JP3765035B2 - 冷凍機の排熱装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は冷凍機の排熱装置にかかるもので、とくにコールドヘッドを備えて冷凍を発生させるスターリング冷凍機その他の冷凍機の排熱装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
ヘリウムガスなどの冷媒ガスを圧縮および膨張させて冷凍を作り出すスターリング冷凍機その他の冷凍機において、その冷凍能力を向上させるには、冷凍機の膨張空間容積、圧縮空間容積および無効空間容積などの各部体積を調整することにより圧縮比を上げるとともにガス処理容積を上げる方法、あるいは冷凍機の表面温度を低下させる方法などがある。
とくに後者の表面温度を低下させる方法においては、その冷凍を発生させるコールドヘッドないし低温端部の熱を常温端部（高温端部）側に伝熱し、ヒートシンクあるいは放熱フィンなどにより効率的に排熱する必要がある。
また、移動体用の冷凍機では、排熱用のファンを使用しない方が好ましいため、ヒートシンクによる排熱特性の改善が不可欠である。
【０００３】
スターリング冷凍機を例にとって図６および図７にもとづき概説する。
図６は、スターリング冷凍機１の概略正面図、図７は、同、右側面図であり、スターリング冷凍機１は、ガス圧縮機２と、コールドヘッド３と、を有する。
【０００４】
ガス圧縮機２は、コールドヘッド３への冷媒の圧縮供給作用および吸収膨張作用を行ってコールドヘッド３において冷凍を発生させる。
【０００５】
コールドヘッド３は、吸熱部（冷凍発生部分）である低温端部４を有するシリンダー５と、放熱部である常温端部６と、ヒートシンク７と、を有し、ガス圧縮機２からの冷媒の供給（圧縮膨張）により逆スターリングサイクルを実行し、低温端部４に冷凍を発生するとともに、低温端部４からの熱を常温端部６を介してヒートシンク７において排熱する。
なお必要であれば、ヒートシンク７、あるいはヒートシンク７に代わる任意の取付け台部（図示せず）に放熱フィン８を設けて排熱効率を上げることもできる。
【０００６】
しかして、コールドヘッド３の常温端部６の断面形状は、図７に示すように、その加工ないし製造コストを考慮して断面円形であり、常温端部６とヒートシンク７との間の伝熱性能に問題があった。
すなわち、常温端部６が断面円形であるので、常温端部６の外周面６Ａとヒートシンク７の内周面７Ａとが、完全に同心円あるいは同円周長さであることがないために、互いに全面的には接触することができず（断面形状状態では点接触、構造的には線接触）、この間の熱接触面積を一定に確保することおよび排熱効率を上げることが困難であるという問題がある。さらに、取付けボルト９によるヒートシンク７の常温端部６への取付け力を一定ないし設計とおりにすることが困難であるという問題がある。
【０００７】
なお、ヒートシンク７の代わりに、常温端部６の外周面６Ａ自体に放熱フィン８を直接装着する場合に、放熱フィン８の内径寸法を円形状にして、かつ大きくする必要があり、設計段階で理論的に接触面積をとることができないとともに、放熱フィン８を常温端部６にボルト締めする際の面接触力も現実的には均一にすることが困難であるという問題がある。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、スターリング冷凍機その他の冷凍機における排熱効率を向上させることができる冷凍機の排熱装置を提供することを課題とする。
【０００９】
また本発明は、冷凍機における常温端部とヒートシンクとの間の熱接触面積を十分に取ることができる冷凍機の排熱装置を提供することを課題とする。
【００１０】
また本発明は、冷凍機における常温端部とヒートシンクとの熱接触効率ないし伝熱効率を改善することができる冷凍機の排熱装置を提供することを課題とする。
【００１１】
また本発明は、冷凍機における常温端部とヒートシンクとの間の締め付け力を十分に取ることができる冷凍機の排熱装置を提供することを課題とする。
【００１２】
また本発明は、常温端部とヒートシンクとの間の熱接触面積および熱接触部の面圧について、設計的に管理可能とした冷凍機の排熱装置を提供することを課題とする。
