JP3756789B2 - 乗り物用シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、乗り物用シート、特に追突時などの二次衝突荷重が発生した乗員の頸部を保護したアクティブヘッドレスト機構を備えた乗り物用シートの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のアクティブヘッドレスト機構を備えた乗り物用シートとしては、例えば特開2001−58528号公報に示すように、シートバックフレームの上端部に対して前後に回転自在に支持されてなるヘッドレスト支持部材と、該ヘッドレスト支持部材にステーを介して支持されてなるヘッドレストと、前記ヘッドレスト支持部材に上端部が支持され且つ追突に伴う乗員の衝撃荷重を受け得る位置に受圧部を下端部に支持されてなる受圧部材とより構成されてなるものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、ヘッドレストのみに子供が乗るなど、ヘッドレスト単体に高負荷が加わると、ヘッドレスト支持部材が変形してしまうおそれがある。
【0004】
この発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、ヘッドレストのみに荷重が加わっても、該ヘッドレストを支持したヘッドレスト支持部材の変形が生じない乗り物用シートを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、シートバックフレームと、該シートバックフレームに前後回転自在に軸支されてなるヘッドレスト支持部材と、該ヘッドレスト支持部材の貫通孔にヘッドレストホルダーを介して支持されてなるステーと、該ステーにより保持されてなるヘッドレストと、前記ヘッドレスト支持部材より垂下されてなると共に乗員の背中に対応した位置に配してなるプロテクタを有する受圧部材とを少なくとも備えてなる乗り物用シートであって、前記ヘッドレスト支持部材の上面部には、追突に伴う二次衝突時におけるヘッドレストの支持位置を後限界とし且つシートバックへの該二次衝突時における荷重でなく、ヘッドレストのみに荷重が加わった時の支持位置を前限界とした前後に長尺な規制貫通孔が形成されてなり、前記シートバックフレームには、前記規制貫通孔を通して固定されると共に前記ヘッドレスト支持部材を所定距離以上移動させないストッパ手段を備えてなる。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、ヘッドレスト支持部材の上面部には、追突に伴う二次衝突時におけるヘッドレストの支持位置を後限界とし且つシートバックへの該二次衝突時における荷重でなく、ヘッドレストのみに荷重が加わった時の支持位置を前限界とした前後に長尺な規制貫通孔が形成されてなり、前記シートバックフレームには、前記規制貫通孔を通して固定されると共に前記ヘッドレスト支持部材を所定距離以上移動させないストッパ手段を備えてなることで、シートバックへの該二次衝突時における荷重でなく、ヘッドレストのみに荷重が加わった場合、該ヘッドレストのステーの荷重がヘッドレスト支持部材に加わるが、ヘッドレスト支持部材は、ストッパ手段により移動できないで保持されて、該荷重が吸収され、ヘッドレストを支持したヘッドレスト支持部材の変形が生じない。
【0007】
また、ヘッドレスト4を支持したヘッドレストホルダー9を支持したヘッドレスト支持部材7が、シートバックフレーム5間に架設されているので、乗員の追突に伴う二次衝突力が発生したときには、ヘッドレスト4の前後移動が適切に行われ、乗員の頸部の保護がより確実に行われる
