JP3759881B2 - 加工診断監視システム - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、制御に応じて動作して材料の加工を行なう加工機械を制御する加工制御装置と、その加工制御装置に組み込まれあるいはその加工制御装置と連携してその加工機械による材料の加工を監視し、その加工機械により加工された材料の加工の良、不良を診断する加工診断監視装置とを備えた加工診断監視システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より機器や設備から発せられる音や振動をピックアップしそれらに基づいて機器や設備の異常の有無を判定する様々な設備診断手法が知られている。ここでは、これを材料の加工に応用し、材料加工中の加工機械の音や振動からその材料の加工が正しく行なわれているか否かを診断することを考える。
【0003】
設備診断手法の典型例としては、例えばその機器や設備が正常状態にあるときの音響振動波形を得、その音響振動波形をスペクトル解析してその特徴を調べておき、異常の有無を検出する際にその機器や設備の音響振動波形を得てスペクトル解析を行い、そのスペクトル中に、正常時には見られない特定の周波数成分のピークが存在するか否か、あるいはピークの組合せが正常時のそれと同じであるか否か等により異常の検出を行なうことが知られている。
【0004】
また、特開平7−43259号公報には、その機器や設備が正常状態にあるときの音響振動波形を得、その音響振動波形に基づいて逆フィルタを作成しておき、異常の有無を検出する際にその機器や設備の音響振動波形を得、その音響振動波形にあらかじめ求めておいた逆フィルタを作用させて残差信号を求め、この残差信号を解析することによって機器や設備の異常を検出することが提案されている。
【0005】
さらに、特開平8−304124号公報には、その機器や設備が正常状態にあるときの複数の音響振動波形を得、それら複数の音響振動波形のうちの例えば1つの音響振動波形に基づいて逆フィルタを作成して、その逆フィルタを例えば残りの複数の音響振動波形に作用させることにより複数の残差信号を求め、それら複数の残差信号それぞれに基づいて統計的変量を複数求めておき、異常の有無を検出する際においても、その機器や設備の複数の音響振動波形を得、あらかじめ求めておいた上記の逆フィルタをそれら複数の音響振動波形に作用させて複数の残差信号を求め、それら複数の残差信号に基づいて複数の統計的変量を求め、正常状態にあるときに求めた複数の統計的変量と異常の有無の検出の際に求めた複数の統計的変量との間で、例えばF検定やt検定等の手法による検定あるいは推定を行なうことにより、その機器や設備の異常の有無を検出することが提案されている。
【0006】
上記のスペクトル解析を行なうことによって機器や設備の異常を検出する手法も、その診断対象機器や設備の性質によってはかなり有効な手法であり、上記の逆フィルタを作成しておく手法や統計的検定等を行なう手法はさらに有効な手法である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
例えば上記のような様々な設備診断手法を材料加工に応用して材料加工の良否の診断を行なおうとしたとき、そのような加工機械の中には、NCマシンや加工ロボットなど複雑な動作を行なうものが多く、音や振動に異常があったからといって必ずしも材料が正しく加工されたか否かの判定には直結せず、確度の低い判定しか行なうことができない恐れがある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑み、材料加工の良、不良を高い確度で判定することのできる加工診断監視システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の加工診断監視システムは、制御に応じて動作して材料の加工を行なう加工機械を制御する加工制御装置と、その加工制御装置に組み込まれあるいはその加工制御装置と連携して加工機械による材料の加工を監視し、その加工機械により加工された材料の加工の良、不良を診断する加工診断監視装置とを備えた加工診断監視システムにおいて、
上記加工制御装置は、加工機械を材料加工用に動作させる加工動作制御モードと、加工機械を材料加工用に動作させている時間以外の時間に動作させる非加工動作制御モードとの2つの制御モードで加工機械の動作を制御するものであって、
上記加工診断監視装置は、
加工機械から得られる、所定の物理量を担持する時系列信号を取得する信号取得部と、
信号取得部で得られる、加工機械が加工動作制御モードによる制御を受けて動作しているタイミングにおける基準用時系列信号と加工機械が非加工動作制御モードによる制御を受けて動作しているタイミングにおける基準用時系列信号とのそれぞれについて各制御モードそれぞれに対応する各基準波形情報を求める基準演算部と、
基準演算部で求められた各基準波形情報を、各制御モードに対応づけて記憶しておく基準記憶部と、
信号取得部で得られる、加工機械が加工動作制御モードによる制御を受けて動作しているタイミングにおける診断用時系列信号と、基準記憶部に記憶されている、加工動作制御モードに対応する基準波形情報とに基づいて異常を検出する加工動作異常検出モードと、信号取得部で得られる、加工機械が非加工動作制御モードによる制御を受けて動作しているタイミングにおける診断用時系列信号と、基準記憶部に記憶されている、非加工動作制御モードに対応する基準波形情報とに基づいて異常を検出する非加工動作異常検出モードとを有し、加工動作異常検出モードにおいて異常が検出されるとともに非加工動作異常検出モードにおいて異常が検出されなかった場合に、その加工機械により加工された材料の加工が不良であると判定する加工不良有無判定部とを備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の加工診断監視システムは、加工設備が材料加工のために稼動しているときの異常検出する加工動作異常検出モードと、その加工機械の空き時間(材料加工のために稼動していないとき)に動作させて異常を検出する非加工動作異常検出モードとを有し、加工動作異常検出モードで異常が検出され非加工動作異常検出モードでは異常が検出されなかった場合に材料の加工が不良であると判定するものであり、材料加工の良、不良を、その加工機械そのものの異常と分離して高い確度で判定することができる。
