JP3768905B2 - アリルアルコールの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、アリルアルコールの製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、簡便な操作で、しかも溶媒処理の環境への負荷も少なく、高い反応効率でアリルアルコールを合成することのできる、新しいアリルアルコールの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明の課題】
従来より、カルボニル化合物のアリル化反応は、医薬品、香料、農薬、各種のポリマー等の原料や中間体として有用なホモアリルアルコールを与える重要な反応であることが知られている。
【0003】
一方、各種の有機合成反応を、水性溶液中で行うことは、廃棄溶媒の環境への負荷が大きい有機溶媒の使用を減らし、また、反応操作も簡便となり、さらには特異な反応性も見られる等のことから注目を集めている。
【0004】
このような状況において、この出願の発明者らは、合成反応として有用なホモアリルアルコールを与えるカルボニル化合物のアリル化反応を水性溶媒中で行うことを検討してきた。そしてその過程において、テトラアリルスズを用いる水溶液中でのアリル化反応を開発した。
【0005】
しかしながら、このテトラアリルスズを用いる水溶液中での反応は大変に有用であるものの、反応成分としてのテトラアリルスズそのものが一般的なものではなく、その入手や合成、そして取扱いはそれほど簡便ではないという問題があり、アリル化反応の操作も必ずしも容易ではなかった。
【0006】
そこで、この出願の発明は、以上のとおりのこの出願の発明者らの開発したアリル化反応方法の知見とその検討を踏まえてなされたものであって、より汎用的に、簡便な操作で、しかも溶媒処理の環境への負荷の少ない水性溶液中において、高い反応効率でアリルアルコールを合成することのできる、新しいアリルアルコールの製造方法を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、カルボニル化合物とアリルトリアルキルスズとを、水性溶液中においてカドミウムおよびインジウムの少くともいずれかの過塩素酸塩の存在下に反応させることを特徴とするアリルアルコールの製造方法を提供する。
【0008】
そして、この出願の発明は、第2には、上記反応において、カドミウムおよびインジウムの少くともいずれかの過塩素酸塩とともに、N,N,N',N",N"−ペンタアルキルジエチレントリアミンおよび2,9−ジアルキルフェナンスロリンの少くとも一種を存在させることを特徴とするアリルアルコールの製造方法を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0010】
まずなによりも特徴的なことは、この出願の発明では、水性溶液中において、より汎用的なアリルトリアルキルスズを用いてカルボニル化合物のアリル化反応を行ってアリルアルコールを合成することである。
【0011】
アリルトリアルキルスズは、一般的には次式
【0012】
【化1】
【0013】
(式中のRは、同一または別異のアルキル基を示す)
で表わすことができるものであって、アルキル基Rとしては、好適には直鎖または分枝鎖状の炭素数6以下の低級アルキル基が考慮される。たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が例示される。特に、この出願の発明において好適なアリルトリアルキルスズとしては、代表的にはアリルトリブチルスズを例示することができる。
【0014】
一方、このようなアリルトリアルキルスズを反応させるカルボニル化合物としては、炭化水素基にカルボニル基を結合するアルデヒド化合物、あるいはケトン化合物の各種のものであってよい。この場合の炭化水素基は、たとえば脂肪族、脂環式、芳香族、さらには複素環のいずれの構造でもよく、カルボニル基は、環を構成する炭素原子において形成されていてもよい。また、この出願の発明のアリル化反応を阻害しない限り、各種の置換基を有していてもよい。
【0015】
アリルトリアルキルスズとカルボニル化合物との反応によりアリルアルコールの合成を、アルデヒド化合物R1−CHO(R1は上記のとおりの炭化水素基を示す)の場合として例示すると次式のとおり表わすことができる。
【0016】
【化2】
【0017】
このようなアリル化合成反応は水性溶液中において行われることが大きな特徴である。水性溶液のための溶媒としては水、あるいは水と相溶性のあるアルコール化合物等の物質との混合溶媒が考慮される。
【0018】
水性溶液中でのこの出願の発明のアリル化反応では、上記のアリルトリアルキルスズとカルボニル化合物との使用量は、そのモル比として、1:10〜10:1の範囲を目安とし、また水性溶液のための溶媒として混合溶媒を使用する場合には、水と相溶性の溶媒の水に対する使用割合は、体積比として10倍〜0.1倍を一般的な目安とすることができる。
【0019】
