JP3760214B2 - 熱硬化性塗装用組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規にして有用なる、熱硬化性塗装用組成物に関する。さらに詳細には、本発明は、それぞれ、カルボキシル基および水酸基を含有する樹脂を、必須のベース樹脂成分として含有するという一方で、さらに、エポキシ基・シロキシ基併有ビニル系重合体と、ブロック・イソシアネート基含有化合物と、硬化促進触媒とを、必須の成分として含有することから成るか、
【0002】
あるいはカルボキシル基および水酸基を含有する樹脂を、必須のベース樹脂成分として含有し、さらに、エポキシ基・シロキシ基併有ビニル系重合体と、ブロック・イソシアネート基含有化合物と、硬化促進触媒と、着色顔料とを、必須の成分として含有することから成る、とりわけ、保存安定性ならびに低温硬化性にも優れるし、しかも、とりわけ、耐酸性などに優れた塗膜を与えるという、極めて実用性の高い熱硬化性塗装用組成物に関する。
【0003】
そして、このような、本発明に係る熱硬化性塗装用組成物は、特に、1コート1ベーク用ソリッド・カラー塗料などに適した、就中、自動車上塗り用の塗料として、極めて有用なる、熱硬化性の塗装用樹脂組成物に関する。
【0004】
【従来の技術】
これまでにも、ソリッド・カラー塗料、就中、1コート1ベーク用のソリッド・カラー塗料としては、アルキド樹脂/メラミン樹脂(アルキド・メラミン)系のものが用いられて来た。
【0005】
ところで、こうしたアルキド・メラミン系などの、いわゆるメラミン樹脂硬化剤系塗料は、その塗膜が、とりわけ、光沢、耐候性ならびに耐擦傷性などのような諸物性に優れるというものである処から、自動車トップコート塗料に重用されている。
【0006】
ところが、近年、重要になって来ている酸性雨に対しては、シミが発生し易いなどの問題が、クローズ・アップされるようになった。これは、そもそも、酸に弱いメラミン樹脂を、硬化剤成分として用いているからに、ほかならない。
【0007】
そのために、メラミン樹脂硬化剤系塗料に代わるべき塗料についての検討もまた、急ピッチで以て試されてはいるものの、低温硬化性や、相溶性ならびにリコート性などの、新たなる未解決課題に突き当たっているというのが現状である。
【0008】
そこで、過渡的な手段の一つとして、此のメラミン樹脂を減量したり、ブロック・イソシアネート基のように、既存の硬化剤を組み合わせて対応しようとしているけれども、充分なる耐酸性と、貯蔵安定性と、低温硬化性とを有するようなものは、現在の処、得られていないというのが実状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、上述した如き従来型技術に従う限りは、少なくとも、耐酸性と、低温硬化性と、貯蔵安定性との、都合、三つの性能ないしは物性を、同時に満足させ得るような、たとえば、自動車上塗り用などの塗装用樹脂組成物を得ることは、頗る、困難であるというのが、実状である。
【0010】
そのために、本発明者らは、低温硬化性ならびに貯蔵安定性などの諸性能を保持しつつ、とりわけ、耐酸性などの、いわば、特異なる性能をも確保し得るというような、極めて実用性の高い、就中、自動車上塗り用などの塗装用組成物を求めて、鋭意、研究に着手した。
【0011】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、一にかかって、とりわけ、低温硬化性、貯蔵安定性ならびに耐酸性などの諸性能に優れるという、斬新なる熱硬化性の塗装用組成物を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、上述したような発明が解決しようとする課題に照準を合わせて、鋭意、検討を重ねた結果、カルボキシル基および水酸基という特定の極性官能基を有する樹脂を、必須のベース樹脂成分として含有するという一方で、
【0013】
さらに、エポキシ基およびシロキシ基を併有するビニル系重合体と、ブロック・イソシアネート基含有化合物と、硬化促進触媒とを、必須の成分として含有することから成る組成物が、
【0014】
低温硬化性や貯蔵安定性などは、もとよりのこと、併せて、とりわけ、耐酸性などにも優れるという、極めて実用的価値の大なるものであるということを見出すに及んで、ここに、本発明を完成させるに到った。
【0015】
すなわち、本発明は、基本的には、それぞれ、必須の成分として、カルボキシル基および水酸基を含有する樹脂と、エポキシ基とシロキシ基とを併せ有する、特定のビニル系重合体と、ブロック・イソシアネート基含有化合物と、硬化促進触媒とを含有することから成る、熱硬化性塗装用組成物を提供しようとするものであるし、
【0016】
さらには、必須の成分として、カルボキシル基および水酸基を含有する樹脂と、エポキシ基とシロキシ基とを併せ有する、特定のビニル系重合体と、ブロック・イソシアネート基含有化合物と、硬化促進触媒と、着色顔料とを含有することから成る、熱硬化性塗装用組成物を提供しようとするものであり、
【0017】
とりわけ、いわゆる1コート1ベーク・ソリッド・カラー用などに、特に適した形の熱硬化性塗装用組成物を提供しようとするものである。
【0018】
つまり、本発明は、まず、被塗物基材上に、着色顔料を含んで成る、1コート1ベーク・ソリッド・カラー用などとして用いるのに適した、とりわけ、塗膜の光沢、耐候性ならびに耐酸性などの諸性能が、悉く、優れていて、しかも、貯蔵安定性と低温硬化性とを両立せしめ得た、いわゆる作業性にも優れるという、バランスの良くとれた、極めて実用性の高い、熱硬化性塗装用組成物を提供しようとするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
本願が請求しているのは、30〜170mgKOH/gなる酸価を有し、しかも、5〜50mgKOH/gなる水酸基価を有するカルボキシル基および水酸基含有樹脂(A)〔以下、カルボキシル基含有樹脂(A)と略記する。〕と、一分子中に少なくとも1個のエポキシ基と一般式[I]
【0020】
【化3】
Figure 0003760214
【0021】
(ただし、式中のR1 およびR2 は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい、C1 〜C16なるアルキル基、フェニル基、アリール基、あるいは水素原子、塩素原子またはフッ素原子を表すものとし、R3 はC1 〜C16なるアルキル基あるいはフェニル基またはアリール基を表すものとする。)
【0022】
で示されるシロキシ基とを併せ有するビニル共重合体(B)と、ブロック・イソシアネート基含有化合物(C)と、硬化促進触媒(D)とを含有することから成る、熱硬化性塗装用組成物についての発明であるし、
