JP3768750B2 - 反応炉 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温空気燃焼型蓄熱式燃焼装置を用いた反応炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開平11−179191号公報(特願平9−357263号)には、複数の反応管により横に並んだ複数の反応管列を構成し、高温空気燃焼型蓄熱式燃焼装置を用いて炉内の温度を上昇させて複数の反応管における反応効率を向上させる技術が開示されている。高温空気燃焼技術は、通産省の援助のもと、NEDOの事業の一つとして開発された技術であり、例えば1996年に発行された月間「省エネルギー」9月号にその内容が詳しく説明されている。この高温空気燃焼技術では、燃焼用空気を800℃以上の高温まで予熱し、且つ高速で燃焼室に燃焼用空気を吹き込み、しかもその燃焼用空気中に燃料を吹き込んで燃焼を行う。反応炉の燃焼室の内部で高温空気燃焼を行うと、燃焼室内の温度が高くなるだけでなく、炉内の温度場の温度差が小さくなる。
【0003】
またこの技術は、改質炉及び分解炉等の反応管にも当然にして適用できるものである。ここで改質炉とは、ナフサ等の原料炭化水素を加熱スチームと混合し、改質触媒を充填した反応管にて、外部から供給される熱によって、水素、一酸化炭素、炭酸ガス等に変換する改質反応に用いられる反応炉である。反応管の加熱方式としては、上部加熱型、側面加熱型、テラスウオールがある。改質炉では、耐火レンガを内張りした長方形の炉で、垂直、一列または二列、千鳥型に配置された多数の反応管を内蔵している。炉壁の両側面には多数の短炎輻射式バーナが、反応管を均一に加熱するために、多段に設置されている。反応管の操作条件としては、一般に10〜28kg/cm2/G、操作温度800〜850℃である。また熱分解炉では、炭化水素と蒸気の混合流体とを高温(700〜1,000℃)に加熱して分解し、エチレン、水素等の製品を得る。炭化水素と蒸気は、バーナにより反応管内で加熱される。反応管は従来一列であり、その両側から加熱するのが一般的である。熱分解に伴うコーキング反応が避けられないため、反応管としては小口径のものが多数必要である。反応管の操作条件は、700〜1000℃の温度場において、0.1〜0.2秒の短時間の滞留時間でこの分解反応を完了させる必要がある。一般に分解炉の外観形状はボックス型であり、反応管とバーナの配置からいくつかの種類に分類される。ちなみにエチレン分解炉は、分解反応を起こさせる輻射部と原料の予熱や排熱回収を行う対流部、通風機、煙突などから構成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来は、高温空気燃焼技術を用いると燃焼室内の温度場の温度差が小さくなるとの認識から、炉内の空気抵抗の少ない空間、例えば反応管列の外側に位置する空間内では温度差がほとんどないと考えていた。しかしながら、発明者の研究によると、反応管列の外側に位置する空間内の温度場にも比較的大きな温度差が発生していることが分かった。反応管列がこの大きな温度差の温度場に近接して配置されると、反応管が局部加熱されたのと同じ状態になり、好ましくない。
【0005】
本発明の目的は、炉本体を大型化することなく、反応管が配置される温度場の温度差をできるだけ小さくすることができる反応炉を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、炉内の温度を部分的に変えることができる反応炉を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明が改良の対象とする反応炉は、下記の構成を備えている。なお本願明細書において、反応炉とは、一般的な反応炉の他に、改質炉及び分解炉を含むものである。反応炉は、内部に燃焼部と輻射部とを有する炉本体を備えている。そして炉本体の燃焼部を囲む炉壁に設けられた複数のバーナで燃料を燃焼し、炉本体内の排気ガスを通気性を有する複数の蓄熱体を通して炉外に排出し、複数の蓄熱体の顕熱で高温に加熱した燃焼用空気をバーナに供給するように構成された高温空気燃焼型蓄熱式燃焼装置と、炉本体の輻射部を囲む炉壁に対して固定された複数の反応管とを具備している。
