JP3761130B2 - 面発光レーザ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信や計測などで好適に用いられ、特に多チャンネル光通信システムに好適な面発光レーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像情報などの大量の情報を高速に伝送、処理する技術として、二次元集積光デバイスを用いた並列情報処理システムが盛んに研究されている。こうしたシステムにおいて、二次元配列が可能な面発光レーザ装置が特に重要である。
【0003】
図3は、従来の面発光レーザ装置の一例を示す構成図である。この面発光レーザ装置は、論文(IEEE PHOTONICS TECHNOLOGY LETTERS, vol.7 No.12, DECEMBER 1995 p1391 )に記載されており、GaAsから成る基板11の上に順次、クラッド層10、光導波層9、InGaAsから成る量子井戸層で構成された活性層8、光導波層7、クラッド層6、エッチングストップ層5、コンタクト層13が形成される。活性層8、光導波層7、9およびクラッド層6、10はグレーデッドインデックス型の分離閉じ込めヘテロ構造(SCH:seperate confinement heterostrucure)を構成している。コンタクト層13の上面および基板11の下面には、キャリア注入用の電極4、12が形成される。
【0004】
クラッド層6とコンタクト層13との間に形成されたエッチングストップ層5は、コンタクト層13をエッチングして水平な共振器端面2aを形成する工程において、クラッド層6以下の層のエッチングを防止する機能を果たす。残りの共振器端面2bは各層に対して垂直となるようにへき開等によって形成される。
【0005】
さらに水平な共振器端面2aと垂直な共振器端面2bとの間の共振器光軸に介在するように、傾斜端面3が形成される。傾斜端面3は水平光軸に対してたとえば45度で傾斜しており、光軸を曲げる反射ミラーとして機能する。
【0006】
こうした構成によって共振器端面2a、2bの間で共振したレーザ光は、共振器端面2aから外部に出力され、外部からは基板11の法線方向に発光ビーム1が得られる面発光レーザ装置として機能する。レーザ特性に関して、動作電流20mAにおいて、端面2bでエッジ出力8mW、端面2aで面出力5mWが得られており、閾値電流は6mAである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
通信用の光源では、高速動作だけでなく高出力動作も重要になる。レーザの出力を制限する要因として、熱飽和と端面劣化の問題がある。熱飽和とは、レーザ発振に伴って発生するジュール熱やその他の損失に起因して、素子温度が上昇し、これによって活性層の利得が低下して発振が維持できなくなる現象である。一方、端面劣化とは、レーザ光が出射する端面に不純物や結晶欠陥に起因する表面準位が生ずると、光吸収が起きてしまい、局所加熱による端面破壊が発生する非可逆現象である。
【0008】
図3に示したような断面三角形状の傾斜端面3を持つ面発光レーザ装置では、傾斜端面3から熱容量が大きい基板11への熱伝導が他の端面2bより困難となるため、傾斜端面3付近での熱飽和や端面劣化が生じ易い傾向がある。さらに、傾斜端面3は他の端面2a、2bと比べて加工時のダメージが生じ易く、端面劣化が起こり易い状況となっている。
【0009】
ここで加工時のダメージについて詳述する。斜端面を用いた面発光レーザにおいて、傾斜端面は鏡面状で、ミクロンオーダの平坦さが要求される。実際の傾斜端面には、活性層、導波層、クラッド層などレーザを構成する種々の層が存在しており、これらの層を一様に加工して鏡面を形成する必要がある。傾斜端面の加工方法として、イオンビームエッチングなどのドライエッチングが一般に使用されるが、傾斜端面に加工ダメージが生ずると、レーザ発振時に傾斜端面においてレーザ光の再吸収が起こり、いわゆるCOD(catastrophic optical damage)等の端面劣化の原因となる。
【0010】
