JP3760323B2 - 発光シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光シートに関するものである。発光とは、蓄光と蛍光を含めた概念として使用し、且つ蓄光とは、太陽光や蛍光灯などの光の刺激を受けて、刺激停止後も光を徐々に放出しながらある時間光続け、これを永く反復する性質をいい、蛍光とは光(自然光や紫外線等)の刺激を受けて光る(反射光以外の光)もので、その刺激を停止すると一般的には光らないものを言う。
【0002】
【従来の技術】
従来から、建築物、舗道、塀、内壁、天井、床等の外表面に貼着して、その美観を高めるとともに、防水性や耐候性を持たせる化粧板が存在する。これは、いわゆる乾式と呼ばれるもので、現場で前記した表面に貼付するだけでよく施工が非常に簡単である。
【0003】
またこれとは別に、情報表示板として種々のものがある。例えば、道路標識、案内板、広告宣伝看板、目印等である。これらのものは、当然塗料で情報が記載されているもので、それによって見る者は種々の情報を得ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
建築物統の外壁は、前記した如く美観を高めるため彩色を施し、模様や絵柄を描くことが行なわれ、また情報を表示するため文字や記号が描かれることがある。しかし、このようなものはすべて光がないと見えない。即ち、夜は見えないのである。高速道路の塀や橋脚統に模様を描いても、夜になると見えないか、又は見えても本来の美しさはない。
【0005】
このため、その部分に光を照射しなければならず、その設備費、ランニングコストが掛かることとなる。
【0006】
また、夜光塗料で模様等を記載して、夜に発光するものもある。これは、比較的簡単で細かい表示も可能であるが、耐候性がなく長期間の使用に耐えるものはなかった。よって、頻繁に交換又は再塗布する必要があったため、その手間や費用が嵩む。このことは前記した情報表示板にとっても同様である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の現状に鑑み本発明者は、鋭意研究の結果本発明発光シートを完成させたものであり、その特徴とするところは、粘着力を有するシート上に、粒状の発光石を該シートの接着力を利用して、該シートの一部又は全部に隙間なく付着させその上から合成樹脂コートをした点にある。
【0008】
ここで、粘着力を有するシートとは、半永久的に粘着力を有するゴム状物質やプラスチックシートに粘着剤を塗布したものをいう。半永久的に粘着力を有するゴム状物質とは、例えば、市販されている非加硫ブチルゴムシート等が代表的なものである。これには、中間に網や糸を挟持して引張強度を高めたものも市販されているが、このようなものが好適である。勿論これに限定するものではなく、このような性質を有するゴムであればよい。ゴムシートの厚さは、特に限定するものではないが、0.5 〜3.0 mm程度が好適である。
【0009】
プラスチックシートに粘着剤を塗布したものでも同様に可能である。感圧系接着剤を塗布すれば上記ブチルシートのような粘着力を有することとなる。
この粘着力は、自然石や発光石をシート上に並列させて且つ、余分なものを欠落させる時に、必要な石が欠落しない程度に付着するだけの固着力があればよく、樹脂が硬化する如く完全に石を固着、固定する必要はない。この点も本発明の特徴の1つであり、粒状体をある程度平滑に付着させるために発明者が発案したものである。
【0010】
このシートの粘着力は、粒状体を付着させる側のみに存在してもよいが、即ち裏面には粘着性がなくてもよいが、建築物等に貼着する場合の便利性を考慮すると、裏面にも粘着性があった方が好ましい。ブチルゴムシート等は裏面も粘着性を有するので問題はない。裏面に粘着性を有しない場合には、シートを建築物等に貼着する場合には、接着剤が必要となるが、これは通常のものでよい。また、裏面に粘着力を有する場合には、取り扱い上、剥離紙を裏面に貼着しておくことが好適である。
【0011】
発光石とは、前記した蓄光性を有するものであればよく、天然の石に限らず、人工的に製造したものでもよい。例えば、プラスチックに蓄光性を有する粉体を練り込んだもの等でもよい。ここでいう発光石は粒状体にしたもので、その大きさや形状は限定するものではないが、粒状で 2〜10mmの径が好ましい。しかし、偏平なものでも可能である。天然のものは、種々の色 (自然時又は発光時) があり、その混合物や単一色で揃える等どのようなものでもよい。後述する型紙を使用して、特定の部分のみを、特定の色の石を用いて模様を現出させてもよい。
