28をタンク本体21の口部24に挿入する。そして、タンク本体21の口部24を通過した仕切部材28は、前記タンク本体21内で所定の展開状態(図1参照)に弾性復元する。
続いて、タンク本体21の口部24に、弁体ボデー30の外側のパイプ部33をシール材42とともに気密状態に嵌合する。
これによって、図1に示される保温タンク20が完成する。
【0041】
上記した保温タンク20によると、タンク本体21内に組付けられる仕切部材28は、縮小状態に弾性変形されてタンク本体21の口部24を通過した後、前記タンク本体21内で所定の展開状態に弾性復元する。このため、タンク本体21の口部24が小さくても、そのタンク本体21を分割することなく、仕切部材28をタンク本体21内に組付けることができる。
したがって、タンク本体21の保温性を損なうことなく、タンク本体21内への仕切部材28の組付け作業性を向上することができる。
【0042】
また、仕切部材28に放射状に延びるスリット28aが形成されているので、仕切部材28(詳しくは、羽根状部28b)を容易に縮小状態に弾性変形させることができる。
【0043】
また、タンク本体21内にほぼ鉛直方向に上下動可能に配置される仕切部材28に錘体29を備えたことにより、仕切部材28の重量を容易に調整することができる。
【0044】
本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本発明に係る保温タンク20は、エンジン1の暖機装置の保温タンク20のみならず、エンジンオイル、ミッションオイル又はオートマチックトランスミッションオイル等のエンジンの始動直後の暖気用熱源としてのエンジン冷却水を保温する保温タンクとしても使用することが可能である。
【0045】
また、上記仕切部材28は、弾性変形可能なゴムあるいはこれに類する弾性材によって形成したが、これに代え、形状記憶合金によって形成することができる。その場合、タンク本体21内に組付けられる形状記憶合金製の仕切部材28は、縮小状態に変形されてタンク本体21の口部24を通過した後、前記タンク本体21内でエンジン冷却水の温度によって所定温度以上に加熱されることによって所定の展開状態に復元する。このため、タンク本体21の口部24が小さくても、そのタンク本体21を分割することなく、形状記憶合金製の仕切部材28をタンク本体21内に組付けることができる。
【0046】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明の保温タンクによれば、タンク本体の口部が小さくても、そのタンク本体を分割することなく、仕切部材をタンク本体内に組付けることができるので、タンク本体の保温性を損なうことなく、タンク本体内への仕切部材の組付け作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる保温タンクの正断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図1のIV−IV線断面図である。
【図5】エンジンのエンジン冷却水の回路図である。
【図6】仕切部材の組付けの説明にかかる説明図である。
【符号の説明】
20 保温タンク
21 タンク本体
24 口部
28 仕切部材
28a スリット
29 錘体
【発明の属する技術分野】
本発明は、保温タンク、例えば、高温のエンジン冷却水をエンジンに供給することで即効的にエンジンを暖機する暖機装置に使用する保温タンクに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の保温タンクとしては、例えば特開平10−71840号公報により開示されたものがある。
特開平10−71840号公報の保温タンク(従来例という)は、エンジン冷却水を貯留する断熱構造のタンク本体内が、ほぼフランジ状をなす仕切部材によって2つの貯留室に仕切られている。
タンク本体は、ステンレス製で窄んだ口部を有している。また、仕切部材は、テフロン樹脂製で所定の剛性を有し、タンク本体内においてその口部の口径より大きい外径をなしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来例においては、タンク本体の口部の口径よりも仕切部材の外径が大きく、また、仕切部材が剛性を有しているため、タンク本体の口部から仕切部材をそのタンク本体内へ組付けることができない。