この対策として、加工損傷を防止しつつ鏡面仕上げを目的としてウエットエッチング処理を採用することが考えられる。しかし、傾斜端面を構成する各層のエッチング特性は一般に異なるため、エッチング速度が大きい層と小さい層との間で段差が生じてしまい、良好な鏡面を得ることが困難になる。特に従来の面発光レーザでは、キャリア閉じ込めを維持するためにクラッド層のAl組成をあまり低く設定できないという事情がある。そのため高Al組成層はウエットエッチングによって酸化劣化を起こし易く、レーザの高出力化に対して大きな障害となっていた。さらにウエットエッチング工程では、高Al組成層と低Al組成層のエッチング特性の違いによって表面に凹凸が生じ易く、また鏡面の方位も定まらないため、良好な鏡面を形成するのが困難であった。
【0011】
またレーザ動作中において傾斜端面での熱飽和と端面劣化を回避するには、素子の電気抵抗および熱抵抗の低減化、光密度の抑制等が重要になる。
【0012】
図4(a)はSCH構造の典型例を示す構成図であり、図4(b)はその光強度分布を示すグラフである。横軸は層厚方向の位置であり、図4(a)の縦軸はAl組成およびIn組成、図4(b)の縦軸は光強度を示す。SCHレーザは、1対のクラッド層Cが導波層Gを挟む層構成を有し、導波層Gは図3の活性層8および光導波層7、9に対応し、クラッド層Cが図3のクラッド層6、10にそれぞれ対応する。
【0013】
図4(a)に示すように、クラッド層CがたとえばAl0.60Ga0.40Asで形成され、導波層Gでは活性層中心に向けてAl組成が連続的に減少し、活性層中心ではInGaAsから成る量子井戸層が存在する。AlGaAs系材料はAl組成が増加するにつれて禁制帯幅も増加する傾向があるため、禁制帯幅の分布も図4(a)のグラフにほぼ一致する。
【0014】
クラッド層Cは、主に光閉じ込めを担当するが、実際には禁制帯幅の高さによって量子井戸層からあふれるキャリアを閉じ込る機能も兼ねる。温度特性を良好に維持するには、活性層に存在するキャリアがクラッド層Cのポテンシャル障壁を充分に高いものと感じさせる必要がある。
【0015】
図5(a)(b)は、AlGaAs系材料の電気抵抗と熱抵抗を示すグラフである。横軸はAl組成を示す。図5(a)を見ると、Al組成が増加するほど電気抵抗も増加し、特に全体としてn型よりp型の方が高抵抗であるが、n型はAl組成が約0.3より大きくなると増加率が急峻であることが判る。なお、電気抵抗が大きいほど発熱量が増加する。また、図5(b)を見ると、熱抵抗はAl組成の2次関数で表現でき、Al組成が約0.5付近で極大となる上に凸の放物線形状であることが判る。
【0016】
したがって、SCH構造でキャリア閉じ込め機能を増強するために、高Al組成のクラッド層Cを採用することが考えられるが、Al組成の増加によって素子の電気抵抗や熱抵抗が大きくなり、素子の熱特性がかなり犠牲にならざるを得ない。
【0017】
さらに光強度に関して、図4(b)に示すように、クラッド層CのAl組成が大きくなるほど、導波層Gとの屈折率差が大きくなるため、狭い導波層Gに光分布が集中するようになる。その結果、光強度分布はピーク強度の高い指数関数型になり、ピーク付近での端面劣化が起こり易くなる。
【0018】
本発明の目的は、熱飽和や端面劣化を可及的に抑制し、高い光出力が得られる面発光レーザ装置を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、活性層と、
活性層の両面側に設けられ、該活性層の禁制帯幅以上の禁制帯幅を有する一対の光導波層と、
活性層および光導波層を挟むように設けられ、該光導波層の禁制帯幅以上の禁制帯幅を有する一対のクラッド層と、
活性層と少なくとも一方の光導波層との間に設けられ、該活性層および該光導波層の各禁制帯幅以上の禁制帯幅を有するキャリアブロック層と、
活性層に沿った光軸に対して斜めに交差するように形成され、活性層で発生した光を層厚方向に反射させるための傾斜端面とを備え、
クラッド層とキャリアブロック層とは、AlGaAs系半導体材料から成り、
クラッド層よりもキャリアブロック層のAl組成が高いことを特徴とする面発光レーザ装置である。
【0020】
本発明に従えば、活性層と光導波層との間に位置するキャリアブロック層が活性層へのキャリア閉じ込め機能を果たすようになる。そのため、クラッド層によるキャリア閉じ込め機能をあまり考慮せずに、クラッド層の組成や寸法を設計することが可能となる。したがって、素子の電気抵抗や熱抵抗を優先したクラッド層を採用でき、熱特性に優れ、光ピーク強度を抑えた高出力、高信頼性の面発光レーザを実現できる。
【0021】
