JP3765733B2 - スライド扉式収納棚 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はスライド扉式収納棚に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の収納棚としては、前面に開口部を有する収納棚本体の、開口部の両側に設けられたヒンジ等により、2枚の扉を両開き状態(観音開き)に開閉するものや、図13に示すように、スライド式の扉であっても、収納扉本体の開口部48の内面側にレール47,47を2条設け、夫々にスライド扉46,46を設けているインセット型のものが広く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
扉が両開きする収納棚は、開閉の際、扉の手前側に広大なスペースを必ず必要とするという欠点がある。この収納棚内部に引出しを設け、その引出しを引き出す際、開口部両側に設けられる開閉用ヒンジ又は開いた扉自身が邪魔で、引出す動作の作業性を悪くしたり、また、その作業性を確保するために、引出し幅寸法を小さく設定するか、開口部両側にスペースを設けていた。しかし、この無駄なスペースは、収納棚本体の寸法を大きくし、さらに大きな収納棚の設置スペースを必要としていた。
【0004】
図13に示すスライド式の扉としても、2条のレール47,47に夫々スライド扉46,46を設けると、収納棚の有効利用できる奥行きfが減少してしまう。また、扉46,46の内の一方又は他方を開けたとき、開口部48の中央部は、左右の扉46,46がラップ部wを有するため完全な半開状態(50%開)とならないため、収納棚内部に引出しを設けた場合、その引出しの幅寸法が制限され、棚内部の全幅が有効利用されないという問題点がある。
【0005】
そこで本発明は、奥行き・開口幅寸法が有効利用でき、かつ、収納棚内部を幅方向に有効利用できる個別の収納部を有するスライド扉式収納棚を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に係るスライド扉式収納棚は、前面に開口部を有する収納棚本体の該開口部の外面に、該収納棚本体からガイド手段により支持された少なくとも1枚以上の左右にスライド可能なスライド扉を設け、該収納棚本体の内部に個別収納体を手前引出し自在に設けたものである。
【0007】
また、上記スライド扉が、左右2枚の左スライド扉と右スライド扉から成り、全閉状態で該左スライド扉と該右スライド扉とが同一鉛直平面状に位置し、かつ、上記ガイド手段は、上記左右スライド扉の内の一方を開くとき一旦手前に引き出してから幅方向へスライドして、全開状態で上記左右スライド扉の内の他方の外面に重なるように開閉ガイドするものである。
【0008】
また、上記2枚の左スライド扉と右スライド扉夫々が、上記収納棚本体の全幅の1/2の幅寸法を有し、上記左右スライド扉の内の一方を全開状態としたとき、該左右スライド扉の内の他方の外面に完全に重なるよう構成したものである。
【0009】
また、上記個別収納体が上記収納棚本体の上部で、上記収納棚本体の全幅の略1/2の幅寸法を有する引下げ個別収納部と、該引下げ個別収納部を所定位置から引き出して下方作業位置まで引き下ろすよう構成した引下げ手段と、を備えたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図示の実施の形態に基づき、本発明を詳説する。
【0011】
本発明によるスライド扉式収納棚は、スライド式のスライド扉3を有する収納棚であり、特に台所やリビングで使用される収納棚である。以下、台所で使用される収納棚を例に挙げて説明をする。
【0012】
