JP3763450B2 - 回転軸のグランドパッキンによる軸封装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、微粉粒体を含む高温高圧気体の中に設置される回転軸を持った機械装置のグランドパッキンによる軸封装置に関するものであり、微粉粒体の侵入によるグランドパッキンの摩耗、当該摩耗に伴うシール機能の低下を抑制して、グランドパッキンによる軸封装置の耐久性を著しく向上させるものである。
【0002】
【従来の技術】
微粉粒体が混入している高温、高圧(例えば1kg/cm2以上)ガス容器の端壁を貫通する回転軸をグランドパッキンによる軸封装置でシールしている機械装置には様々なものがある。特に加圧流動床ボイラ(以下PFBCという)においては、高温高圧の燃焼ガスにサブミクロンから数mmの範囲で灰粒子が入っており、PFBC本体より抜き出される炉底灰やサイクロン等で補集されるフライアッシュを、回転軸を有する機械装置で排出することも行われており、その軸封装置としては図2に示すようなグランドパッキンと不活性ガスによる流体シールとを組み合わせたものが一般的に使用されている。
図2に示す軸封装置はPFBCの炉底灰やフライアッシュの冷却搬送用として設置されたスクリューフィーダの軸封装置の例である。スクリューフィーダの端壁20をスクリューフイーダ軸21が貫通しており、内部側よりグランドパッキン22、シールガス導入用ランタンリング23、グランドパッキン24の順で配置されている。ランタンリングより導入される不活性ガス(空気又はN2ガス等)はスクリューフィーダの内圧より若干高い圧力で調節され、スクリューフィーダ内部よりグランドパッキン側に侵入しようとする微粉灰を確実にパージしようとするものである。
以上の従来の軸封装置においては、不活性ガスによってグランドパッキンに侵入してきた灰をパージしようとするものであるが、回転軸の擁みや振れ等によって回転軸とグランドパッキンの隙間が均一とはならず、パージガスの流速もアンバランスとなって多少とも微粉灰がグランドパッキンに侵入し、グランドパッキン内面と接触することは避けられない。石炭灰は摩耗性が高く、一旦グランドパッキンに接触するとグランドパッキンを激しく損傷させることとなり、シールガス量の著しい増加をもたらすと共に頻繁なグランドパッキンの増し締めを必要とすることになる。また、その結果として、グランドパッキンの頻繁な交換も必要となり、メンテナンスコストが高くなる。上記の問題は、定性的には、微粉粒体の摩耗性(研磨作用)の大小に関わらず生じる問題であるが、石炭灰の場合は、それが極めて著しいので特に重大な問題である。
【0003】
【解決しようとする課題】
そこで、本発明は、微粉粒体が混入した高圧ガスに対するグランドパッキンによる軸封装置について、微粉粒体のグランドパッキン内面への侵入を確実に防止することをその課題とするものである。
【0004】
【課題解決のために講じた手段】
上記課題解決のために採用した手段は、微粉粒体が混入した高圧ガスに対するグランドパッキンによる軸封装置を前提として、次の(イ)から(ニ)によって構成されるものである。
(イ)高温高圧容器内部側から順に、ダストシール、ラビリンスシール、流体シール部、グランドパッキンを配置したこと、
(ロ)上記流体シール部に設けた供給孔からシールガスを流体シール部に流入させること、
(ハ)上記シールガスの一部は、上記ラビリンスシールとダストシールを通過させて、高圧容器内部側からの微粉粒体の侵入を防ぐように高圧容器内部へパージさせ、また、上記シールガスの残部は、流体シール部において上記供給孔より高圧容器側に設けた排出孔より排出させ、高圧容器内部から侵入してきた微粉粒体を積極的に排出すること、
(ニ)上記シールガスの流入量と排出量を調節し、シールガス量を抑制しながら高温高圧容器内部へのパージ量を確保すると共に、上記ダストシールを通過するシールガス流速が、高温高圧容器内部から侵入してくる粉体最大粒径の沈降速度以上になるようにして、侵入してくる微粉粒体を確実に排出するようにしたこと。
【0005】
【作用】