【0023】
カルボキシル基含有樹脂(A)と、一分子中に少なくとも1個のエポキシ基と上掲した一般式[I]で示されるシロキシ基とを併せ有するビニル共重合体(B)と、ブロック・イソシアネート基含有化合物(C)と、硬化促進触媒(D)と、さらに、着色顔料とを含有することから成る、熱硬化性塗装用組成物についての発明でもあるし、
【0024】
このほかにも、本発明は、それぞれ、上記したカルボキシル基含有樹脂(A)として、特に、50〜150mgKOH/gなる酸価を有し、しかも、10〜40mgKOH/gなる水酸基価を有するものを用いるという、特定の熱硬化性塗装用組成物についての発明をも請求しているし、
【0025】
上記したカルボキシル基含有樹脂(A)として、ポリエステル樹脂を用いるという、特定の熱硬化性塗装用組成物についての発明をも請求しているし、
【0026】
上記したカルボキシル基含有樹脂(A)として、アクリル樹脂を用いるという、特定の熱硬化性塗装用組成物についての発明をも請求しているし、
【0027】
さらに、本発明は、上述したような種々の熱硬化性塗装用組成物を、1コート1ベーク用のソリッド・カラー塗料として用いるという形の、熱硬化性塗装用組成物をも請求しているというものでる。
【0028】
《構成》
【0029】
以下に、本発明について、詳細に説明をすることにする。
【0030】
はじめに、上述したような種々の塗装方式によって、たとえば、自動車の車体を塗装せしめる場合には、被塗物基材に対して、直に、塗装せしめるというようなことは、殆んどなく、通常、被塗物基材の化成被膜処理、電着塗装および/または中塗り塗装といった、幾つかの工程を経由するというわけであるが、ここまでは、従来どおりの方法が、そのまま、適用できることは、言うまでもない。
【0031】
そしてまた、1コート1ベーク塗装におけるソリッド・カラー塗料としては、後述するような各種の着色顔料を用いることが出来るのは、言うまでもない。
【0032】
ここにおいて、本発明に係る熱硬化性塗装用組成物を構成する必須成分の一つである、前記したカルボキシル基含有樹脂(A)を調製するに当たって、そのうちでも、カルボキシル基および水酸基含有ポリエステル樹脂(カルボキシル基含有ポリエステル樹脂と略記する。)を調製するに当たって用いられる酸成分としては、塗膜の、とりわけ、耐侯性などを考慮して、分子中にシクロヘキサン環を有する、いわゆる脂環式カルボン酸類を用いることが望ましく、こうした脂環式カルボン酸類として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0033】
1,1−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロ(無水)カルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸またはメチルシクロヘキサヒドロ(無水)フタル酸などであり、
【0034】
さらに必要に応じて、4−tert−ブチルシクロヘキサンモノカルボン酸、ヘキサヒドロ安息香酸または水添トリメリット酸の如き、各種のシクロヘキサン系モノ−ないしはポリカルボン酸類なども、さらには、これらのメチルエステルもまた、使用することが出来る。
【0035】
その他の酸成分としては、(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、tert−ブチル安息香酸またはp−メチル安息香酸、あるいは(無水)トリメリット酸などの、各種の芳香族カルボン酸類なども用いられるし、さらには、
【0036】
アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テトラヒドロ(無水)フタル酸、テトラクロル(無水)フタル酸、(無水)ヘット酸、「(無水)ハイミック酸」[此の「ハイミック酸」は、日立化成工業(株)の登録商標である。]、(無水)マレイン酸、フマル酸またはイタコン酸なども用いられる。
【0037】
これら上述した酸成分と共に用いられる、多価アルコール成分として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、
【0038】
ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールまたはソルビトールなどである。
【0039】
当該カルボキシル基含有樹脂(A)の1種としての、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂を調製するに当たっての、酸成分の一部として、油長が30%未満となるような範囲内において、油成分をも使用することが出来るが、塗膜の、とりわけ、耐侯性などの面からは、やし油、水添やし油、「バーサティック酸」〔オランダ国シェル社製の、分岐状(分枝状)脂肪族モノカルボン酸の商品名〕、オクテン酸(オクトエ酸)またはイソノナン酸などの使用が望ましく、
【0040】
さらに必要ならば、米糠油脂肪酸、トール油脂肪酸、大豆油、ひまし油または脱水ひまし油などをも、適宜、使用することが出来る。
【0041】
また、本発明に係る熱硬化性塗装用組成物を構成する必須成分の一つである、前記したカルボキシル基含有樹脂(A)、そのうちでも、カルボキシル基および水酸基含有アクリル樹脂(以下、カルボキシル基含有アクリル樹脂と略記する。)を調製するに当たって用いられる酸成分として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0042】
(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸もしくはイタコン酸の如き、各種のα,β−エチレン性不飽和モノ−ないしはジカルボン酸類などをはじめ、マレイン酸、フマル酸もしくはイタコン酸の如き、各種のα,β−エチレン性不飽和二塩基酸と、炭素数が1〜4なる1価アルコールとの種々のハーフエステル化物;
【0043】
または2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート〔β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート〕の如き、各種の水酸基含有ビニル単量体類と、無水フタル酸の如き、各種の酸無水物類とを付加せしめることによって得られる、種々の化合物などである。
【0044】