図1の正面図、図2の平面断面図に示すように、前面に開口部2を有する収納棚本体1の開口部2の外面2a側(前面側)に、同一鉛直平面状に、収納棚本体1からガイド手段Gにより支持された少なくとも1枚以上のスライド可能なスライド扉3(本発明では左スライド扉3′及び右スライド扉3″の2枚)が設置されている。つまり、平面視スライド扉3′,3″は収納棚本体1の外側(アウトセット)に、段差を有さず同一鉛直平面で全閉状態となるものである。また、収納棚本体1の開口部2の上縁及び下縁に平面仕切り板6,6が配置され、この仕切り板6,6の間が収納棚の収納部を構成するものである。
【0013】
ガイド手段Gの構成は後で詳説するが、ガイド手段Gは、左右スライド扉3′,3″の内の一方(図2では左スライド扉3′)を開くとき、一旦手前に引き出してから幅方向(スライド方向S)へスライドして、全開状態となったとき左右スライド扉3′,3″の内の他方(図3では右スライド扉3″)の外面に重なるように開閉ガイドするものである。
【0014】
また、左右2枚の左スライド扉3′と右スライド扉3″夫々は、収納棚本体1の全幅Wの1/2の幅寸法(W/2)を有するものであり、左右スライド扉3′,3″の内の一方を全開状態としたとき、図3のように、左右スライド扉3′,3″の内の他方の外面に完全に重なるよう構成したものである。
【0015】
スライド扉式収納棚の内部の収納部は、食品収納部(パントリー)、食器収納部、固定棚部等の、大きさや開閉(引出し)手段の異なる複数の部分棚からなる個別収納体26を構成している。図4,図5に示すスライド扉3を取り外した状態の正面図、側部断面図に示すように、個別収納体26には、手前側(外面2a側)に引き出し自在の収納部として、引下げ個別収納部27及び引出し個別収納部28を備え、一部固定式の収納部として固定棚収納部29を備える。
【0016】
図4に示すように、本発明においては、収納棚本体1の上方左右に2つの引下げ個別収納部27が設置されている。この引下げ個別収納部27の設置数は収納棚本体1の片側に1つ又は(図4の)左右に2つ等の組み合わせとし、収納棚本体1の側壁1a内面側又は中間板柱8の側面に、引下げ手段Hを備え、配置されている。引下げ個別収納部27の幅寸法は、収納棚本体1の全幅の略1/2を有したものである。
【0017】
引下げ個別収納部27の、略1/2の幅寸法とは、以下のとおり説明する。上述のとおり、左右2枚のスライド扉3′,3″夫々が、収納棚本体1の全幅Wの1/2の幅寸法(W/2)を有し、左右スライド扉3′,3″の内の一方を全開状態としたとき、左右スライド扉3′,3″の内の他方の外面に完全に重なるよう構成したものであるため、左右スライド扉3′,3″の内の一方を全開状態としたとき、収納棚本体1の開口部2の開口幅は、開口部2の全幅を100 %としたとき50%を有することができる。従って、引下げ個別収納部27は、この50%の開口幅全てを有効に使用できる幅を有するものである。ただし、上記のとおり収納棚本体1に中間板柱8を備えるため、厳密には開口部2の全幅を100 %に対して50%の幅は所有できず、即ち、略1/2(略50%)の幅寸法としている。
【0018】
図5に示すように、引下げ個別収納部27にある収納部本体30を収納棚本体1に保持させる引下げ手段Hは、収納部本体30を、所定位置Aから引き出して所定の下方作業位置Bまで引き下ろすものである。所定位置Aとは、収納棚本体1の内部に収納された位置(保管状態)であり、下方作業位置Bとは、収納部本体30を収納棚本体1内部から、手前に引き出して下方へ下げ降ろし、引き下げ出された位置(使用状態)である。
【0019】
引下げ手段Hは、図7の引下げ個別収納部27の側面図に示すように、収納部本体30の上方後部に取着された揺動プレート31と、収納棚本体1に取着された支点プレート32と、幅方向の水平軸心廻りに揺動可能な支点アーム33と保持アーム34とを備える。詳しくは、支点アーム33の両端部は、支点プレート32で第1水平軸心aと揺動プレート31の第2水平軸心b廻りに揺動可能に枢着され、保持アーム34の一端部34aは支点プレート32の第3水平軸心c廻りに回動可能に弾発手段を備えて枢着されたディスクダンパー35の外周部にある第5水平軸心e廻りに揺動可能に枢着され、保持アーム34の他端部34bは揺動プレート31の第4水平軸心d廻りに揺動可能に枢着され揺動機構を構成している。
