JP3765479B2 - 懸濁物質を含有する被処理水のろ過方法 - Google Patents

懸濁物質を含有する被処理水のろ過方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、懸濁物質を含有する被処理水のろ過方法に係り、特に繊維質などを多く含み、表層ろ過になり易く、マッドボールを形成し易い、製紙エ場のセルロース繊維を含む白水ろ過等に適用できるろ過方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術を、白水ろ過を例に説明する。
白水ろ過用には、無機凝集材あるいは高分子ポリマーで凝集処理した白水を対象に、砂とアンスラサイトの2層ろ過とし、表洗装置を適用するのが一般的である。
例えば、一般に以下のような、仕様で行われている。
ろ過速度;LV10〜12m/h
2層ろ過;砂(有効径、1.0〜2.0mm、層高は300〜400mm)、アンスラサイト(有効径、2.0〜4.0mm、層高は〜800mm)、
逆洗工程
▲1▼中間捨水
▲2▼空洗;0.5〜2.0m/min、ろ過材層は上下の動きはあるが流動化はしない。
▲3▼同時洗浄;▲2▼の条件下で、水を導入し、ろ過材層の流動が最適になるように、その流量を決め、洗浄する。この水の流量は、ろ過材の比重、大きさ、水温条件等で異なるが、それ自体でろ過材層が流動化する高流速で、短時間行う。例えば下記例の如くである。
水、0.5〜2.0m/min、空気、0.5〜2.0m/minで10〜30秒間程度、
▲4▼表洗;回転式表洗管、0.1〜0.3m/min、
ノズルからの噴出し、水力で表洗管が回転し、表層の懸濁物質層を壊す。この時、逆洗水も高流速(LV0.5〜2.0m/min程度)で導入する。
表洗は同時洗浄と同様に、交互に複数回行われることも多い。
【0003】
また、回転式表洗管の代わりに、空気と水の同時洗浄を行い、ろ過材を流動化させ、この強力な同時洗浄工程を連続的に行えるように、塔上部のフリーボード内の構造を工夫した例もある。
すなわち、気泡、懸濁物質、ろ過材を分離し、ろ過材が流失しないように、気液固の分離構造を有するようにしたろ過器である(特許第127470号)。ろ過材は、砂及びアンスラサイトなどの複層としている。
ろ過材である砂層の洗浄、マッドボール生成によるチャンネリング(片流れ)防止のため、撹拌機を用いて、砂層内を撹拌できるようにし、マッドボール生成あるいは、生成したものを破砕できるようにした砂ろ過機が、特許第2509895号に記載されている。
【0004】
図3に、そのろ過器構造例を示す。符号は、本発明に相当する番号に変更して示す。図3ではろ過材は砂層であり、砂ろ過器の上部に逆洗用のろ過水タンクを有している。
このろ過機の逆洗工程では、撹拌までの工程は、圧力空気による空気バブリング工程と、ろ液タンク水による水逆洗及び水逆洗と撹拌機による撹拌の工程との2工程に明確に分かれている。
このように、前記逆浄工程では、水と空気の混層流による同時洗浄工程、あるいは水と空気の混層流による同時洗浄工程中に撹拌機を作動させ、ろ過材と懸濁物質の剥離、微細化、排出を促進させることは行われていず、セルロースなどの繊維質によるマッドボールの生成防止、あるいはその破砕、そしてろ過材からの剥離、排出に、安定した効果を維持することはできないのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術に鑑み、特に製紙工場の抄紙工程から出る白水中のセルロース繊維を凝集処理することなく、ろ過器で捕捉したこれら繊維質の排出を安定して、長期間維持でき、水回収率を向上させると共に、マッドボールが生成しても解消することができる懸濁物質を含有する被処理水のろ過方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、ろ過材を充填しているろ過材層と、該ろ過材層上部を流動化する撹拌翼を有する撹拌機と、前記ろ過材層より上部に中間捨水排出管とを有する圧力式ろ過器を用いて、懸濁物質を含有する被処理水をろ過するに際し、該ろ過工程により、ろ過材表層付近に懸濁物質が捕捉され、ろ過抵抗が増した時、あるいは定期的に、次の工程(a)〜(d)を順次行うろ過材層の洗浄Aを行う懸濁物質を含有する被処理水のろ過方法としたものである。