次いで、これら各種のカルボキシル基含有ビニル単量体と共重合可能なる其の他の単量体類として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、炭素数が1〜22なるアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート類をはじめとする、2−エトキシエチル(メタ)アクリレートもしくはシクロヘキシル(メタ)アクリレートの如き、反応性極性基不含の各種の(メタ)アクリレート類;
【0045】
スチレン、tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレンもしくはビニルトルエンの如き、各種の芳香族ビニル単量体類;(メタ)アクリルアミドもしくはN−アルコキシメチル化(メタ)アクリルアミドの如き、各種の(メタ)アクリルアミド類;
【0046】
あるいはテトラフルオロエチレンもしくはヘキサフルオロプロピレンの如き、各種の含フッ素ビニル単量体などをはじめ、(メタ)アクリロニトリルに代表される、各種のシアノ基含有ビニル単量体類;酢酸ビニルに代表される、各種のビニルエステル類;または各種の燐酸基含有(メタ)アクリレート類などである。
【0047】
さらに、水酸基を有する不飽和基含有単量体類を用いることが出来るが、該水酸基含有単量体類として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートもしくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートの如き、各種のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;
【0048】
2−ヒドロキシエチルビニルエーテルもしくは4−ヒドロキシアルキルビニルエーテルの如き、各種のヒドロキシアルキルビニルエーテル類;またはアリルアルコールもしくはヒドロシキエチルアリルエーテルの如き、各種のアリル化合物;
【0049】
あるいは「プラクセルFMもしくはFAモノマー」[ダイセル化学(株)製の、カプロラクトン付加モノマー類]などであり、さらには、上掲した如き、各種の不飽和基含有単量体に対して、ε−カプロラクトンを付加反応せしめることによって得られるような化合物などである。
【0050】
上掲された如き、各種の単量体類を用いて、当該化合物(A)を調製するには、溶液重合法や非水分散重合法などのような、公知慣用のいずれの重合法をも適用し得るが、溶液ラジカル重合法によるのが、最も簡便である。
【0051】
ここにおいて、此の溶液ラジカル重合法を駆使するに際して用いられる溶剤類として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサンもしくはオクタンの如き、各種の炭化水素系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチルもしくは酢酸アミルの如き、各種のエステル系溶剤;またはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンもしくはシクロヘキサノンの如き、各種のケトン系溶剤などであり、これらは単独使用でも2種以上の併用でもよい。
【0052】
また、ラジカル重合開始剤として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アゾビスイソブチロニトリルで代表されるアゾ系;またはベンゾイルパーオキサイドで代表される過酸化物系などを代表とする、公知慣用の種々の化合物などである。
【0053】
かくして得られる、当該カルボキシル基含有ポリエステル樹脂ならびにカルボキシル基含有アクリル樹脂の酸価としては、30〜170mgKOH/gなる範囲内が必須であるし、好ましくは、50〜150mgKOH/gなる範囲内である。
【0054】
30mgKOH/g(以下、この単位は省略することがある。)未満の場合には、どうしても、とりわけ、耐スリ傷性(耐擦傷性)などが良好なる塗膜が得られ難くなるし、一方、170を超えて余りにも高くなる場合には、どうしても、塗料粘度が高くなり易いし、ひいては、作業性などが劣る処となるし、加えて、塗膜の外観ならびに塗料の安定性などを損ねるようにもなるので、いずれの場合も好ましくない。
【0055】
また、上述したような酸価を保持しながら、さらに、水酸基の濃度としては、つまり、いわゆる水酸基価としては、5〜50mgKOH/gなる範囲内が必須であり、好ましくは、10〜40mgKOH/gなる範囲内である。
【0056】
硬化性にとっては、高い方が望ましいけれども、本発明における最も期待すべき効果の一つである、塗膜の、とりわけ、耐酸性などの低下が著しく、5未満の場合には、どうしても、充分なる硬化性を有するようなものを得ることが難しくなるし、一方、50を超えて、余りにも高くなる場合には、どうしても、貯蔵安定性が悪くなって来るので、いずれの場合も好ましくない。
【0057】
また、当該カルボキシル基含有樹脂(A)、就中、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂またはカルボキシル基含有アクリル樹脂の数平均分子量としては、1,000〜8,000なる範囲内が適切である。1,000未満の場合には、どうしても、耐スリキズ性(耐擦傷性)や硬度などが出にくくなり易いし、一方、8,000を超えて余りにも高くなる場合には、どうしても、貯蔵安定性を落とすなどの弊害が出易くなるので、いずれの場合も好ましくない。
【0058】
他方、本発明に係る熱硬化性塗装用組成物の必須成分の一つである、前記したエポキシ基とシロキシ基とを併有するビニル系重合体(B)とは、実質的に、一分子中に2個以上のエポキシ基(グリシジル基をも含む。)と、一分子中に1個以上のシロキシ基とを併有するという形のビニル系重合体を指称するものであるから、勿論、かかる定義に従うものである限り、すべて使用できるということであるが、
【0059】
こうしたエポキシ基・シロキシ基併有ビニル系重合体(B)としては、側鎖にエポキシ基を有するエポキシ基含有ビニル単量体類と、シロキシ基を有するビニル単量体類と、さらに、これらの各単量体類と共重合可能なる其の他の単量体との共重合体が、特に代表的なものである。
【0060】
かかるエポキシ基含有ビニル単量体類として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、それぞれ、次に示すような一般式群
【0061】
【化4】
Figure 0003760214
【0062】
【化5】
Figure 0003760214
【0063】
【化6】
Figure 0003760214
【0064】
または
【0065】
【化7】
Figure 0003760214
【0066】
