JP3765741B2 - 排気浄化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンから排出されるパティキュレート(Particulate Matter:粒子状物質)は、炭素質から成る煤と、高沸点炭化水素成分から成るSOF分(Soluble Organic Fraction:可溶性有機成分)とを主成分とし、更に微量のサルフェート(ミスト状硫酸成分)を含んだ組成を成すものであるが、この種のパティキュレートの低減対策としては、排気ガスが流通する排気管の途中に、パティキュレートフィルタを装備することが従来より行われている。
【0003】
ここで、パティキュレートフィルタは、コージェライト等のセラミックから成る多孔質のハニカム構造となっており、格子状に区画された各流路の入口が交互に目封じされ、入口が目封じされていない流路については、その出口が目封じされるようになっており、各流路を区画する多孔質薄壁を透過した排気ガスのみが下流側へ排出されて、前記多孔質薄壁の内側表面にパティキュレートが捕集されるようにしてある。
【0004】
この種のパティキュレートフィルタを装備するにあたり、トラクタ等のホイールベースの短い車両の場合には、各種の補器類が既に緊密な状態でレイアウトされていて、これらの補器類との干渉を避けながら新たにパティキュレートフィルタの搭載スペースを確保することが難しいため、図8及び図9に示す如く、マフラ1にパティキュレートフィルタ2を内蔵させて、両者を同じ搭載スペースに効率良く配置できるようにしたものが提案されている。
【0005】
ここに図示している例では、箱形に形成されているマフラ1の外筒3内がセパレータ4,5,6により第一室7、第二室8、第三室9、後室10に四分割されており、第一室7と後室10との間に、円筒状のシェル11により外周部を抱持されたパティキュレートフィルタ2が配設されている。
【0006】
そして、図示しない上流側の排気管から排気ガス12を導き入れるための入口パイプ13が、マフラ1の外筒3の前面から二枚目のセパレータ5まで挿入されて先端を閉塞されており、前記入口パイプ13により導入された排気ガス12が、第一室7と第二室8とに対し散気孔13aを介して放出されるようになっている。
【0007】
ここで、第一室7と第二室8との間のセパレータ4には、パティキュレートフィルタ2の周囲を取り巻くように連通孔4a(図9参照)が開口されているので、第一室7と第二室8に導入された排気ガス12は、何れも第一室7からパティキュレートフィルタ2に流れ込むことになり、該パティキュレートフィルタ2を通過してパティキュレートを捕集された後に後室10に回収されることになる。
【0008】
また、後室10と第三室9との間のセパレータ6にもパティキュレートフィルタ2の周囲を取り巻くように連通孔6a(図9参照)が開口されているので、前記後室10に回収された排気ガス12は、前記セパレータ6の連通孔6aを介し第三室9に折り返されるようになっている。
【0009】
そして、パティキュレートフィルタ2により浄化された排気ガス12を排出するための出口パイプ14が、入口パイプ13と並列にマフラ1の外筒3の前面から第三室9まで挿入されて先端を開放されており、前記後室10から第三室9に折り返された排気ガス12が、前記出口パイプ14を介して図示しない下流側の排気管へと抜き出されるようになっている。
【0010】
尚、パティキュレートフィルタ2は、その入側端面と出側端面の外縁をシェル11内でエンドプレート15,16により掛止されて軸心方向への移動が拘束されるようになっていると共に、その外周面部分を金属線材を編み込んで成るネット材17により保持されるようになっており、このネット材の軸心方向中間位置にはシール材18が介装されて排気ガス12の迂回を阻止し得るようにしてある。
【0011】
而して、入口パイプ13から第一室7と第二室8に導入された排気ガス12は、何れも第一室7からパティキュレートフィルタ2に流れ込んでパティキュレートを捕集され、次いで、後室10を介し第三室9に折り返されて出口パイプ14から抜き出されることになり、他方、マフラ1内に入ってきた音波のエネルギーは、第一室7、第二室8、第三室9、後室10の夫々を膨張室として減衰されることになる(パティキュレートフィルタ2を通過することによる減衰効果も付加される)。
【0012】