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の乗り物用シートであって、前記ストッパ手段は、前記シートバックフレームに固定されたナットに螺合されてなると共に前記規制貫通孔より突出してなる裸子よりなる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、裸子にはヘッドレスト支持部材により剪断応力が加わるが、該裸子がシートバックフレームに螺合されていることで、ヘッドレスト支持部材に加わった荷重がシートバックフレームに分散することになり、シートバックフレームへの負荷が集中応力とならず、シートバックフレームの変形がより防止できる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の乗り物用シートであって、前記ストッパ手段は、前記シートバックフレームに切り起こされてなると共に前記規制貫通孔より上端部が突出してなる切り起しブラケットよりなる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、切り起しブラケットにはヘッドレスト支持部材により剪断応力が加わるが、該切り起しブラケットがシートバックフレームに形成されていることで、ヘッドレスト支持部材に加わった荷重がシートバックフレームに分散することになり、シートバックフレームへの負荷が集中応力とならず、シートバックフレームの変形がより防止できる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の乗り物用シートであって、前記ストッパ手段は、前記シートバックフレームに固設されてなると共に前記規制貫通孔より上端部が突出してなるブラケットよりなる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、ブラケットにはヘッドレスト支持部材により剪断応力が加わるが、該ブラケットがシートバックフレームに固設されていることで、ヘッドレスト支持部材に加わった荷重がシートバックフレームに分散することになり、シートバックフレームへの負荷が集中応力とならず、シートバックフレームの変形がより防止できる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の乗り物用シートであって、前記ストッパ手段の周囲には、非金属のカラーが配設されてなる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、非金属のカラーによりストッパ手段の周囲が覆われているので、金属同士が干渉する時に発生する金属音の発生が無く、荷重もカラーで吸収できる余地があるので、その分、シートバックフレームへ加わる荷重が少なくなる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の乗り物用シートであって、前記貫通孔の周囲には、非金属のカラーが配設されてなる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、非金属のカラーにより貫通孔の周囲が覆われているので、金属同士が干渉する時に発生する金属音の発生が無く、荷重もカラーで吸収できる余地があるので、その分、シートバックフレームへ加わる荷重が少なくなる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。尚、FRを前側、RRを後ろ側、UPは上側、LWRは下側として説明する。
【0019】
図1乃至図12は、この発明の一実施形態を示すもので、符号1は「乗り物」としての自動車のシートで、シートバック2とシートクッション3とより構成されてなる。符号4は、シートバック2に支持されたヘッドレストである。
【0020】
前記シートバック2は、シートバックフレーム5と、該シートバックフレーム5を覆う図示しないパッドと、該パッドを覆うトリム6と、ヘッドレスト支持部材7と、受圧部材8と、ヘッドレストホルダー9とより構成されてなる。
【0021】
