JP3768304B2 - 冷媒設備用のバルブ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、空調機や冷凍機等の冷媒設備に使用される冷媒設備用のバルブの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば空調機における製品据え付け工事においては、室外機と室外機とを配管によって接続した後、真空ポンプによって配管中の空気を除去する、いわゆる真空引きを行い、その後、室外機中に封入したフロンガス等の冷媒を配管中に流し、室外機から室内機へと循環させるが、この真空引きの際、冷媒が配管中に流れないようにするため、バルブを設けており、このバルブを閉めた状態で真空引きを行い、その後、バルブを開放して冷媒を配管中に流すようにしている。この従来におけるバルブとしては、バルブに形成した流路内にボールを配して流路を開閉する、いわゆるボールバルブと、弁体をなすスピンドルを摺動させることにより流路外から流路内に出入りさせて流路を開閉する、いわゆるニードルタイプのバルブとが広く利用されている。
【0003】
ボールバルブは、一般に、流路用孔を設けたボールを流路中に配するとともに、ボールの周部を覆ったシールドパッキンで押さえ付けるようにしてシールし、そして、ボールを回転操作させることにより流体流路を開閉し得るようにしたものである。しかし、このボールバルブにおいては、シールドパッキンでボールの周部を押さえ付けるようにしてシールしたものであるため、シール性が弱く、閉鎖状態でも、冷媒の圧力でシールした部分から冷媒が徐々に洩れるおそれがある。そのため、ボールバルブは、通常、配管長さが短くて配管工事に要する時間の少ないもの、例えば室内機1台に対して室外機1台を接続する、いわゆるセパレート方式のものに使用されているのが現状であり、室内機1台に対して複数の室外機を接続する、いわゆるマルチサイクル方式のように配管長さが長くて配管工事に要する時間のかかるようなものへの適応は困難である。又、このボールバルブは、ボールを回転するための操作棒等を必要とし、部品点数が多く、製作コストが高く付くという課題がある。
【0004】
一方、ニードルタイプのバルブは、図10に示すように流体を流す流路aを、第1流路a1と、第1流路a1と直角をなす第2流路a2とから構成するとともに、弁体をなすスピンドルbを、第2流路a2の反対側の図示左方側の部分に軸方向を第1流路a1と直角をなすようにして形成したスピンドル収納管c内に、収納管cにおける内周壁に刻設した雌ネジ部c1にスピンドルbの外周に設けた雄ネジb1を螺合させることにより配し、そして、スピンドルbの頭部b2側に設けたレンチ係合孔b3にレンチLを頭部b2側から係合させ、その係合させたレンチLをスピンドル収納管cに対して回動操作することにより、スピンドルbが、収納管cの軸方向に沿って流路aに対して接近・退行する方向に移動し、第1流路a1と第2流路a2との間を閉鎖・開放し得るようにしたものである。こうすることにより、流路aを確実に塞ぎ、冷媒の圧力で冷媒が洩れるおそれのないものにでき、配管長さが長くて配管工事に要する時間のかかるセパレート方式のものにも適応させることができる。尚、図10中、dは、配管に第1流路a1側を接続するための筒状のフレアキャップを示し、eは、スピンドルbを保護するための保護キャップを示す。又、fは、真空引き等するための補助用口を示しているが、これらについては、更に後述する。
【0005】
ところが、このニードルタイプのものは、流路aの第1流路a1と第2流路a2とが直角をなしているため、例えば流体としての冷媒を第1流路a1から第2流路a2側に流すと第1流路a1から第2流路a2に入る際、直角に方向を変えて流れなければならず、流れ抵抗が大きくなってしまい、その結果、例えば低圧ガス側での使用では、運転中、0.1〜0.3Kg/cm2 G程度の圧力損失を生じ、その結果、冷房運転時における冷房能力の低下をきたすとともに、電力消費量も大きくなってしまう。
【0006】
又、ニードルタイプのものは、弁体をなすスピンドルbを、第2流路a2の反対側の部分に軸方向を第1流路a1と直角をなすように配しているため、第1流路a1から側方への突出量が大きく、製品に取り付けた場合に、製品の設置面積が大きくなる。しかも、流路aを開閉するためのスピンドルbの移動操作に際しては、スピンドルbのレンチ係合孔b3にレンチLを頭部b2側から係合させ、その係合させたレンチLを第1流路a1の真横側から回動操作しなければならず、その分のスペースをも確保しておく必要があり、尚更設置面積を大きく採っておく必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明は、以上の実情に鑑み提案されたもので、流路の閉鎖時に流体の洩れるおそれがなく、しかも、開放時に流体の流れ抵抗を小さくし得る冷媒設備用のバルブを提供することを第1の目的とする。
