JP3767373B2 - 空気調和機と空気調和機に組込む空気清浄ユニット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、室内の冷房あるいは暖房を行う空気調和機と空気調和機に組込む空気清浄ユニットに関し、特に室内ユニットの吹き出し口における風向変更の制御に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の空気調和機は特開平10−9657号公報に記載されているように、図10(a)、(b)に示す構成であった。空気調和機の室内機である筐体1は、前面パネル3aの前下方に設けられた吹き出し口4と、この吹き出し口4に向かって空調空気を前下方に流す吹き出し通路2とを備えている。吹き出し口4には、空調空気の上下への吹き出し方向を変化させるために、回動軸C回りに回動自在に設けた上下風向板100が設けられている。上下風向板100は、空気調和機の停止時において前面パネル3aの外面形状に沿うように湾曲した横断面形状を有している。
【0003】
そして、図10(a)に示すように上下風向板100は、二点鎖線で示す停止位置から、一端110側を下方に回動することにより、他端120が空調空気の上流側を向いた略水平の位置まで移行し前方水平方向に空調空気が吹き出される。また、図10(b)に示すように上下風向板100の一端110側を後方に回動することにより、一端110が空調空気の上流側を向いた略垂直の位置まで移行して下向き方向に空調空気が吹き出される。
【0004】
また、特開平10−19300号公報に記載されているように、図11に示す構成となっている。空気調和機の筐体1は、前面パネル3aの前下方に設けられた吹き出し口4を備えている。吹き出し口4には、空調空気の上下の吹き出し方向を変化させるために、回転軸C1、C2回りにそれぞれ回転自在に設けた二つの上下風向板100a、100bが設けられている。暖房運転時において、真下吹きを行う場合、第1の上下風向板100aが略垂直の位置に置かれ、第2の上下風向板100bが、前面パネル3aの前面に沿って吹き出し口4の前上方側を閉鎖する停止位置に置かれ、下向き方向に空調空気が吹き出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記第1の従来(特開平10−9657号公報)の構成では、十分な水平方向および下向き方向の空調空気の流れを形成することができない。図10(a)に風の流れを示す下側の矢印は、実際は破線で示すように下向き成分の強い流れを形成する。同様に、図10(b)に風の流れを示す上側の矢印は、実際は破線で示すように水平成分の強い流れを形成する。
【0006】
上記第2の従来(特開平10−9657号公報)の構成では、第1の従来例と比較すると下向き方向の流れは多少改善された傾向がある。しかし、図11に風の流れを示す上側の矢印は、実際は破線で示すように十分な下向き流れを形成しているとはいえない。また、水平方向の流れの形成には、第1の従来例と同様の課題を有している。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、吹き出し口からの空調空気を上向き略水平方向または下方向へ確実に変更できる空気調和機と、音の静かな空気清浄ユニットとを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の発明は、筐体外面に吸込み口と吹き出し口を有する筐体と、この筐体内部に設けた熱交換器および前記吸い込み口から吸引し前記熱交換器で熱交換した空気を前記吹き出し口から流出させるクロスフローファンと、前記吹き出し口から流出する空気を上向き略水平方向または下方向へ吹き出させる上下風向変更板とを備え、前記上下風向変更板は、空気を上向き略水平方向または下方向へ吹き出させるために、筐体外面に沿って上下方向へ摺動自在に設けたものである。
【0009】