前記シートバックフレーム5は、両側部に配されてなる左右対称の鉄板よりなるサイドフレーム10,10と、該サイドフレーム10,10の上端部10a,10aの前側FR間に略水平状に架設されてなる断面コの字状の鉄板製のアッパクロスメンバ11と、前記サイドフレーム10,10の下端部10b,10bに略水平状に架設されてなる鉄板製のロアクロスメンバ12とよりなる。前記サイドフレーム10,10と、前記アッパクロスメンバ11と、前記ロアクロスメンバ12とは、相互に溶接GWにより支持されている。前記サイドフレーム10,10間には、通常使用時の荷重で撓むことにより乗員の乗り心地を良くするためのS字スプリング13が架設されてなる。
【0022】
前記ヘッドレスト支持部材7は、鉄板製で、図5,図6に示すように、上面部7aと後面部7bとが断面逆L字状に折り曲げられて形成されてなる。また、前記ヘッドレスト支持部材7は、図4に示すように、左右に延在されてなると共に、その左右端部が、前記後面部7b、7bから前側FRに折り曲げられた支持部7c、7cが形成されてなる。該支持部7c、7cは、前記サイドフレーム10.10の上端部10a,10aに、前記ヘッドレスト支持部材7の回転が可能なる段付きボルト14及び前記ヘッドレスト支持部材7の回転時の擦れ音や衝撃吸収のためのブッシュ15により、前後FR,RRに回転自在にそれぞれ軸支されてなる。
【0023】
前記ヘッドレスト支持部材7の上面部7aそのもの及び前記後面部7bより前側FRに曲折されて突出したブラケット7dには、前記ヘッドレストホルダー9が挿通支持される第1、第2貫通孔16、17が、上下同軸状に左右に離間して形成されてなる。つまり、上側UPの第1貫通孔16には、前記ヘッドレストホルダー9の頭部9aが支持され、下側LWRの第1貫通孔17には、前記ヘッドレストホルダー9の係合部9bが係合支持されてなる。
【0024】
また、前記ヘッドレスト支持部材7の上面部7aには、二次衝突時におけるヘッドレスト4の支持位置を後側RRの限界位置とし且つヘッドレスト4のみに荷重が加わった時の支持位置を前側FRの限界位置とした前後に長尺な貫通孔29が形成されてなり、前記シートバックフレーム5のアッパクロスメンバー11の上面部11aには、該ヘッドレスト支持部材7の上面部7aの「規制貫通孔」である貫通孔29を通して固定されると共に前記ヘッドレスト支持部材7を所定距離以上移動させないストッパ手段24を備えてなる。
【0025】
前記ストッパ手段24は、前記シートバックフレーム5のアッパクロスメンバー11の上面部11aの下面に溶接により固定されたナット28に螺合されてなると共に前記ヘッドレスト支持部材7の上面部7aの貫通孔29より突出してなる「裸子」としての段付きボルト26よりなる。前記段付きボルト26の周囲には、非金属の無端的なカラー27が配設されてなる。
【0026】
前記受圧部材8は、前記ヘッドレスト支持部材7の後面部7bの左右方向の中央部の前側FRの面に、溶接GWにより上端部18aが固設されてなると共に垂下されてなる柱状部部材18と、該柱状部材18の下端部18bに支持されたプロテクタ19と、該プロテクタ19に中央が係止されて両端部が前記サイドフレーム10,10に支持されてなるアクティブヘッドレスト用リターンスプリング20とより構成されてなる。前記プロテクタ19が配される位置は、乗員の背中に対応した位置である。
【0027】
前記柱状部材18は、上端部18aと下端部18bとはそれぞれ側面視で平行な直線状をなし、適宜の曲がり部21で下端部18b側が上端部18aに対して若干前側FRに曲げられると共に適宜の曲がり部22で上端部18aに平行になるように再度曲がられている。該柱状部材18は、鉄板により左右幅よりも前後幅の方が小さく潰されていて、正面視で略I字状をなす。前記曲がり部21の位置は、シート1の後ろ側に座る乗員の膝位置との関係で決められる。
【0028】
前記プロテクタ19の配設位置は、前記シートバック2に凭れる乗員による、追突に伴う二次衝撃荷重を受け得る位置であって、合成樹脂材よりなり、左右幅が100ミリメートル程度、高さが44ミリメートル程度である。該プロテクタ19は、前記柱状部材18の下端部18bに下側LWRから挿入支持される筒部19aと、該筒部19aより前記柱状部材18の左右幅とほぼ同じ幅分左右に張り出している前側FRの面が平滑状の翼部19b,19bと、該翼部19b,19bの裏面、即ち後ろ側RRに形成されてなるビード19c,19cと、前記筒部19aの裏面、即ち後ろ側RRに形成されてなる前記アクティブヘッドレスト用リターンスプリング20の係止片19dとよりなる。前記ビード19c,19cは、図12の上下方向から型抜きしているので、成形性が良い。
