JP3764164B2 - トランス−4−ヒドロキシ−l−プロリンの製造法 - Google Patents
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Description
1)エッシェリヒア属に属する微生物を用い、4−ヒドロキシ−2−オキソグルタル酸からトランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンを製造する方法(特許文献1参照)、
2)細菌やかび類を用い直接発酵生産する方法(特許文献2、3および4参照) 、
3)ストレプトミセス属に属する微生物を用い、L−プロリンから製造する方法(非特許文献1、2、3および4参照)が知られている。
一方、プロリン生合成経路に関する酵素およびその遺伝子は大腸菌などですでに明らかになっている(非特許文献7および8参照)。また、プロリン生合成は例えば大腸菌などでは生合成経路の第一酵素であるガンマ−グルタミル キナーゼ(GK)が、生成物であるプロリンのフィードバック阻害を受けることにより調節されている事が知られている(非特許文献9参照)。
プロリン分解に関する酵素系、それをコードする遺伝子、遺伝子系の制御についても、大腸菌、サルモネラ菌などで研究が進んでおりよく知られている(非特許文献14および15参照)。
本発明にかかわるL−プロリン4位水酸化酵素は、2−ケトグルタル酸および2価鉄イオンの存在下において、遊離のL−プロリンを水酸化してトランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンを生成する酵素である。
本発明のL−プロリン4位水酸化酵素をコードするDNAを含むプラスミッドとしては、例えばpRH71があげられる。pRH71を含む大腸菌であるEscherichia coli SOLR/pRH71 は、平成7年3月2日付けで工業技術院生命工学工業技術研究所、日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号(郵便番号305)にFERM BP−5025として寄託されている。
大腸菌等の微生物を宿主として用いる場合は、L−プロリン4位水酸化酵素発現ベクターは微生物中で自立複製可能であると同時に、プロモーター、リボソーム結合配列、L−プロリン4位水酸化酵素遺伝子、転写終結配列、より構成されていることが好ましい。プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。
L−プロリン4位水酸化酵素遺伝子はL−プロリン4位水酸化酵素をコードする遺伝子であればいずれも用いることができるが、該遺伝子のDNA配列を宿主微生物での発現に最適なコドンとなるように、塩基を置換して用いることにより高発現化が達成できる。大腸菌を宿主として、発現に最適なコドンとなるように塩基を置換したL−プロリン4位水酸化酵素遺伝子の具体例として、配列番号1で示される塩基配列等をあげることができる。
宿主としては、Escherichia coli XL1-Blue 、Escherichia coli XL2-Blue、Escherichia coli DH1、Escherichia coliMC1000 、 Escherichia coli KY3276、Escherichia coliW1485、Escherichia coli JM109、Escherichia coli HB101、Escherichia coli No.49、Escherichia coli W3110、Escherichia coliNY49 、Bacillus subtilis 、Bacillus amyloliquefacines、Brevibacterium immariophilum ATCC14068、Brevibacterium saccharolyticumATCC14066、Brevibacterium flavum ATCC14067 、Brevibacterium lactofermentumATCC13869 、Corynebacterium glutamicum ATCC13032、Corynebacterium acetoacidophilum ATCC13870、Microbacterium ammoniaphilumATCC15354等をあげることができる。
動物細胞を宿主として用いる場合には、発現ベクターとして、例えば、pcDNAI/Amp、pcDNAI、pcDM8(いずれもフナコシ社より市販)等を例示することができる。プロモーターとしては、動物細胞の宿主中で発現できるものであればいかなるものでもよい。例えば、ヒトCMVのIE(immediate early)遺伝子のプロモーター等のプロモーターをあげることができる。また、ヒトCMVのIE遺伝子のエンハンサーをプロモーターと共に用いてもよい。宿主としては、ナマルバ細胞、HBT5637(特開昭63−299)、COS細胞、CHO細胞等をあげることができる。
プロリンによるフィードバック阻害が著しく減少したプロリン合成系酵素をコードする遺伝子としては、proB74遺伝子、DHPr proB遺伝子[ジーン(gene)、39巻、109−112ページ、(1984年)]等、プロリンによるフィードバック阻害が著しく減少したプロリン合成系酵素をコードする遺伝子をあげることができる。