【００１３】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、コールドヘッドなどにおける常温端部の表面に平面接触部を少なくとも一ヶ所以上設けること、すなわち、常温端部とヒートシンクとの間で平面接触部を介した熱接触を可能とすることに着目したもので、冷媒の圧縮および膨張を行うことにより低温端部に冷凍を発生する冷凍機の排熱装置であって、上記低温端部からの熱を排熱する常温端部に熱接触させるヒートシンクを有し、このヒートシンクとこの常温端部との熱接触部において、該ヒートシンクにヒートシンク側平面部を形成し、該常温端部に常温端部側平面部を形成するとともに、このヒートシンク側平面部とこの常温端部側平面部とを互いに対向させて熱接触可能としたことを特徴とする冷凍機の排熱装置である。
【００１４】
上記常温端部は、互いに隣合う上記常温端部側平面部を有することができる。
【００１５】
上記常温端部は、互いに対向し合う上記常温端部側平面部を有することができる。
【００１６】
上記ヒートシンク側平面部および常温端部側平面部などの平面接触部の形態は、ヒートシンクと常温端部との間で正方形その他任意の多角形状、あるいは円弧面と平面部との組み合わせなど、任意のものを採用することができる。
【００１７】
本発明による冷凍機の排熱装置においては、たとえばスターリング冷凍機のコールドヘッドなどにおける常温端部およびヒートシンクの表面にそれぞれ、ヒートシンク側平面部および常温端部側平面部などの平面接触部を少なくとも一ヶ所以上設けたので、常温端部とヒートシンクとの間での熱接触状態を面的に実現することができ、この間の伝熱効率を従来より向上させることができる。したがって、低温端部における吸熱作用を促進し、冷凍機の冷凍能力自体を増強することができる。
さらに、所定面積にわたって面的な熱接触による安定した熱接触形態を可能としたので、その熱接触面積および面圧を設計上管理することが容易である。
【００１８】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明の第１の実施の形態による排熱装置を装備した冷凍機を図１および図２にもとづき説明する。ただし、図６および図７と同様の部分には同一符号を付し、その詳述はこれを省略する。
図１は、スターリング冷凍機１０の概略正面図、図２は、同、右側面図であって、スターリング冷凍機１０の排熱装置１１は、その熱接触部１２において、常温端部１３を断面矩形状（正方形状、図２参照）とするとともに、ヒートシンクを第１のヒートシンク１４および第２のヒートシンク１５の二体とし、第１のヒートシンク１４および第２のヒートシンク１５を常温端部１３の矩形形状に合わせたものとしている。
【００１９】
すなわち図２に示すように、常温端部１３にはその四方に互いに隣合う第１の常温端部側平面部１３Ａ、第２の常温端部側平面部１３Ｂ、第３の常温端部側平面部１３Ｃ、および第４の常温端部側平面部１３Ｄを形成している。
【００２０】
第１のヒートシンク１４は、断面Ｌ字型であって、この第１のヒートシンク１４には、常温端部１３の第１の常温端部側平面部１３Ａに対向して平面的に熱接触可能な第１のヒートシンク側平面部１４Ａ、および第２の常温端部側平面部１３Ｂに対向して平面的に熱接触可能な第２のヒートシンク側平面部１４Ｂを形成している。
【００２１】
第２のヒートシンク１５には、第１のヒートシンク１４の第２のヒートシンク側平面部１４Ｂに対向して平面的に熱接触可能な第１のヒートシンク側平面部１５Ｂを形成するとともに、常温端部１３の第３の常温端部側平面部１３Ｃに対向して平面的に熱接触可能な第２のヒートシンク側平面部１５Ｃを形成し、さらに第４の常温端部側平面部１３Ｄに対向して平面的に熱接触可能な第３のヒートシンク側平面部１５Ｄを形成している。
【００２２】
こうした構成のスターリング冷凍機１０ないし排熱装置１１において、常温端部１３と、第１のヒートシンク１４および第２のヒートシンク１５とは、熱接触部１２においてそれぞれ、常温端部側平面部１３Ａ、１３Ｂ、１３Ｃ、１３Ｄ、ヒートシンク側平面部１４Ａ、１４Ｂ、およびヒートシンク側平面部１５Ｂ、１５Ｃ、１５Ｄであるので、互いに対向する平面部の間で面的、有効かつ効率的な熱接触を保証する。