(ただし、各式中のR4 は−Hまたは−CH3 を、R5 は炭素数が1〜6なる、2価の脂肪族炭化水素基を表わすものとする。)
【0067】
で示されるような、いわゆる脂環式エポキシ基含有ビニル単量体類、あるいは次のような一般式
【0068】
【化8】
Figure 0003760214
【0069】
(ただし、式中のR4 およびR5 は、前出の通りであるものとする。)
【0070】
で以て示される、いわゆる脂肪族エポキシ基含有ビニル単量体類などである。
【0071】
ここにおいて、上記した炭素数が1〜6なる、2価の脂肪族飽和炭化水素基(R5 )として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、直鎖状ないしは分岐状(分枝状)のアルキレン基などであり、
【0072】
それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、メチレン−、エチレン−、プロピレン−、テトラメチレン−、エチルエチレン−、ペンタメチレン−またはヘキサメチレン基などである。
【0073】
そして、具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート、(β−メチル)グリシジル(メタ)アクリレートまたは(メタ)アリルグリシジルエーテルなどが、主として、用いられるものである。
【0074】
エポキシ官能基の使用量としては、エポキシ価で以て、約50〜約250なる範囲内が適切であるし、好ましくは、80〜200なる範囲内が適切であり、約50未満の場合には、どうしても、充分なる硬化性を有するものが得難くなるために、とりわけ、耐酸性ならびに耐溶剤性剤性などが、極端に低下する処となり易く、
【0075】
一方、約250を超えて余りにも大きくなる場合には、どうしても、残存するエポキシ基も多くなる処となって、充分なる耐酸性ならびに耐候性などを有するものが得られ難くなるので、いずれの場合も好ましくない。
【0076】
次いで、当該ビニル系重合体、すなわち、エポキシ基とシロキシ基併有ビニル系重合体(B)を得るために使用される、当のシロキシ基含有ビニル系単量体とは、一般式[I]
【0077】
【化9】
Figure 0003760214
【0078】
(ただし、式中のR1 およびR2 は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい、C1 〜C16なるアルキル基、フェニル基、アリール基、あるいは水素原子、塩素原子またはフッ素原子を表すものとし、R3 はC1 〜C16なるアルキル基あるいはフェニル基またはアリール基を表すものとする。)
【0079】
で示される炭素原子と結合するシロキシ基を有するビニル系単量体であり、たとえば、トリエチルアミンやピリジンなどの、いわゆる塩素補足剤の存在下で、トリアルキルクロルシラン、トリフェニルクロルシラン、トリアリールクロルシラン、ジアルキルクロルシラン、ジアルキルジクロルシランまたはジアルキルヒドロシランなどを、後掲するような各種の水酸基含有ビニル系モノマーと反応させて得られるような化合物を指称するものであり、
【0080】
それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、トリメチルシロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチルシロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシロキシブチル(メタ)アクリレート、トリエチルシロキシエチル(メタ)アクリレート、トリブチルシロキシプロピル(メタ)アクリレートまたはトリフェニルシロキシアルキル(メタ)アクリレートなどであり、これらは単独使用でも、2種以上の併用でもよい。
【0081】
また、上記した水酸基含有ビニル単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートもしくはβ−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートの如きヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類またはN−メチロール化(メタ)アクリルアミド;β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートに、ε−カプロラクトンを付加させた形の、たとえば、「プラクセルFMもしくはFAシリーズ」[ダイセル化学工業(株)製品]や、
【0082】
一般名がポリエチレングリコールモノメタクリレートなる「ブレンマー PEシリーズ」[いずれも、日本油脂(株)製品];あるいは(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸もしくはイタコン酸の如き、各種の不飽和カルボン酸類と、「カージュラ E」、オクチル酸グリシジルエステルもしくは、やし油脂肪酸グリシジルエステルの如き、1価カルボン酸の各種のモノグリシジルエステル類またはブチルグリシジルエーテルの如き、各種のモノグリシジルエーテル類などで代表されるような、種々のモノエポキシ化合物との付加物などである。
【0083】
そして、斯かるビニル系単量体(ビニル系モノマー)の使用量としては、当該ビニル共重合体(B)を構成する全モノマー量の約1〜約50重量%なる範囲内が適切であるし、好ましくは5〜30重量%なる範囲内が適切である。約1%未満の場合には、シロキシ基含有ビニル系単量体の効果が期し得なくなるので好ましくない。
【0084】
次いで、これら各種のエポキシ基含有ビニル単量体類と、シロキシ基含有ビニル単量体類と共重合可能なる其の他の単量体類として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0085】
カルボキシル基含有ビニル単量体類、塩基性窒素含有ビニル単量体類および燐原子含有単量体類を除くほかは、特に限定されるものではない。
【0086】
そうしたもののうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、スチレン、α−メチルスチレン、tert−ブチルスチレンもしくはビニルトルエンの如き、各種の芳香族ビニル単量体類;
【0087】
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソ(iso−)プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジブロモプロピル(メタ)アクリレートまたはアルコキシアルキル(メタ)アクリレートの如き、各種の(メタ)アクリレート類;
