JP3763633B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真技術を用いて画像を形成するプリンター、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子写真技術を用いた画像形成装置は、外周面に感光層を有する感光体と、この感光体の外周面を一様に帯電させる帯電手段と、この帯電手段により一様に帯電させられた外周面を選択的に露光して静電潜像を形成する露光手段と、この露光手段により形成された静電潜像に現像剤であるトナーを付与して可視像(トナー像)とする現像手段と、この現像手段により現像されたトナー像を用紙等の転写媒体に転写させる転写手段とを有している。
【0003】
そして、感光体上に現像されたトナー像を用紙等の転写媒体に転写させる転写手段としては、感光体上に形成されたカラートナー像を順次転写(一次転写)し中間転写ベルト上に積み重ね、このトナー像を記録媒体に一括転写(二次転写)する中間転写方式が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の転写手段では、一次転写部材、二次転写部材の重要な特性である抵抗値に関していずれの部材も環境による抵抗変動がほとんど同じ部材を用いていた。
【0005】
このため、環境による抵抗変動が小さい部材を両者に用いた場合、二次転写部において記録媒体の抵抗値が二次転写部材の抵抗値より高くなる低温、低湿環境等で二次転写部材の幅より小さいサイズ(ハガキ用紙、封筒など)の記録媒体を印字した場合に転写に寄与しない部分に電流がリークし転写不良となることがあった。これを回避するために二次転写部材の抵抗を高くしてリーク電流を減らすことが考えられるが環境による抵抗変動の小さい部材は一般に抵抗ばらつきが大きいため部分的に転写ムラが発生するという課題があった。
【0006】
一方、環境による抵抗変動が大きい部材を両者に用いた場合、二次転写部材の抵抗が記録媒体の環境による抵抗変化とほぼ同じように変化するためリークによる二次転写不良は発生しないが、低温、低湿環境で一次転写部で必要とする電圧が大きくコストアップの要因となっていた。
【0007】
本発明は以上のような問題を解決しようとするもので、その目的は、二次転写部における転写性の安定化(転写効率の安定化)と高圧電源の低容量化を図ることのできる画像形成装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、感光体上に形成されたトナー像を中間転写ベルト裏面に配置される一次転写部材に高圧電源からバイアスを供給し前記中間転写ベルト上に一次転写し、このトナー像をバックアップローラに対して圧接される二次転写部材に高圧電源からバイアスを供給し記録媒体に二次転写する画像形成装置であって、前記二次転写部材の環境による抵抗変動を前記一次転写部材のそれより大きくし、前記二次転写部材の環境による抵抗変動を前記記録媒体の環境による抵抗変動と同等とし、前記一次転写部材の高圧電源は、一次転写のインピーダンスが所定値より大きいときは定電流に、小さいときは定電圧に制御し、前記二次転写部材の高圧電源は、二次転写のインピーダンスが所定値より大きいときは定電流に、小さいときは定電圧に制御することを特徴とする。
以上
【0009】
【作用効果】
本発明の画像形成装置によれば、一次転写部材、二次転写部材の環境による抵抗変化を最適化した。一次転写部材は環境による抵抗変化の少ない部材としたため一次転写電源を低容量化できる。一方、二次転写部材は環境による抵抗変化の大きい部材としたため、紙を主たる記録媒体とほぼ同等に抵抗が変化するため低温、低湿環境から高温、高湿環境に至るまで転写不良を生じることがない。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1は本発明に係る中間転写ユニットの一実施の形態を用いた画像形成装置の一例を示す模式図である。
【0012】
先ず、この画像形成装置の概要について説明し、次いで、主として中間転写ユニットについて詳しく説明する。
【0013】
この画像形成装置は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色のトナーによる現像器を用いてフルカラー画像を形成することのできる装置である。
【0014】
図1において、50は装置本体のケースであり、このケース50内に、露光ユニット60、給紙装置70、感光体ユニット100、現像ユニット200、中間転写ユニット300、定着ユニット400、およびこの装置全体の制御を行なう制御ユニット80、等が設けられている。
【0015】
感光体ユニット100は、感光体110と、この感光体110の外周面に当接して外周面を一様に帯電させる帯電手段としての帯電ローラ120と、クリーニング手段130とを有している。
【0016】
現像ユニット200は、現像手段として、イエロー用の現像器210Y、シアン用の現像器210C、マゼンタ用の現像器210M、ブラック用の現像器210Kを備えている。これら各現像器210Y,210C,210M,210Kは、それぞれ内部にイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのトナーを内蔵している。また、それぞれ現像ローラ211Y,211C,211M,211Kを備えており、いずれか1つの現像器の現像ローラのみが感光体110に当接し得るようになっている。
【0017】
中間転写ユニット300は、駆動ローラ310と、一次転写ローラ320と、皺取りローラ330と、テンションローラ340と、バックアップローラ350と、これら各ローラの回りに張られた無端状の中間転写ベルト360と、この中間転写ベルト360に対して接離可能なクリーニング手段370とを有している。
