JP3770754B2 - 同期発電機の自動電圧調整方法及びその装置 - Google Patents

同期発電機の自動電圧調整方法及びその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自励式の同期発電機の出力電圧を調整する自動電圧調整方法及びその実施に使用する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7は、従来の同期発電機の自動電圧調整装置の要部の構成を示すブロック図である。図において、1は界磁巻線2によってなる界磁極を励磁して発電する静止自励式同期発電機(同期発電機)である。該同期発電機1は、励磁変圧器4、電力変換器31及び界磁巻線2によってなる界磁回路を備えており、発電した交流電力の一部を前記励磁変圧器4によって変圧し、変圧した交流電力を前記電力変換器31によって整流して前記界磁巻線2に与え、界磁極を励磁するようになっている。
【0003】
また、同期発電機1の出力電圧は、定格電圧に保つ必要があり、このため界磁回路には、前記界磁巻線2に与える直流電力の電圧値を調整する自動電圧調整装置3が備えられている。該自動電圧調整装置3は、前記励磁変圧器4によって変圧された交流電力の電圧値を検出する電圧検出器33と、所定の電圧値を設定する電圧設定器34と、前記電圧検出器33が検出した電圧値及び前記電圧設定器34に設定された電圧値の差に応じた電気的信号を出力する誤差増幅器35と、該誤差増幅器35が出力した電気的信号の大きさに基づいて、前記電力変換器31が備えるシリコン制御整流素子の点弧角を制御する位相制御器32とから構成されている。
【0004】
前記電圧検出器33によって検出された検出電圧値と、同期発電機1の出力電圧を定格電圧にすべく予め設定された電圧設定器34の設定電圧値との差に応じた電気的信号が、前記誤差増幅器35によって出力され、この差をなくすべく、前記位相制御器32は電力変換器31の点弧角を制御する。電圧検出器33によって検出された検出電圧値が、電圧設定器34に予め設定されていた設定電圧値に満たない場合、前記点弧角が小さくなるようにし、反対に、前記検出電圧値が前記設定電圧値を越えている場合、前記点弧角が大きくなるようにする。
【0005】
また、界磁回路には、同期発電機1の起動時に界磁極に初期励磁を与えるために制御用バッテリー5、スイッチ6、及び整流器7が接続されている。
【0006】
同期発電機1の回転子にエンジン、タービン等から機械動力を与えて回転させた状態で、前記スイッチ6を閉じ、制御用バッテリー5の直流電力を界磁巻線2へ供給する。このようにして界磁極を励磁し、同期発電機1を起動する。同期発電機1の出力電力の電圧値は上昇し、該出力電力の一部を使用して上述した如く界磁極を励磁する。前記電力変換器31からの電力は、前記制御用バッテリー5からの電力と合流して供給され、同期発電機1の出力電圧が十分に上昇した後に、スイッチ6が開けられ、電力変換器31側からの電力供給のみで励磁が行われるようになっている。また、前記整流器7は、電力変換器31側との合流点よりも制御用バッテリー5側に配置されており、電力変換器31からの電力が制御用バッテリー5側へ流入することを防止している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
同期発電機1の起動時の出力電圧の上昇過程において、電力変換器31の出力は最大とされ、最大の励磁をかけながら同期発電機1の出力電圧を定格電圧まで引き上げる。ここで励磁が強すぎた場合、同期発電機1は定格電圧を通過して過大な電圧を発生する。この過大な電圧は機器への過電圧印加の原因となり、好ましくない。また、励磁電圧を抑えて行き過ぎ量を抑制しすぎた場合、一般的に過渡応答特性が悪化する。
【0008】
図8は、同期発電機1が無負荷の場合の界磁電流と同期発電機1の出力電圧(電機子電圧)との関係(無負荷飽和曲線)を示すグラフである。図において、縦軸は電機子電圧の大きさを示し、横軸は界磁電流の大きさを示している。無負荷飽和曲線は、緩やかに増加傾向が減少する単調増加曲線である。従って、電機子電圧を定格電圧にするためには、これに対応した所定の界磁電流を必要とする。
