JP3764341B2 - ガスタービン燃焼器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスタービン燃焼器に関し、特に空気と燃料を混合するための予混合器の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスタービン機関で燃料を燃焼させる際に排出される窒素酸化物(NOx)の排出量は、空気と燃料を予混合器内で混合してから燃焼室に供給して燃焼させる予混合燃焼とすると、燃料と空気が混合しつつ燃焼する拡散燃焼に比べて大幅に低減することができる。したがって、近年のNOx排出規制に対応するため、予混合燃焼を採用するガスタービン機関が増加している。
【0003】
一方、予混合燃焼は拡散燃焼に比べて安定燃焼できる燃空比(燃料と空気の重量割合)、流速、等の条件範囲が狭い特性がある。このため、ガスタービン機関で予混合燃焼を実現するための燃焼器構造、及びガスタービン機関の制御方法、等に多くの提案がなされているが、ここでは、予混合器について記載する。
【0004】
予混合器燃焼で排出NOxを効率良く低減するためには、燃料と空気の混合方法を均一にし、また、予混合燃焼を安定に実現する必要がある。このため、燃料と空気の均一混合や逆火防止を主要な目的にして、予混合方法及びこれを実現する手段である予混合に関して種々の提案がなされている。例えば、特公平5−20644公報、特開平4−187909公報、特開平6−272862公報、特開平6−241457公報、特開平6−2848公報、特開平9−303776公報などがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
予混合器は燃料と空気を混合させるものであるが、ガスタービン燃焼器に用いる場合には幾つかの要件を満す必要がある。例えば、燃料と空気との混合気体である予混合気を燃焼させる予混合燃焼においては、一般的には燃焼領域に供給される予混合気の濃度分布が均一であるほどNOxが低減する。したがって、均一な濃度分布を達成するために空気に旋回を与えることが行われる。
【0006】
また、何らかの原因で予混合器内で発火する場合がある。例えば、燃料系統あるいは空気系統に発火温度の低い可燃物が混入すると、ガスタービンの圧縮機から燃焼器に流入する空気温度は300〜500℃程度の高温になっているから、着火する可能性がある。予混合器でこのような着火が生じると局所的な圧力変動を誘起し、これが局所的な流速変動となって火炎を内部に引き込む可能性がある。予混合気体が予混合器内部で継続して燃焼すると燃焼器を損傷し、ガスタービンを長期間亘って安定に運転することができない。
【0007】
また、予混合器空気流入口部のリターンフロー構造及び入口部窓形状により、予混合器内で軸方向の流速に低速流域が生じることがある。そのため、予混合器内の流路で何らかの原因で発火した場合、軸方向流速の低速流域に火炎が付着し燃焼する可能性がある。したがって、予混合器内の低速流域の発生を極力、抑制する必要がある。
【0008】
従来、予混合器入口部窓形状には、多孔板またはV字窓形状が用いられてきた。予混合器入口の形状に多孔板を用いた場合、空気と燃料の混合特性が悪く局所的な濃度分布の不均一が生じ易い問題があり、NOxの低減に限界があった。また、V字の窓形状を用いた場合においては、斜め境界を持つような入口形状とすることで流れ方向に空気と燃料の混合を促進させる縦渦を発生させ、この縦渦により燃料と空気の混合特性は得られるが、鋭角部分において軸方向の流速に低速流域が発生し、予混合器内の流路に何らかの原因で火種が流入した場合そのまま火炎を内部に留め、保炎器等を指傷する可能性があった。
【0009】
本発明の目的は、従来技術の問題点に鑑み、NOx低減に必要な空気と燃料の混合特性を確保し、また、軸方向の低流速域の発生を抑制し、予混合器内部で火炎が生じた場合であっても、火炎が速やかに予混合器外に排出されるようにしたガスタービン燃焼器を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ダクト状の空気流路に燃料を噴射する燃料ノズルを1本あるいは複数本配置した予混合器を設ける。該予混合器では燃料と空気の混合を促進させる手段として、該予混合器の空気流入口部に入口窓を設ける。この入口窓に円弧状(半円弧状も含む)の形状を用いることで、流れ方向に進行しながら回転する縦渦を発生させ、燃料と空気の混合を促進できる。また、空気流入口の入口窓に対し1本あるいは複数本の燃料ノズルを配置することで、燃料ノズルの周りに空気の流れができ、燃料ノズル先端より噴出する燃料との混合を促進される。