そして、この出願の発明においては、反応触媒もしくは反応促進剤としての役割を果たすものとして、カドミウム(Cd)および/またはインジウム(In)の過塩素酸塩を反応系に存在させることも特徴としている。
【0020】
これらのカドミウムやインジウムの過塩素酸塩は、反応系に対して、カルボニル化合物を基準として2モル%〜50モル%の範囲を一般的な目安として存在させることができる。
【0021】
また、過塩素酸塩とともに、含窒素有機化合物を併用してもよい。これらは、過塩素酸塩に対しての配位子成分、あるいは助触媒成分等として作用するものであって、N,N,N',N",N"−ペンタアルキルジエチレントリアミンおよび2,9−ジアルキルフェナンスロリンの少くとも一種が好適なものとして例示される。
【0022】
これらの化合物におけるアルキル基としては同一または別異のものであってよいが、炭素数8以下の低級アルキル基、なかでもメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が好ましい。
【0023】
また、これらの化合物は、反応原料となるカルボニル化合物に対して5モル%〜50モル%の範囲においてカドミウムやインジウムの過塩素酸塩とともに使用されることが考慮される。カドミウムやインジウムの過塩素酸塩に対してのモル比としては0.1〜1.2程度の割合とすることが一般的に考慮される。
【0024】
水性溶液中での反応が行われる条件下では、反応温度については特に限定的ではないが、通常は、5℃〜50℃程度の反応温度とすることができ、また大気中あるいは不活性ガス雰囲気下等において常圧、あるいは加圧下や減圧下に反応を行うことができる。
【0025】
この出願の発明においては、より汎用的なアリルトリアルキルスズを用いることによって、水性溶液中で、アルデヒド化合物からだけでなく、ケトン化合物からも、高い反応効率でアリルアルコールを合成することが可能とされる。
【0026】
そこで、以下に実施例を示し、さらに詳しくこの出願の発明について説明する。
【0027】
【実施例】
<実施例1>
次の反応式
【0028】
【化3】
【0029】
に従って、ベンズアルデヒドとアリルトリブチルスズとの反応によって目的とするアリルアルコールを合成した。
【0030】
反応には、カドミウム過塩素酸塩(20モル%)を用い、水/エタノール(1/9)混合溶媒による水性溶液中で、30℃の反応温度で30分間反応を行った。
【0031】
目的のアリルアルコールを収率50%で得た。
【0032】
また、カドミウム過塩素酸塩とともに、リガンド化合物(1)(2)を、各々20モル%の割合で用いて反応を行ったところ、各々、収率91%、92%の反応成績を得た。
【0033】
添付した図1は、リガンド化合物(1)を併用した場合(黒丸)と、併用せずにカドミウム過塩素酸塩のみを用いて反応させた場合(白角)とを反応時間と収率との関係として示したものである。リガンド化合物併用の効果が極めて顕著であることがわかる。
<実施例2>
実施例1のアリルアルコールの合成反応を、各種のルイス酸触媒のみを用いて、24時間行った。
【0034】
その結果を次表に示した。
【0035】
【表1】
【0036】
この表1からも、カドミウムとインジウムの過塩素酸塩の高い反応活性化作用が特異的なものであることがわかる。
<実施例3>
カドミウムの過塩素酸塩にリガンド化合物(1)(2)を併用して各種のカルボニル化合物のアリル化を行った。
【0037】
その結果を次表に示した。
【0038】
【表2】
【0039】
表2より、この発明の方法によって極めて高い反応収率で、各種のアリルアルコールが合成されることがわかる。
【0040】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、より汎用な、簡便な操作で、水性溶液中で、高い反応効率によってカルボニル化合物からのアリルアルコールの合成が可能とされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】リガンド化合物を併用した場合と併用しない場合との反応時間と反応収率との関係を示したものである。
Claims (2)
- カルボニル化合物とアリルトリアルキルスズとを水性溶液中においてカドミウムおよびインジウムの少くともいずれかの過塩素酸塩の存在下に反応させることを特徴とするアリルアルコールの製造方法。
- カドミウムおよびインジウムの少くともいずれかの過塩素酸塩とともにN,N,N',N",N"−ペンタアルキルジエチレントリアミンおよび2,9−ジアルキルフェナンスロリンの少くとも一種を存在させることを特徴とする請求項1のアリルアルコールの製造方法。
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2002
- 2002-03-11 JP JP2002065253A patent/JP3768905B2/ja not_active Expired - Fee Related
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