【0009】
但し、界磁巻線2の電気抵抗値(巻線抵抗)が界磁巻線2の温度(巻線温度)の変化によって変化するため、界磁巻線2に加えるべき界磁電圧は巻線温度によって異なる。図9は、巻線温度と巻線抵抗の関係の一例を示すグラフであり、図10は、界磁電流と界磁電圧との関係の一例を示すグラフである。界磁巻線2の温度係数は0.004/℃であり、巻線抵抗は巻線温度に比例して増加している。巻線温度が0℃のときの巻線抵抗は3.50Ωとなっており、巻線温度が135℃のときの巻線抵抗は5.39Ωとなっている。また、界磁電流と界磁電圧との関係は増加する比例関係であり、巻線温度が0℃のときよりも135℃のときの方が増加傾向が大きい。
【0010】
このような同期発電機は、非常用電源として使用されることがある。この場合、同期発電機は屋外に設置され、通常は停止状態とされる。従って、冬期の巻線温度は零下となることがあり、また、運転直後の巻線温度は、界磁巻線自身の損失による発熱及び駆動機関の余熱の輻射等から高温となることがある。
【0011】
以上の如き従来の同期発電機の自動電圧調整装置では、界磁抵抗の温度による変化により、電機子電圧を最適に制御することが困難であるという問題があった。
【0012】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、界磁抵抗を検出し、抵抗値に応じて電力変換器の出力リミッタ制御を行うことによって、界磁温度の変化が大きい場合でも、同期発電機の電機子電圧を最適に制御する同期発電機の自動電圧調整方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明の他の目的は、界磁抵抗を検出し、界磁抵抗の変化に伴って変化する界磁回路の時定数の変化量に応じて、位相補償を補正することによって、同期発電機の電機子電圧を最適に制御する同期発電機の自動電圧調整装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る同期発電機の自動電圧調整方法は、同期発電機の起動前に、直流電源から所定時間界磁極に直流電力を供給し、直流電力の供給開始から所定時間経過後に、前記直流電力の電流値及び電圧値を測定し、測定した電流値及び電圧値から界磁極の界磁巻線の電気抵抗値を求め、該電気抵抗値に基づいて、同期発電機の起動後に界磁極を励磁する為に、同期発電機が出力する交流電力の一部を直流電力に変換し、前記励磁極に供給するシリコン制御整流素子を用いた電力変換器の前記シリコン制御整流素子の点弧角を制御することを特徴とする。
【0015】
第2発明に係る同期発電機の自動電圧調整装置は、同期発電機が出力した交流電力の一部を直流電力に変換し、変換した直流電力を前記同期発電機の界磁極に供給すべくなしてあるシリコン制御整流素子を用いた電力変換器と、所定の電圧値及び前記交流電力の電圧値の差に応じた電気的信号を出力する誤差増幅器と、同期発電機の起動時に前記界磁極に直流電力を供給する直流電源の電圧値及び前記界磁極に供給される直流電力の電流値に基づいて、前記界磁極の界磁巻線の電気抵抗値に応じた電気的信号を出力する界磁抵抗関数器と、該界磁抵抗関数器が出力した電気的信号に基づいて、前記シリコン制御整流素子の点弧角の下限値を設定し、該下限値に応じた電気的信号を出力するリミッタと、前記誤差増幅器及びリミッタが出力した電気的信号に基づいて、前記シリコン制御整流素子の点弧角を制御すべくなしてある位相制御器とを備えることを特徴とする。
【0016】
第3発明に係る同期発電機の自動電圧調整装置は、同期発電機が出力した交流電力の一部を直流電力に変換し、変換した直流電力を前記同期発電機の界磁極に供給すべくなしてあるシリコン制御整流素子を用いた電力変換器と、前記界磁極に供給される直流電力の電圧値及び電流値に基づいて、前記界磁極の界磁巻線の電気抵抗値に応じた電気的信号を出力する界磁抵抗関数器と、該界磁抵抗関数器が出力した電気的信号に基づいて、所定の電圧値及び前記交流電力の電圧値の差を補正し、補正した電圧値の差に応じた電気的信号を出力する誤差増幅器と、該誤差増幅器が出力した電気的信号に基づいて、前記シリコン制御整流素子の点弧角を制御すべくなしてある位相制御器とを備えることを特徴とする。
