JP2021127817A - 湿式多板クラッチのセパレートプレート及びそれを製造するための方法 - Google Patents

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【課題】より効率的に冷却でき、より過酷な環境に耐えることができる湿式多板クラッチのセパレートプレートを提供する。【解決手段】本発明による湿式多板クラッチのセパレートプレート1は、円環状に成形されているとともに、板厚内部において内周面から外周面まで貫通して設けられた複数の流路230を有するプレート本体2を備え、複数の流路230は、プレート本体2の内周面の表面積をP[mm2]とし、複数の流路230の表面積をQ[mm2]とし、複数の流路230を含むプレート本体2の全体としての体積をR[mm3]としたとき、下記の(1)式で表される値τ[mm-1]が0.1以上となるように設けられている。τ=(P+Q)/R ・・・(1)【選択図】図1

Description

本発明は、動力を伝達または断つ湿式多板クラッチのセパレートプレート及びそれを製造するための方法に関する。
オートマチックトランスミッションの湿式多板クラッチは、摩擦材を表面に貼り付けた複数の「フリクションプレート」と、その接触相手である「セパレートプレート」とが交互に配置され、フリクションプレートとセパレートプレートとの解放/締結を切り替える動作によって動力の伝達を制御する機構である。フリクションプレート及びセパレートプレートは、いずれもリング状の鋼板部材である。湿式多板クラッチを構成するこれらのプレートは一般に「ATプレート」と呼ばれる。本明細書でいう「ATセパレートプレート」は、フリクションプレートの摩擦相手である上記「セパレートプレート」を意味する。
ATセパレートプレートは、フリクションプレートと接触するとともに、周囲のドラム(構造によっては内側のハブ)やケースに刻まれた溝と噛み合うようになっている。そのために、セパレートプレートのリング外周部(あるいは内周部)には溝と噛み合う「歯」が設けられている。歯の部分は、接触面圧によって塑性変形(座屈)しない強度と、耐摩耗性に優れることが要求される。
自動車の運転中には、フリクションプレートとセパレートプレートの解放/締結状態を切り替える動作が頻繁に行われる。そのたびに、セパレートプレートの表面は、フリクションプレートの摩擦材と摩擦によって、高温の摩擦熱に曝される。過度な高温に曝されると、セパレートプレートの表面には「ヒートスポット」と呼ばれる変質層が局部的に形成されることがある。ヒートスポットは本来の表面に対し相対的に凸部となっており、摩擦材の摩耗を早めるなど、不具合の原因となる。また、摩擦熱によるプレートの温度上昇により、プレートがゆがみを生ずる場合がある。これも摩擦材の摩耗を助長するほか、摩擦状態が不安定になり、クラッチとしての機能が損なわれる。
自動車のエネルギー効率の改善を検討するとき、小型軽量化と摩擦損失の低減が非常に重要なポイントである。変速機においては、多板クラッチ機構の小型軽量化と摩擦損失軽減のためには、プレートの枚数減や面積低減、潤滑油の減量が必要である。しかし、これらは全て、摩擦熱の発生量を増大させる方向にある。つまり、今後自動車の高効率化を図る上で、クラッチプレートには益々過酷な摩擦条件に耐えることが求められるようになってくることが予想される。
下記の特許文献1には、フリクションプレートの表面に張り付けられた摩擦材に溝を設け、その溝に潤滑油を通すことで、フリクションプレートの冷却を図る構成が記載されている。しかしながら、摩擦材は熱伝導性に劣るため、より高温となるセパレートプレートの冷却には十分な効果が得られない。
下記の特許文献2〜4には、セパレートプレートを板厚方向に分割して組み合わせる構造を採用し、分割体の合わせ面に溝加工を施す等により、セパレートプレートの内部に潤滑油の流路を構成する構成が記載されている。
特開平4−211729号公報 特開平7−4448号公報 特開平8−240229号公報 特開2002−54653号公報 特開2012−215225号公報
上記のような特許文献2〜4に記載されたような従来構成では、特許文献1の構成と比較して、セパレートプレートをより効率的に冷却することができる。しかしながら、さらに効率的に冷却でき、より過酷な環境に耐えることができるセパレートプレートが求められている。
例えば特許文献5に示されているように、セパレートプレートの金属部分との体積比から潤滑油の流路の大きさを決定することも考えられる。しかしながら、実際のクラッチでは、金属部分に対する空隙の比が大き過ぎて潤滑油の供給が不足して流速が遅くなり、結果としてプレートの冷却が不十分になる虞がある。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、より効率的に冷却でき、より過酷な環境に耐えることができる湿式多板クラッチのセパレートプレートを提供することである。
本発明者らが鋭意検討を行った結果、以下のような新たな知見を得た。すなわち、潤滑油の流路の大きさを単に金属部分との体積比から決定するのでは無く、潤滑油との接触によりセパレートプレートの冷却に寄与する部分のセパレートプレートの表面積とセパレートプレート(プレート本体)の全体としての体積との関係を一定範囲に制御することにより、より効率的に冷却でき、より過酷な環境に耐えることができることが分った。
