JP3761784B2 - グッドパスチャー抗原結合タンパク質 - Google Patents
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Description
(相互参照)
本出願は1999年2月24日に出願された米国仮出願番号60/121483の優先権を請求する。
【0002】
(政府権限の記載)
本研究はComision Interministerial de Ciencia Technologia(CICYT、スペイン)のPlan Nacional I+Dからの許可番号SAL91/0513、SAF94/1051およびSAF97/0065、Fondo de Investigaciones Sanitarias(FISss、スペイン)からの許可番号93/0343、並びにla Direccio General d’Ensenyaments Universitaris i Investigacio(Comunitat Valenciana、スペイン)からの許可番号GV−3366/95、GV−C−VS−21−118−96により援助を部分的に受けている;従ってスペイン政府は本発明の権利を保持する。
【0003】
(発明の分野)
本発明はプロテインキナーゼ、自己免疫疾患、アポトーシスおよび癌の分野に関する。
【0004】
(発明の背景)
グッドパスチャー(GP)病はヒトのみで報告されている自己免疫疾患である。GP患者では、IV型コラーゲンα3鎖の非コラーゲン性C末端ドメイン(NC1)(「グッドパスチャー抗原」)に対する自己抗体が急速な進行性糸球体腎炎およびしばしば肺出血を引き起こし、これはGP症候群の二つの重要な臨床発現である(1を参照のこと。このセクションでの参照番号は実施例1の参考文献リストに対応する)。
【0005】
一つ以上の自己免疫疾患を表す有意数の患者により、またこれらの疾患のいくつかが特異的MHCハプロタイプに対して示す強力で共通した連鎖により、少なくともいくつかの自己免疫障害では共通の発病原因が存在するという考えが示唆される(31、32)。自己免疫においては自己抗原が先導部分であり、自己抗原性である自己成分の数は限られている(31)という実験観察は、これらの自己成分が、免疫系による自己/非自己認識の重要な結果と生物学的特徴を共有することを示唆している。異なるが特異的である自己成分を変化させることにより、引き金となる事象が結果的に異常な抗原処理をする可能性がある。特定のMHC特異性を発現するある個体では、異常ペプチドが非耐性Tセルにより認識され、免疫応答を引き起こす(1)。
【0006】
我々は以前にGP抗原を探査し、自己免疫発病原因において関連性のある生物学的特徴を同定した。NCIドメインは種間で、および異なるIV型コラーゲンα鎖(α1からα6)間で高度に保存されているので(2)、天然の自己免疫応答におけるヒトα3(IV)NC1の排他的な関与は、このドメインが発病原因に関連する構造的および/または生物学的特徴を有することを示唆している。これに一致して、ヒト抗原のN末端は高度に分岐しており、A型プロテインキナーゼの機能的リン酸化部位を確認する独特の5個の残基モチーフ(KRGDS9)を含有する(3、4)。さらに、ヒトα3遺伝子は、別法としてスプライシングされ、リン酸化可能なN末端領域をも含有する複数の転写物を生じるが、その他のヒト関連または別の種の相同性遺伝子にはそれはない(5から7)。最近の研究ではcAMP依存性プロテインキナーゼによるGP抗原のN末端のリン酸化が別の生成物の存在により上方制御されることが示されている(以下の実施例3を参照のこと)。特異的セリンリン酸化およびプレmRNA代替スプライシングはまたアセチルコリンレセプターおよびミエリン塩基性タンパク質(MBP)を含有するその他の自己抗原の生物学とも関連する(4)。後者は免疫系が中枢神経系の白質を標的とする別の排他的ヒト自己免疫疾患である多発性硬化症(MS)における主要な抗原であると考えられる。GP病およびMSは同一のHLA IIクラスハロタイプ(HLA DRB1*1501)と強力な関連性を示すヒト疾患である(32、33)。このHLA特異性を担持するMS患者のGP病による死亡が最近報告されたのに加えて(34)、これはこれらのヒト疾患における共通の発病原因の存在を支持している。
【0007】
このように、特異的セリン/スレオニンリン酸化がヒトGP抗原、その他の種のGP抗原、およびその他のヒトα(IV)鎖からの相同性ドメイン間の主要な生物学的差異であり、発病原因において重要であろう(1、4)。
【0008】
従って、ヒトGP抗原のN末端領域をリン酸化する特異的セリン/スレオニンキナーゼの同定および単離はGP症候群および恐らくその他の自己免疫障害の診断および処置に非常に有利であろう。
【0009】
(発明の開示)
本発明はヒトGP抗原の独特なN末端領域に特異的に結合し、リン酸化するセリン/スレオニンキナーゼの同定および単離に関して当該分野の必要性を満足させるものである。一つの態様では、本発明は種々の形態のグッドパスチャー抗原結合タンパク質(GPBP)をコードする核酸配列、およびGPBPコード化配列に機能的に結合した組換え発現ベクターを提供する。
【0010】
別の態様では、本発明は組換え発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。さらなる態様では、本発明は実質的に精製されたGPBPおよびGPBPに選択的に結合する抗体を提供する。さらに別の態様では、本発明はGPBPまたはGPBPをコードするの核酸の存在を検出する方法を提供する。
【0011】
さらなる態様では、本発明は自己免疫状態またはアポトーシスの存在を検出する方法であって、対照組織に比較して、組織におけるGPBPの発現の増加の検出からなる方法を提供する。
【0012】
別の態様では、本発明は自己免疫障害、アポトーシス、または腫瘍を処置するための方法および医薬用組成物であって、GPBPの発現または活性を改変する必要性を有する患者において、GPBPの発現または活性を改変することからなる方法および医薬用組成物を提供する。
【0013】
(発明の詳細な説明)
本発明に引用する全ての参考文献は出展明示により本明細書の一部とする。
【0014】
本明細書で用いる略語は:bp、塩基対;DTT、ジチオスレイトール;DMEM、ダルベッコ改変イーグル培地;EDTA、エチレンジアミン四酢酸;EGTA、エチレングリコールビス(βアミノエチルエーテル)N,N,N’,N’−四酢酸;GP、グッドパスチャー;rGPΔIII、rGPΔIII/IV/VおよびrGPΔV、各々スプライシングしたエキソンIII、エキソンIII,IVおよびVまたはエキソンVから得られたグッドパスチャー抗原の代替の形態を表す組換え物質;GPBPおよびrGPBP、元来のおよび組換えグッドパスチャー抗原結合タンパク質;GPBPΔ26およびrGPBPΔ26、GPBPの元来のおよび組換え代替形態;GST、グルタチオンS−トランスフェラーゼ;HLA、ヒトリンパ球抗原;HPLC、高速液体クロマトグラフィ;Kb、千塩基対;kDa、千ダルトン;MBP、rMBP、元来のおよび組換え21kDaミエリン塩基性タンパク質;MBPΔIIおよびrMBPΔII、エキソンIIをスプライシングして得られた元来のおよび組換え18.5kDaミエリン塩基性タンパク質;MBPΔVおよびMBPΔII/V、各々エキソンV並びにエキソンIIおよびVをスプライシングして得られたミエリン塩基性タンパク質の代替形態;MHC、主要組織適合性複合体;NC1、非コラーゲン性ドメイン;PH、プレクストリン相同性;PKA、cAMP依存性プロテインキナーゼ;PMSF、フッ化フェニルメチルスルフォニル;SDS−PAGE、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動;TBS、トリス緩衝生理食塩水:である。
【0015】
本出願では特記しない場合、利用される技術はいくつかの既知の参考文献例えばMolecular Cloning:A Labotayory Manual(Sambrookら、コールドスプリングハーバーラボラトリープレス(1989))、Gene Expression Technology(Methods in Enzymology、185巻、D.Goeddel編、アカデミックプレス、サンディエゴ、カリフォルニア州(1991))、Methods in Enzymologyの「Guide to Protein Purification」(M.P.Deutshcer編、アカデミックプレスインコーポレーティッド(1990));PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Innisら、アカデミックプレス、サンディエゴ、カリフォルニア州(1990))、Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique、第2版(R.I.Freshney、リスインコーポレーティッド、ニューヨーク、ニューヨーク州(1987))、Gene Transfer and Expression Protocols、109−128頁、(E.J.Murray編、ザヒューマナプレスインコーポレーティッド、クリフトン、ニュージャージー州)、およびアンビオン1998年カタログ(アンビオン、オースティン、テキサス州)のいずれかに見出すことができる。
【0016】
本明細書で用いる「GPBP」なる用語はグッドパスチャー結合タンパク質を意味し、その単量体およびオリゴマーの両方を含む。ヒト(配列番号:2)、マウス(配列番号:4)、およびウシGPBP配列(配列番号:6)を本明細書にて提供する。
【0017】
本明細書で用いる「GPBPΔ26」なる用語は配列番号:14に示す26個のアミノ酸配列を削除したグッドパスチャー結合タンパク質を意味し、その単量体およびオリゴマーの両方を含む。ヒト(配列番号:8)、マウス(配列番号:10)、およびウシGPBP配列(配列番号:12)を本明細書にて提供する。
【0018】
本明細書で用いる「GPBPpep1」なる用語は配列番号:14に示す26個のアミノ酸ペプチドを意味し、その単量体およびオリゴマーの両方を含む。
【0019】
本明細書で用いる用語「GP抗原」はIV型コラーゲンのα3NC1ドメインを意味する。
【0020】
本明細書で用いる「MBP」はミエリン塩基性タンパク質を意味する。
【0021】
一つの態様では、本発明はGPBP、GPBPΔ26、およびGPBPpep1並びにその変異体またはフラグメントをコードする単離された核酸を提供する。一つの態様では、単離された核酸は配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23もしくは配列番号:25またはそのフラグメントと実質的に類似する配列を含む。
【0022】
別の態様では、本発明はGP抗原またはMBPの代替生成物をコードする単離された核酸を提供する。一つの態様では、単離された核酸は配列番号:43および配列番号:44に実質的に類似するペプチドをコードする配列を含む。
【0023】
本明細書で用いる「実質的に類似した」なる用語は、欠失、付加、または置換など(これらに限定するものではない)の、開示する配列からの保存または非保存変種の一つまたはそれ以上を有するDNAもしくはRNA、またはタンパク質のアミノ酸配列のヌクレオチドであって、得られた核酸および/またはアミノ酸配列は本明細書に開示する配列と機能的に同等であるヌクレオチド配列を意味する。機能的に同等な配列は実質的に同一の方法で機能して実質的に同一の本明細書に開示するタンパク質を製造する。例えば機能的に同等のDNAは本明細書に開示するタンパク質と同一であるか、または一つまたはそれ以上の保存アミノ酸変種、例えば別の非極性残基に関して非極性残基の置換、もしくは荷電した残基に関しては同様に荷電した残基の置換体を有するタンパク質をコードする。これらの変化には当業者によりタンパク質の3次構造を実質的に変化しない置換体として認識されている変化などがある。
【0024】
実際には、実質的に類似したなる用語は高ストリンジェンシーに対して中程度の条件下で互いにハイブリダイズする2個のタンパク質をコードするDNAを意味し、同一のアミノ酸配列を有するか、またはその構造もしくは機能を変化しない配列における変化を有するタンパク質をコードする。本明細書で用いる実質的に類似したヌクレオチドまたはアミノ酸配列は少なくとも約70%の同一性、より好ましくは少なくとも約80%の同一性、および最も好ましくは少なくとも約90%の同一性を共有する。しかしながら、スプライシング変種として生じる前記のレベルの相同性以下であるタンパク質(およびかかるタンパク質をコードするDNAまたはRNA)、または保存アミノ酸置換(または縮重コドンの置換)により改変されたものは本発明の範囲内であることを意図することは認識される。
【0025】
本明細書で用いるハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは核酸ハイブリッドが安定である条件を意味する。当業者に既知であるように、ハイブリッドの安定性はハイブリッドの融点(TM)に反映する。配列相同性が1%減少する毎にTMはおよそ1から1.5℃低下する。概して、ハイブリッドの安定性はナトリウムイオン濃度および温度の相関関係である。典型的には、低ストリンジェンシー条件下でハイブリダイゼーション反応を行い、続いてより高度なストリンジェンシー条件に変化して洗浄する。ハイブリダイゼーションストリンジェンシーに対する言及はかかる洗浄条件に関係する。このように本明細書で用いる中程度のストリンジェンシーとは0.1% SSPE中37℃または55℃で安定したハイブリッドを形成するこれらの核酸配列がハイブリダイズできる条件を意味し、一方高度なストリンジェンシーとは0.1% SSPE中65℃で安定したハイブリッドを形成するこれらの核酸配列がハイブリダイズできる条件を意味する。これらの条件が種々のバッファーおよび温度を用いて繰り返すことができ、正確である必要はないことは理解されよう。デンハーツ溶液およびSSPE(例えばSambrook、FritschおよびManiatis、Molecular Cloning;A Laboratory Manual、コールドスプリングハーバーラボラトリープレス(1989))はその他の適当なハイブリダイゼーションバッファーとして当業者に既知である。
【0026】
単離された核酸配列は一つまたはそれ以上のイントロンを有するRNA、cDNAまたはゲノムクローンを含んでもよい。単離された配列はさらにポリA配列、改変コザック配列、およびエピトープタグをコードする配列、搬出シグナル、および分泌シグナル、核局在化シグナル、および原形質膜局在化シグナルなど(これらに限定するものではない)のコードされたタンパク質の発現および/または精製を促進するのに有用なさらなる配列を含んでもよい。
【0027】
別の態様では、本発明はGPBP、GPBPΔ26またはGPBPpep1、およびその変異体またはフラグメントを発現する核酸配列を含む組換え発現ベクターを提供する。一つの態様では、ベクターは配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23もしくは配列番号:25に示す配列またはそのフラグメントと実質的に類似する核酸配列を含む。
【0028】
別の態様では、本発明は配列番号:43、配列番号:44に示すアミノ酸配列またはそのペプチドフラグメントに実質的に類似するペプチドを発現する核酸配列を含む組換え発現ベクターを提供する。
【0029】
「組換え発現ベクター」には核酸コーディンング領域または遺伝子を遺伝子生成物の発現に影響できるいずれかのプロモーターに機能的に連結するベクターをなどがある。哺乳動物系において開示した核酸配列の発現を誘導するのに用いられるプロモーター配列は構成性(CMV、SV40、RSV、アクチン、EFなどの種々のプロモーターのいずれかにより誘導されるが、これらに限定するものではない)かまたは誘導性(テトラサイクリン、エクジソン、ステロイド応答性などの多くの誘導性プロモーターのいずれかにより誘導されるが、これらに限定するものではない)でよい。原核細胞をトランスフェクトするのに用いられる発現ベクターの構築はまた当業者に既知であり、従って標準的な技術により達成できる。(例えばSambrook、FritschおよびManiatis、Molecular Cloning;A Laboratory Manual、コールドスプリングハーバーラボラトリープレス(1989);E.J.Murray編、Gene Transfer and Expression Protocols、109−128頁、ザヒューマナプレスインコーポレーティッド、クリフトン、ニュージャージー州)、アンビオン1998年カタログ(アンビオン、オースチン、テキサス州を参照のこと)。
【0030】