【0017】
第4発明に係る同期発電機の自動電圧調整装置は、第3発明に係る同期発電機の自動電圧調整装置において、界磁抵抗関数器は、同期発電機の起動時に界磁極に直流電力を供給する直流電源の電圧値に基づいて、界磁巻線の電気抵抗値に応じた電気的信号を出力するようになしてあり、該界磁抵抗関数器が出力した電気的信号に基づいて、シリコン制御整流素子の点弧角の下限値を設定し、該下限値に応じた電気的信号を出力するリミッタを備え、位相制御器は、前記リミッタが出力した電気的信号に基づいて、前記シリコン制御整流素子の点弧角を制御すべくなしてあることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
実施の形態1
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は本発明に係る同期発電機の自動電圧調整装置の実施の形態1の要部の構成を示すブロック図である。
【0019】
図において、1は界磁巻線2によってなる界磁極を励磁して発電する静止自励式同期発電機(同期発電機)である。該同期発電機1は、発電した交流電力を負荷側に出力する送電ケーブルの途中にスイッチ8を備えている。
【0020】
また、同期発電機1及びスイッチ8の間で、送電ケーブルから導線が分岐しており、励磁変圧器4と、シリコン制御整流素子を備える電力変換器31と、界磁巻線2とによってなる界磁回路に繋がっている。該界磁回路によって、発電した交流電力の一部を前記励磁変圧器4によって変圧し、変圧した交流電力を前記電力変換器31によって直流電力に変換して前記界磁巻線2に与え、界磁極を励磁するようになっている。
【0021】
また、界磁回路には、同期発電機1の起動時に界磁極に初期励磁を与えるために制御用バッテリー5、スイッチ6、及び整流器7が接続されている。前記電力変換器31から界磁巻線2へ繋がる導線の途中に整流器7の出力側の導線が接続した状態となっており、整流器7は前記電力変換器31の出力電力が制御用バッテリー5側に流入することを防止する。
【0022】
同期発電機1の出力電圧は、定格電圧に保つ必要があり、このため界磁回路には、前記界磁巻線2に与える直流電力の電圧値を調整する自動電圧調整装置3が備えられている。該自動電圧調整装置3は、前記励磁変圧器4によって変圧された交流電力の電圧値を検出する電圧検出器33と、所定の電圧値を設定する電圧設定器34と、前記電圧検出器33が検出した電圧値及び前記電圧設定器34に設定された電圧値の差に応じた電気的信号を出力する誤差増幅器35と、界磁回路の界磁巻線2の近傍に設置されたシャント抵抗10に接続されており、界磁電流値を検出する界磁電流検出器91と、制御用バッテリー5及びスイッチ6の間に設置されている初期励磁電圧検出器92と、前記界磁電流検出器91及び初期励磁電圧検出器92からの出力を受け、起動時の界磁巻線2の電気抵抗値を得、該電気抵抗値に応じた電気的信号を出力する界磁抵抗関数器93と、該界磁抵抗関数器93が出力した電気的信号を受け、電力変換器31のシリコン制御整流素子の点弧角の下限値を設定し、該下限値に応じた電気的信号を出力するリミッタ94と、前記誤差増幅器35及びリミッタ94が夫々出力した電気的信号に基づいて、前記電力変換器31のシリコン制御整流素子の点弧角を制御する位相制御器32とから構成されている。
【0023】
スイッチ8を開け、同期発電機1の回転子にエンジン、タービン等から機械動力を与えて回転させた状態で、前記スイッチ6を閉じ、制御用バッテリー5の直流電力を界磁巻線2へ供給する。このようにして界磁極を励磁し、同期発電機1を起動する。同期発電機1の出力電力の電圧値は上昇し、該出力電力の一部を使用して界磁極を励磁する。前記電力変換器31からの電力は、前記制御用バッテリー5からの電力と合流して供給され、同期発電機1の出力電圧が十分に上昇した後に、スイッチ6が開けられ、電力変換器31側からの電力供給のみで励磁が行われるようになっている。また、前記整流器7は、電力変換器31からの電力が制御用バッテリー5側へ流入することを防止している。
【0024】