本発明に係る湿式多板クラッチのセパレートプレートは、円環状に成形されているとともに、板厚内部において内周面から外周面まで貫通して設けられた複数の流路を有するプレート本体を備え、複数の流路は、内周面の表面積をP[mm2]とし、複数の流路の表面積をQ[mm2]とし、複数の流路を含むプレート本体の全体としての体積をR[mm3]としたとき、下記の(1)式で表される値τ[mm-1]が0.1以上となるように設けられている。
τ=(P+Q)/R ・・・(1)
本発明の湿式多板クラッチのセパレートプレートによれば、値τ[mm-1]が0.1以上となるように複数の流路が設けられているので、より効率的に冷却でき、より過酷な環境に耐えることができる。
本発明の実施の形態1による湿式多板クラッチのセパレートプレートを示す斜視図である。 図1の領域IIを拡大して示す斜視図である。 図1のセパレートプレートを製造するための方法を示すフローチャートである。 図3の積層工程における積層前の鋼板及び中間板を示す斜視図である。 図3の接合工程にて形成される積層体を示す斜視図である。 図3の接合工程の一態様を示す説明図である。 本発明の実施の形態2による湿式多板クラッチのセパレートプレートを示す斜視図である。 図7の領域VIIIを拡大して示す斜視図である。 図7のセパレートプレートを製造するための方法を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態3による湿式多板クラッチのセパレートプレートを示す正面図である。 実施例1におけるセパレートプレートの表面温度の計測結果を示すグラフである。 実施例2におけるセパレートプレートの表面温度の計測結果を示すグラフである。 凹部の深さが0.3mmのエンボス鋼板における圧延率と十点平均凹凸高さとの関係を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。本発明は各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による湿式多板クラッチのセパレートプレート1を示す斜視図であり、図2は図1の領域IIを拡大して示す斜視図である。
図1に示すセパレートプレート1は、例えばオートマチックトランスミッション等の湿式多板クラッチに用いられるものである。湿式多板クラッチでは、複数のセパレートプレート1と摩擦材を表面に貼り付けた複数のフリクションプレートとが交互に配置される。湿式多板クラッチは、フリクションプレートとセパレートプレート1との解放/締結を切り替えることによって、動力を伝達または断つことができる。
図1に示すように、セパレートプレート1は、円環状に成形されたプレート本体2を有している。本実施の形態のプレート本体2は、円環状の円環部2aと、円環部2aの周方向に間隔を置いて円環部2aの外縁から円環部2aの径方向外方に向かって延出された複数の歯部2bとを有している。歯部2bは、例えばオートマチックトランスミッション等の出力部材又は入力部材との係合に用いることができる。
本実施の形態のセパレートプレート1においては、円環部2aの周方向に関し歯部2bが設けられている位置では歯部2bの外周面がプレート本体2の外周面を構成する。また、円環部2aの周方向に関し歯部2bが設けられていない位置では、円環部2aの外周面がプレート本体2の外周面を構成する。また、円環部2aの周方向の全域にわたって、円環部2aの内周面がプレート本体2の内周面を構成する。
なお、歯部2bは、円環部2aの内縁から円環部2aの径方向内方に向かって延出されていてもよい。この場合、円環部2aの周方向の全域にわたって、円環部2aの外周面がプレート本体2の外周面を構成する。また、円環部2a又は歯部2bの内周面がプレート本体2の内周面を構成する。
本実施の形態のプレート本体2は、複数の層を有する積層体とされている。本実施の形態のプレート本体2は、第1及び第2鋼層21,22と、これら第1及び第2鋼層21,22の間に介在された中間層23とを含む3層構造を有している。但し、プレート本体2は、1層、2層又は4層以上の構造体であってもよい。また、プレート本体2の各層の構成は任意である。中間層23を構成する物質は任意であり、中間層23は、第1及び第2鋼層21,22と同質の鋼層としてもよく、CuやAl等の高導電性物質層としてもよい。
第1及び第2鋼層21,22は、鋼を素材とする層であり、プレート本体2の板厚方向の両端に配置されている。本実施の形態のプレート本体2では、第1及び第2鋼層21,22が中間層23を介して互いに重ねられて接合されている。本実施の形態の第1及び第2鋼層21,22の外端面は、平面によって構成されている。第1及び第2鋼層21,22の外表面が平面によって構成されることで、その外表面が押し当てられるフリクションプレートからの攻撃性が抑えられ、ヒートスポットの発生が抑制される。しかしながら、第1及び第2鋼層21,22の外表面に凹部又は溝が設けられていてもよい。
第1及び第2鋼層21,22を構成する鋼としては様々な鋼を用いることができる。より高い伝熱性能を得るためには、例えば、第1及び第2鋼層21,22は、化学組成がC:0.1%以下及びMn:0.3%以下を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成であり、導電率が11%IACS以上の鋼によって構成され得る。なお、100%IACSは、体積抵抗率1.7241×10-2μΩmに相当する。
中間層23は、導電率が第1及び第2鋼層21,22よりも高い高導電性物質によって構成されてもよい。周知のように、導電率が高い物質ほど熱伝導率が高くなる。すなわち、第1及び第2鋼層21,22よりも導電率が高い高導電性物質が中間層23として第1及び第2鋼層21,22に重ねられることで、本実施の形態のプレート本体2は、鋼板単体のみからなる積層体よりも高い熱伝導率を有する。