【0012】
隙間なく付着させるとは、シート上にシートが露出した部分がなくという意味であるが、理論的には全く露出部分がないということは不可能であるため「ほぼ全域に」という程度の意味である。ほぼ全域にとは、例えば目地程度の隙間を除いてすべてという意味である。また、全範囲が発光石でなく、部分的に同程度のサイズの天然又は人工の粒状体でもよい。
【0013】
合成樹脂コートとは、熱可塑性樹脂等を溶剤等で溶解又は乳化、分散させて、それを噴霧したり塗布したりして天然石の上部から覆い、乾燥固化させることをいう。コート(コーティング)用の合成樹脂は、放置しても乾燥固化するが、乾燥機によって強制乾燥させてもよい。また、反応硬化性の樹脂をコーティング用に用いてもよい。合成樹脂の例としては、アクリル系、エポキシ系の樹脂が好適である。この合成樹脂は、色彩を見せるために、通常は透明であるが、顔料を混合して、有色としてもよい。特に一部を有色として模様を表現すると、また別の美観を発揮することとなる。
【0014】
尚、合成樹脂コートは、工場で施すのであるが場合によっては、現場で施工してもよい。即ち、合成樹脂コートを施していない発光シートを現場で建築物等に敷設し、その上から合成樹脂を塗布又は噴霧等してコートするのである。この方法の長所としては、発光シートを敷設した後に表面にコートするため、目地部分の防水や接着が容易であるという点がある。また、合成樹脂コートする前の状態であれば、発光シート自体を長尺状でローラー巻き保管できるという利点もある。このため、長尺状で施工できるため、施工手間が省けるという意味もある。
【0015】
この発光シートは、粘着力を有する合成ゴムシート等の粘着力(又は別個の接着剤)により、建築物の壁面等に簡単に貼着でき、且つ特にブチルゴムシートを使用した場合には、接着力が強く粘着性に永続性があるため、永年の使用に耐えるものである。また、防水性は合成ゴムやプラスチックシートであるため当然ながらほぼ完全でありかつ長く弾性を保持するため、コンクリート等のクラックや伸縮に追従するため、この発光シート自体にクラックが生じて防水が切れる等ということはない。
【0016】
発光シートのサイズは、自由であるが取り扱いの容易性等から、1m×2m程度が好適である。勿論、大きさ自体は本発明に直接関係がなく、用途や使用場所等に応じて適宜決定すればよい。この発光シートを大きな壁面に貼着する場合には、その接合部分が問題となる。しかし、ゴムシートの粒状体を一部の端部の所定幅のみ付着させず、残存させて、その部分に隣接するシートを重ね合わせると密着して、防水が切れることもない。勿論、接合部を目地として他の接合材(アクリルエマルジョン等の合成樹脂系又はモルタル等の無機系の接合材)を用いて充填してもよい。
【0017】
また、シート自体に厚みがあれば、そのまま接当するだけでも、粘着力により密着して防水を保つ場合もある。
【0018】
次に本発明発光シートの製造方法について述べる。
例えば、粘着力を有するシート上を連続的又は間欠的に移動させ、その上方から発光石を載置し、該シートを上方に傾けて移動させることによって、シートに直接付着していない発光石がほぼなくなった状態で押圧ロール間を通過せしめ、その後合成樹脂を液状で噴霧し、乾燥せしめ、所定の寸法に裁断する方法でもよい。
また、上記の方法において、発光石を粘着力を有するシート上に載置するに際して、該シート上に種々の模様に打ち抜いた型紙を載置し、所定の部分にのみ発光石を付着せしめ、その後該型紙を除去した後、残余の部分に異なった色又は異なった発色をする発光石を付着せしめる方法も好適である。
更に、この方法において、型紙を複数用いて、異なった色の発光石の付着を複数回行なってもよい。
連続的又は間欠的とは、粘着力を有するシートの送り方であって、連続的に進行させるか、間欠的に進行させるかを意味している。
【0019】
型紙の使用方法は次の通りである。
粘着力を有するシート上に、裏面に剥離処理を施した(剥離が容易なものは必要がない)型紙を貼着し、その上から粒状体(発光石又はその他の粒状体)を載置して、余分な石を除去した後、型紙を除去して、再度色(又は発光)の異なる石を型紙が貼着されていた区域に付着せしめ、模様を現出させるものである。さらに、型紙を複数枚貼着して順次上記の作業を行なうと、多色の模様が表現できるものである。型紙の材質は、紙、プラスチックシート等どのようなものでもよい。また、型紙の形状は、現出しようとする模様によって自由に、打抜き等によって形成すればよい。