【0020】
ディスクダンパー35は、ディスクダンパー35の外周部にある取付部36の第5水平軸心eを、第3水平軸心c廻りに回動可能に枢着するものであり、かつ、取付部36を2箇所の所定回転位置(所定円周方向位置)に於いて、図示省略のディスクダンパー35に内蔵された弾発部材により、円周方向の位置保持を行うとともに、その保持の解除がディスクダンパー35の回動により自動で行えるよう構成されたものである。
【0021】
引下げ手段Hは、図7(a)のように収納部本体30を所定位置Aに保持し、また、図7(b)のように収納部本体30を収納棚本体1の前面下方へ突設状となるよう下方作業位置Bに張出し、また、その切替え動作を容易に行わせることが可能である。従って、図6に示すように、収納部本体30は、第1水平軸心を中心として下方へ揺動移動し、収納棚本体1から片側2本のアーム33,34により片持ち状に引き出され、背の高い収納棚本体1であっても、引下げ個別収納部27の収納物は、下方位置で出し入れ可能となるものである。
【0022】
引下げ手段Hは収納部本体30の左右両側に備えられ、両側の支点アーム33,33同士は、図示省略の連結部材により連結固定され、左右の引下げ手段H,Hは、同期揺動運動を行うよう構成されている。引き出された収納部本体30は、図7(b)に示す1点鎖線のように、図示省略のガイドレールにより、更に下方へスライド移動することで、ディスクダンパー35による収納部本体30の所定位置Aへの戻り(誤操作)を防ぐことができるロック機構を有する。
【0023】
引下げ手段Hは、引下げ個別収納部27(収納部本体30)を揺動運動により同時に、引き出して下げることとしたが、別の構成として、一旦、収納部本体30を手前側に引き出して、その後、降下させるよう連続して行うようガイドしてもよい。
【0024】
次に、引出し個別収納部28は、図4に示すように、収納棚本体1の内部に複数設置されている。この引出し個別収納部28の設置数は縦に1列又は左右に2列等とし、収納棚本体1の側壁1a内面側又は中間板柱8の側面に引出し手段Iにより保持されている。引出し個別収納部28の幅寸法は、収納棚本体1の全幅Wの略1/2(W/2)有したものである。
【0025】
引出し個別収納部28の、略1/2の幅寸法とは、上記引下げ個別収納部27と同様で、収納棚本体1の開口部2の開口全幅の100 %のうち、50%の開口幅全てを有効に使用できる幅とするものである。
【0026】
引出し個別収納部28の収納部本体37を、収納棚本体1に保持させる引出し手段Iは、引出し個別収納部28を、保管位置から前面引出し位置にスライド移動させるものであり、そのスライド移動量は、図6に示すように、収納部本体37が完全に、収納棚本体1から、搬出(引出)されるまでのものである。即ち、収納部本体37の上方開口部は陰になることがなく100 %開放されるものである。従って、図6の2点鎖線で示したように、この収納部本体37の奥側に、皿38などを収納し、出し入れする際に於ても、垂直方向に出し入れが可能であり、それ故、奥側にも、その皿38を保持ガイドして鉛直方向の高い位置(有効高さ一杯)まで収納が可能となる。
【0027】
次に、スライド扉3を支持するガイド手段Gは、収納棚本体1の上縁及び下縁の平面仕切り板6,6の上方側及び下方側にそれぞれ同じ構成を有し、スライド扉3′,3″を介して同じ動き(働き)をするものである。つまり、上方と下方のガイド手段Gは同調しスライド扉3′,3″をスライド方向S向きに開閉操作を行うものである。
【0028】
このガイド手段Gは、収納棚の上部及び下部にそれぞれ同じ構成を有するため、以下に於いて上部のものについて説明する。
【0029】