【0008】
本願発明は、製品に取り付けた場合に、製品の設置面積を小さくでき、しかも、狭所でも流路の開閉操作を行い得る冷媒設備用のバルブを提供することを第2の目的とする。
【0009】
本願発明は、弁体としてのスピンドル径を小さくできて、しかも、流体の流れ抵抗を極力抑えることのできる冷媒設備用のバルブを提供することを第3の目的とする。
【0010】
本願発明は、低コストで製作し得る冷媒設備用のバルブを提供することを第4の目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、以下の特徴を有する冷媒設備用のバルブを提供することにより上記課題を解決する。
本願第1の発明は、バルブ本体2と開閉用弁3とを備え、
バルブ本体2は、内部に流体の流路21と、弁収納部4とを備え、流路21の両端側が、冷媒設備に設けられた配管に接続されることにより、流路21が冷媒設備用流路の一部をなして冷媒設備における流体を流路21に沿って流し得るようになされ、
開閉用弁3が、流路21を塞ぎ得る弁体31を備え、
この弁体31が、流路21の側方側に流路21に対して接近・退行する方向に移動可能に配位されることにより、その移動に伴って弁体31が流路21を塞いで閉鎖した第1流路22と、この第1流路22から続く第2流路23とに区画するとともに、その閉鎖状態から開放して第1流路22と第2流路23とを連通する冷媒設備用のバルブにおいて、
第2流路23が、第1流路22から直線状に続くものであり、第1流路22における流体の流れ方向と、第2流路23における流体の流れ方向のなす角度が略180°とされ、
弁収納部4は、弁体を31を収納するための収納孔41を備え、
この収納孔41は、収納した弁体31の先端部を流路21に出し入れするための出入口42を備え、
弁体31の先端部には、円柱状の軸方向に直角面を有する閉塞部34を備え、
弁体31は、収納孔41の軸方向に沿って移動し、この移動によって弁体31の閉塞部34が収納孔41から流路21に突出し、又、収納孔41内に後退することにより、閉塞部34が流路21を開閉し得るものであり、
第1流路22と第2流路路23との間に弁体31の閉塞部34を当接させる弁座7を備え、この弁座7の一部が、流路21の径内側に突設された突起部71に形成され、この突起 部71に形成された弁座7に弁体31の閉塞部34が当接することにより、第1流路22と第2流路23との間が塞がれるようになされ、
この突起部71が第1流路22と面した第1側面71aと、第2流路23と面した第2側面71bとで構成される断面略三角形状をなしており、この突起部71における第1側面71aと第2流路23とから構成された断面略三角形状の端部が、円柱状の弁体先端部の外周面とこれに直交する閉塞部34との間の端部に対して当接することを特徴とする冷媒設備用のバルブを提供する。
【0012】
本願の第2の発明は、
バルブ本体2と開閉用弁3とを備え、
バルブ本体2は、内部に流体の流路21と、弁収納部4とを備え、流路21の両端側が、冷媒設備に設けられた配管に接続されることにより、流路21が冷媒設備用流路の一部をなして冷媒設備における流体を流路21に沿って流し得るようになされ、
開閉用弁3が、流路21を塞ぎ得る弁体31を備え、
この弁体31が、流路21の側方側に流路21に対して接近・退行する方向に移動可能に配位されることにより、その移動に伴って弁体31が流路21を塞いで閉鎖した第1流路22と、この第1流路22から続く第2流路23とに区画するとともに、その閉鎖状態から開放して第1流路22と第2流路23とを連通する冷媒設備用のバルブにおいて、
第2流路23が、第1流路22から直線状に続くものであり、第1流路22における流体の流れ方向と、第2流路23における流体の流れ方向のなす角度が略180°とされ、
弁収納部4は、弁体を31を収納するための収納孔41を備え、
この収納孔41は、収納した弁体31の先端部を流路21に出し入れするための出入口42を備え、
弁体31の先端部には、円柱状の軸方向に直角面を有する閉塞部34を備え、
弁体31は、収納孔41の軸方向に沿って移動し、この移動によって弁体31の閉塞部34が収納孔41から流路21に突出し、又、収納孔41内に後退することにより、閉塞部34が流路21を開閉し得るものであり、
第1流路22と第2流路路23との間に弁体31の閉塞部34を当接させる弁座7を備え、
弁体31の径が第1流路22の径より大きく、