したがって、このような場合には、タンク本体を二分割して、その分割した部材の開口部の中に仕切部材を配置し、その二分割した部材の開口部を相互に溶接等によって結合する手法がとられる。
しかし、タンク本体を分割、結合に手間がかかり、タンク本体内への仕切部材の組付け作業性が悪いという問題あった。
【0004】
また、タンク本体の保温性を考慮すると、口部が小さい方が望ましい。したがって、タンク本体の口部を仕切部材の通過可能に大きく形成し、その口部から仕切部材をタンク本体内へ組付けることが可能であるが、タンク本体の保温性が損なわれるため好ましくない。
【0005】
本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、タンク本体の保温性を損なうことなく、タンク本体内への仕切部材の組付け作業性を向上することのできる保温タンクを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、特許請求の範囲の欄に記載された構成を要旨とする保温タンクにより解決することができる。
すなわち、請求項1に記載された保温タンクによると、エンジン冷却水を貯留可能でかつ窄んだ口部を有する断熱構造のタンク本体内にそのタンク本体内を仕切る仕切部材を組付けられる。
このとき、仕切部材は、縮小状態に変形されてタンク本体の口部を通過した後、前記タンク本体内で所定の展開状態に復元する。このため、タンク本体の口部が小さくても、そのタンク本体を分割することなく、仕切部材をタンク本体内に組付けることができる。
したがって、タンク本体の保温性を損なうことなく、タンク本体内への仕切部材の組付け作業性を向上することができる。
【0007】
また、請求項2に記載された保温タンクによると、仕切部材に放射状に延びるスリットが形成されているので、仕切部材を容易に縮小状態に変形させることができる。
【0008】
また、請求項3に記載された保温タンクによると、タンク本体内にほぼ鉛直方向に上下動可能に配置される仕切部材に錘体を備えたことにより、仕切部材の重量を容易に調整することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施の形態に係る保温タンクを車両用水冷エンジン(エンジンと略す)の暖機装置として利用した場合について述べる。説明の都合上、エンジンの暖機装置の概略を述べた後で、保温タンクを述べる。
【0010】
図5にエンジンのエンジン冷却水の回路図が示されている。図5に示すように、エンジン1を含むエンジン冷却回路2には、エンジン冷却水を図5において右回り方向(図5中、矢印Y1参照)に循環させるベルト駆動式のウォータポンプ4、及び、エンジン冷却水を冷却するラジエータ5が組込まれている。
なお、ベルト駆動式のウォータポンプ4は、エンジン1の図示しないクランクシャフトによりベルト伝動機構を介して駆動される。なお、ラジエータ5は、電動のクーリングファン6によって冷却される。
【0011】
上記エンジン冷却回路2において、エンジン1の熱を奪ったエンジン冷却水は、ベルト駆動式のウォータポンプ4の駆動によってエンジン冷却回路2を循環する(図5中、矢印Y1参照)。その途中において、エンジン冷却水は、ラジエータ5の冷却作用により冷却される。
【0012】
しかして、前記エンジン冷却回路2には、前記ラジエータ5をバイパスするバイパス回路9が接続されている。
バイパス回路9には、エンジン冷却水をエンジン冷却回路2とは逆方向すなわち図5において右回り方向(図5中、矢印Y2参照)に循環させる電動式のウォータポンプ11、及び、エンジン冷却水を保温する保温タンク20が組込まれている。
なお、電動式のウォータポンプ11は、エンジン制御コンピュータ(ECUという)12によって制御される。ECU12は、車両のドア(図示しない)の開動作を検出するドアスイッチ14のオン(ON)に基づいて、電動式のウォータポンプ11を所定の時間だけ駆動させた後に停止する他、エンジン1の運転状況に基づいて電動式のウォータポンプ11の駆動を制御する。
