JP3759413B2 - ブロック変換符号化データの受信装置および受信方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ディジタル画像信号を小ブロックに分割し、ブロック毎に処理することによってデータ量を圧縮するブロック変換符号の符号化データを例えばディジタルVTRによって記録/再生するのに適用されるブロック変換符号化データの受信装置および受信方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディジタルビデオ信号を磁気テープ等の記録媒体に記録する時には、その情報量が多いので、記録/再生できる程度の伝送レイトを達成するために、高能率符号化によって、ディジタルビデオ信号を圧縮するのが普通である。高能率符号化としては、ディジタルビデオ信号を多数の小ブロックに分割し、ブロック毎に符号化処理を行うADRC、DCT(Discrete Cosine Transform)等が知られている。
【0003】
ADRCは、例えば特開昭61−144989号公報に記載されているような、2次元ブロック内に含まれる複数画素の最大値及び最小値により規定されるダイナミックレンジを求め、このダイナミックレンジに適応した符号化を行う高能率符号化である。DCTは、ブロックの画素をコサイン変換し、変換で得られた係数データを再量子化し、さらに、可変長符号化するものである。さらに、ブロック毎の平均値と、ブロック内の画素の平均値に対する差をベクトル量子化する符号化方法も提案されている。
【0004】
ブロック変換符号化で得られる符号化出力は、同等の重要度を有していない。ADRCでは、ダイナミックレンジ情報が再生側で分からないと、そのブロックの全ての画素にエラーが伝播するので、ブロック毎に検出されるダイナミックレンジ情報は、画素毎のコード信号に比して重要度が高い。ADRCの一つのタイプとして、ダイナミックレンジに適応して量子化ビット数を可変するものでは、ダイナミックレンジがエラーであると、そのブロックの量子化ビット数が受信側で分からなくなる。その結果、そのブロックと他のブロックとのデータの境界が不明となり、エラーが他のブロックにまで伝播する。DCTの場合では、DCTで発生した係数データ中で、直流分は、交流分に比して重要度が高い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ブロック符号化の出力を例えばディジタルVTRで記録/再生する時に、エラー訂正符号によって、記録/再生時のエラーに対して保護を行っている。エラー訂正符号の能力で訂正できないエラーが重要語に関して発生すると、そのブロックの全体にエラーが伝播していた。その対策として、同じ重要語を複数回、記録することも行われているが、冗長度が増大し、圧縮効率が下がってしまう。
【0006】
重要語がエラーのブロックに関しては、重要語のエラーを周辺ブロックと注目ブロックとの空間的な相関に基づいて、統計的な手法によって推定している。より具体的には、そのブロックの符号化値と周辺ブロックの境界の復号値とを使用した最小自乗法でエラーブロックの重要語を推定したり、周辺ブロックの境界データの最大値および最小値でこれを推定する。そして、推定された重要語を使用して復号を行っている。この重要語の推定は、精度が高いとしても、完全に元の重要語を復元できるわけではない。然も、重要語の推定の前提として、データのブロック毎の切出しが正しくされることが必要で、ブロック間に及ぶ伝播エラーの発生に対して、重要語を推定することができない。
【0007】
従って、この発明の目的は、冗長度の増大を抑えながら、重要語がエラーのためのエラー伝播を防止できるブロック変換符号化データの受信装置および受信方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、複数の画素からなるブロック毎のダイナミックレンジに応じて定まる割り当てビット数により複数の画素を量子化することで生成されるブロック変換符号化データの受信装置において、
複数のブロックのダイナミックレンジと、複数のブロックの割り当てビット数の加算データとを受信する受信手段と、
受信したダイナミックレンジのエラーを検出する検出手段と、