高導電性物質は、導電率が20%IACS以上の物質であることが好ましい。このような高導電性物質を用いることにより、セパレートプレート1の冷却効率をより確実に向上させることができる。このような高導電性物質としては、例えば銀(106.6%IACS)、銅(100.0%IACS)、金(72.5%IACS)、アルミニウム(61.0%IACS)若しくは亜鉛(27.7%IACS)又はこれらの合金等を挙げることができる。
導電率およびコスト低減の観点から、高導電性物質として、銅、銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることが好ましい。
銅としては、無酸素銅(100〜103%IACS)、軟銅(100%IACS)又はタフピッチ銅(96〜101%IACS)を用いることができる。銅合金としては、例えばリン青銅(25%IACS)又は真鍮(22%IACS)等を用いることができる。拡散接合による鋼板との接合性の観点から、高導電性物質として銅系素材を用いる場合には無酸素銅を用いることが好ましい。
アルミニウムとしては、1000系アルミニウム(60%IACS)を用いることができる。アルミニウム合金としては、例えば2000系から7000系までの各種アルミニウム合金を用いることができる。より高い伝熱性能を得るとの観点から、高導電性物質としてアルミニウム系素材を用いる場合には1000系アルミニウムを用いることが好ましい。
セパレートプレート1の全体の板厚に占める中間層23(高導電性物質層)の板厚の割合は20%以上であることが好ましい。中間層23の板厚割合が20%以上であることで、セパレートプレート1の冷却効率をより確実に向上できる。良好な熱伝導性を得るためには、中間層23の板厚割合は30%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。より確実にセパレートプレート1の冷却効率を向上できるためである。但し、強度確保の観点から、中間層23の板厚割合は60%以下であることが好ましい。
各層間のせん断破壊強度(第1鋼層21と中間層23との間のせん断破壊強度、及び中間層23と第2鋼層22との間のせん断破壊強度)は、5000[N]以上であることが好ましい。それぞれのせん断破壊強度が5000[N]以上であることで、プレート使用時の接合部の破断を抑制できる。層間のせん断破壊強度は、日本工業規格Z3136抵抗スポット及びプロジェクション溶接継手のせん断試験に規定された方法に基づいて測定することができる。
第1及び第2鋼層21,22並びに中間層23は、互いに接触している領域のすべて又は大部分で(又は円環部2a及び歯部2bの両方において)接合されていてもよいが、歯部2bにおいて接合されていてもよい。第1及び第2鋼層21,22並びに中間層23は、円環部2aにおいて非接合とされていてもよい。接合方法によっては、第1及び第2鋼層21,22の外表面に変形部又は変質部が生じることがある。円環部2aに変形部又は変質部が生じると、フリクションプレートからの表面への攻撃性が増してしまう。歯部2bにおいて接合されることで、円環部2aに変形部又は変質部が生じるおそれを低減できる。
第1及び第2鋼層21,22並びに中間層23は、歯部2bの任意の位置又は領域で接合することができる。しかしながら、歯部2bの側端に接合部が設けられていることが好ましい。側端は、円環部2aの周方向に係る歯部2bの端である。接合部は、隣接する一対の層(第1鋼層21及び中間層23、又は第2鋼層22及び中間層23)が接合されている部分と理解することができる。接合部は、加工硬化又は変質により、非接合箇所よりも高強度とすることができる。上述のように歯部2bの端は、例えばオートマチックトランスミッション等の出力部材又は入力部材との係合に利用される。このため、歯部2bには高い強度が求められる。歯部2bの側端に高強度の接合部が設けられていることで、セパレートプレート1の長寿命化を図ることができる。また、一般に高強度の鋼材は高価である。歯部2bの側端に接合部が設けられていることで、安価な鋼材を用いても、歯部2bに必要とされる強度を満たすことができる。
本実施の形態の中間層23には、複数の流路230が設けられている。流路230は、内部に潤滑油を流すことが可能な空隙であり、プレート本体2の内周面から外周面まで高導電性物質層23を貫通している。本実施の形態のセパレートプレート1では、中間層23が流路230の側面を構成し、第1及び第2鋼層21,22が流路230の上面及び底面を構成している。流路230の側面は中間層23の板厚方向に延在する面である。流路230に潤滑油を通すことで潤滑油がセパレートプレート1の熱を奪うことができ、セパレートプレート1の冷却効率を向上できる。
本実施の形態の流路230は、プレート本体2の周方向に互いに間隔を置いて配置されている。より具体的には、流路230は、各歯部2bの位置及び各歯部2bの間の位置に配置されている。しかしながら、流路230の数、位置及び間隔は任意である。また、本実施の形態の流路230の形状は、プレート本体2の径方向に沿う直線状とされている。本実施の形態の流路230は、互いに交差しないように放射状に配置されている。しかしながら、流路230の形状は、プレート本体2の径方向に対して傾斜して延在する直線状、又は曲線状等の他の形状とされていてもよい。後に図10を用いて説明するように、流路230が互いに交差して設けられていてもよい。
本実施の形態の複数の流路230は、プレート本体2の内周面の表面積をP[mm2]とし、複数の流路230の表面積をQ[mm2]とし、複数の流路230を含むプレート本体2の全体としての体積をR[mm3]としたとき、下記の(1)式で表される値τ[mm-1]が0.1以上となるように設けられている。
