JP3763054B2 - 真空圧密による軟弱地盤改良工法 - Google Patents

真空圧密による軟弱地盤改良工法 Download PDF

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  • Investigation Of Foundation Soil And Reinforcement Of Foundation Soil By Compacting Or Drainage (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘性土による埋め立て地等の軟弱地盤を圧密するための真空圧密による軟弱地盤改良工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、大気圧工法とも称される真空圧密による軟弱地盤改良工法(以下真空圧密工法と記す)が知られている。その一例として図7に示すように、軟弱地盤1内に一定間隔毎に多数の鉛直ドレーン材2,2……を打設するとともに、その軟弱地盤1上にサンドマット3を敷設して各鉛直ドレーン材2の上端をサンドマット3内に埋め込み、そのサンドマット3の表面を密封シート4で覆い、該不透気シート4内を、サンドマット3内に埋め込んだサンドフィルター5を通して真空ポンプ6を使用した減圧手段で減圧させる方法がある。
【0003】
この従来工法は、軟弱地盤中に挿入したドレーン内を減圧することにより、大気圧を地盤表面に載荷し、圧密及び排水を促進させる軟弱地盤改良工法である。
【0004】
このような従来の真空圧密による工法では、サンドマット敷設のための工事費が必要になって経費を多く要する他、浚渫土の処理方法として、浚渫土の投入及びその圧密を繰り返して地盤を形成する場合、中間にサンドマット層が数段配置に形成されることとなり、その分だけ浚渫土の投入可能量が低下することとなり、これは、港湾等において経常的に発生する浚渫土の処理ヤードが少なくなっている状況下では甚だ好ましくない。
【0005】
また、密封シートが不可欠であり、そのための経費が掛かり、しかも高い気密性が必要になり、広範囲に亘る気密性確保のための作業には細心の注意と労力が伴う。
【0006】
更に、水平ドレーン材を使用する工法では、鉛直ドレーンと水平ドレーンとの連結作業、及び水平ドレーンと集水管との連結に面倒な作業が必要である。
【0007】
このような従来の大気圧工法における各問題を解決する工法として、最近、図8に示すように、鉛直ドレーン材2の上端に端部より一定長さ分だけ、内部は通水性を有し、周面からの通気を遮断させた不透気部15を設けておき、該不透気部15の下端を前記軟弱地盤1内にその表面から所定深さまで挿入させ、該不透気部15の上端に、排水用筒材18を連通させた気密性キャップ17を、気密性を維持させて嵌合し、該排水用筒材18を減圧手段に連通させるようにした工法が開発されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した各鉛直ドレーン材の上端に気密性キャップを介して排水用筒材を連通させるようにした従来の工法は、連続した長尺の鉛直ドレーン材をリールに巻いて施工現場に搬入し、施工現場において、所定の挿入長さ毎の切断、端部の不透気部の形成、更には気密性キャップ装着等の一連の作業を鉛直ドレーン材の打ち込み毎に行っていたため、現場作業工数が多く、多くの労力と時間を要するという問題があった。
【0009】
本発明はこのような従来の問題に鑑み、少ない現場作業で、短時間に鉛直ドレーン材の打ち込みが可能で、効率良く軟弱地盤改良がなされる真空圧密による軟弱地盤改良工法の提供を目的としてなされたものである。
【0010】
【課題を解決しようとする手段】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明の特徴は、透水性の鉛直ドレーン材を軟弱地盤中に挿入し、該鉛直ドレーン材内を減圧手段により減圧することにより、真空圧によって軟弱地盤を圧密させるとともに軟弱地盤中の水を前記鉛直ドレーン材内に流入させて排水するようにしてなる真空圧密による軟弱地盤改良工法において、軟弱地盤中への挿入深さに対応した長さに切断した鉛直ドレーン材の上端に排水用筒材を一体に備えた気密性キャップを予め固着し、該気密性キャップ付きの鉛直ドレーン材を軟弱地盤改良施工現場に搬入し、前記気密性キャップを上側にし、該気密性キャップが所定の深さに達するまで軟弱地盤中に挿入することにある。
【0011】
また、請求項2に記載の発明の特徴は、透水性の鉛直ドレーン材を軟弱地盤中に挿入し、該鉛直ドレーン材の上端に固着した水密性キャップに突設した排水用筒材に減圧手段に通じる排水路を連結させ、該減圧手段により前記鉛直ドレーン材内を減圧することにより、真空圧によって軟弱地盤を圧密させるとともに軟弱地盤中の水を前記鉛直ドレーン材内に流入させて排水するようにしてなる真空圧密による軟弱地盤改良工法において、軟弱地盤中への挿入深さに対応した長さに切断した鉛直ドレーン材の上端に、頂部に排水用筒材を一体に有する気密性キャップを予め固着した鉛直ドレーン材を使用し、前記気密生キャップに突設された排水用筒材の先端を他の鉛直ドレーン材の下端に固着することによって多数の鉛直ドレーン材を1本に連結した状態で地盤改良現場に搬入し、その各鉛直ドレーン材の上端の前記排水用筒材を切断することによって各鉛直ドレーン材を切り離しつつそ れぞれを順次軟弱地盤中に挿入することにある。