複数のブロック毎に割り当てビット数の加算データとエラーでないダイナミックレンジを有するブロックの割り当てビット数とを使用し、ダイナミックレンジがエラーであるブロックの割り当てビット数を求める演算手段と
を有することを特徴とするブロック変換符号化データの受信装置である。
【0009】
ADRCの場合の重要語は、ダイナミックレンジDRおよび最小値MINである。n個のダイナミックレンジDRの加算値、n個の最小値MINの加算値の下位nビットを伝送データ中に挿入する。これらのDR、MINの一つがエラーであって、加算値および他の重要語がエラーでないときには、受信側で正しい重要語を再生できる。同じ重要語を複数回、記録するのに比して冗長度を下げることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施形態について説明する。図1は、この一実施形態、すなわち、ディジタルVTRの信号処理の概略的構成を示す。1で示す入力端子からビデオ信号が供給され、A/D変換器2によって、1サンプルが例えば8ビットにディジタル化される。このA/D変換器2の出力データがブロック化回路3に供給される。この実施形態では、ブロック化回路3では、1フレームの有効領域が(4×4)画素、(8×8)画素等の大きさのブロックに分割される。
【0011】
ブロック化回路3からのブロックの順序に走査変換されたディジタルビデオ信号がシャフリング回路4に供給される。シャフリング回路4では、例えばブロックの単位で、シャフリングがなされる。シャフリングは、ブロックの空間的な位置をシャッフルするものである。シャフリング回路4の出力がブロック符号化回路5に供給される。ブロック符号化回路5は、ブロック毎に画素データを圧縮符号化する。シャフリング回路4がブロック符号化回路5の後に設けられることもある。
【0012】
この一実施形態では、ブロック符号化として、ADRCを用いている。ブロック符号化回路5では、各ブロックのダイナミックレンジDRと最小値MINとが検出され、最小値が除去されたビデオデータが量子化ステップで再量子化される。4ビット固定長のADRCの場合では、ダイナミックレンジDRを1/16とすることによって、量子化ステップΔが得られる。この量子化ステップΔで、最小値が除去されたビデオデータが除算され、商を切り捨てにより整数化した値が量子化データ(ビットプレーンとも称される)とされる。ダイナミックレンジDR、最小値MINおよび量子化データがブロック符号化回路5の出力データである。各ブロックに重要語として、ダイナミックレンジDRおよび最小値MINが発生する。後述のように、重要語に関しては、nブロックの重要語を集めて、加算等の処理を行ない、エラーに対する保護を強力としている。
【0013】
ブロック符号化回路5の出力データがパリティ発生回路6に供給される。パリティ発生回路6は、エラー訂正符号のパリティを発生する。エラー訂正符号としては、例えばデータのマトリクス状配列の水平方向および垂直方向のそれぞれに対してエラー訂正符号化を行う積符号を採用することができる。符号化データおよびパリティに対して、シンク(SYNC)ブロック同期信号およびID信号が付加される。シンクブロックが連続する記録データがチャンネル符号化回路7に供給され、直流分を低減させるためのチャンネル符号化の処理を受ける。
【0014】
チャンネル符号化回路7の出力データがビットストリームに変換され、さらに記録アンプ8を介して回転ヘッドHに供給され、記録データが磁気テープT上に斜めのトラックとして記録される。通常、複数の回転ヘッドが使用されるが、簡単のために、一つのヘッドのみが図示されている。
【0015】
磁気テープTから回転ヘッドHにより取り出された再生データは、再生アンプ11を介してチャンネル復号回路12に供給され、チャンネル符号化の復号がなされる。チャンネル復号回路12の出力データがエラー訂正回路13に供給され、積符号の復号がされる。エラー訂正回路13から発生する出力データには、再生データの他にエラー訂正した後のエラーの有無を示すエラーフラグが含まれる。図1では、エラーフラグの伝送路が破線により示されている。
【0016】
エラー訂正回路13の出力データが重要語訂正回路14に供給される。重要語訂正回路14は、エラーフラグによって、エラーであることが示される重要語を訂正するものである。重要語訂正回路14の出力データがブロック復号回路15に供給される。この復号回路15は、エラーでない重要語を使用してADRC復号を行い、また、重要語がエラーのブロックに関しては、重要語訂正回路14において、訂正された重要語を使用してADRCの復号を行う。重要語訂正回路14は、エラーを訂正できない場合に、重要語を推定する機能を有している。
