JP3762557B2 - 内視鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、管路を有する内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、内視鏡は医療分野で広く利用されており、一般に、この内視鏡には、体腔内の汚物や体液等を吸引する吸引用の管路や、先端部に設けられた光学部材の露出部分を洗浄するため、または、透明な生理食塩水等を送水して視界の透明度を確保するための送水用の管路が備わっている。また、処置具を挿通するためのチャンネルを構成する処置具挿通用の管路等も備わっている。
【0003】
例えば、特公昭63−51689号公報には、吸引管路と処置具挿通管路とが操作部内で接続され、挿入部内では1つの管路を形成する構成の内視鏡が開示されている。この内視鏡を用いて、膀胱や胆道などのように体液で満たされた臓器内の観察を行う場合は、生理食塩水等を処置具挿通管路から送水し、必要に応じて吸引管路を使って体液を吸引する。このことで、臓器内は体液よりも透明な整理食塩水の割合が多くなり、透明に近い視界を確保することができる。
【0004】
一方、観察手技等により、吸引管路を使用せずに、処置具挿通管路のみを使って送水と吸引とを行う場合がある。この場合、吸引管路の開口部からの水の漏れ出しの防止と、吸引管路の開口部からの外気の吸引の防止のために、吸引管路の開口部には栓を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、処置具挿通管路を介して送水と吸引とを行う場合、吸引管路の開口部に栓を設けただけでは、吸引管路と処置具挿通管路との接続部と吸引管路の開口部との間の吸引管路内に空気が閉じこめられてしまい、送水の際にはそれが水と混ざりあって細かい気泡となり、この状態で送水すると鮮明な視界を確保することができない。
【0006】
また、吸引の際には、前記接続部と吸引管路の開口部との間の吸引管路内には、吸引した体液等が残るために、送水と吸引を繰り返すうちに、送水されるはずの生理食塩水に体液が混ざりあい、透明度が低い生理食塩水を送水することになってしまう。よって、鮮明な視界を確保することはできない。
【0007】
さらに、吸引の際には、吸引管路内に残った、空気や体液も吸引してしまうために、吸引の効率が悪いという問題がある。
本発明は、このような事情に着目してなされたものであり、効率的に送水または吸引が可能な内視鏡を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち、請求項1に係る発明は、操作部に設けられた第1の開口に接続し、挿入部内を挿通して、前記挿入部の先端部に開口する第1の管路と、一端が前記操作部に設けられた第2の開口と接続し他端が前記第1の管路と連通部で接続する第2の管路と、を有する内視鏡において、前記第2の管路を閉塞するために前記第2の管路の壁面に密着可能な外径に形成された先端部を有する長尺な閉塞部材と、前記操作部に設けられ、前記閉塞部材を前記第2の管路に挿入したときに前記先端部が前記第2の管路内の前記連通部近傍に配置されるように前記閉塞部材を前記第2の管路内に装着する取付口と、を有することを特徴とする内視鏡である。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、前記閉塞部材の先端部にはバルーンが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡である。
【0010】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
本発明に係る第1の実施の形態を図1及び図2を参照して説明する。図1は内視鏡の全体図、図2は閉塞部材の全体図である。
【0011】
図1に示すように、内視鏡1は、照明光を射出する図示しないライトガイドとこの照明光により照明された被検体を観察するための図示しないイメージガイドとを有する挿入部2と、この挿入部2に連結して、挿入部2の先端部を湾曲操作する操作部3と、イメージガイドからの被検体像を拡大する接眼部4とから構成されている。