また、基板側のクラッド層の熱抵抗を低減化することによって、傾斜端面付近で発生した熱が基板側に円滑に伝達されるため、傾斜端面での熱飽和や端面劣化を抑制できる。
【0022】
さらに、キャリアブロック層を設けることによりクラッド層の設計自由度が増すので、キャリアブロック層がない場合に比べてクラッド層と光導波層の組成比の差を小さくできる。クラッド層と光導波層が傾斜端面の多くを占めるが、両者の組成比の差が小さい分だけエッチングで形成される傾斜端面の傾斜が揃い、良好な反射特性が得られ、よってさらに出力の増大と発振効率の増大をもたらす。とくにこれらの層がAlGaAs系半導体材料で構成されるので、クラッド層と光導波層のA1の量自体を低減でき、その効果は大きい。
【0023】
また本発明は、キャリアブロック層が活性層と両方の光導波層との間にそれぞれ設けられることを特徴とする。
【0024】
本発明に従えば、キャリアブロック層を活性層と両方の光導波層との間にそれぞれ設けることによって、活性層へのキャリア閉じ込め機能をより効率的に発揮することができる。
【0025】
また本発明は、光導波層がGaAsで形成されていることを特徴とする。
本発明に従えば、AlGaAs系材料ではAl組成が増加するほど電気抵抗や熱抵抗も増加するため、光導波層のAl組成は低いほど好ましく、GaAsで形成するのがより好ましい。
【0026】
また本発明は、活性層がInGaAsで形成されていることを特徴とする。
本発明に従えば、活性層の禁制帯幅を小さくできるため、活性層に存在するキャリアに対するポテンシャル障壁を充分に高く設定でき、活性層へのキャリア閉じ込め効果を高めることができる。
【0027】
また本発明は、キャリアブロック層の層厚が5nm〜50nmの範囲であることを特徴とする。
【0028】
本発明に従えば、活性層に存在するキャリアがトンネル効果によって漏出しないように、キャリアブロック層はある程度厚みが必要になるが、あまり厚くするとキャリア注入効率や光の浸み出し効率が低下するため、50nm以下の層厚が好ましい。逆に、薄くし過ぎると、キャリアブロック層のバンドピークが緩和されるバンドベンディング現象やトンネル効果によるキャリア漏出が生じて、キャリアブロック機能が低下するため、5nm以上の層厚が好ましい。
【0029】
また本発明は、クラッド層がAl組成x≦0.3のAlxGa1-xAsで形成されていることを特徴とする。
【0030】
本発明に従えば、AlGaAs系材料ではAl組成が増加するほど電気抵抗や熱抵抗も増加するため、クラッド層のAl組成は低いほど好ましい。クラッド層をAl組成0.3以下のAlGaAsで形成するのがより好ましい。
【0031】
次に本発明の原理について説明する。図1(a)は本発明に係るレーザ装置の典型例を示す構成図であり、図1(b)はその光強度分布を示すグラフである。横軸は層厚方向の位置であり、図1(a)の縦軸はAl組成およびIn組成、図1(b)の縦軸は光強度を示す。このレーザ装置は、1対のクラッド層Cが導波層Gを挟む層構成を有し、導波層Gは中央の活性層Q、その両外側に隣接するキャリアブロック層Bおよびさらに両外側の光導波層を含む。
【0032】
電子およびホールから成るキャリアはクラッド層Cの外部から注入され、活性層Qで再結合して発光し、光共振器によってレーザ発振が起こる。キャリアが活性層Qにいったん入ると、キャリアブロック層Bのポテンシャル障壁によって活性層Q内に閉じ込められる。そのため、クラッド層Cはキャリア閉じ込めを担う必要が無く、キャリア導入や光分布制御、熱伝導制御などに専念できる。その結果、AlGaAs系でのAl組成を低く設定することによって、素子の電気抵抗や熱抵抗の低減化、光ピーク強度の抑制が図られる。
【0033】
一方、全体のAl組成が低減されているので、酸化劣化が抑制され、かつ平面性の良い鏡面が容易に得られる。特に、光導波層をGaAsで形成することが好ましく、これによって結晶方位を反映した原子レベルの鏡面が容易に得られる。
【0034】
GaAsは、ある種のエッチャントを使用した場合、結晶方位を反映した一定角度を有する良好な斜鏡面が形成可能である。一方、各層をAlGaAsで形成し、Al含有量の多い層はエッチング速度が異なるため、結晶方位に対応した異方性が層ごとに変化してエッチング面の方位が均一でなくなる。この結果、AlGaAs多層膜から成るレーザ素子にウエットエッチングを施すことによって面発光レーザを製造する場合は、傾斜端面は各層ごとに凹凸が生じてしまい、さらに面方位も各層ごとにばらつく傾向がある。