【0017】
ブロック復号回路15では、例えばADRC復号の場合、量子化コードのビット数を4ビットとする時に、各画素の復号値Liを発生する。この復号値Liは次式で表される。
【0018】
但し、xiはコード信号の値、Δは量子化ステップ、〔 〕はガウス記号である。上式の〔 〕内の演算を例えばROMで実現し、最小値MINの加算を行う構成をブロック復号回路15が有している。
【0019】
ブロック復号回路15の復号データ、すなわち、各画素と対応する復元データがディシャフリング回路16に供給される。この回路16は、記録側のシャフリング回路4と相補的なもので、ブロックの空間的な位置を元の位置に戻す処理を行う。ディシャフリング回路16の出力データがブロック分解回路17に供給される。ブロック分解回路17によって、データの順序がブロックの順序からラスター走査の順序へ戻される。ブロック分解回路17の出力データがエラー修整回路18に供給される。エラー修整回路18は、画素単位でエラーであるデータを周辺の画素データで補間する。
【0020】
補間処理としては、空間的な補間回路と時間方向の補間回路とが順次接続されたものを使用できる。空間的補間回路は、エラーフラグを参照し、補間しようとする注目画素がエラーのときに、周辺画素でこのエラー画素を補間する。具体的には、周囲8点(上下、左右の4点と斜めの4点)の画素のエラーフラグを見て、最初に水平方向の補間、次に垂直方向の補間、さらに次に斜め方向の補間、最後に隣の画素で単に置き換える補間の優先順序で補間を行なう。補間がなされると、エラーフラグがリセットされる。この空間的補間回路で補間できなかった画素データがこの時間方向補間回路で補間される。時間方向補間回路は、エラーの画素と空間的に同一位置の以前のフレームの画素データによって、このエラーの画素を置き換えるものである。エラー修整回路18の出力データがD/A変換器19に供給され、出力端子20には、各画素と対応し、ラスター走査の順序の復元データが得られる。
【0021】
上述のディジタルVTRにおける重要語の処理の一例について、以下に説明する。処理方法の一例は、n個のブロックに関する重要語DRi、MINi(i=1〜n)の加算値DR−SUMi、MIN−SUMiを形成し、この加算値を記録するものである。すなわち、
DR−SUMj=ΣDRi ・・・(1)
MIN−SUMj=ΣMINi・・・(2)
ここで、Σは、i=1からi=nのものを加算することを意味する。
【0022】
記録/再生の過程で発生するエラーによって、k番目のブロックのDRkがエラーとなり、他の重要語が正しい場合には、加算値DR−SUMjからk番目のDRkを除くn−1個のダイナミックレンジDRの加算値を減算することで正しいDRk*を求めることができる。すなわち、
DRk*=DR−SUMj−ΣDRi・・・(3)
ここで、*は、復元されたものを意味し、Σは、i=1からi=nで、i=kを除いたDRiの加算を意味する。
このように、重要語の加算値が正しく、1個の重要語(DRk、MINk)がエラーの場合には、そのエラーを訂正することができる。
【0023】
n個の重要語の中で、2個以上の重要語がエラーの場合には、訂正できないが、付加情報をブロック復号回路15に送る。例えばDRuとDRvの2個のDRがエラーの場合には、付加情報として、
DRu,v=DR−SUMj−ΣDRi・・・(4)
ここで、Σは、i=1からi=nで、i=u、i=vを除くDRiの加算を意味する。
【0024】
この付加情報は、ブロック復号回路15における重要語の推定の精度の向上に役立つ。ブロック復号回路15において、DRuおよびDRvを最小自乗法等で推定して推定値DRu´,DRv´が得られる。DRu,v=DRu+DRvであるから、推定誤差の平均値hを次式で計算する。
h=1/2(DRu,v−DRu´−DRv´)・・・(5)
そして、推定値DRu´+h、DRv´+hと補正することによって、推定の精度を向上できる。
【0025】