【0012】
挿入部2には鉗子を挿通する鉗子挿通管路5が挿入部2の長軸に沿って配設されており、この鉗子挿通管路5の先端は挿入部2の先端部に開口している。また、操作部3の側面から斜めに突出した突出平面6には、図示しない送水切換装置を着脱自在に装着するための取付口金7が突出平面6よりさらに突出した状態で設けられている。鉗子挿通管路5の基端部は操作部3内で緩やかに湾曲して取付口金7に接続している。
【0013】
さらに、この操作部3内には吸引管路8が操作部3の長軸に沿って配設されており、その先端は操作部3内で鉗子挿通管路5と接続し、吸引管路8と鉗子挿通管路5とが連通した状態になっている。そして、吸引管路8の基端部9は、操作部3の側方に湾曲し、操作部3の側面に設けられた図示しない吸引切換弁を着脱自在に装着するための取付口10に接続している。
【0014】
また、吸引管路8には、吸引管路8と鉗子挿通管路5との連通部11の近傍部を閉塞するための閉塞部材12が着脱自在に挿入されている。この閉塞部材12は、図2に示すように、テフロンやシリコンゴム等の柔軟性のある樹脂で形成されており、その先端部は、山状の膨大部13を形成している。そして、前記膨大部13の頂部14の外径は、吸引管路8の先端部の壁面に密着するように、吸引管路8の内径よりも大きく設定されている。また、この膨大部13の基端側には、吸引管路8の内径より僅かに小さな外径の円筒部15が形成されており、この円筒部15の基端側には、操作部3の取付口10の内面にその外面が密着するように設定された取付口閉塞部16が形成されている。さらに、この取付口閉塞部16の基端側には、術者が指で摘めるぐらいの大きさの円筒状の把持部17が形成されている。また、閉塞部材12の長さは、取付口閉塞部16が取付口10に密着したとき、膨大部13の頂部14が吸引管路8と鉗子挿通管路5との連通部11の近傍に位置するように設定されている。
【0015】
次に、作用を説明する。
鉗子挿通管路5から送水及び吸引等を行う場合は、まず、閉塞部材12の膨大部13から先に取付口10に挿入して、取付口閉塞部16の外面が取付口10の内面に密着するまで挿入する。そして、取付口閉塞部16の外面が取付口10の内面に密着したとき、閉塞部材12の先端の膨大部13の頂部14は、吸引管路8と鉗子挿通管路5との連通部11の近傍に位置し、吸引管路8の先端部側を閉塞するために、実質的に鉗子挿通管路5の一本だけが、挿入部2から操作部3にかけて挿通されている状態になる。
【0016】
そして、鉗子挿通管路5を介して送水する場合は、吸引管路8の先端部が閉塞されるために、空気が溜まらず、送水の水には細かい気泡が混ざり合わない。また、吸引の際には、吸引管路8内には吸引した体液等が残ることなく、取付口金7を介して吸引される。
【0017】
次に、第1の実施の形態の効果を説明する。
閉塞部材を装着することにより、連通部の近傍が閉塞されるので、鉗子挿通管路を介して送水及び吸引を行っても、空気や体液が管路内に残らなく、効率的に送水及び吸引を行うことができる。
【0018】
また、閉塞部材は、簡単な構成であり、容易に作成することができる。
さらに、閉塞部材は、取付口から容易に挿入できるので、必要に応じて、簡単に装着することができる。
【0019】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態を図3を参照して説明する。図3は閉塞部材の先端部を示す図である。以下、第1の実施の形態と同一の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0020】
図3に示すように、第2の実施の形態の閉塞部材20は、ポリウレタンやナイロン等の樹脂から形成され、内孔21を有する円筒管22からなり、この円筒管22の先端にはバルーン23が配設されている。さらに、円筒管22の先端部には、バルーン23と内孔21とを連通するための連通孔24が設けられている。円筒管22の基端には第1の実施の形態と同様に、取付口閉塞部16と把持部17とが形成されており、内孔21は取付口閉塞部材16と把持部17とを介して、液体を先端のバルーンまで送液する図示しない逆止弁付き送液装置に連通している。
【0021】