τ=(P+Q)/R ・・・(1)
プレート本体2の内周面の表面積P、及び複数の流路230の表面積Qは、潤滑油との接触によりセパレートプレート1の冷却に寄与する部分のセパレートプレート1の表面積である。これらの表面積P,Qが大きいほど、値τが大きくなり、セパレートプレート1のより効率的な冷却が可能となる。なお、プレート本体2の内周面の表面積には、内周面における流路230の開口面積が含まれないと理解できる。また、複数の流路230の表面積Qは、すべての流路230の合計の表面積と理解することができる。
複数の流路230を含むプレート本体2の全体としての体積Rは、プレート本体2の全体としての熱容量に対応する指標である。体積Rは、流路230の存在を無視した上で、プレート本体2の外形から算出することができる。体積Rが小さいほど、値τが大きくなり、セパレートプレート1のより効率的な冷却が可能となる。
後に詳しく説明するように、値τが0.1以上となるように流路230が設けられることで、セパレートプレート1のより効率的な冷却が可能となり、より過酷な環境に耐えることができる。値τが0.2以上かつ1.05以下であることが好ましく、値τが0.3以上かつ0.75以下であることがより好ましい。より確実にセパレートプレート1のより効率的な冷却が可能となる。
各流路230の断面積は0.02[mm2]以上であることが好ましい。断面積が0.02[mm2]以上であることで、より確実にセパレートプレート1のより効率的な冷却が可能となる。
次に、図1のセパレートプレート1を製造するためのセパレートプレートの製造方法について説明する。図3は図1のセパレートプレート1を製造するための方法を示すフローチャートであり、図4は図3の積層工程における積層前の第1及び第2鋼板31,32並びに中間板33を示す斜視図であり、図5は図3の接合工程にて形成される積層体34を示す斜視図であり、図6は図3の接合工程の一態様を示す説明図である。
図3に示すように、本実施の形態のセパレートプレートの製造方法は、積層工程(ステップS11)、接合工程(ステップS12)及び成形工程(ステップS13)を含んでいる。
積層工程(ステップS11)は、脱脂処理を施した第1及び第2鋼板31,32と中間板33とを互いの表面が密着するように積層する工程である。第1及び第2鋼板31,32はセパレートプレート1の第1及び第2鋼層21,22に相当する板材であり、中間板33はセパレートプレート1の中間層23に相当する板材である。本実施の形態では、図4に示すように矩形の第1鋼板31、第2鋼板32及び中間板33が用いられている。本実施の形態では、一組の第1鋼板31、第2鋼板32及び中間板33から1つセパレートプレート1を製造することを意図しているが、より大きな板材を用いて、一組の第1鋼板31、第2鋼板32及び中間板33から複数のセパレートプレート1を製造できるようにしてもよい。中間板33には、中間板33を板厚方向に貫通する複数の貫通孔330が設けられている。複数の貫通孔330はセパレートプレート1の流路230に相当する空隙であり、貫通孔330の配置は流路230の配置に合わせられる。
接合工程(ステップS12)は、積層工程(ステップS11)の後に第1鋼板31、第2鋼板32及び中間板33を接合し、図5に示す積層体34を形成する工程である。
第1鋼板31、第2鋼板32及び中間板33の接合方法としては、任意の方法を採ることができる。接合方法としては、真空拡散焼鈍、抵抗溶接、レーザー溶接及び超音波接合を用いることができる。
真空拡散焼鈍は、真空雰囲気下において、第1鋼板31、第2鋼板32及び中間板33に対して積層方向に所定の圧力を付与した状態で所定の温度に第1鋼板31、第2鋼板32及び中間板33を加熱して、第1鋼板31、第2鋼板32及び中間板33を拡散接合する接合方法である。
第1及び第2鋼板31,32として、鋼素地が露出した鋼板を使用するとき、積層方向に0.2MPa以上かつ6.0MPa以下の圧力を付与した状態で、中間板33を構成する物質の融点以下かつ該融点よりも250℃低い温度以上の温度に第1鋼板31、第2鋼板32及び中間板33を加熱することができる。
中間板33として高導電性物質板を使用し、第1及び第2鋼板31,32としてその高導電性物質板と同じ高導電性物質によって構成されているめっき層が片面又は両面に設けられためっき鋼板を用いることもできる。第1及び第2鋼板31,32及び高導電性物質板として銅めっき鋼板及び/または銅板を使用するとき、積層方向に0.2MPa以上かつ6.0MPa以下の圧力を付与した状態で、銅又は銅合金の融点以下かつ該融点よりも300℃低い温度以上の温度に第1鋼板31、第2鋼板32及び高導電性物質板を加熱することができる。
抵抗溶接は、第1鋼板31、第2鋼板32及び中間板33に電極を押し当てるとともに、その電極を通して第1鋼板31、第2鋼板32及び中間板33に短時間で大きな電流を流すことにより、第1鋼板31、第2鋼板32及び中間板33を溶融接合する接合方法である。
レーザー溶接は、第1鋼板31、第2鋼板32及び中間板33にレーザーを照射して、そのレーザーのエネルギーにより積層体34の第1鋼板31、第2鋼板32及び中間板33を溶融接合する接合方法である。
超音波接合は、積層体34に振動子を押し当てて、その振動子を通して積層体34に超音波振動を付加することにより積層体34の第1鋼板31、第2鋼板32及び中間板33を接合する接合方法である。