この手段によれば、上下風向変更板が筐体外面に沿って上方向へ摺動して吹き出し口の上部側にある場合は空気が下向き方向に流れ、上下風向変更板が吹き出し口の下部側にある場合は空気が上向き略水平方向に流れる作用をする。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、吹き出し口に連続した筐体内の吹き出し通路の前記吹き出し口部分に、上向き空気流れ促進流路を形成したもので、吹き出し口から上向き略水平方向へ吹き出す空気が、上向き空気流れ促進流路により確実に上向き方向へ案内される作用をする。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、上下風向変更板が有する駆動動力を伝達する動力伝達軸を、上向き空気流れ促進流路の構成体内に設けたことにより、動力伝達軸による通風抵抗が解消される作用を有する。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、吹き出し口に連続した筐体内の吹き出し通路の前記吹き出し口部分に、回転自在な上下風向案内板を設けたことにより、下向き方向および上向き略水平方向の流れの制御をより促進させる作用を有する。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、上下風向案内板が、その回転軸を中心に略対向部分に丸棒を固定したことにより、前記丸棒によって上下風向案内板の一端部に設けた前記回転軸を中心に回転する上下風向案内板のバランスが図られ、回転させるトルクを軽減できるとともに、下向き方向および上向き方向へのいずれの流れの場合でも丸棒により空気との摩擦が少なく通風抵抗を小さくできる作用を有する。
【0014】
また、請求項6に記載の発明は、上下風向変更板の裏面、または上下風向案内板の裏面に、復元可能で、かつ不通気性の弾性体または吸水性物質体のパッキングを設けたことにより、上下風向変更板と筐体外面の隙間、および上下風向案内板と筐体外面の隙間からの空気漏れ流れを防止できる作用を有する。
【0015】
また、請求項7に記載の発明は、筐体内部に空気清浄ユニットを設けるとともに、上下風向変更板により吸い込み口の一部を閉じるようにしたことにより、空気清浄ユニットへの風量を増大させて清浄効果を促進させる作用を有する。
【0016】
また、請求項8に記載の発明は、筐体に吸い込み口と熱交換器の間に位置して内装する空気清浄ユニット体を形成し、前記空気清浄ユニット体の一端部側に空気流通用の貫通孔を設けたことにより、空気清浄ユニット体が高負荷(フィルターにゴミが集積)時に貫通孔を空気流が側路し、断続的な異常音を抑制する作用を有する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における空気調和機の斜視図で、図2(a)は同空気調和機の上向き吹き出し時における図1のA−A断面図で、図2(b)は同空気調和機の下向き吹き出し時における図1のA−A断面図で、図2(c)は同空気調和機の上下風向変更板の駆動部分を示す断面図である。
【0019】
1は、居室内の壁に設置され、横長の長方形状にして前面上部および上面に吸い込みグリルを有する吸い込み口3、やや前部下方に向く吹き出し口4をそれぞれ有する室内ユニット本体(以下、筐体という)で、室外ユニットと配管接続して冷凍サイクルを構成し、少なくとも冷房または暖房を行うものである。前記筐体1は、内部にクロスフローファン5と、この風上側と吸い込み口3の間に熱交換器7を有し、さらに前記熱交換器7の下方で水受け皿8aを兼ねてクロスフローファン5に峰部を接近対向させたスタビライザ8とリアガイダ9とで前記吹き出し口4に連続した吹き出し通路2を備えている。
【0020】
そして、クロスフローファン5を回転させると、図に示す矢印方向の送風作用を生じ、これにより室内の空気は吸い込み口3から吸い込まれ、熱交換器7によって熱交換された後、吹き出し口4より吹き出される。
【0021】
10は、前記吹き出し口4から吹き出す空気を上向き略水平方向および下方向へ吹き出させる上下風向変更板で、前記筐体1の左右側部に設置した駆動装置(図2(c)に示す)により筐体1の外面に沿って上下方向へ摺動自在に設け、かつ空気の送風停止時には吹き出し口4を閉鎖し、筐体1の外郭の一部を成す大きさと形状および柄に形成している。そして、上下風向変更板10は、空気を矢印の如く上向き略水平方向へ吹き出させるため図2(a)に示すように、吹き出し口4の下部に上端部10aを臨ました位置と、空気を矢印の如く下方向へ吹き出させるため図2(b)に示すように、吹き出し口4の上部に下端部10bを臨ました位置と、そして吹き出し口4を閉鎖した位置とに電気的な制御手段(図示せず)に制御された駆動装置により位置制御されるものである。
【0022】