発現ベクターはエピソームとしてかまたは宿主染色体DNAに組み込むことにより宿主生物内で複製可能でなければならない。好ましい態様では、発現ベクターはプラスミドを含む。しかしながら、本発明は同等の機能を提供するその他の発現ベクター、例えばウイルスベクターを含むことを意図する。
【0031】
さらなる態様では、本発明は本明細書に開示する組換え発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞を提供し、ここで宿主細胞は原核細胞かまたは真核細胞でよい。細胞を一過性でまたは安定してトランスフェクトできる。当業者に既知のいずれかの技術、例えば標準細菌性形質転換、リン酸カルシウム共沈、エレクトロポレーション、またはリポソーム媒介、DEAEデキストラン媒介、ポリカチオン媒介またはウイルス媒介トランスフェクションにより(これらに限定するものではない)発現ベクターの原核および真核細胞へのトランスフェクションを達成できる。(例えばMolecular Cloning;A Laboratory Manual(Sambrookら(1989)、コールドスプリングハーバーラボラトリープレス);Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique、第2版(R.I.Freshney(1987)、リスインコーポレーティッド、ニューヨーク、ニューヨーク州)を参照のこと。)
【0032】
さらに別の態様では、本発明は実質的に精製されたGPBP、GPBPΔ26およびGPBPpep1並びにその変異体またはフラグメントを提供する。一つの態様では、実質的に精製されたタンパク質のアミノ酸配列は配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24またはそのペプチドフラグメントに実質的に類似している。
【0033】
別の態様では、本発明はGP抗原およびMBPの実質的に精製された代替生成物を提供する。一つの態様では、実質的に精製されたポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号:43、配列番号:44またはそのペプチドフラグメントに実質的に類似している。
【0034】
本明細書で用いる「実質的に精製された」なる用語はそのin vivo細胞環境から分離されているタンパク質を意味する。従って、タンパク質を天然供給源から精製できるか、または組換えタンパク質を前記で開示したトランスフェクトされた宿主細胞から精製できる。好ましい態様では、前記で開示したトランスフェクトされた細胞によりタンパク質を製造し、標準的な技術を用いて精製する。(例えばMolecular Cloning;A Laboratory Manual(Sambrookら(1989)、コールドスプリングハーバーラボラトリープレス)を参照のこと。)このように原核または真核生物供給源からタンパク質を精製できる。さらに好ましい種々の態様において、タンパク質を細菌、酵母または哺乳動物細胞から精製する。
【0035】
タンパク質は、タンパク質の精製を促進するのに有用なさらなる配列、例えばエピトープタグおよび輸送シグナルを含んでもよい。かかるエピトープタグの例としては、FLAG(シグマケミカルズ、セントルイス、ミズーリー州)、myc(9E10)(インビトロゲン;カールスバッド、カリフォルニア州)、6−His(インビトロゲン、ノバゲン、マジソン、ウィスコンシン州)およびHA(ベーリンガーマンハイムバイオケミカルズ)などがあるが、これらに限定するものではない。かかる輸送シグナルの例としては搬出シグナル、分泌シグナル、核局在化シグナルおよび原形質膜局在化シグナルなどがあるが、これらに限定するものではない。
【0036】
別の態様では、本発明はGPBP、GPBPΔ26またはGPBPpep1に選択的に結合する抗体を提供する。一つの態様では、抗体は配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24またはそのペプチドフラグメントからなる群から選択される配列を含むタンパク質に選択的に結合する。宿主動物を完全GPBPでか、またはその抗原性ペプチドで免疫することによりかかる抗体を製造できる。抗体はポリクローナル、またはモノクローナル抗体でよい。
【0037】
別の態様では、本発明は配列番号:43、配列番号:44、配列番号:46、配列番号:48、配列番号:50、配列番号:54またはその抗原性フラグメントからなる群から選択される配列に実質的に類似したアミノ酸配列を含むポリペプチドに選択的に結合する抗体を提供する。
【0038】
既知の方法、例えばHarlowおよびLane、Antibodies;Laboratory Manual、コールドスプリングハーバーラボラトリー、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク(1988)に記載の方法により抗体を製造できる。一例を挙げると、最初の免疫の前に前免疫血清を収集する。実質的に精製した本発明のタンパク質またはその抗原性フラグメントを適当なアジュバントと共に、免疫応答を引き出すのに十分な量および間隔で動物に注射する。一定の間隔で、好ましくは週毎に動物を出血させ、抗体力価を決定する。1次免疫後動物にブースター注射をしてもしなくてもよい。各ブースター免疫後約7日に、または1回免疫後約毎週、動物を出血させ、血清を収集し、一定分量を約−20℃で保存する。次いで動物から収集した血清を、GPBP関連タンパク質を含まない同一の発現系から製造した非抗原性関連タンパク質が結合するカラムに通すことにより、本発明のタンパク質およびペプチドに対するポリクローナル抗体を直接的に精製できる。
【0039】
動物から脾臓細胞を得ることによりモノクローナル抗体を製造できる(KohlerおよびMilstein、Nature,256:495−497(1975)を参照のこと)。一例では、近交系マウスを本発明のタンパク質もしくはペプチドまたはその抗原性フラグメントで免疫することにより目的のモノクローナル抗体(mAb)を製造する。腹腔内(IP)または皮下(SC)経路により、免疫応答を引き出すのに十分な量および間隔でマウスを免疫する。0日にマウスに1次免疫し、約3から約30週休ませる。免疫したマウスに静脈内(IV)経路により1回またはそれ以上ブースター免疫する。当業者に既知の標準的な方法により免疫マウスから脾臓を除去することにより、抗体陽性マウスからリンパ球を入手する。安定したハイブリドーマを形成できる条件下で適当な融合パートナーと脾臓リンパ球を混合することによりハイブリドーマ細胞を製造する。抗体製造細胞および融合パートナー細胞をポリエチレングリコール中約30%から約50%の濃度で融合させる。当業者に既知の方法により、ヒポキサンチン、チミジンおよびアミノプテリンを補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中成長させることにより融合したハイブリドーマを選別する。成長陽性ウェルから上澄液を収集し、固相イムノラジオアッセイのごときイムノアッセイにより抗体生成に関してスクリーニングする。MacPhersonの軟寒天技術(Tissue Culture Methods and Applications、KruseおよびPaterson編、アカデミックプレス(1973))のごとき技術により抗体陽性ウェルからのハイブリドーマ細胞をクローニングする。
【0040】
かかる抗体応答を生じるために、典型的には本発明のタンパク質を医薬上許容される非経口投与用担体と共に処方する。かかる許容されるアジュバントにはフロイント完全、フロイント不完全、アルミニウム沈殿、コリネバクテリウムパルヴムおよびtRNAを含有する油中水乳剤などがあるが、これらに限定するものではない。ポリペプチドの濃度およびベヒクルおよびその他の構成成分の選択などのかかる組成物の処方は当業者の範囲内である。
【0041】
本明細書で用いる抗体なる用語は本発明のタンパク質およびペプチドまたはそのフラグメントと選択的に反応するその抗体フラグメントを含むことを意図する。慣用的な技術を用いて抗体をフラグメント化することができ、そのフラグメントを抗体全体に関して前記したのと同一の方法で有用性に関してスクリーニングできる。例えば抗体をペプシン消化することによりF(ab’)2フラグメントを生じることができる。得られたF(ab’)2フラグメントを反応させてジスルフィド結合を還元して、Fab’フラグメントを作ることができる。
【0042】
さらなる態様では本発明は、タンパク質サンプル中の本発明のタンパク質またはペプチドの存在を検出するための方法であって、スクリーニングするタンパク質サンプルを調製し、スクリーニングするタンパク質サンプルを本発明のタンパク質またはペプチドに対する抗体と接触させること、および抗体−抗原複合体の形成を検出することからなる方法を提供する。抗体は前記するポリクローナルまたはモノクローナルのいずれかでよいが、モノクローナル抗体が好ましい。本明細書で用いる「タンパク質サンプル」なる用語は本発明のタンパク質またはペプチドおよびそのフラグメントを含有し得るいずれかのサンプルを意味し、組織およびその部分、組織切片、完全な細胞、細胞抽出物、精製または部分的に精製したタンパク質サンプル、体液、核酸発現ライブラリーなどがあるが、これらに限定するものではない。従って、本発明のこの態様を用いて、標準的な技術、例えば免疫局在化、免疫蛍光分析、ウェスタンブロット分析、ELISAおよび核酸発現ライブラリースクリーニングなど(これらに限定するものではない)によりこれらの種々タンパク質サンプル中のGPBP、GPBPΔ26、GPBPpep1、またはGP抗原の代替生成物の存在に関して試験できる(例えばSambrookら(1989)を参照のこと)。一つの具体例では、その技術により目的のタンパク質またはペプチドの存在または不在のみを決定できる。別法として、その技術により定量し、サンプル中の目的のタンパク質またはペプチドの相対量についての情報を提供できる。定量目的ではELISAが好ましい。
【0043】
標準的な検出技術により本発明のタンパク質もしくはペプチド、またはそのフラグメントおよびその抗体またはそのフラグメント間の免疫複合体形成を検出できる。例えば標識抗体または2次抗体を用いることにより免疫複合体を検出できる。標識の選択などのかかる方法は当業者に既知である。(HarlowおよびLane、前記で引用)。別法として、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体を検出可能な物質に結合できる。用語「結合した」は検出可能な物質が物理的に抗体に連結しているという意味で用いる。適当な検出可能な物質には種々酵素、補欠分子団、蛍光性物質、発光性物質、および放射性物質などがある。適当な酵素の例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、βガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼなどがある。適当な補欠分子団複合体の例としてはストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンなどがある。適当な蛍光性物質の例としてはアンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリトリンなどがある。発光性物質の例としてはルミノールなどがある。適当な放射性物質の例としては125I、131I、35Sまたは3Hなどがある。
【0044】
かかる検出方法は種々の目的で有用であり、自己免疫状態の検出、標的とされるまたはアポトーシスが起こっている細胞の同定、組織サンプル中の目的のタンパク質の免疫局在化、ウェスタンブロット分析、関連タンパク質を見出すための発現ライブラリーのスクリーニングなどがあるが、これらに限定するものではない。
【0045】
さらに別の態様では、本発明はサンプル中のGPBP、GPBPΔ26、GPBPpep1、またはGP抗原の代替生成物をコードする核酸配列の存在を検出する方法であって、スクリーニングする核酸サンプルを調製し、サンプルを本発明の単離された核酸配列またはそのフラグメントから誘導した核酸プローブと接触させること、および複合体形成を検出することからなる方法を提供する。
【0046】
本明細書で用いる用語「サンプル」はGPBP関連核酸を含有し得るいずれかのサンプルを意味し、組織およびその一部、組織切片、完全な細胞、細胞抽出物、精製または部分的に精製した核酸サンプル、DNAライブラリー、並びに体液などがあるが、これらに限定するものではない。従って、本発明のこの態様を用いて、切片上ハイブリッド形成法、ノーザンブロッティング、サザンブロッティング、DNAライブラリースクリーニング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または逆転写PCR(RT−PCR)など(これらに限定するものではない)の標準的な技術により、これらの種々サンプル中のGPBP mRNAまたはDNAの存在に関して試験できる。(例えばSambrookら(1989)を参照のこと。)一つの具体例では、この技術により目的の核酸の存在または不在のみを決定できる。別法として、この技術により定量でき、サンプル中の目的の核酸の相対量に関する情報を提供できる。定量目的では、定量用PCRおよびRT−PCRが好ましい。従って、一例では、RNAをサンプルから単離し、目的の核酸配列から誘導したオリゴヌクレオチドと接触させ、逆転写酵素と共に適当なバッファーおよび温度条件下でGPBP関連RNAからcDNAを製造する。次いでcDNAを目的の核酸配列から誘導したプライマー対を用いるPCRに供する。好ましい態様では、配列番号:5のRNA発現生成物の存在を検出するようにプライマーを設計し、サンプル中のGPBP遺伝子発現の量を対照サンプルのレベルと比較する。
【0047】
目的の核酸配列を検出するために、標準的な標識技術を用いてプローブ、目的の核酸、またはプローブおよび目的の核酸間の複合体を標識でき、その標識技術には放射性、酵素、化学ルミネサンスまたはアビジンもしくはビオチン標識技術などがあるが、これらに限定するものではなく、これらは全て当業者に既知である。(例えばMolecular Cloning:A Laboratory Manual(Sambrookら、(1989)、コールドスプリングハーバーラボラトリープレス)、Gene Expression Technology(Methods in Enzymology、185巻、D.Goeddel編(1991)、アカデミックプレス、サンディエゴ、カリフォルニア州);PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Innisら、(1990)、アカデミックプレス、サンディエゴ、カリフォルニア州)を参照のこと。)
【0048】
かかる核酸検出法は自己免疫状態の診断、標的になるまたはアポトーシスが行われている細胞の同定、切片上ハイブリッド形成法、ノーザンおよびサザンブロット分析およびDNAライブラリースクリーニングなど(これらに限定するものではない)の種々の目的に有用である。
【0049】
以下の実施例で示すように、GPBPは天然発生自己免疫応答において一般に標的とされる組織構造で優先的に発現することが示され、グッドパスチャー症候群(GP)、全身性エリテマトーデス(SLE)および扁平苔癬など(これらに限定するものではない)のいくつかの自己免疫状態において高度に発現する。さらに、後記する類似の実験研究法に従ってGP病(α3IV型コラーゲン)、SLE(P1リボソームリンタンパク質およびSm−D1小型核リボヌクレオタンパク質)および皮膚筋炎(ヒスチジル−tRNAシンターゼ)の自己抗原を表する組換えタンパク質がin vitroでGPBPの基質であることが示された。
【0050】
このように、好ましい態様では、GPBP発現の検出を用いて自己免疫状態を検出する。GPBP発現に関して、試験しているサンプルを対照サンプルと比較し、ここでGPBP発現レベルの上昇は自己免疫状態の存在を示す。この具体例では、これはGPBPには存在するが、GPBPΔ26には存在しないGPBPprep1に選択的に結合する抗体を用いるのが好ましい。
【0051】
さらに、添付の実施例に示すように、GPBPは腫瘍の培養細胞株において下方制御され、データはGPBP/GPBPΔ26がアポトーシスを誘起する細胞シグナル発生経路に関与している可能性があり、これは自己免疫の病理発生過程において上方制御され、腫瘍成長中に形質転換された細胞を攻撃する自己免疫攻撃を防御するために細胞を形質転換中には下方制御される。このように、本明細書に開示する検出方法を用いて標的化されたまたはアポトーシスが行われている細胞を検出することができる。
【0052】