また、バイパス回路9において、保温タンク20にエンジン冷却水が流れ込む配管を流入管路9aといい、保温タンク20からエンジン冷却水が流れ出す配管を流出管路9bという。
【0013】
次に、保温タンク20について詳述する。図1に保温タンク20の正断面図、図2に図1のII−II線断面図、図3に図1のIII−III線断面図、図4に図1のIV−IV線断面図が示されている。
図1に示すように、保温タンク20の主体をなすタンク本体21は、ほぼ縦形のカプセル形状に形成されている。タンク本体21は、例えばステンレス製の内側のタンク材22及び外側のタンク材23とからなる内外二重構造を有している。
両タンク材22,23の下端部の口部(符号省略)は、溶接等によってシール状態に接合され、タンク本体21の窄んだ口部24を形成している。
両タンク材22,23の相互間には密閉状の隙間25が形成されている。その隙間25は、ほぼ真空状態になっている。これにより、断熱構造のタンク本体21が形成されている。
また、前記タンク本体21内、詳しくは内側のタンク材22内の内部空間がエンジン冷却水を貯留する貯留室(符号省略)になっている。
【0014】
前記タンク本体21の口部24には、樹脂製あるいは金属製の弁体ボデー30が取付けられている。
前記弁体ボデー30は、ベース部31と内側のパイプ部32と外側のパイプ部33と入口パイプ部34と出口パイプ部35とを有する一体成形品で形成されている。
【0015】
前記ベース部31は、ほぼ円板状に形成されている。ベース部31には、図3に示すように、外方へ放射状に突出する適数個(例えば4個)の取付片31aが形成されている。なお、例えば、取付片31aを車両のエンジンルーム内の固定部材(図示しない)にねじ付けることによって、保温タンク20が車両のエンジンルーム内に設置される。
【0016】
図3に示すように、前記内側のパイプ部32は、ベース部31の中心部上にほぼ同心状に突出されている。図1に示すように、前記内側のパイプ部32は、前記パイプ本体内(図1において上方)に向かってほぼ円柱管状に延びている。
内側のパイプ部32内には、図1において上下方向に貫通する管状通路30aが形成されている。
前記内側のパイプ部32の先端部(図1において上端部)には、ほぼ円環板状の止め金36(図2参照)が外嵌状に取付けられている。止め金36は、内側のパイプ部32に仕切部材28(後述する)を嵌合した後に嵌着され、その仕切部材28の抜け外れを防止する。
【0017】
図1に示すように、前記内側のパイプ部32の基端部(図1において下端部)内には、ほぼ円環状のバルブシート37がほぼ同心状に固定されている。
内側のパイプ部32の基端部内には、バルブシート37を開閉する球状弁38、その球状弁38をバルブシート37に押付けるコイルばね等のばね体39が配置されている。
内側のパイプ部32における開口端部内には、ばね体39を支持する蓋板40がほぼ同心状に固定されている。
なお、バルブシート37、ばね体39を主体として、いわゆる逆止弁が構成されている。
【0018】
図4に示すように、前記外側のパイプ部33は、前記ベース部31の中心部上に前記内側のパイプ部32より大きい内径をもってほぼ同心状に突出されている。図1に示すように、外側のパイプ部33は、前記タンク本体21の口部24より内部に所定量突出する高さのほぼ有底円筒状に形成されている。
外側のパイプ部33と内側のパイプ部32との間に環状通路30bが形成されている(図3及び図4参照)。
【0019】
図1に示すように、外側のパイプ部33の先端面(図1において上端面)は、仕切部材28(後述する)を支持する座面33aになっている。
外側のパイプ部33は、前記タンク本体21の口部24内にシール材42を介して密閉状に嵌合されている。
【0020】
図3に示すように、前記入口パイプ部34は、前記ベース部31より径方向(図3において右方)へ突出されている。入口パイプ部34は、前記環状通路30bと外部とを連通する入口通路30cを形成している。
【0021】