(a)前記中間捨水排出管より中間捨水する工程、
(b)前記ろ過器上部の空気抜き管の弁を開とし、該ろ過器下部からろ過材層が流動化しない範囲の水を導入しつつ、空気を導入し、ろ過材層に気液混層流が流れている同時洗浄状態で、前記撹拌機を5〜25rpmで撹拌し、ろ過材層を流動化し、捕捉した懸濁物質をろ過材より剥離してろ過材層上部に運搬する工程、
(c)前記中間捨水排出管より中間捨水する工程、
(d)前記ろ過器上部の空気抜き管の弁、又は該ろ過器上部の逆洗水排出管の弁を開とし、ろ過材層が流動化しない範囲の低流速の水洗浄を行い、かつ前記撹拌機を5〜25rpmで撹拌し、懸濁物質の剥離、排出を促進しつつ、前記中間捨水排出管より懸濁物質を系外へ排出し、ろ過材層内に残留している空気を排出する工程。
【0007】
また、本発明では、前記被処理水のろ過方法において、前記洗浄工程(a)〜(d)と、ろ過工程を繰り返した後に、定期的に、あるいは洗浄工程(a)〜(d)によって、充分ろ過抵抗が回復しない場合に、次の工程(e)〜(h)を順次行うろ過材層の洗浄Bを行う懸濁物質を含有する被処理水のろ過方法としたものである。
(e)前記中間捨水排出管より中間捨水する工程、
(f)前記ろ過器上部の空気抜き管の弁を開とし、ろ過器下部からろ過材層が流動化しない範囲の水を導入しつつ、空気を導入し、ろ過材層に気液混層流が流れている同時洗浄状態で、前記撹拌機を5〜25rpmで撹拌し、ろ過材層を流動化し、捕捉した懸濁物質をろ過材より剥離してろ過材層上部に運搬する工程、
(g)前記(e)、(f)工程を数回、繰り返す工程、
(h)若干休止後、前記撹拌機を作動させず、前記(d)工程の低流速の水洗浄の4〜15倍の高流速の水洗浄を行い、懸濁物質をろ過器上部の逆洗水排出管又は前記中間捨水排出管から系外に排出し、ろ過材層内に残留している空気を排出する工程。
前記ろ過方法において、ろ過材は、砂、アンスラサイト、プラスチックろ材、活性炭、セラミックろ材の材質より選ばれ、その粒径が1.5〜20mmで、その形状が、粒状、球状、楕円形状、円柱状、円筒形状とすることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明においては、従来の気液混層流による撹拌作用と、撹拌機を用いた撹拌作用を組合せ、洗浄工程を工夫している。
ろ過材層が流動化しない流速の水をろ過器下部から導入しつつ、ブロワ等により同様に空気を導入し、水と空気の同時洗浄条件下で、撹拌機を撹拌することにより、ろ過材層の流動化を促進する条件とすることによって、生成したマッドボール同士の衝突、撹拌機の撹拌棒との衝突、あるいはろ過材同士の摩擦作用などを効率的にしている。
ろ過材層が流動化しない流速の水量となるように、従来の同時洗浄時の水の流量の1/5〜1/2と少なくし、ろ過材層の膨潤を静置時の10%以下に、好ましくは5%以下で、撹拌機がスムーズに回転できればよいのである。このような条件下で行うことが本発明の基本であり、前記の各種の効果が効率的になるのである。
【0009】
従来のように高流速により、ろ過材を膨潤、流動化させた条件では、膨潤の程度が大きくなり過ぎて、マッドボールの解消、ろ過材からの懸濁物質の剥離作用は低下する。
本発明の前述の効率的であるということは、▲1▼撹拌機による流動化がスムーズであり、撹拌機に無理なトルクがかからない、▲2▼懸濁物質は、ろ過材に無理な摩擦がかからずに剥離でき、かつ上向流の気液混層流により、ろ過材層上部に運搬されていく、▲3▼ろ過材表層から中間捨水排出管の開口部までの距離が小さいので、剥離した懸濁物質が大きくても排出され易い、▲4▼ろ過材の粉化程度はごく小さい、ということである。
【0010】
その後、ろ過材が流動化しない低水量の水洗浄と、撹拌機の撹拌作用によって、懸濁物質を排出する水洗浄の(d)工程を行い、洗浄Aを終了する。