【0035】
また、キャリアブロック層Bはキャリア閉じ込めに必要な厚さで足りるため、光分布への影響を極力少なくできる。図1(b)に示すように、光強度分布の全体形状は一義的には導波層Gとクラッド層Cにのみに規定され、導波層Gを厚く設定することによって、光分布形状を従来の鋭いピークを持つ指数関数型から、なだらかなガウス型に近づけることが可能になり、全光量に対するピーク強度を格段に小さくできる。その結果、端面劣化の度合を大幅に改善できる。
【0036】
またキャリアブロック層のA1量は多いのでエッチングにより傾斜端面がその部分で傾斜が変わったり凹凸ができたりするが、厚さが薄いので光反射への影響は小さい。
【0037】
【発明の実施の形態】
図2は、本発明の実施の一形態を示す構成図である。面発光レーザ装置は、GaAsから成る基板65の上に順次、Al0.16Ga0.84Asから成るクラッド層64(厚さ2000nm)、GaAsから成る光導波層63(厚さ700nm)、Al0.30Ga0.70Asから成るキャリアブロック層62(厚さ30nm)、GaAsから成るサイドバリア層61(厚さ50nm)、InGaAsから成る量子井戸層で構成された活性層60(厚さ8nm)、GaAsから成るサイドバリア層59(厚さ50nm)、Al0.30Ga0.70Asから成るキャリアブロック層58(厚さ30nm)、GaAsから成る光導波層57(厚さ700nm)、Al0.16Ga0.84Asから成るクラッド層56(厚さ2000nm)、AlAsから成るエッチングストップ層55、GaAsから成るコンタクト層67(厚さ1000nm)がMOCVD(有機金属化学気相成長法)などを用いて形成される。活性層60から基板65までの各層をn型にすると、活性層60からコンタクト層67までの各層をp型とし、逆に前者をp型にすると後者はn型とする。コンタクト層67の上面および基板65の下面には、キャリア注入用の電極54、66が形成される。
【0038】
AlGaAs系材料はAl組成が増加するにつれて禁制帯幅も増加する傾向がある。本実施形態では、活性層60の禁制帯幅よりも光導波層57、63やサイドバリア層59、61の禁制帯幅の方が大きく、さらに光導波層57、63やサイドバリア層59、61よりもクラッド層56、64の各禁制帯幅の方が大きく、また光導波層57、63やサイドバリア層59、61よりもキャリアブロック層58、62の禁制帯幅の方が大きくなる。
【0039】
活性層60、サイドバリア層59、61、光導波層57、63およびクラッド層56、64は導波路を構成している。
【0040】
クラッド層56とコンタクト層67との間に形成されたエッチングストップ層55は、コンタクト層67をウエットエッチングを用いて水平な共振器端面52aを形成する工程において、クラッド層56以下の層のエッチングを防止する機能を果たす。残りの共振器端面52bは各層に対して垂直となるようにへき開等によって形成される。
【0041】
さらに水平な共振器端面52aと垂直な共振器端面52bとの間の共振器光軸に介在するように、傾斜端面53が異方性エッチングを用いて形成される。傾斜端面53は水平光軸に対してたとえば45度で傾斜しており、光軸を曲げる反射ミラーとして機能する。
【0042】
また、サイドバリア層59、61および光導波層57、63がGaAsで形成されているため、ウエットエッチングを用いることよって平面性に優れた傾斜端面53を容易に形成できる。レーザ光の出射端面となる共振器端面52aには反射率が10%の反射膜が、またもう一つの共振器端面52bには反射率が95%の反射膜が、そして傾斜端面には反射率が95%の反射膜が形成されている。
【0043】
次に動作を説明する。電極54と電極66の間にバイアス電圧を印加すると、電子やホールがキャリアとして活性層60に注入され、キャリア再結合によって光を輻射する。さらに、注入電流量を増加させていくと誘導放射が始まり、やがて光共振器を構成する端面52a、52bの間でレーザ発振が始まる。レーザ光は、活性層60の両側にある光導波層57、63やクラッド層56、64に浸み出して導波されるが、光導波層を厚くできるので導波モードは光の閉じ込めを担うクラッド層にむけて広げることができる。そのため全光量に対するピーク強度を格段に小さくでき端面劣化の度合いを大幅に改善できる。一方、活性層60内のキャリアは、キャリアブロック層58、62の存在によって活性層60内に閉じ込められるため、再結合効率が向上する。