上下風向変更板10の駆動装置は、図2(c)に示すように、駆動源のモータ18と、このモータの回転を減速して伝える減速歯車機構である歯車19A、19B、19Cと、歯車19Bに噛合って筐体1の前面から下部にわたる外郭形状に沿って摺動し、取り付け部22を介して装着した上下風向変更板10を筐体1の外面に沿って上下方向へ摺動させるベルト21とを備えている。
【0023】
また、駆動装置は前記歯車19A、19B、19Cと、ベルト21とを筐体1の左右側部内の同一位置に設けて細長い上下風向変更板10を左右から支持と駆動するように構成し、1個のモータ18の動力を例えば左側の減速歯車機構から右側の減速歯車機構に伝えるため左右の歯車19c間を、吹き出し口4の下部に位置させた回転する動力伝達軸14で連結している。ベルト21は、筐体1の前面から下部にわたる外郭形状に沿って摺動するため筐体1の側部内に設けた固定の案内溝20に沿って変形しながら摺動できるように嵌合させている。なお、吸い込み口3にはフィルター6を設けている。
【0024】
上記実施の形態において、制御された駆動装置であるモータ18が回転すると、歯車19A、19B、19Cの順で動力が伝わり、これと反対側の減速歯車機構の歯車19cは動力伝達軸14を介して動力を受け、歯車19B、19Aの順で伝わる。このようにして左右の減速歯車機構に伝えられた動力は、左右の歯車19Bに噛合っている左右のベルト21に伝わり、ベルト21は案内溝20に沿って摺動する。この結果、取り付け部22を介してベルト21に装着した上下風向変更板10は、筐体1の外面の形状に沿って上下方向へ摺動し、破線で示すように略円弧状に回転移動することにより、吹き出し口4からの吹き出し流れの方向を制御することができるのである。
【0025】
すなわち、図2(a)に示すように上下風向変更板10は、吹き出し口4の下部に上端部10aを臨ました吹き出し口4の下部側に位置すると、その形状を生かした上端部10aの案内も作用して吹き出し流れを上向き略水平方向(矢印)に変更制御することができる。
【0026】
また、図2(b)に示すように上下風向変更板10は、吹き出し口4の上部に下端部10bを臨ました吹き出し口4の上部側に位置すると、吹き出し流れを下向き(矢印)に変更制御することができる。
【0027】
また、空気調和機の運転を停止状態にすると、制御された駆動装置により上下風向変更板10は、吹き出し口4の中央部で停止し、吹き出し口4を完全に閉じることができ美観上でも優れる。
【0028】
なお、上記実施の形態では吹き出し口4からの空気の流れを上向き略水平方向および下向き方向に変更する上下風向変更板10の作用効果を説明したが、前記いずれか一方の方向への変更制御をする場合の空気調和機に使用しても良いことは当然である。
【0029】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における空気調和機の断面図である。この実施の形態の発明は、筐体内の吹き出し通路の吹き出し口部分に、上向き空気流れ促進流路を形成した点が実施の形態1の発明と異なるだけで、それ以外の同一構成および作用効果を奏する部分には同一符号を付して詳細な説明を省略し、異なる点を中心に説明する。なお、実施の形態1で説明した上下風向変更板の駆動装置は図3に示すのを省略している。
【0030】
図3において、13は吹き出し口4に連続した筐体内の吹き出し通路2の前記吹き出し口部分に形成した上向き空気流れ促進流路で、吹き出し口4に連続した吹き出し通路2の上部内面を吹き出し口4へ近づくほど上向きに傾斜させた形状にしている。
【0031】
上記実施の形態において、吹き出し口4からの空気流れを上向き略水平方向に変更するため、実施の形態1で説明したように上下風向変更板10を吹き出し口4の下部側に位置させると、上向き空気流れ促進流路13に空気流れが案内されて広がり確実に上向き方向へ案内でき、かつ前記空気の上向き成分がより大きくなるため、より遠方まで空気を到達させることができる。また、吹き出し口4の開口面積が全体として大きくなるため、風量性能を向上できる。
【0032】
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3における空気調和機の断面図である。この実施の形態の発明は、上下風向変更板が有する動力伝達軸を、上向き空気流れ促進流路の構成体内に設けた点が実施の形態1および2の発明と異なるだけで、それ以外の同一構成および作用効果を奏する部分には同一符号を付して詳細な説明を省略し、異なる点を中心に説明する。なお、実施の形態1で説明した上下風向変更板の駆動装置は図4に示すのを省略している。