それにより、使用される水量は小さくなる。
しかし、前記の洗浄工程(a)〜(d)とろ過工程を繰り返すと、ろ過時のろ抗上昇が早い場合が生じてくる。
このような事態を防止するため、定期的に、あるいはろ過時のろ抗が上昇しやすい時に、洗浄Aの前半工程(a)(b)を繰り返し、更に、撹拌機を使用しない、高流速の水洗浄工程(g)を行い、残留していた懸濁物質を塔上部の逆洗水排出管、又は中間捨水排出管から排出する洗浄Bを行う。本発明は、工程の異なる二つの洗浄Aと洗浄Bをうまくを組合せることも基本にしている。
【0011】
本発明者等は白水のろ過について鋭意検討し、下記の結果を得たことから本発明に至った。
(1)白水を従来のように凝集剤を添加しないで、直接ろ過材に接触させても、充分なろ過効果がある。またろ過材の粒径は1.5〜20mmと変化し、かつ、大きくても、ろ過には効果的である。
材質も通常の砂、粒径の大きい鋳物用の砂、アンスラサイト、あるいは活性炭など単一の材質でも効果がある。
従来のように2層ろ過のような複層として、ろ層がある程度混合してもかまわない。
ろ過材の材質、形状としては、アンスラサイト程度の真比重が1、6程度以下の、磨耗しにくいものが撹拌機による撹拌上、好ましい。しかしセラミックや鋳物砂のような、真比重が大きく、かつ粒径の大きなものでも、本発明の気液混層流下で、撹拌機によって、撹拌できるものであればよいのであって、その真比重と大きさ、形状を考慮して、使用することができる。
【0012】
(2)白水の繊維質のような懸濁物質をろ過すると、ろ過材の粒径が小さいほど、その表層に大部分が捕捉される。そして、ろ過が進むにつれて、懸濁物質が厚みを増し、表層に不均一な厚みを有する懸濁物質層が形成されていく。ろ過材層の中に入りこんでいく懸濁物質は、ろ過材の粒径、ろ過速度、原水の性状等によって異なる。
粒径3〜5mmのアンスラサイトの場合は、ろ過速度LV15〜30m/hでも表層より、100〜150mm下程度までしか入らない。大部分の懸濁物質は表層部にあり、不均一な厚みを有する懸濁物質層が形成される捕捉状態となる。それゆえ、ろ過が進むに従い、懸濁物質層が厚みを増していくため、ろ過の役目も果たし、ろ過水質は良くなる傾向を示す。このような表層ろ過傾向のため、ろ過抵抗は、急激に上がる傾向を示す。
したがって、従来のような2層ろ過等は必ずしも、必要ではなく、単一のろ過材でも充分に使用できることが分かった。そして、ろ過材の層高も、ろ過時あるいは逆洗時の水及び空気の均一分散が達成される程度の、低い層高でもよいことを見い出した。
【0013】
(3)このようなろ過時の懸濁物質の捕捉状態となるのは、前もって凝集処理をしていないため、被ろ過水中のセルロース繊維質の荷電状態がろ過に好都合な条件になっていること、また繊維状という細長い形状によるため等、またろ過材の性状によると思われる。
(4)このようにろ適材にしっかりと捕捉される懸濁物質を、ろ過材から剥離、排出することは通常の操作では容易でなく、前述のような従来の方法では、ろ過、洗浄工程を繰り返していくと、次第にマッドボールが生じ、増加して、安定運転を維持できなくなる。
(5)それゆえ従来法を改良した気液混層流による同時洗浄工程と、撹拌機による撹拌作用を組合せ、ろ過材の流動化と付着懸濁物質の剥離を効率的に行うように各工程を工夫した。
表層部付近に生成する不均一な厚みを有する懸濁物質層を破砕し、微細化し、ろ過材から剥離し、少ない水量で排出できるようにした。
【0014】
(6)本発明の知見で重要なことは、下記の点である。
▲1▼ろ過材層の膨潤が少ない条件で、気液混層流による同時洗浄工程と撹拌機による撹拌作用の併用により、ろ過材層を流動化させてろ過材と懸濁物質の剥離、分離、上部への運搬作用が促進できると共に、ろ過材の磨耗粉化が極く小さいことを見出したこと。
▲2▼その後、ろ過材を流動しない流速の水を塔下部から導入しつつ、撹拌機を回転させることにより、少ない水量の、水洗浄の(d)工程で、ろ過材を流失させることなく、効率的に懸濁物質を中間捨水排出管から排出できる「洗浄A」を見出したこと。