【0088】
N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドもしくはN−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの如き、各種のアミノ基含有アミド系単量体類などである。
【0089】
上掲された如き、各種の単量体類を用いて、当該ビニル共重合体(B)を調製するには、前述したカルボキシル基含有アクリル樹脂の調製法と同様の溶液重合法や非水分散重合法などのような、公知慣用のいずれの重合法をも適用し得る。
【0090】
次いで、カルボキシル基含有樹脂(A)と、一分子中に少なくとも1個のエポキシ基と、前掲したような一般式[I]で示されるシロキシ基とを併せ有するビニル共重合体(B)、すなわち、エポキシ基と炭素原子と直結するシロキシ基とを併せ有するビニル共重合体(B)と、ブロック・イソシアネート基含有化合物(C)と、硬化促進触媒(D)とを含有することから成る、熱硬化性塗装用組成物を得るに当たって用いられる、斯かるブロック・イソシアネート基含有化合物とは、ポリイソシアネート化合物を、種々の活性水素含有化合物で以てブロック化せしめることによって得られるような形の、種々の化合物を指称するものである。
【0091】
ところで、上記したポリイソシアネート化合物のうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートの如き、各種の芳香族系ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネートの如き、各種の脂肪族系ジイソシアネート;
【0092】
イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4−(ないしは−2,6−)−ジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサンの如き、各種の脂環式系ジイソシアネート;
【0093】
これら上掲の各種のポリイソシアネート化合物と、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリカプロラクトンポリオールの如き、各種のポリエーテルポリオール、あるいはトリメチロールエタンまたはトリメチロールプロパンの如き、各種の多価アルコールや、
【0094】
イソシアネート基と反応し得る官能基を有する、低分子量のポリエステル樹脂(油変性タイプをも含む。)や、水酸基含有アクリル系共重合体(アクリルポリオール)などとの、種々の付加生成物類;
【0095】
さらには、ビュレット構造を持ったイソシアネート化合物;あるいは2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート〜ヘキサメチレンジイソシアネート等モル付加物;またはイソシアネートエチルメタクリレートの如き、各種のイソシアネート基含有単量体類と共重合性不飽和基を有するビニル単量体類とを必須成分とした共重合体類;
【0096】
さらには亦、特開昭61−72013号公報に開示されているような、それぞれ、C2 〜C8 なるアルキレン−、シクロアルキレン−および/またはアラルキレンジイソシアネート類と、C10〜C40なるジオール類とを、イソシアヌレート化触媒の存在下で以て反応させて得られるような、イソシアヌレート環を有し、しかも、非極性有機溶剤に可溶なるポリイソシアネート化合物などである。
【0097】
かかるブロック化に際して使用される、上記した活性水素基含有化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、フェノールもしくはクレゾールの如き、各種のフェノール系;メタノール、エタノール、プロパノール、ベンジルアルコールの如き、アルコール類;またはホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、メチルエチルケトオキシムの如き、各種のオキシム類とか、ε−カプロラクタムなどであり、これらの種々の化合物が、主として、用いられてはいるが、特に限定されるものではない。
【0098】
次いで、カルボキシル基含有樹脂(A)と、一分子中に少なくとも1個のエポキシ基と、前掲した一般式[I]で示される、炭素原子と直結するシロキシ基とを併有するビニル共重合体(B)と、ブロック・イソシアネート基含有化合物(C)との使用比率として、まず、(A)成分は、(B)成分の100重量部に対して、約30〜約150部なる範囲内が適切であるし、
【0099】
また、ブロック・イソシアネート基含有化合物(C)は、(A)成分と(B)成分との合計100重量に対して、約1〜約100重量部となるような割合が適切であり、好ましくは、5〜70重量部となる割合が適切である。
【0100】
本発明に係る熱硬化性塗装用組成物の硬化を促進化せしめるためには、硬化促進触媒(D)を用いることが出来るが、そうした硬化促進触媒として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、テトライソプロピルチタネート、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫アセテート、ジブチル錫ジオクテートまたはナフテン酸コバルトの如き、各種の含金属化合物類;
【0101】
あるいはモノアルキル燐酸、ジアルキル燐酸、モノアルキル亜燐酸、ジアルキル燐酸またはトリフェニルホスフィンの如き、各種の燐系酸性化合物などをはじめ、さらには、テトラブチルアンモニウムブロマイドまたはテトラブチルアンモニウムクロライドなどのような、種々の4級アンモニウムの強酸との塩類;
【0102】
あるいはまた、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート、トリブチルメチルアンモニウムアセテート、トリラウリルメチルアンモニウムアセテートなどのような、種々の4級アンモニウムの弱酸との塩類;
【0103】
さらには、テトラブチルフォスフォニウムブロマイドなどのような、種々のオニウム塩化合物などである。
【0104】
そして、当該硬化促進触媒(D)の使用量としては、(A)成分と、(B)成分と、(C)成分との総固形分量に対して、約0.01〜約10重量%なる範囲内が適切である。
【0105】