弁座7が、突起部71を設けずに、流路21を形成したバルブ本体2の内壁面を断面略三角形状に窪んだ凹部72であることを特徴とする冷媒設備用のバルブを提供する。
【0013】
以上のように構成された本願発明においては、流路21に対して接近・退行する方向に移動可能に配位した弁体31によって流路21を塞ぐものとするため、従来のボールバルブのように冷媒の圧力でシールドパッキンでシールした部分から冷媒が洩れるおそれのないものにでき、しかも、ボールバルブに比し部品点数を少なくでき、低コストで製作できる。その一方、流路21における第1流路22の流体の流れ方向と、第2流路23の流体の流れ方向のなす角度が、90°より大きく設定しているため、その角度が直角をなす従来のニードルタイプのものに比して流体が流路21を流れる際の流れ抵抗を小さくでき、圧力損失を抑えることができる。
【0014】
本願発明においては、弁体31の軸方向を、第1流路22又は第2流路23における流体の流れ方向に対して鈍角又は鋭角をなす方向に配位させ、弁体31を、軸方向に沿って移動し得るようにしたものとするため、第1流路と直角方向に弁体を移動させる従来のニードルタイプのものに比し、第1流路22から側方への突出量を少なくでき、製品に取り付けた場合に、製品の設置面積を小さくできる。しかも、流路21を開閉する弁体31の操作に際しては、操作部35を、第1流路22の斜め側方側から操作でき、第1流路の真横側から回動操作しなければならない従来品に比し、弁体31を操作するためのスペースを少なくできる。これにより、本願のバルブを取付けた製品を設置する際には、弁体31を操作するためのスペースを小さくでき、この点からも製品の設置面積を小さくできる。
【0015】
本願の第1の発明においては、弁体31の閉塞部34を当接させる弁座7を、流路21の径内側に突設させた突起部71に形成するものとする。こうすることにより、例えば図4に示すように、流路21に対して弁体31を45°の角度をなす方向側から弁体31の閉塞部34を流路21内に出し入れしてその閉塞部34によって流路21を塞ぐためには流路21の径に対して閉塞部34の径を大きく設定しておかなければ流路21を塞ぐことができないが、閉塞部34の径を大きくすると、弁体31自体が径大なものになり、その結果、バルブ全体が大きくなってしまう。そこで本願第1の発明では、弁座7を、流路21の径内側に突設させた突起部71に形成し、突起部71によって閉塞部34で閉鎖する流路21の径を小さくする。これにより、流路21の径と同じか又は流路21の径より径小の閉塞部34で流路21を塞ぐことができ、弁体31自体を小さくできる。一方、流路21の径内側に突起部71を突設させると、弁体31を開放させた際、流路21を流れる流体が突起部71によって抵抗を受けることになるが、この本願第3の発明においては、突起部71における第1流路22側の側面71aを、第2流路23側に傾斜した傾斜面をなすものとしているため、流体の流れ抵抗を極力抑えることができる。
【0016】
本願発明においては、第1流路22における流体の流れ方向と、第2流路23における流体の流れ方向のなす角度を、略180°とすることにより、流体を略直線状に流すことができ、流体の流れ抵抗を殆どないものにでき、圧力損失を殆ど生じないものにできる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図を基に本願発明の一実施形態の冷媒設備用のバルブを具体的に説明する。図1は、本願発明の一実施形態の冷媒設備用のバルブの正面図、図2は、その右側面図、図3は、その底面図であり、又、図4は、図1のIV−IV線断面図、図5は、図2のV −V 線断面図、図6は、図2のVI−VI線断面図である。
【0018】
本願発明の冷媒設備用のバルブ1は、バルブ本体2と、開閉用弁3とを備えている。バルブ本体2は、管体からなり、内部に断面円形状に形成された流路21と、弁収納部4と、補助用口5とを備えている。
【0019】
流路21は、流体を流すためのもので、図4R>4の上下中央部に開閉用弁3によって流路21を開閉する開閉用口24が備えられており、又、この開閉用口24によって流路21が、開閉用口24より図示下部側の第1流路22と、第1流路22から図示上方側に直線状に続く第2流路23とに区画されている。又、この実施形態では、第1流路22から第2流路23に向かって流体を流すように設定されている。従って、本実施形態におけるこのバルブ1は、流路21における流体の流れ方向が第1流路22から第2流路23側(図示のX方向)に形成され、第1流路22における図示下端側が流体を受容する受容口22aをなし、第2流路23における図示上端側が流体を送り出す送出口23aをなすようにして冷媒設備の配管に接続される。又、第2流路23の径R1は、第1流路22の径R2より大きくなされることにより、流体が第1流路22から第2流路23に向かって流れる際の流体の圧力損失の軽減を図れるようになされている。