【0015】
▲3▼そして、洗浄Aの方法で充分でない時は、〔洗浄Aとろ過〕をN回、通常は2〜5回に1回程度の割合で、あるいはろ過時にろ抗の上昇が早いとき、ろ過工程を中止し、洗浄Bを行う。
洗浄Bは、その工程中に、洗浄Aの前半工程(a)(b)を含み、その効果と後半の高流速の水洗浄(h)工程で、洗浄Aで排出しきれずに、残留していた懸濁物質を系外に排出できるようにしたことである。
このように洗浄Aと洗浄Bを組合せて、ろ過を行うのである。
水洗浄(h)工程は、空気と水の気液混層流、及び撹拌機による撹拌作用のとき用いた水量の4〜15倍の高流速で行い、塔上部逆洗水排出管から、通常は排水する。
この高流速という意味は必ずしも、ろ過材が流動化する流速を意味しない。懸濁物質を排出できればよい流速という意味である。
▲4▼一見不完全とも思われる洗浄Aは、表層ろ過によって生ずる不均一な懸濁物質を洗浄する洗浄Bと同程度の効果を有していることがわかった。
▲5▼この洗浄Aと洗浄Bを組合せることによって、水回収率を大幅に改善できた。
【0016】
次に、本発明を図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明のろ過方法に用いる装置の一例を示すフロー構成図であり、図2は、図1の圧力式ろ過器のA−A断面図である。
図において、1は圧力式ろ過器、2はろ過材層、3は撹拌機、4−1は回転軸、4−2は撹拌翼、4−3は撹拌棒、5は下部集水装置、6は中間捨水排出管、7はろ過材層の表層、8は中間捨水排出管開口部、9は上部逆洗水排出管、10は原水タンク、18はろ過水タンクを示す。
図1の装置を説明すると、圧力式ろ過機は、600mmφ×1000mmHの形状で、該ろ過器の下部集水装置5の上にろ過材層2が、粒径3〜5mmのアンスラサイト約500mmの層高で充填されている。ろ過器頂部には撹拌機3が設置され、回転軸4−1、図2に示す2本の回転翼4−2、そして4本の回転棒4−3が等間隔で設けられ、ろ過材層2の100mm〜300mmの深さ程度まで入ればよい。ここでは170mmの深さまで入っている。回転翼4−2、回転棒4−3の数は、ろ過器形状によって増してもよい。
【0017】
回転棒4−3は4本あるが、その回転軌跡がろ過面をでぎるだけカバーするように、その配置を変えることもできるが、本発明においてはその必要性は小さく、回転軸4−1にかかるトルクを考え、安定した回転を得るため、等間隔にするのがよい。
またその形状は単に板状でもよく、鋭角部のないようにする。あるいは丸棒に近い棒を用いてリボン形状にしたものを垂下してもよい。
中間捨水排出管6は、ろ過材層2の表層7より、その開口部8の底面位置が150mmの高さのところに設け、塔上部逆洗排出管9と接続させた。
開口部8の位置は、ろ過器1形状と撹拌時のろ過材層2の若干の膨潤を考慮して、表層位置の変動より上部になるように、表層7より通常は150〜300mmの位置にする。
ろ過器下部集水装置5は、0.2〜2mm程度のスリット巾を有するフラットなウェジワイヤースクリーン、ノズル、あるいは従来の砂利などの支持層に集水管としてもよい。
【0018】
次に、図1を用いてろ過、洗浄Aについて説明する。
(1)ろ過工程
原水の白水(クリア水)が、原水タンク10から原水ポンプP−1により、原水配管11を経て圧力式ろ過機1の上部に入る。ろ過されたろ液は、下部集水装置5、ろ過水配管12を経て、ろ過水タンク18に貯留される。
原水の白水の懸濁物質(SS)は5〜35mg/Lあったが、ろ過水のSSは1.0〜5.2mg/Lであり、平均3.5mg/Lであった。目標の5mg/L以下が安定して得られた。
(2)中間捨水一1工程(a)
ろ過終了後,空気抜き管13の弁13Aを開とし、塔内の圧力を下げると共に中間捨水排出管6の弁6Aを開とし、原水配管11と接続する塔上部逆洗水排出管9より排出し、塔内の水位を開口部8の位置まで下げる工程である。この時、排出水は原水であるので、原水タンク10に回収してもよい。