【0044】
共振器端面52a、52bの間で共振したレーザ光は、共振器端面52aから外部に出力され、外部からは基板65の法線方向に発光ビーム51が得られる面発光レーザ装置として機能する。
【0045】
本実施形態では、キャリアブロック層58、62を設けたことによってクラッド層56、64のAl組成を0.16と大幅に低くできるため、全体の電気抵抗および熱抵抗が格段に小さくなる。また、キャリアブロック層58、62は光の分布にはほとんど影響を与えない程充分薄いので、光強度分布が広がって、図1(b)に示すようにピークの発生を解消でき、端面劣化を大幅に抑制できる。
【0047】
また、活性領域に関しても、InGaAs量子井戸層に限らず、他の材料、たとえばInGaAsP,GaNを用いた量子井戸層や、量子井戸でない通常のダブルヘテロ構造でも本発明は適用可能である。
【0048】
【発明の効果】
以上詳説したように本発明によれば、活性層と光導波層との間に位置するキャリアブロック層が活性層へのキャリア閉じ込め機能を果たすため、素子の電気抵抗や熱抵抗を優先したクラッド層を採用でき、熱特性に優れ、光ピーク強度を抑えた高出力、高信頼性の面発光レーザを実現できる。また、基板側のクラッド層の熱抵抗を低減化することによって、傾斜端面付近で発生した熱が基板側に円滑に伝達されるため、傾斜端面での熱飽和や端面劣化を抑制できる。
【0049】
さらに、キャリアブロック層を設けることによりクラッド層の設計自由度が増すので、キャリアブロック層がない場合に比べてクラッド層と光導波層の組成比の差を小さくできる。クラッド層と光導波層が傾斜端面の多くを占めるが、両者の組成比の差が小さい分だけエッチングで形成される傾斜端面の傾斜が揃い、良好な反射特性が得られ、よってさらに出力の増大と発振効率の増大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は本発明に係るレーザ装置の典型例を示す構成図であり、図1(b)はその光強度分布を示すグラフである。
【図2】本発明の実施の一形態を示す構成図である。
【図3】従来の面発光レーザ装置の一例を示す構成図である。
【図4】図4(a)はSCH構造の典型例を示す構成図であり、図4(b)はその光強度分布を示すグラフである。
【図5】AlGaAs系材料の電気抵抗と熱抵抗を示すグラフである。
【符号の説明】
51 発光ビーム
52a、52b 共振器端面
53 傾斜端面
55 エッチングストップ層
56、64 クラッド層
57、63 光導波層
59、61 サイドバリア層
58、62 キャリアブロック層
60 活性層
65 基板
67 コンタクト層
Claims (6)
- 活性層と、
活性層の両面側に設けられ、該活性層の禁制帯幅以上の禁制帯幅を有する一対の光導波層と、
活性層および光導波層を挟むように設けられ、該光導波層の禁制帯幅以上の禁制帯幅を有する一対のクラッド層と、
活性層と少なくとも一方の光導波層との間に設けられ、該活性層および該光導波層の各禁制帯幅以上の禁制帯幅を有するキャリアブロック層と、
活性層に沿った光軸に対して斜めに交差するように形成され、活性層で発生した光を層厚方向に反射させるための傾斜端面とを備え、
クラッド層とキャリアブロック層とは、AlGaAs系半導体材料から成り、
クラッド層よりもキャリアブロック層のAl組成が高いことを特徴とする面発光レーザ装置。 - キャリアブロック層が活性層と両方の光導波層との間にそれぞれ設けられることを特徴とする請求項1記載の面発光レーザ装置。
- 光導波層がGaAsで形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の面発光レーザ装置。
- 活性層がInGaAsで形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の面発光レーザ装置。
- キャリアブロック層の層厚が5nm〜50nmの範囲であることを特徴とする請求項1または2記載の面発光レーザ装置。
- クラッド層が、Al組成x≦0.3のAlxGa1-xAsで形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の面発光レーザ装置。
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