JP3762001B2 - エンボス加工用圧延機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ロール間に型と素材を通し、その圧下力で型に形成した型面形状を素材に転写するエンボス加工用圧延機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、素材の表面に凹凸模様を形成する方法としては、プレス装置を使用した方法が一般的であるが、この他に、ロールを用いた成形方法が知られている。このロール成形方法の一つでは、平金型の表面に凹凸模様を形成し、この平金型と素材とを重ね合わせてロール間に通して圧下することによって、平金型の凹凸模様を素材表面に転写するエンボス加工が行われている。
通常、圧延機は、上ロール、下ロール駆動による素材圧延が常であり、エンボス製品の製造に当たっては、上ロール、下ロールの間に、エンボス面が上面になるように金型を置き、この金型上面にエンボス加工用素材を重ねてロール間に通している。ところで、ロール間に素材と金型とを通す際には、搬入テーブル等によりロール直前にまで案内してロール間に導入されるが、かみ込み時には搬入テーブル等により支持が失われ、これに加えてかみ込み力が作用するため、金型が傾斜して金型の下面や後端部が下ロールや下ロール直前の圧延機部材と接触して衝撃や騒音が発生し、またこれに伴ってロールや金型に摩耗等が生じるという問題がある。
【0003】
従来、上記問題に対しては、金型とロールとの間に軟質の薄板材を配置して、圧延時にこの薄板材が圧潰することを利用して上記騒音や衝撃の発生等を防止している。この薄板材としては、例えば0.5mm厚程度のアルミニウム合金板(JIS A5000系等)が使用されており、圧延による破損のため1回のエンボス加工毎に新しい薄板材に取り替えている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、薄板材を用いた従来のエンボス加工方法によっても、衝撃等の発生を十分に防止できないという問題がある。また、薄板材を消耗品として使用するため、必然的に製造コストが増大してしまうという問題もある。
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、薄板材、すなわち消耗品の使用を必要とすることなく圧延時の衝撃や騒音の発生を有効に防止することができるエンボス加工用圧延機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明のエンボス加工用圧延機のうち第1の発明は、回転駆動される対のロール(2、3)と、型(7)を超える長さを有し、重ねられた状態の素材(9)および型(7)を載せて該ロール(2、3)間に通される繰り返し使用に耐え得る高強度材からなるベースプレートと、該ベースプレーを圧延方向に沿って移動させるベースプレート駆動装置(8)とを有し、該べースプレート駆動装置(8)に、前記ベースプレートを保持して圧延時の該ベースプレートの傾斜を抑制するベースプレート支持手段(40)が設けられていることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、ベースプレート駆動装置をロールの回転に対し独立してベースプレートを移動できるものとしたことを特徴とする
【0006】
本発明で、エンボス加工される素材としては、圧延によって表面に凹凸形状を形成できるものであればよく、各種の材料を使用することができる。この凹凸形状も任意であり、ロールの圧下力によって素材に転写できる形状であればよい。また、型の素材も特に限定されるものではないが、圧延に耐え得る高強度材が望ましい。
さらに、ベースプレートの素材も特に限定されないが、繰り返し使用に耐え得るように、工具鋼、高速度鋼等の高強度材を使用するのが望ましい。このベースプレートは、少なくとも金型が外側にはみ出すことなくベースプレート内に収まる大きさを有していることが必要であり、さらに、かみ込み時に下ロールとの間で、できるだけ隙間が生じないように圧延方向において型を超える長さを有していることが必要とされる。例えば上ロールと下ロールにベースプレートと金型(+素材)をかみ込む時に斜めになり、ベースプレートの後方端部が下ロール直前の圧延機部材をこすり、衝撃、騒音を発生するのを防止するためロール径にあったベースプレートの長さ(適切な長さ)にするのが望ましい。
【0007】