【0020】
又、バルブ本体2における第1流路22の受容口22aの外周には、図1に示すように筒状をなすフレアナット25が螺合されており、このフレアナット25を介してバルブ本体2における第1流路22の受容口22a側が冷媒設備用の配管に接続されるようになされている。
【0021】
弁収納部4は、後述の開閉用弁3のスピンドル31を収納するためのもので、管状をなし、内部に収納孔41を備え、この収納孔41にスピンドル31を収納し得るようになされている。この収納孔41の図示下部側は、流路21における開閉用口24に連通するように開口されており、収納したスピンドル31の先端部を流路21における開閉用口24に出し入れするための出入口42をなしている。収納孔41の図示上部側は、軸方向が流路21の軸方向と略45°の角度Aをなして斜め上方側に所定長さで伸ばされている。又、その上端は開口されており、収納したスピンドル31を操作するための操作用口43をなしている。この操作用口43は、収納孔41にスピンドル31を収納後、収納孔41より径小に形成されることにより、収納したスピンドル31が操作用口43から抜けないようになされている。一方、収納孔41の下部側における内周壁には、内ネジ部44が設けられ、スピンドル31を螺合し得るようになされている。
【0022】
補助用口5は、このバルブ1を冷媒設備の配管に接続後、配管中の空気を除去する真空引きや、冷媒を補充、更に冷媒圧力測定等するためのもので、本実施形態では、図1及び図5に示すようにバルブ本体2における外部から第1流路22の開閉用口24と受容口22aとの間の壁面に、図5に示すように第1流路22に連通するように穿設された連通孔55と、連通孔55に取り付けられた環状の接続管51とを備えている。この接続管51は、従来から使用されているものと同様のもので、先端外周に真空ポンプ接続用ネジ部51aが設けられており、この真空ポンプ接続用ネジ部51aに真空ポンプのホース端部を接続し得るようになされている。又、接続管51の内部には、接続管51内を密閉状態に維持しておくためのコアー52が収納されており、このコアー52が第1流路22側に押圧操作されることにより、連通孔55を介して接続管51と第1流路22とが連通し、これにより、冷媒設備の配管に接続後、接続管51から真空引きや、冷媒を補充等できるようになされている。又、この接続管51の真空ポンプ接続用ネジ部51aには、袋ナット53が螺合されている。この袋ナット53は、使用していない間、コアー52を保護しておくためのもので、補助用口5の使用に際して取り外されるものである。
【0023】
又、バルブ本体2には、本体取付け部6が備えられている。この本体取付け部6は、このバルブ本体2を他部材に固定するためのもので、本実施形態では、図3及び図5に示すようにバルブ本体2における第1流路22の開閉用口24と受容口22aとの間の外壁面に、外壁面から両側方に所定長さ及び厚さで突設されている。そして、その両側方に突設された部分にボルト取付け用ネジ61、61が設けられており、このボルト取付け用ネジ61、61に螺合させたボルト(図示せず)によってバルブ本体2が他部材に固定されるようになされている。
【0024】
開閉用弁3は、図4に示すようにバルブ本体2の弁収納部4に収納されたスピンドル31と、バルブ本体2に形成された弁座7とから構成されている。スピンドル31は、弁体をなすもので、弁収納部4に収納し得る大きさの円柱状をなし、外周における図示下方側には、本体螺合用ネジ部32が設けられ、本体螺合用ネジ部32の図示上方側には、リング嵌挿用溝33が設けられ、このリング嵌挿用溝33にOリング33aが嵌挿されるようになされている。一方、このスピンドル31の図示下端側の先端部には、バルブ本体2における第1流路22の開閉用口24を閉塞するためのスピンドル31の軸方向に直角面を有する閉塞部34が設けられており、スピンドル31の図示上端側の後端部には、この工具を係合するための工具係合孔35が設けられている。
【0025】
そして、このように構成されたスピンドル31は、図4、図7に示すようにリング嵌挿用溝33にOリング33aが嵌挿された後、弁収納部4の収納孔41内に、収納孔41の内ネジ部44に本体螺合用ネジ部32が螺合されるようにして収納され、収納孔41の内ネジ部44に案内されて収納孔41の軸方向(図示のY方向)に沿って移動する。そして、この移動によって、スピンドル31の閉塞部34が収納孔41から流路21における開閉用口24に突出し、又、開閉用口24から収納孔41内に後退する。又、この移動に際し、リング嵌挿用溝33に嵌挿されたOリング33aが収納孔41の内壁面を摺動しつつ移動することにより、収納孔41の出入口42と操作用口43とを遮断した状態を維持する。また、スピンドル31が収納孔41に収納された後は、弁収納部4に袋状の保護用キャップ45が螺合されることにより、スピンドル31が保護されるようになされている。