【0008】
ここで高温空気燃焼型蓄熱式燃焼装置は、例えば特開平6−337110号公報や特開平6−241436号好公報等に開示されている周知の回転式蓄熱バーナによって構成することができる。また高温空気燃焼型蓄熱式燃焼装置は、いわゆる交番式蓄熱バーナを用いて構成することもできる。交番式蓄熱バーナには、1つの蓄熱体全体に燃焼用空気と排気ガスとを交互に流して、燃焼用空気を蓄熱体の顕熱で加熱するものであり、大別してバーナの燃焼を連続する連続燃焼タイプと、バーナの燃焼を断続する断続燃焼タイプとがある。連続燃焼タイプのものとしては、例えば特開平5−256423号公報や特開平6−11121号公報に示された交番式蓄熱バーナがある。この交番式蓄熱バーナでは、1つのバーナに対して2つの蓄熱体を設ける。そして一方の蓄熱体を通して排気ガスを排気し、他方の蓄熱体を通して燃焼用空気を供給し、この排気ガスの排気と燃焼用空気の供給をそれぞれ2つの蓄熱体で交互に行う。また断続燃焼タイプの一例は、特開平1−222102号公報の第10図に示されている。なお本発明の反応炉では、蓄熱体の顕熱で燃焼用空気を高温に予熱すればよく、燃焼用空気の温度は一般的な高温燃焼で要求される800℃以上であっても、また800℃より低くい温度であってもよい。
【0009】
一般的に、複数の反応管は炉本体内の輻射部を囲む炉壁の対向する一対の炉壁(例えば底壁と天井壁、または対向する一対の側壁)間に直接または支持構造を介して取付けられている。また複数のバーナは、炉壁の底壁、上壁、側壁のいずれかに取付けられる。
【0010】
本発明の反応炉では、複数のバーナを、複数の反応管に向かって燃料を噴き出さないよう燃焼部内で燃料を燃焼させるように燃焼部を囲む炉壁に設けている。このような構成を採用すると、複数のバーナから出る輻射熱の影響で反応管が局部的に加熱されるのを抑制できて、輻射部における温度場の温度差を小さくすることができる。
【0011】
複数のバーナの燃料噴出方向を反応管に向けないようにする構造は任意である。例えば、1以上の燃焼部を囲む炉壁を構成する複数の壁部分のうち対向する一対の壁部分に複数のバーナをそれぞれ分散して配置する。そして複数のバーナを該複数のバーナが配置された壁部分と対向する相手方の壁部分に向かって燃料を噴き出すように設ける。このようにすると、燃料噴き出し方向が反応管に向かうことがないだけでなく、燃焼部内の温度の制御が容易である上、輻射部内の温度場の温度制御が容易になる。
【0012】
複数の反応管の配置は任意であるが、一般的には1以上の反応管列を構成するように複数の反応管を輻射部内に配置する。1つの輻射部内に複数の反応管列を横に並べる場合には、3列または4列程度が理想的である。そして輻射部の両側にそれぞれ2以上の燃焼部を1以上の反応管列を間に挟むようにして配置するのが好ましい。1つの輻射部に対して1つの燃焼部を設けるだけでも、燃焼部から出る排気ガスの輻射熱と炉壁から反射してくる輻射熱で輻射部内の温度差を小さくすることはできる。しかしながら迅速にしかも確実に輻射部内の温度場の温度差を小さくするためには、輻射部の両側にそれぞれ2以上の燃焼部を配置するのが好ましいのである。その場合、1つの輻射部の一方の側に配置される2以上の燃焼部は,反応管列を構成する複数の反応管が延びる方向に分けて配置する(別々に配置する)か、2以上の燃焼部を反応管列が延びる方向(反応管が延びる方向と直交する方向)に分けて配置する(別々に配置する)ことができる。このように燃焼部を分けて配置すると、各燃焼部毎に燃焼及び温度を制御することができるので、炉内の燃焼及び温度をいわゆるゾーンコントロール(部分領域制御)することができる。これにより輻射部内の温度場の温度差を小さくしたり、反応炉内の複数の反応管の一部を使用(すなわ反応炉を部分的に使用)したりすることが可能になる。
【0013】
1つの反応炉内に複数の輻射部を形成する場合にも本発明を適用することができるのは勿論である。その場合には、複数の燃焼部と複数の輻射部とが交互に並ぶように配置すればよい。