【0011】
また、本発明は、上記の予混合器において、空気流入口を空気の流れ方向を反転させるリターンフロー構造としている。そのため、予混合器入口では空気の流れ全体がダクト状の空気流路の内周側に向かうことになる。また、ダクト状空気流路の外周側から流入した空気は、ダクト状空気流路の内周壁に衝突し、その一部は空気流路の外周壁に向かう流れとなる。そこで、入口窓は、円弧の部分を前記燃料ノズルの先端から遠い側に設けたことで、空気の流れをより滑らかにし、軸方向流速の低流速域の発生を抑制し、何らかの原因で予混合器内に火炎が存在する場合であっても、火炎を速やかに予混合器外へ排出させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1に本発明によるガスタービン燃焼器用予混合器の実施例を示す。本実施例のガスタービン燃焼器1は、拡散燃焼用の燃料10を燃焼室2に噴射する燃料ノズル3を有する拡散バーナ7と、予混合燃焼用の燃料11を予混合器4に噴射する燃料ノズル5を有する予混合バーナ8を備えている。
【0013】
燃焼用空気12は、簡略して図示した圧縮機61から燃焼器1に供給される。拡散バーナ7では、燃焼用空気12と燃料ノズル3は旋回器6により燃焼室内に燃焼ガスの循環渦を形成し、安定な拡散火炎となる。一方、予混合器4に流入した燃焼用空気12は、燃料ノズル5から噴射された燃料と混合し、燃焼室2に噴射され燃焼する。予混合器4の出口には環状の保炎器9が配置される。拡散バーナ7及び予混合バーナ8の燃焼ガスは、簡略して図示したタービン61に送られ、タービン61を駆動する。
【0014】
図2に、図1のガスタービン燃焼器を燃焼ガスの流れの下流側から見た図を示す。ただし、図2では、説明のため、図1の環状の保炎器9は記載していない。予混合器4はダクト状の空気流路20を有し、該空気流路20には円周状に燃料ノズル5が配置されている。
【0015】
図3に、図1、図2の予混合器4の軸方向の断面を拡大して示す。図4は、図3について、A−A方向の断面から見た図を示したものである。図5は、図3について、B矢視方向から見た図を示したものである。
【0016】
予混合器4は空気流入口部50に滑らかな半円弧状の入口窓51を配置している。入口窓51を形成することで、燃焼用空気12は流れ方向に進行しながら回転する縦渦を発生させる。
【0017】
また、予混合器4は、空気流入口部50で燃焼用空気12が反転して流入するリターンフロー構造になっている。空気流入口部50付近の領域では、燃焼用空気12の流れはダクト状空気流路20の内周側方向となる。また、空気流入口部50から下流側では、空気流の一部はダクト状空気流路20の内周壁に衝突して外周側へ向かう流れとなる。
【0018】
したがって、図3のリターンフロー構造は燃焼用空気12の流れの一部あるいは全体を予混合器4の半径方向に変化させる手段となっている。この結果、半円弧状の入口窓51により発生した縦渦及びリターンフロー構造による流れにより、燃料ノズル5のまわりに流れが生じる。
【0019】
燃料ノズル5の先端付近には燃料を噴射する噴孔21が設けられる。噴孔21は前記流れが半径方向に変化する位置よりも下流側になるように配置される。また、予混合器空気流入口部50に配置されている半円弧状の入口窓51において、燃料ノズル5は1窓に対し1本あるいは複数本配置させる。そのため、噴孔21から噴射された燃料は、燃料ノズル5のまわりに生じた流れにより、混合が促進され、NOxの排出量は低減される。
【0020】
ここで、何らかの原因で予混合器4内で発火した場合を想定する。空気流入口部50は燃焼用空気12が反転して流入するリターンフロー構造となっているが、入口窓51は滑らかな半円弧状に形成されているため、軸方向の流速に低速流域が発生することを抑制している。また、予混合器4の下流側はダクト状空気流路20の流路断面積を狭める絞り構造30、31を設けている。絞り構造30、31により下流側では流速が大きくなっている。
【0021】
本実施例によれば、予混合器4内で着火した場合であっても、火炎は予混合器4外へ速やかに排出でき、したがって、NOxの増大を抑制しつつ、燃焼器の損傷を防止できる効果がある。
【0022】