前記電圧検出器33によって検出された検出電圧値と、同期発電機1の出力電圧を定格電圧にすべく予め設定された電圧設定器34の設定電圧値との差に応じた電気的信号が、前記誤差増幅器35によって出力され、この差をなくすべく、前記位相制御器32は電力変換器31のシリコン制御整流素子の点弧角を制御する。電圧検出器33によって検出された検出電圧値が、電圧設定器34に予め設定されていた設定電圧値に満たない場合、前記点弧角が小さくなるようにし、反対に、前記検出電圧値が前記設定電圧値を越えている場合、前記点弧角が大きくなるようにする。
【0025】
また、界磁電流検出器91及び初期励磁電圧検出器92によって夫々得られた電流値及び電圧値から、同期発電機1の起動時の界磁巻線2の電気抵抗値を界磁抵抗関数器93によって算出する。図2は、同期発電機1の初期励磁の温度特性を示すグラフである。制御用バッテリー5によって時間t0からt1の間で励磁を行い、この間の時間Tにおいて電流値及び電圧値を測定し、界磁巻線2の電気抵抗を求める。シャント抵抗10における電流値は、t0から時間経過に従って増加し、一定の時間が経過した後、一定の値に収束する。また、0℃及び135℃のときでは、0℃のときの方が電流値が高く、夫々の整定時間も異なっている。このため、励磁開始直後の電流値は小さく、正確に界磁巻線2の電気抵抗値を求めるためには、適宜時間経過後の電流値を用いる必要がある。
【0026】
そして、求めた電気抵抗値の大きさによって、リミッタ94が電力変換器31のシリコン制御整流素子の点弧角の下限値を決定する。図3は巻線温度が0℃及び135℃の場合のリミッタ94の動作を示す図である。135℃のときにリミッタ94は点弧角の下限値をα1に定めており、0℃のときにα1よりも大きいα2を定めている。このようにリミッタ94は、巻線温度が高くなるに従い点弧角の下限値が小さくなるように働く。
【0027】
同期発電機1は、巻線温度が−5℃から135℃までの範囲において正常に動作するように設計されている。特に誤差増幅器35及び位相制御器32は巻線抵抗が最大のとき、即ち巻線温度が135℃のときに電力変換器31が最適に動作するように設計されている。また、リミッタ94は、巻線温度が135℃のときの界磁巻線2の電気抵抗値を示す電気的信号を、前記界磁抵抗関数器93から入力したとき、出力を行わないように設計されている。
【0028】
従って、巻線温度が135℃のときであって、電機子電圧が定格電圧に達していない場合、リミッタ94は動作せず、誤差増幅器35からの入力のみによって、位相制御器32は電力変換器31のシリコン制御整流素子の点弧角を制御する。誤差増幅器35及び位相制御器32は、巻線温度が135℃のときに電力変換器31を最適に動作させるようなされているため、この場合の同期発電機1の電機子電圧は良好に制御され、定格電圧に達する。
【0029】
一方、巻線温度が135℃よりも低いときであって、電機子電圧が定格電圧に達していない場合、リミッタ94が出力した電気的信号を位相制御器32が受け、誤差増幅器35からの入力によって決定した電力変換器31のシリコン制御整流素子の点弧角が、前記リミッタ94が設定した点弧角の下限値よりも大きい場合、点弧角の大きさを前記下限値とする。前記点弧角の下限値は、界磁抵抗の大きさによって決められているため、界磁極を過大に励磁することがなく、同期発電機1の電機子電圧を良好に制御する。
【0030】
図4は、同期発電機1の電機子電圧の応答特性を示すグラフである。0℃のときのリミッタ有りの場合とリミッタ無しの場合とでは、リミッタ有りの場合の方がリミッタ無しの場合に比べ、行き過ぎ量が小さく製定時間が短い。このため、リミッタ有りの場合の方が良好に電機子電圧を制御している。一方、135℃のときのリミッタ有りの場合とリミッタ無しの場合とでは、リミッタ有りの場合の方がリミッタ無しの場合に比べ、行き過ぎ量は小さいが製定時間が長い。このため、リミッタ無しの場合の方が、良好に電機子電圧を制御している。
【0031】
実施の形態2