【0029】
また、プロテクタ19の係止片19dに、前記アクティブヘッドレスト用リターンスプリング20が係合されていることによって、前記受圧部材8の柱状部材18の下端部18bは、前記アクティブヘッドレスト用リターンスプリング20により常時前側FRに付勢されてなる。つまり、前記ヘッドレスト支持部材7の後述する下端部7fが、前記アッパクロスメンバ11の後述するストッパ面11dに当接する方向に常時付勢されている。前記プロテクタ19の係止片19dの後ろ側RRの面は、摩擦抵抗の少ない滑面に形成されているので、前記アクティブヘッドレスト用リターンスプリング20が、該滑面上を上下左右にスライド自在である。
【0030】
前記アクティブヘッドレスト用リターンスプリング20は、針金状に形成されてなり、断面が略真円でも略正多角形でもよく、それ自体が回転可能であれば良い。また、図示しない乗員の着座荷重では伸長せず、追突に伴う二次衝撃の荷重でのみ伸長が可能である「ばね力」を有するように、コイルスプリング20aを、前記アクティブヘッドレスト用リターンスプリング20に一カ所形成してなる。
【0031】
前記アッパクロスメンバ11は、図1乃至図4に示すように、鉄板製で、左右に延在されてなる上面部11aと、前面部11bと、下面部11cとより前側FRが閉じられ且つ後ろ側RRが開口されてなる断面コの字状に形成されてなると共に該下面部11cの後ろ側RRより壁状に垂下されてなるストッパ面11dとが一体に形成されてなる。前記下面部11cには、前記受圧部材8の柱状部材18の上端部18aが挿入可能な第1孔11e及び前記ヘッドレスト4の移動に伴って段付きボルト14を中心に前後移動可能なる前後に長い第2孔11fが形成されている。前記上面部11aには、前記ヘッドレスト4のステー23との干渉を防止する切り欠き11g、11gが形成されている。
【0032】
前記ヘッドレスト支持部材7の後面部7bの中央部には、図6に示すように、前記受圧部材8の柱状部材18の上端部18aが溶接支持される固定部7eが形成され、該固定部7eからは、前記アッパクロスメンバ11から垂下されたストッパ面11dに対向した位置まで垂下されている下端部7fが形成されている。該下端部7fには、ゴム製の緩衝部材25が支持されていて、該緩衝部材25の第1緩衝部25aに、前記ストッパ面11dがぶつかって、それ以上の動きが停止される。つまり、前記ヘッドレスト支持部材7自体の後ろ側RRへの回転防止位置を特定している。
【0033】
前記ヘッドレストホルダー9は、前記したように、前記ヘッドレスト支持部材7に形成された前記第1,第2貫通孔16,17に係合して支持されてなると共に前記ヘッドレスト4のステー23を保持する合成樹脂製の部材である。該ヘッドレストホルダー9には、前記ステー23の上下位置を適宜移動可能なると共に適宜の位置で停止可能である周知のストッパ機構を有する。
【0034】
前記受圧部材8の柱状部材18は、図2に示すように、正面視で垂直状をなし、該柱状部材18の保持位置は、前記ヘッドレスト支持部材7の固定部7eに固設されてなるので、自車が追突されたことにより、前記シートバックフレーム5の前側FRからの該乗員による荷重、つまり乗員がシートバック2に前側FRから押し付けられても、該乗員のショルダポイントが、柱状部材18に干渉しないことになる。
【0035】
次に、この実施形態に係る作動を説明する。
【0036】