別の態様では、本発明は自己免疫障害、腫瘍、を処置する、またはGPBP、GPBPΔ26もしくはGPBPpep1に実質的に類似するポリペプチドを含むタンパク質の発現または活性を改変することからなる細胞アポトーシスを防御する必要のある患者においてかかる処置または防御をするための方法を提供する。GPBP、GPBPΔ26もしくはGPBPpep1に実質的に類似するポリペプチドを含むタンパク質の発現または活性を改変することは、GPBP発現もしくは活性の特異的誘発因子もしくは阻害因子、GPBP抗体、GPもしくはミエリン塩基性タンパク質代替生成物を用いる遺伝子もしくはタンパク質治療、GPもしくはミエリン塩基性タンパク質代替生成物を発現する宿主細胞を用いる細胞治療、または当業者に既知のその他の技術を用いて達成できる。好ましい具体例では、方法はさらにGP抗原またはMBPの、実質的に精製された代替生成物を投与し、GPBP、GPBPΔ26もしくはGPBPpep1に実質的に類似するポリペプチドを含むタンパク質の発現または活性を改変することを含む。本明細書で用いる「発現または活性を改変すること」とはRNAまたはタンパク質生成物のいずれかの発現または活性を改変することを意味する。
【0053】
別の態様では、本発明はGPBP RNAまたはタンパク質の発現または活性を改変するための、実質的に精製された有効量のGP抗原またはMBPの代替生成物および医薬上許容される担体を含む医薬用組成物を提供する。
【0054】
投与用に、活性物質を通常指示された投与経路に適当な一つまたはそれ以上のアジュバントと組み合わせる。化合物をラクトース、スクロース、デンプン粉、アルカノン酸のセルロースエステル、ステアリン酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸および硫酸のナトリウムおよびカルシウム塩、アカシア、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドンおよび/またはポリビニルアルコールと混合でき、慣用される投与用に錠剤化またはカプセル化できる。別法として、本発明の化合物を生理食塩水、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロースコロイド溶液、エタノール、コーン油、落花生油、綿実油、ゴマ油、トラガントゴム、および/またはその他のバッファーに溶解できる。その他のアジュバントおよび投与様式は医薬の分野で既知である。担体または希釈剤には遅延物質、例えばモノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル単独もしくはワックスと共に、または当業者に既知のその他の物質などがある。
【0055】
本発明は説明のみを目的とする添付の実施例を参考としてよりよく理解されるであろうが、本明細書に添付の特許請求の範囲で定義するように本発明の範囲を制限すると解釈すべきではない。
【0056】
(実施例1:GPBPの特徴づけ)
ここでヒトGP抗原の独特のN末端領域に特異的に結合し、リン酸化する新規の型のセリン/スレオニンキナーゼのクローニングおよび特徴づけについて報告する。
【0057】
材料および方法
合成重合体−ペプチド。ヒトGP抗原の3から23残基を表すGPpep1、KGKRGDSGSPATWTTRGFVFT(配列番号:26)、およびSer9からAla9へのその変異体であるGPpep1Ala9KGKRGDAGSPATWTTRGFVFT(配列番号:27)をメッドプローブおよびチロンFLAGペプチド(シグマより入手)により合成された。
【0058】
オリゴヌクレオチド。以下は、いくつかのその他のGPBP特異的オリゴヌクレオチドと同様、ゲノシスおよびGIBCO−BRLにより合成された:
ON−GPBP−54m:
TCGAATTCACCATGGCCCCACTAGCCGACTACAAGGACGACGATGACAAG(配列番号:28)
ON−GPBP−55c:
CCGAGCCCGACGAGTTCCAGCTCTGATTATCCGACATCTTGTCATCGTCG(配列番号:29)
ON−HNC−B−N−14m:CGGGATCCGCTAGCTAAGCCAGGCAAGGATGG(配列番号:30)
ON−HNC−B−N−16c:CGGGATCCATGCATAAATAGCAGTTCTGCTGT(配列番号:31)
【0059】
ヒトGPBPをコードするcDNAクローンの単離および特徴づけ−いくつかのヒトλ−gt11 cDNA発現ライブラリー(眼、胎児および成人肺、腎臓およびHeLa S3、クロンテックより)をGPpep1と相互作用するタンパク質をコードするcDNAに関してプローブする。標準的な免疫スクリーニング法に従って調製したニトロセルロースフィルター(ミリポア)を遮断し、GPpep1 mlあたり1から10ナノモルと共に37℃でインキュベートした。特異的に結合したGPpep1をM3/1Aモノクローナル抗体を用いて検出した(7)。HeLa誘導ライブラリーで1個のクローンを同定した(HeLa1)。融合タンパク質結合の特異性を組換え真核ヒトGP抗原への類似の結合により確認した。HeLa1(0.5kb)のEcoRI cDNAインサートを用いて同一のライブラリーをさらにスクリーニングし、重複cDNAを単離した。HeLa1(n4’)の全cDNAを含有する最大のcDNA(2.4kb)全長を配列決定した。
【0060】
ノーザンおよびサザンブロット−製造者の指示書に従って、予め作成したノーザンおよびサザンブロット(クロンテック)をHeLa1 cDNAでプローブした。
【0061】
組換えタンパク質のプラスミド構築、発現および精製−GPBP誘導した物質。元来のλ−gt11 HeLa1クローンを大腸菌(E.Coli)Y1089中溶原として発現した(8)。APTGアガロースカラム(ベーリンガー)を用いて、細胞可溶化液からGPBPのN末端150残基を含有する対応するβガラクトシダーゼ誘導融合タンパク質を精製した。n4’のEcoRI 2.4kbフラグメントをブルースクリプトM13+ベクター(ストラッタジーン)(BS−n4’)中サブクローニングし、増幅し、続いてクローニングに使用した。EcoRI制限部位、翻訳開始のための標準コザックコンセンサス、タグペプチド配列をコードする領域(FLAG、DYKDDDDK(配列番号:32))、および予測MetiおよびBan II制限部位を含むGPBPの最初の11個の残基をコードする配列、(5’から3’で)含有するDNAフラグメントをON−GPBP−54mおよびON−GPBP−55cをハイブリダイズし、修飾T7 DNAポリメラーゼ(アマシャム)で伸長することにより得た。得られたDNA生成物をEcoRIおよびBanIIで消化し、pHIL−D2(インビトロゲン)のEcoRI部位におけるBS−n4’のBanII/EcoRI cDNAフラグメントとライゲートし、pHIL−FLAG−n4’を製造した。このプラスミドを用いてPichia pastorisのGS115株のMut5形質転換体を得、慣用的な液体培養かまたは発酵法(Pichia発現キット、インビトロゲン)のいずれかによりFLAGタグ化組換えGPBP(rGPBP)を発現した。細胞可溶化液を抗FLAG M2カラム(シグマ)に負荷し、非結合性物質をトリス緩衝生理食塩水(TBS、50mM トリスHCl、pH7.4、150mM NaCl)または塩を補充したTBS(2M NaClまで)で洗い出し、組換え物質をFLAGペプチドと共に溶出した。培養ヒト腎臓誘導293細胞(ATCC1573−CRL)中に発現するために、BS−n4’またはpHIL−FLAG−n4’のいずれかの2.4または2.0kbEcoRI cDNAインサートをpcDNA3(インビトロゲン)にサブクローニングし、pc−n4’およびpc−FLAG−n4’を各々製造した。一過性の発現のために用いる場合、トランスフェクションの8時間後、可溶化液を各々SDS−PAGEに用いるのかまたはFLAG精製に用いるのかに依存して0.1% SDS含有または不含で、3.5から4μl/cm2の冷却溶解バッファー(TBS中1% ノニデットP−40またはトリトンX100、5mM EDTAおよび1mM PMSF)を用いて細胞を溶解した。FLAG精製用には、6個に対して4個の175cm2培養皿の可溶化液を溶解バッファーで50mlまで希釈し、前記のように精製した。安定発現用には、pc−n4’で細胞を同様にトランスフェクトし、800μg/mlのG418で3週間選別した。細菌組換え発現用には、pHIL−FLAG−n4’の2.0kbEcoRI cDNAフラグメントをpGEX−5x−1(ファルマシア)のグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)コード化cDNAの下流でフレーム内クローニングした。得れらた構築物を用いてDH5α細胞中にGST−GPBP融合タンパク質を発現した(9)。
【0062】
GP抗原誘導物質。ON−HNC−B−N−14mとON−HNC−B−N−16cの間でα3特異的cDNAを含有するpRc/CMV−BM40発現ベクターを用いて293細胞中にヒト組換えGP抗原(rGP)を生成した。発現ベクターは、Billy G.Hudson(カンサス大学医療センター)により提供された、開始Met、タグペプチド配列(FLAG)に続くBM40シグナルペプチドおよびポリリンカークローニング部位をコードするcDNAを含有するpRc/CMV(インビトロゲン)誘導ベクターである。α3特異的cDNAを得るために、前記のオリゴヌクレオチドおよび鋳型(クローンC2)として前記で報告したα3(IV)cDNA配列(3)を含有するプラスミドを用いてポリメラーゼ連鎖反応を実施した。rGPの安定発現のために293細胞を得られた構築物(fα3VLC)でトランスフェクトし、400μg/mlのG418で選別した。回収したrGPを抗FLAG M2カラムを用いて精製した。
【0063】
全ての構築物を制限マッピングおよびヌクレオチド配列決定により確認した。
【0064】
細胞培養およびDNAトランスフェクション−ヒト293細胞を10% ウシ胎児血清を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で成長させた。プロフェクション哺乳類トランスフェクションシステム(プロメガ)のリン酸カルシウム沈殿法を用いてトランスフェクションを実施した。G418に対する抵抗性により安定してトランスフェクトされた細胞を選別した。生存細胞群の中心部分を単離し、クローン化しおよび増幅した。
【0065】
抗体生成−GPBPのN末端領域に対するポリクローナル抗体。溶原としてとしてHeLa1λ−gt11を発現する細胞をラエムリサンプルバッファーの存在下で超音波処理により溶解し、7.5%のアクリルアミド調製用ゲル中電気泳動に供した。ゲルをクーマシーブルーで染色し、目的の融合タンパク質を含有するバンドを切除し、ウサギ免疫に用いた(10)。APTGアフィニティ精製抗原を用いて反応性に関して抗血清を試験した。アフィニティ精製抗体を得るために、抗血清をTBSで1:5に希釈し、共有結合したアフィニティ精製抗原を含有するセファロース4Bカラムに負荷した。結合物質を溶出し、特記しない場合、免疫化学研究に用いた。
【0066】
GPBPに対するモノクローナル抗体。基本的には前記のように(7)GST−GPBPを用いてモノクローナル抗体を製造した。rGPBPに対する抗体に関して個々のクローンの上澄を分析した。
【0067】
in vitroリン酸化アッセイ−タンパク質基質0.5から1μgまたは合成ペプチド10ナノモルの存在下または不在下、25mM βグリセロホスフェート(pH7.0)、0.5mM EDTA、0.5mM EGTA、8mM MgCl2、5mM MnCl2、1mM DTTおよび0.132μM γ−32P−ATP中、全量50μlでrGPBP約200ngを30℃で一晩インキュベートした。
【0068】
in vivoリン酸化アッセイ−24ウェル皿の個々のウェルに、正常のまたは安定にpc−n4’トランスフェクトした293細胞を播種した。細胞が望ましい密度に成長したとき、正常293細胞の多くのウェルをpc−FLAG−n4’でトランスフェクトした。12時間後、培養培地を除去し、リン酸不含DMEM100μl中20μCi/ウェルのH3 32PO4を加え、4時間インキュベーションを続けた。1% トリトンX−100、2mM EDTA、1mM PMSF、50mM NaFおよび0.2mM バナジン酸塩を含有するTBS 300μl/ウェルで細胞を溶解し、特異的抗体およびプロテインA−セファロースで抽出した。抗GPBP血清を用いた場合、前免疫血清およびプロテインA−セファロースを用いて可溶化液を予め清澄化した。
【0069】
rGPBPのin vitro脱リン酸化−10mM 酢酸トリス(pH7.5)、10mM 酢酸マグネシウムおよび50mM 酢酸カリウム100μl中rGPBP1μgを0.85単位のウシ腸管アルカリ性ホスファターゼ(ファルマシア)で30℃で30分間脱リン酸化した。
【0070】
再生アッセイ−前記するようにrGPBP1から5μgを用いてインブロット再生アッセイを実施した(11)。
【0071】
ヌクレオチド配列分析−[α]35S−dATP、修飾T7 DNAポリメラーゼ(アマシャム)およびユニバーサルまたはGPBP特異的プライマーを用いてジデオキシ鎖終止法によりcDNA配列分析を実施した(8から10)。
【0072】
32Pホスホアミノ酸分析−免疫精製したrGPBPまたは目的の物質を含有するそのHPLCゲル濾過分画をリン酸化し、加水分解し、1次元(4)または2次元薄層クロマトグラフィ(12)で分析した。2次元分析を実施する場合、第1の次元のためのバッファーは葉酸:酢酸:水(1:3.1:35.9)(pH1.9)であり、第2の次元のためのバッファーは酢酸:ピリジン:水(2:0.2:37.8)(pH3.5)であった。アミノ酸をニンヒドリンで現し、32Pホスホアミノ酸をオートラジオグラフィにより現した。
【0073】
物理学的方法および免疫化学技術−(4)のようにSDS−PAGEおよびウェスタンブロッティングを実施した。ABCペルオキシダーゼ法を用いて、ヒト多重組織対照スライド(バイオメディア、バイオジェネックス)で免疫化学研究を行った(13)。
【0074】
コンピューター分析−相同性はNCBIサーバーでBLAST2.0(14)を用いてジーンバンクおよびスイスプロットデータベースに対して、およびゲノミックリサーチサーバーのためのインスティテュートを用いて発現配列タグに関してTIGRヒューマンジーンインデックスデータベースに対して検索した。スイスインスティテュートオブバイオインフォーマティックスでプロフィールスキャンプログラムを用いて、機能的なパターンおよびプロフィールに関する検索をPROSITEデータベースに対して行った(15)。21および28の両方の残基のウィンドウを有するプログラムコイル(16)を用いて実験的癌研究に関してスイスインスティテュートで高次コイル構造の予測を行った。
【0075】
結果
GPBPの分子クローニング−ヒトGP抗原の分岐したN末端領域と特異的に相互作用するタンパク質を検索するために、この領域および隣接配列を包含する21残基ペプチド(GPpep1;配列番号:26)、並びにそれに対する特異的モノクローナル抗体を組み合わせていくつかのヒトcDNA発現ライブラリーをスクリーニングした。5x106以上のファージをスクリーニングし、抗体結合を妨害せずにGPpep1と特異的に相互作用する融合タンパク質をコードする単一のHeLa誘導組換え体を同定した。
【0076】
元来のクローンのcDNAインサート(HeLa1)を用いて5’非翻訳配列の408bp、624残基をコードする1872bpのオープンリーディングフレーム(ORF)、および3’非翻訳配列の109bpを含有する2.4kb cDNA(n4’)を単離した(図1)(配列番号:1から2)。その他の構造的特徴が興味深い。第1に予測されるポリペプチド(本明細書で以後GPBPと称する)は多くのリン酸化可能な(17.9%)および酸性(16%)残基を有し、配列に沿って偏って分布している。最も豊富にある残基である(9.3%)セリンはタンパク質の2個の短い領域に偏好性を示し、これは残りのポリペプチド鎖全体で平均7%以下であるのに比較して、ここではアミノ酸のほぼ40%からなる。N末端の、よりセリンに富む領域は主にSer−Xaa−Yaa反復を含むことも注目に値する。酸性残基はポリペプチドのN末端の4分の3に優先的に位置し、ほとんど18%の残基が酸性である。これらの残基は最大のポリペプチドのC末端の4分の1で9%しか現れず、2個の電気的に対立するドメインを有するポリペプチド鎖になる。N末端ではポリペプチドはプレクストリン相同性(PH)ドメインを含有し、これは生物学的活性を呈する細胞膜への多くのシグナル発生タンパク質の補給を意味している(17)。最終的に、2分した核標的化配列(18)は高次コイルを形成する全ての構造的要件に全て合致する7個の反復領域の必須部分として存在する(16)。