【0019】
(3)同時洗浄工程(b)
空気抜き管13の弁13A、塔上部逆洗水排出管9の弁9Aを開とした状態で、洗浄水ポンプP−2をONとし、洗浄水配管14の弁14Aを、そしてブロワ15をONとし、空気流入配管16の弁16Aを開とし、ろ過材層2に気液混層流を上向流で導入する。
この時の各流速(LV)は例えば、下記の如くである。
水 :LV0.1〜0.4m/min(ろ過材がアンスラサイトの場合は0.1〜0.2m/min)
空気:LV0.5〜1.2m/min(ろ過材がアンスラサイトの場合は0.6〜1.0m/min)
このような条件での気液混層流でも、例えばアンスラサイトは流動化はせず、空気によって表層7に不規則な凹凸のある膨潤が見られる状態である。その膨潤率はろ過材充填層高の2〜3%程度である。
【0020】
前記の不均一な厚みの懸濁物質層は空気がろ過材表層7を通り抜けるとき、表層7が揺れ動き、突出するように抜けていくため、大きなブロック状に割れていき、次第にそのブロックは小さくなる。
そして、気液混層流が流れたことを確認したら、洗浄水ポンプP−2、ブロワ15をONにし、その後、若干遅れて、撹拌機3をONにし、ろ過材層2の撹拌流動を始める。撹拌機に始動の時、無理なトルクがかからないようする。
ろ過材層2の上部に排出された懸濁物質を含む排水は、塔上部逆洗水排出管9から、また空気は空気抜き管13から排出される。撹拌機による撹拌作用が起きると、前記の大小のブロックは更に微細化していき、ろ過材層2の上部に運搬されていく。
通常本工程において、懸濁物質の排出を効率的にするため、工程終了時の水位は、上部逆洗水排出管9の位置以下とし、本工程を終了する。
【0021】
(4)中間捨水−2工程(c)
同時洗浄工程後、懸濁物質を多量に含む排水の水位は、中間捨水排出管6開口部8のかなり上部にある。
この排水を中間捨水排出管6の弁6Aを開として、排出する。中間捨水排出管6の開口部8は、ろ過材が流出しないように、また懸濁物質をできるだけ排出できるように、その位置、構造を決める。
【0022】
(5)水洗浄−1工程(d)
中間捨水排出管6の弁6Aを開の状態とする。ろ過水タンク18のろ過水を洗浄水として、洗浄水ポンプP−2をONにし、洗浄水配管14の弁14Aを開にして、LV0.1〜0.3m/minでろ過器下部から導入する。ろ過材がアンスラサイトで粒径が3〜5mm程度の場合は、LV0.12〜0.18m/minの流速でよい。
そして、撹拌機3を5〜25rpmで撹拌する。ろ過材がアンスラサイトであれば、14〜18rpm程度とする。この回転数は、ろ過材を流動できればよいのであり、回転軸4−1に過大なトルクがかからないようにする。
本工程の時間は、前記(3)の項の同時逆洗工程(b)で充分に、マッドボールの破砕、ろ過材からの懸濁物質の剥離及び器上部への運搬が進んでいるため、剥離、微細化した懸濁物質を更に器上部に運搬し、中間捨水排出管から排出できる時間であればよい。そのため、ろ過材層2の2〜4倍量の逆洗水が流れる時間とするのが好ましい。
【0023】
(6)満水、洗浄工程、
前工程の終了時は、器内の水位が開口部8の位置にあるため、満水と器内洗浄を兼ねて行う。別々に行ってもよいが、同時にもできるので、ここでは同一工程に含ませた。
空気抜き管13の弁13Aを開としておく。原水ポンプP−1をON、原水配管11の弁11Aを開とし、洗浄排水管17の弁17Aを開として行う。この時、弁17Aの開度は圧力式ろ過器の設計ろ過流速が得られるようにし、原水ポンプP−1はインバータ制御により、ろ過時より、大きい流速になるようにすると、短時間で器内は満水になる。満水になったら空気抜き管13の弁13Aを閉とし、その後必要な時間の洗浄を行う。
【0024】
次で、ろ過、洗浄Bについて説明する。
(7)ろ過工程と中間捨水−1工程(e)は、前記洗浄Aの(1)、(2)、と同じである。
(8)空洗工程
同時洗浄工程の前に、ろ過材の表層7付近に形成された、不均一な懸濁物質層によって、ろ過材層2がひとつの物体のように持ち上げるブロッキング現象をなくすため、前記不均一な懸濁物質層を大きなブロックになるよう、空気、水が通るように「割れ目」を作るため行う。
