JP3758470B2 - エアバッグの折畳み構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアバッグ装置におけるエアバッグの折畳み構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
インストルメントパネルに配設される助手席用エアバッグ装置は、ケース内にガス発生器であるインフレータとエアバッグとを収納してなる。かかるエアバッグは、一般に、矩形状の口元部から乗員を受け止める正面部にかけて逆テーパ状に広がる横倒略四角錐状をなし、この口元部が略同一形状をなすケース開口部に固定されている。そして、エアバッグは、ケース内に折畳まれた状態で収納され、車両衝突時に、インフレータの発するガスによってケース開口部から車両後方に向って膨出展開し、これにより乗員の体を受け止めるよう構成されている。
【0003】
このようなエアバッグの折畳み構造として、特開平11−34783号公報には、エアバッグの両側部の左右への展開を促進するために、図8に示すように、平らに広げたエアバッグ100の両側部101,102をそれぞれケース103側にロール状に折畳んで、エアバッグ100を口元部104の幅とほぼ同一幅の帯状体105に形成し、この帯状体105のエアバッグ上部側106と下部側107とをそれぞれ折畳んでケース103内に収納する構造が開示されている。
【0004】
また、特開平11−91471号公報には、図9に示すように、エアバッグ110の両側部111,112をバッグ内部に蛇腹状に折り込んで、エアバッグ110を口元部114の幅とほぼ同一幅の帯状体115に形成し、この帯状体115のエアバッグ上部側116と下部側117とをそれぞれ折畳んでケース113内に収納する構造が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図8に示す折畳み構造は、従来の一般的な折畳み構造に比べればエアバッグ両側部の左右への展開を促進することができるが、展開初期に乗員拘束面を形成することが必ずしも容易ではない。
【0006】
一方、図9に示す折畳み構造では、エアバッグ両側部の横方向への迅速な展開が得られるものの、両側部をバッグ内部に蛇腹状に折り込むものであるため、機械的に折畳みにくく、生産性が低いという問題がある。すなわち、図9に示すようにバッグ内部に複数段に折り込むためには、外側の折り目部分118を保持しながら、内側の折り目部分119をバッグ内に折り込む必要があり、折畳み工程が複雑となる。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、横方向への迅速な展開を図り、展開初期に乗員拘束面を形成することができるとともに、生産性に優れるエアバッグの折畳み構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のエアバッグの折畳み構造は、インフレータを内部に収納するケースの開口部にエアバッグの矩形状の口元部を固定してなるエアバッグ装置において、エアバッグを前記口元部を略中心に平らに広げ、該口元部の左右の側辺延長線から横に出る両側部をそれぞれ前記側辺延長線に略平行な折り目で二つ折して、2つの折畳み片がケース側に蛇腹状に折り重ねられるように折畳んで、エアバッグを前記口元部の幅とほぼ同一幅の帯状体に形成し、この帯状体のエアバッグ上部側と下部側とをそれぞれ折畳んで前記ケース内に収納してなるものである。
【0009】
このエアバッグの折畳み構造では、エアバッグの両側部を、それぞれ側辺延長線に略平行な折り目により各折畳み片がケース側に順次に積み重ねられるように折畳んでいる。すなわち、エアバッグの両側部をケース側に蛇腹状(つづら折り状)に折畳んでいる。そのため、この両側部の横方向への展開が迅速になり、展開初期から乗員拘束面を形成することができる。すなわち、たとえ蛇腹状でも反ケース側に折畳まれている場合には、両側部が迅速に展開したとしても横方向への迅速な展開まで保証することはできない。ケース側に、しかも蛇腹状に折畳むからこそ、両側部の迅速な展開とともに、横方向への迅速な広がりを達成することができる。
【0010】