図2は、上述の重要語の訂正を行うための重要語訂正回路14の一例である。図2において、前段のエラー訂正回路13からのエラーフラグが破線の経路で示されている。エラーフラグは、ダイナミックレンジDR、最小値MIN、量子化コードの各サンプルについて、それぞれエラーの有無を示す1ビットのデータである。再生データおよびエラーフラグが遅延回路21を介して重要語訂正回路22に供給される。また、再生データおよびエラーフラグが訂正重要語生成回路23にも供給される。さらに、エラーフラグがカウンタ24に供給される。
【0026】
カウンタ24は、加算値DR−SUM,MIN−SUMを構成するn−1の重要語のエラーフラグを計数する。カウンタ24の計数値が判定回路25に供給され、判定回路25は、計数値を参照して判定結果を発生し、この判定結果が訂正重要語生成回路23および重要語訂正回路22に供給される。判定結果に応答して重要語の訂正および付加情報の生成が回路23においてなされ、重要語訂正回路22が判定結果に応じて制御される。判定結果は、次の3個の場合を区別するものである。ダイナミックレンジDRについて述べるが、最小値MINの処理も同様であるので、その説明を省略する。
【0027】
(1)加算値DR−SUMおよびDRiが全て正しい
入力データおよびエラーフラグが遅延回路21で時間合わせされ、重要語訂正回路22を単に通過する。
(2)加算値DR−SUMが正しく、1個のDRkがエラーである
訂正重要語生成回路23が上述の式(3)の演算によって、正しいDRkを計算する。重要語訂正回路22は、遅延回路21からのDRkに代えて訂正されたDRkを選択し、DRkのエラーフラグをクリアする。
(3)加算値DR−SUMが正しく、2個以上のDRがエラーである
重要語訂正回路22は、遅延回路21を介された入力データおよびエラーフラグを単に通過させる。訂正重要語生成回路23は、上述の式(4)の計算を行ない、付加情報を発生する。この付加情報がブロック復号回路15に渡される。
【0028】
加算値を構成するn個の重要語の組合せとしては、種々のパターンが考えられる。図3は、シンクブロックのデータ構成の一例である。1トラックに記録される5個のシンクブロックが図3では、垂直方向に重ねられて示されている。各シンクブロックの先頭には、ブロック同期信号とID信号とが付加され、各シンクブロックの終わりには、積符号の内符号のパリティが付加されるが、これらについての図示が省略されている。
【0029】
各シンクブロックには、4個のADRCブロックの符号化データが格納される。例えば第1のシンクブロックには、4個のADRCブロックの符号化出力の重要語DR1〜DR4とMIN1〜MIN4と4個のADRCブロックの重要語の加算値DR−SUM1(=DR1+DR2+DR3+DR4)、MIN−SUM1(=MIN1+MIN2+MIN3+MIN4)とが格納される。重要語が1バイト長であり、加算値が2バイト長(少なくとも10ビット)である。各シンクブロックのデータ領域の残りのlの長さの領域には、その他の符号化データ(すなわち、量子化データ)が配される。従って、1シンクブロックのデータ領域の長さは、(12+l)バイトであり、1トラックには、L1 ×L2 =5×(12+l)バイトが記録される。
【0030】
ディジタルVTRの記録/再生の過程で発生するバーストエラーによって、重要語および加算値の両者がエラーとなることを避けるために、これらのデータは、異なるシンクブロックに配しても良い。図3中のL1(=5)個のシンクブロックを単位として重要語および加算値の配されるシンクブロックが異ならされる。一例として、第1シンクブロックの重要語の加算値が第3シンクブロックのDR−SUM3、MIN−SUM3として配されるように、5個のシンクブロックを単位として、加算値のシャフリングがなされる。
【0031】
重要語および加算値を異なるトラックに分離して記録することも、ヘッドクロッグに起因するバーストエラーの対策として有効である。例えば図4に示すように、4個の回転ヘッドによって並列に4個のトラックT1〜T4がそれぞれ磁気テープ上に形成され、各トラックに重要語(DR、MIN)および量子化データQが記録される時には、次のようにして、重要語および加算値が記録される。
【0032】