【0014】
燃焼用空気の温度を800℃以上にする場合において、輻射部内の温度場の温度差を極力小さくする場合には、次のようにする。すなわち、バーナの単位時間当たりの燃焼量をX(単位は×109J/hr)としたときに、隣接する2つのバーナ間の間隔寸法の下限値Y1(単位はmm)及びバーナと反応管との間の間隔寸法の下限値Y2(単位はmm)を、
Y1≧240X1/2
Y2≧316X1/2
の式を満たすように定める。
【0015】
このように隣接する2つのバーナ間の間隔寸法の下限値Y1及びバーナと反応管との間の間隔寸法の下限値Y2を定めると、バーナと反応管との間の間隔寸法を必要以上に大きくしなくても(輻射部を必要以上に大型化することなく)、バーナの燃料噴射方向と対向する反応管が極端な局部加熱状態になるのを確実に防ぐことができる。理論的にはY1及びY2の値を上記式により求めた値に完全に一致させると、炉本体を最小にすることができる。しかしながら、炉の構造上の問題やその他の条件との関係からY1及びY2の値を上記式により求めた値に完全に一致させることができない場合がある。したがって本発明を実施する場合には、可能な範囲でY1及びY2の値を上記式により求めた値に近づけるようにすればよい。
【0016】
複数の反応管列は、3列または4列にするのが好ましい。なお5列以上にする場合には、列間の間隔寸法を従来よりも大きくすればよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1(A)は、本発明を分解炉に適用した実施の形態の一例を平面から見た概略の一部省略半部横断面図であり、図1(B)は図1(A)のA−A線断面図である。これらの図において、符号1で示した部材は、内部に4つの燃焼部2〜5と1つの輻射部6とからなる燃焼室を有する炉本体である。炉本体1は,底壁1aと、上壁1bと、幅方向[図1(A)の紙面で見た上下方向:図1(B)の紙面で見た左右方向]に位置する側壁1c及び1dと、横方向[図1(A)の紙面で見た左右方向:図1(B)の紙面で見た前後方向]の側壁1eとを備えている。これらの壁1a〜1fは、それぞれ耐火断熱壁構造を有している。
【0018】
炉本体1の底壁1aは、図示しない支持構造部によって支持されている。炉本体1の側壁1c及び1dには、それぞれ燃焼部2〜5を構成する箱状の膨出部7〜10を備えている。箱状の膨出部7〜10は、輻射部6の内部に向かって開口する形状を有している。そして各燃焼部2〜5を囲む膨出部7〜10の壁部分(炉壁を構成する複数の壁部分)のうち上下方向に対向する一対の壁部分7a,7b〜10a,10bにはそれぞれ蓄熱式燃焼装置を構成する複数の回転式蓄熱バーナ11がそれぞれ分散して配置されている。この例では、1つの壁部分7a,8a,9a,10aに設けられる複数のバーナ11は、この壁部分7a,8a,9a,10aと対向する相手方の壁部分7b,8b,9b,10bに向かって燃料を噴き出すように設けられている。逆に1つの壁部分7b,8b,9b,10bに設けられる複数のバーナ11は、この壁部分7b,8b,9b,10bと対向する相手方の壁部分7a,8a,9a,10aに向かって燃料を噴き出すように設けられている。そして炉本体1の底壁1aと上壁1bとを貫通するように、複数本の反応管12…が1本の反応管列を構成するように配置されている。複数の反応管12…は、各バーナから出る高温燃焼ガスの輻射熱と炉壁からの輻射熱で加熱される。
【0019】