一方、前述した如く、1コート1ベーク塗装におけるソリッド・カラー塗料としては、各種の着色顔料を用いることが出来ることを述べたが、そうした着色顔料として特に代表的なもののみ例示するにとどめれば、酸化チタン、カーボンブラック、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、キナクリドンレッド、インダントロンブルー、ジオキサジン・バイオレッド、クロムイエロー、イソインドリノンイエロー、ベンズイミダゾロンイエロー、キノフタロンイエロー、イソインドリンイエローまたはペリレンレッドなどである。
【0106】
かくして得られる、本発明に係る熱硬化性塗装用組成物には、さらに必要に応じて、公知慣用の種々の樹脂類であるとか、あるいは公知慣用の種々の溶剤類などをはじめ、そのほかにも、流動調整剤、色分れ防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤またはシランカップリング剤などのような、公知慣用の種々の添加剤をも加えることが出来るのは、無論のことである。
【0107】
上記したような種々の樹脂類として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、メラミン樹脂類などであり、こうした形の樹脂類を、耐酸性などを損ねない範囲で以て、加えることが出来るし、
【0108】
ニトロセルロースまたはセルロースアセテートブチレートの如き、各種の繊維素系樹脂類をはじめ、さらには、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ケトン樹脂、石油樹脂またはフッ素樹脂などであり、同様に、本発明の目的を逸脱しないような範囲で以て、あるいは本発明の効果を損ねないような範囲で以て加えることが出来る。
【0109】
また、前記した溶剤類として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサンもしくはオクタンの如き、各種の炭化水素系;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルもしくはエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートの如き、各種のエステル系;
【0110】
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンもしくはシクロヘキサノンの如き、各種のケトン系;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドもしくはN−メチルピロリドンの如き、各種のアミド系;
【0111】
またはメタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ジアセトンアルコールもしくはエチレングリコールモノアルキルエーテルの如き、各種のアルコール系溶剤などであり、あるいはこれらの混合物などである。
【0112】
かくして得られる、本発明の熱硬化性塗装用組成物を、トップクリヤー塗料ならびにソリッド・カラー塗料として用いて、目的とする実用的効果の高い塗膜を形成化せしめるには、たとえば、表面処理を施すとか、あるいは必要に応じ、予め、プライマーやサーフェーサーなどを施すなどして、一旦、被塗物基材を処理しておき、しかるのちに、それぞれの塗装用組成物、つまり、塗料を次のような一般的な要領で以て塗装せしめるようにすればよい。
【0113】
すなわち、1コート1ベーク・ソリッド・カラー塗料として用いる場合には、同じく、上述したような被塗物基材の表面に、乾燥膜厚が約20〜約60マイクロ・メータ(μm)となるように、通常の方法で以て塗装し、所望の条件で以て架橋化せしめるというようにすればよい。
【0114】
通常、上記したような、それぞれの架橋化の条件としては、約110〜約170℃なる範囲内の温度で、約15〜約40分間なる範囲内の時間のあいだ、というのが適切であり、好ましくは、120〜150℃なる範囲内の温度で、20〜30分間なる範囲内の時間のあいだ、というのが適切である。
【0115】
かくて、本発明に係る熱硬化性塗装用組成物を用いて得られる、いわゆるソリッド・カラー塗膜は、とりわけ、耐酸性ならびに耐擦傷性などは言うに及ばず、光沢、レベリング性ならびに鮮映性などにも著しく優れるし、しかも、塗装作業性も亦、良好なるものである。
【0116】
本発明の熱硬化性塗装用組成物は、主として、鉄素材ないしは鉄製品ならびにブリキ、銅、アルミニウム、アルミニウム合金あるいは真鍮などの、いわゆる非鉄金属素材ないしは該非鉄金属類の諸製品などのような被塗物基材に対して利用し適用することが出来るものであるが、斯かる被塗物基材として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アルミニウム、ステンレス・スチール、クロム・メッキ、トタン板またはブリキ板の如き、各種の金属素材または金属製品類;あるいは瓦類:ガラス類;または各種の無機質建材類などであり、
【0117】
具体的には、自動車車体または自動車(用)部品類、二輪車または二輪車(用)部品類などをはじめ、さらには、門扉またはフェンス類の如き、各種の建材類;アルミサッシ類の如き、各種の建築内外装用資材類;あるいはアルミフォイルなどのような種々の非鉄金属類の諸素材ないしは諸製品類などである。
【0118】
【実施例】
次に、本発明を、参考例、実施例、比較例、応用例および比較応用例により、一層、具体的に説明することにするが、本発明は、決して、それらの例示例のみに限定されるものではない。以下において、部および%は、特に断りの無い限り、すべて重量基準であるものとする。
【0119】
参考例1〔エポキシ基・シロキシ基併有ビニル共重合体(B)の調製例〕
撹拌機、温度計、冷却器および窒素導入管を備えた四ツ口フラスコに、キシレンの550部を仕込んで、125℃に保持した。
【0120】
次いで、ここへ、200部のスチレン、250部のn−ブチルメタクリレート、100部のn−ブチルアクリレート、150部のトリメチルシロキシエチルメタアクリレートおよび300部のグリシジルメタクリレートと、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの30部、アゾビスイソブチロニトリルの10部およびジ−tert−ブチルパーオキシベンゾエートの10部と、キシレンの450部とを、5時間に亘って滴下した。
【0121】
滴下終了後も、同温度に、6時間のあいだ保持して反応を続行せしめることにより、不揮発分が50.3%なる目的樹脂の溶液を得た。以下、これを樹脂(B−1)と略記する。
【0122】
参考例2および3(同上)
第1表に示すような原料仕込み組成割合に変更した以外は、参考例1と同様にして、各種のエポキシ基・シロキシ基併有共重合体(B)の溶液を得た。それぞれの樹脂の諸性状値は、まとめて、同表に示す。
【0123】
【表1】