【0026】
弁座7は、スピンドル31の閉塞部34を当接させるためのもので、スピンドル31の閉塞部34を当接させることによってスピンドル31の閉塞部34がバルブ本体2における流路21の開閉用口24を閉塞できるようになされたものである。この弁座7は、バルブ本体2の収納孔41の図4の下端側から流路21の開閉用口24を形成したバルブ本体2の内壁面にかけて、収納孔41の軸方向と略直角をなす段部が円形状に形成され、収納孔41に収納されたスピンドル31の閉塞部34が全周に渡って当接し得るようになされている。本実施形態では、図4、図6に示すように弁座7における収納孔41側の部分(図示の下方部)は、収納孔41と流路21との境界部に形成され、一方、流路21側の部分(図示の上方部)は、バルブ本体2の内壁面から径内側に突設された突起部71に設けられている。この突起部71は、バルブ本体2の内壁面に略周方向に沿って所定長さで形成されており、第1流路22と面した図示下方側の第1側面71aと、第2流路23と面した図示上方側の第2側面71bとで略断面直角三角形状をなしている。又、第1側面71aは、バルブ本体2の内壁面側の基端部71cから先端部71dにかけて漸次図示上方側に傾斜し、流路22の流体流れ方向(図示のX方向)に対して第2流路23側に略45°傾斜した傾斜面をなしている。そして、このように形成された突起部71に、収納孔41側からドリル加工を施すことにより、弁座7における流路21側の部分を形成している。尚、突起部71の形状は、断面三角形状のものに限らず、適宜変更できる。但し、突起部71の第1側面71aを第2流路23側に傾斜した傾斜面に形成しておくのが上述の理由から好ましい。又、その突起部71の第1側面71aの傾斜量についても、上記のように45°傾斜したものに限らず、第2流路23側に傾斜していれば良く、特に限定されない。
【0027】
尚、このような突起部71を設けてその突起部71に弁座7を形成しているのは、スピンドル31の径を小さくしてバルブ1全体をコンパクト化にするためである。詳しくは、本実施形態のようにスピンドル31が、略45°をなした方向から流路21を塞ぐため、スピンドル31の径が流路21の径と同じか又は小さい場合には、流路21を塞ぐことができない。従って、スピンドル31の径を流路21の径より径大にしておく必要があるが、流路21の径より径大にすると、弁収納部4及びスピンドル31が大きくなってバルブ1全体をコンパクトにすることができなくなってしまう。そこで、この突起部71を設けることにより、流路21の開閉用口24を小さくし、流路21の径と同じか又は径小なスピンドル31で開閉用口24を塞げるようにし、バルブ1全体をコンパクトにしたものである。従って、本実施形態で使用している上記スピンドル31は、第1流路22の径と同じか又は径小のものが使用される。但し、第1流路22の径と同じか又は径小のスピンドル31の使用に限定されるものではなく、第1流路22の径より径大のスピンドル31を使用することもでき、その場合は、図9に示すように突起部71を設けなくても、流路21を形成したバルブ本体2の内壁面をカットすることにより、内壁面から略断面三角形状に窪んだ凹部72を形成するようにしてその凹部72の側面を弁座7として機能させれば良く、適宜変更し得る。
【0028】
次に、以上のように形成された本願発明の冷媒設備用のバルブ1の使用方法について、空調機に使用される場合を例にして説明する。例えば空調機としてセパレート方式(室外機1台に対して室内機1台)の冷房装置に本願発明のバルブ1を使用する場合、バルブ1は、室外機の低圧ガス側に取付けられて使用される。詳しくは、この冷房装置100は、図8に示すように室外機101と、室内機102とを備えており、これらは、ガス側接続管103と、液側接続管104とによって接続されることにより、冷房サイクルを構成するようになされている。
【0029】