【0012】
請求項3に記載の発明の特徴は、前記請求項2の構成に加え、上端部より一定長さ分だけ、内部は通水性を有し、周面からの通気を遮断させた不透気部を設けておき、該不透気部の上端に、頂部に排水用筒材を一体に有する気密性キャップを予め固着した鉛直ドレーン材を使用し、各鉛直ドレーン材を前記不透気部の下端が所定の深さに達するまで軟弱地盤中に挿入させることにある。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面について説明する。
図1は本発明方法において鉛直ドレーン材を軟弱地盤中に挿入し、減圧手段に連通させた状態を示しており、図において1は、例えば浚渫土による埋め立てによって形成された軟弱地盤、2は軟弱地盤1中に一定間隔毎に挿入された鉛直ドレーン材である。
【0014】
鉛直ドレーン材2としては、例えば図2に示す如きプラスチックボードドレーンが使用される。この鉛直ドレーン材2は、波型断面を有する芯材12の両側面に不織布からなる透水性被覆材13を被着して構成されている。
【0015】
この他、鉛直ドレーン材2としては、合成樹脂繊維製の多孔質材からなるケミカルドレーンなど、内部に中空若しくは多孔質の通水路が形成され、それ自体に保形性がある鉛直ドレーン材が使用できる。
【0016】
この方法において使用する鉛直ドレーン材2は、工場において、施工する軟弱地盤1に対する挿入深さに合わせた長さに予め切断するとともに、その各鉛直ドレーン材2の上端部の所定長さ(約3m程度)の長さ分だけ外周面からの通気性を遮断した不透気部15を形成し、その不透気部15の先端に気密性キャップ17を固着する。
【0017】
気密性キャップ17の頂部には、予めホースからなる排水用筒材18を一体に連結しておき、この排水用筒材18の先端を、図3、図4に示すように、別の鉛直ドレーン材2下端に固着して、多数の鉛直ドレーン材2を一本の線状に連結し、これを後述する打設機23に搭載できるリール22に巻き取っておき、これを施工現場に搬入する。
【0018】
尚、前述した不透気部15は、例えば、透水性被覆材13外面に不透気性の合成樹脂コーティングを施すことによって形成し、その先端に対する気密性キャップ17の連結は、図4に示すように、下端側開口部に鉛直ドレーン材2の上端を挿入し、例えばテーピングや接着剤塗布(図示せず)によって鉛直ドレーン材2と気密性キャップ17間の気密性を持たせた状態で一体化させる。
【0019】
また、各鉛直ドレーン材2は、不透気部15の下端が軟弱地盤1の表面からの挿入深さH1が約1m程度、地盤表面からの突出長さH2が約2m程度となるように地盤中に挿入する。
【0020】
鉛直ドレーン2の打ち込みは、例えば、軟弱地盤表面に上澄み水がある場合には、図6に示すように台船21上に鉛直ドレーン材リール22及び打設機23を搭載した台船式鉛直ドレーン打設装置24を使用し、リール22に予め巻き取った鉛直ドレーン材2を繰り出し、排水用筒材18の先端を切断して連結されている鉛直ドレーン材2とを切り離しつつそれぞれ、所望の深さに順次打設する。
【0021】
また、軟弱地盤1がその上面に鉛直ドレーン材打設装置が搬入できる程度の支持力がある場合には、地上移動型の鉛直ドレーン打設装置を使用する。
【0022】
このようにして軟弱地盤中に挿入された各鉛直ドレーン材2に連結されている排水用筒材18の先端を、図1、図5に示すように、それぞれ集水管19に連結し、この集水管19を、真空ポンプ6を有する減圧手段に連通させ、集水管19、排水用筒材18を通じて鉛直ドレーン内を減圧し、流れ出る水を排水させて、軟弱地盤の圧密を行う。
【0023】
尚、不透気部15の地盤中への打ち込み深さは、軟弱地盤の性状に合わせ、減圧手段による減圧時に、鉛直ドレーン材外周の透水性部分から地表面上の大気或いは水が吸い込まれない深さとする。
【0024】
また、上述の実施例は、鉛直ドレーン材上端部に不透気部を設け、その先端に気密性キャップを固定したものを軟弱地盤中に挿入しているが、この他、図には示してないが、軟弱地盤中への挿入深さに対応した長さに切断した鉛直ドレーン材の上端に排水用筒材を一体に備えた気密性キャップを予め固着し、該気密性キャップ付きの鉛直ドレーン材を軟弱地盤改良施工現場に搬入し、前記気密性キャップを上側にし、該気密性キャップが所定の深さに達するまで軟弱地盤中に挿入することとしてもよいものである。
【0025】
【発明の効果】