【0011】
ここで、上記の所定の物理量を担持する時系列信号は、その加工機械近傍で音を収録して得た信号であってもよく、あるいはその加工機械自体やその加工機械の設置場所の床や壁等から振動や加速度をピックアップして得た信号であつてもよく、特定の物理量を担持する信号に限定されるものではない。
【0012】
ここで、上記本発明の加工診断監視システムにおいて、上記加工不良有無判定部は、非加工動作異常検出モードによる異常検出を所定のタイミングごとに繰り返し実行するものであって、上記加工不良有無判定部は、加工動作異常検出モードによる異常が検出されたときにおいて、直前の非加工動作異常検出モードにおいて異常が検出されていなかった場合に、加工機械により加工された材料の加工が不良であると判定するものであってもよく、あるいは、上記加工不良有無判定部は、加工動作異常検出モードによる異常が検出されたことを受けて非加工動作異常検出モードによる異常検出を実行し、その非加工動作異常検出モードにおいて異常が検出されなかった場合に、加工機械により加工された材料の加工が不良であると判定するものであってもよい。
【0013】
また、上記本発明の加工診断監視システムにおいて、上記加工制御装置は、非加工動作制御モードによる制御を行なうにあたり、加工されるべき材料の有無の相違を除き、加工機械に、加工動作制御モードによる制御における加工機械の動作と同一の動作を含む動作を行なわさせるものであることが好ましい。
【0014】
非加工動作制御モードにおいて加工動作制御モードによる加工機械の動作と同一の動作を含む動作を行なわせることにより、異常が検出されたときに材料加工によるものなのか加工機械自体によるものなのかを一層明確に識別することができる。
【0015】
さらに、上記本発明の加工診断監視システムにおいて、上記加工不良有無判定部は、加工機械により加工された材料の加工の良、不良の判定を行なうと共に非加工動作異常検出モードによる異常検出結果に基づいて、加工機械自体の正常、異常を判定するものであることが好ましい。
【0016】
本発明の加工診断監視システムを採用すれば材料加工の良、不良の判定とともに、加工機械自体の正常、異常も判定することができ、別々のシステムを採用する場合と比べ、コスト低減、設置スペースの削減となる。
【0017】
また、上記本発明の加工診断監視システムにおいて、上記基準演算部は、基準用時系列信号に基づいて、その基準用時系列信号を得たときの制御モードに対応する逆フィルタを求める演算を含む演算により、基準波形情報を求めるものであり、
上記加工不良有無判定部は、診断用時系列信号に、その診断用時系列信号を得たときの制御モードと同一の制御モードに対応する逆フィルタを作用させることにより、残差信号を求める演算を含む演算を行ない、その演算の結果に基づいて、材料加工の良、不良を判定するものであることが好ましい。
【0018】
ここで、上記の「逆フィルタを求める演算を含む演算」は、逆フィルタを求める演算のみで構成されている場合を含む概念であり、その場合は、逆フィルタを上記の基準波形情報とすることができる。また、「逆フィルタを求める演算を含む演算」は、逆フィルタを求める演算が含まれていればよく、前述のように複数の基準用時系列信号のうちの例えば1つの時系列信号に基づいて逆フィルタを作成し、その逆フィルタを他の複数の時系列信号に作用させて複数の統計的変量を求める演算であってもよい、その場合は、そのようにして求めた複数の統計的変量が基準波形情報となり得る。
【0019】
また、上記の「逆フィルタを作用させることにより残差信号を求める演算を含む演算」も上記と同様であり、残差信号を求める演算のみで構成されていてもよく、あるいは前掲の特開平7−43259号公報に記載されているように、その残差信号のパワーの移動平均値を求めるなど、その残差信号を演算して異常の有無を判定するのに都合のよいデータを求める演算や、あるいは、前掲の特開平8−304124号公報に記載されているような複数の診断用時系列信号に逆フィルタを作用させて複数の残差信号を求め、それら複数の残差信号に基づいて複数の統計的変量を求める演算であってもよい。
【0020】
逆フィルタを用いると信号上から定常的な騒音を消し去ることができ、材料加工の良、不良を一層高精度に判定することができる
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0022】
図1は、本発明の加工診断監視システムを示す概念図である。
【0023】
加工機械10は、加工制御装置20からの制御信号を受けて、材料の加工を担う機械である。その加工の種類は特に限定されるものではない。加工制御装置20による加工機械の制御は大別して加工動作制御モードと非加工動作制御モードとに分けられる。加工機械10は、加工制御装置20からの加工動作制御モードによる制御を受けてその材料加工のために動作し(これを加工動作と称する)また、加工制御装置20からの非加工動作制御モードによる制御を受けて加工機械自体のテスト用に動作する(これを非加工動作と称する)。ここで加工動作、非加工動作は、それぞれが複数の個別動作から構成されている。
【0024】
加工機械10には、異常の有無の診断のための信号を得るためのセンサとして、振動センサと音響センサが、取り付けられあるいは近傍に配備されている。
【0025】