したがって、常温端部１３の熱を第１のヒートシンク１４および第２のヒートシンク１５から効率的に排熱することが可能で、シリンダー５の低温端部４から常温端部１３への伝熱性能が向上し、スターリング冷凍機１０の冷凍能力を向上させることができる。
【００２３】
さらに、常温端部側平面部１３Ａ、１３Ｂ、１３Ｃ、１３Ｄ、ヒートシンク側平面部１４Ａ、１４Ｂ、およびヒートシンク側平面部１５Ｂ、１５Ｃ、１５Ｄの面粗度、平面度および取付けボルト９の締め付けトルクを管理することにより、低温端部４の表面から常温端部１３を介した第１のヒートシンク１４および第２のヒートシンク１５ないしは放熱フィン８への熱抵抗を管理することが可能となる。
かくして、排熱条件を改良し、スターリング冷凍機１０の表面温度を低下させ、冷凍能力を向上させることができる。
【００２４】
本発明においては、常温端部とヒートシンクとの間に少なくともひとつの平面的な熱接触部が形成されていれば足りるものである。
たとえば、図３は、本発明の第２の実施の形態による冷凍機の排熱装置２０の側面図であって、排熱装置２０においては、その熱接触部２１において、常温端部２２の両側に互いに対向する厚板構造の第１のヒートシンク２３および第２のヒートシンク２４を設けている。
【００２５】
すなわち、常温端部２２には、互いに対向する第１の円弧部２２Ａおよび第２の円弧部２２Ｂを残して、その両側に互いに対向する第１の常温端部側平面部２２Ｃおよび第２の常温端部側平面部２２Ｄを形成する。
第１のヒートシンク２３に、常温端部２２の第１の常温端部側平面部２２Ｃに対向して平面的に熱接触可能なように第１の常温端部側平面部２３Ａを形成する。
第２のヒートシンク２４に、第２の常温端部側平面部２２Ｄに対向して平面的に熱接触可能なように第１の常温端部側平面部２４Ａを形成する。
【００２６】
こうした構成の排熱装置２０においても、その熱接触部２１において、常温端部２２と、第１のヒートシンク２３および第２のヒートシンク２４とが平面的に熱接触可能であり、良好な伝熱特性を得ることができる。
また、第１のヒートシンク２３および第２のヒートシンク２４は、それぞれの第１の常温端部側平面部２３Ａおよび第１の常温端部側平面部２４Ａが互いに独立状態であるため、その加工性および組み立て性が良好かつ容易である。
【００２７】
さらに本発明による排熱装置１１は、スターリング冷凍機１０以外にも、低温端部および常温端部（高温端部）を有する任意の冷凍機に応用可能である。
たとえば、図４は、Ｕ字タイプのパルスチューブ冷凍機３０の概略正面図であって、パルスチューブ冷凍機３０の低温端部３１に対向している高温端部３２側に本発明の排熱装置を適用可能である。
【００２８】
さらに、図５は、Ｉ字タイプのパルスチューブ冷凍機４０の概略正面図であって、パルスチューブ冷凍機４０の低温端部４１に対向している第１の高温端部４２および第２の高温端部４３側に本発明の排熱装置１１を適用可能である。
【００２９】
上述以外に、蓄冷式のＧＭ（ギフォード・マクマホン）冷凍機などにも応用可能である。
【００３０】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、常温端部とヒートシンクとの間に平面的な熱接触部を形成するようにしたので、熱接触面積および熱接触部の面圧をともに設計的に管理することが可能となるとともに、排熱効率を向上させ、冷凍機の冷凍能力を増強することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１の実施の形態による排熱装置１１を装備したスターリング冷凍機１０の概略正面図である。
【図２】同、右側面図である。
【図３】本発明の第２の実施の形態による冷凍機の排熱装置２０の側面図である。
【図４】本発明を適用可能なＵ字タイプのパルスチューブ冷凍機３０の概略正面図である。
【図５】本発明を適用可能なＩ字タイプのパルスチューブ冷凍機４０の概略正面図である。
【図６】スターリング冷凍機１の概略正面図である。
【図７】同、右側面図である。
【符号の説明】
１ スターリング冷凍機（図６）
２ ガス圧縮機
３ コールドヘッド
４ シリンダー５の低温端部（吸熱部）
５ シリンダー