【0077】
タンパク質データバンク検索によりPHドメインを有するN末端でおよそ100個の残基内に相同性がほとんど独占されていることが示された。オキシステロール結合タンパク質のPHドメインが最も類似しており、GPBPとの全体の同一性が33.5%および類似性が65.2%である。加えて、Caenorhabditis elegans(線虫)コスミドF25H2(信託番号Q93569)はタンパク質全配列を通して全体の同一性が26.5%および類似性が61%を示す仮定ORFを含有し、これは類似のタンパク質が下等の無脊椎動物に存在することを示している。いくつかのヒト発現配列タグ(信託番号AA287878、AA287561、AA307431、AA331618、AA040134、AA158618、AA040087、AA122226、AA158617、AA121104、AA412432、AA412433、AA282679、およびN27578)は対応するGPBP cDNAの枝分かれを有する高度な配列同一性(98%以上)を有し、これらがヒトGPBPに相当することを示唆している。興味深いことに、AA287878ESTはGPBP5’非翻訳領域に対応する配列内で67個のヌクレオチドのギャップを示し、これはGPBP pre−mRNAが別法としてヒト組織においてスプライシングされることを示唆している(図示せず)。
【0078】
ヒト組織におけるGPBP遺伝子の分布および発現を最初にノーザンブロット分析により評価した(図2、パネルA)。遺伝子は4.4kbおよび7.5kbの長さの間で2個の主要なmRNA種として、およびより短い少数のその他の種として発現される。これらの複数のmRNA種間の構造上の関係は解っておらず、その相関的な発現は組織間で変化する。最も高い発現レベルは横紋筋(骨格および心臓の筋肉)に見られ、肺および肝臓では発現レベルは最も低いことが示される。
【0079】
異なる種からのゲノムDNAのサザンブロット研究分析により、相同性遺伝子は系統発生を通して存在することが示された(図2、パネルB)。ヒト由来のプローブに合致するように、ゲノムDNAの起源として累進的に減少するハイブリダイゼーション強度は、進化においてヒトから排除された。
【0080】
翻訳開始部位の実験的決定−予測ORFを実験的に確認するために、n4’のcDNAの2.4kbか、またはFLAG配列でタグ化された予測ORF(図3A)のみを含有する真核発現ベクターを293細胞における一過性発現に使用した。GPBPまたはFLAG特異的抗体を用いて免疫ブロットにより対応する抽出物を分析した。GPB特異的抗体は両方のトランスフェクトされた細胞において類似の主要ポリペプチドに結合するが、操作された構築物により製造されるポリペプチドのみがFLAG配列を発現した(図3B)。これは予測Metでn4’ cDNAの翻訳開始部位に位置し、提示された1次構造を確認した。さらに、組換えポリペプチドは予測された分子量よりも高い分子量を示し(80対71kDa)、これはGPBPが翻訳後修飾されていることを示唆している。
【0081】
酵母rGPBPの発現および特徴づけ−酵母発現およびFLAG基盤のアフィニティ精製を組み合わせてrGPBPを製造した(図4A)。低Mrを示す複数の関連生成物と共に、〜89kDaの主要なポリペプチドが得られた。抗FLAGおよびGPBP特異的抗体の両方により組換え物質が認識され、発現系の適合性が保証された。しかしながら、再度主要生成物により示されたMrが予測されたMrよりも著明に高く、293細胞由来の組換え物質のMrよりも高く、GPBPが重要な区別される翻訳後修飾を受けているという考えが支持された。ポリペプチド鎖にはリン酸化可能な残基が豊富であるので、組換え物質におけるホスホアミノ酸の存在を調べた。ホスホセリン(Pser)、ホスホスレオニン(PThr)およびホスホチロシン(PTyr)に対するモノクローナルまたはポリクローナル抗体を用いることにより(図示せず)、酵母rGPBP(図4B)または293細胞由来物質(図示せず)のいずれかの三つの全てのリン酸残基の存在を同定した。さらに5から10mMの対応するホスホアミノ酸の添加によりその結合を部分的に阻止することにより抗体の特異性を評価した(図示せず)。これはリン酸残基含量が細胞発現系に依存して変化し、Mrの差は主にリン酸化によるものであることを示唆している。脱リン酸化酵母誘導物質は一貫して293細胞に由来する物質に類似のMrを示し、ホスホアミノ酸含量はSDS−PAGE移動性に相関する(図4C)。in vivo測定のように、293細胞におけるrGPBPのリン酸化を評価した(図4D)。対照細胞(レーン1)および安定した(レーン2)または一過性(レーン3)様式のrGPBP発現細胞をH3 32PO4の存在下培養した。する免疫沈澱組換え物質は32Pを含有し、これはin vivoでGPBPのリン酸化を生じ、従ってこれは物理学的過程である可能性があることを示した。
【0082】
rGPBPはヒトGP抗原のN末端領域をリン酸化するセリン/スレオニンキナーゼ−GPBPはプロテインキナーゼの古典的な触媒ドメインを定義するのに必要な保存構造を含有しないが、新規非保存プロテインキナーゼ(19から27)の最近の同定および特徴づけによりそのリン酸化活性の研究が促進された。Mn2+およびMg2+の存在下[γ32P]ATPをrGPBP(酵母または293細胞(図示せず)のいずれかに由来)に添加した結果、抗FLAGおよび特異的抗体の両方により認識される主要なおよび関連する生成物においてPSerおよびPThrとして32Pが組み込まれ(図5AおよびB)、これはアフィニティ精製物質がSer/Thrプロテインキナーゼを含有することを示した。この活性をさらに特徴づけするために、GPpep1,GPpep1Ala9(Ser9がAlaで置換されたGPpep1変異体)、元来のおよび組換えヒトGP抗原、並びに元来のウシGP抗原を検定した(図5C)。アフィニティ精製rGPBPは異なった程度で全てのヒト由来物質をリン酸化した。しかしながら、類似の条件でウシ由来基質において測定可能な32P組み込みは観察されなかった。GPpep1に比較した場合、GPpep1Ala9により示された32P組み込みは低度であり、ウシ抗原のリン酸化は欠如し、これはrGPBPに存在するキナーゼがヒトおよびウシ抗原を認識し、Ser9がキナーゼの標的であることを示している。
【0083】
精製系により高品質の物質が提供されるが、プロテインキナーゼ活性と共に夾雑物が存在することは排除できない。夾雑物の存在はまたFLAG含有40kDaポリペプチドの存在によっても示唆され、これはリン酸化アッセイにおいて特異的抗体または32Pの組み込みのいずれとも反応性を示さなかった(図4Aおよび5A)。プロテインキナーゼ活性を留めるポリペプチドを正確に同定するために、SDS−PAGEおよびウェスタンブロットの後in vitroキナーゼ再生アッセイを実施した(図6)。我々は特異的抗体の使用(レーン1)および切片上32P組み込みのオートラジオグラフィによる検出(レーン2)を組み合わせるのに成功し、Ser/Thrキナーゼ活性を留める1次ポリペプチドとして89kDaのrGPBP物質を同定した。rGPBP由来生成物および40kDa夾雑物において32P組み込みが欠如しているということはさらに再生アッセイの特異性を支持し、キナーゼ活性が89kDaポリペプチドに存在することを確認する。最近、ポリペプチドに親密に関連するプロテインキナーゼの痕跡がブロット膜から遊離され、標識ステップにおいてポリペプチドに結合し、リン酸化できることが示された(28)。我々の系においてこの可能性を評価するために、89kDaのポリペプチドを含有する膜小片を単独でかまたはブロットレーンの別の領域を表す膜片と一緒に用いて復元実験を行った。同時にインキュベートした小片に関わらず(図示せず)、89kDaポリペプチドで類似の32P組み込みが観察され、これは我々のサンプルにおいて同時に精製されたプロテインキナーゼがある場合、これらが同時移動しない限り、これらは再生アッセイにおいて89kDaポリペプチドをリン酸化していないことを示している。同時移動が関係しないと考えられるが、しかしながら、異なる移動性を示すrGPBP欠損変異体(GPBPΔ26およびR3;以下を参照のこと)もまたキナーゼ活性を有し、インブロットで同様に復元され得る(図示せず)。
【0084】
新規キナーゼの免疫組織化学的局在−ヒト組織におけるGPBP発現を研究するために、特異的ポリクローナル(図7)またはモノクローナル抗体(図示せず)を用いて免疫組織化学実験を行った。GPBPはヒト組織において広範に発現するが、それは組織および細胞特異性を示す。腎臓では主に細管上皮細胞および糸球体メサンギウム細胞および有足細胞に見出される。肺胞では抗体は肺細胞の染色に加えて基底膜局在化を示唆する直線的パターンを表す。肝臓は柔組織においては低発現を示すが、胆管では高発現を示す。中枢神経系における発現は白質で観察されるが、脳のニューロンでは観察されない。精巣では精原細胞において高発現し、対照的にセルトリ細胞においては発現しない。副腎では髄質に対して皮質細胞において高レベル発現を示す。膵臓では、GPBPは外分泌部分に対してランゲルハンス島で優先的に発現される。前立腺では、GPBPは上皮細胞で発現されるが、間質細胞においては発現されない(図7)。その他の場所では、GPBPは横紋筋、腸管上皮細胞、および小脳のプルキンエ細胞で高発現される(図示せず)。概してGPBPを高発現する組織では染色パターンは主に細胞基質に拡散している。しかしながら、特定の場所では、加えて核(精原細胞)で、細胞質膜(肺細胞、肝細胞、前立腺上皮細胞、白質)で、または細胞外マトリックス(肺胞)で重要な染色増強がある(図7)。
【0085】
考察
我々のデータはGPBPが新規で、非保存セリン/スレオニンキナーゼであることを示している。我々はまたGPBPがヒトおよびウシGP抗原を認識し、in vivoでヒトGP抗原のリン酸化可能な領域を標的化することを明らかにした。いくつかの証拠のラインが、89kDaポリペプチドがアフィニティ精製rGPBPにおいて唯一のキナーゼであることを示している。第1に、我々は150mM、0.5N、1Mまたは2Mの塩の存在下で精製されたrGPBPサンプル間で自己およびトランスリン酸化における差異を見出さず(データを示さず)、これはrGPBPが親密な結合性キナーゼを担持しないことを示唆している。第2に、GPBP特異的抗体を用いて精製した物質がリン酸化において差異を示さないので(図示せず)、我々のサンプルではFLAG含有、酵母誘導キナーゼがない。第3に欠失変異体(GPBPΔ26;以下を参照のこと)は自己およびトランスリン酸化活性を減じ(図示せず)、これは89kDaポリペプチドがリン酸移動を実施する能力を有するrGPBPのほんの一部であることを示している。
【0086】
GPBPはその他の非保存性キナーゼと相同ではないが、N末端αへリックス高次コイル(26、27)、セリンに富むモチーフ(24)、ホスホアミノ酸の高含量(27)、2分裂した核局在化シグナル(27)、および典型的なヌクレオチドまたはATP結合モチーフの不在(24、27)などのいくつかの構造上の特徴を共有している。
【0087】
免疫組織化学研究はGPBPが細胞基質性ポリペプチドであり、原形質膜に結合して核においても見出され、基底膜に結合して細胞外マトリックスに見出される可能性もあり、これはこれらの全方向に到達するための構造上の要件を有していることを示している。核局在シグナルおよびPHドメインはそれに各々核および細胞膜に到達する可能性を付与する(17、29、30)。GPBPは搬出される構造上の要件を有していないが、そのmRNAの5’末端非翻訳領域が初めにフレーム内に停止コドンを有する130残基の上流ORFを含む(図1)。単一の塩基対(U)を挿入するmRNA編集過程が機能的なフレーム内出発部位および編集Metのすぐ下流に搬出シグナルを含有する754残基のORFを生じるのであろう(図示せず)。この仮説上の余剰配列の一部(PRSARCQARRRRGGRTSS(配列番号:33))を示す合成ペプチドに対するポリクローナル抗体はヒト組織において直線的な血管反応性を示し、これは細胞外基底膜局在を示唆する(データは示さず)。
【0088】
別法として、スプライシング現象により搬出のための構造上の要件を提供するさらなる未同定エキソンを有する転写物を生じることができた。複数の細胞局在、PTyrの高含量、およびin vitroチロシンキナーゼ活性の欠損はGPBP自体が特異的チロシンキナーゼの標的であり、従って、特異的シグナル発生カスケードに関与している可能性がある。
【0089】
前記するように、特異的セリンリン酸化およびプレmRNA代替スプライシングは、GP抗原、アセチルコリンレセプターおよびミエリン塩基性タンパク質(MBP)などのいくつかの自己抗原の生物学に関連している(4)。後者は多発性硬化症(MS)、免疫系が中枢神経系の白質を標的化するその他の排他的ヒト自己免疫疾患における主要な抗原であることが疑われる。GP病およびMSは同一のHLA IIクラスハロタイプ(HLA DRB1*1501)と強力な関連性を示すヒト障害である(32、33)。これは、このHLA特異性を担持するMS患者のGP病による死亡の最近の報告に加えて(34)、これらのヒト障害における共通の発病原因が存在することを支持している。
【0090】
特異的なセリンのリン酸化が細胞内タンパク質溶解を変化させることが示されている(35から40)。考えられることは、タンパク質リン酸化における変化はプロセシングおよびペプチド展示に影響し、従って自己免疫を媒介する。HLA−DR15によるGP抗原誘導ペプチド展示は、相対的に乱雑なDR15分子の優先性よりもプロセシングにより依存し(41)、これはプロセシングが異常なリン酸化により影響される場合、得られるペプチドはこのHLAにより提示されることを示唆している。我々の最近のデータでは、GPおよびMBP系の両方で、代替スプライシング生成物の生成が特異的および構造上相同であるPKA部位のリン酸化を制御するために提供され、これはこのまたは非常に関連性のあるキナーゼがin vivoリン酸化酵素であることを示唆している。抗原リン酸化の程度の変化は代替生成物における不均衡によるか、または同一のモチーフのリン酸化を脱制御する侵入性のキナーゼの作用により引き起こされ、素因のある個体において自己免疫応答を導くことができる。GP抗原の特異的代替生成物の存在がGPBPによる1次抗原のリン酸化を影響しなかったので、rGPBPは見かけ上制御されない様式で主要PKAリン酸化部位でヒトGP抗原をリン酸化する(図示せず)。
【0091】
GPBPは偏在して発現されるが、特定の器官および組織では共通の自己免疫応答の標的となる細胞および組織構造の偏好性が示される:ランゲルハンス細胞(I型糖尿病);中枢神経系の白質(多発性硬化症);胆管(胆汁性肝硬変);副腎の皮質細胞(アジソン病);横紋筋細胞(重症筋無力症);精原細胞(男性不妊症);小脳のプルキンエ細胞(腫瘍随伴性小脳変性症候群);および腸管上皮細胞(悪性貧血、自己免疫性胃炎および腸炎)。ヒト自己免疫疾患のモデルを想定する場合、前記の観察はすべてこの新規キナーゼが魅力的な候補物質であることを示している。
【0092】
背景および実施例1の参考文献
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【0093】
(実施例2:GPBP代替スプライシング)
ここで26残基のセリンに富むモチーフをコードする78塩基対(bp)の長さのエキソンの代替スプライシングにより生じるGPBPの二つのアイソフォームの存在を報告する。両方のアイソフォーム、GPBPおよびGPBPΔ26は、ポリペプチド自己凝集の結果である高分子凝集体として存在する。ポリペプチド鎖における26残基ペプチドの存在はより有効に自己相互作用し、より高い特異活性を有する凝集体を形成する分子種に至る。最終的には、GPBPがヒト自己免疫の発病原因に関与するという観察を支持する証拠を提示する。
【0094】
材料および方法
合成ポリマー:
ペプチド.GPpep1、KGKRGDSGSPATWTTRGFVFT(配列番号:26)を実施例1で記載する。GPBPpep1、PYSRSSSMSSIDLVSASDDVHRFSSQ(配列番号:14)はGPBPの371から396残基を表し、ゲノシスにより合成された。
【0095】