次に作用について説明する。
バルーン23が吸引管路8と鉗子挿通管路5との連通部11の近傍に位置するように閉塞部材20を吸引管路8に挿入する。次に、図示しない、逆止弁付き送液装置を作動させ、内孔21及び連通孔24を介してバルーン23内に液体を送液する。バルーン23は徐々に膨張し、吸引管路8の先端部の壁面に密着し、吸引管路8の先端側を閉塞する。
【0022】
次に、第2の実施の形態の効果を説明する。
第2の実施の形態では、第1の実施の形態の効果に加えて、閉塞部材の先端部にバルーンが設けられているので、バルーンの膨張の度合を変化させることにより内径の異なる吸引管路にも対応することができる。
【0023】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態を図4を参照して説明する。図4は内視鏡の鉗子挿通管路の取付口金近傍の図である。
【0024】
この実施の形態では、例えば、膀胱や子宮などの液中で高周波焼灼する場合を想定したものである。図4に示すように、第3の実施の形態の内視鏡の鉗子挿通管路5の取付口金7は、第1の実施の形態のように突出平面6の上に配設されているのではなく、丘状に盛り上がった丘状部26の頂部27の上に配設されている。
【0025】
次に作用について説明する。
液中で高周波焼灼する場合、第1の実施の形態とは異なり、丘状部26の頂部27に取付口金7を設けているので、仮に取付口金7から水が漏れだしてもその水は流れ出し、取付口金7の近辺には水は溜まらない。
【0026】
次に、第3の実施の形態の効果を説明する。
丘状部の頂部に取付口金を設けているために、取付口金近辺には水がたまらないので、高周波焼灼用の鉗子を使用しても術者に悪影響を与えない。
【0027】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態を図5、図6及び図7を参照して説明する。図5は灌流をする場合の鉗子の位置を示す図、図6はシリコンチューブの詳細図、図7はライトガイドの外装方法を示す図である。
【0028】
一般に、鉗子使用時に灌流を行う場合は、取付口金7に、鉗子用の挿通口と送水用の送水口と有する図示しないT字管を装着させるが、鉗子を挿入した状態では、送水口が塞がっており、鉗子を完全に挿通口から引き抜かなければ送水口から灌流することができない。このために、灌流を行うごとに、鉗子を挿通口から引き抜かなければならない。第4の実施の形態は、この問題点を解決するものである。
【0029】
図5に示すように、挿入部2から操作部3にかけて鉗子挿通管路31が挿通している。この鉗子挿通管路31は、ゆるやかに湾曲して操作部3の取付口金7と接続している。操作部3には、取付口金7に対して操作部3の反対側の側面に送水口32が突設されている。そして、操作部3内には、基端が送水口32と接続し、先端が鉗子挿通管路31に接続する送水管路33が設けられている。また、取付口金7の基端から送水管路33の先端までの長さLは、充分に長く設定されている。
【0030】
一方、挿入部2には、図示しない照明装置からの照明光を先端部から射出するためのライトガイド34が配設されている。図6に示すように、このライトガイド34は、ファイバ35の外周に伸縮性及び弾力性がある薄肉のシリコンチューブ36が配設されており、また、このシリコンチューブ36の外周にはPTFE含有の変性エポキシ樹脂等からなるコーティング材37がコーティングされて構成されている。また、このコーティング材37の肉厚は10μm程度である。
【0031】
一般に、ファイババンドルの外装方法としては、シリコンチューブ等、伸縮性、弾性に富んだ柔らかい材質のチューブを真空ポンプ等で吸引して内径を広げた状態でファイバを引き込む方法と、ナイロンチューブ等伸縮性が無い硬いチューブに直接引き込む方法とがある。しかし、前者の方法では、ファイバの引き込みが容易である一方、チューブを薄肉にすると破れ易くなり、外圧でファイバが折れやすくなるために、チューブを薄く出来ないという問題がある。また、後者の方法では、チューブを極薄肉にしても容易に折れず、外圧にも強いが、クリアランスがほとんど無いチューブの内径に対してファイバを引き込むため組立性が悪いという問題がある。