【0018】
バックアップローラ350には、二次転写ローラ380が対向配置されている。この二次転写ローラ380は、支軸381で揺動可能に支持されたアーム382に回転可能に支持されており、アーム382が、カム383の作動で揺動することによって、中間転写ベルト360に対して接離するようになっている。
【0019】
駆動ローラ310は、その端部に歯車311(図3参照)が固定されており、この歯車311が、感光体ユニット100の歯車144(図3参照)と噛み合っていることによって、感光体110と略同一の周速で回転駆動され、したがって中間転写ベルト360が感光体110と略同一の周速で循環駆動されるようになっている。
【0020】
中間転写ベルト360が循環駆動される過程で、一次転写ローラ320と感光体110との間において、感光体110上のトナー像が中間転写ベルト360上に転写され、中間転写ベルト360上に転写されたトナー像は、二次転写ローラ380との間に供給される用紙等の記録媒体Sに転写される。記録媒体Sは、給紙装置70から供給される。
【0021】
給紙装置70は、複数枚の記録媒体Sが積層状態で載置されるトレイ71と、ピックアップローラ72と、トレイ71上に載置された記録媒体Sをピックアップローラ72に向けて付勢するホッパ73と、ピックアップローラ72により給送される用紙を確実に1枚ずつに分離する分離ローラ対74とを有している。
【0022】
給紙装置70により給送された記録媒体Sは、第1搬送ローラ対91、第1用紙センサ91S、第2搬送ローラ対92、第2用紙センサ92S、ゲートローラ対93を経て前記第2転写部すなわち中間転写ベルト360と二次転写ローラ380との間に供給され、その後、定着ユニット400、第1排紙ローラ対94、第2排紙ローラ対95を経てケース50上に排出される。
【0023】
定着ユニット400は、熱源を有する定着ローラ410と、これに圧接されている加圧ローラ420とを有している。
【0024】
以上のような画像形成装置全体の作動は次の通りである。
【0025】
(i)図示しないホストコンピュータ(パーソナルコンピュータ等)からの印字指令信号(画像形成信号)が制御ユニット80に入力されると、感光体110、現像ユニット200の現像ローラ等、および中間転写ベルト360が回転駆動される。
【0026】
(ii)感光体110の外周面が帯電ローラ120によって一様に帯電される。
【0027】
(iii)一様に帯電した感光体110の外周面に、露光ユニット60によって第1色目(例えばイエロー)の画像情報に応じた選択的な露光Lがなされ、イエロー用の静電潜像が形成される。
【0028】
(iv)感光体110には、第1色目(例えばイエロー)用の現像器210Yの現像ローラ211Yのみが接触し、これによって上記静電潜像が現像され、第1色目(例えばイエロー)のトナー像が感光体110上に形成される。
【0029】
(v)感光体110上に形成されたトナー像が、一次転写部すなわち、感光体110と一次転写ローラ320との間において中間転写ベルト360上に転写される。このとき、クリーニング手段370および二次転写ローラ380は、中間転写ベルト360から離間している。
【0030】
(vi)感光体110上に残留しているトナーがクリーニング手段130によって除去された後、除電手段からの除電光L’によって感光体110が除電される。
【0031】
(vii)上記(ii)〜(vi)の動作が必要に応じて繰り返される。すなわち、上記印字指令信号の内容に応じて、第2色目、第3色目、第4色目、と繰り返され、上記印字指令信号の内容に応じたトナー像が中間転写ベルト360上において重ね合わされて中間転写ベルト360上に形成される。
【0032】
(viii)所定のタイミングで給紙装置70から記録媒体Sが供給され、記録媒体Sの先端が第2転写部に達する直前にあるいは達した後に(要するに記録媒体S上の所望の位置に、中間転写ベルト360上のトナー像が転写されるタイミングで)二次転写ローラ380が中間転写ベルト360に押圧され、中間転写ベルト360上のトナー像(基本的にはフルカラー画像)が記録媒体S上に転写される。また、クリーニング手段370が中間転写ベルト360に当接し、二次転写後に中間転写ベルト360上に残留したトナーが除去される。
【0033】
(ix)記録媒体Sが定着ユニット400を通過することによって記録媒体S上にトナー像が定着し、その後排紙ローラ対94,95を経て記録媒体Sがケース50上に排出される。
【0034】
以上、画像形成装置の概要について説明したが、次に主として中間転写ユニット300の詳細について説明する。
【0035】
図2は主として中間転写ユニット300を示す一部省略側面図である。
【0036】
前述したように中間転写ユニット300は、駆動ローラ310と、一次転写ローラ320と、皺取りローラ330と、テンションローラ340と、バックアップローラ350と、これら各ローラの回りに張られた無端状の中間転写ベルト360と、この中間転写ベルト360に対して接離可能なクリーニング手段370とを備えており、これら各部材等は、図2に示すように、フレーム301に取り付けられている。
【0037】
フレーム301は、一対の側板(図2では手前側の側板を省略してある)からなっており、その側板間に上記各部材等が取り付けられている。逆にいえば、一対の側板が上記各部材の軸によって連結されている構造となっている。なお、図2においては、以下で説明される一対の部材については、その手前側のものが全て省略されている。
【0038】