第1トラックT1、第2トラックT2、第3トラックT3の中から1個ずつの重要語例えばDR11、DR21、DR31を選択し、これらの加算値を第4トラックの加算値記録領域(図示せず)に格納する。次に、トラックT4、T1、T2の中から各1個ずつのDR42、DR12、DR22を選択し、これらの加算値をトラックT3の加算値記録領域に格納する。その次には、トラックT3、T4、T1の中から各1個ずつのDR33、DR43、DR13を選択し、これらの加算値をトラックT2の加算値記録領域に格納する。最小値MINについても同様である。このように、4トラックを単位として、加算すべき重要語を持ってくるトラックを順番にずらす。そして、求められた加算値は、重要語を持ってきたトラック以外のトラックに記録する。
【0033】
このようなトラック分配を行うと、例えば第2トラックのデータ(DR21等)が全体としてヘッドクロッグによって再生できず、第1および第3トラックのデータDR11、DR31と第4トラックの加算値を再生できたとすると、DR21を復元することができる。他の第2トラックの重要語についても、同様にして第1、第3、第4トラックのデータから形成できる。トラックT2の量子化データQ21については、周辺の正しい画素データを使用した補間によって修整される。このように、第2トラックのデータを復元することが可能となる。
【0034】
以上の例では、n個の重要語から1個の加算値を形成している。しかしながら、一般的にn個の重要語加算値が格納されて、m個の重要語を加算して1個の重要語加算値を作るとすると、
Σa(i,j)×DRj=DR−SUMi(i=0〜n−1)・・・(6)
但し、Σは、j=0からj=m−1までの加算を意味し、a(i,j)は、どのDRを加えるかを示す加算パターンである。上式の連立方程式を解くことによって、複数のエラーの重要語DRjを訂正できる。但し、加算値のデータ量が増大し、圧縮効率の低下が生じる。
【0035】
この発明では、必要なビット数を低減するようにしたものである。図4の例のように、3個のトラックから選択した重要語(各8ビット)を加算して生じる加算値は、10ビット必要である。4個までの重要語の加算値は10ビットに収まる。DR−SUMとMIN−SUMとの合計で20ビットとなる。一つのADRCブロックから発生した符号化データを複数のシンクブロックに格納し、各シンクブロックに同一の重要語を格納するのと比較すると、冗長度を下げることができる。しかしながら、なお、加算値の20ビットは、冗長度として小さいとは言えない。
【0036】
この加算値のビット数を削減するために、加算値の下位8ビットのみを伝送(または記録)する。ここで、下位8ビットを選択する論理を記号L8で表すと、ダイナミックレンジDRの加算値は、下式で表すことができる。
【0037】
DR−SUM´=L8〔ΣDRi〕・・・(7)
Σは、i=1からi=nまでの加算を意味する。
同様に、最小値MINの加算値は、
MIN−SUM´=L8〔ΣMINi〕・・・(8)
Σは、i=1からi=nまでの加算を意味する。
【0038】
このような処理を記録側で行なった場合で、j番目のブロックのDRjがエラーであったとすると、これは、次式で正しく復元される。
DRj*=L8〔 256+DR−SUM´−L8〔ΣDRi+Σ´DRi〕〕・・・(9)
*は、復元値を意味し、Σは、i=1〜j−1の加算を意味し、Σ´は、i=j+1〜nの加算を意味する。256の加算は、DRj*が負となることを防止するためである。
【0039】
つまり、n個のブロックのダイナミックレンジDRの内で、エラーが1個のみで、加算値DR−SUM´がエラーでなければ、正しく復元できる。最小値MINについても同様である。すなわち、
MINj*=L8〔 256+MIN−SUM´−L8〔ΣMINi+Σ´MINi〕〕・・・(10)
*は、復元値を意味し、Σは、i=1〜j−1の加算を意味し、Σ´は、i=j+1〜nの加算を意味する。256の加算は、MINj*が負となることを防止するためである。
【0040】
以上のようにして、重要語を加算し、その加算値の下位8ビットを伝送することで、加算値のビット数が削減でき、冗長度が高くなることを抑えることができる。
【0041】
上述の実施形態では、単純加算値を形成している。しかし、排他的論理和(EXOR)を単純加算の代わりに使用しても良い。
【0042】
以上のように、加算値の下位8ビットデータを形成して、伝送した場合、受信(再生)側においてのエラー処理(例えばダイナミックレンジDRに関して)の流れの一例を図5に示す。
【0043】