【0033】
動力伝達軸14は、図4に示すように上向き空気流れ促進流路13の構成体としてのスタビライザ8の一部とカバー13aで覆われ、かつ上向き空気流れ促進流路13の始端部に位置させている。
【0034】
上記実施の形態において、吹き出し口4からの空気流れを上向き略水平方向に変更するため、実施の形態1で説明したように上下風向変更板10を吹き出し口4の下部側に位置させると、上向き空気流れ促進流路13に空気流れが案内されて広がり確実に上向き方向へ案内でき、かつ前記空気の上向き成分がより大きくなるため、より遠方まで空気を到達させることができる。
【0035】
そして、実施の形態2における上下風向変更板10が有する動力伝達軸14は図2(a)に示すように吹き出し口4の下端部に露出しているので、空気流れの邪魔になる恐れがあった。然るに本実施の形態では、動力伝達軸14を図4に示す如くスタビライザ8の一部とカバー13aで覆い、かつ上向き空気流れ促進流路13の始端部に位置させているので、空気流れの邪魔にならず通風抵抗を軽減して風量性能の低下を防止することができる。
【0036】
(実施の形態4)
図5(a)は本発明の実施の形態4における空気調和機の下向き吹き出し時の断面図で、図5(b)は同空気調和機の上向き吹き出し時の断面図である。この実施の形態の発明は、吹き出し口に連続した筐体内の吹き出し通路の前記吹き出し口部分に、回転自在な上下風向案内板を設けた点が実施の形態1および3の発明と異なるだけで、それ以外の同一構成および作用効果を奏する部分には同一符号を付して詳細な説明を省略し、異なる点を中心に説明する。なお、実施の形態1で説明した上下風向変更板の駆動装置は図5(a)、図5(b)に示すのを省略している。
【0037】
図5(a)に示すように、吹き出し口4からの下向き方向および上向き略水平方向の流れの制御をより促進させるため、吹き出し口4に近い筐体内部の吹き出し通路2の中央部分において、回動軸J回りに一端部を固定し回動自在の上下風向案内板11を設けている。
【0038】
上記実施の形態において、図5(a)に示すように、上下風向変更板10を吹き出し口4の上部に下端部10bを臨まして吹き出し口4の上部側に位置させると、上下風向案内板11が回動軸Jとともに自重により左方向に回転して垂下(略垂直方向)して停止する。このことにより、上下風向変更板10により吹き出し口4の上部からの空気漏れ流れを防止して、さらに上下風向案内板11により下向きに強く空気を誘導し、吹き出し口4からの下向き(矢印)方向の流れを著しく促進させることができる。
【0039】
また、図5(b)に示すように、上下風向変更板10を図5(a)の状態から吹き出し口4の下部側へ向かって摺動させていくと、上下風向変更板10の下端部10bが上下風向案内板11を右方向へ回動軸Jを中心に回転させながら押し上げていき、最後に上端部10aを吹き出し口4に臨まして上下風向変更板10を吹き出し口4の下部側に位置させると、上下風向案内板11が上下風向変更板10の内側に収まって重なるのである。このことにより、上下風向案内板11が上向き略水平方向に向けた状態になり、吹き出し口4からの上向き略水平方向(矢印)の流れを著しく促進させることができる。
【0040】
また、上下風向変更板10と上下風向案内板11との2枚の板が重なるように配設され、断熱効果により上下風向変更板10の冷房時の結露防止にも繋がる。なお、上記実施の形態では、上下風向案内板11の回転を、上下風向変更板10の上下摺動により、自重回転と押し上げ回転させたが、上下風向変更板10の上下摺動に連動させて動力により回転させても良い。
【0041】
(実施の形態5)
図6は、本発明の実施の形態5における空気調和機の断面図である。この実施の形態の発明は、上下風向案内板の回転バランスを図るため、上下風向案内板の回転軸を中心に前記上下風向案内板の略対向部分に丸棒を固定した点が実施の形態1および4の発明と異なるだけで、それ以外の同一構成および作用効果を奏する部分には同一符号を付して詳細な説明を省略し、異なる点を中心に説明する。なお、実施の形態1で説明した上下風向変更板の駆動装置は図6に示すのを省略している。
【0042】