ここで、パティキュレートフィルタ2の多孔質薄壁の内側表面に捕集されたパティキュレートは、排気温度の高い運転領域にて酸化触媒の助勢を受ける等して燃焼除去されるか、或いは、必要に応じて装備された電気ヒータ等の強制加熱手段により燃焼除去されることになるが、パティキュレートフィルタ2内には、パティキュレートのアッシュが徐々に溜まってくることが考えられ、パティキュレートフィルタ2に対し直接的にエア洗浄や水洗浄を行い得るようにすることが望まれている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図8及び図9の如き従来構造においては、パティキュレートフィルタ2を抱持しているシェル11がマフラ1の外筒3内に固定設置されており、しかも、このマフラ1の外筒3がパティキュレートフィルタ2の内蔵後に溶接で密閉されるようになっていたため、パティキュレートフィルタ2にアッシュが堆積してエア洗浄や水洗浄が必要になった際には、マフラ1全体を交換するしか術がなく、メンテナンスコストが高くつくという問題があった。
【0014】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、マフラの外筒内に収容させたパティキュレートフィルタに対し作業性良くエア洗浄や水洗浄を行い得るようにした排気浄化装置を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、マフラの外筒内にパティキュレートフィルタの収容空間を画定するアウタシェルを固定設置すると共に、パティキュレートフィルタをインナシェルで一体的に抱持することによりユニット化したフィルタカセットをアウタシェルに対し摺動自在に内嵌せしめ、このアウタシェルとフィルタカセットとの内嵌状態をロック手段により着脱可能に固定し、フィルタカセットをアウタシェルから抜脱して外部へ取り出すための取出口をマフラの外筒の適宜位置に開閉可能に構成した排気浄化装置であって、ロック手段が、パティキュレートフィルタのガス出口側となるインナシェルの一端部に設けられたフランジと、該フランジをマフラの外筒の適宜位置に締結する締結手段とにより構成され、フィルタカセットを外部へ取り出す取出口が、パティキュレートフィルタを通過した排気ガスをアウタシェルの外周空間へ折り返す後室形成蓋により閉塞されており、該後室形成蓋が前記インナシェルのフランジと一緒に締結手段により共締めされるように構成されていることを特徴とするものである。
【0016】
而して、このようにすれば、締結手段を緩めることにより後室形成蓋を取り外して取出口を開口した際に、同時にロック手段が解除されることになるので、直ちにアウタシェルからフィルタカセットを抜き出して作業性良くパティキュレートフィルタのエア洗浄や水洗浄を行うことが可能となり、パティキュレートフィルタに実際に付着しているアッシュに直接的にエアや水を吹き付けて確実に汚れを落とすことが可能となる。
【0019】
また、前述した如き後室形成蓋をインナシェルのフランジと一緒に締結手段で共締めする構造を採用した場合、インナシェルの反フランジ側の他端部にフィルタカセットの挿入方向へ向け縮径するテーパ部が形成され、該テーパ部に対応する位置におけるアウタシェルの内周面に前記テーパ部に沿うテーパ形状を付したエンドプレートが配設され、該エンドプレートが弾性変位して前記テーパ部に圧接するようにフィルタカセットがアウタシェルに内嵌されていることが好ましい。
【0020】
このようにすれば、インナシェルの外周面とアウタシェルの内周面との間にマット材等を充填しなくても、インナシェルの反フランジ側の他端部がエンドプレートにより良好に弾性支持されることになり、また、インナシェルの外周面とアウタシェルの内周面との間にマット材を充填した場合であっても、該マット材が排気ガスの流れに晒されて飛散してしまう虞れを未然に回避することが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0023】
図1〜図7は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図8及び図9と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0024】
図1に示す如く、本形態例の排気浄化装置においては、マフラ1の外筒3内にパティキュレートフィルタ2の収容空間を画定するアウタシェル21を固定設置すると共に、パティキュレートフィルタ2をインナシェル19で一体的に抱持することによりユニット化したフィルタカセット20を前記アウタシェル21に対し摺動自在に内嵌せしめ、このアウタシェル21とフィルタカセット20との内嵌状態をロック手段22により着脱可能に固定し、フィルタカセット20をアウタシェル21から抜脱して外部へ取り出すための取出口23をマフラ1の外筒の適宜位置に開閉可能に構成するようにしてある。
【0025】