共存可能なプラスミドとしては、例えば、大腸菌においては、コリシンE1系のプラスミド(例、pBR322)とpACYC系のプラスミド、コリシンE1系のプラスミドとF因子系のプラスミド、コリシンE1系のプラスミドとR因子系のプラスミド等をあげることができる。
宿主のプロリン分解活性を欠失させるには、変異剤で宿主を処理した後、例えば細菌などではPro−TTCプレート[アプライド・アンド・エンバイロメンタル・マイクロバイオロジー(Appl.Environ,Microbiol,)、33巻、434−444ページ、(1977年)]上で白色のコロニーを形成するものを選択することで取得できる。
大腸菌や酵母菌等の微生物を宿主として用いた形質転換体を培養する培地は、微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、合成培地のいずれでもよい。
窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、りん酸アンモニウム、等の各種無機酸や有機酸のアンモニウム塩、その他含窒素化合物、並びに、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼイン加水分解物、大豆粕および大豆粕加水分解物、各種発酵菌体およびその消化物等が用いられる。
培養は、振盪培養または深部通気攪拌培養などの好気的条件下で行う。培養温度は15〜40℃がよく、培養時間は、通常16〜100時間である。培養中pHは、3. 0〜9. 0に保持する。pHの調整は、無機あるいは有機の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニアなどを用いて行う。
プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、lacプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)等を、trpプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはインドールアクリル酸(IAA)等を培地に添加してもよい。
培養は、5%CO2 存在下等の条件下で行う。培養温度は35〜37℃がよく、培養時間は、通常3〜7日間である。
このように培養して得た形質転換体中には、遺伝子源として用いた微生物菌株、例えばダクチロスポランジウム・エスピーRH1等およびpTr2−4OHを保有する組換え大腸菌と比較してL−プロリン4位水酸化酵素が著量生成蓄積しており、プロリン生合成活性も強く、トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン製造を、遺伝子源として用いた微生物菌株、例えばダクチロスポランジウム・エスピーRH1等およびpTr2−4OHを保有する組換え大腸菌を用いた場合と比較して、はるかに効率的に行うことができる。
12mM L−プロリン、24mM 2−ケトグルタル酸、4mM 硫酸第一鉄および8mM L−アスコルビン酸を含有する240mMのMES〔2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸〕緩衝液(pH6. 5)に菌体、菌体処理物または酵素標品等を添加して合計250μlとし、35℃、10分間反応する。反応液を100℃、2分間加熱して反応を停止した後に、反応液中に生成したトランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンを高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと略記する)を用いて定量する。
本発明により製造されたトランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンは、前述のポストカラム誘導体化法やプレカラム誘導体化法によって、定量分析することができる。
配列番号2記載のDNAと配列番号3記載のDNAをアプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製380A・DNA合成機を用いて合成した。 該合成DNAの3’末端25bpは互いに相補的な配列となるように設計されている。さらに、該合成DNAには、Dactylosporangium sp. RH1 由来のL−プロリン4位水酸化酵素蛋白のN末端部分をコードする塩基配列が含有されているが、該塩基配列には、Dactylosporangium sp. RH1 由来の塩基配列を、大腸菌での発現に最適なコドンとなるように部位特異的な塩基置換がほどこされている。
PCRはPfuDNAポリメラーゼ(STRATAGENE社製)0.5U、Pfu DNAポリメラーゼ用×10緩衝液(STRATAGENE社製)2μl、DMSO 2μl、各2.5mMdNTP液1μl、配列番号2記載の合成DNAと配列番号3記載の合成DNA各2μMを含む反応液20μlを用い、96℃、5分間のインキュベーションの後、96℃−2分間、50℃−1分間、75℃−1分間のインキュベーション工程を35回繰り返す条件で行った。