限定はされないが、真空拡散焼鈍は、第1鋼板31、第2鋼板32及び中間板33の接触面の全体又は大部分を接合する場合に特に適している。また、抵抗溶接及びレーザー溶接は、接合箇所に硬質な変質部(マルテンサイト変態が生じた部分)を形成する場合に特に適している。また、超音波接合は、接合箇所に加工硬化部を形成する場合に特に適している。
例えば抵抗溶接、レーザー溶接及び超音波接合等の部分的な接合を行う接合方法を採るとき、図6に示すように、歯部2bの側端2cに対応する位置を含む領域35において第1鋼板31、第2鋼板32及び中間板33の接合を行うことが好ましい。より確実に歯部2bの側端面に接合部を形成できる。なお、図6では、1つの歯部2bに対応する円弧状又は地紙形状(扇の地紙の形状)の領域35において接合を行うように説明しているが、領域35の大きさ及び形状は任意である。例えば、1つの領域35は、すべての歯部2bに跨るように円環部2aの周方向に延在された円環状であってもよいし、1つの歯部2bの片側の側端2cのみを跨ぐような小さな形状であってもよい。
これら積層工程(ステップS11)及び接合工程(ステップS12)は、積層体34を製造するための積層体の製造方法に相当する。本実施の形態の積層体の製造方法では、矩形の積層体34が形成又は製造される。積層体34の内部には、流路230に相当する空隙(貫通孔330)が設けられている。積層工程が完了した段階では空隙は外部に開放されていないが、空隙自体は内部に潤滑油を流すことが可能な形状とされている。本明細書では、外部に開放されていなくても内部に潤滑油を流すことが可能な形状とされている貫通孔又は空隙は、内部に潤滑油を流すことが可能な流路に含まれることとする。
成形工程(ステップS13)は、積層工程(ステップS11)及び接合工程(ステップS12)で形成された積層体34に成形加工を施して、円環部2a及び複数の歯部2bを有するプレート本体2(図1参照)を得る工程である。積層体34に施す成形加工としては、プレスによる打抜き加工、レーザー加工及び放電加工による切り出し等の方法が適用され得る。
なお、本実施の形態では矩形の積層体34を作成した後に円環状に成形してセパレートプレート1を製造するように説明しているが、円環状の鋼板及び高導電性物質板を用いてセパレートプレートを製造してもよい。この場合、積層体34を円環状に成形する成形工程が省略されることがある。但し、歯部2bの側端面に接合部を形成するとき、接合工程の後に成形工程を行うことが好ましい。歯部2bが形成された後に側端面に接合部を形成することにより側端面の形状が乱れる虞を回避できる。
実施の形態2.
図7は本発明の実施の形態2による湿式多板クラッチのセパレートプレート1を示す斜視図であり、図8は図7の領域VIIIを拡大して示す斜視図である。本実施の形態2のセパレートプレート1は、第1及び第2鋼層21,22を有している。第1及び第2鋼層21,22は隣接して配置されており、実施の形態1で説明した中間層23は省略されている。本実施の形態2では、複数の流路230を構成する複数の凹部220が第2鋼層22に設けられている。各凹部220は、各流路230の底面及び側面を構成する。各流路230の上面は、第1鋼層21により構成されている。
次に、図9は、図7のセパレートプレート1を製造するための方法を示すフローチャートである。図9に示すように、本実施の形態2の方法では、実施の形態1で説明した積層工程(ステップS11)、接合工程(ステップS12)及び成形工程(ステップS13)の前に、エンボス圧延工程(ステップS21)及び冷間圧延工程(ステップS22)が行われる。
エンボス圧延工程(ステップS21)は、第2鋼層22に対応する第2鋼板32にエンボス圧延を施して、凹部220が設けられた第2鋼板32を得る工程である。エンボス圧延は、種々の装置により行うことができる。エンボス圧延には、凹部220に対応する凸部が外周面に設けられたエンボスロールを用いることができる。エンボスロールの凸部が第2鋼板32の表面に転写されることにより、凹部220を形成することができる。エンボス圧延にエンボスロールを用いるとき、帯状の第2鋼板32を用いることが好ましい。エンボスロールにより、帯状の第2鋼板32の長手方向に並べて複数組の凹部220を連続的に付すことができるためである。1組の凹部220は、1つのセパレートプレート1に設けるべき複数の凹部220である。
冷間圧延工程(ステップS22)は、凹部220が設けられた第2鋼板32に対して冷間圧延を施す工程である。エンボス圧延では、凹部220が設けられた面とは逆側の面(裏面)において第2鋼板32に大きな凹凸が生じることがある。冷間圧延により、裏面の凹凸高さを減少させることができる。冷間圧延は、軽冷延とすることができる。軽冷延は、例えば第2鋼板32の板厚の0.5〜10%の圧延等である。第2鋼板32の板厚は、凹部220が設けられていない位置での第2鋼板32の板厚とすることができる。エンボス圧延により裏面に大きな凹凸が生じる虞が小さいときには、冷間圧延工程を省略してもよい。
積層工程(ステップS11)において、凹部220が設けられた第2鋼板32が第1鋼板31(他の板材)に重ねられる。接合工程(ステップS12)において第1及び第2鋼板31,32が接合されることにより積層体34が得られ、成形工程(ステップS13)において積層体34の成形が行われる。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
なお、実施の形態2では、第2鋼層22に凹部220が設けているように説明しているが、第1及び第2鋼層21,22の両方に凹部220が設けられていてもよい。すなわち、複数の層の少なくとも1つに流路230を構成する複数の凹部220が設けられていればよい。
実施の形態3.