そして、室外機101や室内機102の据え付け工事に際し、ガス側接続管103に本願発明のバルブ1が室外機の低圧ガス側に取付けられる。尚、バルブ1は、通常、予め第2流路23の送出口23a側が室外機101に低圧ガス側に接続された状態で、図2に示すように室外機101に本体取付け部6がボルトを介して固定されている。又、室外機101にセットされた状態のバルブ1は、図7に示すように流路21の開閉用口24がスピンドル31と弁座7との当接によって閉められているとともに、バルブ本体2の第1流路22の受容口22aに被覆キャップ26が被せられてフレアナット25によって固定されており、スピンドル31及び被覆キャップ26によって室外機101に収納された冷媒ガスが受容口22aから漏れるのを防止している。従って、据え付け工事におけるガス側接続管103への接続に際しては、一旦フレアナット25をバルブ本体2から外してキャップ26を取り外し、バルブ本体2とガス側接続管103とを接続した後、バルブ本体2の締め付け用ネジにフレアナット25を締め付けることにより行う。このフレアナット25の締め付けに際しては、バルブ本体2における流路21の開閉用口24と受容口22aとの間の肉厚が本体取付け部6を設けることによって厚くなっているため、フレアナット25を強く締め付けてもその締め付けトルクによって弁座7が変形を起こすようなことがなく、弁座7とスピンドル31の閉塞部34とによる流路21の開閉用口24の密閉状態を維持させることができる。又、室外機101の据え付けに際しては、室外機101に本体取付け部6を固定したバルブ1における弁収納部4が、図1に示すように流路21に対し略45°をなして傾斜し、従来のように流路21に対し略直角方向に突出していないため、室外機101の側方側への突出量を少なくできる。従って、狭い場所にでも設置でき、設置面積の小さいものにすることができる。
【0030】
配管の接続終了後、バルブ本体2の接続管51に、真空ポンプのホース端部を接続して配管内の真空引きを行った後、図7に示すように弁収納部4の保護キャップ45(図4に図示)を外し、スピンドル31の工具係合孔35にレンチLを係合させ、レンチLを回動操作する。これにより、スピンドル31が弁収納部4の内ネジ部44に案内されて弁収納部4内を軸方向に沿って図示の上方側に引き上げられて開閉用口24が開放され、第1流路22と第2流路23とが連通する(図4の状態)。この工具の回動操作に際しては、スピンドル31の軸方向が流路21に対し略45°をなして傾斜しているため、斜め上方側から操作でき、従来のようにバルブ1の側方側に操作するためのスペースを必要としない。従って、この点からも、室外機101を狭い場所にでも設置でき、設置面積の小さいものにできる。
【0031】
又、スピンドル31による開閉用口24の開放に併せて液側バルブ105も開放する。これにより、室外機101に封入していた冷媒ガスがバルブ1の第1流路22から第2流路23に沿って流れ、配管内の全体に行き渡り、冷房サイクルとしての運転が可能な状態となる。また、冷媒ガスがバルブ1の第1流路22から第2流路23に沿って流れる際、第1流路22から第2流路23にかけて直線状をなしているため、冷媒ガスが直線状に流れることができ、流れ抵抗を小さくでき、圧力損失を起こすようなことを防止できる。しかも、第2流路23の径を、第1流路22の径より径大に形成しているため、冷媒ガスの流れ抵抗を極力抑えることができる。
【0032】
以上のように構成することにより、従来のボールバルブに比して密閉性が良く、しかも、部品点数を少なくでき、低コストで製作し得るものにできる。又、従来のニードルタイプのバルブ比して流体の圧力損失を抑えることができ、しかも、バルブを取り付けた製品の設置面積を小さいものにできる。
【0033】
尚、本実施形態では、流路21における第1流路22の軸方向と、第2流路23の軸方向とを直線状に形成することにより、流体の流れ方向を直線状にして流体の圧力損失のないものにしているが、この形態のものに限らず、第1流路22の軸方向と、第2流路23の軸方向とのなす角度が90°より大きく、且つ、第1流路22の軸方向と、第2流路23の軸方向とが直線をなす範囲内であれば良く、好ましくは第1流路22の軸方向と、第2流路23の軸方向とのなす角度が150°〜直線をなす範囲内であれば流体の圧力損失を少なくでき、適宜変更し得る。
【0034】
又、本実施形態では、スピンドル31の軸方向を、直線状をなす流路21の軸方向に対して略45°の角度Aをなした方向に配位させ、その方向にスピンドル31を移動させるようにしているが、この形態のものに限らず、スピンドル31の軸方向を、第1流路22又は第2流路23の軸方向に対して鈍角又は鋭角をなした方向に配位させておけば良く、適宜変更し得る。但し、上記のように流路21における第1流路22の軸方向と第2流路23との軸方向を直線状又は直線状に近い形態にした場合、スピンドル31の軸方向をその流路21に対して直角にするとスピンドル31の閉塞部34が流路21の軸方向に直行してしまい、スピンドル31の軸に対して直角な弁座7を流路21の内周面の全周に形成できず、スピンドル31の閉塞部34で流路21を塞ぐことができない。