まず、加算値(加算値の下位8ビットを意味する。以下同様)に関してエラーの有無がステップ31で調べられる。エラーが無いときは、処理が終了する。エラーがあるときには、次のステップ32において、シンクブロック内のダイナミックレンジDRにエラーがあるかどうか調べられる。ここでは、加算値が同一シンクブロック内のn個のDRから形成されているものとする。エラーが無いときは、処理が終了する。
【0044】
エラーがあるときには、さらに次のステップ33において、n個内でエラーが2以上かどうかが調べられる。エラーが2以上でないとき、すなわち、エラーが1のときは、ステップ35に処理が移行し、上述のように、このエラーが加算値と他の正しいDRを使用して訂正される。
【0045】
エラーが2個以上の場合には、付加情報が形成され、これが次のブロック復号化回路へ伝送される(ステップ34)。これで、処理が終了する。図5の処理は、最小値MINについても、同様である。
【0046】
ここで、エラー訂正符号化としては、シンクブロック内のデータに関してのエラー訂正符号化と複数のシンクブロックの縦方向のエラー訂正符号化とを組み合わせる積符号が使用されることが多い。そして、実際には、複数のデータ(バイト)の中でエラーであるものがエラー訂正符号の能力を超える時には、その複数のデータの全体がエラーデータとされる。従って、複数のデータ中でも、重要語およびその加算値が実際にエラーでない確率の場合も結構存在する。ダイナミックレンジDRについて、そのような一例を以下に示す。エラーフラグの"0" は、正しいことを表し、その"1" は、エラーがあることを表す。
【0047】
【表1】
【0048】
そこで、重要語の訂正処理として、図6に示すように、加算値と各ダイナミックレンジDRを加算した値とが一致するかどうかを調べるステップ46を図5の処理に対して追加する。図6中で、ステップ41〜45は、図5中のステップ31〜35とそれぞれ対応するものである。そして、これが一致する時には、ステップ47で示すように、重要語および加算値が正しいものとして、エラーフラグをリセットする。そして、処理が完了する。
【0049】
上述の表の例では、エラーフラグが全てリセットされる。但し、この表において、再生されたDR1の値が23で、再生されたDR3の値が126である時には、これらの誤差が相殺して、加算値DR−SUMが408となってしまう。しかしながら、、このような確率は、比較的低く、重要語が正しいにもかかわらず、エラーと判断されることを回避できる利点は大きい。
【0050】
以上の実施形態は、固定長ADRCにおける重要語(ダイナミックレンジDRおよび最小値MIN)の処理である。この発明は、固定長ADRCに限らず、可変長ADRCの重要語(DRおよびMIN)に対しても適用できる。さらに、この発明は、可変長ADRCにおける量子化ビット数の情報のエラー対策としても有効なものである。次に、可変長ADRCの量子化ビット数の情報に対して、この発明を適用した実施形態について説明する。
【0051】
可変長ADRCは、上述の固定長ADRCの効率をより改善するものであって、量子化ビット数として、例えば0、1、2、3ビット(0ビットは、量子化コードを伝送しないことを意味する)を用意し、ダイナミックレンジDRが大きい時には、量子化ビット数を多くし、これが小さい時には、量子化ビット数を少なくするものである。従って、各ブロックに割り当てられる量子化ビット数は、各ブロックのダイナミックレンジDRから知ることができる。より具体的には、4個のしきい値T1、T2、T3、T4が用意され、(DR<T1)の場合には、割り当てビット数nが0とされ(即ち、コード信号が伝送されず)、(T1≦DR<T2)の場合には、(n=1)とされ、(T2≦DR<T3)の場合には、(n=2)とされ、(T3≦DR<T4)の場合には、(n=3)とされ、(T4≦DR)の場合には、(n=4)とされる。
【0052】
再生側では、ダイナミックレンジDRがエラーとなると、そのブロックに割り当てられた量子化ビット数が不明となり、正しく各ブロックの量子化コードを切り出すことができず、エラーが他のブロックの量子化コードにまで波及する伝播エラーが発生する。この問題を解決するために、この発明の実施形態では、所定期間例えば1シンクブロック内に含まれる量子化コードの割り当てビット数の加算値N−SUMを伝送する。
【0053】