図5は本発明に係る同期発電機の自動電圧調整装置の実施の形態2の要部の構成を示すブロック図である。本実施の形態2の自動電圧調整装置は、実施の形態1の自動電圧調整装置から初期励磁電圧検出器92及びリミッタ94が取り除かれたものとなっている。また、図において、111は界磁巻線2の近傍の電圧値を検出する界磁電圧検出器であって、検出した電圧値に応じた電気的信号を出力し、該出力が界磁抵抗関数器93に入力されるように接続されている。また、界磁抵抗関数器93は、界磁電流検出器91及び界磁電圧検出器111の出力値により、界磁巻線2の電気抵抗値を求め、求めた電気抵抗値に応じた電気的信号を誤差増幅器35に出力するようになっている。その他、実施の形態1と同様の部分については同符号を付し、説明を省略する。
【0032】
同期発電機1の駆動中に、界磁電流検出器91及び界磁電圧検出器111によって界磁電流及び界磁電圧を検出し、検出した界磁電流及び界磁電圧によって、界磁抵抗関数器93が界磁巻線2の電気抵抗値を求め、求めた電気抵抗値に応じた電気的信号を誤差増幅器35に出力する。
【0033】
誤差増幅器35は、電圧検出器33によって検出された交流電力の電圧値及び電圧設定器34に予め設定されている電圧値の差を求め、該差を前記界磁抵抗関数器93が求めた界磁巻線2の電気抵抗値に応じて補正し、補正した差に応じた電気的信号を位相制御器32に出力する。界磁回路の時定数は界磁巻線2の巻線温度によって変化する。誤差増幅器35は、巻線温度が135℃のときの界磁回路の時定数に合わせて設定されており、このため135℃より低い巻線温度のときには、同期発電機1の電機子電圧を最適に制御することができない。このことを防止するため、界磁温度に従った界磁回路の時定数に合わせ、電圧検出器33が検出した電圧値及び電圧設定器34に予め設定されている電圧値の差を補正することによって、位相制御器32が電力変換器31のシリコン制御整流素子の点弧角制御を最適に行うことができ、従って、同期発電機1の電機子電圧を最適に制御することができる。
【0034】
実施の形態3
図6は本発明に係る同期発電機の自動電圧調整装置の実施の形態3の要部の構成を示すブロック図である。図において、111は界磁巻線2の近傍の電圧値を検出し、検出した電圧値に応じた電気的信号を出力する界磁電圧検出器である。界磁電流検出器91及び界磁電圧検出器111は、夫々の出力値が界磁抵抗関数器93に入力されるように接続されており、界磁抵抗関数器93は、前記界磁電流検出器91及び界磁電圧検出器111の出力値により、界磁巻線2の電気抵抗値を求め、求めた電気抵抗値に応じた電気的信号を誤差増幅器35に出力するようになっている。その他、実施の形態1と同様の部分については同符号を付し、説明を省略する。
【0035】
従って、同期発電機1の起動時及び駆動中に、界磁巻線2の巻線抵抗を求め、これに応じて電力変換器31のシリコン制御整流素子の点弧角を最適に制御することができるため、同期発電機1の電機子電圧を良好に制御することができる。
【0036】
【発明の効果】
以上詳述した如く、第1発明に係る同期発電機の自動電圧調整方法によれば、同期発電機の起動前に界磁極に直流電力を供給する直流電源の電圧値及び前記界磁極に供給される直流電力の電流値に基づいて界磁抵抗を求め、該界磁抵抗に基づいて電力変換器のシリコン制御整流素子の点弧角を制御するため、界磁温度による界磁抵抗の変化が大きい場合でも良好に同期発電機の電機子電圧を制御することが可能となる。
【0037】
第2及び第4発明に係る同期発電機の自動電圧調整装置によれば、界磁抵抗に応じた電力変換器のシリコン制御整流素子の点弧角の下限値を設定するリミッタを備えているため、界磁温度が低く、界磁抵抗が小さい場合に、シリコン制御整流素子の点弧角が必要以上に小さくなることを防止し、同期発電機の出力電圧が定格電圧より大幅に過大になることを防止することが可能となる。
【0038】
第3及び第4発明に係る同期発電機の自動電圧調整装置によれば、同期発電機の駆動中に界磁極に供給される直流電力の電圧値及び電流値に基づいて界磁抵抗を求め、該界磁抵抗に応じて、位相補償を補正するようになされているため、同期発電機が駆動中であって、界磁抵抗の変化が大きい場合でも、良好に同期発電機の電機子電圧を制御することが可能となる等本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る同期発電機の自動電圧調整装置の実施の形態1の要部の構成を示すブロック図である。