図8に示すように、収納棚本体1の上縁の平面仕切り板6の上部に、1条の台車レール23を収納棚幅方向全長に渡って設ける。(ちなみに、下部の場合は下縁の平面仕切り板6の下部に1条の台車レール23を設け、以下は同様である。)そして、この台車レール23には、この台車レール23の略1/4の長さの左右スライド扉3′,3″用の2台の台車21,21を設ける。この台車21,21は、図10に示すように、台車本体21aとこれに固定される台車連結板21bと転がりローラ21cからなり、この台車連結板21bにリンク機構Lが装着されている。このリンク機構Lは、台車21,21が一方と他方で左右反対勝手となるよう構成する。即ち、左スライド扉3′のリンク機構Lと右スライド扉3″のリンク機構Lは、収納棚の中心に対して、左右対称(鏡像)となるものである。
【0030】
図8に示すように、リンク機構Lは、同期バー11と2枚の揺動板12,12とを具備し、夫々の揺動板12,12が上記台車21の台車連結板21bと第1軸14,14に於いて回動可能に枢着されている。そして、この2枚の揺動板12,12には、スライド扉3及び同期バー11が、第2軸15,15、第3軸16,16により揺動自在に枢着されている。また、この2枚の揺動板12,12は同一形状であり、第1軸14,14、第2軸15,15及び第3軸16,16の位置も夫々同一であるため、第3軸16,16に枢着された同期バー11により、同一の揺動運動Rを行う(同調する)ものである。
【0031】
しかして、第2軸15,15に枢着されたスライド扉3は、同期バー11を対辺とする平行四辺形を揺動板12,12を介して形成する形であり、第1軸14,14を夫々中心とする、揺動運動Rを行うものとなる。つまり、第2軸15,15及び第3軸16,16が常に平行四辺形の配置となるようリンク機構Lが形成されている。
【0032】
そして、このスライド扉3は、収納棚本体1に対して、全閉状態で2枚の揺動板12,12の夫々の第2軸15,15が、第1軸14,14より外側に、且つ、それらが(開口部2に平行の)一直線状に位置するよう構成する。
【0033】
この左スライド扉3′の開操作は、全閉状態の図8から、スライド扉3′の取手5によりスライド扉3′を一旦手前へ引き出す時、図9に示すようにスライド扉3′は収納棚本体1に対して揺動運動Rを行い、開口部2の外面2aに対して平行となる。これは上記リンク機構Lが常に平行四辺形状を構成して、台車レール23上の台車21に揺動自在に枢着されているからである。また、この時、スライド扉3′は収納棚本体1(台車21上)より(上部下部合わせて)4枚の揺動板12が片持ち状態で支持される状態となる。
【0034】
次に、この左スライド扉3′のスライド操作は、図2と図9に示す手前引き出し状態のスライド扉3′を、スライド方向Sへ取手5によりスライドさせる。この時、スライド扉3′に連結したリンク機構Lを介して台車21がスライド方向Sへローラ21cによりスムーズに移動が行われる。そして、図3に示すように、左スライド扉3′は右スライド扉3″の前面側に重なるよう位置し、左半分の収納部が開かれる。また、右スライド扉3″をスライド操作させる操作は、上記と同様に行う。
【0035】
この時、台車21の全長は、台車レール23の略1/4の長さ、つまり、スライド扉3′,3″の1/2の長さしかなく、夫々が、両外側にスライド扉3′,3″に取り付けられているため、1条の台車レール23に左右夫々のスライド扉3′,3″用の台車21が走行しても、スライド扉3′,3″のうちの片方を開状態とするとき、台車21,21同士が干渉して途中の開度までしか開かなくなることを防ぐものである。つまり、全閉状態で開口部2の外面2a側(前面側)の同一平面状に、左スライド扉3′及び右スライド扉3″が配置されており、上記の手前引き出し状態における開閉機構を有することにより、開口部2の100 %に対して、左右両側とも丁度50%・50%の開度(開口幅)を得ることができる。即ち、スライド扉3′,3″の内の一方を完全に開いた全開状態で、その外側と内側のスライド扉3′,3″が、正面視、完全に重なる状態となる。