調節弁やオリフィス等で流量調節されたシールガス(空気やN2ガス等の不活性ガス)がラビリンスシール、ダストシールを通過して、容器内部に放出(パージ)される。ダストシールは圧力温度条件に応じたゴム等の弾性体で製作されるので、回転軸とダストシール間の隙間は常に最小に保持され、パージ可能なシールガス速度を確保するのに少ないシールガス量で済むことになる。ラビリンスシールは金属製、非金属製に関わらず、製作可能な範囲で、できる限り回転軸との隙間が小さくなるようにし、シールガスの周方向の均一化を図ると共に、ダストシールが万一損傷した場合のバックアップとしても機能する。回転軸が傾いている場合等にあっては、それだけでは微粉粒体の侵入を完全に防ぐことができず、そのために侵入してきた微粉粒体を流体シール部に設けた排出孔から強制的に排出する。この排出孔からの排気量はシールガス流入量と圧力容器内への必要パージ量との関係から計算され、制御弁やオリフィス等で調節される。また、侵入してきた微粉粒体を効果的に排出する為に排出孔はシールガスの供給孔よりも内部側(圧力容器側)に設け、シールガスが微粉粒体の侵入方向に対して対向流れとなるようにする。
なお、以上のようにしたことで、微粉粒体の侵入は極力回避され、微粉粒体が侵入しても、当該微粉粒体がグランドパッキンまで達してこれに接触することがないようにその手前で排出されるが、より安全で確実を期す為には、シールガスがグランドパッキン側から大気へ逃げないようにすることが必要である。その為に、グランドパッキンをグリースで強制潤滑し、グランドパッキン内面でのシール性向上を図るとともに、グランドパッキンの延命化を図る。また、グランド押え部にゴム等の弾性体で製作したシールや黒鉛等で製作したメカニカルシール等の外部シールを設置することで、グランドパッキンにかかる内外圧力差を僅少にしてシールガスが大気へ逃げるのを最小限とすることができる。
【0006】
【実施例】
次いで、本発明を加圧流動床ボイラのサイクロン下に付設されたスクリューフイーダの回転軸の軸封装置に適用した例について、図1を参照しつつ説明する。周囲温度に適した耐熱ゴム製(例えばフッソ樹脂系)のリップ付ダストシール2を容器の端壁20の最内側に設置し、高温粉粒体の殆どを遮断する。尚、高温粉粒体の温度がシール材の許容温度を超える恐れがある場合には、周囲を水冷構造としたり、シール材の前に難燃性のシートパッキンを設置することもできる。ダストシールの次に金属製もしくは非金属製(例えば板ガスケット等)の板状リング3を複数枚設置して、ラビリンス効果をもたらし、少ないシールガスでダストシールを通過した微粉を効果良くパージできるようにする。上記ダストシールとラビリンスシールを、ボルトを締めて円筒体4で締め付ける。
円筒体4の容器側端部には内周面に2つの環状溝を隣接して設け、外部側の環状溝7には不活性ガス(例えばN2ガス)の供給孔10を連通させ、内部側の環状溝8には不活性ガス排出孔11を連通させている。不活性ガス供給配管には、ダストシール部やラビリンスシール部から侵入しようとする微粉粒体をパージするのに最適な流速となるように、オリフィス(又は調節弁)を設けている。また、排気管には、不活性ガス供給量の10〜30%程度の量を排出するようなオリフィスを設置し、ラビリンスを通過した粉体を確実に系外へ排出するとともに、ラビリンス等の経年的な損傷に対しても容器内部の高温ガスが出ることがないようにしている。円筒体4の他端部はスタフィングボックス形状とし、グランドパッキンリング12,13を設置して(同種又は異種のもの2枚以上)、グランドパッキングループAを形成している。グランドパッキングループAの外側には断面をH型形状としたスペーサリング14を介在させ、スペーサリングの空間部にはグリースを充填させている。またスペーサリングには外部からもグリースを補充できるように円筒体にグリース注入孔を設けている。スペーサリングの外側にはグランドパッキンリング12,13を設置して(同種又は異種のもの3枚以上)、グランドパッキングループBを形成している。グランドパッキングループA,Bに常に適度な締め付け面圧を与える為にグランドパッキン押え17をスプリングによって押し付けている。
グランドパッキン押え17の端部には耐熱ゴム製の外部シール19を設け、グリース流出防止と、グランドパッキンにかかる差圧の最小化を図っている。