図10は、本発明の実施の形態3による湿式多板クラッチのセパレートプレート1を示す正面図である。本実施の形態3のセパレートプレート1は、実施の形態2と同様に第1及び第2鋼層21,22を有しており、複数の流路230を構成する複数の凹部220が第2鋼層22に設けられている。
図10に示すように、複数の凹部220(又は複数の流路230)は、互いに交差して設けられている。また、本実施の形態3の複数の凹部220は、互いの間にn回対称(nは3以上の整数)の外形を有する凸部221を形成するように配置されている。図10では凸部221の形状が正四角形であるように示しているが、凸部221の形状は正三角形又は5以上の角を有する正多角形等であってもよい。
例えば凸部221の形状が細長い菱形(2回対称の形状)であるとき、流路230の形状に指向性が生じ、潤滑油の流通に偏りが生じる虞がある。凸部221がn回対称(nは3以上の整数)の外形を有することで、潤滑油の流通に偏りが生じる虞を低減できる。
実施例1.
次に、実施例を挙げる。まず、以下の工程A,Bにより複数の積層体34を作成した。
工程A:
板厚0.6mm又は1.0mmに対して放射状の切込み加工を施して、貫通孔330が設けられた複数の鋼板を作成した。貫通孔330の寸法は、鋼板間で異なるように設定した。また、貫通孔330が形成された鋼板を、両側から板厚0.6mm又は0.4mmの別の鋼板で挟み込んで積層し真空拡散焼鈍を施した。
工程B:
板厚1.0mmの鋼板に対して放射状の溝加工を施して、凹部220が設けられた複数の鋼板を作成した。凹部220の寸法は深さ0.5mm、巾2.5mmとした。各鋼板における凹部220(溝)の本数を互いに異なるように設定した。また、凹部220が設けられた各鋼板を、板厚0.8mm鋼板に重ねて真空拡散焼鈍を施した。
工程A,Bの両方において、真空拡散焼鈍条件は、10Pa以下の真空雰囲気中で2MPaの面圧をかけながら1000℃×2時間均熱後炉冷する条件とした。
工程A,Bにおいて得られた積層体34から放電加工により定形のセパレートプレート1を切り出した。工程Aの積層体34から得られたセパレートプレート1の流路230の断面積及び本数並びに値τ[mm-1]を表1に示す。同様に、工程Bの積層体34から得られたセパレートプレート1の流路230の断面積及び本数並びに値τ[mm-1]を表2に示す。なお、値τは、下記の(1)式により表される数値である。P[mm2]はプレート本体2の内周面の表面積であり、Q[mm2]は複数の流路230の表面積であり、R[mm3]は複数の流路230を含むプレート本体2の全体としての体積である。
τ=(P+Q)/R ・・・(1)
Figure 2021127817
Figure 2021127817
得られたセパレートプレート1を小型クラッチ摩擦試験機(神鋼造機株式会社製、SAE No.2)に取り付けて、連続引き摺り試験を行った。連続引き摺り試験では、4枚のセパレートプレートと3枚のフリクションプレートとの組合せによりクラッチパックを構成し、慣性量0.343kg・m2、面圧0.2MPa、回転速度130rpm、引き摺り時間120sの条件を使用した。その後、連続引き摺り試験に供したセパレートプレート1の表面温度を計測した。また、冷却流路を有しない標準プレートを用いて、同様の連続引き摺り試験を行い、表面温度の計測を行った。表面温度の計測結果を上記の表1,2に合わせて示している。また、工程A,Bの積層体34から得られたセパレートプレート1における表面温度の計測結果を図11のグラフにまとめた。なお、表面温度を測定したプレートは、積層したクラッチパックの内側2枚の内のいずれか1枚とした。プレートに埋め込んだ熱電対によって内面側の表面温度を測定した。また、試料油は入り側温度を70℃一定とした。
表1、表2及び図11に示すように、冷却流路を有しない標準プレートでは、プレート表面温度が300℃を超える高温となった。一方、標準プレートと比較して値τが大きくなるにつれて、プレート表面温度が急激に低下することが分る。値τを0.1mm-1以上とすることで、標準プレートと比較してプレート表面温度を20℃以上低下させることができた。このことから、値τ[mm-1]を0.1以上とすることの有用性が確認された。
一方、値τが0.3以上となる領域では温度低下が飽和する。また、温度低下が飽和する領域を超えて値τを大きくするとプレート表面温度が上昇する傾向にある。値τの増加に伴うプレート表面温度の上昇は、流路断面積の増加に伴い流速が低下する事に起因すると考えられる。
値τが0.2以上かつ1.05以下であるとき、標準プレートと比較して70℃以上の温度を低下させることができた。また、値τが0.3以上かつ0.75以下であるとき、標準プレートと比較して110℃以上の温度を低下させることができた。これらから、値τの各範囲の有用性が確認された。
実施例2.