６ 常温端部（放熱部、高温端部）
６Ａ 常温端部６の外周面
７ ヒートシンク
７Ａ ヒートシンク７の内周面
８ 放熱フィン
９ 取付けボルト
１０ スターリング冷凍機（図１）
１１ スターリング冷凍機１０の排熱装置（実施の形態、図２）
１２ 熱接触部
１３ 常温端部
１３Ａ 常温端部１３の第１の常温端部側平面部
１３Ｂ 常温端部１３の第２の常温端部側平面部
１３Ｃ 常温端部１３の第３の常温端部側平面部
１３Ｄ 常温端部１３の第４の常温端部側平面部
１４ 第１のヒートシンク
１４Ａ 第１のヒートシンク１４の第１のヒートシンク側平面部
１４Ｂ 第１のヒートシンク１４の第２のヒートシンク側平面部
１５ 第２のヒートシンク
１５Ｂ 第２のヒートシンク１５の第１のヒートシンク側平面部
１５Ｃ 第２のヒートシンク１５の第２のヒートシンク側平面部
１５Ｄ 第２のヒートシンク１５の第３のヒートシンク側平面部
２０ 冷凍機の排熱装置（第２の実施の形態、図３）
２１ 熱接触部
２２ 常温端部
２２Ａ 常温端部２２の第１の円弧部
２２Ｂ 常温端部２２の第２の円弧部
２２Ｃ 常温端部２２の第１の常温端部側平面部
２２Ｄ 常温端部２２の第２の常温端部側平面部
２３ 第１のヒートシンク
２３Ａ 第１のヒートシンク２３の第１の常温端部側平面部
２４ 第２のヒートシンク
２４Ａ 第２のヒートシンク２４の第１の常温端部側平面部
３０ Ｕ字タイプのパルスチューブ冷凍機（図４）
３１ 低温端部
３２ 高温端部（常温端部）
４０ Ｉタイプのパルスチューブ冷凍機（図５）
４１ 低温端部
４２ 第１の高温端部（常温端部）
４３ 第２の高温端部（常温端部）
【発明の属する技術分野】
本発明は冷凍機の排熱装置にかかるもので、とくにコールドヘッドを備えて冷凍を発生させるスターリング冷凍機その他の冷凍機の排熱装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
ヘリウムガスなどの冷媒ガスを圧縮および膨張させて冷凍を作り出すスターリング冷凍機その他の冷凍機において、その冷凍能力を向上させるには、冷凍機の膨張空間容積、圧縮空間容積および無効空間容積などの各部体積を調整することにより圧縮比を上げるとともにガス処理容積を上げる方法、あるいは冷凍機の表面温度を低下させる方法などがある。
とくに後者の表面温度を低下させる方法においては、その冷凍を発生させるコールドヘッドないし低温端部の熱を常温端部（高温端部）側に伝熱し、ヒートシンクあるいは放熱フィンなどにより効率的に排熱する必要がある。
また、移動体用の冷凍機では、排熱用のファンを使用しない方が好ましいため、ヒートシンクによる排熱特性の改善が不可欠である。
【０００３】
スターリング冷凍機を例にとって図６および図７にもとづき概説する。
図６は、スターリング冷凍機１の概略正面図、図７は、同、右側面図であり、スターリング冷凍機１は、ガス圧縮機２と、コールドヘッド３と、を有する。
【０００４】
ガス圧縮機２は、コールドヘッド３への冷媒の圧縮供給作用および吸収膨張作用を行ってコールドヘッド３において冷凍を発生させる。
【０００５】
コールドヘッド３は、吸熱部（冷凍発生部分）である低温端部４を有するシリンダー５と、放熱部である常温端部６と、ヒートシンク７と、を有し、ガス圧縮機２からの冷媒の供給（圧縮膨張）により逆スターリングサイクルを実行し、低温端部４に冷凍を発生するとともに、低温端部４からの熱を常温端部６を介してヒートシンク７において排熱する。
なお必要であれば、ヒートシンク７、あるいはヒートシンク７に代わる任意の取付け台部（図示せず）に放熱フィン８を設けて排熱効率を上げることもできる。
【０００６】
しかして、コールドヘッド３の常温端部６の断面形状は、図７に示すように、その加工ないし製造コストを考慮して断面円形であり、常温端部６とヒートシンク７との間の伝熱性能に問題があった。
すなわち、常温端部６が断面円形であるので、常温端部６の外周面６Ａとヒートシンク７の内周面７Ａとが、完全に同心円あるいは同円周長さであることがないために、互いに全面的には接触することができず（断面形状状態では点接触、構造的には線接触）、この間の熱接触面積を一定に確保することおよび排熱効率を上げることが困難であるという問題がある。さらに、取付けボルト９によるヒートシンク７の常温端部６への取付け力を一定ないし設計とおりにすることが困難であるという問題がある。