また、加工診断監視装置30は、加工制御装置20から加工機械10の制御の状態を表わす制御状態情報を受け取り、その制御状態情報に基づいて加工機械の加工動作のタイミングおよび非加工動作のタイミングを知り、加工動作、非加工動作それぞれにおける振動波形信号、音響波形信号を測定して、加工動作、非加工動作のそれぞれ、および振動波形信号、音響波形信号のそれぞれについて各基準波形情報を求め、また、加工動作、非加工動作のそれぞれ、および振動波形信号、音響波形信号のそれぞれについて異常の有無の検出を行ない、加工の良、不良を判定する。また、本実施形態では、加工動作、非加工動作がそれぞれ複数の個別動作から構成されており、基準波形情報の算出及び異常の有無の検出は各個別動作それぞれについて行なわれる。
【0026】
基準波形情報の求め方の具体例、及び異常の有無の検出方法の具体例については後述する。
【0027】
図2は、本発明の加工診断監視装置の一実施形態として動作する診断用コンピュータの外観斜視図である。本発明の一実施形態としての加工診断監視装置は、この診断用コンピュータ100のハードウェアとその内部で実行されるソフトウェアとの組合せにより実現されている。
【0028】
この診断用コンピュータ100は、CPU、RAMメモリ、磁気ディスク、通信用ボード等を内蔵した本体101、本体からの指示によりその表示画面102a上に画面表示を行なうCRTディスプレイ102、この診断用コンピュータ内に、オペレータの指示や文字情報を入力するためのキーボード103、表示画面上の任意の位置を指定することによりその位置に表示されているアイコン等に応じた指示を入力するマウス104を備えている。
【0029】
本体101には、CD−ROM105(図3参照)が取り出し自在に装填され、装填されたCD−ROM105をドライブするCD−ROMドライブも内蔵されている。
【0030】
ここでは、CD−ROM105に、加工診断監視プログラムが記憶されており、そのCD−ROM105が本体101内に装填され、CD−ROMドライブによりそのCD−ROM105に記憶された加工診断監視プログラムがその診断用コンピュータ100の磁気ディスク内にインストールされる。診断用コンピュータ100の磁気ディスク内にインストールされた加工診断監視プログラムが起動されると、この診断用コンピュータ100は、本発明の加工診断監視装置の一実施形態として動作する。
【0031】
図3は、図2に示す診断用コンピュータ100のハードウェア構成図である。
【0032】
このハードウェア構成図には、中央演算処理装置(CPU)111、RAM112、磁気ディスクコントローラ113、CD−ROMドライブ115、マウスコントローラ116、キーボードコントローラ117、ディスプレイコントローラ118、通信用ボード119、および2つのA/D変換ボード120,121が示されており、それらはバス110で相互に接続されている。
【0033】
CD−ROMドライブ115は、図2を参照して説明したように、CD−ROM105が装填され、装填されたCD−ROM105をアクセスするものである。
【0034】
通信用ボード119は、図1に示す機械制御装置20に接続され、機械制御装置20から、図1に示す加工機械10の制御状態を表わす制御状態情報が入力される。この制御状態情報には、加工機械10が加工動作中であるか非加工動作中であるかを表わす情報と、加工動作、非加工動作それぞれを構成する複数の個別動作の実行のタイミングを表わすタイミング信号が含まれている。
【0035】
尚、本実施形態では、非加工動作は、加工の対象となる材料が加工される所定位置に準備されているか否かの相違を除き、加工動作を構成する複数の個別動作と比べ、全く同一のシーケンスで実行される全く同一の複数の個別動作で構成されている。
【0036】
また2台のA/D変換ボード120,121には、それぞれ図1に示す振動センサおよび音響センサが接続されている。これら2台のA/D変換ボード120,121は、それらの振動センサや音響センサでピックアップされた振動波形信号や音響波形信号を入力し、各ディジタル信号に変換して内部に取り込む役割りを担っている。
【0037】
また、図3には、磁気ディスクコントローラ113によりアクセスされる磁気ディスク114、マウスコントローラ116により制御されるマウス104、キーボードコントローラ117により制御されるキーボード103、およびディスプレイコントローラ118により制御されるCRTディスプレイ102も示されている。
【0038】
図4は、本発明の一実施形態としての加工診断監視プログラムの構成を示す図である。
【0039】
ここでは、この加工診断監視プログラム200は、CD−ROM105に記憶されており、この加工診断監視プログラム200は、信号取得部210、基準演算部220、および異常有無判定部230から構成されている。この加工診断監視プログラム200を構成する各部210〜230の作用については後述する。
【0040】
図5は、図2,図3に示す診断用コンピュータに図4に示す加工診断監視プログラムがインストールされて実行されることにより実現された、本発明の加工診断監視装置の一実施形態の機能ブロック図である。
【0041】
この図5に示す加工診断監視装置300は、タイミング取得部340、信号取得部310、基準演算部320、基準記憶部350、および異常有無判定部340から構成されている。
【0042】
ここで、この図5に示す加工診断監視装置300を構成する各部310〜350のうち、タイミング取得部340および基準記憶部350を除く、信号取得部310、基準演算部320、および異常有無判定部330は、図4にそれぞれ同一の名称で示されている、加工診断監視プログラム200を構成する各要素に対応する要素であるが、図5に示す加工診断監視装置300を構成する、信号取得部310、基準演算部320、および異常有無判定部330は、ハードウェアとソフトウェアとの複合を指しており、一方、図4に示す加工診断監視プログラム200を構成する信号取得部210、基準演算部220、および異常有無判定部230は、アプリケーションプログラムとしての加工診断監視プログラム200の各プログラム部品を表わしている。