上述のように、本発明に係る真空圧密による軟弱地盤改良工法においては、軟弱地盤中への挿入深さに対応した長さに切断した鉛直ドレーン材の上端に排水用筒材を一体に備えた気密性キャップを予め固着し、該気密性キャップ付きの鉛直ドレーン材を軟弱地盤改良施工現場に搬入し、前記気密性キャップを上側にし、該気密性キャップが所定の深さに達するまで軟弱地盤中に挿入するようにしたことにより、従来のようにサンドマットや地表面を被覆する密封シートが不要となり、かつ施工現場における気密性キャップ取り付け作業が不要となり、現場作業が簡略化され、工期短縮及び経費節減が達成される。
【0026】
また、軟弱地盤中への挿入深さに対応した長さに切断した鉛直ドレーン材の上端に端部より一定長さ分だけ、内部は通水性を有し、周面からの通気を遮断させた不透気部を設けておき、該不透気部の上端に気密性キャップを予め固着した鉛直ドレーン材を使用し、該鉛直ドレーン材上端の不透気部の下端を前記軟弱地盤内にその表面から所定深さまで挿入させ、排水用筒材に減圧手段に通じる排水路を連結させ、該減圧手段にて鉛直ドレーン材内を減圧させるようにすることにより、従来のようにサンドマットや地表面を被覆する密封シートが不要となり、作業工数及び使用資材が少なくなり、また、浚渫土処理における地盤改良では、少ない浚渫土処理エリアをより有効に活用できる。
【0027】
更に、軟弱地盤中への挿入深さに対応した長さに切断した鉛直ドレーン材の上端に固着した気密性キャップの頂部に一体に備えた排水用筒材の先端を、他の鉛直ドレーン材の下端に固着して多数の鉛直ドレーン材を1本に連結した状態で地盤改良現場に搬入し、各鉛直ドレーン材を、その上端の前記排水用筒材を切断することによって切り離しつつ、それぞれを軟弱地盤中に挿入することにより、従来と同様に、多数本文を1つのリールに巻き取った状態で施工現場に搬入でき、従来使用している打設機を使用して鉛直ドレーン材の打設作業が効率よく行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法の実施の一例を示すもので、鉛直ドレーン材の挿入及び集水管連結状態を示す断面図である。
【図2】本発明に使用する鉛直ドレーン材の一例の一部切欠き斜視図である。
【図3】 同上の鉛直ドレーン材連結状態を示す部分省略正面図である。
【図4】 同上の連結部分の拡大断面図である。
【図5】同上の鉛直ドレーン材及び排水路の配置の一例を示す平面図である。
【図6】 同上の鉛直ドレーン材打設装置の一例を示す側面図である。
【図7】 従来の大気圧工法の一例を示す断面図である。
【図8】 従来の大気圧工法の他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 軟弱地盤
2 鉛直ドレーン材
6 真空ポンプ
11 補強材
12 芯材
13 透水性被覆材
15 不透気部
17 気密性キャップ
18 排水用筒材
19 集水管
21 台船
22 鉛直ドレーン材リール
23 打設機
24 台船式鉛直ドレーン材打設装置

Claims (3)

  1. 透水性の鉛直ドレーン材を軟弱地盤中に挿入し、該鉛直ドレーン材内を減圧手段により減圧することにより、真空圧によって軟弱地盤を圧密させるとともに軟弱地盤中の水を前記鉛直ドレーン材内に流入させて排水するようにしてなる真空圧密による軟弱地盤改良工法において、
    軟弱地盤中への挿入深さに対応した長さに切断した鉛直ドレーン材の上端に、排水用筒材を一体に備えた気密性キャップを予め固着し、該気密性キャップ付きの鉛直ドレーン材を軟弱地盤改良施工現場に搬入し、前記気密性キャップを上側にし、該気密性キャップが所定の深さに達するまで軟弱地盤中に挿入することを特徴としてなる真空圧密による軟弱地盤改良工法。
  2. 透水性の鉛直ドレーン材を軟弱地盤中に挿入し、該鉛直ドレーン材の上端に固着した水密性キャップに突設した排水用筒材に減圧手段に通じる排水路を連結させ、該減圧手段により前記鉛直ドレーン材内を減圧することにより、真空圧によって軟弱地盤を圧密させるとともに軟弱地盤中の水を前記鉛直ドレーン材内に流入させて排水するようにしてなる真空圧密による軟弱地盤改良工法において、
    軟弱地盤中への挿入深さに対応した長さに切断した鉛直ドレーン材の上端に、頂部に排水用筒材を一体に有する気密性キャップを予め固着した鉛直ドレーン材を使用し、前記気密生キャップに突設された排水用筒材の先端を他の鉛直ドレーン材の下端に固着することによって多数の鉛直ドレーン材を1本に連結した状態で地盤改良現場に搬入し、その各鉛直ドレーン材の上端の前記排水用筒材を切断することによって各鉛直ドレーン材を切り離しつつそれぞれを順次軟弱地盤中に挿入することを特徴としてなる真空圧密による軟弱地盤改良工法。
  3. 上端部より一定長さ分だけ、内部は通水性を有し、周面からの通気を遮断させた不透気部を設けておき、該不透気部の上端に、頂部に排水用筒材を一体に有する気密性キャップを予め固着した鉛直ドレーン材を使用し、各鉛直ドレーン材を前記不透気部の下端が所定の深さに達するまで軟弱地盤中に挿入させる請求項2に記載の真空圧密による軟弱地盤改良工法。
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