JP3763111B2 - リモートセンターコンプライアンス装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、マニュプレータ等のロボットの出力部に取り付けられるリモートセンターコンプライアンス装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
リモートセンターコンプライアンス装置は、一般的に固定プレートと可動プレートとをゴムと鋼板より成る積層体を介して接続して構成されている。この装置は、固定プレートをロボットの出力端側に取り付けると共に可動プレートにロボットハンドを取り付けるようにして使用され、上記積層体が弾性手段として機能し、固定プレートと可動プレートとの相対移動を可能ならしめている。
【0003】
しかしながら、上記積層体はゴムを構成要素としていることから、強度、耐環境性に劣っており、寿命が短いという問題があった。
【0004】
なお、上記問題を解決する一手段として、たとえば、積層体にかえて金属製のコイルスプリングを使用するということが考えられるが、リモートセンターを造りだすには弾性体の軸に対する縦剛性/横剛性の値を大きくする必要があることからコイルスプリングでは実現不可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明では、耐環境性、剛性、寿命に優れたリモートセンターコンプライアンス装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(請求項1記載の発明)
この発明のリモートセンターコンプライアンス装置は、隙間を設けて同じ軸芯J上に配置されたプレート1,2と、前記プレート1,2間の相対誤差を吸収すべく両者を移動可能に接続する複数の係止手段3と、移動したプレート2をプレート1と同じ軸芯J上に復帰させる複数の位置決め手段4とを有しており、係止手段3は、プレート1に設けられた挿入孔10と、前記挿入孔10に遊挿されるプレート2に設けられた軸体30と、前記挿入孔10を貫通した軸体30部分に対して一体又は係止状態にある押し板31と、前記挿入孔10周辺のプレート1の構成壁面10aと押し板31の構成壁面31aとにより挟まれた複数の球体32とを具備すると共に、前記構成壁面10a,31aは軸芯Jを通る傾斜直線KLと直交する平面であるものとしてあり、他方、位置決め手段4は、プレート2に設けられた円錐形状の凹み41と、プレート1に設けられた上記軸芯J方向にのみ移動可能な移動体40と、前記移動体40の一部が凹み41に嵌入される方向に付勢せしめる付勢手段とを具備すると共に、移動体40のうち少なくとも凹み41に嵌入される部分は球面としてある。
(請求項2記載の発明)
この発明のリモートセンターコンプライアンス装置は、隙間を設けて同じ軸芯J上に配置されたプレート1,2と、前記プレート1,2間の相対誤差を吸収すべく両者を移動可能に接続する複数の係止手段3と、移動したプレート2をプレート1と同じ軸芯J上に復帰させる複数の位置決め手段4とを有しており、係止手段3は、プレート1に設けられた挿入孔10と、前記挿入孔10に遊挿されるプレート2に設けられた軸体30と、前記挿入孔10を貫通した軸体30部分に対して一体又は係止状態にある押し板31と、前記挿入孔10周辺のプレート1の構成壁面10aと押し板31の構成壁面31aとにより挟まれた複数の球体32とを具備すると共に、前記構成壁面10a,31aは軸芯Jを通る傾斜直線KLと直交する平面であるものとしてあり、他方、位置決め手段4は、プレート1に設けられた円錐形状の凹み41と、プレート2に設けられた上記軸芯J方向にのみ移動可能な移動体40と、前記移動体40の一部が凹み41に嵌入される方向に付勢せしめる付勢手段とを具備すると共に、移動体40のうち少なくとも凹み41に嵌入される部分は球面としてある。
(請求項3記載の発明)
この発明は、請求項1又は2記載の発明に関し、軸体30の軸線が、傾斜直線KL上にある。
(請求項4記載の発明)
この発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明に関し、球体32と構成壁面10aとの間に環状板33を介在させてある。
(請求項5記載の発明)
この発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明に関し、移動体40が、球体である。
(請求項6記載の発明)
この発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明に関し、移動体40の付勢手段が、コイルバネである。
(請求項7記載の発明)
この発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明に関し、複数の球体32は、リテーナ32aにより保持されている。
(請求項8記載の発明)
この発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の発明に関し、軸芯Jと傾斜直線KLとがなす角度AGLが、5〜10°である。
【0007】
なお、上記リモートセンターコンプライアンス装置の機能については以下の発明の実施の形態の欄で明らかにする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0009】