ヘッドレスト支持部材7の上面部7aには、二次衝突時におけるヘッドレスト4の支持位置を後側RRの限界位置とし且つヘッドレスト4のみに荷重が加わった時の支持位置を前側FRの限界位置とした前後に長尺な貫通孔29が形成されてなり、前記シートバックフレーム5のアッパクロスメンバー11の上面部11aには、該ヘッドレスト支持部材7の貫通孔29を通して固定されると共に前記ヘッドレスト支持部材7を所定距離以上移動させないストッパ手段24を備えてなることで、ヘッドレスト4のみに荷重が加わった場合、該ヘッドレスト4のステー23の荷重がヘッドレスト支持部材7に加わるが、ヘッドレスト支持部材7は、ストッパ手段24により移動できないで保持されて、該荷重が吸収され、ヘッドレスト4を支持したヘッドレスト支持部材7の変形が生じない。
【0037】
また、ヘッドレスト4を支持したヘッドレストホルダー9を支持したヘッドレスト支持部材7が、シートバックフレーム5のサイドフレーム10,10間に架設されているので、乗員の二次衝突力が発生したときには、ヘッドレスト4の前後移動が適切に行われ、乗員の頸部の保護がより確実に行われる。
【0038】
前記ストッパ手段24である段付きボルト26には、ヘッドレスト支持部材7により剪断応力が加わるが、該段付きボルト26がシートバックフレーム5のアッパクロスメンバー11の上面部11aのナット28に螺合されていることで、ヘッドレスト支持部材7に加わった荷重がシートバックフレーム5に分散することになり、シートバックフレーム5への負荷が集中応力とならず、シートバックフレーム5の変形がより防止できる。また、非金属の無端的なカラー27によりストッパ手段24の段付きボルト26の周囲が覆われているので、金属同士が干渉する時に発生する金属音の発生が無く、荷重もカラー27で吸収できる余地があるので、その分、シートバックフレーム5へ加わる荷重が少なくなる。
【0039】
前記シートバック2は、常時、アクティブヘッドレスト用リターンスプリング20により、受圧部材8の柱状部材18の下端部18bのプロテクタ19が前側FRに押圧されてなるので、該受圧部材8の柱状部材18の上端部18aを支持したヘッドレスト支持部材7の中央部7eが、緩衝部材25を介してアッパクロスメンバ11のストッパ面11dに当接していて、該ヘッドレスト支持部材7に支持されたヘッドレストホルダー9を介してヘッドレスト4が保持されている。
【0040】
前記シートバック2とシートクッション3とよりなる自動車のシート1のシートクッション3に乗員が着座し、前記シートバック2に背中を凭れかけない運転状態などでは、乗員の頭部とヘッドレスト4との間には、隙間があり、乗員の背中と受圧部材8との間にも隙間が形成されている。尤も、該乗員の背中と受圧部材8との間には、図示しないパッドやトリム6などが介在されているので、密着されている。また、着座時における乗員が、リラックス状態で、シートバック2に凭れかけると、乗員の背中から加えられた荷重により、パッド及びS字スプリング13の撓みによって、乗員の背中を柔らかに受け止めることができる状態にある。従って、着座感が良いものとなる。勿論、受圧部材8には、荷重が加わらない。
【0041】
この状態で、自車が追突されると、まず車体に加わった前側FRへの衝撃荷重となって、乗員はシートバック2から前側FRに投げ出される方向の荷重を受ける。次に、乗員には、後ろ側RRに移動される荷重、つまり二次衝撃荷重(二次衝突という)が加わることになる。かかる「二次衝突」に伴う衝撃値が、プロテクタ19を介してアクティブヘッドレスト用リターンスプリング20のコイルスプリング20aが伸長を始める荷重以上であると、アクティブヘッドレスト用リターンスプリング20のコイルスプリング20aが伸張するに伴い、前記受圧部材8の柱状部材18の下端部18bに配設されてなるプロテクタ19が、後ろ側RRに移動される。
【0042】
前記受圧部材8の柱状部材18の下端部18bが後ろ側RRへ移動することにより、ヘッドレスト支持部材7の支持部7c,7cが、段付きボルト14及びブッシュ15を中心に、前側FRに回転する。前記ヘッドレスト支持部材7に支持されたヘッドレストホルダー9が、ヘッドレスト支持部材7と共に前側FRに回転して、該ヘッドレストホルダー9に支持されたステー23がヘッドレスト4と共に前側FRへ回転制御されることになり、乗員の頭部の後ろ側RRに移動することで、乗員の頭部を確実に保持できることによって、乗員の頚部の保護が可能となる。かかる回転制御は、瞬時に行われることは勿論である。