図3に示すように、前記出口パイプ部35は、前記ベース部31より径方向(図3において上方)へ突出されている。出口パイプ部35は、前記管状通路30aと外部とを連通する出口通路30dを形成している。
【0022】
図1に示すように、前記タンク本体21と前記弁体ボデー30との間には、タンク本体21の口部24を取り囲む保温材44が介在されている。
【0023】
しかして、図1及び図2に示すように、前記弁体ボデー30の内側のパイプ部32には、ほぼ円板状をなす仕切部材28が、ほぼ同心状にかつ軸方向に移動可能すなわち上下動可能に嵌合されている(図1中、二点鎖線28参照)。
仕切部材28は、前記タンク本体21内を上下2つの貯留室26a,26bに仕切っている。仕切部材28は、上下の両貯留室26a,26bを所定量だけ連通可能な状態に仕切っている。
なお、仕切部材28の外径は、前記タンク本体21の両貯留室26a,26bの内径より所定量小さい寸法で形成されている。これにより、上下の両貯留室26a,26bが相互に連通される。
【0024】
前記仕切部材28は、例えば、弾性変形可能なゴムあるいはこれに類する弾性材によって形成されている。
そして、仕切部材28は、その自由状態においては、図1に実線28で示されるほぼ水平状態を維持可能な剛性を有している。
また、仕切部材28は、図6の説明図において二点鎖線28で示すように、縮小状態に弾性変形可能に形成されている。
【0025】
前記仕切部材28には、図2に示すように、その軸心よりの位置から外端部に向かって放射状に延びる適数本(例えば8本)のスリット28aが形成されている。これにより、仕切部材28の軸心部を除く部分は、複数枚(例えば8枚)の羽根状部28bに分割されている。なお、スリット28aによっても上下の両貯留室26a,26bが相互に連通されている。
【0026】
さらに、図1及び図2に示すように、前記弁体ボデー30の内側のパイプ部32には、ほぼ円環板状をなす金属製の錘体29が、ほぼ同心状にかつ軸方向に移動可能すなわち上下動可能に嵌合されている。錘体29は、水に比べ大きい比重を有している。
錘体29の外径は、前記弁体ボデー30の外側のパイプ部33の外径より所定量少し大きい寸法で形成されている。
錘体29は、前記仕切部材28上に配置されている。さらに、錘体29の内周部と前記仕切部材28の内周部とは、接着、ねじ止め等の適宜の固定手段によって固定されている。
【0027】
前記錘体29を備えた前記仕切部材28は、図1に示される下降位置においては、前記弁体ボデー30の外側のパイプ部33の座面33aにて支持され、環状通路30bを閉止している。
なお、図1に示すように、前記弁体ボデー30の内側のパイプ部32の外周面には、前記外側のパイプ部33の座面33aと同一平面をなす段差面32aが形成されている。このため、環状通路30bを閉止する仕切部材28は、前記弁体ボデー30の外側のパイプ部33の座面33aと内側のパイプ部32の段差面32aとによって支持される。
【0028】
上記した保温タンク20において、前記弁体ボデー30の入口通路30c(図3参照)には、前記バイパス回路9の流入管路9a(図5参照)が接続される。また、前記弁体ボデー30の出口通路30d(図3参照)には、前記バイパス回路9の流出管路9b(図5参照)が接続される。
【0029】
次に、上記保温タンク20を備えたエンジン1の暖機装置の作動について、図1及び図5を参照して述べる。
エンジン1(図5参照)の始動時について考える。
なお、エンジン1の始動前においては、エンジン1は冷えているが、保温タンク20の上側の貯留室26aに貯留されたエンジン冷却水は温まった状態で保温されている。また、電動式のウォータポンプ11は停止している。
また、図1に示すように、仕切部材28は、保温タンク20の弁体ボデー30における外側のパイプ部33の座面33a及び内側のパイプ部32の段差面32a上に位置しており、環状通路30bを閉止している(図1中、実線28参照)。また、球状弁38は、ばね体39の弾性によって閉じている。
【0030】
エンジン1(図5参照)を始動する前に、車両のドア(図示しない)が開けられることにより、ドアスイッチ14がオン(ON)すると、ECU12(図5参照)を介して電動式のウォータポンプ11が作動される。