この実施形態のリモートセンターコンプライアンス装置は、図2に示すように、固定側のプレート1と、前記プレート1と隙間を設けて同じ軸芯J上に配置された可動側のプレート2と、前記プレート1,2間の相対誤差を吸収すべく両者を移動可能に接続する三個の係止手段3と、移動したプレート2をプレート1と同じ軸芯J上に復帰させる三個の位置決め手段4とから構成されている。
〔プレート1の構成について〕
プレート1はマニュプレータ等のロボットの出力端にボルト等で取り付けられる。
【0010】
このプレート1は、図1や図2に示すように、円形状の厚肉板により構成されており、上記係止手段3の一部分を収容するための挿入孔10及びこれと連通する収容室11を120°間隔で形成してあると共に、上記位置決め手段4の一部分を装着するための収容室12を120°間隔で形成してある。
【0011】
なお、図2に示すように、上記挿入孔10は軸芯Jの焦点CCを通る傾斜直線KL(軸芯Jとの角度AGL :5°〜10°)を孔芯としてあり、また、前記挿入孔10周辺のプレート1の構成壁面10a は前記傾斜直線KLと直交する平面としてある。
〔プレート2の構成について〕
プレート2は、例えばロボットハンド部がボルト等により取り付けられる。
【0012】
このプレート2は、図2に示すように、プレート1と同径の薄肉板により構成されており、図1に示すように上記係止手段3の一部分を装着するための軸孔20を120°間隔で形成してあると共に、上記位置決め手段4の一部を装着するための浅孔21を120°間隔で形成してある。
【0013】
なお、図2に示すように、上記軸孔20は軸芯Jの焦点CCを通る傾斜直線KL(軸芯Jとの傾斜角度:5°〜10°)を孔芯としてある。
〔係止手段3の構成について〕
係止手段3は、図2に示すように、上記軸孔20、挿入孔10及び収容室11に挿入される軸体30と、前記収容室11内における挿入孔10周辺の構成壁面10a に当接する態様で設けられた環状板33と、前記挿入孔10を貫通した軸体30部分に対してC型ピン34により係止状態にある押し板31と、前記挿入孔10周辺のプレート1の構成壁面10a と押し板31の構成壁面31a とにより挟まれた複数の球体32とから構成されている。そして、上記プレート1,2は挿入孔10と軸体30との隙間の分又は押し板31の外径と収容室11の内壁との隙間の分だけ、球体32を介して相対移動できるようになっている。
【0014】
なお、この実施形態では図2に示す如く、複数の球体32はリテーナ32a により保持されているものとしてあり、他方、球体32を挟む押し板31と環状板33の面は上記した構成壁面10a と平行になっている。
〔位置決め手段4の構成について〕
位置決め手段4は、図2に示す如く、プレート2の浅孔21に設けられた円錐形状の凹み41を有する皿状部材42と、収容室12に嵌入固定された筒状のガイド43と、前記ガイド43に嵌め込まれて軸芯J方向にのみ移動可能な球状の移動体40と、収容室12に軸芯J方向に移動可能に収容される押圧体44と、前記押圧体44を介して移動体40を凹み41の構成壁に押圧するコイルバネ45とから構成されている。そして、コイルバネ45による移動体40の円錐形状の凹み部41への押し込み力により、移動したプレート2はプレート1と同じ軸芯J上に復帰せしめられるようになっている。
〔プレート1,2、係止手段3、位置決め手段4の構成部材について〕
プレート1,2、係止手段3、位置決め手段4は全て、剛性を有する金属材料、例えば鋼材により構成されている。
【0015】
したがって、従来のゴム材を使用しているものと比較して、強度、耐環境性に優れており、寿命が長い。
〔プレート1に対するプレート2の移動について〕
可動側のプレート2に下方への力(ハンド側の重量を含む)が作用すると、プレート2はコイルバネ45により押圧された移動体44によって固定側のプレート1から押されたまま下がろうとするが、球体32を挟んでいる環状板33及び押し板31の傾斜により移動軌跡が制約されているため、図3に示す如く下部がプレート1 に対してせり出す態様で移動する。このリモートセンターコンプライアンス装置ではこのようにしてリモートセンターが生まれる。
〔他の実施形態について〕
▲1▼プレート2をマニュプレータ等のロボットの出力端に取り付けられるものとし、プレート1をロボットハンド部が取り付けられるものとすることができる。
▲2▼係止手段3は、環状板33を用いることなく、押し板31と構成壁面10a とにより球体32を挟み込む構成とすることができる。
▲3▼係止手段3は、軸体30と押し板31とを一体形成したものとすることができ、この場合、軸体30の一端をプレート2に螺着する構成を採るようにすればよい。
▲4▼位置決め手段4は、プレート2側に円錐形状の凹み41を設け、プレート1側に移動体40を設ける構成を採ることができる。
▲5▼位置決め手段4の移動体40は球状でなくてもよく、全体を棒状に形成すると共に少なくとも凹み41に嵌入される部分のみを球面形状にしたものでもよい。なお、移動体40と押圧体44を一体形成させることもできる。
▲6▼位置決め手段4の付勢手段はコイルバネや他の形式のバネに限られるものではなく、コイルバネ45が収容されている室12a に一定圧の流体を導き入れる形式により構成させることができる。この場合、前記室12a の構成壁と押圧体44との間をOリング等により流体密状態にする構成を採用する。