【0043】
こうして、乗員の背中が、衝撃によって、後ろ側RRに移動することで、残される挙動をするはずの乗員の頭部が、ヘッドレスト4の前側FRへの移動により、確実に保持されることになる。ヘッドレスト4を支持したヘッドレストホルダー9を支持したヘッドレスト支持部材7が、サイドフレーム10,10間に架設されているので、乗員の二次衝突力が発生したときには、ヘッドレスト4の前後移動が適切に行われ、乗員の頸部の保護がより確実に行われる。また、ヘッドレスト支持部材7に支持された受圧部材8のプロテクタ19は、翼部19b、19bにより左右に幅広のため、乗員の着座位置がアウトポジション、つまり予測しないような位置に着座していても、確実に受圧し、受圧部材8のプロテクタ19への荷重の伝達が確実となる。しかも、この状態で、前記柱状部材18の途中に、曲がり部21により、前側FRに「く」の字状に曲がっているので、受圧部材8の柱状部材18が後ろ側RRに移動した時に、受圧部材8の柱状部材18が後ろ側RRに出っ張らず、後席乗員との空間が確保されることになる。
【0044】
また、前記ヘッドレストホルダー9に対して、前記ヘッドレスト4のステー23が上下移動自在に支持されてなるので、体格の異なる乗員の頭部の位置に適宜ヘッドレスト4の上下位置を合致させることができる。
【0045】
また、シートバック2のシートバックフレーム5は、サイドフレーム10,10と、アッパクロスメンバ11と、ロアクロスメンバ12とにより方形をなすので、シートバック2の強度が著しく向上し、二次衝突を受圧する受圧部材8を支持するヘッドレスト支持部材7が変形するような支障を来すようなことがない。
【0046】
また、前記受圧部材8の柱状部材18は、アクティブヘッドレスト用リターンスプリング20により、前側FRに付勢されてなると共に着座荷重では伸長せず、追突に伴う衝撃荷重でのみ伸長可能なるので、通常時の乗員の着座やリラックス状態においては、該乗員の背中による背凭れ荷重に対応してアクティブヘッドレスト用リターンスプリング20が伸長せず、S字スプリング13により快適に乗員の背中部を保持できることになる。また、追突による二次衝突による荷重が加わった時には、アクティブヘッドレスト用リターンスプリング20のコイルスプリング20aが伸張することが可能であるので、受圧部材8の柱状部材18が移動することに支障を与えないことになり、確実に移動できる。
【0047】
追突に伴う衝撃荷重を受け得る位置である乗員の背中に相当する受圧部材8の柱状部材18が、正面視で略I字状であるので、著しい軽量化が図れる。
【0048】
前記ヘッドレスト4を支持したヘッドレストホルダー9を支持したヘッドレスト支持部材7が、上面部7aと後面部7bとブラケット7dとにより一体に形成されてなるので、個々の部材の支持手段を不要とし、支持することによって生じるひずみの発生がないことになる。従って、ヘッドレスト4のステー23の操作力にバラツキが生ぜず、常に安定した操作力のヘッドレスト4を得られる。
【0049】
前記第1貫通孔16と、前記第2貫通孔17とが、一体のヘッドレスト支持部材7に形成されてなるので、両貫通孔16,17の中心位置が確実に直線上に形成されてなり、ヘッドレスト4を上下動させる際にスムースに上下動できるし、擦れ音が発生しない。
【0050】
前記作動説明で、乗員の頭部が、ヘッドレスト4の移動により、確実に保持されるとしたが、ヘッドレスト4の移動と、シートバック2の移動とは、相対的なものであり、乗員の背中によってシートバック2が後ろ側RRに移動しても、乗員の頭部に対してヘッドレスト4が移動せず、その位置に保持されることで、乗員の頭部が保護されるものと説明されるものも含むものである。
【0051】