オリゴヌクレオチド。以下のオリゴヌクレオチドをライフテクノロジーズインコーポレーティッドにより合成した(5’から3’へ);ON−GPBP−11m,G CGG GAC TCA GCG GCC GGA TTT TCT(配列番号:34);ON−GPBP−15m,AC AGC TGG CAG AAG AGA C(配列番号:35);ON−GPBP−20c,C ATG GGT AGC TTT TAA AG(配列番号:36)ON−GPBP−22m,TA GAA GAA CAG TCA CAG AGT GAA AAG G(配列番号:37);ON−GPBP−53c,GAATTC GAA CAA AAT AGG CTT TC(配列番号:38);ON−GPBP−56m,CCC TAT AGT CGC TCT TC(配列番号:39);ON−GPBP−57c,CTG GGA GCT GAA TCT GT(配列番号:40);ON−GPBP−62c,GTG GTT CTG CAC CAT CTC TTC AAC(配列番号:41);ON−GPBP−Δ26,CA CAT AGA TTT GTC CAA AAG GTT GAA GAG ATG GTG CAG AAC(配列番号:42)。
【0096】
逆転写酵素およびポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)。全RNAを(15)に記載するように、異なる対照およびGP組織から調製した。全RNA5μgをレディートゥーゴー ユープライム ファーストストランドビーズ(アマシャム ファルマシア バイオテック)、および40ピコモルのON−GPBP−53cを用いて逆転写した。対応するcDNAをプライマーON−GPBP−11m/ON−GPBP−53cまたはON−GPBP−15m/ON−GPBP−62cを用いるPCRに供した。15m−62cで得られた生成物の同一性をさらにAlu I制限により確認した。GPBP転写物を特異的に増幅するために、プライマーON−GPBP−15m/ON−GPBP−57cを用いてPCRを実施した。
【0097】
ノーザンハイブリダイゼーション研究。予め製造したヒト多重組織および腫瘍培養細胞株ノーザンブロット(クロンテック)をGPBPにのみ存在する78bpエキソンを含有するcDNAで、または両方のアイソフォームを表すcDNAでプローブした。プライマー対ON−GPBP−56mおよびON−GPBP−57cを用いて、GPBPを鋳型として用いて、またはプライマー対ON−GPBP−22mおよびON−GPBP−20cを用いて、GPBPΔ26を鋳型として用いてPCRにより対応するcDNAを得た。得られた生成物をランダム標識し、および製造者指示書に従ってハイブリダイズした。
【0098】
プラスミド構築、組換えタンパク質の発現および精製。Pichia pastorisにおけるFLAGタグ化GPBPの組替え発現に用いられたプラスミドpHIL−FLAG−n4’は別に報告されている(4)。ON−GPBPΔ26を用いて78bpエキソンをコードする配列を位置指定突然変異誘発により欠失させ、プラスミドpHIL−FLAG−n4’Δ26を生じた。組換えGPBPおよびGPBPΔ26の発現およびアフィニティ精製を(4)の通りに行った。
【0099】
ゲル濾過HPLC。250μlのサンプルを50mMのトリスHCl、pH7.5、150mMのNaClで平衡にしたゲル濾過PE−TSK−G4000SW HPLCカラムに注入した。カラムから0.5ml/分で物質を溶出し、220nmでモニター観察し、微小な分画を収集した。
【0100】
in vitroリン酸化アッセイ。自己、トランスリン酸化およびインブロット復元実験を実施例1に記載のとおりに実施した。
【0101】
抗体および免疫化学技術。ポリクローナル抗体をニワトリにおいて78bpエキソン(ゲノシス)によりコードされる配列を表す合成ペプチド(GPBPpep1)に対して産生させた。卵黄を水で1:10に希釈し、pHを5.0に調整した。4℃で6時間後、溶液を遠心(4℃、10000xgで25分間)により清澄化し、20℃、20000xgで20重量/容量% 硫酸ナトリウムを添加することにより抗体を沈殿させた。ペレットをPBS(卵黄あたり1ml)に溶解し、免疫化学実験に用いた。GPBP/GPBPΔ26に対するまたはα3(IV)NC1ドメインに対する抗体の生成については前記している(また4,13を参照のこと)。
【0102】
沈降速度。VIS−UVスキャナーを装備したオプティマXL−A分析用超遠心(ベックマンインストラメンツインコーポレーティッド)で、Ti60ローターおよび12mm光学距離のイーポンチャーコールの2重セクターセルを用いて沈降速度の決定を行った。およそ400μlのサンプルを20℃、30000rpmで遠心し、220nmでラジアル走査を5分毎に取った。XLAVEL(ベックマン提供による)プログラムを用いて溶質結合の動きの速度から沈降係数を得た。
【0103】
沈降平衡。沈降平衡実験を70μlのサンプルを用いる速度実験に関して前記で記載するように実施し、8000rpmで遠心した。平衡時の実験濃度勾配をEQASSOCプログラム(ベックマン)を用いて分析し、対応する平均分子量を決定した。GPBPに関して0.711cm3/gおよびGPBPΔ26に関して0.729cm3/gの部分的特異的容量を対応するアミノ酸組成物から算出した。
【0104】
物理的方法および免疫化学技術。(3)で前記するように還元条件下SDS−PAGEおよびウェスタンブロッティングを実施した。ホルマリン固定パラフィン包埋組織に関して、ABC過酸化法(4)を用いて、または冷アセトンで固定した凍結ヒト生検に関して間接的免疫蛍光の標準的な方法を用いて免疫組織化学実験を実施した。
【0105】
二つのハイブリッド実験。pGBT9およびpGAD424(クロンテック)を用いてSaccharomyces cerevisiae(酵母)(HF7c)において自己相互作用実験を実施し、各々GAL4結合およびドメイン融合タンパク質の活性化を生じた。製造者の推奨に従って相互作用を評価した。βガラクトシダーゼ活性を切片上ではX−GAL(0.75mg/ml)を用いて、および溶液中決定ではオルトニトロフェニルβ−Dガラクトピラノシド(0.64mg/ml)を用いて評価した。
【0106】
結果
二つのスプライシングGPBP変種の同定。正常ヒト組織におけるGPBP種を特徴づけるために、GPBPの全オープンリーディングフレームを隣接する特異的オリゴヌクレオチドを用いて、異なる組織からの全RNAに関してポリメラーゼ連鎖反応に逆転写を連動させた。骨格筋由来RNAから(図8A)、および腎臓、肺、皮膚、または副腎由来RNAから(図示せず)、予測されたよりも小型であることを示す単一のcDNAフラグメントを得た。入れ子式PCR再増幅およびエンドヌクレアーゼ制限マッピングを組み合わせて、全RT−PCR生成物が同一の分子種に対応することを決定した(図示せず)。ヒト筋肉からの2.2kbのcDNAを全て配列決定し、26残基モチーフ(アミノ酸371−396)をコードする78ヌクレオチド(1519−1596位置)が存在しない以外は、HeLa誘導物質と同一であることを見出した(図8B)。従って、このより一般的であるGPBPのアイソフォームをGPBPΔ26と称した。
【0107】
78bpがプレmRNAプロセシング中に転写をスキップするエキソンを表すのかどうかを調べるために、このcDNAを用いてヒト由来のゲノムライブラリーをプローブし、〜14Kbのクローンを単離した。サザンブロットハイブリダイゼーションおよびPCRを組み合わせて、ゲノムクローンを特徴づけし、12482bpの隣接DNAフラグメントを全て配列決定した(配列番号:25)。配列は(5’から3’で)767bpのイントロン配列、93bpのエキソン、818bpのイントロン、78bpの目的のエキソン配列、9650bpのイントロン、96bpのエキソンおよび980bpのイントロン配列(図8C)を含有した。対応するDNAおよびcDNA配列を比較することにより決定したエキソンイントロン境界は5’および3’スプライシング部位の標準的なコンセンサスに合致し(図8C)(5)、78bp配列のエキソン特性を確認する。プローブとしてゲノムクローンを用いる蛍光切片上ハイブリッド形成法(FISH)によりGPBP遺伝子は染色体5q13に局在した(図示せず)。
【0108】
GPBPおよびGPBPΔ26の両方に存在する78bpエキソンかまたは78bpの隣接配列を表す260bpのcDNA(103bp5’および157bp3’)を用いるノーザンブロット分析によりヒト由来の標本におけるGPBPの相対的発現を評価した(図9)。目的の分子種を含有する78bpは横紋筋(骨格筋および心筋の両方)および脳に好んで発現し、胎盤、肺および肝臓にはあまり発現しなかった。GPBPΔ26とは対照的に、GPBPは腎臓、膵臓および癌の培養細胞株では非常に低レベルでしか発現しなかった。
【0109】
前記の全ては、GPBPが正常ヒト組織では低レベルで発現され、GPBPのRT−PCRにより最初に検出されなかったのはより豊富なGPBPΔ26が優先的に増幅されたためであろうということを示している。実際、78bpエキソン特異的オリゴヌクレオチドを用いて特異的RT−PCR増幅を行った場合、GPBPのcDNAをヒト組織(骨格筋、肺、腎臓、皮膚および副腎)から増幅できた(図示せず)。これはまた、GPBPおよびGPBPΔ26の両方を表すcDNAプローブを用いる場合、GPBPΔ26 mRNAがノーザンブロット実験で検出された主要な転写物であることをも示唆している。
【0110】
GPBPΔ26の組換え発現および機能上の特徴づけ。26残基のセリンに富むモチーフの欠如がGPBPの生化学的特性に影響するかどうかを調べるために、両方のアイソフォーム(rGPBPおよびrGPBPΔ26)を発現し、精製し、自己およびトランスリン酸化活性を評価した(図10)。rGPBPに関して前記で報告するように(4をも参照のこと)、単一の主要なポリペプチドおよびいくつかの関連する微少な生成物としてrGPBPΔ26を精製した(図10A)。しかしながら、rGPBPに比較して、誘導生成物の数および相対量は変化し、SDS−PAGEで単純に26残基の削除のせいにはできないMrが表示された。これは26残基モチーフが重要な構造を有し、および溶液中自己およびトランスリン酸化活性の低減の原因となる機能上の成果がrGPBPにより表されたことを示唆する(図10B)。興味深いことに、リン酸化がSDS−PAGE後インブロットで評価され、復元された場合、溶液中アッセイにおいて示された特異的活性における差異は明白ではなく、これは26残基モチーフが4次構造レベルで重要な機能上の成果を有する可能性があることを示唆した。さらに復元実験によりリン酸塩移動活性が提示されたオープンリーディングフレームを表す主要なポリペプチドに存在し、誘導された微少生成物では検出されないことを示した。
【0111】
rGPBPおよびrGPBP−26は非常に活性な高分子量凝集体として存在する。アフィニティ精製rGPBPまたはrGPBPΔ26のゲル濾過分析により、2個のクロマトグラフィピーク(IおよびII)を生じ、SAS−PAGE実験で決定されるように、共に個々の分子種で予測されたものよりも高MWを示した(各々89kDa、84kDa)(図11)。大部分の組換え物質を158kDaおよび669kDa分子量マーカーの間で単一のピークとして溶出し、一方限定量のrGPBPおよび極微量のrGPBPΔ26をピークIで溶出した(>1000kDa)。各クロマトグラフィプロフィールを表す分画の一定分量をSDS−PAGEに供し、染色するか、または32P[γ]ATPの存在下インキュベートし、イムノブロットおよびオートラジオグラフィにより分析した。主要な1次ポリペプチドに加えて、各クロマトグラフィのピークはより大きいまたはより小さい大きさの複数の誘導生成物を含有し、これは1次ポリペプチドが結合して、共有および非共有結合により安定化された高分子量凝集体を形成することを示している(図示せず)。キナーゼ活性もまたクロマトグラフィプロフィールと一致する2個のピークを呈した。しかしながら、ピークIはピークIIよりもより高度な特異的活性を示し、これはこれらの高分子量凝集体がキナーゼのより活性な形態を含有していることを示した。等容量のrGPBP分画番号13および20は、タンパク質含量では分画13はウェスタンブロットおよびクーマシーブルー染色により推測されるより20倍低いが、匹敵するリン酸化活性を呈した(図11A)。rGPBPおよびrGPBPΔ26のピークIIでの特異的活性もまた異なり、物質全体に関して示された実験と合致し、従って26残基のセリンに富むモチーフの存在によりキナーゼがより活性になるにするという仮説を支持している。これらの結果はまたrGPBPおよびrGPBPΔ26の両方が元来の条件下でオリゴマーとして存在し、高分子量凝集体の形成および特異的活性の両方が26残基のセリンに富むモチーフの存在に大いに依存することをも示唆している。rGPBPの分析用遠心分析によりピークIが大きな凝集体(107Da以上)を含有することが表された。rGPBPのピークIIは220±10kDa凝集体の相同性集合体を含有し、11Sの沈降係数を有する三量体を表す可能性がある。しかしながら、rGPBPΔ26のピークIIは、いくつかのオリゴマー種を含有する可能性のあるより異種性の集合体からなる。主要な集合体(約80%)は平均分子量310±10kDaおよび14Sの沈降係数を示した。
【0112】
酵母2ハイブリッド系におけるGPBPおよびGPBPΔ26自己相互作用。自己凝集の生理学的関係を評価するために、および26残基モチーフの役割を決定するために、酵母における2ハイブリッド相互作用系を用いて比較実験を実施した。この型の実験では、GAL4転写因子の活性化または結合ドメインのいずれかを含有する融合タンパク質の一部として、相互作用を実験するポリペプチドを発現する。実験するポリペプチドを通して2個の融合タンパク質間の有効な相互作用が転写活性化因子の再構築および引き続いて2個のレポーター遺伝子、LacZおよびHis3の発現に至り、各々コロニーの色の検出およびHis欠損培地における成長が可能になる。異なる濃度のHis3遺伝子生成物(3−AT)の競合阻害因子の存在下、ヒスチジン欠損培地における成長速度による相互作用の強度、および定量比色液体βガラクトシダーゼアッセイを評価した。代表的な実験を図12に表す。自己相互作用に関してGPBPΔ26を検定する場合、レポーター遺伝子の有意な誘導が観察されたが、各融合タンパク質が単独でまたは対照融合タンパク質と共に発現された場合、発現は検出されなかった。GPBPを得るためのポリペプチドにおける26残基モチーフの挿入により、ポリペプチド相互作用において著明に増加した。前記の全データはGPBPΔ26がin vivoで自己結合し、26残基のポリペプチド鎖への挿入により、より相互に影響する分子種を生じることを示す。
【0113】
GPBPはヒト糸球体および肺胞において発現されるが、ウシおよびネズミ糸球体および肺胞では発現されない。GPBP/GPBPΔ26は天然に発生する自己免疫応答において一般的に標的化されるヒト細胞および組織において優先的に発現される。GPBPの発現を具体的に調べるために、このキナーゼアイソフォームの26残基モチーフの特徴を表す合成ペプチドに対してポリクローナル抗体を産生させ、凍結またはホルマリン固定し、パラフィン包埋したヒト組織において免疫組織化学実験に用いた(図13)。概して、これらの抗体は、自己免疫応答の標的である組織構造、例えば胆管、ランゲルハンス島、または中枢神経系の白質に関して両方のアイソフォームを認識する抗体よりも高い特異性を示す(図示せず)。それにも関わらず、最も著明な知見は、試験したいずれの組織でも小さい血管の周囲のGPBP選択的抗体の直線的な沈着の存在であり(A)、これはGPBPが内皮細胞基底膜と結合していることを示唆している。結果的に、糸球体では、抗GPBP抗体はα3(IV)NC1を特異的に認識するモノクローナル抗体(13Bを13Cおよび13Dと比較する)によるか、または循環GP自己抗体により(13Eおよび13Fを比較する)生じる糸球体基底膜染色に非常に類似した血管パターンを示した。これらの観察によりGPBPが天然の自己免疫応答において標的化される組織構造において発現されるという最初の観察がさらに支持され、これはGPBPの発現は危険因子であり、自己免疫攻撃に対して宿主組織を脆弱にすることを示唆している。
【0114】
この仮説をさらに評価するために、ヒトと比較して天然にはGP病にならない2種の哺乳動物の糸球体においてGPBPおよびGPBPΔ26の存在を調べた(図14)。GPBP特異的抗体はウシおよびネズミの両方の標本の糸球体を染色せず(14Aを14Bおよび14Cと比較する)、GPBPおよびGPBPΔ26の両方に共通するN末端配列を認識する抗体は三つ全ての種のこれらの構造を染色したが、分布および強度は異なっていた(14Dから14F)。ウシ腎皮質では、GPBPΔ26はヒトよりも低率で発現されたが、類似の組織分布が示された。しかしながらネズミサンプルでは、GPBPΔ26はヒト糸球体におけるGPBPの組織分布と非常に類似した組織分布が示された。異なる3種において肺胞を試験した場合、類似の結果が得られた(図示せず)。抗体検出における差異が差次発現よりもむしろ1次構造の差異によるものであることを排除するために、cDNA配列決定により、これらの2種において対応する1次構造を決定した。ウシおよびマウスGPBP(配列番号:3から6、および9から12)は全体的にヒト物質と各々97.9%および96.6%の同一性を示した。さらに、マウス26残基モチーフはヒトと同一であったが、ウシは1個の残基においてのみ分岐した。最終的には、ヒトに類似して、対応する78bpエキソンに特異的なオリゴヌクレオチドを用いてマウスまたはウシ腎臓全RNAからGPBP cDNAをうまく増幅し、これによりGPBPが非常に低レベルで発現され、免疫化学技術により検出できないことが示された。