ここで用いる回転式蓄熱バーナ11…は周知の構造のものであり、燃料を噴出するバーナの後方に通気性を有する蓄熱体が配置され,この蓄熱体の後方に燃焼用空気と排気ガスとを同時に蓄熱体に流すための回転機構が配置された構造を有している。そして回転機構の回転により、蓄熱体の内部には排気ガスが部分的に回転しながら連続的に流れてその部分に排気ガスの熱が蓄熱され、排気ガスが流れた部分に燃焼用空気が流されてその部分に蓄熱された熱で燃焼用空気が所定の温度まで加熱される。燃焼用空気の加熱温度は、回転機構の回転速度、蓄熱体の通気性、蓄熱体の長さ等の要素によって決まる。この例では燃焼用空気の温度が800℃以上になるようにこれらの要素が決定されている。勿論このような高温に耐えるように各部の材料も選択されている。そしてこの回転機構の後方には、燃焼用空気を供給する図示しない空気ダクトと排気ガスを排出する排気ガスダクトを有するダクト構造体が設けられ、更にこのダクト構造体の後方には、燃焼用空気を空気ダクトに送り込む押し込み送風機と排気ガスを排気ガスダクトから引き出す誘引送風機とが配置されている。本実施の形態のように複数の回転式蓄熱バーナ11…を用いる場合には、各回転式蓄熱バーナのダクト構造体は,例えば1台の押し込み送風機と誘引送風機によって燃焼用空気の供給と排気ガスの排気とを行えるように、複数台のダクト構造体を集合させて構成した集合構造を有している。
【0020】
1つの反応管列を構成する複数の反応管12…のうち隣接する2つの反応管の中心間の寸法が、1本の反応管の外径寸法の1.5〜5倍になるよう複数の反応管12…は配置されている。また、各バーナ11…の単位時間当たりの燃焼量をX(単位は×109J/hr)としたときに、1つの壁部分(例えば7a)に固定された複数のバーナ11…の2つのバーナ間(2つのバーナの中心間)の間隔寸法の下限値Y1(単位はmm)及びバーナ11の中心と反応管12との間の間隔寸法の下限値(最小間隔寸法)Y2(単位はmm)が下記の式を満たすように、バーナ11…の位置を定めている。
【0021】
Y1≧240X1/2
Y2≧316X1/2
この式は、バーナの単位時間当たりのXとしたときに、距離Y離れた位置で単位面積当たりに受ける熱量qは、ほぼq=(X/k)Y2(但しkは係数)の関係を有しているとの公知の理論から推論したものである。すなわちこの式からYを求めると、Y=KX1/2(但しKは係数)という式が導き出される。そこで実際に集めた過去のバーナ燃焼量と燃焼室内の温度場の温度についての測定データから図1に示したバーナ11と反応管12との配置条件において、燃焼量Xを変えたときで局部加熱が発生しない場合のY1及びY2の下限値をシミュレーションにより求めてみた。図2は、シミュレーションの結果を示している。図2において、曲線y1は、燃焼量Xを変えたときの隣接する2つのバーナ間の間隔寸法のシミュレーション下限値の変化を示しており、また曲線y2は燃焼量Xを変えたときのバーナと反応管との間の間隔寸法のシミュレーション下限値Y2の変化を示している。800℃以上の高温空気燃焼では、炉の形状が変わっても、図2に示したシミュレーション結果は共通になる。そこでこのシミュレーション結果の曲線y1及びy2を、前述のY=KX1/2(但しKは係数)の式に合わせるように係数Kの値(240と316)を求めて数式化したのが、前述のY1≧240X1/2及びY2≧316X1/2の式である。
【0022】
このように隣接する2つのバーナ間の間隔寸法の下限値Y1及びバーナと反応管との間の間隔寸法の下限値Y2を定め、バーナの配置をこの下限値に近い値にすると、バーナ11と反応管12との間の間隔寸法を必要以上に大きくしなくても(燃焼室を必要以上に大型化することなく)、バーナ11の燃料噴出方向と対向する反応管が極端な局部加熱状態になるのを確実に防ぐことができる。
【0023】
このように隣接する2つのバーナ間の間隔寸法の下限値Y1及びバーナと反応管との間の間隔寸法の下限値Y2を定めると、バーナ11と反応管12との間の間隔寸法を必要以上に大きくしなくても(燃焼室を必要以上に大型化することなく)、バーナ11の燃料噴出方向と対向する反応管12が極端な局部加熱状態になるのを確実に防ぐことができる。
【0024】
具体的なレベルで見ると、燃焼量を1.046〜10.46×109J/hrとしたときの、下限値Y1は約800mm〜1,500mmであり、また下限値Y2は約500mm〜1,500mmである。
【0025】