図6に示すように、12は上下風向案内板11の回転バランスを図り、かつ送風抵抗を少なくするための丸棒で、上下風向案内板11の回動軸Jを中心に前記上下風向案内板11の略対向部分に固定している。
【0043】
上記実施の形態において、回動軸Jを中心に上下風向案内板11を回転させると、丸棒12が上下風向案内板11の回動軸Jを中心に前記上下風向案内板11の略対向部分に固定され、回転バランスが図られており、上下風向案内板11を小さいトルクで回転させることができるとともに、実施の形態4の図5(a)、図5(b)で説明した下向き方向および上向き略水平方向への流れの案内位置でも、丸棒12の回転による形が変わらないので通風抵抗を小さくできる。また、最大風量の状態においても、大きな通風抵抗の増大にはならず風量性能の低下を抑制できる。
【0044】
(実施の形態6)
図7は、本発明の実施の形態6における空気調和機の断面図である。この実施の形態の発明は、上下風向変更板の裏面、または上下風向案内板の裏面に、変形可能で、かつ不通気性の弾性体または吸水性物質体を設けた点が実施の形態1および4の発明と異なるだけで、それ以外の同一構成および作用効果を奏する部分には同一符号を付して詳細な説明を省略し、異なる点を中心に説明する。なお、実施の形態1で説明した上下風向変更板の駆動装置は図7に示すのを省略している。
【0045】
図7に示すように、15は上下風向変更板10の裏面、または上下風向案内板11の裏面に貼り付けた復元可能で、かつ不通気性の弾性体または吸水性物質体のパッキングで、上下風向変更板10と筐体1の外面の隙間、および上下風向案内板11と筐体1の外面の隙間を塞ぎ、前記隙間からの空気漏れ流れを防止するものである。
【0046】
上記実施の形態において、吹き出し口4からの空気流れを、上向き略水平方向と下向き方向へ制御するため上下風向変更板10および上下風向案内板11が筐体1の外面に沿って摺動および回転した時、パッキング15が筐体1の外面に密接し、上下風向変更板10と筐体1の外面の隙間、および上下風向案内板11と筐体1の外面の隙間を閉塞する。
【0047】
従って、吹き出し口4からの空気流れが上記した各隙間から漏れることがなくなり、風向の制御を確実にできる。また、冷房時において隘路の流れによる結露の発生を防止することもできる。さらに、パッキングが吸水性物質であれば結露水を吸着することができるため、結露水の筐体1からの落下を防止できる。
【0048】
なお、上記実施の形態ではパッキング15を上下風向変更板10および上下風向案内板11に部分的に貼りつけたが、外周全体に貼りつけても良い。
【0049】
(実施の形態7)
図8は、本発明の実施の形態7における空気調和機の断面図である。この実施の形態の発明は、筐体内部に空気清浄ユニットを設けるとともに、上下風向変更板により吸い込み口の一部を閉じるようにした点が実施の形態1および4の発明と異なるだけで、それ以外の同一構成および作用効果を奏する部分には同一符号を付して詳細な説明を省略し、異なる点を中心に説明する。なお、実施の形態1で説明した上下風向変更板の駆動装置は図8に示すのを省略している。
【0050】
図8に示すように、16は吸い込み口3と熱交換器7の間に設けた空気清浄ユニットで、空気を通して空気中に浮遊している微細な埃を吸着し、空気を清浄化するものである。一方、実施の形態1で説明した上下風向変更板10は、空気清浄ユニット16を運転した時には吸い込み口3の一部を閉塞するものである。
【0051】
上記実施の形態において、クロスフローファン5を運転すると、空気は吸い込み口3よりフィルター6を介して吸引され空気清浄ユニット16を通って清浄化される。そして、清浄化された空気は、熱交換器7を経て吹き出し口4から吹き出される。
【0052】
この時に、吸い込み口3の一部が上下風向変更板10により閉塞されているので、空気清浄ユニット16への風量を増大させて清浄効果を促進させることができる。すなわち、空気清浄ユニット16を通過する風量が大きくなり、空気清浄の効果が増大する。
【0053】
(実施の形態8)
図9(a)は、本発明の実施の形態8における空気清浄ユニット体の正面図で、図9(b)は同空気清浄ユニット体の平面図で、図9(c)は同空気清浄ユニット体の側面図である。
【0054】
23は、実施の形態7の図8に示すように筐体1の吸い込み口3と熱交換器7の間に設けられるように形成した電気的な空気清浄ユニット体で、斜線部が空気の吸い込み口を示し、本体端部側で制御手段等が配置され空気の通らない一端部23aに、空気の通る複数の貫通孔17を設けている。