従って、スピンドル31の軸に対して直角な弁座7を流路21の内周面の全周に形成するためには、直線状をなす流路21の軸方向に対してスピンドル31の軸方向を傾けておく必要がある。その場合、例えば流路21の径と同径のスピンドル31を用いる場合において、スピンドル31を流路21に対して傾ければ傾ける程(図4における角度Aが小さい程)、突起部71を小さくして流路21の内周面の全周にスピンドル31の軸方向に対して直角な弁座7を形成できるが、スピンドル31を、流路21の開放した状態(スピンドル31の閉塞部34を流路21内に突出させていない状態)から弁座7に当接させた閉鎖状態まで移動させるストロークが長くなってしまい、開閉操作が面倒なものになってしまう。その一方、スピンドル31を流路21に対して直角に近づければ近づける程(図4における角度Aを90°に近づける程)、スピンドル31のストロークを小さくできるが、突起部71を大きくしなければならず、突起部71が開放時における流体の流れ抵抗を大きくするおそれがある。従って、直線状をなす流路21の軸方向に対するスピンドル31の軸方向のなす角度Aを、20〜70°の範囲にしておくのが、製作面、開閉操作面、流体の流れ抵抗面から好ましく、より好ましくは略45°である。
【0035】
また、本実施形態では、本願発明のバルブ1をセパレート方式の冷房装置に使用しているが、マルチタイプの冷房装置等の空調機、或いは冷凍機等の冷媒設備に広く使用し得るものであり、適宜変更使用し得る。
【0036】
【発明の効果】
以上、本願発明は、従来のボールバルブのように冷媒の圧力でシールドパッキンでシールした部分から冷媒が洩れるおそれのないものにでき、しかも、ボールバルブに比し部品点数を少なくでき、低コストで製作できる。その一方、従来のニードルタイプのものに比して流体が流路21を流れる際の流れ抵抗を小さくでき、圧力損失を抑えることができる。従って、冷房運転時における冷房能力の低下、電力消費量の増大といったことを防止できるものにし得る。
【0037】
本願発明は、従来のニードルタイプのものに比し、第1流路22から側方への突出量を少なくでき、製品に取り付けた場合に、製品の設置面積を小さくできる。しかも、流路21を開閉する弁体31の操作に際しては、操作部35を、第1流路22の斜め側方側から操作でき、第1流路の真横側から回動操作しなければならない従来品に比し、弁体31を操作するためのスペースを少なくできる。これにより、本願のバルブを取付けた製品を設置する際には、弁体31を操作するためのスペースを小さくでき、この点からも製品の設置面積を小さくできる。従って、使用便利なものにできる。
【0038】
本願第1の発明は、弁座7を、流路21の径内側に突設させた突起部71に形成し、突起部71によって閉塞部34で閉鎖する流路21の径を小さくすることにより、流路21の径と同じか又は流路21の径より径小の閉塞部34で流路21を塞ぐことができ、弁体31自体を小さくできる。従って、バルブ全体の小型化を図ることのできるものにし得る。一方、突起部71における第1流路22側の側面71aを、第2流路23側に傾斜した傾斜面をなすものとしているため、流体の流れ抵抗を極力抑えることができる。これにより、突起部71による流体の流れ抵抗を小さくでき、圧力損失を抑えることができる。
【0039】
本願発明は、第1流路22における流体の流れ方向と、第2流路23における流体の流れ方向のなす角度を、略180°とすることにより、流体を略直線状に流すことができ、流体の流れ抵抗を殆どないものにでき、圧力損失を殆ど生じないものにできる。従って、流体を、最も効率良く流すことのできるものにし得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態の冷媒設備用のバルブの正面図である。
【図2】本願発明の一実施形態の冷媒設備用のバルブの側面図である。
【図3】本願発明の一実施形態の冷媒設備用のバルブの底面図である。
【図4】図1のIV−IV線断面図である。
【図5】図2のV −V 線断面図である。
【図6】図2のIV−IV線端面図である。
【図7】流路を閉鎖した状態から開放する際の説明図である。
【図8】本願発明の冷媒設備用のバルブを使用した一実施形態の冷房装置の系統図である。
【図9】他の実施形態の要部断面図である。
【図10】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1 バルブ
2 バルブ本体
3 開閉用弁
4 弁収納部
5 補助用口
7 弁座
21 流路
22 第1流路
23 第2流路
24 開閉用口
31 スピンドル
71 突起部
71a 第1側面
100 冷房装置
101 室外機
102 室内機
103 ガス側接続管
104 液側接続管