【０００７】
なお、ヒートシンク７の代わりに、常温端部６の外周面６Ａ自体に放熱フィン８を直接装着する場合に、放熱フィン８の内径寸法を円形状にして、かつ大きくする必要があり、設計段階で理論的に接触面積をとることができないとともに、放熱フィン８を常温端部６にボルト締めする際の面接触力も現実的には均一にすることが困難であるという問題がある。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、スターリング冷凍機その他の冷凍機における排熱効率を向上させることができる冷凍機の排熱装置を提供することを課題とする。
【０００９】
また本発明は、冷凍機における常温端部とヒートシンクとの間の熱接触面積を十分に取ることができる冷凍機の排熱装置を提供することを課題とする。
【００１０】
また本発明は、冷凍機における常温端部とヒートシンクとの熱接触効率ないし伝熱効率を改善することができる冷凍機の排熱装置を提供することを課題とする。
【００１１】
また本発明は、冷凍機における常温端部とヒートシンクとの間の締め付け力を十分に取ることができる冷凍機の排熱装置を提供することを課題とする。
【００１２】
また本発明は、常温端部とヒートシンクとの間の熱接触面積および熱接触部の面圧について、設計的に管理可能とした冷凍機の排熱装置を提供することを課題とする。
【００１３】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、コールドヘッドなどにおける常温端部の表面に平面接触部を少なくとも一ヶ所以上設けること、すなわち、常温端部とヒートシンクとの間で平面接触部を介した熱接触を可能とすることに着目したもので、冷媒の圧縮および膨張を行うことにより低温端部に冷凍を発生する冷凍機の排熱装置であって、上記低温端部からの熱を排熱する常温端部に熱接触させるヒートシンクを有し、このヒートシンクとこの常温端部との熱接触部において、該ヒートシンクにヒートシンク側平面部を形成し、該常温端部に常温端部側平面部を形成するとともに、このヒートシンク側平面部とこの常温端部側平面部とを互いに対向させて熱接触可能としたことを特徴とする冷凍機の排熱装置である。
【００１４】
上記常温端部は、互いに隣合う上記常温端部側平面部を有することができる。
【００１５】
上記常温端部は、互いに対向し合う上記常温端部側平面部を有することができる。
【００１６】
上記ヒートシンク側平面部および常温端部側平面部などの平面接触部の形態は、ヒートシンクと常温端部との間で正方形その他任意の多角形状、あるいは円弧面と平面部との組み合わせなど、任意のものを採用することができる。
【００１７】
本発明による冷凍機の排熱装置においては、たとえばスターリング冷凍機のコールドヘッドなどにおける常温端部およびヒートシンクの表面にそれぞれ、ヒートシンク側平面部および常温端部側平面部などの平面接触部を少なくとも一ヶ所以上設けたので、常温端部とヒートシンクとの間での熱接触状態を面的に実現することができ、この間の伝熱効率を従来より向上させることができる。したがって、低温端部における吸熱作用を促進し、冷凍機の冷凍能力自体を増強することができる。
さらに、所定面積にわたって面的な熱接触による安定した熱接触形態を可能としたので、その熱接触面積および面圧を設計上管理することが容易である。
【００１８】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明の第１の実施の形態による排熱装置を装備した冷凍機を図１および図２にもとづき説明する。ただし、図６および図７と同様の部分には同一符号を付し、その詳述はこれを省略する。
図１は、スターリング冷凍機１０の概略正面図、図２は、同、右側面図であって、スターリング冷凍機１０の排熱装置１１は、その熱接触部１２において、常温端部１３を断面矩形状（正方形状、図２参照）とするとともに、ヒートシンクを第１のヒートシンク１４および第２のヒートシンク１５の二体とし、第１のヒートシンク１４および第２のヒートシンク１５を常温端部１３の矩形形状に合わせたものとしている。