図7は、加算値N−SUMを記録するようにした例のデータ構成を示す。図3のデータ構成と同様に、5個の連続するシンクブロックが垂直方向に重ねられて示されている。各シンクブロックの先頭には、ブロック同期信号とID信号とが付加され、各シンクブロックの終わりには、積符号の内符号のパリティが付加されるが、これらについての図示が省略されている。
【0054】
各シンクブロックには、4個のADRCブロックの符号化データが格納される。例えば第1のシンクブロックには、4個のADRCブロックの符号化出力の重要語DR1〜DR4とMIN1〜MIN4とこの第1シンクブロック内の量子化コードの割り当てビット数の加算値N−SUMと量子化コードBP1〜BP4とが格納される。BP1〜BP4のそれぞれの割り当てビット数をBA1〜BA4とすると、
N−SUM=BA1+BA2+BA3+BA4・・・・(23)
である。
【0055】
割り当てビット数の最大値が4ビットであるから、4個のブロックで、加算値N−SUMの最大値は、16である。これは、4ビットで表現できるが、データ構成上では、1バイトがN−SUMに対して割り当てられている。各シンクブロックの先頭の9バイトは、固定長データ領域である。各シンクブロックのデータ領域の残りのlの長さの領域には、4個のブロックの量子化データBPi〜BPi+3 が配される。従って、1シンクブロックのデ−タ領域の長さは、(9+l)バイトである。第1〜第5シンクブロックのデータ量は、5×(9+l)バイトである。
【0056】
このように加算値N−SUMを記録することで、伝播エラーを防止することができる。例えば第1シンクブロックのダイナミックレンジDR3がエラーとなると、従来では、量子化コードBP3の割り当てビット数BA3が不明となる。しかしながら、BA3=N−SUM−(BA1+BA2+BA4)の演算によって、割り当てビット数BA3が再生側で分かる。これによって、量子化コードBP3の切出しを正しく行うことができ、その結果、BP4をも正しく切り出すことができる。ダイナミックレンジDR3自体は、訂正できないので、補間等によってダイナミックレンジDR3を推定する必要がある。
【0057】
以上の例では、4個の量子化ビット数を加算して加算値N−SUMを形成している。これをさらに拡張すると、異なるシンクブロック内、異なるトラック内のように、種々のパターンの量子化ビット数をの加算値を格納すれば、1個の場合に限らずそれ以上のエラーも訂正できる。つまり、n個の加算値N−SUMiが格納されているとすると、
Σa(i,j)×BAj=N−SUMi(i=0〜n−1)・・・(24)
但し、Σは、j=0からj=n−1までの加算を意味し、a(i,j)は、どのBAを加えるかを示す加算パターンである。上式の連立方程式を解くことによって、複数のエラーの量子化ビット数BAjを訂正できる。
【0058】
一例として、図7のデータ構成において、各シンクブロック内の量子化ビット数の加算値のみならず、5シンクブロックの縦方向の量子化ビット数の加算値も格納されているものとする。例えばBA3、BA7、BA11、BA15、BA19の加算値N−SUMjも格納されていると、DR3およびDR4の2個がエラーとなっても、量子化ビット数が分かる。すなわち、まず、BA7、BA11、BA15、BA19と加算値N−SUMjとによって、BA3を訂正できる。次に、BA1、BA2、訂正後のBA3を用いて、BA4を訂正することができる。
【0059】
図8は、加算値N−SUMを使用して正しい割り当てビット数の情報を得るための回路の一例である。図8において、前段のエラー訂正回路からのデータおよびエラーフラグがビット割り当て決定回路51に供給される。エラーフラグは、ダイナミックレンジDR、最小値MIN、量子化コードの各サンプルについて、それぞれエラーの有無を示す1ビットのデータである。また、エラーフラグがカウンタ53に供給される。
【0060】
カウンタ53は、各シンクブロックのダイナミックレンジDRおよび加算値N−SUMに関するエラーフラグを計数する。カウンタ53の計数値が判定回路54に供給され、判定回路54は、計数値およびエラーフラグを参照して判定結果を発生し、この判定結果がビット割り当て訂正回路55および選択回路52に供給される。判定結果に応答して量子化ビット数の訂正がビット割り当て訂正回路55においてなされ、選択回路52が判定結果に応じて制御される。判定結果は、次の三つの場合を区別するものである。