【0043】
尚、図5の加工診断監視装置300を構成するタイミング取得部340は、図3に示すコンピュータの通信用ボード119により構成され、基準記憶部350は、図3に示すコンピュータの磁気ディスク114により構成されるものであるため、図4の加工診断監視プログラム200には含まれていない。
【0044】
以下、図5に示す加工診断監視装置300の各要素について説明することで、図4に示す加工診断監視プログラム200の各要素についても同時に説明する。
【0045】
タイミング取得部340は、図1に示すシステムにおける機械制御装置20から、診断対象機械10の制御状態を表わす制御状態情報を取得する役割りを担っている。この制御状態情報には、加工機械10の制御モード(加工動作制御モードと非加工動作制御モード)の識別情報、および加工動作、非加工動作を構成する個別の動作と同期したタイミング信号が含まれている。
【0046】
また、図5の加工診断監視装置300を構成する信号取得部310は、図1に示す振動センサおよび音響センサからの振動波形信号および音響波形信号を取得する役割りをなしており、ハードウェア上は、図3に示す、主としてA/D変換ボード120,121がこれに相当する。この信号取得部310は、図4に示す加工診断監視プログラム200を構成する信号取得部210、すなわち、これらのA/D変換ボード120,121でディジタル信号に変換された音信号を設備診断プログラムに取り込むプログラム部品を含むものである。
【0047】
尚、本実施形態では、図3に示すようにA/D変換ボードを2つ備え、図1に示す2つのセンサ(振動センサおよび音響センサ)でピックアップされた振動波形信号および音響波形信号を各A/D変換ボード120,121でディジタル信号に変換するようにしたが、A/D変換ボードは1つのみとし、複数のセンサで得られた複数の信号を順次切り換えてA/D変換ボードに伝達する切換回路を途中に配置してもよい。
【0048】
基準演算部320では、信号取得部310で得られた振動波形信号および音響波形信号それぞれに基づいて、それらの信号を得たときの制御モードに対応する基準波形情報が求められる。本実施形態では、この基準波形情報として、後述する逆フィルタが求められる。この基準演算部320は、ハードウェア上は、主として、プログラム部品としての基準演算部220(図4参照)を実行するCPU111(図3参照)等がこれに相当する。
【0049】
この基準演算部320で求められた基準波形情報は、基準記憶部350に記憶される。この基準記憶部350は、磁気ディスク114等がこれに相当する。
【0050】
異常有無判定部330では、信号取得部310から各制御モードに対する振動波形信号および音響波形信号を受け取り、さらに基準記憶部350から、各制御モードに対応するとともに振動および音響のそれぞれに対応する各基準波形情報を読み出し、各制御モードごとに、振動と音響のそれぞれについて、異常の有無の判定が行なわれる。振動と音響のいずれに異常があったときも異常であると判定される。詳細は、図6〜図10のフローチャートを参照しながら以下に説明する。
【0051】
図6は、非加工動作基準作成プログラムのフローチャートである。
【0052】
このプログラムは、図4に示す加工診断監視プログラムの信号取得部210および基準演算部220を構成しており、非加工動作制御モードに対応する基準波形情報が未だ作成されていないとき、あるいは非加工動作制御モードに対応する基準波形情報を更新しようとするときにおいて、図1に示す加工制御装置20から受け取った制御状態情報が、非加工動作制御モードによる制御を行なっていることを表わしており、かつその非加工動作を構成する個別の動作と同期した各タイミング信号を受信したときに実行される。
【0053】
この図6に示すプログラムが実行されると、図1に示す振動センサ及び音響センサからの振動波形信号及び音響波形信号が測定され(ステップa1)、振動波形信号及び音響波形信号のそれぞれについて逆フィルタ係数が算出され(ステップa2)、その算出された逆フィルタ係数が、非加工動作制御モード、振動と音響との別、非加工動作を構成する複数の個別動作のうちの今回の個別動作に対応づけられて記憶される(ステップa3)。この図6のプログラムは、タイミング信号と同期して、非加工動作を構成する複数の個別動作の1つずつについて実行され、これにより、非加工動作を構成する複数の個別動作それぞれについての基準波形情報が求められる。
【0054】
図7は、加工動作基準作成プログラムのフローチャートである。
【0055】
このプログラムは、図6に示すプログラムとともに、加工診断監視プログラム200(図4参照)の信号取得部210および基準演算部220を構成しており、加工動作制御モードに対応する基準波形情報が未だ作成されていないとき、あるいは加工動作制御モードに対応する基準波形情報を更新しようとするときにおいて、図1に示す加工制御装置20から受け取った制御状態情報が加工動作制御モードによる制御を行なっていることを表わしており、かつその加工動作を構成する個別の動作と同期した各タイミング信号を受信したときに実行される。
【0056】
この図7に示すプログラムの動作は、図6のプログラムの動作と同様であり、この図7のプログラムが実行されると、図1に示す振動センサおよび音響センサからの振動波形信号及び音響波形信号が測定され(ステップb1)、振動波形信号および音響波形信号のそれぞれについて逆フィルタ係数が算出され(ステップb2)、その算出された逆フィルタ係数が、加工動作制御モード、振動と音響との別、加工動作を構成する複数の個別動作のうちの今回の個別動作に対応づけられて記憶される(ステップb3)。この図7のプログラムは、タイミング信号と同期して加工動作を構成する複数の個別動作の1つずつについて実行され、これにより加工動作を構成する手段の動作についての基準波形情報が求められる。
【0057】
図8は、非加工動作異常検出プログラムのフローチャートである。