この実施の形態において、燃焼室2内部の温度が800℃以上になるように、蓄熱式燃焼装置11を用いて高温空気燃焼を行うと、輻射部6内の温度場の温度差の小さくすることができる。この例のように、1つの輻射部6の一方の側に配置される2つの燃焼部2及び3と4及び5は、反応管列を構成する複数の反応管12が延びる方向に分けて配置(別々に配置)すると、各燃焼部毎に燃焼及び温度を制御することができるので、炉1内の燃焼及び温度をいわゆるゾーンコントロール(部分領域制御)することができる。これにより輻射部内の温度場の温度差を小さくすることが可能になる。
【0026】
この例では、1つの膨出部7の一対の壁部分7a及び7bの両方にそれぞれバーナ11…を配置しているが、一対の壁部分7a及び7bの少なくとも一方にバーナを配置すればよい。またこの例では、複数の反応管12…で1列の反応管列を構成しているが、複数の反応管12…で複数の反応管列を構成するようにしてもよい。
【0027】
図3(A)は、本発明を分解炉に適用した他の実施の形態を平面から見た概略の一部省略半部横断面図であり、図3(B)は図3(A)のA−A線断面図である。図3においては、図1に示した実施の形態を構成部分と同様の部分には、図1に示した符号に100の数を加えた符号を付して説明を省略する。図3の実施の形態が、図1の実施の形態と比べて異なるのは、4つの燃焼部102〜105の配置と回転蓄熱式バーナ111の配置位置である。この例では、輻射部106の両側にそれぞれ配置される2つの燃焼部102及び103と104及び105を反応管列が延びる方向(反応管が延びる方向と直交する方向)に分けて配置している。そして各燃焼部102〜105を構成する膨出部107〜110の105を反応管列が延びる方向(横方向)に位置して対向する一対の壁部分107aと107b〜110a,110bにはそれぞれ蓄熱式燃焼装置を構成する複数の回転式蓄熱バーナ111がそれぞれ分散して配置されている。この例では、1つの壁部分107a,108a,109a,110aに設けられる複数のバーナ111は、この壁部分107a,108a,109a,110aと対向する相手方の壁部分7b,8b,9b,10bに向かって燃料を噴き出すように設けられている。逆に1つの壁部分107b,108b,109b,110bに設けられる複数のバーナ111は、この壁部分107b,108b,109b,110bと対向する相手方の壁部分107a,108a,109a,110aに向かって燃料を噴き出すように設けられている。その他の点は、図1の実施の形態の構成と同じである。このように燃焼部102〜105を分けて配置すると、各燃焼部毎に燃焼及び温度を制御することができるので、炉内の燃焼及び温度をいわゆるゾーンコントロール(部分領域制御)することができる。これにより輻射部内106の温度場の温度差を小さくしたり、反応炉内の複数の反応管の一部を使用(すなわ反応炉を部分的に使用)したりすることが可能になる。
【0028】
図4(A)は、本発明を分解炉に適用した更に他の実施の形態を平面から見た概略の横断面図であり、図4(B)は縦断面図である。図4においては、図1に示した実施の形態を構成部分と同様の部分には、図1に示した符号に200の数を加えた符号を付して説明を省略する。図4の実施の形態が、図1の実施の形態と比べて異なるのは、4つの燃焼部202〜205と3つの輻射部206a〜206cとが交互に並ぶように配置されている点で相違する。回転蓄熱式バーナ211…は、底壁201aと上壁201bとにそれぞれ分散して配置されており底壁201aに設けられたバーナ211と上壁201bに設けられたバーナ211とは互いに向かい合う方向に燃料を噴き出すように配置されている。
【0029】
上記の各実施の形態では、高温空気燃焼型蓄熱式燃焼装置を複数の回転蓄熱式バーナにより構成したが、高温空気燃焼型蓄熱式燃焼装置として、いわゆる交番式蓄熱バーナを用いてもよいのは勿論である。
【0030】
【発明の効果】
本発明の反応炉によれば、複数のバーナを、複数の反応管に向かって燃料を噴き出さないよう燃焼部内で燃料を燃焼させるように燃焼部を囲む炉壁に設けているので、複数のバーナから出る輻射熱の影響で反応管が局部的に加熱されるのを抑制できて、輻射部における温度場の温度差を小さくすることができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)は、本発明を分解炉に適用した実施の形態の一例を平面から見た概略の一部省略半部横断面図であり、(B)は図1(A)のA−A線断面図である。