【0032】
しかし、本実施の形態では、図7に示す方法により、ライトガイド34の細径化と折れに対する強度を図っている。すなわち、第1に、ファイバ35の先端にワイヤ38を取り付け、シリコンチューブ36の内径を破れないように気圧等で拡張させ、前記ワイヤ38を引くことでその拡張したシリコンチューブ36内にファイバ35を挿入する((a))。第2に、シリコンチューブ36の内径を収縮させて、シリコンチューブ36をファイバ35に密着させる((b))。第3に、ファイバ35を補強するため、シリコンチューブ36の外表面に硬質樹脂であるPTFE含有の変性エポキシ樹脂からなるコーティング材37をコーティング装置により吹き付け塗装してコーティングを行う((c))。
【0033】
次に、作用を説明すると、鉗子使用時に灌流を行う場合は、鉗子を鉗子挿通管路31と送水管路33との連通部(接続部)まで引き抜き、送水口32から灌流する。
【0034】
次に、効果を説明する。
取付口金の基端から送水管路の先端までの長さLは、充分に長く設定されているので、鉗子を全て引き抜かなくても灌流ができる。
【0035】
また、ライトガイドは、ファイバに薄肉のシリコンチューブとコーティング材が外装されているだけなので、ライトガイドを細径にすることができ、かつ、ライトガイドの折れも防止することができる。
【0036】
尚、以上の実施の形態では、閉塞部材を吸引管路に挿入して装着させているが、鉗子挿通管路に装着させてもよく、閉塞部材を装着することにより、空気や体液等が閉じこめられる空間を作らずに、実質的に一本の管路のみが挿通されている状態であればよい。
【0037】
さらに、本発明は、以下に列記する発明を含んでいる。
(付記)
(付記1)操作部に設けられた第1の開口に接続し、前記操作部の先端側で連結する挿入部内を挿通して、前記挿入部の先端部に開口する第1の管路と、一端が前記操作部に設けられた第2の開口と接続し、他端が前記第1の管路に接続して、前記第1の管路と連通する第2の管路とを有する内視鏡において、前記第1の管路と前記第2の管路とが連通する連通部の近傍部を閉塞する閉塞部材を前記第1及び第2の開口のうちの一方から挿入して着脱自在に装着したことを特徴とする内視鏡。
(付記2)前記閉塞部材の先端部にはバルーンが設けられていることを特徴とする付記1記載の内視鏡。
(付記3)前記閉塞部材の先端部は、山状の膨大部を形成したことを特徴とする付記1または2記載の内視鏡
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、効率的に送水または吸引を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内視鏡の全体図。
【図2】閉塞部材の全体図。
【図3】閉塞部材の先端部を示す図。
【図4】内視鏡の鉗子挿通管路の取付口金近傍の図。
【図5】灌流をする場合の鉗子の位置を示す図。
【図6】シリコンチューブの詳細図。
【図7】ライトガイドの外装方法を示す図。
【符号の説明】
3 操作部
5 鉗子挿通管路
6 突出平面
7 取付口金
8 吸引管路
10 取付口
11 連通部
12 閉塞部材
13 膨大部
15 円筒部
16 取付口閉塞部
17 把持部
21 内孔
23 バルーン
Claims (2)
- 操作部に設けられた第1の開口に接続し、挿入部内を挿通して、前記挿入部の先端部に開口する第1の管路と、
一端が前記操作部に設けられた第2の開口と接続し他端が前記第1の管路と連通部で接続する第2の管路と、
を有する内視鏡において、
前記第2の管路を閉塞するために前記第2の管路の壁面に密着可能な外径に形成された先端部を有する長尺な閉塞部材と、
前記操作部に設けられ、前記閉塞部材を前記第2の管路に挿入したときに前記先端部が前記第2の管路内の前記連通部近傍に配置されるように前記閉塞部材を前記第2の管路内に装着する取付口と、
を有することを特徴とする内視鏡。 - 前記閉塞部材の先端部にはバルーンが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
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