【0115】
GPBPはいくつかの自己免疫状態において高度に発現される。特異的RT−PCRにより異なるGP患者からのいくつかの組織を分析し、GPBP/GPBPΔ26 mRNAレベルを評価した。対照の腎臓と同様に、GP腎臓で主に発現されたアイソフォームはGPBPΔ26であった。しかしながら、1人の患者の筋肉ではGPBPが優先的に発現され、一方GPBPΔ26は対照筋肉サンプルにおいて検出された唯一のアイソフォームであった(図15A)。我々はこの特定の患者からの腎臓サンプルを有していなかったので、対応する標的器官におけるGPBP/GPBPΔ26発現を評価できなかった。類似の理由から、腎臓を試験した患者の筋肉におけるGPBP/GPBPΔ26レベルを評価できなかった。筋肉細胞は高レベルのGPBP/GPBPΔ26を発現し(図9におけるノーザンブロットを参照のこと)、これらは多量の組織を含む。対照的に腎臓におけるGPBP/GPBPΔ26の発現はもっと少なく、糸球体は実際に、GPBPアイソフォームを発現する唯一の腎臓構造である(図13を参照のこと)。糸球体は、筋細胞が筋肉にあるよりも相対的に腎臓に余り豊富にない構造であり、糸球体はGP発病過程において免疫攻撃により標的化される構造である。RT−PCR実験を行う場合により豊富でより短いメッセージが優先的に増幅されるのに伴い、これらの因子により正常およびGP腎臓の両方でGPBPが検出されないことが説明され、従って発病過程における糸球体でのGPBP発現の評価を除外できる。それにも関わらず、GP患者におけるGPBPレベルの増加はGPBP/GPBPΔ26発現がGP発病過程において変化し、GPBP発現の増強がGP病において重要な病因であることを示唆している。
【0116】
自己免疫発病過程におけるGPBPおよびGPBPΔ26の発現を調べるために、皮下自己免疫過程を試験し、これらを正常皮膚または非自己免疫性皮膚炎を表す対照サンプルと比較した(図15)。対照サンプルは大抵の末梢ケラチノサイトにおいて限定的なGPBP発現を示すが(15B、15E)、基底層から角質層に広がるケラチノサイトは全身性エリテマトーデス(SLE)(15C、15F)または扁平苔癬(15D、15G)の影響をうける皮膚において豊富なGPBPを発現した。UV照射およびアポトーシス誘導時の培養ケラチノサイトで前記した小疱に非常に類似した細胞表面構造においてGPBPが優先的に発現された(6)。対照的に、GPBPおよびGPBPΔ26の両方を認識する抗体は、自己免疫の影響を受けたまたは対照のサンプルの両方において表皮全体を通じて細胞基質性拡散パターンを生じた(図示せず)。これらのデータは対照および自己免疫の影響を受けたケラチノサイト両方において、GPBPΔ26が細胞基質で発現され、細胞分化の間に発現は有意には変化しなかったことを示している。対照的に、成熟ケラチノサイトは実際に唯一のGPBP発現細胞であった。しかしながら、小疱形成およびGPBP発現は自己免疫応答により影響を受けた表皮において初期分化段階で観察された(15C、15D、15F、15G)。これはさらに基底ケラチノサイトで異常なアポトーシスが皮膚に影響する自己免疫の発病過程に関係することを示す以前の観察を支持し(7)、これはアポトーシスおよびGPBP発現がこのヒト細胞系に関連していることを示唆している。
【0117】
考察
代替プレmRNAスプライシングは組織分布、細胞内局在、および異なるプロテインキナーゼの機能を制御することが報告されている差次遺伝子発現の基礎的なメカニズムである(8から11)。この点で、およびGPBPに非常に類似して、B−Rafは複数のスプライシング変種として存在し、ここで特異的エキソンの存在により、より相互に影響し、有効な腫瘍形成性キナーゼになる(12)。
【0118】
rGPBPΔ26がなおこの新規キナーゼの特徴づけされていない触媒性ドメインを担持することは明らかであるが、rGPBPと比較した場合、自己およびトランスリン酸化活性の両方が大きく低下する。ゲル濾過および2ハイブリッド実験により、このように低下したリン酸移動活性の基礎となるメカニズムにいくらかの見識が提供される。rGPBPの約1から2%がrGPBPのリン酸化活性の約3分の1をあらわす非常に高分子量の凝集体に構成され、これは高分子量凝集体がより有効な4次構造を付与することを示している。組換えGPBPΔ26は実施にピークIの物質を伴わず、一貫して低下したキナーゼ活性を示す。しかしながら、ピークIIに存在するrGPBPΔ26物質もまたrGPBPの相同性分画と比較した場合、リン酸化活性の低下を示すので、凝集体が、26残基が特異活性を増加させる唯一のメカニズムではないようである。一つの可能性は、rGPBP由来の凝集体が26残基モチーフの挿入により引き起こされる4次構造強化のために、より高度な特異活性を表すということである。大量の物質が非還元SDS−PAGEにおいて単一のポリペプチドとして現れ、8Mの尿素または6Mのグアニジンのいずれかの存在はクロマトグラフィゲル濾過プロフィールにおいてほとんど影響がないので、オリゴマーは非常に強力な非共有結合により主に繋がれている(図示せず)。どのように26残基モチーフがより強力で、活性な構造を付与するのかを明らかにすべきであろう。キナーゼの活性化状態を変化させるモチーフをコードするエキソンの存在により誘導される立体配座の変化がB−RafのSrcタンパク質(24)およびエキソン8bおよび10(12)のリンカードメインとして提示されている。別法として、26残基モチーフが構造上の要件、例えばそのリン酸化がGPBPの全活性化に必要である残基を提供できる。
【0119】
GP抗原(α3(IV)NC1)の1次構造が複数の立体配座を生じる複合体折り畳み過程の標的であることを報告した(13)。単離された立体配列は超分子凝集体のリン酸化および恐らく4次構造形成により特異的に活性化される非最低エネルギー構造である。GP患者ではα3(IV)NC1が立体配座の変化およびコラーゲンIVネットワークのジスルフィド安定化を媒介する能力の低下を示す。そしてGP抗体が患者α3(IV)NC1配座異性体に対してより強力な親和性を示し、これは立体配座が変化した物質が自己免疫応答を引き起こすことを示している。従って、GP病ではα3(IV)NC1の立体配座形成過程における初期の変化が、免疫系が耐性でない配座異性体の変化を生じ、このように自己免疫応答を媒介するようである。
【0120】
その他の証拠(Rayaら、結果は未発表)により、リン酸化が非最低エネルギー末端にα3(IV)NC1の折り畳みを誘導するシグナルであることが示されている。このシナリオでは、ヒトα3(IV)NC1系の三つの特徴はウシまたはネズミのような自然にはGP病にならない種からの対応する抗原系と比較した場合、発病原因と特別な関係にある。第1にヒトα3(IV)NC1のN末端はPKAによりおよびGPBPによりリン酸化されるモチーフを含有する(前記、および2から4をも参照のこと)。第2にヒト遺伝子は代替エキソンスプライシングにより複数の代替生成物を生じる(14、15)。エキソンスキッピングにより、1次α3(IV)NC1生成物のin vitroでのPKAリン酸化を上方制御する分岐したC末端を有する代替生成物を生じる(以下の実施例3を参照のこと)。第3にヒトGPBPは、GP病の二つの主要な標的である糸球体および肺胞基底膜に結合して発現される。リン酸化依存性立体配座形成過程はまた非病原性NC1ドメインの特徴でもあり(13)、これはリン酸化可能なN末端、代替スプライシングによる多様化および糸球体および肺胞基底膜でのGPBPの発現は全て、α3(IV)NC1の立体配座形成過程を脆弱な状態に置く全ての排他的なヒトの特徴であることを示唆している。四つの別個のGP腎臓実験では高レベルおGP抗原代替生成物を発現し(15;BernalおよびSaus、結果は未発表)、GP患者ではGPBP発現の増加が見出された(前記を参照のこと)。代替GP抗原生成物およびGPBPの両方のレベル増加はα3(IV)NC1のリン酸化依存性立体配座形成過程における結果である、従って発病の可能性を有していると予測される。
【0121】
GPBPは天然の自己免疫応答により標的化される皮膚において高度に発現される。表皮ではGPBPはケラチノサイトが成熟中に基底から角質層になるアポトーシス媒介分化過程の細胞表面小疱と結合している(22、23)。SLE患者からのケラチノサイトはUV誘起のアポトーシスに対して感受性が著明に高められており(6、18、20)、SLEおよび皮膚筋炎では増強されたおよび時期尚早なケラチノサイトアポトーシスの存在が報告されている(7)。一貫して、円盤状狼瘡(図示せず)、SLEおよび扁平苔癬などのいくつかの皮膚自己免疫状態において基底から表皮の周辺層までアポトーシス体が広がっているのが見出された。自己抗原およびその修飾体はアポトーシスケラチノサイトの細胞表面小疱に密集する(6、18、20)。アポトーシス表面小疱は自己抗原(21)を提供し、循環系に修飾体を放出する可能性がある。(16から20)。これはアポトーシス体からの修飾自己抗原の放出が全身性自己免疫応答媒介SLEおよび強皮症を媒介する免疫化であり得ることを示唆している(18、19)。
【0122】
GPBPおよびGPBPΔ26の両方がin vitroでプロテインキナーゼとして作用でき、GPBPはGPBPΔ26よりもより活性なアイソフォームであるということが示される。さらに酵母からまたはヒト293細胞から精製されたGPBPまたはGPBPΔ26を表す組換え物質がα3(IV)NC1ドメインを特異的に減成する、関連するタンパク質溶解活性を有した(結果は未発表)。タンパク質溶解活性は真核細胞発現系において生成されたα3(IV)NC1に機能するが、細菌において生成された組換え物質には機能せず(結果は未発表)、これはα3(IV)NC1プロセシングが原核細胞組換え物質には存在しないいくつかの立体配座形成または翻訳後要件を有することを示している。最終的に、いくつかの自己抗原がアポトーシス性ケラチノサイトにおいてリン酸化および減成を行うことが報告されている(20)。正確なメカニズムにまで限定はしていないが、前記の全データに鑑み、我々はアポトーシス性小疱で機械的に集めたGPBPは、リン酸化、立体配座変化および減成などの自己抗原の複雑な改変を行う可能性があることを提示する。従って、SLE(P1リボソームリンタンパク質およびSm−D1小型核リボヌクレオタンパク質)および皮膚筋炎(ヒスチジルtRNAシンセターゼ)において自己抗原を表す組換えタンパク質はin vitroでGPBPの基質であった(結果は未発表)。
【0123】
GPBPの培養癌細胞株における下方制御はGPBP/GPBPΔ26を機械的に繋げた細胞がプログラムされた細胞死を誘起するシグナル発生経路に関与している可能性があることを示唆している。対応するアポトーシス経路は自己免疫発病過程で上方制御して特異的MHCハロタイプを担持する個体の抗原展示を変化させ;細胞の形質転換中に下方制御して腫瘍成長中の形質転換された細胞への自己免疫攻撃を防御できる。
【0124】
実施例2の参考文献
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9 Naito, Y., Watanabe, Y., Yokokura, H., Sugita, R., Nishio, M.およびHidaka, H.(1997)J.Biol.Chem.272,32704−32708.
10 Bayer, K.−U., Loehler,J.およびHarbers,K.(1996)Mol.Cell.Biol.16,29−36.
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13 米国仮特許出願,出願番号割り当て未定,2000年2月11日登録(事件番号98,723−C)
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17 Casiano, C.A., Martin, S.J., Green, D.R.およびTan, E.M.(1996)J.Exp.Med.184:765−770.
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【0125】
(実施例3.エキソンスプライシングによるヒト自己抗原リン酸化の制御)
導入
GP病ではIV型コラーゲンのα3鎖(GP抗原)の非コラーゲン性C末端ドメイン(NC1)に対する自己抗体により免疫系攻撃が媒介される(1)。ヒトα3(IV)NC1のN末端は独特な構造モチーフ、KRGDS9を有する高度に分岐した親水性領域を含有し、A型プロテインキナーゼの機能的リン酸化部位に必要な部分として細胞付着シグナルを保持している(2,3)。さらに特徴的には、ヒトGP抗原をコードする遺伝子領域は代替エキソンスプライシングにより複数のmRNAを生じる(4、5)。代替生成物はC末端で分岐し、一つを除いて全てがN末端KRGDS9を共有する(4、5)。
【0126】
多発性硬化症(MS)は中枢神経系で炎症性脱ミエリン化プラークの存在により特徴づけられる排他的ヒト神経学的疾患である(6)。この疾患が、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)などの白質の特異的構成成分に対する、細胞毒性Tセルに媒介される自己免疫攻撃により誘起されるということがいくつかの証拠により示されている(7、8)。ヒトでは、プレmRNAプロセシング中の代替エキソンスプライシングの結果、MBP遺伝子が四つの生成物(MBP、MBPΔII、MBPΔVおよびMBPΔII/V)を生じる(9)。これらの中でMBPΔIIが成熟中枢神経系では最も豊富であり、一方全てのエキソンを含有するMBP体は実際には存在しない(9)。
【0127】
自己免疫応答媒介GP病およびMSにはいくつかの生物学的類似性が存在し、主に;1)両者ともに排他的な疾患であり典型的にはウイルス性インフルエンザ様の疾患後に始まる;2)IIクラス MHCのHLA−DR領域の同一のハロタイプに強力な連関が存在する;3)代替スプライシングによりいくつかの生成物を生じる;および4)GP病によるMS患者の死亡が最近報告されている(10)。
【0128】
材料および方法
合成ポリマー:GPΔIII由来のペプチド、QRAHGQDLDALFVKVLRSP(配列番号:43)およびGPΔIII/IV/V由来のペプチド、QRAHGQDLESLFHQL(配列番号:44)をBoc−(メドプローブ)またはFmoc−(カイロン、リポテック)化学のいずれかを用いて合成した。
【0129】
プラスミド構築および組換え発現
GP由来物質:他の場合に修飾pEt15bベクターのBamHI部位に、対応する組換えタンパク質を発現するcDNAをサブクローニングすることにより(5)、異なるGPスプライシング形態を表す構築物を得、ここで開始Metを除く外来性ベクター由来アミノ末端配列を排除した。ベクターをNcoIおよびBamHIで切断することにより余分な配列を除去し、遊離末端をクレノウで埋め、再度ライゲートした。これにより両方の制限部位を再形成し、アミノ終止Metのコドンのすぐ下流にBamHI部位を置いた。
【0130】
GPまたはGPΔV(配列番号:46)を表す組換えタンパク質を沈殿により精製した(5)。GPΔIII(配列番号:48)またはGPΔIII/IV/V(配列番号:50)を表す組換えタンパク質を含有する細菌性ペレットを40mMのトリスHCl(pH6.8)中で8Mの尿素、および超音波処理により溶解した。40000xgで遠心した後、上澄を0.22μmフィルターに通し、FPLC用にリソースQカラムに注入した。溶出物をHClでpH6まで酸性にし、2回目のFPLC精製用に40mMのMES(pH6)で予め平衡にしたリソースSカラムに注入した。得られた溶出物中の物質をin vivoリン酸化に用いた。
【0131】