図1において、容器の端壁20の左方がスクリューフィーダの内部であり、このスクリューフィーダの回転軸は15度傾いている。供給孔10から注入されたN2ガスは、環状溝7から環状溝8に至る過程で、侵入してきた粉体を効果的にパージするようにN2ガスカーテンを形成する。環状溝8でN2ガスはラビリンスシール側のパージガス用と、侵入してきた粉体を系外へ排出する排出孔11側への排気ガス用に分岐される。パージガス用のN2ガスは多段のラビリンスシールRを通過し、さらにリップシール構造のダストシールを通過してスクリューフィーダ内部に吹き出す。この実施例ではラビリンス部やダストシール部でのガス通過速度を3m/秒以上とし、侵入してくる粉体の可能最大粒径に対する沈降速度以上を確保するようにしている。また、供給管16から充填されたグリースがグリース溜め15に満たされているので、グランドパッキングループA,Bの回転軸との摺動面は油膜で潤滑されており、N2ガスの大気側への逃げを防ぐとともにグランドパッキンの摩耗を抑制している。
グランドパッキンが摩耗し、大気へのN2ガス流出が増加すると、侵入してきた粉体もグランドパッキンと回転軸の隙間に入り込み易くなり、グランドパッキンは加速度的に摩耗損傷することになる。これを防ぐ為にこの実施例ではグランドパッキン押えの端部にはN2 ガスの流出を最小限とするように耐熱ゴム製のU形状のシールを設置している。
【0007】
【効果】
以上のとおり、この発明は、リップ形状のダストシールやラビリンスシール部でのシールガスによるパージ作用、中間部でのパージガスによるエアカーテン作用、並びに侵入してきた微粉体を強制的に系外へ排出する粉体排除作用により、グランドパッキンヘの微粉体の侵入は阻止され、グランドパッキンの侵入粉体による摩耗損傷を防ぐことができる。また、グランドパッキングループ間にグリース溜めを設け、更にグランドパッキン押え端部に外部シールを設けることで、上記効果が確実に更に向上し、また、グランドパッキンによる軸封装置の耐久性を大きく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は実施例のグランドパッキンによる回転軸の軸封装置の断面図である。
【図2】は従来のグランドパッキンによる回転軸の軸封装置の断面図である。
【図3】は本発明を適用した石炭焚ボイラのサイクロンに付設された石炭灰搬送用スクリューフィーダの正面図である。
【符号の説明】
2:リップシールリング(ダストシール)
3:ラビリンスリング
4:円筒体
10:N2 ガス給孔
12,13:グランドパッキンリング
14:スペーサリング
15:グリス溜め
17:グランド
19:外部シール
20:容器の端壁
21:回転軸
E:逃し口
F:流体シール
G:グランドパッキン
R:ラビリンスシール
S:スリーブ
Claims (3)
- 微粉粒体が混入した高温高圧ガス用の高温高圧容器におけるグランドパッキンを用いた回転軸の軸封装置において、
高温高圧容器内部側から、ダストシール、ラビリンスシール、流体シール部、グランドパッキンが順に配置されており、
上記流体シール部に設けた供給孔からシールガスを流体シール部に流入させ、
このシールガスの一部は、上記ラビリンスシールとダストシールを通過させて、高温高圧容器内部側からの微粉粒体の侵入を防ぐように高温高圧容器内部へパージされると共に、
上記シールガスの残部は、流体シール部において上記供給孔より高温高圧容器側に設けた排出孔より排出され、高温高圧容器内部から侵入してきた微粉粒体を積極的に排出するようになっており、
上記シールガスの流入量と排出量を調節し、シールガス量を抑制しながら高温高圧容器内部へのパージ量を確保すると共に、上記ダストシールを通過するシールガス流速が、高温高圧容器内部から侵入してくる粉体最大粒径の沈降速度以上になるようにして、侵入してくる微粉粒体を確実に排出するようにした高温高圧容器における回転軸の軸封装置。 - 上記グランドパッキンのシール性向上並びに延命化の為に摺動面にグリースを強制潤滑させるようにした請求項1の高温高圧容器における回転軸の軸封装置。
- 上記グランドパッキンの外側に外部シールを設け、高温高圧容器内部ガスの外気への流出を抑えると共に、グランドパッキンヘのダスト侵入を防ぐようにした請求項1又は請求項2の高温高圧容器における回転軸の軸封装置。
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