【0055】
上記実施の形態において、一般に電気空気清浄ユニットは、電極部分の空気を通さない固体部分および制御手段等が配置され空気の通らない端部が存在するため、この部分に空気の一部が当って偏流が生じ異常音が発生し易くなる。特に、空気の吸い込み口を空気が流れる間はよいが、フィルターにゴミが集積して高負荷になると、前記偏流による異常音が断続的になり、不快感を伴う異常音が著しくなる。
【0056】
然るに本実施の形態では、清浄化する空気の一部が当る空気清浄ユニット体23の一端部23aには複数の貫通孔17を設けているので、空気の一部が通り上記の偏流を抑制して異常音の発生を防止することができる。従って、この空気清浄ユニット体23を、実施の形態7の図8に示すように筐体1の吸い込み口3と熱交換器7の間に組込んだ空気調和機は、上記の偏流の起こらない静かな空調を行うことができる。
【0057】
なお、上記実施の形態では、清浄化されていない一部の空気が貫通孔17を通るが、その量は空気清浄の本来の目的と効果を損なわない程度に設定するものである。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の発明は、筐体外面に吸い込み口と吹き出し口を有する筐体と、この筐体内部に設けた熱交換器および前記吸い込み口から吸引し前記熱交換器で熱交換した空気を前記吹き出し口から流出させるクロスフローファンと、前記吹き出し口から流出する空気を上向き略水平方向または下方向へ吹き出させる上下風向変更板とを備え、前記上下風向変更板は前記吹き出し口から流出する空気を上向き略水平方向または下方向へ吹き出させるため、筐体外面に沿って上下方向へ摺動自在に設けたもので、上下風向変更板が筐体外面に沿って上方向へ摺動し吹き出し口の上部側にある場合は空気が下向き方向に流れ、上下風向変更板が吹き出し口の下部側にある場合は空気が上向き略水平方向に流れ、吹き出し方向を確実に制御することができる。
【0059】
請求項2に記載の発明は、吹き出し口に連続した筐体内の吹き出し通路の前記吹き出し口部分に、上向き空気流れ促進流路を形成したもので、吹き出し口から上向き略水平方向へ吹き出す空気を、上向き空気流れ促進流路により確実に上向き方向へ案内でき、かつ前記空気の上向き成分がより大きくなるため、より遠方まで空気を到達させることができる。また、吹き出し口が大きくなるため、風量性能を向上できる。
【0060】
請求項3に記載の発明は、上下風向変更板が有する駆動動力を伝達する動力伝達軸を、上向き空気流れ促進流路の構成体内に設けたもので、動力伝達軸による通風抵抗が解消され、風量性能の低下を防止できる。
【0061】
請求項4に記載の発明は、吹き出し口に連続した筐体内の吹き出し通路の前記吹き出し口部分に、回転自在な上下風向案内板を設けたもので、下向き方向および上向き略水平方向の流れの制御をより促進させることができる。
【0062】
請求項5に記載の発明は、上下風向案内板の回転軸を中心に前記上下風向案内板の略対向部分に丸棒を固定したもので、上下風向案内板のバランスを図り回転させるトルクを軽減できるとともに、下向き方向および上向き略水平方向へのいずれの流れの場合でも丸棒により通風抵抗を小さくできる。
【0063】
請求項6に記載の発明は、上下風向変更板の裏面、または上下風向案内板の裏面に、復元可能で、かつ不通気性の弾性体または吸水性物質体のパッキングを設けたもので、上下風向変更板と筐体外面の隙間、および上下風向案内板と筐体外面の隙間からの空気の漏れ流れを防止でき、吹き出し口からの空気流れの方向を確実に制御できる。また、冷房時において隘路の流れによる結露の発生を防止することができる。さらに、パッキングが吸水性物質であれば結露水を吸着することができるため、結露水の筐体からの落下を防止できる。
【0064】
請求項7に記載の発明は、筐体内部に空気清浄ユニットを設けるとともに、上下風向変更板により吸い込み口の一部を閉じるようにしたもので、空気清浄ユニットへの風量を増大させて清浄効果を促進させることができる。
【0065】