【００１９】
すなわち図２に示すように、常温端部１３にはその四方に互いに隣合う第１の常温端部側平面部１３Ａ、第２の常温端部側平面部１３Ｂ、第３の常温端部側平面部１３Ｃ、および第４の常温端部側平面部１３Ｄを形成している。
【００２０】
第１のヒートシンク１４は、断面Ｌ字型であって、この第１のヒートシンク１４には、常温端部１３の第１の常温端部側平面部１３Ａに対向して平面的に熱接触可能な第１のヒートシンク側平面部１４Ａ、および第２の常温端部側平面部１３Ｂに対向して平面的に熱接触可能な第２のヒートシンク側平面部１４Ｂを形成している。
【００２１】
第２のヒートシンク１５には、第１のヒートシンク１４の第２のヒートシンク側平面部１４Ｂに対向して平面的に熱接触可能な第１のヒートシンク側平面部１５Ｂを形成するとともに、常温端部１３の第３の常温端部側平面部１３Ｃに対向して平面的に熱接触可能な第２のヒートシンク側平面部１５Ｃを形成し、さらに第４の常温端部側平面部１３Ｄに対向して平面的に熱接触可能な第３のヒートシンク側平面部１５Ｄを形成している。
【００２２】
こうした構成のスターリング冷凍機１０ないし排熱装置１１において、常温端部１３と、第１のヒートシンク１４および第２のヒートシンク１５とは、熱接触部１２においてそれぞれ、常温端部側平面部１３Ａ、１３Ｂ、１３Ｃ、１３Ｄ、ヒートシンク側平面部１４Ａ、１４Ｂ、およびヒートシンク側平面部１５Ｂ、１５Ｃ、１５Ｄであるので、互いに対向する平面部の間で面的、有効かつ効率的な熱接触を保証する。
したがって、常温端部１３の熱を第１のヒートシンク１４および第２のヒートシンク１５から効率的に排熱することが可能で、シリンダー５の低温端部４から常温端部１３への伝熱性能が向上し、スターリング冷凍機１０の冷凍能力を向上させることができる。
【００２３】
さらに、常温端部側平面部１３Ａ、１３Ｂ、１３Ｃ、１３Ｄ、ヒートシンク側平面部１４Ａ、１４Ｂ、およびヒートシンク側平面部１５Ｂ、１５Ｃ、１５Ｄの面粗度、平面度および取付けボルト９の締め付けトルクを管理することにより、低温端部４の表面から常温端部１３を介した第１のヒートシンク１４および第２のヒートシンク１５ないしは放熱フィン８への熱抵抗を管理することが可能となる。
かくして、排熱条件を改良し、スターリング冷凍機１０の表面温度を低下させ、冷凍能力を向上させることができる。
【００２４】
本発明においては、常温端部とヒートシンクとの間に少なくともひとつの平面的な熱接触部が形成されていれば足りるものである。
たとえば、図３は、本発明の第２の実施の形態による冷凍機の排熱装置２０の側面図であって、排熱装置２０においては、その熱接触部２１において、常温端部２２の両側に互いに対向する厚板構造の第１のヒートシンク２３および第２のヒートシンク２４を設けている。
【００２５】
すなわち、常温端部２２には、互いに対向する第１の円弧部２２Ａおよび第２の円弧部２２Ｂを残して、その両側に互いに対向する第１の常温端部側平面部２２Ｃおよび第２の常温端部側平面部２２Ｄを形成する。
第１のヒートシンク２３に、常温端部２２の第１の常温端部側平面部２２Ｃに対向して平面的に熱接触可能なように第１の常温端部側平面部２３Ａを形成する。
第２のヒートシンク２４に、第２の常温端部側平面部２２Ｄに対向して平面的に熱接触可能なように第１の常温端部側平面部２４Ａを形成する。
【００２６】
こうした構成の排熱装置２０においても、その熱接触部２１において、常温端部２２と、第１のヒートシンク２３および第２のヒートシンク２４とが平面的に熱接触可能であり、良好な伝熱特性を得ることができる。
また、第１のヒートシンク２３および第２のヒートシンク２４は、それぞれの第１の常温端部側平面部２３Ａおよび第１の常温端部側平面部２４Ａが互いに独立状態であるため、その加工性および組み立て性が良好かつ容易である。
【００２７】
さらに本発明による排熱装置１１は、スターリング冷凍機１０以外にも、低温端部および常温端部（高温端部）を有する任意の冷凍機に応用可能である。
たとえば、図４は、Ｕ字タイプのパルスチューブ冷凍機３０の概略正面図であって、パルスチューブ冷凍機３０の低温端部３１に対向している高温端部３２側に本発明の排熱装置を適用可能である。