これにより、エンジン1を含むバイパス回路9(図5参照)中の冷えたエンジン冷却水(冷水という)が、そのバイパス回路9を循環する(図5中、矢印Y2参照)。
【0031】
これにともない、冷水は、バイパス回路9の流入管路9aから保温タンク20の入口通路30cに送られる。その冷水は、保温タンク20の環状通路30bを通り、仕切部材28をその水圧で押し上げて開きながら、下側の貯留室26b内に流入する。
下側の貯留室26b内への冷水の流入にしたがい、仕切部材28は上方へ押上げられていく。この際、上側の貯留室26a内に貯留されて温まっているエンジン冷却水(温水という)は、仕切部材28があるため、前記冷水と混合することは少ない。
【0032】
前記下側の貯留室26b内への冷水の流入による仕切部材28の上動にしたがい、上側の貯留室26aの温水は、管状通路30aをその上端から下方に向かって流下する。そして、その温水の水圧で球状弁38をばね体39の弾性を利用して押し下げて開く。
このため、管状通路30aを通ってきた温水は、出口通路30d(図3参照)へ流出される。その温水は、バイパス回路9の流出管路9bを通ってエンジン1に戻される(図5参照)。
これによって、そのエンジン1が即効的に暖機される。このため、エンジン1の始動が容易となり、エミッションの排出量が低下される。
【0033】
また、所定時間が経過すると、電動式のウォータポンプ11(図5参照)が停止する。
すると、仕切部材28は、重力によって沈下し、保温タンク20の弁体ボデー30における外側のパイプ部33の弁面及び内側のパイプ部32の段差面32a上におさまり、環状通路30bを閉じる(図1中、実線28参照)。また、球状弁38は、ばね体39の弾性によって閉じられる。
【0034】
その後、エンジン1(図5参照)が始動されると、ベルト駆動式のウォータポンプ4が作動される。これにより、エンジン冷却回路2中のエンジン冷却水がそのエンジン冷却回路2を循環する(図5中、矢印Y2参照)。このとき、保温タンク20(図1参照)における球状弁38が閉じているため、エンジン冷却水が保温タンク20内へ逆流することがない。
【0035】
また、エンジン1(図5参照)の運転による発熱によって所定温度以上に加熱されているエンジン冷却水(高温水という)が、前記の冷水の場合と同様に、保温タンク20の入口通路30cに送られる。その高温水は、下側の貯留室26b内に流入する。
【0036】
前記下側の貯留室26b内への高温水の流入による仕切部材28の上動にしたがい、上側の貯留室26aの冷水は、管状通路30aを流下して、その水圧で球状弁38を開き、出口通路30d(図3参照)へ流出する。その冷水は、バイパス回路9の流出管路9b(図5参照)を通ってエンジン1に戻される。
【0037】
そして、所定時間が経過すると、電動式のウォータポンプ11が停止する。すると、前記と同様に、仕切部材28は、重力によって沈下して環状通路30bを閉じる(図1中、実線28参照)。また、球状弁38は、ばね体39の弾性によって閉じられる。
上記のようにして、保温タンク20の上側の貯留室26aに高温水が貯留されて保温される。
【0038】
次に、上記保温タンク20(図1参照)を作製する場合について、図6の説明図を参照して説明する。まず、弁体ボデー30には、球状弁38、ばね体39等が組付けられている。また、弁体ボデー30の内側のパイプ部32には、錘体29を備える仕切部材28及び止め金36が組付けられている。
そして、タンク本体21に対しその口部24より弁体ボデー30の内側のパイプ部32の先端部(図6において上端部)を差し入れる。この状態が図6に示されている。
【0039】
次に、仕切部材28を弁体ボデー30の内側のパイプ部32の先端方向に移動させた状態とする(図6参照)。
そして、仕切部材28を、図6に二点鎖線28で示すように、縮小状態に弾性変形させる。このとき、仕切部材28に適数本のスリット28aが設けられ、適数枚の羽根状部28bに分割されている。このため、仕切部材28(詳しくは、羽根状部28b)を、錘体29に対する固定部分を支点として、容易に弾性変形させることができる。
【0040】