駆動ローラ310は、軸312によってフレーム301に回転可能に支持されており、その一端に前述した歯車311(図3参照)が固定されており、この歯車311が、感光体ユニット100の歯車144と噛み合っていることによって、感光体100と略同一の周速で回転駆動されるようになっている。なお図3において、500は駆動モータであり、その出力軸501に固定されたピニオン510が減速歯車520を介して感光体110端部に設けられた歯車144と噛み合っていることによって、感光体110が回転駆動されるようになっている。また、歯車311は、中間歯車520および減速歯車521を介して、感光体ユニット100(図1参照)のトナー搬送スクリュー133の駆動歯車133bと噛み合っており、これによってトナー搬送スクリュー133が回転駆動されるようになっている。
【0039】
図2に示すように、一次転写ローラ320は、その軸321が、一対の軸受部材322を介してフレーム301に回転可能に支持されている。一次転写ローラ320に電圧を印加するための電極板323は、その長穴323aがフレーム301に設けられネジ穴302にネジ止めされることにより支持されている。また、軸受部材322は、フレーム301に設けられた凹所303にスライド可能(図2で上下動可能)に支持されているとともに、この軸受部材322とフレーム301との間には付勢手段としての圧縮コイルバネ324が設けられている。
【0040】
したがって、一次転写ローラ320は、その軸321の両端が一対の圧縮コイルバネ324によって付勢されることによって、中間転写ベルト360を介して感光体110に圧接される。
【0041】
皺取りローラ330は、その軸331によってフレーム301に回転可能に支持されている。
【0042】
テンションローラ340は、その軸341が、フレーム301に設けられた長穴304に対して回転可能かつスライド可能に支持されている。軸341には、その両端部分において一対のアーム342の一端342aが当接している。アーム342は、軸343でフレーム301に対して揺動可能に支持されており、その他端342bと、フレーム301との間に引っ張りバネ344が設けられている。
【0043】
したがって、テンションローラ340は、この引っ張りバネ344により、アーム342を介して常時中間転写ベルト360を張る方向に付勢されている。
【0044】
バックアップローラ350は、その軸351によってフレーム301に回転可能に支持されている。
【0045】
中間転写ベルト360は、上記各ローラ310,320,330,340,350の回りに張られており、駆動ローラ310によって図2において矢印方向(時計方向)に循環駆動される。
【0046】
クリーニング手段370は、中間転写ベルト360の外周面に残留し付着しているトナーを払い落とすファーブラシ371と、さらに中間転写ベルト360の外周面に残留し付着しているトナーを掻き落とすクリーナブレード372と、これらファーブラシ371あるいはクリーナブレード372によって払い落とされあるいは掻き落とされたトナーを搬送する搬送手段としてのトナー搬送スクリュー373とを備えており、これら各部材は、ケース374に組み込まれている。
【0047】
ケース374の下部には、トナー回収室375が形成されており、このトナー回収室375内に、前記ファーブラシ371、クリーナブレード372、およびトナー搬送スクリュー373が配置されている。
【0048】
ファーブラシ371は、ケース374の側板を貫通する軸371aに固定され、この軸371aが図示しない駆動手段によって駆動されることによって、図2矢印方向に回転駆動される。
【0049】
クリーナブレード372は、取付板372aによってケース374に取り付けられており、その先端(下端)が中間転写ベルト360外周面に当接してトナーを掻き落とすようになっている。
【0050】
トナー搬送スクリュー373は、ケース374の側板を貫通する軸373aが図示しない駆動手段によって駆動されることによって、図2矢印方向に回転駆動され、トナー回収室375内に回収されたトナーを廃トナーとして、図示しない廃トナーボックスに搬送する。
【0051】
ケース374は、その両側面に設けられた円筒部374aが、軸受部材376を介してフレーム301に回動可能に支持されている。
【0052】
ケース374の下端両側には、フック377が取り付けられており、このフック377とフレーム301との間に引っ張りバネ378が設けられている。
【0053】
したがって、この引っ張りバネ378によって、ケース374は、ファーブラシ371およびクリーナブレード372が中間転写ベルト360に対して圧接される方向(時計方向)に常時付勢されているが、中間転写ユニット300には、カム55が設けられており(図1参照)、このカム55がケース374の下端と当接していることによって、ケース374の回動が規制されるようになっている。
【0054】
カム55は、図示しない駆動手段によって駆動され、図2に示す位置にあるとき、ケース374を仮想線で示すように反時計方向に回動させ、ファーブラシ371およびクリーナブレード372を中間転写ベルト360から離間させるようになっている。
【0055】
図2において、56は、駆動ローラ310に対向する位置となるように画像形成装置本体に設けられた位置検出センサであり(図1参照)、中間転写ベルト360の位置を検出するためのものである。
【0056】
以上のような中間転写ユニット300は、画像形成装置本体に対して着脱可能となっている。
【0057】
さらに、この実施の形態では、種々の工夫がなされ、あるいはなすことが可能であるので、以下それについて説明する。
【0058】
<駆動ローラ310に関し>
(1)駆動ローラ310の外径は、感光体110の周速に対して中間転写ベルト360の周速が僅かに(公差の範囲内で)速くなるように構成してある。
【0059】