【００２８】
さらに、図５は、Ｉ字タイプのパルスチューブ冷凍機４０の概略正面図であって、パルスチューブ冷凍機４０の低温端部４１に対向している第１の高温端部４２および第２の高温端部４３側に本発明の排熱装置１１を適用可能である。
【００２９】
上述以外に、蓄冷式のＧＭ（ギフォード・マクマホン）冷凍機などにも応用可能である。
【００３０】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、常温端部とヒートシンクとの間に平面的な熱接触部を形成するようにしたので、熱接触面積および熱接触部の面圧をともに設計的に管理することが可能となるとともに、排熱効率を向上させ、冷凍機の冷凍能力を増強することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１の実施の形態による排熱装置１１を装備したスターリング冷凍機１０の概略正面図である。
【図２】同、右側面図である。
【図３】本発明の第２の実施の形態による冷凍機の排熱装置２０の側面図である。
【図４】本発明を適用可能なＵ字タイプのパルスチューブ冷凍機３０の概略正面図である。
【図５】本発明を適用可能なＩ字タイプのパルスチューブ冷凍機４０の概略正面図である。
【図６】スターリング冷凍機１の概略正面図である。
【図７】同、右側面図である。
【符号の説明】
１ スターリング冷凍機（図６）
２ ガス圧縮機
３ コールドヘッド
４ シリンダー５の低温端部（吸熱部）
５ シリンダー
６ 常温端部（放熱部、高温端部）
６Ａ 常温端部６の外周面
７ ヒートシンク
７Ａ ヒートシンク７の内周面
８ 放熱フィン
９ 取付けボルト
１０ スターリング冷凍機（図１）
１１ スターリング冷凍機１０の排熱装置（実施の形態、図２）
１２ 熱接触部
１３ 常温端部
１３Ａ 常温端部１３の第１の常温端部側平面部
１３Ｂ 常温端部１３の第２の常温端部側平面部
１３Ｃ 常温端部１３の第３の常温端部側平面部
１３Ｄ 常温端部１３の第４の常温端部側平面部
１４ 第１のヒートシンク
１４Ａ 第１のヒートシンク１４の第１のヒートシンク側平面部
１４Ｂ 第１のヒートシンク１４の第２のヒートシンク側平面部
１５ 第２のヒートシンク
１５Ｂ 第２のヒートシンク１５の第１のヒートシンク側平面部
１５Ｃ 第２のヒートシンク１５の第２のヒートシンク側平面部
１５Ｄ 第２のヒートシンク１５の第３のヒートシンク側平面部
２０ 冷凍機の排熱装置（第２の実施の形態、図３）
２１ 熱接触部
２２ 常温端部
２２Ａ 常温端部２２の第１の円弧部
２２Ｂ 常温端部２２の第２の円弧部
２２Ｃ 常温端部２２の第１の常温端部側平面部
２２Ｄ 常温端部２２の第２の常温端部側平面部
２３ 第１のヒートシンク
２３Ａ 第１のヒートシンク２３の第１の常温端部側平面部
２４ 第２のヒートシンク
２４Ａ 第２のヒートシンク２４の第１の常温端部側平面部
３０ Ｕ字タイプのパルスチューブ冷凍機（図４）
３１ 低温端部
３２ 高温端部（常温端部）
４０ Ｉタイプのパルスチューブ冷凍機（図５）
４１ 低温端部
４２ 第１の高温端部（常温端部）
４３ 第２の高温端部（常温端部）
Claims (3)
- ガス圧縮機による冷媒の圧縮およびコールドヘッドによる該冷媒の膨張を行うことにより、このコールドヘッドの低温端部に冷凍を発生する冷凍機の排熱装置であって、
前記ガス圧縮機に接続するとともに前記低温端部からの熱を排熱する常温端部に熱接触させるヒートシンクを有し、
このヒートシンクとこの常温端部との熱接触部において、該ヒートシンクにヒートシンク側平面部を形成し、該常温端部に常温端部側平面部を形成するとともに、
このヒートシンク側平面部とこの常温端部側平面部とを、所定の熱接触面積および面圧を維持することができるように互いに対向させて熱接触可能としたことを特徴とする冷凍機の排熱装置。 - 前記常温端部は、互いに隣合う前記常温端部側平面部を有することを特徴とする請求項１記載の冷凍機の排熱装置。
- 前記常温端部は、互いに対向し合う前記常温端部側平面部を有することを特徴とする請求項１記載の冷凍機の排熱装置。
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