また、本発明の折畳み構造であると、上記従来のようにエアバッグの両側部をバッグ内部に蛇腹状に折り込むものではないので、エアバッグを折畳みやすく、生産性に優れる。
【0012】
更に、上記のように両側部を二つ折によりケース側に蛇腹状に折畳むことにより、横方向への展開を更に迅速にすることができ、また、両側部の折畳み工程が更に簡素化され、生産性をより向上することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0014】
図1〜4は、本発明の一実施形態に係るエアバッグ装置のためのエアバッグの折畳み工程を示す斜視図であり、図においてFは車両前方、Rは車両後方を示している。
【0015】
このエアバッグ装置は、図6に示すように、インストルメントパネル1の上面部に配設される助手席用エアバッグ装置であり、エアバッグ10と、円筒状のインフレータ12と、該インフレータ12を覆ってガスを整流するディフューザ14と、これらを収納する上方に開口するケース16とよりなり、インフレータ12の発するガスにより、エアバッグ10が膨張し、その膨張圧力によりインストルメントパネル1の上面部が開口し、その開口部からエアバッグ10が車両室内に膨張展開して乗員を受け止めるように構成されている。
【0016】
ケース16は矩形の開口部を有する箱型容器であり、その車両前方側にインフレータ12が軸方向を車両幅方向に向けて配され、車両後方側にエアバッグ10の収納空間が設けられている。
【0017】
エアバッグ10は、矩形状の口元部20から乗員を受け止める矩形状の正面部22にかけて逆テーパ状に広がる横倒略四角錐状をなし、この口元部20が、ケース16の開口縁部に、バッグリテーナ18を介してリベットやボルトナット等により取付固定されている。
【0018】
このエアバッグ10をケース16内に折畳んだ状態で収納する際の折畳み構造について説明する。
【0019】
(1)まず、図1に示すようにエアバッグ10を膨張させた状態から、上下左右に引張って、図2及び図5(a)に示すように、エアバッグ10を、口元部20を略中心に平らに広げて、扁平な状態にする。すなわち、平面状に広げたエアバッグ10において、その幅方向中央に口元部20が位置し、しかも口元部20の上下にもエアバッグ10が広がるようにしている。なお、口元部20に対するエアバッグ10の上下の寸法比率は、搭載車種などに応じて適宜に設定することができる。
【0020】
(2)つぎに、この扁平な状態で、口元部20の左右の側辺を延長した側辺延長線L,Lからそれぞれ横に出る部分である両側部24,24をケース16側に蛇腹状に折畳んで、図3及び図5(b)に示すように、エアバッグ10を口元部20の幅とほぼ同一幅を有し、かつ、口元部20の車両前後方向にわたって延びる帯状体26に形成する。
【0021】
詳細には、両側部24,24を、それぞれ側辺延長線L,Lに略平行な折り目M,Mで、側辺延長線L寄りの折畳み片24a、24bから順次にケース16側に折り重ねられるように折畳んで、帯状体26を形成する。この実施形態では、側部24を車両幅方向に略二等分する位置に折り目Mを設定し、この折り目Mでエアバッグ両側部24,24をそれぞれ二つ折して、まず内側の折畳み片24aを下側に折り重ね、次いで外側の折畳み片24bをその下に折り重ねている。
【0022】
(3)その後、図4に示すように、この帯状体26の車両前方側部分であるエアバッグ上部側28を蛇腹状に折畳み、車両後方側部分であるエアバッグ下部側30をロール状に折畳む。
【0023】
詳細には、エアバッグ上部側28については、口元部20から先端部28aまでの間に位置する一連の折り目により、各折畳み片が帯状体26の下面側に順次に折り重ねられるように折畳む。エアバッグ下部側30については、その先端部30aが内部になるように巻き込んでおり、帯状体26の上面側にロール状の折畳み部が形成されている。
【0024】
(4)そして、図6に示すように、ケース16内における車両後方側のエアバッグ収納空間に、エアバッグ下部側30の折畳み部分を収納し、その上にエアバッグ上部側28の折畳み部分を収納する。
【0025】
なお、図1〜4においては、エアバッグ10をケース16の開口縁部に取付けた状態で折畳むものとして示しているが、上記(1)〜(3)でエアバッグ10を折畳んだ後に、その口元部20をケース16の開口部に固定し、その後、上記(4)でエアバッグ10をケース16内に収納してもよい。