より具体的には、図2に拡大して示す如く、ロック手段22が、パティキュレートフィルタ2のガス出口側となるインナシェル19の一端部に設けられたフランジ24と、該フランジ24をマフラ1の外筒の適宜位置に締結するボルト25及びナット26(締結手段)とにより構成され、また、フィルタカセット20を外部へ取り出す取出口23が、パティキュレートフィルタ2を通過した排気ガス12を第三室9(アウタシェル21の外周空間)へ折り返す後室形成蓋27により閉塞されており、該後室形成蓋27が前記インナシェル19のフランジ24と一緒にボルト25及びナット26により共締めされるようになっている。尚、図2中における28,29はガスケットを示している。
【0026】
そして、この後室形成蓋27の内側には、パティキュレートフィルタ2を通過した排気ガス12を回収する後室30が形成され、この後室30が、図3に示す如き第三室9の後面を成すセパレータ6の連通孔6aを介して第三室9と連通するようになっている。
【0027】
つまり、図4に示す如く、円形のパティキュレートフィルタ2の出側端面に対し後室形成蓋27は矩形状を呈しており、その内側に形成される後室30の四隅が各連通孔6aを被覆するようになっているので、前記後室30に回収された排気ガス12は、前記セパレータ6の連通孔6aを介し第三室9に折り返されるようになっている。
【0028】
尚、図5に示す如く、インナシェル19のフランジ24も矩形状を呈し且つ前記各連通孔6aと合致する連通孔24aを有しているので、先の図2のように、このインナシェル19のフランジ24を挟んで前記セパレータ6と前記後室形成蓋27の外縁部分とをガスケット28,29を介し重ね合わせ、これらの各連通孔6a,24aに干渉しない位置をボルト25及びナット26(ナット26はセパレータ6の第三室9側の面に溶接されている)により締結するようにしている。
【0029】
また、本形態例においては、図6に拡大して示す如く、パティキュレートフィルタ2の外周面とインナシェル19の内周面との間に、ステンレス等の金属線材を編み込んで成るネット材17が介装されていると共に、インナシェル19の反フランジ24側の外周面とアウタシェル21の内周面との間に、セラミックスファイバー等の耐熱繊維から成るマット材31が介装されている。
【0030】
ただし、この部分の構造については、図7に示す如く、インナシェル19の反フランジ24側の他端部にフィルタカセット20の挿入方向(図7中における左方向)へ向け縮径するテーパ部32を形成すると共に、該テーパ部32に対応する位置におけるアウタシェル21の内周面に前記テーパ部32に沿うテーパ形状を付したエンドプレート33を配設するようにして、該エンドプレート33が弾性変位して前記テーパ部32に圧接するようにフィルタカセット20をアウタシェル21に内嵌されるようにしても良く、このようにした場合には、インナシェル19の反フランジ24側の外周面とアウタシェル21の内周面との間にマット材31を介装しなくても良い(マット材31を介装することも可能)。
【0031】
而して、以上のように本形態例の排気浄化装置を構成すれば、締結手段であるボルト25を緩めて後室形成蓋27を取り外すことによりマフラ1の外筒3の取出口23を開け且つロック手段22を解除し、図5に示す如く、アウタシェル21からフィルタカセット20を抜き出して作業性良くパティキュレートフィルタ2のエア洗浄や水洗浄を行うことが可能となり、パティキュレートフィルタ2に実際に付着しているアッシュに直接的にエアや水を吹き付けて確実に汚れを落とすことが可能となる。
【0032】
従って、上記形態例によれば、後室形成蓋27を取り外して取出口23を開口することによりロック手段22を同時に解除することができ、直ちにアウタシェル21からフィルタカセット20を抜き出して作業性良くパティキュレートフィルタ2のエア洗浄や水洗浄を行うことができるので、マフラ1全体を交換することなくパティキュレートフィルタ2の再生化を図ることができ、パティキュレートフィルタ2のメンテナンスコストを安価に抑えることができる。
【0034】
更に、図6に示す如く、パティキュレートフィルタ2の外周面とインナシェル19の内周面との間にネット材17を介装し、インナシェル19の反フランジ24側の外周面とアウタシェル21の内周面との間にマット材31を介装するようにすれば、パティキュレートフィルタ2に対する排気ガス12の迂回を阻止しつつ、フィルタカセット20をガタつかないよう良好に保持することができる。
【0035】