前記実施形態で、ストッパ手段24は、段付きボルト26がナット28に螺合されてものとして説明したが、これに限定されるものではなく、前記シートバックフレーム5のアッパクロスメンバー11の上面部11aに切り起こされてなると共に前記ヘッドレスト支持部材7の上面部7aの貫通孔29より上端部が突出してなる切り起しブラケットでもよく、かかる場合、切り起しブラケットには、ヘッドレスト支持部材7により剪断応力が加わるが、該切り起しブラケットがシートバックフレーム5のアッパクロスメンバー11の上面部11aに形成されていることで、ヘッドレスト支持部材7に加わった荷重がシートバックフレーム5のアッパクロスメンバー11に分散することになり、シートバックフレーム5のアッパクロスメンバー11への負荷が集中応力とならず、シートバックフレーム5のアッパクロスメンバー11の変形がより防止できる。
【0052】
また、前記ストッパ手段24は、前記シートバックフレーム5のアッパクロスメンバー11の上面部11aに固設されてなると共に前記ヘッドレスト支持部材7の上面部7aの貫通孔29より上端部が突出してなるブラケットよりなるものでも良い。かかる場合、ブラケットには、ヘッドレスト支持部材7により剪断応力が加わるが、該ブラケットがシートバックフレーム5のアッパクロスメンバー11の上面部11aに固設されていることで、ヘッドレスト支持部材7に加わった荷重がシートバックフレーム5のアッパクロスメンバー11に分散することになり、シートバックフレーム5のアッパクロスメンバー11への負荷が集中応力とならず、シートバックフレーム5のアッパクロスメンバー11の変形がより防止できる。
【0053】
更に、前記実施形態で、前記ストッパ手段24の段付きボルト26の周囲には、非金属の無端的なカラー27が配設されてなると説明したが、かかる実施形態に限定されるものではなく、ヘッドレスト支持部材7の上面部7aに形成した前記貫通孔29の周囲に、非金属の無端的なカラーが配設されてなるものでも良い。かかる場合、非金属の無端的なカラーにより、貫通孔の周囲が覆われているので、金属同士が干渉する時に発生する金属音の発生が無く、荷重もカラーで吸収できる余地があるので、その分、シートバックフレームへ加わる荷重が少なくなる。
【0054】
【発明の効果】
ヘッドレスト支持部材の上面部には、追突に伴う二次衝突時におけるヘッドレストの支持位置を後限界とし且つシートバックへの該二次衝突時における荷重でなく、ヘッドレストのみに荷重が加わった時の支持位置を前限界とした前後に長尺な規制貫通孔が形成されてなり、前記シートバックフレームには、前記規制貫通孔を通して固定されると共に前記ヘッドレスト支持部材を所定距離以上移動させないストッパ手段を備えてなることで、シートバックへの該二次衝突時における荷重でなく、ヘッドレストのみに荷重が加わった場合、該ヘッドレストのステーの荷重がヘッドレスト支持部材に加わるが、ヘッドレスト支持部材は、ストッパ手段により移動できないで保持されて、該荷重が吸収され、ヘッドレストを支持したヘッドレスト支持部材の変形が生じない。
【0055】
また、ヘッドレスト4を支持したヘッドレストホルダー9を支持したヘッドレスト支持部材7が、シートバックフレーム5間に架設されているので、乗員の追突に伴う二次衝突力が発生したときには、ヘッドレスト4の前後移動が適切に行われ、乗員の頸部の保護がより確実に行われる
【0056】
請求項2に記載の発明によれば、裸子にはヘッドレスト支持部材により剪断応力が加わるが、該裸子がシートバックフレームに螺合されていることで、ヘッドレスト支持部材に加わった荷重がシートバックフレームに分散することになり、シートバックフレームへの負荷が集中応力とならず、シートバックフレームの変形がより防止できる。
【0057】
請求項3に記載の発明によれば、切り起しブラケットにはヘッドレスト支持部材により剪断応力が加わるが、該切り起しブラケットがシートバックフレームに形成されていることで、ヘッドレスト支持部材に加わった荷重がシートバックフレームに分散することになり、シートバックフレームへの負荷が集中応力とならず、シートバックフレームの変形がより防止できる。
【0058】