【0026】
以上説明した本実施形態の折畳み構造では、エアバッグ10の車両幅方向の両側部24,24がケース16側に蛇腹状に折畳まれているので、この両側部24,24の横方向、即ち車両幅方向への展開が非常に迅速であり、エアバッグ10の展開初期から乗員拘束面を形成することができる。すなわち、たとえ蛇腹状であっても反ケース側、即ち乗員側に折畳まれている場合には、両側部24,24が迅速に展開したとしても車両幅方向への迅速な展開まで保証することはできない。ケース16側に、しかも蛇腹状に折畳むからこそ、両側部24,24の迅速な展開とともに、車両幅方向への迅速な広がりを達成することができる。
【0027】
また、この折畳み構造では、エアバッグ10の両側部24,24を二つ折により蛇腹状に折畳んでいるので、折畳みやすく、生産性に優れる。
【0028】
また、エアバッグ上部側28を蛇腹状に、下部側30をロール状に折畳んでいるので、エアバッグ10の上部側28の展開を下部側30よりも促進することができる。
【0029】
なお、帯状体26におけるエアバッグ上部側28と下部側30の折畳み方式は、搭載車種に応じて適宜に選択することができる。この折畳み方式としては、図7(a)〜(d)に示すものが挙げられる。図7(a)の折畳み方式では、上記実施形態のエアバッグ上部側28と同様に、帯状体26の下面側、即ちケース16側に蛇腹状に折畳んでいる。図7(b)の折畳み方式では、帯状体26の下面側にロール状に折畳んでいる。図7(c)の折畳み方式では、帯状体26の上面側、即ち反ケース側に蛇腹状に折畳んでいる。図7(d)の折畳み方式では、上記実施形態のエアバッグ下部側30と同様に、帯状体26の上面側にロール状に折畳んでいる。好ましい組み合わせとしては、エアバッグ上部側28を図7(a)又は(c)の折畳み方式とし、下部側30を図7(b)又は(d)の折畳み方式とする場合が挙げられる。
【0033】
【発明の効果】
本発明のエアバッグの折畳み構造であると、エアバッグの両側部をケース側に蛇腹状に折畳んでいるため、この両側部の横方向への展開が迅速であり、展開初期から乗員拘束面を形成することができる。また、折畳みやすく、生産性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施形態におけるエアバッグの膨張時の斜視図である。
【図2】同実施形態においてエアバッグを広げた状態を示す斜視図である。
【図3】同実施形態において帯状体を形成した状態を示す一部欠截斜視図である。
【図4】同実施形態において帯状体のエアバッグ上部側と下部側を折畳んだ状態を示す斜視図である。
【図5】(a)は図2のA−A線断面図、(b)は図3のB−B線断面図である。
【図6】同実施形態におけるエアバッグ装置の断面図である。
【図7】(a)〜(d)はエアバッグ上部側と下部側の折畳み方式の例を示す拡大斜視図である。
【図8】従来のエアバッグの折畳み構造における帯状体を形成した状態を示す一部欠截斜視図である。
【図9】従来のエアバッグの折畳み構造における帯状体を形成した状態を示す一部欠截斜視図である。
【符号の説明】
10……エアバッグ
12……インフレータ
16……ケース
20……エアバッグの口元部
24……エアバッグの両側部
24a,24b……折畳み片
26……帯状体
28……エアバッグの上部側
30……エアバッグの下部側
L……側辺延長線
M……折り目
Claims (1)
- インフレータを内部に収納するケースの開口部にエアバッグの矩形状の口元部を固定してなるエアバッグ装置において、
エアバッグを前記口元部を略中心に平らに広げ、該口元部の左右の側辺延長線から横に出る両側部をそれぞれ前記側辺延長線に略平行な折り目で二つ折して、2つの折畳み片がケース側に蛇腹状に折り重ねられるように折畳んで、エアバッグを前記口元部の幅とほぼ同一幅の帯状体に形成し、
この帯状体のエアバッグ上部側と下部側とをそれぞれ折畳んで前記ケース内に収納してなるエアバッグの折畳み構造。
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