Figure 0003760214
【0124】
《第1表の脚注》
「サイクロマー M−100」………[ダイセル化学(株)製の、脂環式エポキシ基含有重合性単量体の商品名]
【0125】
【表2】
Figure 0003760214
【0126】
次いで、これら上掲の、参考例1〜3で得られた、それぞれのエポキシ基・シロキシ基併有ビニル系共重合体(B)との対比ための、対照用ビニル系共重合体(B’)の調製例を示すこととし、それらを、それぞれ、参考例4、5および6とする。
【0127】
参考例4〜6〔エポキシ基・水酸基併有ビニル共重合体(B’)の調製例〕
第2表に示すような原料仕込み組成割合とするように変更した以外は、参考例1と同様にして、エポキシ基と水酸基とを併有する、各種のビニル系共重合体(B’)の溶液を得た。それぞれの樹脂の諸性状値は、まとめて、同表に示す。
【0128】
【表3】
Figure 0003760214
【0129】
【表4】
Figure 0003760214
【0130】
参考例7〔カルボキシル基含有樹脂たるカルボキシル基含有ポリエステル樹脂の調製例〕
【0131】
攪拌機、温度計、脱水トラップ付き還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、トリメチロールプロパンの190部と、1,6−ヘキサングリコールの145部と、イソフタル酸の350とを仕込んで、150℃にまで昇温した。
【0132】
次いで、ヘキサヒドロフタル酸の390部と、水酸化リチウムの0.85部とを加えて、220℃にまで昇温し、さらに、この温度で、脱水縮合反応を行なって、固形分酸価が150となるまで反応を続行せしめた。
【0133】
反応終了後は、此の反応生成物を冷却して、「ソルベッソ 100」[丸善石油(株)製の、芳香族炭化水素系溶剤の商品名]の400部と、キシレンの120部とを加えることにより、不揮発分が70%で、かつ、固形分の酸価が148なる目的樹脂の溶液を得た。以下、これを樹脂(P−1)と略記する。
【0134】
参考例8(同上)
第3表に示すような原料仕込み組成割合に変更した以外は、参考例4と同様にして、各種の目的樹脂の溶液を得た。それぞれの樹脂の諸性状値を、まとめて、同表に示す。
【0135】
【表5】
Figure 0003760214
【0136】
【表6】
Figure 0003760214
【0137】
《第3表の脚注》
同表中の略記号は、次のような意味のものである。
【0138】
HHPA…………ヘキサヒドロフタル酸
【0139】
TMP……………トリメチロールプロパン
NPG……………ネオペンチルグリコール
1,6−HD……1,6−ヘキサンジオール(1,6−ヘキサングリコール)
【0140】
IPA……………イソフタル酸
【0141】
参考例9〔カルボキシル基含有樹脂たるカルボキシル基含有アクリル樹脂の調製例〕
【0142】
攪拌機、温度計、冷却器および窒素導入管を備えた四ッ口フラスコに、「ソルベッソ 100」の550部と、n−ブタノールの200部とを仕込んで、120℃に保持した。
【0143】
次いで、ここへ、200部のスチレン、210部のn−ブチルメタクリレート、270部のn−ブチルアクリレート、47部の2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよび270部のメタクリル酸と、アゾビスイソブチロニトリルの10部およびジ−tert−ブチルパーオキシベンゾエートの10部と、「ソルベッソ100」の250部とを、5時間に亘って滴下した。
【0144】
滴下終了後も、同温に、6時間のあいだ保持して反応を続行せしめることによって、不揮発分が50.9%で、25℃におけるガードナー粘度がPで、固形分酸価が140で、かつ、固形分水酸基価が20なる目的樹脂の溶液を得た。以下これを樹脂(P−3)と略記する。
【0145】
実施例1
参考例4で得られたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂と、参考例1で得られたで得られた、エポキシ基・シロキシ基併有ビニル系共重合体と、「バーノック B3−867」[大日本インキ化学工業(株)製の、ブロック・イソシアネート化合物の商品名]と、「SCAT−2L」[三共有機合成(株)製の、錫系硬化促進触媒]と、「タイペーク CR−95」[石原産業(株)製の、酸化チタン顔料の商品名]とを、
【0146】
下記のような配合組成割合に従い、通常の塗料調製法によって配合せしめるということにより調製された熱硬化性塗装用組成物を、希釈用溶剤により、25℃において、「フォード・カップ No.4」で、30秒となるように、粘度を希釈し調整せしめて、1コート1ベーク・ソリッド・カラー塗料を得た。以下、これを塗料(SC−1)と略記する。
【0147】
樹脂(P−1) 57 部
樹脂(A−1) 100 部
「B3−867」 25 部
「SCAT−2L」 1.6部
「CR−95」 100 部
【0148】
実施例2〜6ならびに比較例1〜11
参考例4、5および6で得られた、それぞれのカルボキシル基含有樹脂と、参考例1〜3ならびに参考例4〜6で得られた、それぞれの、エポキシ基・シロキシ基併有ビニル系共重合体と、片や、それぞれのエポキシ基・水酸基併有ビニル系共重合体とを基本として、さらには、選択的に、その他の成分をも、第4表および第5表に示すような配合組成割合に従うように変更した以外は、実施例1と同様にして、各種の1コート1ベーク・ソリッド・カラー塗料を得た。
【0149】
【表7】
Figure 0003760214
【0150】
【表8】
Figure 0003760214
【0151】
《第4表の脚注》
「CR−95」…………「タイペーク CR−95」の略記
【0152】
TBABr………………テトラブチルアンモニウムブロマイドの略記
【0153】
L−117−60………「スーパーベッカミン L−117−60」[大日本インキ化学工業(株)製の、メラミン樹脂の商品名]の略記である。
【0154】
【表9】
Figure 0003760214
【0155】
《第4表の脚注》
「チヌビン 900」は、スイス国チバ・ガイギー社製の、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤の商品名である。
【0156】
また、「チヌビン 123」は、同上社製の、光安定剤の商品名である。
【0157】
【表10】
Figure 0003760214
【0158】
【表11】
Figure 0003760214
【0159】
《第5表の脚注》
「CR−95」…………「タイペーク CR−95」の略記
【0160】
TBABr………………テトラブチルアンモニウムブロマイドの略記