【0058】
このプログラムは、図4に示す加工診断監視プログラムの信号取得部210および異常有無判別部230を構成するものであり、図1に示す加工制御装置20から受け取った制御状態情報が非加工動作制御モードによる制御を行なっていることを表わしており、かつその非加工動作を構成する個々の動作と同期した各タイミング信号を受信したときに実行される。ここでは、非加工動作を構成する複数の個別動作をひととおり実行する間、その非加工動作を構成する個別動作の数と同じ回数だけ、この図8の非加工動作異常検出プログラムが実行されるが、この非加工動作は、何回の加工動作ごとに繰り返し実行され、そのたびに、この図8の非加工動作異常検出プログラムがその非加工動作を構成する個別動作の数と同一回数実行される。
【0059】
この図8に示す非加工動作異常検出プログラムが実行されると、図1に示す振動センサおよび音響センサからの振動波形信号および音響波形信号の測定が行なわれ(ステップc1)、非加工動作制御モードに対応するとともに今回の個別動作と同一の個別動作に対応する基準波形情報が図5に示す基準記憶部350から読み出され、それらに基づいて、振動と音響のそれぞれについて異常検出が行なわれる(ステップc2)。ここでの異常検出は、今回測定した信号に、基準波形情報としてあらかじめ求めておいた逆フィルタを作用させて残差信号を求め、その残差信号のレベルに基づいた異常検出が行なわれる。
【0060】
このステップc2では、異常が、異常がないことを表わす‘異常なし’、程度の小さい異常があったことを表わす‘異常(小)’、程度の大きい異常があったことを表わす‘異常(大)’の3通りに検出される。
【0061】
ステップc3では、その異常検出結果が判定され、異常(大)のときは、図1の加工制御装置20に向けて加工機械10を直ちに停止させるよう通知する(ステップc4)。一方、異常(小)のときは、‘機械異常(小)’が記憶されて異常(小)の発生が通知される。ここでの異常(小)の通知にあたっては、この加工診断監視装置300の表示画面102a(図2参照)に、加工機械に異常(小)があった旨表示してもよく、あるいは、この加工診断監視装置300で直接にブザーや警報ランプを駆動してオペレータに知らせてもよく、あるいは、この加工診断監視装置200からは、加工機械に異常(小)があった旨加工制御装置20(図1参照)に通知し、加工制御装置20側で加工機械に異常(小)が発生した旨オペレータに通知し、あるいは加工機械に異常(小)が発生したときの制御モードに移行するようにしてもよい。また、異常なしのときは‘機械異常なし’が記憶される。
【0062】
図9は、加工動作異常検出プログラムのフローチャートである。
【0063】
このプログラムは、図8に示すプログラムと共に、図4に示す加工診断監視プログラム200の信号取得部210および異常有無判定部230を構成するものであり、図1に示す加工制御装置20から受け取った制御状態情報が加工動作制御モードによる制御を行なっていることを表わしており、かつその加工動作を構成する各個別動作と同期した各タイミング信号を受信したときに実行される。ここでは、1回の加工動作ごとにその加工動作を構成する個別動作の数と同じ回数だけ、この図9の非加工動作異常検出プログラムが実行される。
【0064】
この図9に示す非加工動作異常検出プログラムが実行されると、図1に示す振動センサおよび音響センサからの振動波形信号及び音響波形信号の測定が行なわれ(ステップd1)、加工動作制御モードに対応するとともに今回の個別動作と同一の個別動作に対応する基準波形情報が、図5に示す基準記憶部350から読み出され、それらに基づいて、振動と音響のそれぞれについて異常検出が行なわれる(ステップd2)。ここでの異常検出は、今回測定した信号に、基準波形情報としてあらかじめ求めておいた逆フィルタを作用させて残差信号を求め、その残差信号のレベルに基づいた異常検出が行なわれる。
【0065】
このステップd2では、図8のフローチャートのステップc2における異常検出の場合と同様、異常の検出として異常がないことを表わす‘異常なし’、程度の小さい異常があったことを表わす‘異常(小)’、程度の大きい異常があったことを表わす‘異常(大)’の3通りに検出される。
【0066】
ステップd3では、その異常検出結果が判定され、異常(大)のときは、図1の加工制御装置20に向けて加工機械10を直ちに停止させるよう通知する(ステップd4)。一方、‘異常(小)’ときは、前回の非加工動作において‘機械異常(小)’が記憶されていたか否かが判定され(ステップd5)、‘機械異常(小)’ が記憶されていない(‘機械異常なし’が記憶されていた)ときは、加工不良が通知され、今回の加工不良が履歴情報として記憶される。履歴情報として記憶するのは、後の不良品解析に役立てるためである。
【0067】
ここで、この加工不良の通知にあたっては、図8のステップc7における通知と同様、この加工診断監視装置300の表示画面102a(図2参照)に、材料の加工に異常(小)があった旨表示してもよく、あるいは、この加工診断監視装置300で直接にブザーや警報ランプを駆動してオペレータに知らせてもよく、あるいは、この加工診断監視装置200からは、材料の加工に異常(小)があった旨加工制御装置20(図1参照)に通知し、加工制御装置20側で材料の加工に異常(小)が発生した旨オペレータに通知し、あるいは材料の加工に異常(小)が発生したときの制御モードに移行するようにしてもよい。
【0068】
ステップd3において‘異常なし’と判定され、あるいはステップd5において‘機械異常(小)‘ありと判定されたときは、そのままこの図9のルーチンを終了する。
【0069】
図10は、図8,図9双方の異常検出プログラムに代えて採用することができる異常検出プログラムのフローチャートである。
【0070】