【0036】
また、上記台車21,21の長さは、台車レール23の略1/4以下の長さ(スライド扉3′,3″の1/2以下の長さ)であってもよい。しかし、あまり短すぎると、スライド扉3′,3″が重厚な場合、多少不安定となる恐れがある。また、この台車21,21の長さは、図3に示すように、丁度スライド扉3′,3″の一方が50%開度のときの台車21の位置が、他方の閉じた状態のスライド扉3′,3″の台車21と接触する位置に設定されている。つまり、スライド扉3′,3″を必要以上に開けることを防ぐことができる。
【0037】
上記示したガイド手段Gにより、収納棚本体1の開口部2後方側(内面側)に、スライド扉3′,3″のレール及び、スライド扉3′,3″自身を有さないため、収納棚本体1の奥行きを減少させることがない。また、このスライド扉3′,3″は夫々、全開口幅の50%ずつ開口可能であるため、収納部内に全幅の50%の幅を有し手前に引き出す引出し、即ち、上述した引下げ個別収納部27及び引出し個別収納部28を設けても、開閉が容易に可能なものとすることができる。これは、従来の図13に示すように、扉46同士にラップ部wがあると、丁度50%開口の構成が不可能なものであったが、本発明により可能とすることができる。
【0038】
また、図8と図9に示すように、リンク機構Lの2枚の揺動板12,12の内の内側の揺動板12の第1軸14と、外側の揺動板12の第1軸14より外側・後方側に設けたピン17とに、引張弾性体13を張設する。
【0039】
これにより、図8の閉状態に於いて、スライド扉3′,3″が図9の手前引き出し状態となる前の(弾性体13が外側の揺動板12の第1軸より平面視後方に位置する)状態であれば、自動的にスライド扉3′,3″は全閉状態となる。この弾発付勢の作用により、スライド扉3′,3″は全閉状態を保持し続け、収納棚本体1に取り付けたパッキン7を押圧して気密性を常に保持し、機能を高めることができる。
【0040】
そして、次に、この弾性体13の引張力に対抗して、図9の一旦開いた状態に於いて、この弾性体13の引張力は、このスライド扉3′,3″を開ける方向へ付勢する働きを有する。そして、後述する保持ローラ18及び保持ローラレール19とにより、前面側のスライド扉3′,3″は他方に干渉することなく、この引き出し状態を保つことができる。
【0041】
次に、図10と図11に示すように、上記リンク機構Lを構成する揺動板12,12の内の少なくとも片側に、保持ローラ18を鉛直軸心廻りに回転自在に設ける。また、保持ローラ18を誘導する保持ローラレール19を収納棚本体1に設け、保持ローラレール19はスライド扉3′,3″が全閉状態から一旦手前に引き出される時の保持ローラ18の揺動軌道部と、スライド扉3′,3″をスライドさせる時揺動板12が揺動しないよう誘導するスライド扉3′,3″のスライド方向Sの直線軌道部とを有するものである。
【0042】
具体的に説明すると、保持ローラ18は、スライド扉3′,3″が全閉状態で第1軸14を通り、上記スライド方向Sに平行な直線上で且つ第1軸14より外側に、揺動板12に垂下する軸に設けられる。(本発明に於いては、外側の揺動板12に保持ローラ18を設ける。)
【0043】
また、保持ローラレール19は、リンク機構Lによる左スライド扉3′の揺動運動Rにより、左スライド扉3′が全閉状態から、図12に示すように、一旦手前に引き出した状態となる時の、この保持ローラ18の揺動軌道Mに対応して、平面仕切り板6上に円弧形状で設ける。そして、その延長に、スライド方向Sと平行となるよう連通しており、その後、右スライド扉3″に設けた保持ローラ18のリンク機構Lによる揺動運動Rの揺動軌道Mに対応するよう連通している。即ち、この保持ローラレール19は、左右のスライド扉3′,3″の保持ローラ18,18に共通の1条のレールであり、その両端がリンク機構Lの揺動運動Rに対応する曲線レール形状を有している。