該107bpの増幅断片を日本エイドー株式会社製のダヴィンチくん(ペンタッチリカバリーNB−7000型)を用いて回収後、該107bpのDNA断片の両末端をHind IIIおよびSal I で切断した。
参考例1に記載の方法に従って作成したプラスミドpTr2−4OHDNAをBam HIおよびPvu IIで切断後、反応液をアガロースゲル電気泳動にかけ、2つの断片が生成していることを確認した。該断片の内、L−プロリン水酸化酵素の構造遺伝子を含む長い断片をバイオラッド社製のPrep-A-geneを用いて回収し、宝酒造社製のブランティングキットを用いて末端を平滑化した後、宝酒造社製のライゲーションキットを用いて連結環状化した。
生育してきた形質転換体のコロニーより常法に従ってプラスミドを抽出し、その構造を制限酵素消化により確認した。
取得したプラスミドpTr2−4OHΔDNAをHind IIIおよびSal I で切断後、該切断部位に、HindIIIおよびSal I 処理した上記PCR増幅断片を、宝酒造社製のライゲーションキットを用いて、挿入した。
該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した。PCR増幅断片挿入部分についてはアプライドバイオシステムズ社製の塩基配列決定キット(Taq DyeDeoxyTM Terminator Cycle Sequencing Kit)を用いて、塩基配列を決定した。該塩基配列を配列番号1に示す。
第1表に示したように、pWFH1を保有する形質転換体は、遺伝子源として用いたダクチロスポランジウムエスピーRH1株と比較して1400倍、pTr2−4OHを保有する形質転換体と比較して約5.4倍のL−プロリン水酸化酵素を生産していた。
E. coli ATCC12435 のプロリン分解に関与する遺伝子putAを以下の方法で破壊し、プロリン分解系欠損株を造成した。
国立遺伝学研究所保存菌株であるE. coli ME8395 株[F- :pyrD34trp-45 his-68 thyA25 thi deoR33 galK35xyl-7 mtl-2 malA1 rpsL118 λR ( λ) - appA1 putA::Tn5 (Mu+) ]を35μg/mlのカナマイシンを含有するLB培地に植菌し、終夜培養した。
該放置液を10mM CaCl2 を含む3mlのLB軟寒天培地と混合し、10mMCaCl2 を含むLB寒天培地上に重層後、37℃で7時間培養した。 培養後、得られた寒天培地表面のライゼートを10mMCaCl2 を含む2mlのLB培地中に回収した。 該回収液に0.5mlのクロロホルムを添加し、ボルテックスミキサーを用いて混合後、3000rpmで15分間遠心し、得られた上清をP1ファージライゼートとして用いた。
大腸菌由来のγ-glutamylkinaseをコードするproB遺伝子をプロリンによるフィードバック阻害に対して脱感作された変異型遺伝子に変換したproB74遺伝子および大腸菌由来のγ-glutamylphosphate reductase をコードするproA遺伝子の発現プラスミドpPF1を以下の方法により構築した。
大腸菌由来のproBおよびproA遺伝子を含むプラスミドpPRO−1[大腸菌K83株(FERM BP−2807)より取得]をEco RVで消化し、アガロースゲル電気泳動後、Prep-A-gene DNAPurification System (BIO-RAD社製)でproB遺伝子の一部を含む約1kbのDNA断片を取得した。
該DNA断片をpUC19(宝酒造社製)のSmaI 消化物と連結し、プラスミドpBAB51を得た(図3)。該プラスミド中のproB遺伝子を、以下の方法により、公知[A. M. Dandekarand S. L. Uratsu, J. Bacteriol. 170, 5943 (1988)] のプロリンによるフィードバック阻害に対して脱感作された変異型遺伝子proB74に変換した。
PCR法により増幅された該2種類のDNAをそれぞれアガロースゲル電気泳動にかけた後、Prep-A-gene DNA Purification System (BIO-RAD社製)を用いて精製した。
該DNA断片をEco O65IおよびSac IIで消化し、EcoO65I−Sac II消化断片を取得した。
配列番号6に示したオリゴヌクレオチドp1および配列番号7に示したオリゴヌクレオチドp2をアプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製380A・DNA合成機を用いて合成した。
PCRは、pPRO74を0.1μg、p1、p2を各2μM、タカラ・イーエックス・タック(TaKaRa Ex Taq :宝酒造社製、コードRR001Q)1U、dNTPミクスチャー(宝酒造社製、カタログNo.4030)を1.6μl含む反応液20μlを用い、94℃−1分間、42℃−2分間、72℃−3分間のインキュベーション工程を30回繰り返すことにより行った。
実施例3で構築したプラスミドpPF1を用いて、実施例2で取得したE. coli WT1 株を形質転換し、形質転換株E. coliWT1/pPF1を取得した。