【0161】
【表12】
Figure 0003760214
【0162】
【表13】
Figure 0003760214
【0163】
《第5表の脚注》
「DN−901S」は、「バーノック DN−901S」[大日本インキ化学工業(株)製の、ポリイソシアネート化合物の商品名]の略記である。
【0164】
【表14】
Figure 0003760214
【0165】
【表15】
Figure 0003760214
【0166】
応用例1〜6ならびに比較応用例1〜11
実施例1〜6ならび比較例1〜11で得られた、それぞれのソリッド・カラー塗料を用いて、燐酸化成処理を行なった軟鋼板上に、自動車用電着プライマーおよび中塗りサーフェーサーを塗布して得られた塗板上に、エアスプレーにより、乾燥膜厚が25〜45μmとなるように塗装したのち、20分間のあいだ放置してから、電気熱風乾燥機中において、120℃なる温度で、20分間という条件で以て乾燥を行なった。
【0167】
このようにして得られた、それぞれの塗装物について、塗膜諸性能の評価判定の比較検討を行なった。それらの結果は、まとめて、第6および7表に示す。
【0168】
なお、塗膜諸性能の評価判定は、概略、次のような要領で以て行なったものである。
【0169】
光沢……………村上式光沢度計を用い、60度鏡面反射率(%)を測定した値を表示している。
【0170】
耐酸性…………5%硫酸水溶液中に、24時間のあいだ浸漬したのちの塗面の変化状態を、目視により評価判定したものである。
【0171】
◎…異状なし
○…かなり良好
×…変褪色が著しい
【0172】
耐擦傷性………荷重300g/m2 で以て、5%磨き粉水溶液を用いて、塗面を50往復に亘って洗浄したのちの塗面の光沢保持率(%)で以て表示した。
【0173】
耐候性…………タイ国バンコク市郊外での、実曝24カ月後の塗面の変化状態を、目視により評価判定したものである。
【0174】
◎…異状なし
○…僅かながら変色している
×…変褪が色著しい
【0175】
ゲル分率………それぞれのソリッド・カラー塗料を、120℃に、20分間のあいだ硬化せしめ、次いで、かくして得られた硬化塗膜を、各別に、アセトン中に、24時間のあいだ浸漬せしめることによって、初期塗膜重量と、浸漬後の塗膜重量との変化の度合いを測定し、浸漬前後の変化の割合(%)を以て表示している。
【0176】
貯蔵安定性……まず、「初期粘度」の方は、「フォード・カップ No.4」による粘度を、30秒という一定の値に設定せしめ、次いで、「経時粘度」の方は、40℃に、10日間のあいだ保持したのちに、此の「フォード・カップ No.4」による粘度を測定して、経時後の粘度を表示しているが、初期粘度と経時粘度との差異の大小をみるものとする。
【0177】
【表16】
Figure 0003760214
【0178】
【表17】
Figure 0003760214
【0179】
【表18】
Figure 0003760214
【0180】
【表19】
Figure 0003760214
【0181】
【表20】
Figure 0003760214
【0182】
【表21】
Figure 0003760214
【0183】
【発明の効果】
以上に詳述した通り、本発明に係る熱硬化性塗装用組成物は、カルボキシル基含有樹脂と、エポキシ基・シロキシ基併有ビニル系共重合体と、ブロック・イソシアネートと、硬化促進触媒との硬化系であって、いわゆる複合硬化システムとして、極めて実用性の高いものであることは勿論のこと、
【0184】
とりわけ、本発明の熱硬化性塗装用組成物を、1コート1ベーク・ソリッド・カラー塗料として用いることによって、とりわけ、光沢、耐酸性、耐擦傷性、低温硬化性ならびに貯蔵安定性などに優れるという、換言すれば、とりわけ、作業性に優れ、光沢、耐候性、耐酸性ならびに耐擦傷性などの諸性能が、悉く、優れていて、バランスのよく取れた、極めて実用的価値の高いものである。

Claims (6)

  1. 30〜170mgKOH/gなる酸価を有し、しかも、5〜50mgKOH/gなる水酸基価を有するカルボキシル基および水酸基含有樹脂(A)と、一分子中に少なくとも1個のエポキシ基と一般式[I]
    Figure 0003760214
    (ただし、式中のRおよびRは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい、C〜C16なるアルキル基、フェニル基、アリール基、あるいは水素原子、塩素原子またはフッ素原子を表すものとし、RはC〜C16なるアルキル基あるいはフェニル基またはアリール基を表すものとする。)で示されるシロキシ基とを併せ有するビニル共重合体(B)と、ブロック・イソシアネート基含有化合物(C)と、硬化促進触媒(D)とを含有することを特徴とする、熱硬化性塗装用組成物。
  2. 30〜170mgKOH/gなる酸価を有し、しかも、5〜50mgKOH/gなる水酸基価を有するカルボキシル基および水酸基含有樹脂(A)と、一分子中に少なくとも1個のエポキシ基と一般式[I]
    Figure 0003760214
    (ただし、式中のRおよびRは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい、C〜C16なるアルキル基、フェニル基、アリール基、あるいは水素原子、塩素原子またはフッ素原子を表すものとし、RはC〜C16なるアルキル基あるいはフェニル基またはアリール基を表すものとする。)で示されるシロキシ基とを併せ有するビニル共重合体(B)と、ブロック・イソシアネート基含有化合物(C)と、硬化促進触媒(D)と、さらに、着色顔料とを含有することを特徴とする、熱硬化性塗装用組成物。
  3. 前記したカルボキシル基および水酸基含有樹脂(A)が、50〜150mgKOH/gなる酸価を有し、しかも、10〜40mgKOH/gなる水酸基価を有するものである、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記したカルボキシル基および水酸基含有樹脂(A)がポリエステル樹脂である、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
  5. 前記したカルボキシル基および水酸基含有樹脂(A)がアクリル樹脂である、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の組成物を、1コート1ベーク用のソリッド・カラー塗料として用いることを特徴とする、熱硬化性塗装用組成物。
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