【0044】
これにより、スライド扉3′,3″が、全閉状態から一旦手前に引き出された状態となる揺動運動Rを行い、他方側のスライド扉3′,3″へ重なるよう移動する時、この保持ローラ18も、収納棚本体1の開口部2と台車レール23の間の保持ローラレールを走行する。つまり、スライド扉3′,3″を引き出した状態でスライドするとき、引き出されたスライド扉3′,3″の後方側への移動を防止(後方のスライド扉3′,3″との干渉を防止)し、スライド扉3′,3″を安定させて支持しスムーズに開閉操作することが可能となる。
【0045】
また、この保持ローラレール19の断面形状は、図10に示すように、保持ローラ18の(断面)形状と対応するよう構成されている。つまり、1つのローラ面のみが保持ローラレール19と接触するだけではなく、2つのローラ面とローラ面に垂直な方向にもガイドしている。また、台車21のローラ21cも、図10に示すように、スライド方向Sに対して垂直な断面に、鉛直及び水平方向向きのローラ21cを有し、夫々のローラ21cの2面が台車レール23にてガイドされている。これにより、スライド扉3′,3″の支点(台車21及び保持ローラ18)が、スライド扉3′,3″の重心上にないため、スライド扉3′,3″が回転(倒伏)する方向に力が作用するが、がたつきが無く、且つ、スムーズに開閉を行うことが可能となる。つまり、収納棚本体1の前後方向にレール19,23を有するため、スライド扉3′,3″が引き出し状態となっても、スライド扉3′,3″を強固に支持することができ、滑らかに各ローラ18,21cを回動させることができる。
【0046】
また、スライド扉3′,3″が全閉状態のとき、この保持ローラ18とその位置に対応した保持ローラレール19により、その状態を保持することができる。つまり、逆にこの保持ローラ18及び保持ローラレール19がない場合、後方の台車21は常に自由に移動可能な状態であるため、スライド扉3′,3″の内の一方が開いているとき、他方(内側)のスライド扉3′,3″が閉じたそのままの姿勢で(開口部2に摺接して)、台車21により移動してしまう。つまり、この保持ローラレール19は、閉状態に於いては左右方向、開状態に於いては、前後方向の移動(がたつき)を防ぐものである。即ち、この保持ローラレール19により、このスライド扉3′,3″は一旦引き出した状態でないと、スライドして開くことはできないものとすることができる。
【0047】
また、収納棚の下部側に設けられる、このガイド手段Gは、上記説明したものと同じ構成としてもよいが、図示省略するが、台車21部を簡略化したものとしてもよい。つまり、図10における、台車21の内、台車本体21aを無くし、台車連結板21bをL字型に折り曲げ、この台車連結板21bに直接ローラ21cを取付け(この場合は、平面方向のローラ21cは無し)ても良いものとする。
【0048】
なお、図例では、個別収納体26としては、一部手前へ引出ししない固定棚収納部29…が存在する場合を例示したが、個別収納体26の全てを、手前へ引出し自在とするも、自由である。
【0049】
【発明の効果】
本発明は上述の構成により次のような効果を奏する。
【0050】
(請求項1によれば)扉を開閉する際、手前側に開閉スペースを必要とせず、また、収納棚の有効利用できる奥行きを減少させることがない。そして、スライド扉3の内側の個別収納体26には、収納目的が異なる様々な物品を、奥行き寸法を充分有効利用して収納可能とすることができる。かつ、この個別収納体26は、手前へ引出し自在であるので、物品の出し入れが容易かつスムーズである。
【0051】
さらに、スライド扉3′,3″は鉛直面同一平面上に配置されるため、収納棚全体の厚さを薄くすることができる。スライド扉3′,3″の開閉を、扉同士や扉を収納棚本体1にぶつけたりすることがなく、確実にスムーズに行うことができる。