請求項4に記載の発明によれば、ブラケットにはヘッドレスト支持部材により剪断応力が加わるが、該ブラケットがシートバックフレームに固設されていることで、ヘッドレスト支持部材に加わった荷重がシートバックフレームに分散することになり、シートバックフレームへの負荷が集中応力とならず、シートバックフレームの変形がより防止できる。
【0059】
請求項5に記載の発明によれば、非金属のカラーによりストッパ手段の周囲が覆われているので、金属同士が干渉する時に発生する金属音の発生が無く、荷重もカラーで吸収できる余地があるので、その分、シートバックフレームへ加わる荷重が少なくなる。
【0060】
請求項6に記載の発明によれば、非金属のカラーにより貫通孔の周囲が覆われているので、金属同士が干渉する時に発生する金属音の発生が無く、荷重もカラーで吸収できる余地があるので、その分、シートバックフレームへ加わる荷重が少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係るシートを示す斜視図。
【図2】図1のシートバックフレームの正面図。
【図3】図2の斜視図。
【図4】図3の分解斜視図。
【図5】図3のSA−SA線に沿った断面図。
【図6】図3のSB−SB線に沿った断面図。
【図7】図2のプロテクタの拡大正面図。
【図8】図7の側面図。
【図9】図7の上面図。
【図10】図9の矢視Cにかかる説明図。
【図11】図7のSD−SD線に係る断面図。
【図12】図7のSE−SE線に係る断面図。
【符号の説明】
1 自動車のシート(乗り物のシート)
2 シートバック
4 ヘッドレスト
5 シートバックフレーム
7 ヘッドレスト支持部材
8 受圧部材
9 ヘッドレストホルダー
23 ステー
24 ストッパ手段
26 段付きボルト(裸子)
27 カラー
28 ナット
29 貫通孔
FR 前側
RR 後ろ側
UP 上側
LWR 下側
Claims (6)
- シートバックフレームと、該シートバックフレームに前後回転自在に軸支されてなるヘッドレスト支持部材と、該ヘッドレスト支持部材の貫通孔にヘッドレストホルダーを介して支持されてなるステーと、該ステーにより保持されてなるヘッドレストと、前記ヘッドレスト支持部材より垂下されてなると共に乗員の背中に対応した位置に配してなるプロテクタを有する受圧部材とを少なくとも備えてなる乗り物用シートであって、
前記ヘッドレスト支持部材の上面部には、追突に伴う二次衝突時におけるヘッドレストの支持位置を後限界とし且つシートバックへの該二次衝突時における荷重でなく、ヘッドレストのみに荷重が加わった時の支持位置を前限界とした前後に長尺な規制貫通孔が形成されてなり、前記シートバックフレームには、前記規制貫通孔を通して固定されると共に前記ヘッドレスト支持部材を所定距離以上移動させないストッパ手段を備えてなることを特徴とする乗り物用シート。 - 請求項1に記載の乗り物用シートであって、
前記ストッパ手段は、前記シートバックフレームに固定されたナットに螺合されてなると共に前記規制貫通孔より突出してなる裸子よりなることを特徴とする乗り物用シート。 - 請求項1に記載の乗り物用シートであって、
前記ストッパ手段は、前記シートバックフレームに切り起こされてなると共に前記規制貫通孔より上端部が突出してなる切り起しブラケットよりなることを特徴とする乗り物用シート。 - 請求項1に記載の乗り物用シートであって、
前記ストッパ手段は、前記シートバックフレームに固設されてなると共に前記規制貫通孔より上端部が突出してなるブラケットよりなることを特徴とする乗り物用シート。 - 請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の乗り物用シートであって、
前記ストッパ手段の周囲には、非金属のカラーが配設されてなることを特徴とする乗り物用シート。 - 請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の乗り物用シートであって、
前記貫通孔の周囲には、非金属のカラーが配設されてなることを特徴とする乗り物用シート。
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