MBP由来物質:中枢神経系からの全RNAを用いてRT−PCRによりヒトMBPΔII(配列番号:51)を表すcDNAを得た。ヒトMBPを表すcDNAはC.Campagnoni(UCLA)から進呈された。両方のフラグメントをC末端で6xHisコーディング配列を含有するpHIL−D2(インビトロゲン)の修飾体にクローニングし、各々pHIL−MBPΔII−HisおよびpHIL−MBP−Hisを作った。(12)に記載するようにこれらのプラスミドを用いて組換え体をPichia pastorisに発現させた。固定金属アフィニティクロマトグラフィ(TALON樹脂、クロンテック)を用いて、変性条件下(8M 尿素)組換えタンパク質を精製し、製造者の指示書に従って300mM イミダゾールで溶出した。次いでアフィニティ精製物質を50mM トリスHCl(pH8.0)、10mM CHAPS、400mM NaCl、2mM DTTの80容量に希釈することにより復元し、YM10型膜(アミコン)を通して限外濾過することにより50倍に濃縮した。クロンテックの形質転換体変異誘発キットを用いて構築物を含有する元来の配列で位置指定変異誘発によりSerからAlaへの変異体を作り、その結果得られるタンパク質は同様に製造された。
【0132】
リン酸化実験。基本的に前記のように(3および12も参照のこと)リン酸化実験を行った。いくつかの実験では基質をインブロット復元し、次いでrGPBP0.5μgを含有するリン酸化バッファー100μlを積層することにより、室温で30分間リン酸化した。V8エンドペプチターゼを用いる消化および免疫沈澱を(3)に記載するように実施した。
【0133】
抗体生成。各々配列番号:43または配列番号:44に含まれるGPΔIIIまたはGPΔIII/IV/VのC末端分岐末端を表す合成ペプチドをグルタルアルデヒドカップリング標準法を用いてチトクロームC、BSAまたはオブアルブミンに抱合させた。得られたタンパク質抱合体をマウス免疫に用いてGPΔIIIに特異的なポリクローナル抗体およびGPΔIII/IV/Vに特異的なモノクローナル抗体(Mab153)を得た。GPΔVに特異的なモノクローナル抗体(Mab5A)を得るために、配列番号50を含んだ対応する代替型を表現する組換え細菌性タンパク質を用い、マウスを免疫した。GP代替体のN末端領域を表す配列番号26に対するモノクローナル(M3/1、P1/2)またはポリクローナル(抗GPpep1)抗体の生成については前記した(3、5)。
【0134】
Boc基に基づくペプチド合成
構築。Boc−ベンジル法を用いて段階的固相合成によりペプチドを構築した。用いた出発樹脂はBoc−Pro−PAM樹脂(0.56meq/g、R4108バッチ)であった。用いた脱保護/カップリング方法は:TFA(1x1分)、TFA(1x3分)、DCM(フローフラッシュ)、イソプロピルアルコール(1x30秒)、DMF(3x1分)、カップリング/DMF(1x10分)、DMF(1x1分)、カップリング/DMF(1x10分)、DMF(2x1分)、DCM(1x1分):であった。各ステップでペプチド樹脂グラムあたり10mlを用いた。DMF中BOP、HobtおよびDIEAの存在下全アミノ酸(5倍過剰)のカップリングを実施した。以下の側鎖保護基を合成するために:セリンにベンジル;リジンに2クロロベンジルオキシカルボニル;アスパラギン酸およびグルタミン酸にはシクロヘキシル;ヒスチジンおよびアルギニンにはトシル:を用いた。
【0135】
切断。樹脂からペプチドを切断し、液体フッ化水素(HF)と反応させることにより十分に脱保護した:ペプチド樹脂グラムあたりHF10mlを加え、捕捉剤としてp−クレゾールの存在下で、混合物を0℃下45分間保持した。HFを蒸発させた後、粗製反応混合物をエーテルで洗浄し、TFAに溶解し、エーテルで沈殿させ、乾燥した。
【0136】
精製。固定相:シリカC18、15μm、120A;移動相:溶媒A:水0.1% TFAおよび溶媒B:アセトニトリル/A、60/40(容量/容量);勾配:20から60%線形Bで30分間;流速:40ml/分;および検出はU.V.(210nm)。純度80%以上の分画をプールし、凍結乾燥した。純度および同一性の対照を分析用HPLCおよびES/MSにより実施した。最終生成物の純度は88%であり、実験上の分子量は2192.9であった。
【0137】
Fmoc−基盤のペプチド合成
構築。標準的なFmoc/tBu化学を用いてPro−クロロトリチル樹脂(0.685meq/g)で段階的直線的固相によりペプチドを合成した。用いた脱保護/カップリング方法は:Fmoc aa(0.66g)、HOBt(0.26g)、DIPCDI(0.28ml)で40分間であり、カイザー試験による対照に従った。試験が陽性であった場合、陰性に変化するまで時間を延長した。次いでDMF(31分)、ピペリジン/DMF 20%(11分)、ピペリジン/DMF 20%(15分)およびDMF(41分)。側鎖保護体は:アルギニンにPmc(ペンタメチルクロメーンスルホニル)、リジンにBcc(tert−ブトキシカルボニル)、アスパルギン酸およびセリンにtBu(tert−ブチル)、並びにヒスチジンにTrl(トリチル):であった。
【0138】
切断。ペプチドを切断し、処理切断物をTFA/水 90/10と反応させることにより十分に脱保護した:樹脂グラムあたりTFA10mlを加えた。水は捕捉剤として作用する。2時間後、樹脂を濾過し、得られた溶液を冷ジエチルエーテルで5回沈殿させた。最終沈殿物を乾燥した。
【0139】
精製。固定相:クロマシルC18、10μm;移動相:溶媒A:水0.1%TFAおよび溶媒B:アセトニトリル0.1%TFA;定組成:28%B;流速:55ml/分;検出:220nm。高純度の分画をプールし、凍結乾燥し、第2巡のHPLC精製を行った。純度および同一性の対照を分析用HPLCおよびES/MSにより実施した。最終生成物の純度は97%であり、実験上の分子量は2190.9であった。
【0140】
結果
代替スプライシングによるヒトGP抗原のリン酸化の制御。1次抗原(GP)または個々の代替生成物GPΔV(配列番号:46)、GPΔIII(配列番号:48)およびGPΔIII/IV/V(配列番号:50)を表す細菌性組換えタンパク質を製造し、PKAによるリン酸化される能力を試験した(図16、左のパネル)。標準的なATP濃度(150μM)を使用して四つの組換え抗原全てがリン酸化されたが、程度は異なった。代替型は1次GP抗原よりも効率よく32Pを取り込んだが、このことはこれらがよりよい基質であることを示唆している。これらの抗原が細胞外区画にあると考えられるので、より生理学的なATP濃度(0.1から0.5μM)でまたリン酸化能力を検定した。これらの条件下では、1次および代替生成物間の32P組み込みにおける差異がより明確であり、これは低ATP濃度では1次GP抗原がキナーゼにはあまりよくない基質であることを示した。GP抗原に存在する三つのPKAリン酸化部位の中で、N末端Ser9およびSer26が主要なものであり、検定した全ての生成物に共通である(3、5)。従って、全ポリペプチドのリン酸化で観察された差異はまた特異的V8消化および免疫沈澱後に決定されるように個々のN末端領域間にも存在した(図示せず)。これはリン酸化における差異が代替生成物における異なるC末端配列の存在によるものであることを強く示唆している。GPΔIIIおよびGPΔIII/IV/VがGPΔVよりも著明に高い32P組み込み率を示し、これらはより短い分岐C末端領域を有するので(5)、別個にこれらのC末端配列を表す合成ペプチド(配列番号:43、配列番号:44)を用いてさらに元来の抗原のin vivoリン酸化における制御的役割を試験した。IV型コラーゲンは三つの絡み合ったα鎖からなる三量体分子である。基底膜では、二つのIV型コラーゲン分子がNC1ドメインを介して集まり、細菌性コラゲナーゼ消化により溶解できる六量体NC1構造を生じる(1)。六量体構造の解離により単量体のGP抗原およびジスルフィド関連の二量体を放出する(1)。以下の一連の実験のために、細胞外様の低ATP濃度の存在下、単量体または六量体の両方の元来のGP抗原を用いてリン酸化を実施した(図16、右パネル)。各特異的ペプチドは存在するが対照ペプチドは存在しない場合(図示せず)、22kDaの見かけのMWを表示する単一のポリペプチドのリン酸化が誘起された。特異的V8消化および免疫沈澱により対応するポリペプチドが、以前に特徴づけされ、PKAに最適の基質であると同定されたα3(IV)NC1の22kDaの配座異性体として同定された(11)。
【0141】
代替スプライシングによるMBPのリン酸化の制御。MBPはN末端領域で、GP抗原生成物に存在するN末端部位(Ser9)に構造的に類似する2個のPKAリン酸化部位(Ser8、Ser57)を含有する(図17)。全てのMBPタンパク質に存在するSer8部位はGP由来のポリペプチドのSer9よりも類似の位置にある。加えて、MBPおよびGPΔIIISer8およびSer9は各々対応するエキソンIIに存在する高度に相同なモチーフの1次構造で類似の距離にある(図17の曲がった矢印)。GPΔIII由来のモチーフはGP抗原系においてSer9のPKAリン酸化を上方制御するC末端分岐領域と一致する(図16)。MBPにおける制御様配列はエキソンIIに位置し、最終生成物中のその存在は代替エキソンスプライシングメカニズムに依存する。従って、GPΔIIIに構造比較することにより同定されるMBPモチーフはまたSer8のPKAリン酸化をも制御できる。我々はMBPおよびMBPΔII(配列番号:54)を表す組換えタンパク質並びに対応するSerからAlaへの変異体を製造し、エキソンIに存在する2個のPKAリン酸化部位の各々(Ser8およびSer9)をノックアウトした。続いてPKAによるin vitroリン酸化を評価した(図18)。MBPΔIIはMBPよりも良好な基質であり、Ser8は主要なリン酸化部位であり、これはGP抗原系に類似して、代替エキソンスプライシングが全てのMBP由来代替形態に共通するN末端領域に位置する特異的部位のPKAリン酸化を制御することを示した。
【0142】
組換えMBPタンパク質のGPBPリン酸化を評価する類似の実験では、GPBPは優先的にMBPをリン酸化し、一方MBPΔIIのリン酸化はほとんど観察されなかった(図19)。さらに、組換えSerからAlaへの変異体は32P組み込みにおいて有意な減少を示さず、これはGPBPが、PKAとは反対の方法でMBP/MBPΔIIをリン酸化し、これらの2個のキナーゼがMBPタンパク質における主要なリン酸化部位を共有しないことを示した。
【0143】
これらの全データから、我々はMBP系においてPKAまたはGPBPのいずれかにより、代替スプライシングが特異的セリンのリン酸化を制御すると結論づけた。
【0144】
GPΔIIIのC末端領域を表す合成ペプチドがGPBPリン酸化に影響する。GPBP活性に及ぼすGPΔIIIのC末端領域の影響を評価するために、この領域を表すペプチドを二種の異なる化学反応(BocまたはFmoc)を用いて合成し、GPBPを含有するリン酸化混合物に別個に添加した(図20)。Boc基盤の合成ペプチドはGPBP自己リン酸化に陽性に影響するが、Fmoc基盤のものはGPBP自己リン酸化を阻止し、これはGPおよびMBP抗原系のいずれかで、代替生成物に由来する制御配列がGPBPのキナーゼ活性に影響しうることを示唆している。
【0145】
考察
我々はα3(IV)NC1ドメインが二つの異なるメカニズム:1)代替スプライシング(4、5)および2)1次生成物の立体配座異性体形成(11)により複雑な構造多様性を作ることを示した。両方のメカニズムによりPKAにより区別される生成物が生じるが、これはPKAリン酸化がα3(IV)NC1ドメインの生物学において重大な事象であることを示している。リン酸化は少なくとも部分的な折り畳みのみならず、IV型コラーゲンネットワークのα3(IV)NC1ドメインの超分子集合体をも導く(11およびRayaら、結果は未発表)。α3(IV)NC1の配座異性体の変化によりGP病を媒介する自己免疫応答に至り(11)、これは抗原リン酸化の変化が疾患の発病における1次的事象であり得ることを示唆している。従って、いくつかのGP腎臓においてGPΔIIIの発現の増加が認められ(4およびBernalおよびSaus、結果は未発表)、および別のグッドパスチャー患者においてGPBPの発現の増加が検出された(図15)。代替GP抗原生成物の、およびGPBPの両方の発現増加はα3(IV)NC1のリン酸化の安定した状態、従って対応する立体配座形成過程にある結果であると考えられる。PKAによる異なる構造生成物間の区別はこのキナーゼ、または別の構造的に類似するキナーゼが生理学的抗原立体配座形成過程に関与し、GPBPによる抗原リン酸化が発病原因の重要性を有することが強く示唆される。発病過程においてGPBPは介入性のキナーゼであり、リン酸化依存的立体配座形成過程に干渉する。従って、天然の自己免疫応答により標的化される組織構造においてGPBPが発現され、GPBPの発現増加はいくつかの自己免疫状態に関係する(前記の実施例1および2を参照のこと)。
【0146】
代替スプライシングメカニズムはまたMBP抗原系において特異的セリンのPKAリン酸化を制御する。MBPはまたGPBPの基質であり、これはGPBPが多発性硬化症、およびその他の自己免疫応答において病因的役割を果たし得ることを示唆している。
【0147】
前記の全データによりGPBPが自己免疫疾患の治療に可能性のある標的として同定される。図20ではGPΔIII(配列番号:43)のC末端領域を表す合成ペプチドがin vitroでGPBPの作用を変調することを示し、従ってこの、および関連の配列が、in vivoでGPBPの活性を変調するためのペプチド基盤の化合物として同定された。PKAによるGP抗原リン酸化の誘導はBoc基盤のペプチドを用いたときに達成されたが、類似のFmoc基盤のペプチドを用いたときには達成されなかった。さらに、Fmoc基盤ではなくBoc基盤のペプチドはPKAのin vitro基質であり(図示せず)、これは両方の生成物間に重要な構造上の差異が存在することを示している。両生成物が質量分析法において有意な差異を示さなかったので、一つの可能性は、用いた異なる脱保護方法が生物学的活性に重大な2次構造における立体配座の差異の原因となり得るということである。従って、Boc基盤のペプチドは低温で長期保存したとき、PKAを誘起する能力を喪失する。
【0148】
実施例3の参考文献
1 Saus, J.(1998)グッドパスチャー症候群について:Encyclopedia of Immunology 第二版,Vol. 2,Delves, P.J.およびRoitt, I.M.編,(Academic Press Ltd.,ロンドン),pp. 1005−1011.
2 Quinones, S., Bernal, D., Garcia−Sogo, M., Elena, S.F.およびSaus, J.(1992)J.Biol.Chem.267,19780−19784
3 Revert, F., Penades J.R., Plana, M., Bernal, D., Johansson, C., Itarte, E., Cervera, J., Wieslander, J., Quinones, S.およびSaus,J.(1995)J.Biol.Chem.270,13254−13261
4 Bernal, D., Quinones, S.およびSaus, J.(1993)J.Biol.Chem.268,12090−12094
5 Penades J.R., Bernal, D., Revert, F., Johansson, C., Fresquet, V.J., Cervera, J., Wieslander, J., Quinones, S.およびSaus, J.(1995)Eur.J.Biochem.229,754−760.
6 Raus, J.CM,多発性硬化症について:Encyclopedia of Immunology 第二版,Vol. 3,(Delves, P.J.およびRoitt, I.M.編)1786−1789(Academic Press Ltd.,ロンドン, 1998).
7 Pette, M., Fujita, K., Wilkinson, D., Altmann, D.M., Trowsdale, J., Giegerich, G., Hinkkanen, A., Epplen, J.T., Kappos, L.およびWekerle, H.(1994)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87,7968−7972
8 Tschida, T., Parker, K.C., Turner, R.V., McFarland, H.F., Coligan, J.E.およびBiddison, W.E.(1994)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91,10859−10863.
9 Campagnoni, A.T.(1988)J.Neurochem.51,1−14.
10 Henderson, R.D., Saltissi, D.およびPender, M.P.(1998)Acta Neurol. Scand. 98,134−135
11 米国仮特許出願,出願番号割り当て未定,2000年2月11日登録(事件番号98,723−C)