感光体110の周速と、感光体110からトナー像が転写される中間転写ベルト360の周速とは、完全に一致していることが望ましい。
【0060】
しかしながら、感光体110の外径および駆動ローラ310の外径には公差があるため、前記周速同士を完全に一致させることは不可能である。このような状況において、駆動ローラ310への巻掛け部分における中間転写ベルト360の周速が感光体110の周速よりも僅かに遅くなったとすると、感光体110と一次転写ローラ320との圧接位置(一次転写位置T1)と、駆動ローラ310との間において、中間転写ベルト360に対しこれを弛ませようとする力が極僅かとはいえ作用することとなり、一次転写位置T1における中間転写ベルト360の状態が不安定となってしまう。
【0061】
そこで、この実施の形態では、駆動ローラ310の外径を、感光体110の周速に対して中間転写ベルト360の周速が僅かに(公差の範囲内で)速くなるように構成した。
【0062】
このように構成すると、感光体110と一次転写ローラ320との圧接位置(一次転写位置T1)と、駆動ローラ310との間において、中間転写ベルト360が、僅かではあるが常に張り状態となるため、一次転写位置T1における中間転写ベルト360の状態が安定することとなる。
【0063】
なお、駆動ローラ310の外周面の振れ量は、±0.05mm以下とした。
【0064】
(2)中間転写ベルト360の周期が駆動ローラ310の周期の整数倍となるように構成した。
【0065】
このように構成すると、駆動ローラ310の軸あるいは外周面の振れによって生じる、中間転写ベルト360上で重ね合わされる各色のトナー像の間におけるズレの量を低減することができる。
【0066】
なお、具体的には、上記比率は5:1とした。
【0067】
(3)中間転写ベルト360の周期が感光体110の周期の整数倍となるように構成した。
【0068】
このように構成すると、感光体110の軸あるいは外周面の振れによって生じる、中間転写ベルト360上で重ね合わされる各色のトナー像の間におけるズレの量を低減することができる。
【0069】
なお、具体的には、上記比率は2:1とした。
【0070】
(4)駆動ローラ310に対する中間転写ベルト360の巻掛け角は、90゜以上とし、かつ、他のローラに対する巻掛け角より大きくした。
【0071】
このように構成すると、駆動ローラ310と中間転写ベルト360との摩擦係数が小さくても、あるいは長期使用によって小さくなっても、安定して中間転写ベルト360を駆動することができる。
【0072】
なお、具体的には、上記巻掛け角は、151゜程度とした。
【0073】
また、駆動ローラ310の外周面には、摩擦係数を上げるために、ウレタンコートを施した。
【0074】
<バックアップローラ350に関し>
バックアップローラ350と二次転写ローラ380との圧接部、すなわち二次転写部T2(図2参照)における、中間転写ベルト360と記録媒体Sとの分離方式は、曲率分離方式とし、バックアップローラ350の直径をφ35mm以下、バックアップローラ350に対する中間転写ベルト360の巻掛け角度を90゜以上とした。
【0075】
このように構成することによって、記録媒体Sが中間転写ベルト360から確実に分離されるようになる。
【0076】
なお、より望ましくは、バックアップローラ350の直径をφ30mm以下、バックアップローラ350に対する中間転写ベルト360の巻掛け角度を105゜以上とする。具体的には、直径をφ30mm、巻掛け角度を109゜とした。
【0077】
また、中間転写ベルト360の表面抵抗は、1012Ω以下とすることが望ましい。
【0078】
<クリーニング手段370に関し>
(1)テンションローラ340を、バックアップローラ350に比べて、水平方向においてクリーニング手段370側に偏位させ(近づけ)、ファーブラシ371と中間転写ベルト360との当接部の下方にトナー回収室375の一部が開口する構成とした。
【0079】
このように構成すると、ファーブラシ371によって払い落とされたトナーが、トナー回収室375に回収され易くなる。
【0080】
より望ましくは、テンションローラ340とバックアップローラ350との間における中間転写ベルト360と鉛直線Vとのなす角度θ(すなわちテンションローラ340とバックアップローラ350の共通接線と鉛直線Vとのなす角度θ)を10゜以上、さらに望ましくは15゜以上とする。
【0081】
このように構成すると、ファーブラシ371によって払い落とされたトナーが、トナー回収室375により確実に回収され易くなるとともに、クリーニング手段370が中間転写ベルト360から離間する際に落下するトナーもトナー回収室375内に回収され易くなる。
【0082】
(2)クリーニング手段370の中間転写ベルト360に対する付勢力を受ける手段をテンションローラ340で兼用した。
【0083】
このように構成することによって製造コストを削減することができる。また、これとは別にテンションローラを設ける必要がなくなり、ローラの本数を少なくすることができるので、各ローラが大きな巻掛け角をとれるようになる。
【0084】
<皺取りローラ330に関し>
皺取りローラ330を、一次転写位置T1に対し、中間転写ベルト360の循環方向上流側において近接させて配置し、皺取りローラ330に対する中間転写ベルト360の巻掛け角度を10゜以上とした。
【0085】
このように構成することによって、テンションローラ340と皺取りローラ330との間で中間転写ベルト360に生じる皺(皺取りローラ330からテンションローラ340方向を見たときの波打ち状態)を皺取りローラ330で除去し、一次転写位置T1における中間転写ベルト360の状態を平滑なものとすることができる。
【0086】
なお、より望ましくは、皺取りローラ330に対する中間転写ベルト360の巻掛け角度を15゜以上とする。具体的には17.6゜とした。