【0020】
コーティング用合成樹脂の噴霧と、所定寸法のカット(裁断)とは、どちらが先でもよい。即ちコーティングの後にカットしても、カットした後にコーティングしてもよいということである。
【0021】
本発明発光シートの使用法としては、単に貼付しておくだけで、夜間でも光続け模様や色を見えるようにしてもよいし、また紫外線により自然光下とは異なる色を出すものでは、発光シートに照射できる紫外線ランプを付近に設けておいてもよい。また、紫外線により蛍光して自然光下とは異なる発光をするものでは、昼間と夜間とで異なる模様を現出することもできる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明発光シート1の1例を示す斜視図である。ブチルゴムシート2上に発光石3が隙間なく付着している。図2は、図1の部分拡大断面図である。表面にコーティング用の透明合成樹脂4が塗布されている。また、裏面には剥離紙5が貼付されている。
【0023】
図3は、製造方法を示す概略工程図である。左側から送られくるブチルシート2上に発光石3をフィーダー6から自然落下により多数載置していく。そして、該ブチルシート2を傾けて進行させ、押圧ローラ7に導く。この時、重力によりブチルシート2に付着していない石3は下方に落下していく。該押圧ローラ7により、押圧されて密着を確実にしほぼ平滑にする。そして、その後合成樹脂4を塗布して、乾燥機8により乾燥させ、カッター9により切断する。
【0024】
図4は、型紙10を使用して模様を現出する場合の概略工程図である。ここでは、2色の発光石を用いた例を示すが、より多色でも発光しない粒状体をも使用してもよい。まずブチルシート2に型紙10を貼着したものを進行させ図3に示す場合と同様の方法で発光石3を落下させシート上に載置する。この場合には、発光石はその発光色を選択して1色のみの発光石11である。この時、型紙が貼着されている部分には石11が付着せず、型紙10のない部分と、型紙10の打抜かれた部分にのみ発光石11が付着する。
【0025】
そして、図3と同様に上方に移動させ、付着していない石11を落下させて押圧ローラ7により押圧する。そして、型紙10を剥離して、再度色の異なる発光石12を載置する。この場合にはすでに石11が付着している部分には、付着せず型紙10が貼られていた部分にのみ石12が付着することとなる。そして、再度上方に移動させて過剰の石12を落下させて、その後押圧ロール7により押圧する。そして、同様に樹脂を噴霧し、乾燥させて、カットする。
【0026】
この場合に、型紙が矢印形状に打ち抜いたものであれば、図5のような模様の発光シートが製造できることとなる。
【0027】
【発明の効果】
本発明発光シートには、次のような大きな利点がある。
(1) 発光シートを舗道や建築物に貼付するだけで、簡単に仕上処理ができる。即ち、仕上処理の工程の著しい工期短縮になる。
(2) 外観が非常に美しく、夜間でも発光する美しい外観が得られる。
(3) 防水が確実であり、クラックが生じたり、剥離することがない。
(4) 合成樹脂コートを現場で施工するものでは、目地部の接着や防水が容易である。また、長尺状で施工できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明発光シートの1例を示す部分斜視図である。
【図2】 図1の部分拡大断面図である。
【図3】 本発明発光シートの製造方法の1例を示す概略工程図である。
【図4】 本発明発光シートの製造方法の他の例を示す概略工程図である。
【図5】 図4の方法で製造した発光シートの斜視図である。
【符号の説明】
1 発光シート
2 ブチルゴムシート
3 発光石
4 合成樹脂コート
5 剥離紙
6 フィーダー
7 押圧ローラ
8 乾燥機
9 カッター
10 型紙
11 発光石
12 発光色の異なる発光石
Claims (2)
- 粘着力を有するシート上に、粒状の発光石を該シートの接着力を利用して、該シートの一部又は全部に隙間なく付着させその上から合成樹脂コートをしたことを特徴とする発光シート。
- 発光石以外に、発光しない粒状物も付着させたものである請求項1記載の発光シート。
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