次に、流路230の断面積の影響を調査した。まず、板厚1.0mmの鋼板に対して放射状の溝加工を施して、凹部220が設けられた複数の鋼板を作成した。このとき、各板材において、凹部220の巾を0.2,0.5,1.0,1.5mmに変更した。凹部220の深さは、0.2mmの一定とした。また、凹部220が設けられた各鋼板を、板厚0.8mm鋼板に重ねて真空拡散焼鈍を施した。真空拡散焼鈍の各種条件及び成形方法は実施例1と同様である。得られた複数のセパレートプレート1は、断面積が互いに異なる流路230を有している。なお、凹部220又は流路230の本数は、値τが0.145以上かつ0.150以下の範囲に入る本数とした。
実施例1と同様の方法で連続引き摺り試験を行い、プレート表面温度を測定した。その測定結果を表3及び図12に示す。図12から特に判るように、流路230の断面積を0.02mm2以上とすることで、冷却流路を有しない標準プレートと比較して表面温度を20℃以上の低下させることができた。断面積が0.02mm2以上であることで、圧力損失を抑えることができたためと考えられる。このことから、流路230の断面積を0.02mm2以上とすることが好ましいことが確認された。
Figure 2021127817
実施例3.
エンボスロールを用いて板厚1.0mmの鋼板に対してエンボス圧延を行い、凹部220が設けられた複数の鋼板(エンボス鋼板)を得た。エンボスロールの外周面には、巾1.0mmの格子状凸部と、その格子状凸部間に配置された一辺10mmの正方形の凹部220とが設けられていた。エンボス鋼板には、巾1.0mm、深さ0.3又は0.5mmの格子状の凹部220が形成されていた。
凹部220の深さが深いエンボス鋼板では、フリクションプレートとの接合面になる面の凹凸高さが10μmを超えていた。凹凸高さが大きいと、ヒートスポットと呼ばれる局所的な温度上昇を招く虞が生じる。このため、そのようなエンボス鋼板に対して圧延率1%の軽冷延を施して、凹凸高さ10μm以下になるように制御した。なお、凹部220の深さが0.3mmのエンボス鋼板における圧延率と十点平均凹凸高さとの関係を図13に示す。10μm以下の凹凸高さを得るためには、0.5%以上の圧延率で圧延を施せば良いことが分る。
得られたエンボス鋼板は、表4に示す接合方法で板厚1.0mmの鋼板と積層し接合させた。得られた積層鋼板から打抜きにより定形のセパレートプレート1を切り出した。なお、一部のサンプルでは、接合を行わず積層させたままクラッチパックとしてセットした。また、図6示すように歯部2bの側端2cに対応する位置を含む領域35において第1、第2鋼板31,32の接合を行った。
Figure 2021127817
実施例1と同様な方法で連続引き摺り試験を行い、プレート表面温度を測定し、結果を表4に示す。また、慣性量0.443kg・m2で4900rpmまで回転させた状態で、押し付け圧0.2MPaを負荷して急停止させる耐久試験を行い、ヒートスポットの発生有無を表4に合わせて示している。
表4から分るように、接合方法に寄らず、値τから期待される標準材よりも良好なプレート表面温度が測定された。ただし、軽冷延を施さなかったNo.11においては、プレート表面の凹凸高さが大きすぎることに起因して、耐久試験ではヒートスポットを生じていた。
以上のような湿式多板クラッチのセパレートプレートでは、値τ[mm-1]が0.1以上となるように複数の流路230が設けられているので、より効率的に冷却でき、より過酷な環境に耐えることができる。
また、値τが0.2以上かつ1.05以下であるので、より確実により効率的な冷却が可能となる。
また、値τが0.3以上かつ0.75以下であるので、さらに確実により効率的な冷却が可能となる。
また、各流路230の断面積が0.02[mm2]以上であるので、より確実により効率的な冷却が可能となる。
また、複数の層の少なくとも1つに複数の流路230を構成する複数の凹部220が設けられているので、製造にエンボス圧延を利用でき、セパレートプレート1の生産効率を向上できる。
また、凹部220は、互いの間にn回対称(nは3以上の整数)の外形を有する凸部221を形成するように互いに交差して配置されているので、流路230の形状に指向性が生じることを回避でき、潤滑油の流通に偏りが生じる虞を低減できる。
また、各層間のせん断破壊強度が5000[N]以上であるので、プレート使用時の接合部の破断を抑制できる。
また、複数の層が第1及び第2鋼層21,22で積層枚数が最小であるので、セパレートプレート1の生産効率の向上および製造コストの低減に貢献できる。
また、複数の層が歯部2bにおいて接合されているので、円環部2aに変形部又は変質部が生じる虞を低減でき、フリクションプレートからの表面への攻撃性が増大することを回避できる。
また、周方向に係る歯部2bの側端に接合部が設けられており、接合部の強度が非接合箇所よりも高くなっているので、セパレートプレート1の長寿命化を図ることができる。また、材料として安価な鋼材を用いても、歯部2bに必要とされる強度を満たすことができる。
また、以上のような湿式多板クラッチのセパレートプレート1を製造するための方法では、接合工程の後に積層体34に成形加工を施して、円環部2a及び複数の歯部2bを有するプレート本体2を得るので、接合により側端2cの形状が乱れる虞を回避できる。
また、板材にエンボス圧延を施して、凹部220が設けられた板材を得た後に、凹部220が設けられた板材を他の板材に重ねた後に凹部220が設けられた板材を他の板材に接合するので、セパレートプレート1の生産効率を向上できる。
また、エンボス圧延工程の後であって、接合工程の前に、凹部220が設けられた板材に対して冷間圧延を施すので、凹部220が設けられた面とは逆側の裏面における凹凸高さを減少させることができ、ヒートスポットが発生する虞を低減できる。