【0052】
さらに、スライド扉3′,3″の開閉を、確実にスムーズに行うことができる。また、収納棚の開口部2を、左右夫々完全に50%半開状態にさせ、収納部を合計100 %有効に開口させることができ、収納物の取り出しを非常に容易にすることができる。特に、個別収納体26をスライド扉3′,3″に干渉することなく、手前へスムーズに引き出すことを実現している。
【0053】
さらに、スライド扉3を開状態としたとき、開口部2の全幅100 %(W)のうちの50%の幅(W/2)を有する引出し操作が容易な、個別収納部を構成することができ、収納棚本体1の幅を100 %有効利用可能とし、引出し操作のため不要に収納庫本体1を大きくしたり、個別収納部の幅寸法を小さくしたりする必要がなくなる。また、収納棚本体1の背が高くても、幅広の引下げ個別収納部27を下方へ引出し可能となり、収納性の極めて高い収納棚とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す正面図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】スライド扉が開いた状態の断面図である。
【図4】スライド扉を取り除いた状態の正面図である。
【図5】スライド扉を取り除いた状態の側部断面図である。
【図6】スライド扉を取り除いた他の状態の側部断面図である。
【図7】引下げ個別収納部の側面図である。
【図8】ガイド手段の要部平面図である。
【図9】ガイド手段の他の状態の要部平面図である。
【図10】ガイド手段の側部断面図である。
【図11】ガイド手段の要部を説明する平面図である。
【図12】ガイド手段の要部の別の状態を説明する平面図である。
【図13】従来の収納棚の図である。
【符号の説明】
1 収納棚本体
2 開口部
2a 外面
3 スライド扉
3′ 左スライド扉
3″ 右スライド扉
26 個別収納体
27 引下げ個別収納部
A 所定位置
B 下方作業位置
G ガイド手段
H 引下げ手段
Claims (1)
- 前面に開口部(2)を有する収納棚本体(1)の該開口部(2)の外面(2a)に、該収納棚本体(1)からガイド手段(G)により支持された左右にスライド可能なスライド扉(3)を設け、該収納棚本体(1)の内部に個別収納体(26)を手前引出し自在に設け、上記スライド扉(3)が、左右2枚の左スライド扉(3′)と右スライド扉(3″)から成り、全閉状態で該左スライド扉(3′)と該右スライド扉(3″)とが同一鉛直平面状に位置し、かつ、上記ガイド手段(G)は、上記左右スライド扉(3′)(3″)の内の一方を開くとき一旦手前に引き出してから幅方向へスライドして、全開状態で上記左右スライド扉(3′)(3″)の内の他方の外面に重なるように開閉ガイドし、かつ、左右スライド扉(3′ )( 3″)の内の他方を開くとき一旦手前に引き出してから幅方向へスライドして、全開状態で左右スライド扉(3′ )( 3″)の内の一方の外面に重なるように開閉ガイドするようにし、上記左スライド扉(3′)と右スライド扉(3″)夫々が、上記収納棚本体(1)の全幅の1/2の幅寸法を有し、上記左右スライド扉(3′ )( 3″)の内の一方を全開状態としたとき、該左右スライド扉(3′ )( 3″)の内の他方の外面に完全に重なるよう構成し、かつ、上記左右スライド扉(3′ )( 3″)の内の他方を全開状態としたとき、該左右スライド扉(3′ )( 3″)の内の一方の外面に完全に重なるよう構成し、上記個別収納体( 26 )が上記収納棚本体(1)の上部で、上記収納棚本体(1)の全幅の略1/2の幅寸法を有する引下げ個別収納部( 27 )と、該引下げ個別収納部( 27 )を所定位置(A)から引き出して下方作業位置(B)まで引き下ろすよう構成した引下げ手段(H)と、を備えたことを特徴とするスライド扉式収納棚。
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