【0087】
また、皺取りローラ330に代えて、中間転写ベルト360の進行方向を10゜以上変更させる手段(例えばガイド板等)を設けても良い。
【0088】
<一次転写位置T1に関し>
(1)一次転写位置T1において、中間転写ベルト360が感光体110に対して接線方向に直線的に張られるように、駆動ローラ310,一次転写ローラ320,および皺取りローラ330を配置した。
【0089】
このような構成とすることによって、ベルトテンションによらず転写ニップを安定させることができる。仮に、一次転写ローラ320に対して中間転写ベルト360を巻掛け、その巻掛け部分において一次転写位置T1を形成したとすると、中間転写ベルト360の張力の変動が一次転写位置T1に与える影響が大きくなるが、中間転写ベルト360を一次転写ローラ320に巻掛けずに感光体110に対して接線方向に張る構成とすることによって、上記影響を低減することができる。
【0090】
(2)一次転写位置T1を駆動ローラ310に対して近接させて配置した。
【0091】
一次転写位置T1と駆動ローラ310との間の距離が大きくなると、この間における中間転写ベルト360の伸縮量がおおきくなって、一次転写位置T1における中間転写ベルト360の走行速度が不安定になる。
【0092】
そこで、この実施の形態では、一次転写位置T1を駆動ローラ310に対して近接させて配置することによって、一次転写位置T1における中間転写ベルト360の走行速度の安定化を図っている。
【0093】
一次転写位置T1と駆動ローラ310との間の距離L1(図2参照)は、望ましくは40mm以下、より望ましくは、35mm以下とする。具体的には、30.5mm程度とした。
【0094】
(3)皺取りローラ330から駆動ローラ310までの中間転写ベルト360の直線部の長さを、アスペクト比で0.25以下、より望ましくは0.15以下とする。
【0095】
上記皺の影響をより効果的に抑制するためである。
【0096】
なお、具体的には、上記直線部の長さを55.5mm程度とした。
【0097】
<位置検出に関し>
前述したように、位置検出センサ56を、駆動ローラ310に対向する位置に配置し、駆動ローラ310上で中間転写ベルト360の位置を検出するようにした。
【0098】
これによって、中間転写ベルト360の走行周期を正確に検出することができる。
【0099】
位置検出センサ56は、反射型の光センサとし、中間転写ベルト360上には、この位置検出センサ56によって検出されるべきマークを印刷によって設けた。
【0100】
位置検出センサを透過型の光センサとし、これによって検出されるべき穴を中間転写ベルト360に開けた場合には、穴に応力が集中してその形状が変形するため、正確な検出を行なうことができなくなるおそれがあるが、この実施の形態では、位置検出センサ56を反射型の光センサとし、これによって検出されるべきマークを中間転写ベルト360上に印刷によって設けたので、中間転写ベルト360の走行周期を正確に検出することができる。
【0101】
<中間転写ベルト360の張架構成等について>
中間転写ベルト360の張架構成は、一次転写位置T1から二次転写位置T2までの間の中間転写ベルト360上の長さを、A4サイズの用紙の横方向長さ以上とし、二次転写位置T2から一次転写位置T1までの間の中間転写ベルト360上の長さについても、A4サイズの用紙の横方向長さ以上とした。すなわち、このような長さとなるように、中間転写ベルト360を張架した。
【0102】
このような構成とすると、A4サイズの用紙に連続して印字する場合において、二次転写ローラ380を中間転写ベルト360に当接させるタイミングを用紙間に設定する、すなわち、一次転写中には二次転写ローラ380を当接させないようにすることができる。
【0103】
一次転写中に二次転写ローラ380を中間転写ベルト360に当接させると、そのショックで一次転写による画像に乱れが生じるおそれがあるが、上記の構成とすることによって、このような事態を防止することができる。
【0104】
<クリーニング手段370に関し>
(1)クリーナブレード372は、ウレタンゴム製とし、その自由長を8mm程度、厚みを3mm程度、ヤング率を7〜9MPa程度、ホルダー角(無荷重状態でのブレードと、その当接位置におけるローラの接線とのなす角度)を20゜程度、中間転写ベルト360への当接圧を45gf/cm程度とした。
【0105】
このように構成すると、トナーのすり抜けや、ブレードの振動、めくり上がりによるクリーニング不良が生じないようにできる。
【0106】
(2)ケース374とは別に廃トナーボックスを設けた。
【0107】
このように構成すると、ケース374内に多量の廃トナーが溜まるということがなくなるので、ケース374を揺動させる際の負荷、および揺動させた後にケース374に作用する力の変動を低減させることができ、結果としてクリーナブレード372の中間転写ベルト360に対する当接圧を安定化させることができる。
【0108】
(3)トナー搬送スクリュー373の軸373a(図2参照)を、ケースの回動中心とした。
【0109】
このように構成すると、他の固定部材、例えばケース374の廃トナー搬出口と、廃トナーボックスのトナー受け入れ口との相対的位置関係を確保するのが容易になる。
【0110】
(4)カム55は、SINカムとした。
【0111】
このように構成することによって、中間転写ベルト360に対する衝撃を小さくすることができる。
【0112】
<パッチセンシングに関し>
パッチセンシング、すなわち、試し印字時のトナー量検出は、駆動ローラ310上の中間転写ベルト360で行なうようにした。
【0113】