▲7▼位置決め手段4は、浅孔21に皿状部材42を設けて凹み41を形成するものとしているが、プレート2に直接凹み41を設けるものとしてもよい。
【0016】
【発明の効果】
この発明は上記のような構成であるから、次の効果を有する。
【0017】
発明の実施の形態の欄に記載した内容から、耐環境性、剛性、寿命に優れたリモートセンターコンプライアンス装置を提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態であるリモートセンターコンプライアンス装置の平面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】前記リモートセンターコンプライアンス装置に関して、固定側のプレートに対して可動側のプレートが移動した状態を示した断面図。
【符号の説明】
J 軸芯
KL 傾斜直線
AGL 角度
1 プレート
2 プレート
3 係止手段
4 位置決め手段
10 挿入孔
10a 構成壁面
30 軸体
31 押し板
31a 構成壁面
32 球体
33 環状板
40 移動体
41 凹み

Claims (8)

  1. 隙間を設けて同じ軸芯(J)上に配置されたプレート(1)(2)と、前記プレート(1)(2)間の相対誤差を吸収すべく両者を移動可能に接続する複数の係止手段(3)と、移動したプレート(2)をプレート(1)と同じ軸芯(J)上に復帰させる複数の位置決め手段(4)とを有しており、係止手段(3)は、プレート(1)に設けられた挿入孔(10)と、前記挿入孔(10)に遊挿されるプレート(2)に設けられた軸体(30)と、前記挿入孔(10)を貫通した軸体(30)部分に対して一体又は係止状態にある押し板(31)と、前記挿入孔(10)周辺のプレート1の構成壁面(10a)と押し板(31)の構成壁面(31a)とにより挟まれた複数の球体(32)とを具備すると共に、前記構成壁面(10a)(31a)は軸芯(J)を通る傾斜直線(KL)と直交する平面であるものとしてあり、他方、位置決め手段(4)は、プレート(2)に設けられた円錐形状の凹み(41)と、プレート(1)に設けられた上記軸芯(J)方向にのみ移動可能な移動体(40)と、前記移動体(40)の一部が凹み(41)に嵌入される方向に付勢せしめる付勢手段とを具備すると共に、移動体(40)のうち少なくとも凹み(41)に嵌入される部分は球面としてあることを特徴とするリモートセンターコンプライアンス装置。
  2. 隙間を設けて同じ軸芯(J)上に配置されたプレート(1)(2)と、前記プレート(1)(2)間の相対誤差を吸収すべく両者を移動可能に接続する複数の係止手段(3)と、移動したプレート(2)をプレート1と同じ軸芯(J)上に復帰させる複数の位置決め手段(4)とを有しており、係止手段(3)は、プレート(1)に設けられた挿入孔(10)と、前記挿入孔(10)に遊挿されるプレート(2)に設けられた軸体(30)と、前記挿入孔(10)を貫通した軸体(30)部分に対して一体又は係止状態にある押し板(31)と、前記挿入孔(10)周辺のプレート1の構成壁面(10a)と押し板(31)の構成壁面(31a)とにより挟まれた複数の球体(32)とを具備すると共に、前記構成壁面(10a)(31a)は軸芯(J)を通る傾斜直線(KL)と直交する平面であるものとしてあり、他方、位置決め手段(4)は、プレート(1)に設けられた円錐形状の凹み(41)と、プレート(2)に設けられた上記軸芯(J)方向にのみ移動可能な移動体(40)と、前記移動体(40)の一部が凹み(41)に嵌入される方向に付勢せしめる付勢手段とを具備すると共に、移動体(40)のうち少なくとも凹み(41)に嵌入される部分は球面としてあることを特徴とするリモートセンターコンプライアンス装置。
  3. 軸体(30)の軸線が、傾斜直線(KL)上にあることを特徴とする請求項1又は2記載のリモートセンターコンプライアンス装置。
  4. 球体(32)と構成壁面(10a)との間に環状板(33)を介在させてあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のリモートセンターコンプライアンス装置。
  5. 移動体(40)が、球体であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のリモートセンターコンプライアンス装置。
  6. 移動体(40)の付勢手段が、コイルバネであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のリモートセンターコンプライアンス装置。
  7. 複数の球体(32)は、リテーナ(32a)により保持されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のリモートセンターコンプライアンス装置。
  8. 軸芯(J)と傾斜直線(KL)とがなす角度(AGL)が、5〜10°であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のリモートセンターコンプライアンス装置。
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