さらに、この適切な長さの選択の他に、またはこれとともに圧延時のベースプレートの傾斜を抑制するベースプレート支持手段をベースプレート駆動装置に設けることもできる。ベースプレート支持手段としては、ベースプレートを保持してベースプレートの傾斜移動を抑制する保持装置等が例示される。
【0008】
また、圧延の際にはベースプレートと型および素材とは位置ずれしないのが望ましく、型をベースプレートに載置する際には、ベースプレートに形成した凹部に型をはめ込んだり、ブラケットで型をベースプレートに固定する等して仮固定するのが望ましい。
また、上記ベースプレートを移動させる駆動手段としても各種構造のものを使用することができる。例えば、油圧等のシリンダのロッドの伸縮動作やチェーンの回転等によって圧延方向に沿って前後進させたり、ベースプレートを載置する複数の小ロールをモータ等により回転駆動することによって前後進させたりすることができる。これらの駆動手段によれば、ベースプレートをロールの回転とは独立して移動制御することができる。
【0009】
【作用】
本発明によれば、素材と型とはベースプレートに載せられた状態で三者が一体になってベースプレート駆動装置によって移動されるので、三者は良好な位置関係を保って圧延開始位置からロール間へと移動し、対のロールで素材と型とが良好に圧延される。この際にはベースプレートは、下ロールのロール入り口に沿うように位置させ、かつ移動させるのが望ましい。上記導入の際にベースプレートは、型と素材とをロール間に案内する役割を果たし、これら型および素材とともにロール間に通されるので、ロールと型との接触を避けることができる。また、金型の移動をロールと無関係にでき、ロール径に合せたかみ込み角の設定(ベースプレートの長さ)を容易に行うことができる。
【0010】
そして、ベースプレートは型を超える長さを有しており、下ロールや下ロール直前の圧延機部材との衝撃的な接触をできるだけ避けて型がロール間を通るときに発生する衝撃、騒音等を軽減、防止することができる。また、ベースプレートをベースプレート駆動装置に設けたベースプレート支持手段で支持して圧延時の傾斜を阻止すれば、ベースプレートを移動しながら傾斜を阻止できるので、上記衝撃等の発生をより有効に防止しながら良好に圧延を行うことができる。なおベースプレート支持手段は、ベースプレートが傾斜を開始する以前からベースプレートを支持しているものが望ましく、これにより傾斜開始時にベースプレート支持手段との間で衝撃が発生することが防止される。
そして、圧延に際しては下ロールからの押圧力はベースプレートを介して素材と型とに伝わり、一方、上方からは上ロールから押圧力が伝わるので、素材と型とが圧下され、型の模様が素材に転写される。
【0011】
なお、ベースプレートをロールの回転駆動と独立して移動制御すれば、任意にロールの回転よりも遅くしたり、早くしたり、さらに同期させたりすることができ、圧延に最も適した速度でベースプレート、すなわち型と素材とをロール間に通すことができ、最適な条件でエンボス加工を行うことが可能になる。
この制御は、圧延時に、動的に速度を変えるようにして行うことも可能であるが、対象となる素材、型の寸法、材質等によって圧延毎に速度を適宜選定するようにしてもよい。
また、圧延時に位置ずれしないように型をベースプレートに固定すれば、圧延位置が固定され、良好な圧延を行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
次に、本発明実施形態を図1〜図7に基づき説明する
エンボス加工用圧延機20は上ロール2と下ロール3とを有しており、下ロール3のロール面頂点に合わせて下ロール3の入側と出側とにそれぞれ回転自在なガイドロール24…24とガイドロール25…25とが配置されている。
上記ガイドロール24…24上には、幅、長さともに型7よりも一回り大きな直方体形状のベースプレート26が配置されており、該ベースプレート26の表面中央部に、型7の下端部をはめ込む凹部26aが形成されている。また、凹部26aの前後端の両側には、ブラケット27を収納するブラケット収納溝26bが前方、または後方に伸長している。また、ベースプレート26の前後端部両側には、チェーン取付具28…28が固定されている。なお、上記した型7は、ベースプレート6に設置した際に上面となる型面に、素材9がはまり込む凹部7aが形成されており、該凹部7aの上面に転写用の凹凸形状(図示しない)が形成されている。