このように構成することによって、巻掛け角が大きく、速度的にも安定した場所で行なうことができる。
【0114】
<ビードに関し>
ビードは、中間転写ベルト360の裏面に循環方向に沿って設けられる突条であり、この突条を、ベルトが巻掛けられるローラに形成された凹溝(規制溝)に係合させることによって、ベルトの(ローラの軸線方向における)位置を規定するためのものである。
【0115】
このビードは必ずしも設けなくても良いものであり、図2に示した実施の形態においても設けられてはいないが、設ける場合には、次のような構成とする。
【0116】
(1)ビードとしてはシリコンゴムを用い、その厚さ(突出高さ)は1.5mm程度とし、幅は4mm程度とする。
【0117】
(2)ビードの規制溝に対する摩擦係数は、いずれのローラに対する中間転写ベルト360の基材の摩擦係数よりも、小さくする。
【0118】
このように構成することによって、ビードと規制溝との摩擦力にるベルト軸方向のテンション勾配の発生を低減することができる。
【0119】
なお、ローラに対する中間転写ベルト360の基材の摩擦係数は0.4程度である。
【0120】
(3)ビードの弾性強度は、E=2.0〜8.0MPa程度とする。
【0121】
柔らかすぎると規制部でのスラスト方向の応力が一箇所に集中し、それがビード接着部の狭い範囲に集中してしまうからである。
【0122】
逆に硬すぎると、ベルトの曲がり部分に対するビードの関与が大きくなってしまうからである。
【0123】
なお、より望ましくは、ビードの弾性強度は、
t1:ベルト膜厚
t2:ビード厚
E1:ベルトヤング率(〜4.0×103[MPa])
としたとき、
1.0〜(t1/t2)2E1[MPa]とする。
【0124】
(4)ビード規制溝は、一次転写位置T1に隣接していないローラに設ける。
【0125】
このように構成すると、ビードと規制溝との接触によるランダムな中間転写ベルト360の変動によって、中間転写ベルト360上において重ね合わせれられる各色トナー像間の位置ズレを低減することができる。
【0126】
例えば、ビード規制溝は、バックアップローラ350の端部に、段付きのフランジを取り付けることによって構成する。
【0127】
(5)ビード幅に対して、規制溝の幅を多少大きくし、ビード貼着の真直性に対してマージンを持たせる。
【0128】
例えば、ビード幅が4mm程度であれば、規制溝の幅は4.2mm程度とする。
【0129】
<中間転写ユニット300の交換、取扱いに関し>
(1)中間転写ユニット300を机上等に置いたときに、中間転写ベルト360が机上面等と接触しない構造として、中間転写ベルト360の破損や異物付着を防止する。
【0130】
(2)中間転写ユニット300を机上等に置いたときに、駆動伝達部(例えば歯車311等)が机上面等と接触しない構造として、駆動伝達部の変形やの破損を防止する。
【0131】
(3)中間転写ユニット300の電極部を駆動伝達部の反対側に設けた構造として、電極の汚れや、接点不良を防止する。
【0132】
(4)中間転写ユニット300を装着しないと、感光体ユニット100を装着することができない構造として、誤った取付を防止する。
【0133】
(5)廃トナーボックスの容量を中間転写ベルト360の寿命に対応させ、中間転写ユニット300とともに廃トナーボックスも交換される構造とし、取扱い性を向上させる。
【0134】
<シーケンスに関し>
(1)露光書き込みタイミングの基準となる中間転写ベルト360の位置検出をを行なう際には、一次転写のバイアスを印加する、すなわち、位置検出前に一次転写のバイアスを印加することとする。
【0135】
このようにすると、4色それぞれの、位置検出から一次転写までの、一次転写位置T1における中間転写ベルト360への負荷がほぼ等しくなり、中間転写ベルト360上において重ね合わせれられる各色トナー像間の位置ズレ(このズレをレジストずれという)を抑制することができる。
【0136】
(2)中間転写ベルト360の停止時における、位置検出用マークの位置が、一次転写位置T1よりも上流側にあるようにした。例えば、図2においてMで示す位置にあるようにした。
【0137】
このようにすると、中間転写ベルト360の回転初期における、バイアス印加による中間転写ベルト360の張力が不安定なときに位置検出を行なうことができ、周期ズレによる、レジストずれを回避することができる。
【0138】
<中間転写ユニット300のフレーム301に関し>
フレーム301の側板を絶縁部材で構成することによって、ローラにバイアスを印加するためのローラ軸(および/または軸受部材)に対する絶縁を不要とする。
【0139】
また、絶縁部材としてABS樹脂を用いることによって、フレーム301の熱膨張率を、中間転写ベルト360のそれとほぼ同じにし、温度変化による相対位置ずれを防止することができる。
【0140】
【実施例】
以下、さらに具体的な実施例について説明する。
【0141】
以下の説明は、主として転写プロセスについてのものである。
【0142】
<一次転写効率の安定化を図るために>
(1)一次転写のインピーダンス(不図示の一次転写用電源の出力電圧と出力電流の比)が大きいとき(略30MΩ以上のとき)は定電流に、インピーダンスが小さいとき(略30MΩ以下のとき)には、定電圧制御となる高圧電源を用いた。定電流設定値は15μA、定電圧設定値は450Vとした。
【0143】
これによって、トナー量(層厚)、環境、および部材抵抗にバラツキがあったとしても良好な転写がなされるようになった。
【0144】
(2)中間転写ベルト360の表面抵抗を108〜1012Ω/□、体積抵抗率を 108〜1012Ωcmとした。
【0145】