【図2】 同期発電機の初期励磁の温度特性を示すグラフである。
【図3】 リミッタの動作を示す図である。
【図4】 同期発電機の電機子電圧の応答特性を示すグラフである。
【図5】 本発明に係る同期発電機の自動電圧調整装置の実施の形態2の要部の構成を示すブロック図である。
【図6】 本発明に係る同期発電機の自動電圧調整装置の実施の形態3の要部の構成を示すブロック図である。
【図7】 従来の同期発電機の自動電圧調整装置の要部の構成を示すブロック図である。
【図8】 同期発電機が無負荷の場合の界磁電流と同期発電機の出力電圧との関係を示すグラフである。
【図9】 巻線温度と巻線抵抗の関係の一例を示すグラフである。
【図10】 界磁電流と界磁電圧との関係の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 同期発電機、2 界磁巻線、3 自動電圧調整装置、31 電力変換器、32 位相制御器、35 誤差増幅器、4 励磁変圧器、5 制御用バッテリー、91 界磁電流検出器、92 初期励磁電圧検出器、93 界磁抵抗関数器、94 リミッタ、111 界磁電圧検出器。

Claims (4)

  1. 同期発電機の起動前に、直流電源から所定時間界磁極に直流電力を供給し、直流電力の供給開始から所定時間経過後に、前記直流電力の電流値及び電圧値を測定し、測定した電流値及び電圧値から界磁極の界磁巻線の電気抵抗値を求め、該電気抵抗値に基づいて、同期発電機の起動後に界磁極を励磁する為に、同期発電機が出力する交流電力の一部を直流電力に変換し、前記励磁極に供給するシリコン制御整流素子を用いた電力変換器の前記シリコン制御整流素子の点弧角を制御することを特徴とする同期発電機の自動電圧調整方法。
  2. 同期発電機が出力した交流電力の一部を直流電力に変換し、変換した直流電力を前記同期発電機の界磁極に供給すべくなしてあるシリコン制御整流素子を用いた電力変換器と、所定の電圧値及び前記交流電力の電圧値の差に応じた電気的信号を出力する誤差増幅器と、同期発電機の起動時に前記界磁極に直流電力を供給する直流電源の電圧値及び前記界磁極に供給される直流電力の電流値に基づいて、前記界磁極の界磁巻線の電気抵抗値に応じた電気的信号を出力する界磁抵抗関数器と、該界磁抵抗関数器が出力した電気的信号に基づいて、前記シリコン制御整流素子の点弧角の下限値を設定し、該下限値に応じた電気的信号を出力するリミッタと、前記誤差増幅器及びリミッタが出力した電気的信号に基づいて、前記シリコン制御整流素子の点弧角を制御すべくなしてある位相制御器とを備えることを特徴とする同期発電機の自動電圧調整装置。
  3. 同期発電機が出力した交流電力の一部を直流電力に変換し、変換した直流電力を前記同期発電機の界磁極に供給すべくなしてあるシリコン制御整流素子を用いた電力変換器と、前記界磁極に供給される直流電力の電圧値及び電流値に基づいて、前記界磁極の界磁巻線の電気抵抗値に応じた電気的信号を出力する界磁抵抗関数器と、該界磁抵抗関数器が出力した電気的信号に基づいて、所定の電圧値及び前記交流電力の電圧値の差を補正し、補正した電圧値の差に応じた電気的信号を出力する誤差増幅器と、該誤差増幅器が出力した電気的信号に基づいて、前記シリコン制御整流素子の点弧角を制御すべくなしてある位相制御器とを備えることを特徴とする同期発電機の自動電圧調整装置。
  4. 界磁抵抗関数器は、同期発電機の起動時に界磁極に直流電力を供給する直流電源の電圧値に基づいて、界磁巻線の電気抵抗値に応じた電気的信号を出力するようになしてあり、該界磁抵抗関数器が出力した電気的信号に基づいて、シリコン制御整流素子の点弧角の下限値を設定し、該下限値に応じた電気的信号を出力するリミッタを備え、位相制御器は、前記リミッタが出力した電気的信号に基づいて、前記シリコン制御整流素子の点弧角を制御すべくなしてある請求項3記載の同期発電機の自動電圧調整装置。
JP15708099A 1999-06-03 1999-06-03 同期発電機の自動電圧調整方法及びその装置 Expired - Lifetime JP3770754B2 (ja)

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