【図2】 実際に集めた過去のバーナ燃焼量と燃焼室内の温度場の温度についての測定データから図1に示したバーナと反応管との配置条件において、燃焼量Xを変えたときで局部加熱が発生しない場合のY1及びY2の下限値をシミュレーションした結果を示す図である。
【図3】 (A)は、本発明を分解炉に適用した実施の形態の他の例を平面から見た概略の一部省略半部横断面図であり、(B)は図3(A)のA−A線断面図である。
【図4】 (A)は、本発明を分解炉に適用した更に他の実施の形態を平面から見た概略の横断面図であり、(B)は縦断面図である。
【符号の説明】
1,101,201 炉本体
2〜5,102〜105,202〜205 燃焼部
6,106,206 輻射部
11,111,201 回転蓄熱式バーナ
12,112,212 反応管
Claims (3)
- 内部に燃焼部と輻射部とを有する炉本体と、
前記炉本体の前記燃焼部を囲む炉壁に設けられた複数のバーナで燃料を燃焼し、前記炉本体内の排気ガスを通気性を有する複数の蓄熱体を通して炉外に排出し、前記複数の蓄熱体の顕熱で800℃以上に加熱した燃焼用空気を前記バーナに供給するように構成された高温空気燃焼型蓄熱式燃焼装置と、
前記炉本体の前記輻射部を囲む炉壁に対して固定された複数の反応管とを具備し、
前記複数の反応管は1以上の反応管列を構成するように前記輻射部内に配置され、
前記輻射部の両側にそれぞれ2以上の前記燃焼部が前記1以上の反応管列を間に挟むようにして配置されており、
2以上の前記燃焼部は,前記反応管列を構成する前記複数の反応管が延びる方向に分かれて配置されており、
前記燃焼部を囲む前記炉壁を構成する複数の壁部分のうち対向する一対の前記壁部分に前記複数のバーナがそれぞれ分散して配置され、
前記複数のバーナは該複数のバーナが配置された前記壁部分と対向する相手方の前記壁部分に向かって燃料を噴出するように設けられ、
前記バーナの単位時間当たりの燃焼量をX(単位は×10 9 J/hr)としたときに、
隣接する2つの前記バーナ間の間隔寸法の下限値Y 1 (単位は mm )及び前記バーナと前記反応管との間の間隔寸法の下限値Y 2 (単位は mm )を、
Y 1 ≧240X 1/2
Y 2 ≧316X 1/2
の式を満たすように定めたことを特徴とする反応炉。 - 内部に燃焼部と輻射部とを有する炉本体と、
前記炉本体の前記燃焼部を囲む炉壁に設けられた複数のバーナで燃料を燃焼し、前記炉本体内の排気ガスを通気性を有する複数の蓄熱体を通して炉外に排出し、前記複数の蓄熱体の顕熱で800℃以上に加熱した燃焼用空気を前記バーナに供給するように構成された高温空気燃焼型蓄熱式燃焼装置と、
前記炉本体の前記輻射部を囲む炉壁に対して固定された複数の反応管とを具備し、
前記複数の反応管は1以上の反応管列を構成するように前記輻射部内に配置され、
前記輻射部の両側にそれぞれ2以上の前記燃焼部が前記1以上の反応管列を間に挟むようにして配置されており、
前記燃焼部を囲む前記炉壁を構成する複数の壁部分のうち対向する一対の前記壁部分に前記複数のバーナがそれぞれ分散して配置され、
前記複数のバーナは該複数のバーナが配置された前記壁部分と対向する相手方の前記壁部分に向かって燃料を噴出するように設けられ、
2以上の前記燃焼部は,前記反応管列が延びる方向に分かれて配置されており、
前記バーナの単位時間当たりの燃焼量をX(単位は×10 9 J/hr)としたときに、
隣接する2つの前記バーナ間の間隔寸法の下限値Y 1 (単位は mm )及び前記バーナと前記反応管との間の間隔寸法の下限値Y 2 (単位は mm )を、
Y 1 ≧240X 1/2
Y 2 ≧316X 1/2
の式を満たすように定めたことを特徴とする反応炉。 - 前記複数の反応管列が3列または4列である請求項1または2に記載の反応炉。
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