白水の場合でも、完全に1枚のプレートのようなものが形成されることはない。また懸濁物の質、形成状況によっては本工程を省いて、次の同時洗浄工程を行ってもよい。
一般には、安全のため、次の工程と同じ空洗条件で、30秒間以下の短時間行う。
【0025】
(9)同時洗浄工程(f)、中間捨水工程(e)は、前記洗浄Aの(3)、(4)と同じである。
(10)(9)の工程(3)(4)の繰り返し工程(g)は下記のような工程の順序としてもよい。
▲1▼[(3)→(4)→(3)→(4)]→(11):2回の繰り返し
▲2▼[(3)→(4)→(3)→休止(10sec)] →(11):この時は2回目の(3)工程を長くする。
▲3▼[(3)→(4)]→(11):1回の繰り返し
【0026】
(11)水洗浄−2工程(h)
ろ過水タンク18のろ過水を用いて、洗浄水ポンプP−2をONにし、高流速用の弁14Bを開、塔上部逆洗水排出管9の弁9Aを開とし、洗浄水ポンプP−2をインバータ制御し、高流速が得られるようにする。
ろ過材がアンスラサイトでも1.4〜1.8m/minは必要であり、配管径が大きくなると共に、排水量も多くなる。
これを避けるため、0.6〜1.2m/minで行い、ろ過材が流出しないように注意し、上部逆洗水排出管9の弁9Aを開から閉にし、その後の排水を、ろ過材が流失しないように流量を設定し、中間捨水排出管6から排出してもよい。
また水洗浄−2工程自体をやめてしまい、前記(10)で述べた繰り返し操作を多くし、その後、この方法により、前項(10)の繰り返しを2回行ったところ、ろ過終点時のろ抗20kPaが、初期ろ抗の2kPaに回復した。
(12)洗浄Aで述べた満水、洗浄工程(6)とほぼ同じであり、前工程で器内が満水であれば、空気抜き管13の弁13Aを閉にして、同じ洗浄フローで行う。
【0027】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1
本実施例は、図1のろ過装置を用いて、抄紙工程白水のろ過、洗浄処理を行った。
処理条件及びろ過器仕様は次のとおりである。
ろ過器 :圧力式ろ過器600φ×1000H(胴長)
ろ過材 :アンスラサイト単層(有効径、3mm、層高500mm)
原水 :抄紙工程白水(クリア水SSは5〜30mg/L);水温35〜40℃
撹拌機 :16rpm、撹拌棒はアンスラサイト層の表層から170mmまで入っている。
ろ過速度:LV15〜30m/h
【0028】
ろ過、洗浄Aの前記工程(1)〜(6)の処理条件を表1に示す。
【表1】
Figure 0003765479
【0029】
次にろ過、洗浄Bの前記工程(7)〜(12)の処理条件を表2に示す。
表2で、工程(1)、(2)は洗浄Bの(7)に、工程(3)、(4)は洗浄Bの(9)に相当する。
【表2】
Figure 0003765479
【0030】
ろ過器においては、水の回収率(原水量と得られたろ過水量の比)及び、ろ過時間と懸濁物質の洗浄除去に要する時間も重要である。
水の回収率は大きいほど、水のロスが少なく、また洗浄除去時間は短いほど稼働率が高くなり好ましい。
そこで、前記洗浄Aと洗浄Bによる水の回収率を表3に示す。
【表3】
Figure 0003765479
表3の如く、従来の水回収率である80〜85%が大幅に改善され、高回収率が得られた。
【0031】
また、前記洗浄Aと洗浄Bにおける装置の稼動率を表4に示す。
【表4】
Figure 0003765479
表4の如く、装置稼働率も87%以上と良好であった。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)本発明によって、白水は凝集処理することなく、アンスラサイトなどの従来品に直接通水することによって、シャワー水に使用できるろ過水水質が得られる。また凝集処理した原水を対象としている従来の表洗管方式などのろ過器を改良できる。