【0018】
さらに、圧延機の入側および出側両端部とその下方部位置とには、それぞれ、チェーンスプロケット30、30〜33、33が幅方向で対面するように対になって配置されており、それぞれ対になっているチェーンスプロケットは、ベースプレート26と同程度の幅で離隔して共通する軸材に軸止されている。なおこれら軸材の内、スプロケット31の軸材にはスプロケット駆動モータ31aが連結されている。
上記したスプロケットには、それぞれの側のスプロケット30から、スプロケット31、32、33にかけてチェーン34が緩やかに掛け渡されており、チェーン34、34の両端は上記したベースプレート26のチェーン取付具28…28に取り付けられている。
また、スプロケット30、31間とスプロケット32、33間のチェーン34、34の外側には、内側に向けた空気シリンダ35が配置されており、該空気シリンダ35のシリンダロッド先端には、ロッド伸長時にチェーン34、34に押し当て可能なテンションスプロケット36、36が取り付けられている。
【0019】
次に圧延機20の後方側には、前方にシリンダロッド8aを向けた油圧シリンダ8が固定されており、該シリンダロッド8aの先端に、ベースプレート支持手段であるベースプレート保持装置40が固定されている。具体的にはシリンダロッド8aの先端に長尺片状の保持装置取付具40aが固定されており、該保持装置取付具40aの先端両面側に縦杆40b、40bが配置されて取付具40aの先端に形成された長孔を通してその中央部が軸止されている。さらに、該縦杆40b、40b間の上下端に水平杆40c、40cの端部が軸止されており、該水平杆40c、40cの先端にベースプレート保持具41が軸止されている。保持具41は、先端側が開口した断面コ字形状を有しており、その先端内面41aはベースプレート26およびこれに収納した型7、素材9の後端部形状に沿った形状を有している。
【0020】
また、上記保持装置40の下方側には、圧延機20に固定されたガイドレール42が下ロール3に向けて配置されており、該ガイドレール42にガイドブロック43の下部が移動可能に取り付けられている。ガイドブロック43は、その上方部に前後方向に沿って貫通孔が形成されており、該貫通孔を上記した保持装置取付具40aが貫通している。また、ガイドブロック43の先端面両側部には、先端に伸長する固定片43a、43aが設けられており、該固定片43a、43aは、保持装置取付具40aの先端部と縦杆40bとの間に位置して、取付具40a、縦杆40bとともに軸止されている。
【0021】
上記圧延機20の動作を説明すると、ベースプレート26の凹部26aに素材9を重ねた型7をはめ込み、型7をブラケット27によって固定する。なお、ブラケット27の先端には半球部27aが設けられており、該半球部27aが型7の側面に形成した半球状凹部に嵌まり、型7の固定をより強固にしている。
次いで、テンションスプロケット36、36を空気シリンダ35によって前進させ、チェーン30、30にテンションを付加するとともにスプロケット駆動モータ31aを作動させてチェーン34、34を図示時計回りに回転させ、ベースプレート26を後退させる。ベースプレート26は、後退により遂にはブロックストッパ45に当たり圧延開始位置に停止する。ここでスプロケット駆動モータ31aを停止させるとともに、テンションスプロケット36、36を後退させる。
【0022】
次いで、油圧シリンダ8のシリンダロッド8aを前進させると、保持装置取付具40aが保持具41に対し長孔分だけ相対的に前進し、その先端が保持具41に当たってこれを押し進める。この際に、ガイドブロック43も保持装置取付具40aに引かれつつ一体になって移動するため、取付具40aは、ガイドレール42にガイドされた状態で前進する。保持具41がさらに前進すると、その先端内面41aとベースプレート26、型7、素材9の後端部とが嵌り合う。さらに、シリンダロッド8aを前進させると、ベースプレート26は、保持具41で支持された状態で押し進められ、これに伴い、スプロケット30〜33に緩やかに掛け渡されたチェーン34、34が回転する。引き続きシリンダロッド8aを前進させてベースプレート26を押し進めるとベースプレート26は、型7と素材9とを重ねた状態で回転する上ロール2、下ロール3間にかみ込まれる。すると、ロール2、3の回転力によりベースプレート26は後方側が下降するように傾斜しようとするが、保持具41により支持されているため、保持装置40のそれぞれ軸止部での回転によって僅かな傾斜は許容されるものの、それ以上の傾斜は阻止される。ロール2、3間のかみ込みが進むと、ベースプレート26も次第に水平になるため、これに追随して保持装置40も軸止部で回転移動する。