実施例1で構築したプロリン4位水酸化酵素発現プラスミドpWFH1で、実施例2で取得したWT1株を形質転換しE. coli WT1/pWFH1 を取得した。
WT1 、WT1/pPF1、WT1/pWFH1およびWT1/pWFH1/pPF1をそれぞれカナマイシン37.5μg/ ml、アンピシリン100μg/ ml、クロラムフェニコール30μg/ ml、そしてアンピシリン100μg/mlおよびクロラムフェニコール30μg/ mlを含むLB培地で37℃で16時間培養した。
Dactylosporangium sp. RH1 由来のL−プロリン4 位水酸化酵素遺伝子、プロリン生合成系遺伝子proB74およびproAの全ての遺伝子を単一のプラスミド上に保持し、これを発現させるような発現プラスミドpWFP1を以下の方法により構築した。
PCRはpWFH1プラスミド0.1μg 、Pfu DNAポリメラーゼ(stratagene社製)0.5 U、Pfu DNAポリメラーゼ用×10緩衝液(STRATAGENE社製)2μl、DMSO 2μl、各2.5mMdNTP液1μl、配列番号9記載の合成DNAと配列番号10記載の合成DNA各2μMを含む反応液20μlを用い、96℃、5分間のインキュベーションの後、96℃−2分間、58℃−1分間、75℃−3分間のインキュベーション工程を30回繰り返す条件で行った。
該L−プロリン4位水酸化酵素遺伝子断片と、プラスミドpBluescriptII KS(+)(stratagene社製)のHind III―EcoRI消化DNA断片とを宝酒造社製のDNAライゲーションキットを用いて連結し、L−プロリン4位水酸化酵素断片の挿入されたプラスミドpBII―4OHを構築した(図6)。
実施例3で作成したpPRO74をテンプレートとしPCR法にてproB74およびproA遺伝子を増幅した。
形質転換株WT1/pWFH1/pPF1株をアンピシリン100μg/mlおよびクロラムフェニコール30μg/mlを含む50ml Med4G培地[グルコース 2%、ポリペプトン(日本製薬社製) 1%、イーストエキストラクト(Difco社製) 0.5%、NaCl 1%、炭酸カルシウム 2%、pH7.0]に、形質転換株WT1/pWFP1株をアンピシリン100μg/ mlを含む50ml Med4G培地に、それぞれ植菌した後、30℃で16時間振とう培養した。
培養中、グルコースをほぼ1%の濃度となるように適時培養液に添加し、NH4OHを用いてpH6. 5に下限コントロールした。また、培養5時間以降に、撹拌数を250〜700rpmに変化させることにより、培養液の溶存酸素濃度が培養開始時点の1/15となるようにコントロールした。
実施例5で構築したプラスミドpWFP1を用いて、実施例2で取得したE. coliWT1株を形質転換し、形質転換株E. coli WT1/pWFP1 を取得した。
WT1/pWFP1 をアンピシリン100μg/mlを含むLB培地で37℃で16時間培養した。該培養液100μlを、2%(W/V)の炭酸カルシウムを含む10mlのMed7培地を入れた太型試験管(φ20×200mm)に植菌し、30℃で24時間培養した。 該培養上清中のL−プロリンは0.56g/Lであり、トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンは2.4g/Lであった。
形質転換体E. coli ATCC12435/pTr2-4OHを50μg/mlのアンピシリンを含む3mlLB培地に植菌し30℃、一晩振とう培養後、該培養液を遠心分離し、E.coli ATCC12435/pTr2-4OHの湿菌体を取得した。
形質転換体E. coli ATCC12435/pWFH1 をアンピシリン100μg/mlを含む100ml Med4培地〔ポリペプトン(日本製薬社製)1%、イーストエキストラクト(Difco社製)0.5%、NaCl1%〕に植菌し、30℃で16時間振とう培養した。
培養中、グルコースは無くならぬように、L−プロリンは約50mMとなるように適時添加し、NH4OHを用いて、pH6.5に下限コントロールした。
該両菌株の湿菌体は必要に応じて−20℃で凍結保存することが可能で、使用時に解凍し用いることができる。
反応液〔240mMのMES緩衝液(pH6. 5)中に、12mM L−プロリン、24mM 2−ケトグルタル酸、4mM 硫酸第一鉄および8mM L−アスコルビン酸を含有する〕250μlに湿菌体量として4%(w/v)となるように加え、35℃で10分間反応した。反応液を100℃、2分間加熱することにより反応を停止した。
配列番号13記載のセンス鎖DNAプライマーと、配列番号14に記載のアンチセンス鎖DNAプライマーをアプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製380A・DNA合成機を用いて合成した。該合成DNAをプライマーとして、pRH71[該プラスミドを含有するEscherichia coli SOLR/pRH71 (FERM BP−5025)より定法により取得]を鋳型としてPCRを行った。