他方、図7に示す如く、インナシェル19の反フランジ24側の他端部にテーパ部32を形成し、該テーパ部32に対応する位置におけるアウタシェル21の内周面に前記テーパ部32に沿うテーパ形状を付したエンドプレート33を配設するようにすれば、インナシェル19の外周面とアウタシェル21の内周面との間にマット材31等を充填しなくても、インナシェル19の反フランジ24側の他端部をエンドプレート33により良好に弾性支持することができ、また、インナシェル19の外周面とアウタシェル21の内周面との間にマット材31を充填した場合であっても、該マット材31が排気ガス12の流れに晒されて飛散してしまう虞れを未然に回避することができる。
【0036】
尚、本発明の排気浄化装置は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、パティキュレートフィルタの外周面とインナシェルの内周面との間へのネット材の介装や、インナシェルの外周面とアウタシェルの内周面との間へのマット材の介装は必要に応じて行えば良いこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0037】
【発明の効果】
上記した本発明の排気浄化装置によれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。
【0038】
(I)本発明の請求項1に記載の発明によれば、後室形成蓋を取り外して取出口を開口することによりロック手段を同時に解除することができ、直ちにアウタシェルからフィルタカセットを抜き出して作業性良くパティキュレートフィルタのエア洗浄や水洗浄を行うことができるので、マフラ全体を交換することなくパティキュレートフィルタの再生化を図ることができ、パティキュレートフィルタのメンテナンスコストを安価に抑えることができる。
【0040】
II)本発明の請求項に記載の発明によれば、インナシェルの外周面とアウタシェルの内周面との間にマット材等を充填しなくても、インナシェルの反フランジ側の他端部をエンドプレートにより良好に弾性支持することができ、また、インナシェルの外周面とアウタシェルの内周面との間にマット材を充填した場合であっても、該マット材が排気ガスの流れに晒されて飛散してしまう虞れを未然に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する形態の一例を示す断面図である。
【図2】図1のII部分の詳細を示す拡大図である。
【図3】図1のマフラを斜め前方から見た斜視図である。
【図4】図1のマフラを斜め後方から見た斜視図である。
【図5】図4の後室形成蓋を取り外した状態を示す斜視図である。
【図6】図1のVI部分の詳細を示す拡大図である。
【図7】図6の構造についての別の例を示す拡大図である。
【図8】従来例を示す断面図である。
【図9】図8のIX−IX方向の矢視図である。
【符号の説明】
1 マフラ
2 パティキュレートフィルタ
3 外筒
12 排気ガス
17 ネット材
19 インナシェル
20 フィルタカセット
21 アウタシェル
22 ロック手段
23 取出口
24 フランジ
25 ボルト(締結手段)
26 ナット(締結手段)
27 後室形成蓋
31 マット材
32 テーパ部
33 エンドプレート

Claims (2)

  1. マフラの外筒内にパティキュレートフィルタの収容空間を画定するアウタシェルを固定設置すると共に、パティキュレートフィルタをインナシェルで一体的に抱持することによりユニット化したフィルタカセットをアウタシェルに対し摺動自在に内嵌せしめ、このアウタシェルとフィルタカセットとの内嵌状態をロック手段により着脱可能に固定し、フィルタカセットをアウタシェルから抜脱して外部へ取り出すための取出口をマフラの外筒の適宜位置に開閉可能に構成した排気浄化装置であって、ロック手段が、パティキュレートフィルタのガス出口側となるインナシェルの一端部に設けられたフランジと、該フランジをマフラの外筒の適宜位置に締結する締結手段とにより構成され、フィルタカセットを外部へ取り出す取出口が、パティキュレートフィルタを通過した排気ガスをアウタシェルの外周空間へ折り返す後室形成蓋により閉塞されており、該後室形成蓋が前記インナシェルのフランジと一緒に締結手段により共締めされるように構成されていることを特徴とする排気浄化装置。
  2. インナシェルの反フランジ側の他端部にフィルタカセットの挿入方向へ向け縮径するテーパ部が形成され、該テーパ部に対応する位置におけるアウタシェルの内周面に前記テーパ部に沿うテーパ形状を付したエンドプレートが配設されており、該エンドプレートが弾性変位して前記テーパ部に圧接するようにフィルタカセットがアウタシェルに内嵌されていることを特徴とする請求項に記載の排気浄化装置。
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