(2)本発明は、処理対象となる繊維質の多い、白水のような表層ろ過になりやすく、厚みの懸濁物質層を形成する排水に対応した、懸濁物質の洗浄除去方法であり、操作がシンプルで水回収率の高い、また装置稼動率の高い方式である。
(3)ろ過材層の膨潤が少ない条件で、気液混層流による水と空気の同時洗浄工程と、撹拌機による撹拌作用を併用し、排水量の少ない、かつ生成したマッドボールの破砕、微細化、またろ過材からの懸濁物質の剥離、運搬、排出に効果的な方法である。
(4)本発明の圧力式ろ過器を使用することにより、白水などの繊維質の多い廃水の回収、再利用ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のろ過方法に用いる装置の一例を示すフロー構成図。
【図2】図1のA−A断面図
【図3】従来のろ過装置の一例を示す概略構成図。
【符号の説明】
1:圧力式ろ過器、2:ろ過材層、3:撹拌機、4−1:回転軸、4−2:撹拌翼、4−3:撹拌棒、5:下部集水装置、6:中間捨水排出管、7:ろ過材層の表層、8:中間捨水排出管の開口部、9:上部逆洗水排出管、10:原水タンク、11:原水配管、15:ブロワ、16:空気流入配管、18:ろ過水タンク、19:ろ過水配水管

Claims (3)

  1. ろ過材を充填しているろ過材層と、該ろ過材層上部を流動化する撹拌翼を有する撹拌機と、前記ろ過材層より上部に中間捨水排出管とを有する圧力式ろ過器を用いて、懸濁物質を含有する被処理水をろ過するに際し、該ろ過工程により、ろ過材表層付近に懸濁物質が捕捉され、ろ過抵抗が増した時、あるいは定期的に、次の工程(a)〜(d)を順次行うろ過材層の洗浄Aを行うことを特徴とする懸濁物質を含有する被処理水のろ過方法。
    (a)前記中間捨水排出管より中間捨水する工程、
    (b)前記ろ過器上部の空気抜き管の弁を開とし、該ろ過器下部からろ過材層が流動化しない範囲の水を導入しつつ、空気を導入し、ろ過材層に気液混層流が流れている同時洗浄状態で、前記撹拌機を5〜25rpmで撹拌し、ろ過材層を流動化し、捕捉した懸濁物質をろ過材より剥離してろ過材層上部に運搬する工程、
    (c)前記中間捨水排出管より中間捨水する工程、
    (d)前記ろ過器上部の空気抜き管の弁、又は該ろ過器上部の逆洗水排出管の弁を開とし、ろ過材層が流動化しない範囲の低流速の水洗浄を行い、かつ前記撹拌機を5〜25rpmで撹拌し、懸濁物質の剥離、排出を促進しつつ、前記中間捨水排出管より懸濁物質を系外へ排出し、ろ過材層内に残留している空気を排出する工程。
  2. 請求項1記載の被処理水のろ過方法において、前記洗浄工程(a)〜(d)と、ろ過工程を繰り返した後に、定期的に、あるいは洗浄工程(a)〜(d)によって、充分ろ過抵抗が回復しない場合に、次の工程(e)〜(h)を順次行うろ過材層の洗浄Bを行うことを特徴とする懸濁物質を含有する被処理水のろ過方法。
    (e)前記中間捨水排出管より中間捨水する工程、
    (f)前記ろ過器上部の空気抜き管の弁を開とし、ろ過器下部からろ過材層が流動化しない範囲の水を導入しつつ、空気を導入し、ろ過材層に気液混層流が流れている同時洗浄状態で、前記撹拌機を5〜25rpmで撹拌し、ろ過材層を流動化し、捕捉した懸濁物質をろ過材より剥離してろ過材層上部に運搬する工程、
    (g)前記(e)、(f)工程を数回、繰り返す工程、
    (h)若干休止後、前記撹拌機を作動させず、前記(d)工程の低流速の水洗浄の4〜15倍の高流速の水洗浄を行い、懸濁物質をろ過器上部の逆洗水排出管又は前記中間捨水排出管から系外に排出し、ろ過材層内に残留している空気を排出する工程。
  3. 前記ろ過材が、砂、アンスラサイト、プラスチックろ材、活性炭、セラミックろ材の材質より選ばれ、その粒径が1.5〜20mmで、その形状が、粒状、球状、楕円形状、円柱状、円筒形状であることを特徴とする請求項1又は2記載の懸濁物質を含有する被処理水のろ過方法。
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