また、一次転写ローラ320は、径12mmの軸に外径22mm、幅358mmのサイズとした。材質はウレタンにカーボンを分散したローラとし、その抵抗は106〜108Ω(より好ましくは107Ω程度)とし、硬度は45± 5゜とし、感光体110に対する圧接荷重は1.0〜3.5kg(より好ましくは2.5kg程度)とした。即ち、28〜98g/cm(より好ましくは70g/cm程度)とした。
【0146】
以上のような抵抗値の範囲とすると、1200V以下と比較的低電圧で転写が可能となる。
【0147】
また、以上のような硬度および荷重の範囲とすると、いわゆる中抜けを防止することができる。
【0148】
(3)使用するトナーの外添剤の量については、大粒径(一次粒子径40nm)の外添剤の量を0.5〜4.0wt%(より好ましくは0.7wt%程度)とし、小粒径(一次粒子径14nm)の外添剤の量を1.5〜4.0wt%(より好ましくは2.0wt%程度)とした。
【0149】
大粒径の外添剤は、主にトナーの耐久安定性(濃度安定性)を向上させるために必要であり、この点からすれば多いほど良いが、4.0wt%を越えると、トナーの流動性が悪くなり、中抜けその他に影響して好ましくないからである。
【0150】
また、小粒径の外添剤は、主にラフ紙の転写性を向上させるために必要であり、この点からすれば多いほど良いが、4.0wt%を越えると、浮遊シリカが引き金となり、感光体110や中間転写ベルト360がフィルミングし易くなって好ましくないからである。
【0151】
<二次転写効率の安定化を図るために>
(1)二次転写のインピーダンス(不図示の二次転写用電源の出力電圧と出力電流の比)が大きいとき(略20MΩ以上のとき)は定電流に、インピーダンスが小さいとき(略20MΩ以下のとき)には、定電圧制御となる高圧電源を用いた。定電流設定値は30μA、定電圧設定値は600Vとした。
【0152】
これによって、紙種、環境、および部材抵抗にバラツキがあったとしても、良好な転写がなされるようにした。
【0153】
(2)中間転写ベルト360の表面抵抗を108〜1012Ω/□、体積抵抗率を 108〜1012cmとした。
【0154】
また、二次転写ローラ380は、径15mmの軸に外径25mm、幅332mmのサイズとした。材質は過加塩素酸リチウム等のイオン導電剤で導電化処理したローラとし、その抵抗は、低温、低湿環境下では3×107Ω〜1×108Ω、高温、高湿環境下では1×106〜 1×107Ωとし、硬度は60±5゜とし、バックアップローラ350に対する圧接荷重は5.0〜9.0kg(より好ましくは7.0kg程度)とした。即ち150〜270g/cm(より好ましくは210g/cm程度)とした。
【0155】
以上のような抵抗値の範囲とすると、4000V以下、200μA以下で転写が可能となる。
【0156】
なお、バックアップローラ350は、接地し、アースローラとした。
【0157】
(3)使用するトナーの外添剤の量については、大粒径の外添剤の量を0.5〜4.0wt%(より好ましくは0.7wt%程度)とし、小粒径の外添剤の量を1.5〜4.0wt%(より好ましくは2.0wt%程度)とした。
【0158】
その理由は前述した通りである。
【0159】
以上、述べてきた一次転写部、二次転写部について実験例を表1に示す。
【0160】
【表1】
Figure 0003763633
【0161】
実験NO.1に示すように一次転写ローラは環境により抵抗変動の小さい部材、二次転写ローラは抵抗変動の大きい部材を用いることにより良好な二次転写性と一次転写電源の低容量化を実現できた。
【0162】
<用紙等の記録媒体Sの裏面汚れを防止するために>
二次転写ローラ380が中間転写ベルト360に当接している時で、紙間もしくは色間時に、トナーを中間転写ベルト360に戻す方向の電圧(0〜−600V程度)を印加するようにした。
【0163】
このように構成すると、二次転写ローラ380に付着するトナーが低減し、記録媒体Sの裏面汚れが低減される。
【0164】
<ラフ紙(ボンド紙)に対しても良好な転写がなされるようにするために>
(1)二次転写ローラ380は、その硬度を60±5゜とし、バックアップローラ350に対する圧接荷重は5.0〜9.0kg(より好ましくは7.0kg程度)とした。
【0165】
(2)使用するトナーの外添剤の量については、大粒径の外添剤の量を0.5〜4.0wt%(より好ましくは0.7wt%程度)とし、小粒径の外添剤の量を1.5〜4.0wt%(より好ましくは2.0wt%程度)とした。
【0166】
また、トナーとしては、粒径7μm程度の高濃度顔料トナーを用いた。
【0167】
(3)二次転写前のトナー量、すなわち、中間転写ベルト360上のトナー量を、1.5mg/cm2以下とした。
【0168】
以上(1)〜(3)の構成とすることによって、ニーナボンド紙のようなラフ紙に対しても良好な転写状態を得ることができる。
【0169】
すなわち、二次転写ローラ380を上記のような高硬度とし、これに与える荷重を高くすることによって、用紙表面をトナーに密着させることができ、高電界を形成しても、放電による転写不良が抑制される。なお、高荷重によって用紙の搬送状態も安定化する。
【0170】
さらに、二次転写前のトナー量を上記のように少なくすることにより、トナーの転写効率を高めることができる。
【0171】
<中抜けを防止するために>
(1)中間転写ベルト360の材質は、導電剤としてカーボンブラック等を分散させたETFEもしくはフッ素微粒子含有ウレタン塗料をコートしたアルミ蒸着PETもしくは導電剤としてカーボンブラック等を分散させたポリイミドとした。
【0172】
なお、感光体110の材質は、ポリカーボネイトとした。
【0173】
(2)一次転写ローラ320は、その硬度を45±5゜とし、感光体110に対する圧接荷重を1.0〜3.5kgとした。
【0174】