次に、前記縮小状態の仕切部材28をタンク本体21の口部24に挿入する。そして、タンク本体21の口部24を通過した仕切部材28は、前記タンク本体21内で所定の展開状態(図1参照)に弾性復元する。
続いて、タンク本体21の口部24に、弁体ボデー30の外側のパイプ部33をシール材42とともに気密状態に嵌合する。
これによって、図1に示される保温タンク20が完成する。
【0041】
上記した保温タンク20によると、タンク本体21内に組付けられる仕切部材28は、縮小状態に弾性変形されてタンク本体21の口部24を通過した後、前記タンク本体21内で所定の展開状態に弾性復元する。このため、タンク本体21の口部24が小さくても、そのタンク本体21を分割することなく、仕切部材28をタンク本体21内に組付けることができる。
したがって、タンク本体21の保温性を損なうことなく、タンク本体21内への仕切部材28の組付け作業性を向上することができる。
【0042】
また、仕切部材28に放射状に延びるスリット28aが形成されているので、仕切部材28(詳しくは、羽根状部28b)を容易に縮小状態に弾性変形させることができる。
【0043】
また、タンク本体21内にほぼ鉛直方向に上下動可能に配置される仕切部材28に錘体29を備えたことにより、仕切部材28の重量を容易に調整することができる。
【0044】
本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本発明に係る保温タンク20は、エンジン1の暖機装置の保温タンク20のみならず、エンジンオイル、ミッションオイル又はオートマチックトランスミッションオイル等のエンジンの始動直後の暖気用熱源としてのエンジン冷却水を保温する保温タンクとしても使用することが可能である。
【0045】
また、上記仕切部材28は、弾性変形可能なゴムあるいはこれに類する弾性材によって形成したが、これに代え、形状記憶合金によって形成することができる。その場合、タンク本体21内に組付けられる形状記憶合金製の仕切部材28は、縮小状態に変形されてタンク本体21の口部24を通過した後、前記タンク本体21内でエンジン冷却水の温度によって所定温度以上に加熱されることによって所定の展開状態に復元する。このため、タンク本体21の口部24が小さくても、そのタンク本体21を分割することなく、形状記憶合金製の仕切部材28をタンク本体21内に組付けることができる。
【0046】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明の保温タンクによれば、タンク本体の口部が小さくても、そのタンク本体を分割することなく、仕切部材をタンク本体内に組付けることができるので、タンク本体の保温性を損なうことなく、タンク本体内への仕切部材の組付け作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる保温タンクの正断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図1のIV−IV線断面図である。
【図5】エンジンのエンジン冷却水の回路図である。
【図6】仕切部材の組付けの説明にかかる説明図である。
【符号の説明】
20 保温タンク
21 タンク本体
24 口部
28 仕切部材
28a スリット
29 錘体
Claims (3)
- エンジン冷却水を貯留可能でかつ窄んだ口部を有する断熱構造のタンク本体と、
前記タンク本体内を仕切る仕切部材とを備え、
前記仕切部材は、前記タンク本体の口部を通過可能な縮小状態に変形可能に形成されかつ前記タンク本体内で所定の展開状態に復元可能に形成されていることを特徴とする保温タンク。 - 請求項1に記載の保温タンクであって、
前記仕切部材には、放射状に延びるスリットを形成したことを特徴とする保温タンク。 - 請求項1又は2に記載の保温タンクであって、
前記タンク本体内に前記仕切部材がほぼ鉛直方向に上下動可能に配置されるとともに、前記仕切部材に錘体を備えたことを特徴とする保温タンク。
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