また、板材の接合方法が真空拡散焼鈍であるので、より確実に板材の接触面の全体又は大部分を接合できる。
また、板材の接合方法が抵抗溶接であるので、接合箇所に硬質な変質部を形成できる。この態様は、歯部2bの側端に接合部を設ける態様に特に有用である。
また、板材の接合方法がレーザー溶接であるので、接合箇所に硬質な変質部を形成できる。この態様は、歯部2bの側端に接合部を設ける態様に特に有用である。
また、板材の接合方法が超音波接合であるので、接合箇所に加工硬化部を形成できる。この態様は、歯部2bの側端に接合部を設ける態様に特に有用である。
1 セパレートプレート
2 プレート本体
2a 円環部
2b 歯部
2c 側端
21 第1鋼層(複数の層)
22 第2鋼層(複数の層)
23 中間層(複数の層)
220 凹部
221 凸部
230 流路
31 第1鋼板(複数の板材)
32 第2鋼板(複数の板材)
33 中間板(複数の板材)
34 積層体

Claims (17)

  1. 円環状に成形されているとともに、板厚内部において内周面から外周面まで貫通して設けられた複数の流路を有するプレート本体
    を備え、
    前記複数の流路は、前記内周面の表面積をP[mm2]とし、前記複数の流路の表面積をQ[mm2]とし、前記複数の流路を含む前記プレート本体の全体としての体積をR[mm3]としたとき、下記の(1)式で表される値τ[mm-1]が0.1以上となるように設けられている、
    τ=(P+Q)/R ・・・(1)
    湿式多板クラッチのセパレートプレート。
  2. 前記値τが0.2以上かつ1.05以下である、
    請求項1記載の湿式多板クラッチのセパレートプレート。
  3. 前記値τが0.3以上かつ0.75以下である、
    請求項1記載の湿式多板クラッチのセパレートプレート。
  4. 各流路の断面積が0.02[mm2]以上である、
    請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の湿式多板クラッチのセパレートプレート。
  5. 前記プレート本体は、互いに重ねられて接合された複数の層を有し、
    前記複数の層の少なくとも1つには、前記複数の流路を構成する複数の凹部が設けられている、
    請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の湿式多板クラッチのセパレートプレート。
  6. 前記凹部は、互いの間にn回対称(nは3以上の整数)の外形を有する凸部を形成するように互いに交差して配置されている、
    請求項5記載の湿式多板クラッチのセパレートプレート。
  7. 前記プレート本体は、互いに重ねられて接合された複数の層を有し、
    各層間のせん断破壊強度が5000[N]以上である、
    請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の湿式多板クラッチのセパレートプレート。
  8. 前記複数の層は、第1及び第2鋼層である、
    請求項5又は請求項7に記載の湿式多板クラッチのセパレートプレート。
  9. 前記プレート本体は、互いに重ねられて接合された複数の層を有し、
    前記プレート本体には、円環状の円環部と、前記円環部の周方向に間隔をおいて前記円環部の外縁又は内縁から前記円環部の径方向内方又は外方に突出された複数の歯部とが設けられており、
    前記複数の層は、前記歯部において接合されている、
    請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の湿式多板クラッチのセパレートプレート。
  10. 前記周方向に係る前記歯部の側端に接合部が設けられており、前記接合部の強度が非接合箇所よりも高くなっている、
    請求項9記載の湿式多板クラッチのセパレートプレート。
  11. 請求項10記載の湿式多板クラッチのセパレートプレートを製造するための方法であって、
    互いに重ねられた複数の板材を接合して積層体を得る接合工程と、
    前記接合工程の後に前記積層体に成形加工を施して、前記円環部及び前記複数の歯部を有する前記プレート本体を得る成形工程と
    を含み、
    前記接合工程では、前記歯部の前記側端に対応する位置を含む領域において前記複数の板材の接合を行う、
    方法。
  12. 請求項5から請求項10までのいずれか一項に記載の湿式多板クラッチのセパレートプレートを製造するための方法であって、
    板材にエンボス圧延を施して、前記凹部が設けられた板材を得るエンボス圧延工程と、
    前記凹部が設けられた板材を他の板材に重ねた後に、前記凹部が設けられた板材を前記他の板材に接合する接合工程と
    を含む、
    方法。
  13. 前記エンボス圧延工程の後であって、前記接合工程の前に、前記凹部が設けられた板材に対して冷間圧延を施す冷間圧延工程
    をさらに含む請求項12記載の方法。
  14. 前記板材の接合方法が真空拡散焼鈍である、
    請求項11から請求項13までのいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記板材の接合方法が抵抗溶接である、
    請求項11から請求項13までのいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記板材の接合方法がレーザー溶接である、
    請求項11から請求項13までのいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記板材の接合方法が超音波接合である、
    請求項11から請求項13までのいずれか一項に記載の方法。
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