Claims (2)

  1. バルブ本体(2)と開閉用弁(3)とを備え、
    バルブ本体(2)は、内部に流体の流路(21)と、弁収納部(4)とを備え、流路(21)の両端側が、冷媒設備に設けられた配管に接続されることにより、流路(21)が冷媒設備用流路の一部をなして冷媒設備における流体を流路(21)に沿って流し得るようになされ、
    開閉用弁(3)が、流路(21)を塞ぎ得る弁体(31)を備え、
    この弁体(31)が、流路(21)の側方側に流路(21)に対して接近・退行する方向に移動可能に配位されることにより、その移動に伴って弁体(31)が流路(21)を塞いで閉鎖した第1流路(22)と、この第1流路(22)から続く第2流路(23)とに区画するとともに、その閉鎖状態から開放して第1流路(22)と第2流路(23)とを連通する冷媒設備用のバルブにおいて、
    第2流路(23)が、第1流路(22)から直線状に続くものであり、第1流路(22)における流体の流れ方向と、第2流路(23)における流体の流れ方向のなす角度が略180°とされ、
    弁収納部(4)は、弁体を(31)を収納するための収納孔(41)を備え、
    この収納孔(41)は、収納した弁体(31)の先端部を流路(21)に出し入れするための出入口(42)を備え、
    弁体(31)の先端部には、円柱状の軸方向に直角面を有する閉塞部(34)を備え、
    弁体(31)は、収納孔(41)の軸方向に沿って移動し、この移動によって弁体(31)の閉塞部34が収納孔(41)から流路(21)に突出し、又、収納孔(41)内に後退することにより、閉塞部(34)が流路(21)を開閉し得るものであり、
    第1流路(22)と第2流路路(23)との間に弁体(31)の閉塞部(34)を当接させる弁座(7)を備え、この弁座(7)の一部が、流路(21)の径内側に突設された突起部(71)に形成され、この突起部(71)に形成された弁座(7)に弁体(31)の閉塞部(34)が当接することにより、第1流路(22)と第2流路(23)との間が塞がれるようになされ、
    この突起部(71)が第1流路(22)と面した第1側面(71a)と、第2流路(23)と面した第2側面(71b)とで構成される断面略三角形状をなしており、この突起部(71)における第1側面(71a)と第2流路(23)とから構成された断面略三角形状の端部が、円柱状の弁体先端部の外周面とこれに直交する閉塞部(34)との間の端部に対して当接することを特徴とする冷媒設備用のバルブ。
  2. バルブ本体(2)と開閉用弁(3)とを備え、
    バルブ本体(2)は、内部に流体の流路(21)と、弁収納部(4)とを備え、流路(21)の両端側が、冷媒設備に設けられた配管に接続されることにより、流路(21)が冷媒設備用流路の一部をなして冷媒設備における流体を流路(21)に沿って流し得るようになされ、
    開閉用弁(3)が、流路(21)を塞ぎ得る弁体(31)を備え、
    この弁体(31)が、流路(21)の側方側に流路(21)に対して接近・退行する方向に移動可能に配位されることにより、その移動に伴って弁体(31)が流路(21)を塞いで閉鎖した第1流路(22)と、この第1流路(22)から続く第2流路(23)とに区画するとともに、その閉鎖状態から開放して第1流路(22)と第2流路(23)とを連通する冷媒設備用のバルブにおいて、
    第2流路(23)が、第1流路(22)から直線状に続くものであり、第1流路(22)における流体の流れ方向と、第2流路(23)における流体の流れ方向のなす角度が略180°とされ、
    弁収納部(4)は、弁体を(31)を収納するための収納孔(41)を備え、
    この収納孔(41)は、収納した弁体(31)の先端部を流路(21)に出し入れするた めの出入口(42)を備え、
    弁体(31)の先端部には、円柱状の軸方向に直角面を有する閉塞部(34)を備え、
    弁体(31)は、収納孔(41)の軸方向に沿って移動し、この移動によって弁体(31)の閉塞部34が収納孔(41)から流路(21)に突出し、又、収納孔(41)内に後退することにより、閉塞部(34)が流路(21)を開閉し得るものであり、
    第1流路(22)と第2流路路(23)との間に弁体(31)の閉塞部(34)を当接させる弁座(7)を備え、
    弁体(31)の径が第1流路(22)の径より大きく、
    弁座(7)が、突起部(71)を設けずに、流路(21)を形成したバルブ本体(2)の内壁面を断面略三角形状に窪んだ凹部(72)であることを特徴とする冷媒設備用のバルブ。
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