(3)二次転写ローラ380は、その硬度を60±5゜とし、バックアップローラ350に対する圧接荷重は5.0〜9.0kgとした。
【0175】
(4)使用するトナーの外添剤の量については、大粒径の外添剤の量を0.5〜4.0wt%(より好ましくは0.7wt%程度)とし、小粒径の外添剤の量を1.5〜4.0wt%(より好ましくは2.0wt%程度)とした。
【0176】
また、流動性についてはA.D 0.35g/cc程度とした。
【0177】
以上のような構成とすると次のような作用効果が得られる。
【0178】
すなわち、一次転写部においては、感光体110から中間転写ベルト360への転写条件が、低硬度、低荷重、高流動性トナーとなっているので、中抜けが防止される。
【0179】
二次転写部においては、中間転写ベルト360からの転写条件が高硬度、高荷重となっているが、中間転写ベルト360の材質がフッ素系となっており、高流動性トナーとなっていることによって、中抜けが防止される。
【0180】
<散り(トナーの飛散)を低減するために>
(1)一次転写位置(一次転写部)T1の上流側近くに皺取りローラ330を設けた。
【0181】
(2)使用するトナーの外添剤の量については、大粒径の外添剤の量を0.5〜4.0wt%(より好ましくは0.7wt%程度)とし、小粒径の外添剤の量を1.5〜4.0wt%(より好ましくは2.0wt%程度)とした。
【0182】
また、流動性についてはA.D 0.35g/cc程度とし、帯電量は−10μC/g以上とした。
【0183】
(3)中間転写ベルト360の表面粗さは、Rmax1μm(より好ましくは0.7μm)以下とした。
【0184】
また、中間転写ベルト360の表面抵抗を108〜1012Ω/□、体積抵抗率 を108〜1012Ωcmとした。
【0185】
以上のようなの構成とすると次のような作用効果が得られる。
【0186】
すなわち、一次転写部においては、皺取りローラ330によって中間転写ベルト360の皺が低減し、散りが抑制される。
【0187】
二次転写部においては、中間転写ベルト360上のトナーが安定して搬送され、散りが抑制される。
【0188】
<低コスト化を図るために>
(1)中間転写ベルト360は、AL蒸着したシート状のPET上に、ウレタンをベースとしPEFT粒子および導電剤としてのSnOを分散させた塗料を塗布し、両端を超音波融着で接着して無端状の中間転写ベルト360を構成する。
【0189】
なお、両端接着によって生じる段差は50μm以下、より望ましくは30μm以下とする。塗料のヤング率は、1.5×104kgf/cm2程度とする。塗料の表面抵抗は、108〜1012Ω/□程度とし、表面粗さはRmax1μm(よ り好ましくは0.7μm)以下ととする。電極構成は、端縁部のAL面に導電層を印刷し、ローラ電極(1MΩ以下)によりバイアス印加する構成とする。
【0190】
(2)高圧電源は、一次転写部については電流吸い込み型の定電圧制御とし、二次転写が終了するまで一次転写電圧を印加することとする。
【0191】
以上(1)(2)のような構成とすると、転写効率およびクリーニング性を向上させることができる。
【0192】
また、一次転写ローラについては、これをバックアップローラとしてのみ機能させ、電極として機能させる必要がなくなる。
【0193】
さらに、上記の電極構成および電源構成とすることにより、一次、二次同時転写時の干渉による画質劣化を抑えることができる。
【0194】
以上、本発明の実施の形態および実施例について説明したが、本発明は上記の実施の形態または実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。
【0195】
【発明の効果】
本発明の画像形成装置によれば、一次転写部材、二次転写部材の環境による抵抗変化を最適化したため一次転写電源を低容量化できかつ二次転写部において低温、低湿環境から高温、高湿環境に至るまで転写不良を生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る中間転写ユニットの一実施の形態を用いた画像形成装置の一例を示す模式図。
【図2】主として中間転写ユニット300を示す一部省略側面図。
【図3】歯車列の主要部分を示す図。
【符号の説明】
110 感光体
T1 一次転写位置
T2 二次転写位置
310 駆動ローラ
360 中間転写ベルト

Claims (3)

  1. 感光体上に形成されたトナー像を中間転写ベルト裏面に配置される一次転写部材に高圧電源からバイアスを供給し前記中間転写ベルト上に一次転写し、このトナー像をバックアップローラに対して圧接される二次転写部材に高圧電源からバイアスを供給し記録媒体に二次転写する画像形成装置であって、前記二次転写部材の環境による抵抗変動を前記一次転写部材のそれより大きくし、前記二次転写部材の環境による抵抗変動を前記記録媒体の環境による抵抗変動と同等とし、前記一次転写部材の高圧電源は、一次転写のインピーダンスが所定値より大きいときは定電流に、小さいときは定電圧に制御し、前記二次転写部材の高圧電源は、二次転写のインピーダンスが所定値より大きいときは定電流に、小さいときは定電圧に制御することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記一次転写部材はカーボンブラックで導電化処理されたローラであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記二次転写部材はイオン導電剤で導電化処理されたローラであることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
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