請求項8に記載の発明は、筐体に吸い込み口と熱交換器の間に位置して内装する空気清浄ユニット体を形成し、前記空気清浄ユニット体の一端部側に空気流通用の貫通孔を設けたもので、空気清浄ユニット体の高負荷時に貫通孔を空気流が側路し、断続的な異常音を抑制することができるとともに、筐体の吸い込み口と熱交換器の間に前記空気清浄ユニット体を組込んだ空気調和機は、上記した偏流の起こらない静かな空調を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における空気調和機の斜視図
【図2】(a)同空気調和機の上向き吹き出し時における図1のA−A断面図
(b)同空気調和機の下向き吹き出し時における図1のA−A断面図
(c)同空気調和機の上下風向変更板の駆動部分を示す断面図
【図3】本発明の実施の形態2における空気調和機の断面図
【図4】本発明の実施の形態3における空気調和機の断面図
【図5】(a)本発明の実施の形態4における空気調和機の下向き吹き出し時の断面図
(b)同空気調和機の上向き吹き出し時の断面図
【図6】本発明の実施の形態5における空気調和機の断面図
【図7】本発明の実施の形態6における空気調和機の断面図
【図8】本発明の実施の形態7における空気調和機の断面図
【図9】(a)本発明の実施の形態8における空気清浄ユニット体の正面図
(b)同空気清浄ユニット体の平面図
(c)同空気清浄ユニット体の側面図
【図10】(a)従来の空気調和機の吹き出し口における上向き吹き出し時の説明図
(b)同吹き出し口における下向き吹き出し時の説明図
【図11】他の従来の空気調和機における吹き出し口の下向き吹き出し時の説明図
【符号の説明】
1 筐体
2 吹き出し通路
3 吸い込み口
4 吹き出し口
5 クロスフローファン
7 熱交換器
10 上下風向変更板
11 上下風向案内板
12 丸棒
13 上向き空気流れ促進流路
13a カバー
14 動力伝達軸
15 パッキング
16 空気清浄ユニット
17 貫通孔
23 空気清浄ユニット体
23a 一端部

Claims (8)

  1. 筐体外面に吸い込み口と吹き出し口を有する筐体と、この筐体内部に設けた熱交換器および前記吸い込み口から吸引し前記熱交換器で熱交換した空気を前記吹き出し口から流出させるクロスフローファンと、前記吹き出し口から流出する空気を上向き略水平方向または下方向へ吹き出させる上下風向変更板とを備え、前記上下風向変更板は、空気を上向き略水平方向または下方向へ吹き出させるため、歯車と前記歯車により駆動されるベルトによって前記筐体の外面に沿って上下方向へ摺動自在に設けたことを特徴とする空気調和機。
  2. 吹き出し口は、この吹き出し口に連続した筐体内の吹き出し通路の前記吹き出し口部分に、上向き空気流れ促進流路を形成したことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
  3. 上下風向変更板は駆動動力を伝達する動力伝達軸を有し、この動力伝達軸を上向き空気流れ促進流路の構成体内に設けたことを特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
  4. 吹き出し口に連続した筐体内の吹き出し通路の前記吹き出し口部分に、回転自在な上下風向案内板を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の空気調和機。
  5. 上下風向案内板の回転軸近傍には前記回転軸周りの重量バランスが不均衡とならないように錘が設けられていることを特徴とする、請求項4に記載の空気調和機。
  6. 上下風向変更板または上下風向案内板の空気調和機筐体内部へ対向する面に、復元可能で、かつ前記上下風向変更板および上下風向案内板を閉じたときに空気調和機の筐体内部と外界を遮断するように不通気性の弾性体または吸水性物質体のパッキングを設けたことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の空気調和機。
  7. 筐体内部に空気清浄ユニットを設けるとともに、上下風向変更板により吸い込み口の一部を閉じるようにしたことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の空気調和機。
  8. 空気清浄ユニットは、空気調和機の吸い込み口と熱交換器の間に位置して内装し、前記空気清浄ユニット体の一端部側に空気流通用の貫通孔を設けたことを特徴とする、請求項7に記載の空気調和機。
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