12 Raya, A., Revert, F., Navarro, S.およびSaus,J.(1999)J.Biol.Chem.274,12642−12649.
【0149】
本発明は前記の特定の好ましい態様により制限されない。通常の熟練した当業者には、本発明の概念から逸脱することなく、開示された好ましい態様に種々の改変を加えることができるだろう。かかる改変は全て本発明の範囲内であることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 n4’のヌクレオチドおよび誘導アミノ酸配列。示した構造上の特徴は5’から3’末端で:元来のクローン(HeLa1)に存在するcDNAは(点線の囲み)、これはPH相同性ドメイン(黒色)およびSer−Xaa−Yaa反復(灰色)を含有する;2分された核局在化シグナルを含有する予想できる高次らせん構造(開いた囲み)の7個の反復(灰色);並びにセリンに富むドメイン(灰色ボックスで埋められている)である。アスタリスクはフレーム停止コドンを示す。
【図2】 ヒト組織(ノーザンブロット)および真核生物種(サザンブロット)におけるGPBPの分布。ランダムプライミング32P標識HeLa1 cDNAプローブを用いて、提示したヒト組織(パネルA)からのポリ(A+)RNAのノーザンブロットにおいて、または提示した真核生物種(パネルB)からのゲノムDNAのサザンブロットにおいて相同性メッセージを同定した。高度に厳密な条件下でノーザンハイブリダイゼーションを実施して完全な対合メッセージを検出し、サザンの低厳密性で誤対合のメッセージを検出できた。変性ゲル電気泳動により、または同一のロットからの代表的なブロットをヒトβアクチンcDNAでプローブする場合、個々のポリA+RNAの品質および量において評価できる差異は観察されなかった。数字は用いたRNAまたはDNAマーカーの位置および大きさをkbで示す。
【図3】 翻訳出発部位の実験的決定。A)では一過性の発現に用いられるpc−n4’およびpc−FLAG−n4’プラスミドに存在する2個のcDNAが黒線で示されている。対応する予想される(n4’)または操作された(FLAG−n4’)翻訳出発部位の相対位置を示す(Met)。(B)では対照(−)、pc−n4’、pc−FLAG−n4’または(FLAG−n4’)トランスフェクトした293細胞からの抽出物を還元条件下10% ゲル中SDS−PAGEに供した。分離されたタンパク質をPVDF膜(ミリポア)に移し、指示した抗体でブロッティングした。数字および棒線は分子量をkDaで、および分子量マーカーの相対位置を各々示す。
【図4】 酵母および293細胞からのrGPBPの特徴づけ。(A)では酵母rGPBPの1μg(レーン1)または100μg(レーン2および3)を10% ゲル中還元SDS−PAGEにより分析した。分離したタンパク質をクーマシーブルーで染色する(レーン1)かまたは移動させて抗FLAG抗体(レーン2)かまたはMab14すなわちGPBPに対するモノクローナル抗体(レーン3)でブロッティングした。(B)では、GPBP発現酵母からの細胞抽出物をAのように分析し、各々抗FLAG(レーン1)、抗PSer(レーン2)、抗PThr(レーン3)または抗PTyr(レーン4)モノクローナル抗体でブロッティングした。(C)では酵母rGPBP(レーン1)、脱リン酸化酵母rGPBP(レーン2)または293細胞由来のrGPBP(レーン3)のいずれか200ngをBのように指示した抗体を用いて分析した。(D)では類似の量のH3 32PO4標識トランスフェクトされていない(レーン1)、安定したpc−n4’トランスフェクトされた(レーン2)、一過性のpc−FLAG−n4’発現(レーン3)293細胞を溶解し、指示した抗体で沈殿させ、SDS−PAGEおよびオートラジオグラフィにより分析した。分子量マーカーを図3のように数字および棒線で表す。矢印はrGPBPの位置を示す。
【図5】 組換えGPBPはヒトGP抗原のN末端領域を特異的にリン酸化するセリン/スレオニンキナーゼを含有する。リン酸化を評価するために、酵母rGPBPおよそ200ngを[γ]32P−ATPと共にGP抗原誘導物質の不在下(AまたはB)または存在下(C)インキュベートした。(A)では混合物を還元SDS−PAGE(10% ゲル)およびオートラジオグラフィに供した。(B)では混合物を2次元薄層クロマトグラフィによる32Pホスホアミノ酸分析に供した。ニンヒドリン染色ホスホアミノ酸の位置を点線の円で示す。(C)では指示したGP誘導物質のリン酸化混合物をSDS−PAGE(15% ゲル)およびオートラジオグラフィによりにより分析する(GPpep1およびGPpep1Ala9)か、またはMab17すなわちヒトおよびウシ由来のGP抗原を特異的に認識するモノクローナル抗体で免疫沈澱させ、SDS−PAGE(12.5%)およびオートラジオグラフィにより分析した(rGP、GP)。rGPBPの相対位置(A)、rGP抗原および元来のヒトおよびウシGP抗原(C)を矢印で示す。数字および棒線は前記の図面のように分子量マーカーを意味する。
【図6】 rGPBPに存在するセリン/スレオニンキナーゼのインブロット復元。酵母のrGPBP5μgをインブロット復元した。抗FLAG抗体(レーン1)およびオートラジオグラフィにより検出される切片上32P組み込み(レーン2)により組換え物質を特異的に同定した。数字および棒線は前記の図面のように分子量マーカーを意味する。矢印は89kDa rGPBPポリペプチドの位置を示す。
【図7】 ヒト組織におけるGPBPの免疫学的局在。GPBPのN末端領域に対するウサギ血清(1:50)を用いてヒト組織においてGPBPを局在化した。示した組織は腎臓(A)、糸球体(B)、肺(C)、肺胞(D)、肝臓(E)、脳(F)、精巣(G)、副腎(H)、膵臓(I)および前立腺(J)である。抗GPBPアフィニティ精製抗体または7個の異なるGPBP特異的モノクローナル抗体からの培養培地のプール(抗GPBP Mabs3、4、5、6、8、10および14)を用いて類似の結果が得られた。ウサギ前免疫血清はパラレル対照実験においていずれの組織構造をも染色しなかった。拡大図はBおよびDは100倍で、それ以外は40倍であった。
【図8】 GPBPΔ26はGPBPのスプライシング変種。(A)正常の骨格筋からの全RNAをプライマー53cを用いて逆転写し、続いてプライマー11m−53c(レーン2)または15m−62c(レーン4)を用いるPCRに供した。同一のプライマー対を用いるGPBP cDNA含有プラスミドの対照増幅をレーン1およびレーン3に示す。左および右の数字は塩基対の分子量を意味する。正常な筋肉転写物で喪失した領域を同定し、そのヌクレオチド配列(小文字)および推定アミノ酸(大文字)を(B)に示す。目的のcDNA領域を含むゲノムDNAのクローンを配列決定し、その構造を(C)に描き、GPBPΔ26でスプライシングした78bpエキソン(黒色ボックス)、隣接エキソン(灰色ボックス)およびイントロン(線)の位置および相対的な大きさを示す。イントロンおよびエキソンの両方の大きさが得られ、イントロン−エキソン境界のヌクレオチド配列を示し、5’および3’スプライシング部位のコンセンサスを太字で示す。
【図9】 GPBPおよびGPBPΔ26の差次的発現。78bpエキソン(GPBP)または両方のアイソフォーム(GPBP/GPBPΔ26)に共通の隣接配列を示すフラグメントを32P標識し、これを用いてヒト組織および腫瘍の培養細胞株ノーザンブロット(クロンテック)をハイブリダイズした。膜を最初にGPBP特異的プローブでハイブリダイズし、剥離し、次いでGPBP/GPBPΔ26プローブで再分析した。洗浄条件はGPBP特異的プローブ用(0.1% SSPE、37℃または55℃)にはGPBPおよびGPBPΔ26各々のシグナルを増強するGPBP/GPBPΔ26(0.1% SSPE、68℃)用ほど厳密ではない。洗浄プログラムが68℃の場合、GPBPプローブではシグナルが検出されなかった(図示せず)。
【図10】 GPBPΔ26はGPBPよりも低いリン酸化活性を示す。(A)組換え発現、アフィニティ精製GPBP(rGPBP)(レーン1)またはrGPBPΔ26(レーン2)を還元条件下SDS−PAGEに供し、クーマシーブルー染色する(レーンあたり2μg)かまたはFLAG配列(α−FLAG)またはGPBP/GPBPΔ26(Mab14)を認識するモノクローナル抗体でブロッティング(レーンあたり200ng)した。(B)rGPBP(レーン1)またはrGPBPΔ26(レーン2)200ngを、基質を用いずにin vitroリン酸化し、自己リン酸化を評価する(左)かまたは、5ナノモルGPpep1を用いてトランスリン酸化活性(右)を測定した。矢印はペプチドの位置を示す。(C)rGPBP(レーン1)またはrGPBPΔ26(レーン2)3μgを材料および方法で記載するようにインブロット復元した。数字および棒線は各々分子量をkDaで、および分子量マーカーの相対位置を示す。
【図11】 rGPBPおよびrGPBPΔ26は非常に活性な高分子量凝集体を形成する。rGPBP(A)またはrGPBPΔ26(B)約300μgを材料および方法で記載したゲル濾過HPLCに供した。垂直方向の矢印および数字は各々用いた分子量標準の溶出プロフィールおよび分子量(kDa)を示す。大きな凝集体は空隙容量で溶出され(I)、サンプルに存在する物質の大部分は669および158kDaマーカーの間の第2のピークとしてカラムの分画範囲に溶出された(II)。指示した微小分画の15μlをSDS−PAGEおよびクーマシーブルー染色に供した。同一分画の5μlを材料および方法に記載するようにin vitroリン酸化し、SDSサンプルバッファー中沸騰させることにより反応を停止させる。分画をSDS−PAGEに負荷し、PVDFに移し、コダックX−オーマットフィルムを用いて1または2時間オートラジオグラフィに供し、抗FLAGモノクローナル抗体(シグマ)を用いてブロッティングした。
【図12】 酵母2ハイブリッド系によるGPBPおよびGPBPΔ26の自己相互作用。(A)指示した組み合わせのプラスミドでトランスフェクトした細胞をロイシントリプトファン欠損培地(−Trp、−Leu)で選別し、別個の形質転換体を1mMの3−アミノトリアゾール(3−AT)の存在下または不在下ヒスチジン欠損プレート(−Trp、−Leu、−His)上で再度画線培養し、相互作用を評価した。画線培養の3日後に写真撮影した。(B)棒線は4個の別個のβガラクトシダーゼ溶液内アッセイのβガラクトシダーゼの任意のユニットの平均値を表す。
【図13】 GPBPは内皮および糸球体基底膜に結合して発現される。ヒト筋肉(A)または腎臓皮質(B、C)のパラフィン包埋切片をGPBP特異的抗体(A、B)またはMab189すなわちヒトα3(IV)NC1に特異的なモノクローナル抗体(C)でプローブした。ヒト腎臓の凍結切片(DからF)をMab17すなわちヒトα3(IV)NC1ドメインに特異的なモノクローナル抗体(D)、GPBP特異的抗体(E)、またはGP患者からの血清(F)でプローブした。対照血清(ニワトリ前免疫およびヒト対照)はパラレル実験で組織結合性を示さなかった(図示せず)。
【図14】 GPBPはヒト腎臓皮質において発現するがウシおよびネズミ腎臓皮質では発現しない。ヒト(A、D)、ウシ(B、E)またはネズミ(C、F)腎臓の皮質をパラフィン包埋し、GPBP特異的抗体(AからC)またはGPBP/GPBPΔ26特異的抗体(DからF)のいずれかでプローブした。
【図15】 GPBPはいくつかの自己免疫状態で高度に発現される。増幅プログラムにおいてオリゴヌクレオチド15mおよび62cを用いて、対照の個体から(レーン1)またはGP患者から(レーン2)の骨格筋全RNAを図8のようにRT−PCRに供した。凍結(BからD)またはパラフィン包埋(EからG)ヒト対照皮膚(B、E)またはSLE(C、F)または扁平苔癬(D、G)の影響を受けた皮膚をGPBP特異的抗体でプローブした。
【図16】 PKAによるGP代替スプライシング生成物のリン酸化。左のパネルでは等モル量のrGPの(レーン1)、rGPΔV(レーン2)、rGPΔIII(レーン3)またはrGPΔIII/IV/V(レーン4)(GP500ngと等価)を指示したATP濃度でリン酸化した。全リン酸化反応混合物の5分の1をゲル電気泳動により分離し、PVDFに移し、オートラジオグラフィに供し(図示せず)、四つ全種を認識する特異的モノクローナル抗体であるM3/1で、または個々のC末端領域に特異的な抗体を用いてタンパク質をブロッティングした(図示せず)。矢印は上から下にGP、GPΔVおよびGPΔIII−GPΔIII/IV/Vの各組換えタンパク質の位置を示し、これらは同一の移動性を表した。右パネル:精製α3(IV)NC1ドメインまたはヘキサマーをGPΔIII(レーン2)またはGPΔIII/IV/V(レーン3)のいずれかのC末端領域を表すペプチド10ナノモルの存在下または不在下(レーン1)、PKAおよび0.1μM ATPでリン酸化した。指示する場合、精製α3(IV)NC1ドメインのリン酸化混合物をV8消化し、ヒトα3(IV)NC1ドメインのN末端に特異的な抗体で免疫沈澱させた(3)。棒線および数字は分子量マーカーの位置および大きさ(kDa)を示す。
【図17】 GPΔIIIおよびMBPの配列アラインメント。PKAのリン酸化部位(囲み)およびMBPおよびGPΔIIIのSer8および9の部位に関する構造類似性を各々示す(下線)。両方の分子種の対応するエキソンII(曲がった矢印)の同一性(垂直棒線)および化学的相同性(点線)を示す。コラゲナーゼ切断部位(72残基)からのGPΔIII完全配列を、エキソンIおよびエキソンIIの10個の残基を含むMBPの69N末端残基で整列させた。
【図18】 PKAによる組換えMBPタンパク質のリン酸化。約200ngのrMBP(レーン1)、もしくは8位置(レーン2)もしくは57位置(レーン3)でのそれのSerからAlaへの変異体、またはrMPBΔII(レーン4)もしくは8位置(レーン5)もしくは57位置(レーン6)でのそれのSerからAlaへの変異体をPKAおよび0.1μM ATPでリン酸化した。混合物をSDS−PAGEに供し、PVDFに移し、オートラジオグラフィに供し(リン酸化)、個々の分子種をロッシュモレキュラーバイオケミカルズ(ウェスタン)から入手のヒトMBPに対するモノクローナル抗体でブロッティングした。
【図19】 GPBPによる組換えMBPタンパク質のリン酸化。約200ngのrMBP(レーン1)、もしくは8位置(レーン2)もしくは57位置(レーン3)でのそれのSerからAlaへの変異体、またはrMPBΔII(レーン4)もしくは8位置(レーン5)もしくは57位置(レーン6)でのそれのSerからAlaへの変異体をSDS−PAGEに供し、PVDFに移し、タンパク質を含有する部分をポンソーで可視化し、剥離した。固定したタンパク質を材料および方法で記載したGPBPで切片上でリン酸化し、オートラジオグラフィに供し(リン酸化)、続いて図18のようにブロッティングした(ウェスタン)。
【図20】 GPΔIIIのC末端領域によるGPBPの制御。約200ngのrGPBPを、150μMのATPを用い、Boc−(レーン2)またはFmoc−(レーン3)化学反応のいずれかを用いて合成したGPΔIII誘導ペプチド5ナノモルの存在下または不在下で(レーン1)、in vitroリン酸化した。反応混合物をSDS−PAGEに供し、PVDFに移し、オートラジオグラフィに供して自己リン酸化を評価し、続いて抗FLAGモノクローナル抗体(シグマ)を用いてブロッティングし、存在する組換え物質の量を決定した(ウェスタン)。
【配列表】
Claims (18)
- 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11および配列番号:25からなる群から選択される核酸に高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする、ヒトグッドパスチャー(GP)抗原のN末端領域に特異的に結合しセリン/スレオニンキナーゼ活性を持つタンパク質をコードする核酸を含む、単離された核酸。
- 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11および配列番号:25からなる群から選択される核酸を含む、単離された核酸。
- 配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10および配列番号:12からなる群から選択されるタンパク質と、少なくとも90%以上の同一性を持ち、ヒトGP抗原のN末端領域に特異的に結合しセリン/スレオニンキナーゼ活性を持つタンパク質を、コードする核酸を含む、単離された核酸。
- 配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10および配列番号:12からなる群から選択されるタンパク質をコードする核酸を含む、単離された核酸。
- 請求項1から4のいずれかに記載の単離された核酸を含む、組換え発現ベクター。
- 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11および配列番号:25からなる群から選択される単離された核酸を含む、組換え発現ベクター。
- 請求項5または6に記載の組換え発現ベクターでトランスフェクトした宿主細胞。
- 配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10および配列番号:12からなる群から選択されるポリペプチドと、少なくとも90%以上の同一性を持ち、ヒトGP抗原のN末端領域に特異的に結合しセリン/スレオニンキナーゼ活性を持つポリペプチドを含む、実質的に精製されたポリペプチド。
- 配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10および配列番号:12からなる群から選択されるポリペプチドを含む、実質的に精製されたポリペプチド。
- 請求項8または9のいずれかに記載の実質的に精製されたポリペプチドに選択的に結合する抗体。
- 抗体がポリクローナル抗体である請求項10に記載の抗体。
- 抗体がモノクローナル抗体である請求項10に記載の抗体。
- 配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10および配列番号:12からなる群から選択されるポリペプチドと、少なくとも90%以上の同一性を持ち、ヒトGP抗原のN末端領域に特異的に結合しセリン/スレオニンキナーゼ活性を持つタンパク質の存在を検出する方法であって;
a)スクリーニングするタンパク質サンプルを調製し;
b)スクリーニングするタンパク質サンプルを抗体−抗原複合体形成を促進する条件下で請求項10から12のいずれかの抗体と接触させること;および
c)抗体−抗原複合体の存在が、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10および配列番号:12からなる群から選択されるポリペプチドと、少なくとも90%以上の同一性を持つタンパク質の存在を示す、抗体−抗原複合体形成の検出;
からなる方法。 - 検出が、免疫局在化、免疫蛍光分析、ウェスタンブロット分析、ELISAおよび核酸発現ライブラリースクリーニングからなる群から選択される方法を含む、請求項13に記載の方法。
- 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11および配列番号:25からなる群から選択されるポリヌクレオチドに、高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする、ヒトGP抗原のN末端領域に特異的に結合しセリン/スレオニンキナーゼ活性を持つタンパク質をコードする核酸をサンプル中で検出する方法であって、サンプルを高ストリンジェンシー条件下で請求項1から4のいずれかに記載の単離された核酸と接触させること、および複合体形成を検出することからなり、ここで複合体形成は、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11および配列番号:25からなる群から選択されるポリヌクレオチドに、高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする核酸の、サンプル中の存在を示す方法。
- ハイブリダイゼーション、逆転写、PCR、逆転写を組み合わせたPCR、ノーザンブロッティング、サザンブロッティング、およびDNAライブラリースクリーニングからなる群から選択される方法により検出を実施する請求項15に記載の方法。
- 患者の自己免疫状態を検出する方法であって、
患者からの組織または体液サンプルを調製し;
自己免疫状態が存在しない対照組織または体液サンプルを調製し;および
対照サンプルと比較しての組織または体液サンプル中のGPBP RNAまたはタンパク質発現の変化の検出であって、ここで対照と相対するGPBP RNAまたはタンパク質発現の変化は自己免疫状態の存在を示し、またこのときGPBP RNAは、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9および配列番号:11からなる群から選択される核酸と少なくとも90%以上一致する、ヒトGP抗原のN末端領域に特異的に結合しセリン/スレオニンキナーゼ活性を持つタンパク質をコードする核酸から発現し、GPBP タンパク質は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10および配列番号:12からなる群から選択されるタンパク質と少なくとも90%以上一致しセリン/スレオニンキナーゼ活性を持つ;
ことを含む方法。 - 組織または体液サンプル中のアポトーシスまたは癌形質転換が行われている細胞を検出する方法であって、
患者からの組織または体液サンプルを調製し;
正常な対照組織または体液サンプルを調製し;および
対照サンプルと比較して組織または体液サンプル中のGPBP RNAまたはタンパク質発現の変化の検出であって、ここで対照と相対するGPBP RNAまたはタンパク質発現の変化がアポトーシスまたは癌形質転換が行われている細胞の存在を示し、このときGPBP RNAは、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9および配列番号:11からなる群から選択される核酸と少なくとも90%以上一致する、ヒトGP抗原のN末端領域に特異的に結合しセリン/スレオニンキナーゼ活性を持つタンパク質をコードする核酸から発現し、GPBP タンパク質は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10および配列番号:12からなる群から選択されるタンパク質と少なくとも90%以上一致しセリン/スレオニンキナーゼ活性を持つ;
ことを含む方法。
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