このプログラムは、図4に示す加工診断監視プログラム200の信号取得部210および異常有無判別部230を構成するものであり、図1に示す加工制御装置20から受け取った制御状態情報が加工動作制御モードによる制御を行なっていることを表わしており、かつその加工動作を構成する個々の個別動作と同期した各タイミング信号を受信したときに実行される。ここでは、1回の加工動作ごとにその加工動作を構成する個別動作の数と同じ回数だけ、この図10の加工動作異常検出プログラムが実行される。
【0071】
この図10に示す異常検出プログラムが実行されると、図1に示す振動センサおよび音響センサからの振動波形信号および音響波形信号の測定が行なわれ(ステップe1)、加工動作制御モードに対応するとともに今回の個別動作と同一の個別動作に対応する基準波形情報が図5に示す基準記憶部350から読み出され、それらに基づいて、振動と音響のそれぞれについて異常検出が行なわれる(ステップe2)。ここでの異常検出は、今回測定した信号に、基準波形情報としてあらかじめ求めておいた逆フィルタを作用させて残差信号を求め、その残差信号の大きさに基づいて異常検出が行なわれる。
【0072】
このステップe2で行なわれる異常検出は、図9の加工動作異常検出プログラムのステップd2と同じであり、‘異常なし’、‘異常(小)’、‘異常(大)’の3通りに検出される。
【0073】
ステップe3では、その異常検出結果が判定され、異常(大)のときは、図1の加工制御装置20に向けて加工機械10を直ちに停止させるよう通知される(ステップe4)。一方、異常(小)のときは、図1の加工制御装置20に向けて加工機械10に非加工動作を行なわせるよう依頼し(ステップe5)、非加工動作に切り換えられるまで待機し(ステップe6)、非加工動作に切り換えられると、その非加工動作のうちの、加工動作で異常(小)が検出された個別動作と同一の個別動作実行のタイミングで、図1に示す振動センサおよび音響センサからの振動波形信号及び音響波形信号が測定され(ステップe7)、今回の個別動作と同一個別動作に対応する非加工動作の基準波形情報(逆フィルタ)が図5に示す基準記憶部350から読み出され、それらに基づいて、振動と音響のそれぞれについて異常検出が行なわれる(ステップe8)。ここでも、この異常検出は、今回測定した信号に、基準波形情報としてのあらかじめ求めておいた逆フィルタを作用させて残差信号を求め、その残差信号のレベルに基づいた異常検出が行なわれる。
【0074】
このステップe8でも、ステップe3と同様、異常の検出として‘異常なし’、‘異常(小)’、‘異常(大)’の3通りに検出される。
【0075】
ステップe9ではその異常検出結果が判定され、異常(大)の大きいときは、図1に示す加工制御装置20に向けて加工機械10を直ちに停止させるよう通知される(ステップe4)。一方、ステップ9で異常なしと判定されたときは、加工不良があった旨通知され、今回の加工不良が履歴情報として記憶される。
【0076】
ステップe3で異常なしと判定された場合はそのままこのルーチンを抜ける。また、ステップe3で異常(小)がある旨判定されてステップe9でも異常(小)がある旨判定されると材料加工の不良ではなく、加工機械自体のわずかな異常であるとみなされて、その旨通知される。
【0077】
このように、図8,図9のルーチン、あるいは図10のルーチンによれば、材料加工の良、不良を、高精度に判定することができ、またそれと同時に加工機械自体の異常も判定することができる。
【0078】
図11は、本発明の具体的な適用例を示す模式図である。
【0079】
図11には、加工機械の一例として、NCマシニングセンタ制御装置20Aにより制御されるNCマシニングセンタ10Aが示されている。
【0080】
NCマニシングセンタ制御装置20Aは、コンピュータ、PCL、専用機などで構成されており、NCマシン10Aに向けて、通常の加工動作のほか、診断用NCテストプログラムに基づく非加工動作を指示する。これらの加工動作、非加工動作には、3軸ボールネジの、正逆転させながらの位置や速度の変更、主軸回転数の変更、ツール交換などの動作が含まれる。NCマシニングセンタ10Aには、音響センサが内蔵された集音器が設備されている。
【0081】
加工機械、加工品質音響監視装置30Aは、制御状態情報から診断対象マシニングセンタの動作状態を知り、その動作状態に同期して、所定の診断対象動作(機械作動および材料加工)実行のタイミングを正確に見出し、音響測定を実行する。加工機械および加工作業正常時の音響情報を基準(正常)値とし記憶し、別の時点で測定した同タイミングの音響情報と比較する。
【0082】
NCマシニングセンタ10Aの診断対象部位毎に個別音響で判定するので、異常部位の特定も可能である。また材料加工時の任意のタイミングの加工音を正常加工音と比較して加工状態の良否判定をリアルタイムで実行することができる。
【0083】
次に、逆フィルタおよびその逆フィルタを用いた異常の有無の検出方法について説明する。
【0084】
任意の時系列信号は、適当な線型系に白色雑音を入力したときの出力と見なすことができる。与えられた時系列信号から対応する線型系を決定することは、線型予測分析と呼ばれ、確立した手法が存在する。通常そのようにして求められるものに、自己回帰モデル(ARモデル)がある。これは標本化、離散化された時系列信号をX(n)、n=1、2、・・・ とする時、第n時点の信号X(n)をそれ以前のM個の時点のデータから次のようにして決定するものである。
【0085】
【数1】
Figure 0003759881
【0086】
ここでe(n)は線型系への仮想的な入力信号で、白色雑音である。時系列信号が与えられた時、そのデータから係数の組{Ak }を求めることにより、その時系列信号に対する自己回帰モデルが決定される。
【0087】
いま係数の組{Ak }が求まった時、時系列信号データ{X(n)}を用いてY(n)を次のように定義する。この時Y(n)はX(n)の線型予測値といわれる。
【0088】
【数2】
Figure 0003759881
【0089】
そこで次のような量を計算すると、(1)、(2)式から、