【0061】
(1)ダイナミックレンジDRが全て正しい
ビット割り当て決定回路51でダイナミックレンジDRから求められた割り当てビット数を選択回路52が選択する。
(2)加算値N−SUMが正しく、1個のDRkがエラーである
訂正回路55が上述のように、正しいk番目のブロックの量子化ビット数BAkを計算する。選択回路52は、決定回路51からの情報に代えて訂正されたBAkを選択し、BAkのエラーフラグをクリアする。
(3)N−SUMおよびDRに関して2個以上がエラーである
この場合には、訂正不可能であり、選択回路52は、二つの入力の何れを選択しても良い。
【0062】
選択回路52からの量子化ビット数情報がビットプレーン切出し回路56に供給され、シンクブロック内の量子化コードBPが正しい区切りで切り出される。この切出し回路56の出力がADRCデコーダ57に供給され、ADRCの復号がなされる。なお、可変長ADRCの場合には、所定期間例えば1トラック、複数シンクブロック、1シンクブロック等の所定期間の量子化データのデータ量を一定に制御するバッファリング処理がなされる。このバッファリング処理がされる場合にも、この発明は、適用できる。
【0063】
また、ブロック符号化としてADRCを用いているが、DCT等の他のブロック符号化を用いても良い。
【0064】
【発明の効果】
この発明は、複数の重要語の加算値を記録しているので、加算値の下位ビットを記録することにより、同一の重要語を複数回、記録するのと比べれば、冗長度が低く、重要語を修整できる利点がある。また、加算値の下位ビットを使用することによって、冗長度の増大を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を適用することができるディジタルVTRの記録/再生回路のブロック図である。
【図2】この発明の一実施形態における重要語の訂正回路の一例の構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の一実施形態におけるシンクブロックの構成の一例を示す略線図である。
【図4】この発明の一実施形態における複数トラックへの記録方法を説明するための略線図である。
【図5】この発明の一実施形態における重要語の訂正アルゴリズムの一例を説明するためのフローチャートである。
【図6】この発明の一実施形態における重要語の訂正アルゴリズムの他の例を説明するためのフローチャートである。
【図7】この発明の他の実施形態におけるシンクブロックの構成の例を示す略線図である。
【図8】この発明の他の実施形態における量子化ビット数の訂正回路の一例のブロック図である。
【符号の説明】
14・・・重要語訂正回路、23・・・訂正重要語生成回路
Claims (2)
- 複数の画素からなるブロック毎のダイナミックレンジに応じて定まる割り当てビット数により上記複数の画素を量子化することで生成されるブロック変換符号化データの受信装置において、
複数の上記ブロックの上記ダイナミックレンジと、複数の上記ブロックの上記割り当てビット数の加算データとを受信する受信手段と、
受信した上記ダイナミックレンジのエラーを検出する検出手段と、
複数の上記ブロック毎に上記割り当てビット数の加算データとエラーでないダイナミックレンジを有するブロックの上記割り当てビット数とを使用し、上記ダイナミックレンジがエラーであるブロックの上記割り当てビット数を求める演算手段と
を有することを特徴とするブロック変換符号化データの受信装置。 - 複数の画素からなるブロック毎のダイナミックレンジに応じて定まる割り当てビット数により上記複数の画素を量子化することで生成されるブロック変換符号化データの受信方法において、
複数の上記ブロックの上記ダイナミックレンジと、複数の上記ブロックの上記割り当てビット数の加算データとを受信する受信ステップと、
受信した上記ダイナミックレンジのエラーを検出する検出ステップと、
複数の上記ブロック毎に上記割り当てビット数の加算データとエラーでないダイナミックレンジを有するブロックの上記割り当てビット数とを使用し、上記ダイナミックレンジがエラーであるブロックの上記割り当てビット数を求める演算ステップと
を有することを特徴とするブロック変換符号化データの受信方法。
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