該844bpの増幅断片をアガロースゲルより常法により抽出し、バイオラッド社製のPrep-A-gene を用いて断片を回収した。回収した844bpのDNA断片の両末端をHind IIIおよびBamHIで切断後、エタノール沈殿法により、エタノール沈殿を得た。該エタノール沈殿を5μlのTEに溶解した。
生育してきた形質転換体のコロニーより常法に従ってプラスミドを抽出し、その構造を制限酵素消化により確認した。構造遺伝子部分についてはアプライドバイオシステムズ社製の塩基配列決定キット(Taq DyeDeoxyTM Terminator Cycle Sequencing Kit)を用いて、塩基配列を決定し、配列番号15で示した塩基配列であることを確認した。
該方法により、Ptrp×2の転写方向と同方向にL−プロリン4位水酸化酵素の構造遺伝子をコードするDNA断片が挿入されたプラスミドpTr2−4OH(図9)を得た。
SR3培地(グルコース1.0%、可溶性澱粉1.0%、酵母エキス0.5%、トリプトン0.5%、肉エキス0.3%およびリン酸マグネシウム0.05%を含み、6N NaOHでpH7.2に調整した培地)を試験管に10mlずつ分注し、120℃、20分間殺菌した。この培地に、HT寒天平板培地に生育したダクチロスポランジウム・エスピー(Dactylosporangium sp.)RH1 を一白金耳植菌し、28℃、2日間振盪培養し、種培養液として用いた
Df1培地(可溶性澱粉5%、ソイビーンミール1.5%、リン酸1カリウム0.05%、硫酸マグネシウム7水塩0.05%および炭酸カルシウム0.5%を含み、6N NaOHでpH7.0に調整した培地)を試験管に10mlずつ分注し、120℃、20分間殺菌した。この培地に、上記種培養液1mlを無菌的に接種し、28℃、2日間振盪培養した。
該菌体を80mMTES[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸]緩衝液(pH7. 5)で洗浄後、遠心分離し、湿菌体を取得した。
該湿菌体150mgを、1. 5mlの反応液[4mM L−プロリン、8mM α−ケト−グルタル酸、4mM L−アスコルビン酸、2mM 硫酸第一鉄、を含有する80mMTES緩衝液(pH7.5)にナイミーン溶液(ナイミーンS−215(日本油脂株式会社製)4gをキシレン10mlに溶解)を1. 4%( v/v) 添加]に懸濁し、30℃、30分間反応を行った。
配列番号1−配列番号15において塩基置換されたDNA
配列番号2−合成DNA
配列番号3−合成DNA
配列番号4−合成DNA
配列番号5−合成DNA
配列番号6−合成DNA
配列番号7−合成DNA
配列番号8−融合蛋白質の構造遺伝子
配列番号9−合成DNA
配列番号10−合成DNA
配列番号11−合成DNA
配列番号12−合成DNA
配列番号13−合成DNA
配列番号14−合成DNA
Claims (9)
- 配列番号15で示される塩基配列を有するDNA、または配列番号15で示される塩基配列において宿主微生物での発現に最適なコドンとなるように塩基の置換された塩基配列を有するDNA断片をベクターに組み込んで得られる組換え体DNAを保有し、且つ、L−プロリンの生合成系の活性の強化された形質転換体。
- 配列番号15で示される塩基配列において宿主微生物での発現に最適なコドンとなるように塩基の置換された塩基配列を有するDNAが、配列番号1で示される塩基配列を有するDNAである、請求項1記載の形質転換体。
- L−プロリン生合成系の活性の強化が、宿主中のプロリン合成系遺伝子のコピー数を増加させる、プロリンによってフィードバック阻害を受けるプロリン合成系酵素遺伝子に変異を生ぜしめ、プロリンによるフィードバック阻害が著しく減少した酵素をコードする遺伝子を宿主に導入する、プロリンの分解活性を欠失させる、またはこれらを組み合わせることにより達成されることを特徴とする、請求項1記載の形質転換体。
- L−プロリン生合成系の活性の強化が、L−プロリンの生合成に係わる酵素をコードする遺伝子の導入により達成されることを特徴とする、請求項1記載の形質転換体。
- 遺伝子が、大腸菌由来のproBまたはproA遺伝子である、請求項4記載の形質転換体。
- 遺伝子が、L−プロリンによるフィードバック阻害の低減したプロリン生合成に係わる酵素をコードする遺伝子である、請求項4記載の形質転換体。
- 遺伝子が、大腸菌由来のproB74遺伝子である、請求項6記載の形質転換体。
- 請求項1〜7いずれか1項に記載の形質転換体を培地に培養して得られる培養物、菌体またはそれらの処理物を酵素源として、2−ケトグルタル酸および2価鉄イオンの存在下、水性媒体中で、L−プロリンをトランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンに変換させ、生成したトランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンを該水性媒体より採取することを特徴とするトランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンの製造法。
- 水性媒体が培養液であることを特徴とする、請求項8記載の製造法。
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