X(n)−Y(n)=e(n) …(3)
となり、残差は白色雑音となる。つまり、第n時点の時系列信号データX(n)から、それ以前のMケのデータから求めた予測値Y(n)を減じると、入力の白色雑音が得られる。ここでは、X(n)から予測値Y(n)を減じて残差e(n)を求めることを、逆フィルタを作用させると称している。このようにある時系列信号を適切な自己回帰モデルで表すことができれば、それを用いて構成された逆フィルタを元の時系列信号に作用させることにより、白色雑音を得る。すなわち入力信号は逆フィルタにより、白色化される。この場合、入力時系列信号は逆フィルタの設計時に用いた信号そのものでなくてもよく、その自己回帰モデルが同一のものすなわち同じ特性の信号であれば、出力として白色化された信号を得ることができる。ただし、時系列信号の特性が設計に用いたそれと異なっていた場合には、逆フィルタを作用させても白色化はされず、白色雑音は得られない。
【0090】
そこで、正常時の作動音や振動等(作動音等)を担持する第1の時系列信号を用いて、逆フィルタを予め構成しておき、任意の時点で作動音等を担持する新たな第2の時系列信号を得、この第2の時系列信号に逆フィルタを作用させて出力を監視することにより、正常時とは異なる時系列信号(残差信号)を検出することが出来る。
【0091】
本実施形態では、具体的には、以下の信号処理方法を採用することができる。
【0092】
先ず、図5の基準演算部320において、設備が正常な状態にあるときに得られた音信号データあるいは振動信号データを1024点用いて、FFT(高速フーリェ変換)を行い、それから電力スペクトルを求める。次にそれをIFFT(逆高速フーリェ変換)して自己相関関数を求め、それを用いてLevinsonのアルゴリズム(例えば三上著「ディジタル信号処理入門」CQ出版発行参照)により計算し、逆フィルタの係数{Ak}を求める。
【0093】
その後、異常有無判定部330では、その逆フィルタを作用させて残差信号が求められるが、その残差信号を求めるための演算は、本実施形態では、係数{a[k]}を用いて移動平均計算により行なわれる。
【0094】
ここでは残差信号のパワーの移動平均を求めるために、まず残差信号の時系列から、128データを取り出し、FFT、パワースペクトル計算、IFFTを経て自己相関関数を求め、その原点のピーク値からパワーを求める。その後データの始点を50点ずつずらしながら、パワーを順次求める。
【0095】
逆フィルタとしては、一例として、次数M=27、係数{a[k]}は、表1のものが採用される。
【0096】
【表1】
a[ 0]= 1.000000
a[ 1]=−2.887330
a[ 2]= 3.947344
a[ 3]=−3.535249
a[ 4]= 2.447053
a[ 5]=−1.620133
a[ 6]= 1.315352
a[ 7]=−1.268161
a[ 8]= 0.937471
a[ 9]=−0.380573
a[10]=−0.040919
a[11]= 0.284076
a[12]=−0.353665
a[13]= 0.397849
a[14]=−0.533185
a[15]= 0.501902
a[16]=−0.238178
a[17]=−0.003048
a[18]= 0.192420
a[19]=−0.166854
a[20]=−0.010498
a[21]= 0.061383
a[22]= 0.017323
a[23]=−0.014146
a[24]=−0.131247
a[25]= 0.239157
a[26]=−0.242444
a[27]= 0.115678
【0097】
図12〜図15は正常状態にある設備から得られる波形の一例を示すものであり、図12は正常状態にある設備から採取された音信号の信号波形、図13はこの音信号に逆フィルタを作用させた後の残差信号の信号波形、図14はこの残差信号の電力スペクトル、図15は残差信号の電力の移動平均を示している。
【0098】
図16〜図19は、設備が異常状態にあるときに得られた波形の一例を示すもので、各図は、それぞれ図12〜図15と同じ形式の信号波形を示している。正常状態及び異常状態にある設備からそれぞれ得られた音信号の波形を示す図12及び図16を直接比較しても、これらから直ちに正常・異常を判断することは困難である。しかし、これらに逆フィルタを作用させて得られた残差信号を示す図13及び図17相互を分析することにより、正常・異常の判断が可能となる。
【0099】
図13及び図17を比較すると容易に理解できるように、設備が正常状態にあるときは、残差信号の振幅は極めて小さいが、これと比較し、設備が異常状態になるとその振幅は極めて大きくなる。従って、残差信号における電力の最大値を基準として正常・異常の判断が可能となる。例えば設備が正常状態にあるときに得られた信号の最大電力よりも10dB以上大きな残差信号の振幅を有する場合を異常、これ未満の残差信号の振幅を有する場合を正常と判定することで、正常・異常の判断を行なうことができる。
【0100】
また、図14及び図18に示されたように、残差信号をフーリエ変換して得られたスペクトルにおいては、異常が発生すると電力スペクトルの増大が生ずる。例えば、図14の電力のピークは100dB以下であるが、図18においては電力のピークはほぼ120dBに達している。
【0101】
更に、残差信号の電力の移動平均を示す図15及び図19相互の比較を行うと、異常によってこの移動平均が増大することがわかる。例えば、設備が正常状態にあるときの移動平均の最大値よりも20dB以上大きな移動平均データを示す場合は異常、これ未満のデータを示す場合は正常と判定できる。この方法を採用すると、異常の有無の判定が特に容易となり、短時間での異常検出が可能であるため、現場における実時間的な検出を行うことができて、特に好適である。なお、異常の種類によっては、電力の移動平均の分析よりも上記電力スペクトルの分析による検出の方が、より正確に欠陥の存在を検出できる。