上記により、下ロール3と型7との間に隙間が生じることがなく、また、その後端が圧延機部材と接触することもないので、円滑に上ロール2、下ロール3間にかみ込まれ、衝撃や騒音の発生が有効に防止される。
【0023】
そしてベースプレート26がロール2、3間にかみ込まれるに従い、油圧シリンダ8によるロッド8aの伸長は停止するので、保持装置40の前進も停止し、型7および素材9を重ねたベースプレート26のみがロール2、3間を通過する。ロール間に通された型7と素材9とは、適当な圧下力が加わり、型7の凹凸形状が素材9に転写される。なお、上記圧延に際しては、型7とベースプレート26が凹部26aではめ込み固定されているとともに、ブラケット27で固定されているので、エンボス加工中のそれぞれの位置ずれが確実に防止され、より良好な圧延が確保される。
ベースプレート26がロール2、3間を通過した後は、テンションスプロケット36、36の前進後、スプロケット駆動モータ31aによりチェーン34、34を回転させることによりさらに前進させる。ベースプレート26は、遂にはストッパ片46に当たるので、スプロケット駆動モータ31aを停止させるとともに、テンションスプロケット36、36を後退させる。その後は、他所への搬送や型、素材の取り外し等の必要な作業を行う。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のエンボス加工用圧延機によれば、回転駆動される対のロールと、型を超える長さを有し、重ねられた状態の素材と型を載せて該ロール間に通される繰り返し使用に耐え得る高強度材からなるベースプレートと、該ベースプレートを圧延方向に沿って移動させるベースプレート駆動装置とを有するので、型とロールとの間で衝撃や騒音が発生するのを有効に防止することができ、また最適な圧延条件でエンボス加工を行うことができる。
【0025】
また、ベースプレート駆動装置を、ロールの回転駆動に対し独立してベースプレートを移動制御できるものとすれば、ベースプレートの移動速度を変えて最適な条件でエンボス加工を行うことができる。
さらに、べースプレート駆動装置に、圧延時のベースプレートの傾斜を抑制するベースプレート支持手段を設ければ、ベースプレートの移動中に確実にベースプレートの傾斜移行が阻止され、衝撃等の発生がより有効に防止され、かつ圧延も良好に行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示す正面図である。
【図2】 同じくベースプレートと型と素材とを重ねた状態の一部拡大正面図である。
【図3】 同じくベースプレートと型と素材とを重ねた状態の一部拡大平面図である。
【図4】 同じくベースプレート保持具部分の一部拡大正面図である。
【図5】 同じくベースプレート保持具部分の一部拡大平面図である
【図6】 同じく圧下時のベースプレートの状態を示す一部拡大正面図である。
【図7】 同じく圧延終了後のベースプレート部分を示す一部拡大平面図である。
【符号の説明】
上ロール
3 下ロール
7 型
7a 凹部
8 油圧シリンダ
9 素材
20 エンボス加工用圧延機
26 ベースプレート
26a 凹部
27 ブラケット
40 ベースプレート保持装置
40a 保持装置取付具
40b 縦杆
40c 水平杆
41 保持具

Claims (2)

  1. 回転駆動される対のロール(2、3)と、型(7)を超える長さを有し、重ねられた状態の素材(9)および型(7)を載せて該ロール(2、3)間に通される繰り返し使用に耐え得る高強度材からなるベースプレートと、該ベースプレーを圧延方向に沿って移動させるベースプレート駆動装置(8)とを有し、該べースプレート駆動装置(8)に、前記ベースプレートを保持して圧延時の該ベースプレートの傾斜を抑制するベースプレート支持手段(40)が設けられていることを特徴とするエンボス加工用圧延機。
  2. ベースプレート駆動装置(8)は、ロールの回転駆動に対し独立してベースプレート(6)を移動制御できるものとしたことを特徴とする請求項1記載のエンボス加工用圧延機
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