図6に従来のガスタービン燃焼器用予混合器の軸方向の断面を示す。図7は、図6について、D矢視方向から見た図を示したものである。
【0023】
予混合器4は空気流入口部50にV字型形状の入口窓51を配置している。該入口窓51の形状を斜めの境界を持たせるような構造とすることで燃焼用空気12は流れ方向に進行しながら回転する縦渦を発生させる。また、予混合器空気流入口部50で燃焼用空気12が反転して流入するリターンフロー構造になっている。したがって、V字型の入口窓51により発生した縦渦及びリターンフロー構造による流れにより、燃料ノズル5のまわりに流れが生じる。
【0024】
燃料ノズル5は予混合器空気流入口部50に配置されている入口窓51において、V字窓1窓に対し、1本あるいは複数本配置させる。そのため、噴孔21から噴射された燃料は、燃料ノズル5のまわりに生じた流れにより、混合が促進され、NOxの排出量は低減される。
【0025】
しかし、器空気流入口部50に燃焼用空気12が反転して流入するリターンフロー構造で、配置している入口窓51の形状は鋭角部分をもつV字型となっているため、この鋭角部分において軸方向の流速に低流速域が発生し、予混合器4内の空気流路20で何らかの原因で発火した場合、低流速域に火炎が付着し燃焼する可能性がある。したがって、予混合火炎を安定に保つために配置してある保炎器9等を指傷する可能性がある。
【0026】
図8に本発明によるガスタービン燃焼器用予混合器の空気流速の分布を示す。E部は高流速域、F部は中流速域、G部は低流速域である。入口窓51を滑らかな半円弧状の形状としているため、燃料ノズル5の噴孔21付近は中流速域F部となっており、低流速域G部の発生領域を抑制している。
【0027】
図9に従来のガスタービン燃焼器用予混合器の空気流速の分布を示す。E部は高流速域、F部は中流速域、G部は低流速域を示す。燃料ノズル5の噴孔21付近は内周壁側は中流速域F部となっている。予混合器空気流入口窓部51の形状は、鋭角部分のあるV字型窓形状であるため、噴孔21付近の外壁側は低流速域G部となっている。そのため、予混合器4内で何らかの原因で発火した場合、低流速域に火炎が付着し燃焼する可能性がある。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、燃料ノズルまわりに生じる流れによって、NOx低減に必要な混合特性を確保するとともに、何らかの原因により予混合器内で発火した場合にも、速やかに火炎を予混合器外に排出できる。したがって、NOxを低減しつつガスタービン機関を長期間、安定に運転できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるガスタービン燃焼器の断面図。
【図2】図1のガスタービン燃焼器を燃焼ガスの下流側から見た側面図。
【図3】図1の実施例における予混合器の断面図。
【図4】図3の予混合器を燃焼ガスの下流側から見た部分図。
【図5】図3の予混合器を空気流量入口側から見た部分図。
【図6】従来の予混合器の断面図。
【図7】図6の予混合器を空気流量入口側から見た部分図。
【図8】本実施例による予混合器断面の速度分布図。
【図9】従来の予混合器断面の速度分布図。
【符号の説明】
1…燃焼器、2…燃焼室、3…拡散燃料ノズル、4…予混合器、5…予混合燃料ノズル、6…旋回器、7…拡散バーナ、8…予混合バーナ、9…保炎器、10,11…燃料、12…燃焼用空気、20…空気流路、21…燃料噴孔、30,31…絞り構造、50…空気流入口部、51…入口窓。
Claims (2)
- ダクト状の空気流路に燃料を噴射する燃料ノズルを1本あるいは複数本配置し、前記空気流路に通じる空気流入口で空気の流れ方向を反転させるリターンフロー構造の予混合器を有するガスタービン燃焼器において、
前記空気流入口に円弧状の入口窓を設けることを特徴とするガスタービン燃焼器。 - 請求項1において、
前記入口窓は、円弧の部分を前記燃料ノズルの先端から遠い側に形成したことを特徴とするガスタービン燃焼器。
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2001
- 2001-02-21 JP JP2001045170A patent/JP3764341B2/ja not_active Expired - Lifetime
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