【0102】
以上説明した実施形態は、本発明にいう基準波形情報として逆フィルタを作成しておき、残差信号を求めてその残差信号に基づいて異常の有無の検出を行なうものであるが、本発明は必ずしもこの検出方法を採用する必要はなく、例えば前述したスペクトル解析の手法や、統計的推定又は検定を行なう手法を採用してもよい。
【0103】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、材料加工の良、不良を、加工機械の異常とは区別して正確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の加工診断監視システムを示す概念図である。
【図2】 本発明の加工診断監視装置の一実施形態として動作する診断用コンピュータの外観斜視図である。
【図3】 図2に示す診断用コンピュータのハードウェア構成図である。
【図4】 本発明の一実施形態としての加工診断監視プログラムの構成を示す図である。
【図5】 本発明の加工診断監視装置の一実施形態の機能ブロック図である。
【図6】 非加工動作基準作成プログラムのフローチャートである。
【図7】 加工動作基準作成プログラムのフローチャートである。
【図8】 非加工動作異常検出プログラムのフローチャートである。
【図9】 加工動作異常検出プログラムのフローチャートである。
【図10】 図8,図9双方の異常検出プログラムに代えて採用することができる異常検出プログラムのフローチャートである。
【図11】 本発明の具体的な適用例を示す模式図である。
【図12】 正常状態にある設備から得られた音信号の波形図である。
【図13】 図12の信号に逆フィルタを作用させて得られた信号波形図である。
【図14】 図13の信号から得られた電力スペクトル図である。
【図15】 図13の信号から得られた電力の移動平均を示す図である。
【図16】 異常状態にある設備から得られた音信号の波形図である。
【図17】 図16の信号に逆フィルタを作用させて得られた信号波形図である。
【図18】 図17の信号から得られた電力スペクトル図である。
【図19】 図17の信号から得られた電力の移動平均を示す図である。
【符号の説明】
10 加工機械
20 加工制御装置
30 加工診断監視装置
105 CD−ROM
200 加工診断監視プログラム
210 信号取得部
220 基準演算部
230 異常有無判定部
300 加工診断監視装置
310 信号取得部
320 基準演算部
330 異常有無判定部
340 タイミング取得部
350 基準記憶部

Claims (3)

  1. 制御に応じて動作して材料の加工を行なう加工機械を制御する加工制御装置と、該加工制御装置に組み込まれあるいは該加工制御装置と連携して前記加工機械による材料の加工を監視し、該加工機械により加工された材料の加工の良、不良を診断する加工診断監視装置とを備えた加工診断監視システムにおいて、
    前記加工制御装置は、前記加工機械を材料加工用に動作させる加工動作制御モードと、前記加工機械を加工される材料なしで所定の動作をさせる非加工動作制御モードとの2つの制御モードで前記加工機械の動作を制御するものであって、
    前記加工診断監視装置は、
    前記加工機械から得られる、所定の物理量を担持する時系列信号を取得する信号取得部と、
    前記信号取得部で得られる、前記加工機械が前記加工動作制御モードによる制御を受けて動作しているタイミングにおける基準用時系列信号と前記加工機械が前記非加工動作制御モードによる制御を受けて動作しているタイミングにおける基準用時系列信号とのそれぞれについて各制御モードそれぞれに対応する各基準波形情報を求める基準演算部と、
    前記基準演算部で求められた各基準波形情報を、各制御モードに対応づけて記憶しておく基準記憶部と、
    前記信号取得部で得られる、前記加工機械が前記加工動作制御モードによる制御を受けて動作しているタイミングにおける診断用時系列信号と、前記基準記憶部に記憶されている、前記加工動作制御モードに対応する基準波形情報とに基づいて異常を検出する加工動作異常検出モードと、前記信号取得部で得られる、前記加工機械が前記非加工動作制御モードによる制御を受けて動作しているタイミングにおける診断用時系列信号と、前記基準記憶部に記憶されている、前記非加工動作制御モードに対応する基準波形情報とに基づいて異常を検出する非加工動作異常検出モードとを有し、前記加工動作異常検出モードにおいて異常が検出されるとともに前記非加工動作異常検出モードにおいて異常が検出されなかった場合に、前記加工機械により加工された材料の加工が不良であると判定する加工不良有無判定部とを備え、
    前記加工制御装置は、前記非加工動作制御モードによる制御を行なうにあたり、加工されるべき材料の有無の相違を除き、前記加工機械に、前記加工動作制御モードによる制御における前記加工機械の動作と同一の動作を含む動作を行なわさせるものであることを特徴とする加工診断監視システム。
  2. 前記加工不良有無判定部は、前記加工機械により加工された材料の加工の良、不良の判定を行なうと共に前期非加工動作異常検出モードによる異常検出結果に基づいて、前記加工機械自体の正常、異常を判定するものであることを特徴とする請求項1記載の加工診断監視システム。
  3. 前記基準演算部は、前記基準用時系列信号に基づいて、該基準用時系列信号を得たときの制御モードに対応する逆フィルタを求める演算を含む演算により、前記基準波形情報を求めるものであり、前記加工不良有無判定部は、前記診断用時系列信号に、該診断用時系列信号を得たときの制御モードと同一の制御モードに対応する逆フィルタを作用させることにより、残差信号を求める演算を含む演算を行ない、該演算の結果に基づいて、材料加工の良不良を判定するものであることを特徴とする請求項1記載の加工診断監視システム。
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